【実施例】
【0112】
以下、合成例、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれらに
限定されない。
【0113】
下記合成例に示す重量平均分子量はGel Filtration Chromatography(以下、GFCと略称する)による測定結果である。測定条件等は次のとおりである。
・装置:Prominence(島津製作所製)
・GFCカラム:TSKgel GMPWXL (7.8mmI.D.×30cm)×2本
・流速:1.0 ml/min
・溶離液:イオン性水溶液
・カラム温度:40℃
・検出器:RI
・注入濃度:ポリマー固形分0.1質量%
・注入量:100 uL
・検量線:三次近似曲線
・標準試料:ポリエチレンオキサイド(Agilent社製)×10種
【0114】
<原料組成の測定方法>
リン含有化合物を含む原料の、各リン含有化合物の濃度(質量%)測定は、
31P−NMRにより行った。下記標準物質を用いて原料中に含まれる各リン含有化合物の絶対濃度(絶対質量%)を算出した。
【0115】
(測定条件)
・モード:逆ゲートデカップリングモード(定量モード)
・装置:varian 400 MHz
・溶媒:CD
3OD(重メタノール)(30重量%)
・回転数:0 Hz
・データポイント:64000
・フリップ角:90°
・待ち時間:70 s
・積算回数:16回,n=4,
・標準物質:トリメチルリン酸+D
2O (75%TMP溶液を調製)
【0116】
<合成例1>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(式(A−2)の化合物、製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(式(B−2)の化合物、東京化成工業(株)社製)4.12gと2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.24gを、純水446.34gとエタノール49.59gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素を吹き込み窒素置換後、100℃のオイルバス中で24時間重合反応させ固形分2質量%の共重合体含有ワニス506.05gを得た。
【0117】
<合成例2>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業(株)社製)4.12gと2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.24gを、純水490.87gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素を吹き込み窒素置換後、100℃のオイルバス中で24時間重合反応させ固形分3質量%の共重合体含有ワニス506.05gを得た。
【0118】
<合成例3>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業(株)社製)4.12gと2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.24gを、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、シグマアルドリッチ社製)490.87gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素置換を吹き込んだ後に、100℃のオイルバス中で24時間重合反応させ固形分3質量%の共重合体含有ワニス506.05gを得た。
【0119】
<合成例4>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)1.50gに純水0.3gを加え60℃で攪拌している中へメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業(株)製)1.03gを3時間かけて滴下し、その後70℃で12時間攪拌してハーフ塩水和物を調製した。上記ハーフ塩水和物をエバポレーターで60℃まで加熱しながら水を揮発させ、含水率が1%以下になったものをアシッドホスホオキシエチルメタクリレートのメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルハーフ塩とした(式(1)の化合物)。このハーフ塩に2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.03gを、純水73.63gとエタノール8.18gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素を吹き込み窒素置換後、100℃のオイルバス中で24時間重合反応させ固形分3質量%の共重合体含有ワニス84.34gを得た。
【0120】
<合成例5>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gに純水12.40gを加え十分に溶解し、さらにエタノール12.40g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル4.12g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.10gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水471.13g、エタノール37.20gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約2質量%の透明重合液506.05gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約810,000であった。
【0121】
<合成例6>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)10.00gに純水68.88gを加え十分に溶解し、さらにエタノール29.52g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル7.63g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.09gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水373.89g、エタノール29.52gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約3.5質量%の透明重合液509.60gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約280,000であった。
【0122】
<合成例7>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)12.00gに純水56.56gを加え十分に溶解し、さらにエタノール24.24g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル9.16g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.11gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水307.05g、エタノール16.16gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約5質量%の透明重合液425.28gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約610,000であった。
【0123】
<合成例8>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)14.00gに純水54.41gを加え十分に溶解し、さらにエタノール23.32g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル10.68g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)社製)0.12gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水295.38g、エタノール15.55gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約6質量%の透明重合液413.47gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約1,010,000であった。
【0124】
<合成例9>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)10.00gにメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル7.63g(東京化成工業(株)製)を加え室温にて、30℃以下になるまで約1時間撹拌した。そこにさらに純水59.24g、エタノール25.39g、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.09gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水321.61g、エタノール16.93gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%の透明重合液440.80gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約500,000であった。
【0125】
<合成例10>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)2.00gに純水51.32gを加え十分に溶解し、さらにエタノール21.99g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル1.53g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.18gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水278.59g、エタノール14.66gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約1質量%の透明重合液370.10gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約38,000であった。
【0126】
<合成例11>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gに純水50.93gを加え十分に溶解し、さらにエタノール21.83g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル9.16g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.08gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水276.49g、エタノール14.55gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%の透明重合液378.96gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約720,000であった。
【0127】
<合成例12>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)10.00gに純水64.03gを加え十分に溶解し、さらにエタノール27.44g、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル8.96g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.09gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水347.60g、エタノール18.29gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%の透明重合液476.33gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約290,000であった。
【0128】
<合成例13>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)7.00gに純水56.58gを加え十分に溶解し、さらにエタノール47.15g、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル12.55g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.10gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水367.75gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%のわずかに白濁した重合液491.02gを得た。得られた液体の濾過後のGFCにおける重量平均分子量は約300,000であった。
【0129】
<合成例14>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)9.00gに純水60.64gを加え十分に溶解し、さらにエタノール17.33g、メタクロイルコリンクロリド80%水溶液(東京化成工業(株)製)11.31g、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.10gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水326.94g、エタノール17.33gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%の透明重合液453.48gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約130,000であった。
【0130】
<合成例15>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)10.00gに純水56.95gを加え十分に溶解し、さらにエタノール24.41g、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル6.95g(式(B−1)の化合物、東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)社製)0.0848gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水56.95g、エタノール16.27gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートをセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%の透明重合液423.77gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約150,000であった。
【0131】
<合成例16>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ライトエステルP−1M、共栄社化学(株)製、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(42.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](16.9質量%)、その他の物質(40.9質量%)の混合物)10.00gに純水59.89gを加え十分に溶解し、さらにエタノール25.67g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル7.83g(東京化成工業(株)社製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.09gを20℃以下に保ちながら、ライトエステルP−1Mの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水325.13g、エタノール17.11gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約4質量%の透明重合液445.63gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約410,000であった。
【0132】
<合成例17>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)10.00gに純水47.84gを加え十分に溶解し、さらにエタノール15.95g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル7.63g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.09gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水95.69gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、1時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約10質量%の透明重合液177.11gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約582,000であった。
【0133】
<合成例18>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)5.00gに純水25.39gを加え十分に溶解し、さらにエタノール10.88g、メタクリル酸2−((t−ブチルアミノ)エチル4.50g(Sigma-Aldrich(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.05gを20℃以下に保ちながら、ホスマーMの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水137.82g、エタノール7.25gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約5質量%の透明重合液190.84gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約225,000であった。
【0134】
<合成例19>
アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタアクリレート(製品名;ホスマーPE、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:94.9%)5.00gに純水19.54gを加え十分に溶解し、さらにエタノール8.37g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル2.31g(東京化成工業(株)社製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.04gを20℃以下に保ちながら、ホスマーPEの水溶液に順に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水106.05g、エタノール5.58gを冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約5質量%の透明重合液146.84gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約146,000であった。
【0135】
<合成例20>
2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.12gを純水43.73gに20℃以下に保ちながら加え、十分に攪拌して均一となったVA−057水溶液を滴下ロートに導入した。一方で、別途ビニルホスホン酸10.00g(式(A−1)の化合物、東京化成工業(株)社製)に純水174.92gを加え十分に溶解し、さらにメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル14.17g(東京化成工業(株)製)を加えて十分に攪拌して溶解した。この混合液を冷却管付きの3つ口フラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながら60℃まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記VA−057水溶液を導入した滴下ロートをセットし、0.5時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、24時間上記環境を維持した状態で加熱撹拌することで固形分約10質量%の透明重合液242.83gを得た。得られた透明液体のGFCにおける重量平均分子量は約535,000であった。
【0136】
<比較合成例1>
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(東京化成工業(株)製)2.00gと2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.02gを、純水58.20gとエタノール6.47gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素置換を吹き込んだ後に、100℃のオイルバスを中で24時間重合反応させ固形分3質量%の共重合体含有ワニス506.05gを得た。
【0137】
<比較合成例2>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(式(A−2)の化合物、製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)6.00gとメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(式(B−2)の化合物、東京化成工業(株)社製)4.12gと2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.24gを、純水173.07gとエタノール19.23gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素置換を吹き込んだ後に、100℃のオイルバスを中で24時間重合反応させ固形分5質量%の共重合体含有ワニスを期待したが、得られたものは白濁し固体がフラスコの淵についたゲル状の溶液であった。
【0138】
<比較合成例3>
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)1.50gに純水0.3gを加え60℃で攪拌している中へメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成工業(株)製)1.03gを3時間かけて滴下し、その後70℃で12時間攪拌してハーフ塩水和物を調製した。上記ハーフ塩水和物をエバポレーターで60℃まで加熱しながら水を揮発させ、含水率が1%以下になったものをアシッドホスホオキシエチルメタクリレートのメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルハーフ塩とした(式(1)の化合物)。このハーフ塩2.53gに2,2’−アゾ(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(製品名;VA−086、和光純薬工業(株)製)0.03gを、純水43.27gとエタノール4.81gに溶解してナスフラスコに入れ、窒素を吹き込み窒素置換後、100℃のオイルバス中で24時間重合反応させ固形分5質量%の共重合体含有ワニスを期待したが、得られたものは白濁し固体がフラスコの淵についたゲル状の溶液であった。
【0139】
<比較合成例4>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)10.00gに純水38.98gを加え十分に溶解し、さらにエタノール12.99g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル7.63g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)製)0.09gを20℃以下に保ちながら順にホスマーMの水溶液に加えた。十分に攪拌して均一となった上記全てのものが入った混合液を、滴下ロートに導入した。一方で、別途純水77.97gを冷却管付きの3つ口フラスコに加えて窒素フローし、撹拌しながらリフラックス温度まで昇温した。この状態を維持しつつ、上記混合液を導入した滴下ロートを3つ口フラスコにセットし、1時間かけて混合液を純水とエタノールの沸騰液内に滴下した。滴下後、環境を維持した状態で加熱撹拌すると10分でゲル化した固体となった。
【0140】
<比較合成例5>
アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート(製品名;ホスマーM、ユニケミカル(株)製、乾固法100℃・1時間における不揮発分:91.8%、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート(44.2質量%)、リン酸ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル](28.6質量%)、その他の物質(27.2質量%)の混合物)5.00gに純水151.51gを加え十分に溶解し、さらにエタノール16.83g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル3.82g(東京化成工業(株)製)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](製品名;VA−057、和光純薬工業(株)社製)0.04gを20℃以下に保ちながら加えて攪拌し、均一に混合させた。この混合液を冷却管付きのフラスコに入れ、これを窒素フローし、撹拌しながら0.5時間かけてリフラックス温度まで昇温するとリフラックス後10分でゲル化した固体となった。
【0141】
(合成例1で得た共重合体含有ワニスを用いたコーティング膜形成用組成物(A)の調製)
上記合成例1で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水0.90g、エタノール0.10gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物(A)を調製した。
【0142】
(シリコンウェハの準備)
半導体評価用の市販のシリコンウエハをそのまま用いた。
【0143】
(血小板付着実験用ガラス基板(G)の準備)
ガラス基板(TEMPAX Float〔登録商標〕φ=12mm)をUV/オゾン洗浄装置(UV253E、フィルジェン株式会社製)で10分間洗浄し表面を清浄化しガラス基板(G)を得た。
【0144】
<実施例1>
上記コーティング膜形成用組成物(A)をシリコンウェハ又は上記ガラス基板(G)にスピン塗布し、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水でさらに十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ25Åであった。
【0145】
<実施例2>
上記合成例2で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水2.00gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。得られたコーティング膜形成用組成物を用い、実施例1と同様の方法にてコーティング膜が形成されたシリコンウェハ又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ21Åであった。
【0146】
<実施例3>
上記合成例3で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、PBS2.00gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。得られた膜形成用組成物を用い、実施例1と同様の方法にてコーティング膜が形成されたシリコンウェハ又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ12Åであった。
【0147】
<実施例4>
上記コーティング膜形成用組成物(A)にシリコンウェハ又は上記ガラス基板(G)を24時間ディップし過剰の組成物をAirブラシで除去後、乾燥工程として45℃のオーブンで12時間ベークした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水で十分に洗浄して、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ21Åであった。
【0148】
<実施例5>
上記コーティング膜形成用組成物(A)にシリコンウェハ又は上記ガラス基板(G)を24時間ディップし過剰分をAirブラシで除去後、乾燥工程として室温25℃/湿度40%の環境下で24時間放置した。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水で十分に洗浄して、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ22Åであった。
【0149】
<実施例6>
ホットプレートにて乾燥温度150℃、乾燥時間0.5時間に変えた以外は実施例1と同様の方法にてコーティング膜が形成されたシリコンウェハ又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ62Åであった。
【0150】
<実施例7>
実施例1の上記ガラス基板(G)を下記のポリスチレン(PS)基板に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてシリコンウェハ又はPS基板に形成されたコーティング膜を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ25Åであった。
【0151】
(PS基板の作製)
ポリスチレン(平均分子量35,000)(Aldrich社製)0.01gをトルエン0.99gに溶解して透明になるまで攪拌してPS溶液を調製した。上記PS溶液を上記ガラス基板(G)にスピン塗布し、150℃のホットプレートで5分間ベークしたものをPS基板とした。
【0152】
<実施例8>
実施例1の上記ガラス基板(G)を下記のポリエーテルスルホン(PES)基板に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてシリコンウェハ又はPES基板に形成されたコーティング膜を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ25Åであった。
【0153】
(PES基板の作製)
ポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)(Aldrich社製)0.01gを1,1,2,2−テトラクロロエタン(東京化成工業(株)製)0.99gに溶解して透明になるまで攪拌してPES溶液を調製した。上記PES溶液を上記ガラス基板(G)にスピン塗布し、200℃のホットプレートで5分間ベークしたものをPES基板とした。
【0154】
(PESフィルム)
バーコート法により作成された、市販のポリエーテルスルホン(PES)のフィルム(約0.1mm)を約1cm角にカットしたものをPESフィルムとした。
【0155】
(ポリエチレン(PE)樹脂基板、ポリプロピレン(PP)樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂基板及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂基板)
カットプラドットコム(http://www.cutpla.com/ )から購入した各種基板を用いた。
【0156】
<実施例9>
SiO
2蒸着された水晶振動子(Q−Sense,QSX304)を、UV/オゾン洗浄装置(UV253E、フィルジェン株式会社製)を用いて10分間洗浄した。上記コーティング膜形成用組成物(A)をスピン塗布し、乾燥工程として45℃のオーブンで12時間ベークした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、さらにPBSと純水で十分に洗浄し、表面処理済みQCMセンサー(SiO
2)を得た。
【0157】
<実施例10>
上記コーティング膜形成用組成物(A)を、シリコンウェハ3枚に各々スピン塗布し、ホットプレートにて50℃にて各々10分、12時間、24時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水でさらに十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ乾燥時間10分では22Å、乾燥時間12時間では21Å、乾燥時間24時間では36Åであった。
【0158】
<実施例11>
上記コーティング膜形成用組成物(A)を、シリコンウェハ2枚に各々スピン塗布し、ホットプレートにて100℃にて各々10分、12時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水でさらに十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ乾燥時間10分では30Å、乾燥時間12時間では89Åであった。
【0159】
<実施例12>
上記コーティング膜形成用組成物(A)を、シリコンウェハにスピン塗布し、ホットプレートにて200℃にて10分乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水でさらに十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ145Åであった。
【0160】
<実施例13>
上記コーティング膜形成用組成物(A)を、上記PES基板2枚に各々スピン塗布し、ホットプレートにて50℃にて各々12時間、24時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物を純水中で5分間超音波洗浄し、PBSと純水でさらに十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたPES基板を得た。上記PES基板にて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ乾燥時間12時間では29Å、乾燥時間24時間では29Åであった。
【0161】
(QCMセンサー(PES)の作成)
Au蒸着された水晶振動子(Q−Sense,QSX304)を、UV/オゾン洗浄装置(UV253E、フィルジェン株式会社製)を用いて10分間洗浄し、直後に1−デカンチオンール(東京化成工業(株)製)0.1012gをエタノール100mlに溶解した溶液中に24時間浸漬した。エタノールでセンサー表面を洗浄後自然乾燥し、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)(Aldrich社製)1.00gを1,1,2,2−テトラクロロエタン99.00gに溶解したワニスをスピンコーターにて3500rpm/30secで膜センサー側にスピンコートし、205℃/1min乾燥することでQCMセンサー(PES)とした。
【0162】
<実施例14>
上記合成例5で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水5.10g、エタノール0.57gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。得られたコーティング膜形成用組成物中に、上記PESフィルム、シリコンウェハ又は上記ガラス基板(G)をディップし、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、PESフィルム又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ65Åであった。また、上記コーティング膜形成用組成物を3500rpm/30secでQCMセンサー(PES)にスピンコートし、乾燥工程として45℃のオーブンで12時間ベークした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物をPBSと超純水にて各2回ずつ洗浄し、表面処理済みQCMセンサー(PES)とした。
【0163】
<実施例15>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水7.27g、エタノール3.39gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、PESフィルム、ポリエチレン(PE)樹脂基板、ポリプロピレン(PP)樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂基板、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂基板、又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ44Åであった。
【0164】
<実施例16>
上記合成例7で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水10.78g、エタノール4.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ59Åであった。
【0165】
<実施例17>
上記合成例8で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水13.11g、エタノール5.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ62Åであった。
【0166】
<実施例18>
上記合成例9で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水8.44g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ55Åであった。
【0167】
<実施例19>
上記合成例10で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水14.35g、エタノール0.90gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ13Åであった。
【0168】
<実施例20>
上記合成例11で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水11.10g、エタノール1.23gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、PESフィルム、又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ68Åであった。
【0169】
<実施例21>
上記合成例12で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水8.44g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ49Åであった。
【0170】
<実施例22>
上記合成例13で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水8.44g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、PESフィルム又はガラス基板を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ49Åであった。
【0171】
<実施例23>
上記合成例14で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水8.44g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ50Åであった。
【0172】
<実施例24>
上記合成例15で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水8.44g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ22Åであった。
【0173】
<実施例25>
上記合成例16で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水8.44g、エタノール3.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ22Åであった。
【0174】
<実施例26>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水4.85g、エタノール5.72g、1mol/Lアンモニア水0.095gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ39Åであった。
【0175】
<実施例27>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水4.95g、エタノール5.72g、ジエタノールアミン0.02g(東京化成工業(株)社製)を加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、PESフィルム、又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ45Åであった。
【0176】
<実施例28>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水0.06g、エタノール10.60g、ジエタノールアミン0.20g(東京化成工業(株)社製)を加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、PESフィルム、又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ68Åであった。
【0177】
<実施例29>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水0.02g、エタノール10.60g、コリン(48−50%水溶液)(東京化成工業(株)製)0.07gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、PESフィルム、又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ122Åであった。
【0178】
<実施例30>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水4.99g、エタノール5.74g、水酸化ナトリウム0.05gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ38Åであった。
【0179】
<実施例31>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水4.01g、エタノール5.72g、1mol/Lアンモニア水0.95gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、PESフィルム、又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ40Åであった。
【0180】
<実施例32>
上記合成例6で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、PBS7.27g、エタノール3.39gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ55Åであった。
【0181】
<実施例33>
上記合成例17で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水22.45g、エタノール9.88gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ79Åであった。
【0182】
<実施例34>
上記合成例18で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水10.78g、エタノール4.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ28Åであった。
【0183】
<実施例35>
上記合成例19で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水10.78g、エタノール4.89gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ82Åであった。
【0184】
<実施例36>
上記合成例20で得られた共重合体含有ワニス1.00gに、純水22.45g、エタノール9.88gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。実施例14と同様の方法にて、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板、又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ11Åであった。
【0185】
<比較例1>
上記比較合成例1で得られた重合液1.00gに、純水1.80g、エタノール0.20gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。得られたコーティング膜形成用組成物を実施例1と同様の方法で処理したガラス基板又はシリコンウェハを得た。左記シリコンウェハを、光学式干渉膜厚計で膜厚を確認したところコーティング膜が製膜できていなかった(膜厚0Å)。
【0186】
<比較例2>
上記コーティング膜形成用組成物(A)を用い、乾燥工程を行なわない以外は実施例4と同様の方法で処理したシリコンウェハ又はガラス基板を得た。左記シリコンウェハを、光学式干渉膜厚計で膜厚を確認したところコーティング膜が製膜できていなかった(膜厚0Å)。
【0187】
<比較例3>
乾燥温度205℃、乾燥時間12時間以外は実施例1と同様の方法でシリコンウェハ又はガラス基板に形成されたコーティング膜を得た。光学式干渉膜厚計でコーティング膜の膜厚を確認したところ78Åであった。
【0188】
<比較例4>
コーティング膜形成用組成物を使用しない以外は実施例1と同じ方法にて処理を行い、ガラス基板を得た。
【0189】
<比較例5>
コーティング膜形成用組成物を使用しない以外は実施例7と同じ方法の処理を行ない、PS基板を得た。
【0190】
<比較例6>
コーティング膜形成用組成物を使用しない以外は実施例8と同じ方法の処理を行ない、PES基板を得た。
【0191】
<比較例7>
乾燥工程を行なわない以外は実施例9と同じ方法で表面処理済みQCMセンサーを得た。
【0192】
<比較例8>
コーティング膜形成用組成物を成膜しない以外は実施例9と同じ方法で表面処理済みQCMセンサーを得た。
【0193】
<比較例9>
PESフィルム、ポリエチレン(PE)樹脂基板、ポリプロピレン(PP)樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂基板、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂基板、又は上記QCMセンサー(PES)を、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。その後、PBSと純水でさらに十分に洗浄を行って、PESフィルム、ポリエチレン(PE)樹脂基板、ポリプロピレン(PP)樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂基板、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂基板又は表面処理済みQCMセンサー(PES)を得た。
【0194】
<比較例10>
上記比較合成例1で得られた重合液1.00gに、純水1.80g、エタノール0.20gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。得られたコーティング膜形成用組成物中に、上記PESフィルム、シリコンウェハ又は上記ガラス基板(G)をディップし、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計で膜厚を確認したところコーティング膜が製膜できていなかった(膜厚0Å)。
また、上記コーティング膜形成用組成物を3500rpm/30secでQCMセンサー(PES)にスピンコートし、乾燥工程として45℃のオーブンで12時間ベークした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物をPBSと超純水にて各2回ずつ洗浄し、表面処理済みQCMセンサー(PES)とした。
【0195】
<比較例11>
ポリビニルピロリドン(K90)1.00g(東京化成工業(株)社製)に、純水59.40g、エタノール39.60gを加えて十分に攪拌し、コーティング膜形成用組成物を調製した。得られたコーティング膜形成用組成物中に、上記PESフィルム、シリコンウェハ又は上記ガラス基板(G)をディップし、オーブンにて45℃、12時間乾燥させた。その後、コーティング膜上に付着している未硬化の膜形成用組成物をPBSと純水で十分に洗浄を行って、コーティング膜が形成されたシリコンウェハ、ガラス基板又はPESフィルムを得た。上記シリコンウェハを用いて光学式干渉膜厚計で膜厚を確認したところコーティング膜が製膜できていなかった(膜厚22Å)。
また、上記コーティング膜形成用組成物を3500rpm/30secでQCMセンサー(PES)にスピンコートし、乾燥工程として45℃のオーブンで12時間ベークした。その後、洗浄工程として過剰についた未硬化のコーティング膜形成用組成物をPBSと超純水にて各2回ずつ洗浄し、表面処理済みQCMセンサー(PES)とした。
【0196】
[血小板付着実験]
(血小板溶液の調製)
3.8質量%クエン酸ナトリウム溶液0.5mLに対して、健康なボランティアより採血した血液4.5mLを混和した後、遠心分離にて[冷却遠心機5900((株)久保田製作所製)、1000rpm/10分、室温]上層の多血小板血漿(PRP)を回収した。引き続き、下層について遠心分離を行い(上記遠心機、3500rpm/10分、室温)、上層の乏血小板血漿(PPP)を回収した。多項目自動赤血球分析装置(XT−2000i、シスメックス(株)製)にてPRPの血小板数を計測後、PPPを用いてPRPの血小板濃度が30×10
4cells/μLになるように調製した。
【0197】
(血小板付着実験)
実施例1乃至8、実施例14乃至23、実施例25乃至35、比較例1乃至6、比較例9及び比較例10のガラス基板、PS基板、PES基板、PP樹脂基板、PET樹脂基板、PTFE樹脂基板又はPESフィルムを24穴平底マイクロプレート(コーニング社製)に配置した。これらの基板を配置したプレートのウェル内に、上記血小板濃度に調製したPRP溶液300μLを添加した。5%二酸化炭素濃度を保った状態で、37℃で24時間、CO
2インキュベーター内にて静置した。所定の静置時間が経過した後、プレート内のPRPを除き、PBS3mLにて5回洗浄した。その後、2.5体積%グルタルアルデヒドのPBS溶液2mLを添加し、4℃で一昼夜静置後、グルタルアルデヒドのPBS溶液を除き、超純水(Milli−Q水)3mLで5回洗浄した。さらに、70%エタノール水(v/v)1mLで3回洗浄し、風乾した。
【0198】
[血小板付着数の計測]
上記血小板付着実験を行った実施例1乃至8、実施例14乃至23、実施例25乃至38、比較例1乃至6、比較例9及び比較例10のガラス基板、PS基板、PES基板、PP樹脂基板、PET樹脂基板、PTFE樹脂基板又はPESフィルムに、イオンスパッター(E−1030、(株)日立ハイテクノロジーズ製)にてPt−Pdを1分間蒸着した。その後、電子顕微鏡(S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製)にて血小板の付着を1,000倍で観察した。電子顕微鏡にてガラス基板の中心部から半径2mm以内5箇所の血小板付着数を計測した。各箇所の計測値を平均することで血小板付着数とした。その結果を下記表1〜4に示す。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
[タンパク質付着試験;QCM−D測定]
実施例9、比較例7及び比較例8によって表面処理されたQCMセンサーを散逸型水晶振動子マイクロバランスQCM−D(E4、Q−Sense社製)に取り付け、周波数の変化が1時間で1Hz以下となる安定したベースラインを確立するまでPBSを流した。次に、安定したベースラインの周波数を0Hzとして約10分間PBSを流した。引き続き、ヒト血清(Aldrich社製)をPBSで10%に希釈した溶液を約30分流し、その後再びPBSを約20分流した後の11次オーバートーンの吸着誘起周波数のシフト(Δf)を読み取った。その測定値を表5に示す。実施例9ではシフト値が0に近く、ヒト血清が吸着しなかったが、比較例7及び比較例8では実施例9と比較してヒト血清成分が吸着したことが示された。
【0204】
【表5】
【0205】
[タンパク質付着試験;QCM−D測定(2)]
実施例14、15、20、27〜29、31、比較例9及び比較例11によって表面処理されたPESセンサーを散逸型水晶振動子マイクロバランスQCM−D(E4、Q−Sense社製)に取り付け、周波数の変化が1時間で1Hz以下となる安定したベースラインを確立するまでPBSを流した。次に、安定したベースラインの周波数を0Hzとして約10分間PBSを流した。引き続き、フィブリノゲン、ヒト血漿由来(和光純薬工業(株)社製)又はフィブロネクチン、ヒト血漿由来(シグマ・アルドリッチ社製)をPBSで100μg/mlに希釈した溶液を約30分流し、その後再びPBSを約20分流した後の11次オーバートーンの吸着誘起周波数のシフト(Δf)を読み取った。分析のためにQ−Tools(Q−Sense社製)を使用して、吸着誘起周波数のシフト(Δf)を、Sauerbrey式で説明される吸着誘起周波数のシフト(Δf)を単位面積当たりの質量(ng/cm
2)と換算したものを生体物質の付着量として表6に示す。比較例と比較し、実施例は1桁多い各種タンパク質吸着量を示した。
【0206】
【表6】
【0207】
[液中接触角測定]
PBS中におけるCH
2I
2(ジヨードメタン)の液中接触角を測定した。測定結果を表7に示す。
【0208】
【表7】
【0209】
未コーティングのシリコンウェハ、PES基板につき、実施例10乃至実施例13と同条件にて液中接触角を測定すると、シリコンウェハ;144度、PES基板(PES膜厚300Å);60度であった。
【0210】
以上の結果から、液中表面接触角測定法において、PBS中におけるCH
2I
2のコーティング膜に対する接触角は137度乃至151度、より好ましくは139度乃至149度である。
【0211】
[動的光散乱法による粒径測定]
実施例14、15、16、18、19、20、21、26、30、33及び35の各コーティング膜形成用組成物中のゾル粒子径の測定は、動的光散乱光度計(DLS、大塚電子社製、製品名:DLS−8000DLTKY)を用いて測定した。
【0212】
【表8】