(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脂肪族共役ジエン単量体単位を20質量%以上80質量%以下の割合で含有し、且つ、体積平均粒子径が0.01μm以上0.5μm以下である粒子状重合体を更に含有する、請求項1に記載の非水系二次電池電極用バインダー組成物。
前記天然ゴム粒子の含有量が、前記天然ゴム粒子と前記粒子状重合体との合計含有量の20質量%以上90質量%以下である、請求項2または3に記載の非水系二次電池電極用バインダー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、非水系二次電池電極用スラリー組成物を調製する際に用いることができる。そして、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物を用いて調製した非水系二次電池電極用スラリー組成物は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の電極を形成する際に用いることができる。更に、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物を用いて形成した非水系二次電池用電極を用いたことを特徴とする。
なお、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物および非水系二次電池電極用スラリー組成物は、非水系二次電池の負極を形成する際に特に好適に用いることができる。
【0019】
(非水系二次電池電極用バインダー組成物)
本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、天然ゴム粒子およびタンパク質を含み、任意に、天然ゴム粒子以外の粒子状重合体や二次電池の電極に配合され得るその他の成分を更に含有する。また、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、通常、水などの分散媒を更に含有する。そして、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、天然ゴム粒子の体積平均粒子径が2.5μm以下であり、且つ、タンパク質の含有量が、天然ゴム粒子100質量部当たり4.0×10
-4質量部以上5.0×10
-3質量部以下である。
【0020】
そして、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、所定の体積平均粒子径を有する天然ゴム粒子を含有し、更にタンパク質の含有量が所定の範囲内であるので、当該バインダー組成物を用いて形成した電極を備える非水系二次電池に優れた電池特性、特にはサイクル特性を発揮させることができる。
なお、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物を用いることで非水系二次電池のサイクル特性を向上させることができる理由は、明らかではないが、以下の通りであると推察される。即ち、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、所定の体積平均粒子径を有する天然ゴム粒子を含有しているので、電極の電極合材層の形成に用いた際に、電極活物質同士および電極活物質と集電体とを良好に結着させ、電極のピール強度を高めることができる。また、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、タンパク質の含有量が所定の範囲内であるので、バインダー組成物を用いて調製したスラリー組成物の安定性を高めて良好な電極合材層の形成を可能にすると共に、二次電池中においてタンパク質に起因した副反応(例えば、タンパク質の分解など)が発生するのを十分に抑制することができる。従って、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物を用いて形成した電極を使用すれば、非水系二次電池に優れたサイクル特性を発揮させることができる。
【0021】
<天然ゴム粒子>
天然ゴム粒子は、バインダー組成物を用いて調製した非水系二次電池電極用スラリー組成物を使用して集電体上に電極合材層を形成することにより製造した電極において、電極合材層に含まれる成分が電極合材層から脱離しないように保持する(即ち、結着材として機能する)。
【0022】
[体積平均粒子径]
そして、天然ゴム粒子は、体積平均粒子径が2.5μm以下であることが必要であり、天然ゴム粒子の体積平均粒子径は、0.6μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましく、0.8μm以上であることが更に好ましく、2.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。天然ゴム粒子の体積平均粒子径が2.5μm以下であれば、天然ゴム粒子と、電極活物質または集電体との接触面積が低減するのを抑制して、バインダー組成物を用いて形成した電極のピール強度を高めることができる。従って、バインダー組成物を用いて形成した電極を備える二次電池のサイクル特性を向上させることができる。また、天然ゴム粒子の体積平均粒子径が上記下限値以上であれば、表面に凹凸を有する電極活物質を使用して電極合材層を形成する場合であっても電極活物質の凹部内に天然ゴム粒子が入り込むのを抑制し、電極活物質を良好に結着させて電極のピール強度を高めることができる。
【0023】
なお、天然ゴム粒子は、水などの分散媒中に分散したラテックスの状態でバインダー組成物の調製に用いることができる。そして。天然ゴム粒子の体積平均粒子径は、沈降分離や分級などを用いて調整することができる。
【0024】
<タンパク質>
バインダー組成物が含有するタンパク質としては、特に限定されることなく、例えば、バインダー組成物の調製に用いた天然ゴム粒子に由来するタンパク質などの、バインダー組成物の調製時に不可避的に混入するタンパク質が挙げられる。また、バインダー組成物が含有するタンパク質は、天然物から抽出したタンパク質および合成タンパク質などのバインダー組成物に対して意図的に添加されたタンパク質であってもよい。
【0025】
[タンパク質含有量]
そして、バインダー組成物中のタンパク質の含有量は、天然ゴム粒子100質量部当たり4.0×10
-4質量部以上5.0×10
-3質量部以下である必要があり、4.5×10
-4質量部以上であることが好ましく、5.0×10
-4質量部以上であることがより好ましく、7.0×10
-4質量部以上であることが更に好ましく、4.5×10
-3質量部以下であることが好ましく、4.0×10
-3質量部以下であることがより好ましい。タンパク質の含有量が4.0×10
-4質量部以上であれば、バインダー組成物を用いて調製したスラリー組成物の安定性を高めることができるので、当該スラリー組成物を用いて電極合材層を良好に形成することができる。従って、電極のピール強度および二次電池のサイクル特性を十分に向上させることができる。また、タンパク質の含有量が5.0×10
-3質量部以下であれば、バインダー組成物を含むスラリー組成物を用いて形成した電極合材層中に含まれるタンパク質の量が増加するのを抑制し、二次電池中においてタンパク質に起因した副反応(例えば、タンパク質の分解など)が発生するのを十分に抑制することができる。従って、二次電池のサイクル特性が低下するのを抑制することができる。
なお、タンパク質の含有量は、特に限定されることなく、バインダー組成物の調製に用いる天然ゴム粒子の精製、または、バインダー組成物へのタンパク質の添加などの手法を用いて調整することができる。
【0026】
<粒子状重合体>
バインダー組成物に任意に配合される粒子状重合体は、バインダー組成物を用いて調製した非水系二次電池電極用スラリー組成物を使用して集電体上に電極合材層を形成することにより製造した電極において、電極合材層に含まれる成分が電極合材層から脱離しないように保持する(即ち、上述した天然ゴム粒子と共に結着材として機能する)。
【0027】
[組成]
そして、粒子状重合体としては、天然ゴム粒子以外であれば特に限定されることなく、結着材として機能し得る任意の粒子状重合体を使用することができる。中でも、粒子状重合体としては、例えば、脂肪族共役ジエン単量体単位および/または芳香族ビニル単量体単位を含有する重合体が好ましく、脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位を含有する重合体がより好ましい。なお、粒子状重合体は、脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外の単量体単位(以下、「その他の単量体単位」ということがある。)を含有することもできる。また、通常、粒子状重合体はタンパク質以外の重合体からなる。
【0028】
[[脂肪族共役ジエン単量体単位]]
ここで、粒子状重合体の脂肪族共役ジエン単量体単位を形成し得る脂肪族共役ジエン単量体としては、特に限定されることなく、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。中でも、脂肪族共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。なお、脂肪族共役ジエン単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0029】
そして、粒子状重合体中の脂肪族共役ジエン単量体単位の割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位の量を100質量%とした場合に、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。脂肪族共役ジエン単量体単位の含有割合を20質量%以上とすることで、バインダー組成物を用いて作製した電極のピール強度を更に向上させることができる。また、脂肪族共役ジエン単量体単位の含有割合を80質量%以下とすることで、バインダー組成物を用いて作製した電極を備える二次電池に優れたサイクル特性を発揮させることができる。
【0030】
[[芳香族ビニル単量体単位]]
また、粒子状重合体の芳香族ビニル単量体単位を形成し得る芳香族ビニル単量体としては、特に限定されることなく、スチレン、スチレンスルホン酸およびその塩、α−メチルスチレン、ブトキシスチレン、並びに、ビニルナフタレンなどが挙げられる。中でも、粒子状重合体の芳香族ビニル単量体単位を形成する芳香族ビニル単量体としては、スチレンおよびスチレンスルホン酸塩が好ましく、スチレンがより好ましい。なお、芳香族ビニル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0031】
そして、粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位の量を100質量%とした場合に、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以下であることが好ましく、68質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることが更に好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有割合を上記下限値以上とすれば、バインダー組成物を用いて作製した電極を備える二次電池のサイクル特性を更に向上させることができる。また、芳香族ビニル単量体単位の含有割合を上記上限値以下とすれば、バインダー組成物を用いて作製した電極のピール強度を更に向上させることができる。
【0032】
[[その他の単量体単位]]
更に、粒子状重合体が含有し得る、上述した脂肪族共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外のその他の単量体単位としては、特に限定されることなく、上述した脂肪族共役ジエン単量体および芳香族ビニル単量体と共重合可能な既知の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。具体的には、その他の単量体単位としては、特に限定されることなく、例えば(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、親水性基含有単量体単位などが挙げられる。
なお、これらの単量体は一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
ここで、粒子状重合体の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;などが挙げられる。
【0034】
更に、親水性基含有単量体単位を形成し得る親水性基含有単量体としては、親水性基を有する重合可能な単量体が挙げられる。具体的には、親水性基含有単量体としては、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、水酸基を有する単量体が挙げられる。
【0035】
そして、カルボン酸基を有する単量体としては、モノカルボン酸およびその誘導体や、ジカルボン酸およびその酸無水物並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
モノカルボン酸誘導体としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α−アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、β−ジアミノアクリル酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸誘導体としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸や、マレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸エステルが挙げられる。
ジカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。
また、カルボン酸基を有する単量体としては、加水分解によりカルボキシル基を生成する酸無水物も使用できる。
その他、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノエステルおよびジエステルも挙げられる。
【0036】
スルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
なお、本発明において「(メタ)アリル」とは、アリルおよび/またはメタリルを意味する。
【0037】
リン酸基を有する単量体としては、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
なお、本発明において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
【0038】
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどのエチレン性不飽和アルコール;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸ジ−2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジ−4−ヒドロキシブチル、イタコン酸ジ−2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアルカノールエステル類;一般式:CH
2=CR
1−COO−(C
qH
2qO)
p−H(式中、pは2〜9の整数、qは2〜4の整数、R
1は水素またはメチル基を表す)で表されるポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシフタレート、2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシサクシネートなどのジカルボン酸のジヒドロキシエステルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−4−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−6−ヒドロキシヘキシルエーテルなどのアルキレングリコールのモノ(メタ)アリルエーテル類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル類;グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリル−2−クロロ−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエーテルなどの、(ポリ)アルキレングリコールのハロゲンおよびヒドロキシ置換体のモノ(メタ)アリルエーテル;オイゲノール、イソオイゲノールなどの多価フェノールのモノ(メタ)アリルエーテルおよびそのハロゲン置換体;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルチオエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルチオエーテルなどのアルキレングリコールの(メタ)アリルチオエーテル類;などが挙げられる。
【0039】
上述した中でも、その他の単量体としては、親水性基含有単量体が好ましく、カルボン酸基を有する単量体および水酸基を有する単量体がより好ましく、イタコン酸および2−ヒドロキシエチルアクリレート(アクリル酸−2−ヒドロキシエチル)が更に好ましい。
【0040】
そして、粒子状重合体のその他の単量体単位の含有割合は、好ましくは0質量%以上10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。その他の単量体単位の含有割合が10質量%以下であれば、バインダー組成物を含むスラリー組成物の安定性が低下するのを抑制することができる。
【0041】
なお、上述した組成を有する粒子状重合体は、特に限定されることなく、上述した単量体を含む単量体組成物を重合することにより調製することができる。ここで、単量体組成物中の各単量体の割合は、通常、所望の重合体における各単量体単位の割合と同様とする。そして、粒子状重合体の重合様式は、特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法を用いてもよい。また、重合反応としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができる。そして、重合に使用される乳化剤、分散剤、重合開始剤、重合助剤などは、一般に用いられるものを使用することができ、その使用量も、一般に使用される量とすることができる。
【0042】
[体積平均粒子径]
また、粒子状重合体は、体積平均粒子径が0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましく、0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましい。粒子状重合体の体積平均粒子径が上記下限値以上であれば、バインダー組成物を含むスラリー組成物の安定性が低下するのを抑制することができる。また、粒子状重合体の体積平均粒子径が上記上限値以下であれば、バインダー組成物を用いて作製した電極のピール強度を十分に向上させることができる。
なお、粒子状重合体の体積平均粒子径は、乳化剤の使用量などの重合条件を変更することにより調整することができる。
【0043】
<天然ゴム粒子および粒子状重合体の含有割合>
なお、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物が上述した天然ゴム粒子と粒子状重合体との双方を含有する場合、バインダー組成物中の天然ゴム粒子の含有量は、天然ゴム粒子と粒子状重合体との合計含有量の20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。天然ゴム粒子と粒子状重合体との合計含有量に対する天然ゴム粒子の含有量の割合が上記下限値以上であれば、バインダー組成物を含むスラリー組成物の安定性が低下するのを抑制することができる。また、天然ゴム粒子の含有量の割合が上記上限値以下であれば、バインダー組成物を用いて作製した電極のピール強度および二次電池のサイクル特性を更に向上させることができる。
【0044】
<分散媒>
本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物が含有する分散媒としては、特に限定されることなく、水が挙げられる。なお、分散媒は、任意の化合物の水溶液や、少量の有機溶媒と水との混合溶液であってもよい。
【0045】
<その他の成分>
本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、上記成分の他に、補強材、レベリング剤、粘度調整剤、電解液添加剤等の成分を含有していてもよい。これらは、電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られず、公知のもの、例えば国際公開第2012/115096号に記載のものを使用することができる。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0046】
<バインダー組成物の調製方法>
そして、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、特に限定されることなく、例えば天然ゴム粒子を含む分散液(ラテックス)に対してタンパク質含有量を調整する操作(タンパク質の添加または精製によるタンパク質の除去)を実施することにより、調製することができる。また、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物は、例えば、所定のタンパク質含有量を有する天然ゴム粒子の分散液と、任意に配合される成分(粒子状重合体を含む分散液およびその他の成分)とを混合して調製することもできる。なお、ラテックスおよび粒子状重合体の分散液を用いてバインダー組成物を調製する場合には、ラテックスおよび粒子状重合体の分散液が含有している液分をそのままバインダー組成物の分散媒として利用してもよい。
【0047】
(非水系二次電池電極用スラリー組成物)
本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物は、電極活物質と、上述したバインダー組成物とを含み、任意にその他の成分を更に含有する。即ち、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物は、通常、電極活物質と、上述した天然ゴム粒子と、タンパク質と、分散媒とを含有し、任意に、粒子状重合体およびその他の成分を更に含有する。そして、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物は、上述したバインダー組成物を含んでいるので、安定性が高く、また、電極の電極合材層の形成に用いた際に、電極活物質同士および電極活物質と集電体とを良好に結着させることができる。従って、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物を使用すれば、電極合材層を良好に形成して、ピール強度に優れる電極が得られる。更に、上記バインダー組成物を含むスラリー組成物を用いて形成した電極を使用すれば、副反応の発生を抑制し、非水系二次電池に優れた電池特性、特にはサイクル特性を発揮させることができる。
なお、以下では、一例として非水系二次電池電極用スラリー組成物がリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物である場合について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。
【0048】
<電極活物質>
電極活物質は、二次電池の電極において電子の受け渡しをする物質である。そして、リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常は、リチウムを吸蔵および放出し得る物質を用いる。
【0049】
具体的には、リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、例えば、炭素系負極活物質、金属系負極活物質、およびこれらを組み合わせた負極活物質などが挙げられる。
【0050】
ここで、炭素系負極活物質とは、リチウムを挿入(「ドープ」ともいう。)可能な、炭素を主骨格とする活物質をいい、炭素系負極活物質としては、例えば炭素質材料と黒鉛質材料とが挙げられる。
【0051】
そして、炭素質材料としては、例えば、易黒鉛性炭素や、ガラス状炭素に代表される非晶質構造に近い構造を持つ難黒鉛性炭素などが挙げられる。
ここで、易黒鉛性炭素としては、例えば、石油または石炭から得られるタールピッチを原料とした炭素材料が挙げられる。具体例を挙げると、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維などが挙げられる。
また、難黒鉛性炭素としては、例えば、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体(PFA)、ハードカーボンなどが挙げられる。
【0052】
更に、黒鉛質材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。
ここで、人造黒鉛としては、例えば、易黒鉛性炭素を含んだ炭素を主に2800℃以上で熱処理した人造黒鉛、MCMBを2000℃以上で熱処理した黒鉛化MCMB、メソフェーズピッチ系炭素繊維を2000℃以上で熱処理した黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維などが挙げられる。
【0053】
また、金属系負極活物質とは、金属を含む活物質であり、通常は、リチウムの挿入が可能な元素を構造に含み、リチウムが挿入された場合の単位質量当たりの理論電気容量が500mAh/g以上である活物質をいう。金属系活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金を形成し得る単体金属(例えば、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn、Tiなど)およびその合金、並びに、それらの酸化物、硫化物、窒化物、ケイ化物、炭化物、燐化物などが用いられる。これらの中でも、金属系負極活物質としては、ケイ素を含む活物質(シリコン系負極活物質)が好ましい。シリコン系負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池を高容量化することができるからである。
【0054】
シリコン系負極活物質としては、例えば、ケイ素(Si)、ケイ素を含む合金、SiO、SiO
x、Si含有材料を導電性カーボンで被覆または複合化してなるSi含有材料と導電性カーボンとの複合化物などが挙げられる。なお、これらのシリコン系負極活物質は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
[電極活物質の性状]
そして、電極活物質は、タップ密度が1.1g/cm
3以下であることが好ましく、1.05g/cm
3以下であることがより好ましく、1.03g/cm
3以下であることが更に好ましい。電極活物質は充放電に伴って膨張および収縮するが、電極活物質のタップ密度を上記上限値以下とすれば、充放電に伴う膨れが生じ難い電極を形成することができる。なお、電極活物質のタップ密度は、通常、0.7g/cm
3以上であり、0.75g/cm
3以上であることが好ましく、0.8g/cm
3以上であることがより好ましい。
【0056】
ここで、タップ密度の低い電極活物質は、一般に、微細な凹凸を有するものが多い。そのため、結着材として粒子径の小さい粒子状の重合体のみを用いた場合には、タップ密度の低い電極活物質の凹部内に粒子状の重合体が入り込んでしまい、電極活物質を良好に結着させることができない虞がある。しかし、天然ゴム粒子として体積平均粒子径が0.6μm以上の天然ゴム粒子を使用すれば、前述した通り、タップ密度の低い電極活物質を使用した場合であっても電極活物質の凹部内に天然ゴム粒子が入り込むのを抑制し、ピール強度に優れる電極を形成することができる。また、結着材として粒子径の大きい天然ゴム粒子のみを用いた場合には、電極活物質と天然ゴム粒子との接触面積が減少してしまい、電極のピール強度を十分に高めることができない虞がある。しかし、天然ゴム粒子と上述した体積平均粒子径を有する粒子状重合体とを併用すれば、電極のピール強度をより一層向上させることができる。
【0057】
<バインダー組成物>
バインダー組成物としては、上述した天然ゴム粒子およびタンパク質を含み、任意に粒子状重合体を更に含有する非水系二次電池電極用バインダー組成物を用いることができる。
【0058】
ここで、バインダー組成物の配合量は、特に限定されることなく、例えば電極活物質100質量部当たり、固形分換算で、天然ゴム粒子および粒子状重合体の合計量が0.5質量部以上4.0質量部以下となる量とすることができる。
【0059】
<タンパク質含有量>
なお、上述したバインダー組成物を含むスラリー組成物はタンパク質を含有することとなるが、スラリー組成物中のタンパク質の含有量は、スラリー組成物に含まれている固形分100質量部当たり、6.0×10
-6質量部以上であることが好ましく、1.1×10
-5質量部以上であることがより好ましく、1.0×10
-4質量部以下であることが好ましく、5.0×10
-5質量部以下であることがより好ましい。タンパク質の含有量が上記下限値以上であれば、スラリー組成物の安定性を高めることができるので、当該スラリー組成物を用いて電極合材層を良好に形成することができる。従って、電極のピール強度および二次電池のサイクル特性を十分に向上させることができる。また、タンパク質の含有量が上記上限値以下であれば、スラリー組成物を用いて形成した電極合材層中に含まれるタンパク質の量が増加するのを抑制し、二次電池中においてタンパク質に起因した副反応(例えば、タンパク質の分解など)が発生するのを十分に抑制することができる。従って、二次電池のサイクル特性が低下するのを抑制することができる。
【0060】
<その他の成分>
スラリー組成物に配合し得るその他の成分としては、特に限定することなく、本発明のバインダー組成物に配合し得るその他の成分と同様のものが挙げられる。また、スラリー組成物は、カーボンブラック等の導電材を更に含有していてもよい。なお、その他の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0061】
<スラリー組成物の調製>
上述したスラリー組成物は、上記各成分を水などの分散媒中に分散または溶解させることにより調製することができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と分散媒とを混合することにより、スラリー組成物を調製することができる。なお、上記各成分と分散媒との混合は、通常、室温〜80℃の範囲で、10分〜数時間行うことができる。また、スラリー組成物の調製に用いる分散媒としては、バインダー組成物と同様のものを用いることができる。そして、スラリー組成物の調製に用いる分散媒には、バインダー組成物が含有していた分散媒も含まれ得る。
【0062】
(非水系二次電池用電極)
本発明の非水系二次電池用電極は、上記非水系二次電池電極用スラリー組成物を用いて形成された電極合材層を備えるものであり、通常は、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを有している。そして、電極合材層には、少なくとも、電極活物質と、天然ゴムと、タンパク質とが含有されている。なお、電極合材層中に含まれている各成分は、上記非水系二次電池電極用スラリー組成物中に含まれていたものであり、それら各成分の好適な存在比は、スラリー組成物中の各成分の好適な存在比と同じである。また、天然ゴム粒子と、任意に配合される粒子状重合体とは、バインダー組成物中およびスラリー組成物中では粒子形状で存在するが、スラリー組成物を用いて形成された電極合材層中では、粒子形状であってもよいし、その他の任意の形状であってもよい。
【0063】
そして、本発明の非水系二次電池用電極では、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むスラリー組成物を使用しているので、電極合材層と集電体とが良好に結着する。従って、本発明の非水系二次電池用電極はピール強度に優れている。また、本発明の非水系二次電池用電極は、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むスラリー組成物を使用して形成しているので、当該電極を使用すれば、サイクル特性等の電池特性に優れる二次電池が得られる。
【0064】
<電極の製造方法>
なお、本発明の非水系二次電池用電極は、例えば、上述したスラリー組成物を集電体上に塗布する工程(塗布工程)と、集電体上に塗布されたスラリー組成物を乾燥して集電体上に電極合材層を形成する工程(乾燥工程)とを経て製造される。
【0065】
[塗布工程]
上記スラリー組成物を集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、スラリー組成物を集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる電極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
【0066】
ここで、スラリー組成物を塗布する集電体としては、電気導電性を有し、かつ、電気化学的に耐久性のある材料が用いられる。具体的には、集電体としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などからなる集電体を用い得る。なお、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0067】
[乾燥工程]
集電体上のスラリー組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥法、真空乾燥法、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上のスラリー組成物を乾燥することで、集電体上に電極合材層を形成し、集電体と電極合材層とを備える非水系二次電池用電極を得ることができる。
【0068】
なお、乾燥工程の後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、電極合材層に加圧処理を施してもよい。加圧処理により、電極合材層と集電体との密着性を向上させることができる。また、電極合材層が硬化性の重合体を含む場合は、電極合材層の形成後に前記重合体を硬化させることが好ましい。
【0069】
(非水系二次電池)
本発明の非水系二次電池は、正極と、負極と、電解液と、セパレータとを備え、正極および負極の少なくとも一方として本発明の非水系二次電池用電極を用いたものである。そして、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用電極を備えているので、サイクル特性等の電池特性に優れている。
なお、本発明の非水系二次電池は、本発明の非水系二次電池用電極を負極として用いたものであることが好ましい。また、以下では、一例として非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。
【0070】
<電極>
上述のように、本発明の非水系二次電池用電極が、正極および負極の少なくとも一方として用いられる。即ち、リチウムイオン二次電池の正極が本発明の電極であり負極が他の既知の負極であってもよく、リチウムイオン二次電池の負極が本発明の電極であり正極が他の既知の正極であってもよく、そして、リチウムイオン二次電池の正極および負極の両方が本発明の電極であってもよい。
なお、本発明の非水系二次電池用電極以外の既知の電極としては、既知の製造方法を用いて集電体上に電極合材層を形成してなる電極を用いることができる。
【0071】
<電解液>
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。リチウムイオン二次電池の支持電解質としては、例えば、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF
6、LiAsF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAlCl
4、LiClO
4、CF
3SO
3Li、C
4F
9SO
3Li、CF
3COOLi、(CF
3CO)
2NLi、(CF
3SO
2)
2NLi、(C
2F
5SO
2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF
6、LiClO
4、CF
3SO
3Liが好ましく、LiPF
6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
【0072】
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いので、カーボネート類を用いることが好ましい。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができ、例えば0.5〜15質量%することが好ましく、2〜13質量%とすることがより好ましく、5〜10質量%とすることが更に好ましい。また、電解液には、既知の添加剤、例えばビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチルメチルスルホンなどを添加することができる。
【0073】
<セパレータ>
セパレータとしては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
【0074】
<二次電池の製造方法>
本発明の非水系二次電池は、例えば、正極と、負極とを、セパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造することができる。二次電池の内部の圧力上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
【実施例】
【0075】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、実施例および比較例において、天然ゴム粒子および粒子状重合体の体積平均粒子径、負極活物質のタップ密度、バインダー組成物およびスラリー組成物のタンパク質含有量、スラリー組成物の安定性、負極のピール強度、並びに、二次電池のサイクル特性は、下記の方法で測定および評価した。
【0076】
<体積平均粒子径>
測定対象の粒子(天然ゴム粒子または粒子状重合体)を含む水分散液の固形分濃度を0.1質量%に調整し、固形分濃度0.1質量%の水分散液についてレーザー回折式粒子径分布測定装置(ベックマン・コールター社製、製品名「LS−230」)により粒子径分布(体積基準)を測定した。そして、得られた粒子径分布において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を求め、測定対象の粒子の体積平均粒子径(D50)とした。
<タップ密度>
負極活物質のタップ密度は、パウダテスタ(登録商標)(ホソカワミクロン社製、製品名「PT−D」)を用いて測定した。具体的には、まず、測定容器に充填した負極活物質の粉体を容器上面にてすり切った。次いで、測定容器に測定器付属のキャップを取り付け、取り付けたキャップの上縁まで負極活物質の粉体を追加充填し、高さ1.8cmから180回繰り返し落下させることにより、タッピングを行った。タッピング終了後にキャップを外し、容器上面にて負極活物質の粉体を再びすり切った。タッピング後にすり切った試料を秤量し、この状態の嵩密度を固め嵩密度、即ちタップ密度(g/cm
3)として測定した。
<タンパク質含有量>
バインダー組成物については、ケルダール法で求めた窒素含有量をタンパク質量とした。具体的には、バインダー組成物を湿度50%、温度23〜25℃の環境下で3日間乾燥させて、厚み3±0.3mmのフィルムに成膜した。そして、得られたフィルムについて、ケルダール法を用いて窒素含有量を測定し、タンパク質含有量を求めた。
また、スラリー組成物については、バインダー組成物のタンパク質含有量およびバインダー組成物の配合量からタンパク質含有量を算出した。
<スラリー組成物の安定性>
スラリー組成物を調製する際に、バインダー組成物を添加する前の混合液の粘度M0(mPa・s)と、バインダー組成物を添加した後の混合液の粘度M1(mPa・s)とを測定した。なお、粘度の測定は、B型粘度計(東機産業社製、製品名「TV−25」)を使用し、温度:25℃、ローター:No.4、ローター回転数:60rpmの条件下で行った。
そして、粘度変化率ΔM(=M1/M0(倍))を算出し、下記の基準で評価した。粘度変化率ΔMの値が小さいほど、バインダー組成物を添加した際に増粘し難く、スラリー組成物の安定性が高いことを示す。
A:粘度変化率ΔMが1.1倍未満
B:粘度変化率ΔMが1.1倍以上1.5倍未満
C:粘度変化率ΔMが1.5倍以上1.8倍未満
D:粘度変化率ΔMが1.8倍以上
<ピール強度>
作製した負極を長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とした。この試験片を、負極合材層の表面を下にして、負極合材層の表面にセロハンテープを貼り付けた。この際、セロハンテープとしてはJIS Z1522に規定されるものを用いた。また、セロハンテープは試験台に固定しておいた。その後、集電体の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。この測定を3回行い、その平均値を求め、当該平均値をピール強度として、下記の基準で評価した。ピール強度が大きいほど、負極合材層の集電体への結着力が大きいこと、すなわち、密着強度が大きいことを示す。
A:ピール強度が24N/m以上
B:ピール強度が19N/m以上24N/m未満
C:ピール強度が14N/m以上19N/m未満
D:ピール強度が14N/m未満
<サイクル特性>
作製した容量800mAhのリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で24時間静置させた。その後、25℃環境下で、1Cの充電レートにて4.2Vまで充電し、1Cの放電レートにて3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。更に、45℃環境下で同様の充放電の操作を繰り返し、300サイクル後の容量C1を測定した。そして、容量維持率ΔC=(C1/C0)×100(%)を算出し、下記の基準で評価した。この容量維持率の値が高いほど、放電容量の低下が少なく、サイクル特性に優れていることを示す。
A:容量維持率ΔCが80%以上
B:容量維持率ΔCが75%以上80%未満
C:容量維持率ΔCが70%以上75%未満
D:容量維持率ΔCが70%未満
【0077】
(実施例1)
<天然ゴム粒子の準備>
天然ゴム粒子を含有する水分散液として、体積平均粒子径が0.9μmの天然ゴム粒子を含有する天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」、固形分濃度62%)を準備した。
<粒子状重合体の調製>
脂肪族共役ジエン単量体としての1,3−ブタジエン33部、芳香族ビニル単量体としてのスチレン62部、カルボン酸基を有する単量体としてのイタコン酸4部、連鎖移動剤としてのtert−ドデシルメルカプタン0.3部、乳化剤としてのラウリル硫酸ナトリウム0.3部の混合物を入れた容器Aから耐圧容器Bへと混合物の添加を開始すると同時に、重合開始剤としての過硫酸カリウム1部の耐圧容器Bへの添加を開始し、重合を開始した。なお、反応温度は75℃を維持した。
また、重合開始から4時間後(混合物の70%を耐圧容器Bへと添加した後)に、水酸基を有する単量体としての2−ヒドロキシエチルアクリレート(アクリル酸−2−ヒドロキシエチル)1部を1時間30分に亘って耐圧容器Bに加えた。
重合開始から5時間30分後に、上述した単量体の全量の添加が完了した。その後、さらに85℃に加温して6時間反応させた。
重合転化率が97%になった時点で冷却し、反応を停止して、粒子状重合体を含む混合物を得た。この粒子状重合体を含む混合物に、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを8に調整した。その後、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った。そして、冷却し、体積平均粒子径が0.15μmの粒子状重合体を含む水分散液(固形分濃度:40%)を得た。
<バインダー組成物の調製>
天然ゴムラテックスと上記水分散液とを、天然ゴム粒子と粒子状重合体とが、固形分比率で、天然ゴム粒子:粒子状重合体=70:30になるように容器へ投入した。そして、スリーワンモーターにより1時間撹拌して、非水系二次電池電極用バインダー組成物を得た。
そして、得られたバインダー組成物のタンパク質含有量を測定した。結果を表1に示す。
<スラリー組成物の調製>
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質としての人造黒鉛(日立化成社製、製品名「MAG−E」)70部および天然黒鉛(日本カーボン社製、製品名「604A」)25.6部、導電材としてのカーボンブラック(TIMCAL社製、製品名「Super C65」)1部、粘度調整剤としてのカルボキシメチルセルロース(日本製紙ケミカル社製、製品名「MAC−350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1.2部加えて混合物を得た。得られた混合物をイオン交換水で固形分濃度60%に調整した後、25℃で60分間混合した。次に、イオン交換水で固形分濃度52%に調整した後、更に25℃で15分間混合して、混合液を得た。得られた混合液に、非水系二次電池電極用バインダー組成物を固形分相当で2.2部、およびイオン交換水を入れ、最終固形分濃度が48%となるように調整した。更に10分間混合した後、減圧下で脱泡処理することにより、流動性の良い非水系二次電池負極用スラリー組成物を得た。
なお、用いた負極活物質のタップ密度(人造黒鉛および天然黒鉛の実測値)は0.85g/cm
3であった
そして、スラリー組成物の安定性を評価した。また、スラリー組成物のタンパク質含有量を算出した。結果を表1に示す。
<負極の作製>
得られた非水系二次電池負極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、プレス前の負極原反を得た。このプレス前の負極原反をロールプレスで圧延して、負極合材層の厚みが80μmのプレス後の負極を得た。
そして、負極のピール強度を評価した。結果を表1に示す。
<正極の作製>
正極活物質としての体積平均粒子径12μmのLiCoO
2を100部と、導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業社製、製品名「HS−100」)を2部と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(クレハ社製、製品名「#7208」)を固形分相当で2部と、溶媒としてのN−メチルピロリドンとを混合して全固形分濃度を70%とした。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、非水系二次電池正極用スラリー組成物を得た。
得られた非水系二次電池正極用スラリー組成物を、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミ箔の上に、乾燥後の膜厚が150μm程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミ箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、正極原反を得た。
そして、得られた正極原反を、ロールプレス機を用いて圧延することにより、正極合材層を備える正極を得た。
<セパレータの準備>
単層のポリプロピレン製セパレータ(セルガード社製、製品名「セルガード2500」)を、120cm×5.5cmに切り抜いた。
<二次電池の作製>
得られたプレス後の正極を49cm×5cmの長方形に切り出して正極合材層側の表面が上側になるように置き、その正極合材層上に120cm×5.5cmに切り出したセパレータを、正極がセパレータの長手方向左側に位置するように配置した。更に、得られたプレス後の負極を50cm×5.2cmの長方形に切り出し、セパレータ上に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うように、かつ、負極がセパレータの長手方向右側に位置するように配置した。そして、得られた積層体を捲回機により捲回し、捲回体を得た。この捲回体を電池の外装としてのアルミ包材外装で包み、電解液(溶媒:エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ビニレンカーボネート=68.5/30/1.5(体積比)、電解質:濃度1MのLiPF
6)を空気が残らないように注入し、更にアルミ包材外装の開口を150℃のヒートシールで閉口して、容量800mAhの捲回型リチウムイオン二次電池を製造した。
そして、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を評価した。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例2)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に替えて以下のようにして調製した天然ゴム粒子の水分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、バインダー組成物、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
<天然ゴム粒子の調製>
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を固形分濃度が10%になるまで希釈し、30日間静置した。その後、全体の15%の量の上澄みを除去し、体積平均粒子径が2.1μmの天然ゴム粒子を含有する水分散液を得た。
更に、天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を、遠心分離機(株式会社コクサン社製、製品名「H−2000B」)を用いて回転数10000rpmで30分間遠心分離した。その後、上澄みを採取し、採取した上澄みから天然ゴムラテックスに含有されていたタンパク質を抽出した。そして、上記で得られた体積平均粒子径2.1μmの天然ゴム粒子を含有する水分散液に対して抽出したタンパク質を添加し、天然ゴム粒子100部当たりのタンパク質の含有量を3.0×10
-3部に調整した。
【0079】
(実施例3)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に替えて体積平均粒子径が0.85μmの天然ゴム粒子を含有する天然ゴムラテックス(住友ゴム株式会社製、製品名「SELATEX1101、固形分濃度60%」)を使用した以外は実施例1と同様にして、バインダー組成物、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例4)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に替えて以下のようにして調製した天然ゴム粒子の水分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、バインダー組成物、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
<天然ゴム粒子の調製>
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を、遠心分離機(株式会社コクサン社製、製品名「H−2000B」)を用いて回転数10000rpmで30分間遠心分離した。その後、上澄みを採取し、採取した上澄みから天然ゴムラテックスに含有されていたタンパク質を抽出した。そして、タンパク質の抽出操作を行っていない天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に対して抽出したタンパク質を添加し、天然ゴム粒子100部当たりのタンパク質の含有量を4.8×10
-3部に調整した。
【0081】
(実施例5)
粒子状重合体の調製時に、1,3−ブタジエンの量を60部に変更し、スチレンの量を35部に変更した以外は実施例1と同様にして、バインダー組成物、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
(実施例6〜7)
バインダー組成物の調製時に、天然ゴムラテックスと水分散液との混合比率を、それぞれ、天然ゴム粒子:粒子状重合体=55:45(実施例6)、天然ゴム粒子:粒子状重合体=90:10(実施例7)になるように変更した以外は実施例1と同様にして、バインダー組成物、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例8)
粒子状重合体を調製することなく、天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)をそのままバインダー組成物として使用した以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0084】
(比較例1)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に替えて体積平均粒子径が0.9μmの天然ゴム粒子を含有する天然ゴムラテックス(住友ゴム株式会社製、製品名「SELATEX5101」、固形分濃度60%)を使用し、粒子状重合体を使用せずに天然ゴムラテックス(住友ゴム株式会社製、製品名「SELATEX5101」)をそのままバインダー組成物として使用した以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
(比較例2)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に替えて以下のようにして調製した天然ゴム粒子の水分散液を使用し、粒子状重合体を使用せずに天然ゴム粒子の水分散液をそのままバインダー組成物として使用した以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
<天然ゴム粒子の調製>
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を、遠心分離機(株式会社コクサン社製、製品名「H−2000B」)を用いて回転数10000rpmで30分間遠心分離した。その後、上澄みを採取し、採取した上澄みから天然ゴムラテックスに含有されていたタンパク質を抽出した。そして、タンパク質の抽出操作を行っていない天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に対して抽出したタンパク質を添加し、天然ゴム粒子100部当たりのタンパク質の含有量を8.0×10
-3部に調整した。
【0086】
(比較例3)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を使用せず、粒子状重合体の水分散液をそのままバインダー組成物として使用した以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0087】
(比較例4)
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)に替えて以下のようにして調製した天然ゴム粒子の水分散液を使用した以外は実施例1と同様にして、バインダー組成物、スラリー組成物、負極、正極、セパレータおよび二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
<天然ゴム粒子の調製>
天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を固形分濃度が10%になるまで希釈し、30日間静置した。その後、全体の20%の量の上澄みを除去し、体積平均粒子径が3.0μmの天然ゴム粒子を含有する水分散液を得た。
更に、天然ゴムラテックス(ムサシノケミカル社製、製品名「LAタイプ」)を、遠心分離機(株式会社コクサン社製、製品名「H−2000B」)を用いて回転数10000rpmで30分間遠心分離した。その後、上澄みを採取し、採取した上澄みから天然ゴムラテックスに含有されていたタンパク質を抽出した。そして、上記で得られた体積平均粒子径3.0μmの天然ゴム粒子を含有する水分散液に対して抽出したタンパク質を添加し、天然ゴム粒子100部当たりのタンパク質の含有量を3.0×10
-3部に調整した。
【0088】
なお、以下に示す表1中、
「BD」は、1,3−ブタジエン単位を示し、
「ST」は、スチレン単位を示し、
「IA」は、イタコン酸単位を示し、
「2−HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレート単位を示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1より、体積平均粒子径が2.5μm以下である天然ゴム粒子を含有し、且つ、タンパク質の含有量が天然ゴム粒子100質量部当たり4.0×10
-4質量部以上5.0×10
-3質量部以下であるバインダー組成物を使用した実施例1〜8では、タンパク質の含有量が上記範囲外であるバインダー組成物を使用した比較例1および2、天然ゴム粒子を含有しないバインダー組成物を使用した比較例3、並びに、天然ゴム粒子の体積平均粒子径が上記範囲外であるバインダー組成物を使用した比較例4よりもサイクル特性に優れる非水系二次電池が得られることが分かる。