(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482021
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】発電設備
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20190304BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20190304BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20190304BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20190304BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20190304BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
F23R3/28 A
F02C3/22
F23R3/28 F
F02C3/30 Z
F02C7/22 D
C01B3/04 B
H02J3/38 130
H02J3/38 160
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-65102(P2015-65102)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183840(P2016-183840A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 武治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 毅
【審査官】
高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−257123(JP,A)
【文献】
特開2005−151746(JP,A)
【文献】
特開2013−257125(JP,A)
【文献】
特開2012−255420(JP,A)
【文献】
特開昭58−124107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/04
F02C 3/22
F02C 3/30
F02C 7/22
F23R 3/28
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料が投入される燃焼手段と、
前記燃焼手段により得られるエネルギーにより発電を行う発電手段と、
前記発電手段で発電された電力が送られる電力系統と、
前記電力系統に接続され、前記発電手段からの電力と共に要求負荷が賄われる再生可能エネルギー発電設備と、
前記燃焼手段にアンモニアを投入するアンモニア投入手段と、
前記再生可能エネルギー発電設備の出力の変動に応じて、前記要求負荷に対する発電出力が不足したときに前記アンモニアを投入して前記発電手段の出力を増加させ、前記要求負荷を賄うように、前記アンモニア投入手段による前記アンモニアの投入を制御するアンモニア調整手段とを備えた
ことを特徴とする発電設備。
【請求項2】
請求項1に記載の発電設備において、
系内の熱源を用いて、前記アンモニア投入手段から投入される前記アンモニアから水素を得る水素発生手段と、
前記水素発生手段で発生した水素を前記燃焼手段に供給する水素供給手段とを備えた
ことを特徴とする発電設備。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の発電設備において、
前記燃焼手段は、炉内で燃料が燃焼されることで蒸気を発生させるボイラであり、
前記発電手段は、前記ボイラで発生した蒸気を膨張して発電動力を得る蒸気タービンである
ことを特徴とする発電設備。
【請求項4】
請求項1もしくは請求項2に記載の発電設備において、
前記燃焼手段は、燃料が投入されて燃焼ガスを得る燃焼器であり、
前記発電手段は、前記燃焼器で得られた燃焼ガスを膨張して発電動力を得るガスタービンである
ことを特徴とする発電設備。
【請求項5】
請求項3もしくは請求項4に記載の発電設備において、
前記燃焼手段の排気ガスの脱硝を行う脱硝手段を備え、
前記アンモニア投入手段は、前記脱硝手段に供給されるアンモニアを前記燃焼手段に投入する手段である
ことを特徴とする発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギーを用いた再生エネルギー発電設備が併用された発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料を使用しない再生可能エネルギーを用いた再生エネルギー発電設備が導入されつつある。再生可能エネルギー発電設備は、自然環境により出力が大きく変化するため、電力需要に対応するためには、火力発電設備を同時に用い、火力発電設備での出力を追従させる必要がある。自然環境の変化により再生可能エネルギー発電設備の出力が変化(低下)した場合、需用電力を賄うために、火力発電設備の出力を短時間で変化(増加)させる必要がある。
【0003】
このような状況から、系統の急激な負荷変化に対して、迅速に対応できる蒸気発電プラントが提案されている(特許文献1)。特許文献1に開示された技術は、ボイラで発生した蒸気をアキュムレータに貯蔵し、通常時にはアキュムレータからの蒸気により非常用蒸気タービンを無負荷もしくは低負荷で運転を行い、緊急に発電が必要になった時にはアキュムレータからの蒸気により全負荷の運転に移行するようにした技術である。
【0004】
特許文献1の技術を適用することにより、系統の出力を短時間で上昇させることができ、再生可能エネルギー発電設備の出力が変化(低下)した場合でも、電力需要に追従させることができる。
【0005】
しかし、系統(火力発電設備)を低い出力で運転するためには、天然ガス等の燃料を用いてボイラで蒸気を発生させ、低圧蒸気タービンを駆動する必要がある。このため、蒸気発生のための燃料が必要になり、火力発電設備の効率(燃費)が低下する問題があると共に、環境条件を守ることができない虞がある。
【0006】
再生可能エネルギー発電設備と火力発電設備を同時に用いた設備では、通常時に、再生可能エネルギー発電設備及び火力発電設備を併用し、電力需要に対する電力を賄う設備もある。このような場合、再生可能エネルギー発電設備の出力が変化(低下)した場合、運転中の火力発電設備の出力を迅速に対応させる必要がある。
【0007】
しかし、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し、運転中の火力発電設備の出力を細かく追従させるためには、微粉炭等の燃料の供給を細かく制御する必要がある。しかし、微粉炭等の燃料の供給を細かく制御するためには、燃料供給手段が大掛りになる等の問題があり、実現は困難であるのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−232608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、再生可能エネルギー発電設備と火力発電設備を同時に用いた発電設備において、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し、運転中の火力発電設備の出力を細かく追従させることができる発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の発電設備は、燃料が投入される燃焼手段と、前記燃焼手段により得られるエネルギーにより発電を行う発電手段と、前記発電手段で発電された電力が送られる電力系統と、前記電力系統に接続され
、前記発電手段からの電力と共に要求負荷が賄われる再生可能エネルギー発電設備と、前記燃焼手段にアンモニアを投入するアンモニア投入手段と、前記再生可能エネルギー発電設備の出力の変動に応じて
、前記要求負荷に対する発電出力が不足したときに前記アンモニアを投入して前記発電手段の出力を増加させ、前記要求負荷を賄うように、前記アンモニア投入手段による前記アンモニアの投入を制御するアンモニア調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る本発明では、再生可能エネルギー発電設備の出力が変化した時に、アンモニア調整手段により、アンモニア投入手段からのアンモニアの燃焼手段への投入を制御し、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し発電手段の出力を追従させる。これにより、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し、燃焼手段に投入される主燃料の供給に影響を与えずに、運転中の発電手段(火力発電設備)の出力を細かく追従させることができる。
【0012】
そして、請求項2に係る本発明の発電設備は、請求項1に記載の発電設備において、系内の熱源を用いて、前記アンモニア投入手段から投入される前記アンモニアから水素を得る水素発生手段と、前記水素発生手段で発生した水素を前記燃焼手段に供給する水素供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る本発明では、水素発生手段により、系内の熱源を用いてアンモニアから水素を得て、水素供給手段により水素を燃焼手段に供給するので、外部のエネルギーを用いることなく燃焼手段で窒素酸化物を還元することができる。
【0014】
また、請求項3に係る本発明の発電設備は、請求項1もしくは請求項2に記載の発電設備において、前記燃焼手段は、炉内で燃料が燃焼されることで蒸気を発生させるボイラであり、前記発電手段は、前記ボイラで発生した蒸気を膨張して発電動力を得る蒸気タービンであることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る本発明では、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し、ボイラで発生した蒸気により蒸気タービンを駆動して発電を行う火力発電設備の出力を細かく追従させることができる。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の発電設備は、請求項1もしくは請求項2に記載の発電設備において、前記燃焼手段は、燃料が投入されて燃焼ガスを得る燃焼器であり、前記発電手段は、前記燃焼器で得られた燃焼ガスを膨張して発電動力を得るガスタービンであることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し、燃焼器で得られた燃焼ガスによりガスタービンを駆動して発電を行う火力発電設備の出力を細かく追従させることができる。
【0018】
また、請求項5に係る本発明の発電設備は、請求項3もしくは請求項4に記載の発電設備において、前記燃焼手段の排気ガスの脱硝を行う脱硝手段を備え、前記アンモニア投入手段は、前記脱硝手段に供給されるアンモニアを前記燃焼手段に投入する手段であることを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る本発明では、系の内部に備えられた脱硝手段に用いられるアンモニアを燃焼手段に投入することができ、別途、アンモニアを供給するための設備を必要としない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の発電設備は、再生可能エネルギー発電設備と火力発電設備を同時に用いた発電設備において、再生可能エネルギー発電設備の出力の変化に対し、運転中の火力発電設備の出力を細かく追従させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例に係る発電設備の概略系統図である。
【
図2】蒸気タービンを備えた火力発電設備の概略系統図である。
【
図3】ガスタービンを備えた火力発電設備の概略系統図である。
【
図4】ガスタービンを備えた火力発電設備の概略系統図である。
【
図5】電力の要求出力の経時変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には本発明の一実施例に係る発電設備の全体の構成を説明する概略系統、
図2には蒸気タービンを備えた火力発電設備の概略系統、
図3にはガスタービンを備えた火力発電設備の概略系統、
図4には他の実施例に係る火力発電設備の概略系統図、
図5には要求出力における電力供給分布を説明するグラフを示してある。
【0023】
図1に示すように、発電設備1は、石炭を燃料とする燃焼手段としてのボイラ2が備えられ、ボイラ2により生成された蒸気を駆動源とする蒸気タービン3が備えられている。蒸気タービン3により発電機4が駆動され、電力が得られるようになっている(発電手段)。発電機4で発電された電力は電力系統9に送られる。電力系統9からは外部の負荷10に電力が供給される。
【0024】
また、発電設備11は、例えば、石炭ガス化ガスを燃料とする燃焼手段としての燃焼器12が備えられ、燃焼器12で生成された燃焼ガスを駆動源とするタービン13を備えたタービン設備14が備えられている。タービン13により発電機15が駆動され、電力が得られるようになっている(発電手段)。発電機15で発電された電力は電力系統9に送られる。
【0025】
一方、電力系統9には、再生可能エネルギー発電設備20からの電力が供給される。再生可能エネルギー発電設備20は、例えば、複数の太陽光発電手段21、複数の風力発電手段22が適用される。尚、再生可能エネルギー発電設備20の発電手段としては、水力、地熱、潮流、バイオマス燃料等、化石燃料を使用しない発電設備が適用される。
【0026】
発電設備1、11と再生可能エネルギー発電設備20は、多数の設備が並列して運用される。例えば、電力の要求出力により、再生可能エネルギー発電設備20による電力、及び、発電設備1、11の電力が電力系統9に供給されて負荷10の電力(要求出力)が賄われる。再生可能エネルギー発電設備20は、自然環境により出力が大きく変化するため、安定した電力需要(要求出力)に対応する必要がある。
【0027】
このため、再生可能エネルギー発電設備20の出力が低下した場合、電力系統9の要求出力を賄うために、ボイラ2、燃焼器12にアンモニアが投入され(アンモニア投入手段)、蒸気タービン3、タービン13の出力(発電手段の出力)を上げて、再生可能エネルギー発電設備20の出力の低下に追従させる。つまり、再生可能エネルギー発電設備20の出力の低下に応じて、アンモニアの投入を制御し(アンモニア調整手段)、蒸気タービン3、タービン13の出力(発電手段の出力)を上昇させる。
【0028】
これにより、再生可能エネルギー発電設備20の出力の変化に対し、ボイラ2、燃焼器12に投入される主燃料の供給に影響を与えずに、運転中の発電設備1、11(火力発電設備)の出力を細かく追従させることができ、負荷10の要求出力を維持することができる。
【0029】
図2に基づいて、発電設備1を具体的に説明する。
【0030】
図2に示すように、ボイラ2には燃料として石炭(微粉炭)が投入され、石炭の燃焼により蒸気が生成される。ボイラ2で発生した蒸気が蒸気タービン3に導入されて駆動力が得られる。蒸気タービン3が駆動することにより、発電機4で発電出力が得られる。蒸気タービン3の排気蒸気は復水器5で凝縮されて復水され、復水器5からの復水はボイラ2に給水される。
【0031】
ボイラ2の排気ガスは、脱硝装置31(脱硝手段)でNO
xが除去された後、煙突から大気に放出される。脱硝装置31にはアンモニア供給装置32からアンモニアが供給され、排ガス中にアンモニアが投入されてNO
xが浄化される。アンモニア供給装置32からは、燃料としてアンモニアをボイラ2に供給できるようになっている(アンモニア投入手段)。
【0032】
アンモニア供給装置32からは、アンモニア調整装置33の指令により、アンモニアが燃料としてボイラ2に供給される。つまり、アンモニア調整装置33には再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力変動の情報が入力され、出力の変動に応じて、ボイラ2にアンモニアを投入する指令が出力される。
【0033】
例えば、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力が低下した場合、電力系統9(
図1参照)の要求出力を賄うために、ボイラ2にアンモニアが投入されるようにアンモニア調整装置33から指令が出力される。アンモニア供給装置32からアンモニアがボイラ2に追加の燃料として供給され、蒸気タービン3の出力を上げて、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の低下に追従させる。つまり、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の低下に応じて、アンモニアの投入を制御し、蒸気タービン3の出力を上昇させる。
【0034】
これにより、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の変化に対し、ボイラ2に投入される主燃料の供給に影響を与えずに、運転中の発電設備1の出力を細かく追従させることができ、負荷10の要求出力を維持することができる。
【0035】
尚、アンモニア供給装置32からのアンモニアの一部から、系内の熱を用いて水素を発生させ、水素をボイラ2に供給することも可能である(水素供給手段)。水素をボイラ2に供給することで、外部のエネルギーを用いることなくボイラ2で窒素酸化物を還元することができる。
【0036】
図3に基づいて、発電設備11を具体的に説明する。
【0037】
図3に示すように、発電設備11は圧縮機16及びタービン13を備え、圧縮機16で圧縮された圧縮空気と燃料(ガスもしくは液体)が燃焼器12に送られる。燃焼器12からの燃焼ガスはタービン13で膨張されて動力が得られ、発電機15が駆動される。タービン13の排気ガスは排熱回収ボイラ17で熱回収され、脱硝装置18(脱硝手段)でNO
xが除去された後、煙突から大気に放出される。
【0038】
脱硝装置18にはアンモニア供給装置25からアンモニアが供給され、排ガス中にアンモニアが投入されてNO
xが浄化される。アンモニア供給装置25からは、燃料としてアンモニアを燃焼器12に供給できるようになっている(アンモニア投入手段)。
【0039】
アンモニア供給装置25からは、アンモニア調整装置26の指令により、アンモニアが燃料として燃焼器12に供給される。つまり、アンモニア調整装置26には再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力変動の情報が入力され、出力の変動に応じて、燃焼器12にアンモニアを投入する指令が出力される。
【0040】
例えば、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力が低下した場合、電力系統9(
図1参照)の要求出力を賄うために、燃焼器12にアンモニアが投入されるようにアンモニア調整装置26から指令が出力される。アンモニア供給装置25からアンモニアが燃焼器12に追加の燃料として供給され、タービン13の出力を上げて、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の低下に追従させる。つまり、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の低下に応じて、アンモニアの投入を制御し、タービン13の出力を上昇させる。
【0041】
これにより、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の変化に対し、燃焼器12に投入される主燃料の供給に影響を与えずに、運転中の発電設備11の出力を細かく追従させることができ、負荷10の要求出力を維持することができる。
【0042】
尚、
図4に示したように、アンモニア供給装置25からのアンモニアの一部を排熱回収ボイラ17で加熱して水素を発生させ、排熱回収ボイラ17で発生させた水素を燃焼器12に供給することも可能である(水素供給手段)。排熱回収ボイラ17で発生させた水素を燃焼器12に供給することで、外部のエネルギーを用いることなく燃焼器12で窒素酸化物を還元することができる。高温の水素を燃焼器12に供給するので、再生可能エネルギー発電設備20(
図1参照)の出力の変化に対して追従しやすい。
【0043】
また、燃焼手段を備えた再燃型の排熱回収ボイラを適用した場合、排熱回収ボイラ17で加熱されて得られた水素の一部(もしくは全部)を排熱回収ボイラの燃焼手段に投入することも可能である(図中点線で示してある)。この場合、アンモニア供給装置25からのアンモニアの一部を排熱回収ボイラ17の燃焼手段に投入することも可能である(図中点線で示してある)。
【0044】
上述したように、再生可能エネルギー発電設備20の出力が低下した場合、電力系統9の要求出力を賄うために、ボイラ2、燃焼器12にアンモニアが投入され、蒸気タービン3、タービン13の出力を上げて、再生可能エネルギー発電設備20の出力の低下に追従させている。
【0045】
図5に基づいて電力の要求出力の経時変化を説明する。
【0046】
自然環境の変化により、1日の中で再生可能エネルギー発電設備20による発電が不安定になった場合、要求出力(実線で示してある)に対して、出力が低下して不安定な状況になる(点線で示してある)。発電設備1、11で、アンモニアの投入を制御し(アンモニア調整手段)、蒸気タービン3、タービン13の出力(発電手段の出力)を上昇させることで、
図5に実線で示した要求出力と、点線で示した低下出力との間の部分(網目部分)の出力を賄うことができる。
【0047】
つまり、アンモニアを燃料として追加投入することにより、ボイラ2、燃焼器12に投入される主燃料の供給に影響を与えずに、運転中の発電設備1、11の出力を細かく追従させることができ、負荷10の要求出力を維持することができる。
【0048】
従って、再生可能エネルギー発電設備20と火力発電設備(発電設備1、11)を同時に用いた発電設備において、再生可能エネルギー発電設備20の出力の変化に対し、運転中の発電設備1、11の出力を細かく追従させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、再生可能エネルギーを用いた再生エネルギー発電設備が併用された発電設備の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1、11 発電設備
2 ボイラ
3 蒸気タービン
4、15 発電機
5 復水器
9 電力系統
10 負荷
12 燃焼器
13 タービン
16 圧縮機
17 排熱回収ボイラ
18、31 脱硝装置
20 再生可能エネルギー発電設備
21 太陽光発電設備
22 風力発電設備
25、32 アンモニア供給装置
26、33 アンモニア調整装置