(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る表示システム1の構成を示す概略ブロック図である。
表示システム1は、生成装置10及び表示装置20を含んで構成される。生成装置10と表示装置20とは、伝送路30で接続されている。伝送路30は、有線であっても無線であってもよい。伝送路30は、例えば、コンポーネントケーブルである。
【0015】
生成装置10は、カラーバーを示すカラーバー信号を生成する。生成装置10は、生成したカラーバー信号を、伝送路30を介して表示装置20に出力する。カラーバーは、表示される色を評価するための基準となる画像である。カラーバー(Color Bars(複数形))は、所定の色がついた複数の矩形の棒領域を含んで構成される。なお、カラーバー(Color Bar(単数形))は、個々の棒領域を意味することがある。以下の説明では、複数の棒領域を含んだ1枚の基準となる画像を、「カラーバー」と呼び、個々の棒領域を「棒領域」と呼ぶ。生成装置10が生成するカラーバー信号は、棒領域毎の色を所定の第1の表色系で表す信号値を含む。カラーバー信号に含まれる信号値は、例えば、RGB値である。RGB値は、三原色の各原色(赤、緑、青)の強度を示す色信号値を要素とする3次元の信号値である。カラーバーの例については、後述する。
【0016】
表示装置20は、生成装置10から入力されたカラーバー信号に基づくカラーバーを表示する。表示装置20は、第1の表色系で表された信号値を含むカラーバー信号に基づいて、その信号値が示す色が付されたカラーバーを表示することができる。また、表示装置20は、当該カラーバー信号を第2の表色系で表された信号値を含むカラーバー信号に色域変換する。表示装置20は、変換されたカラーバー信号に含まれる信号値が示す色が付されたカラーバーを表示することができる。第2の表色系で表現可能な色の範囲である色域は、第1の表色系よりも狭い。例えば、第1の表色系、第2の表色系は、それぞれRec.2020、Rec.709で規定された表色系である。
【0017】
次に、生成装置10の構成について説明する。
生成装置10は、記憶部101、制御部102、生成部103、及びI/F(Interface、インタフェース)104を含んで構成される。
記憶部101には、カラーバー信号を生成するためのカラーバーデータを予め記憶しておく。カラーバーデータは、第1の表色系で表された第1の信号値又は第2の信号値を、カラーバーを構成する棒領域毎に含む。また、カラーバーデータは、棒領域毎の画像内の位置及び範囲を示す座標データを含む。
【0018】
制御部102は、生成装置10の各部における動作を制御する。制御部102は、記憶部101からカラーバーデータを読み取り、読み取ったカラーバーデータを生成部103に出力する。
生成部103は、制御部102から入力されたカラーバーデータから棒領域毎の第1の信号値又は第2の信号値と、座標データを抽出し、抽出した信号値と座標データに基づいてカラーバー信号を生成する。生成されたカラーバー信号が示すカラーバーは、抽出した座標データが示す位置及び範囲において、第1の表色系で表された第1の信号値又は第2の信号値が示す色を付した棒領域を含む。生成部103は、生成したカラーバー信号をI/F104を介して表示装置20に出力する。
【0019】
次に、表示装置20の構成について説明する。
表示装置20は、変換部20X、入力部203、I/F204、及び表示部206を含んで構成される。また、変換部20Xは、記憶部201、制御部202、及び信号処理部205を含んで構成される。
【0020】
記憶部201には、予め3D−LUTが記憶されている。記憶部201に記憶された3D−LUTは、第1の表色系で表される入力値と第2の表色系で表される出力値とを対応付けた信号値のセットを複数個含んだデータである。3D−LUTの例については、後述する。
【0021】
制御部202は、表示装置20の各部における動作を制御する。制御部202は、記憶部201から3D−LUTを読み取り、読み取った3D−LUTを信号処理部205に出力する。また、制御部202は、入力部203から入力された操作信号に基づいて、表示部206の表示特性、つまり、輝度、コントラスト、色相、等を調整するための調整信号を生成する。制御部202は、生成した調整信号を表示部206に出力する。また、制御部202は、指示された表色系に応じて信号処理部205において色域変換を行うか否かを判定する。制御部202は、例えば、信号処理部205に入力されたカラーバー信号に付されたヘッダで指示された表色系に応じて色域変換を行うか否かを判定する。制御部202は、第1の表色系が指示された場合には、色域変換を行わないと判定し、第2の表色系が指示された場合には、色域変換を行うと判定する。制御部202は、色域変換を行うか否かを指示する制御信号を信号処理部205に出力する。なお、制御部202は、色域変換を行うか否かを時間経過に伴い交互に変更してもよい。
【0022】
入力部203は、ユーザの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に応じた操作信号を生成する。入力部203は、生成した操作信号を制御部202に出力する。入力部203は、例えば、表示部206の表示特性の調整のための操作を受け付ける。入力部203は、例えば、つまみ、ボタン、レバー、スイッチ等の物理的な部材を含んで構成されてもよい。また、入力部203は、タッチパネル、マウス、等と表示部206に表示する画像とで形成されるグラフィカルインタフェース(GUI:Graphical User Interface)で構成されてもよい。
【0023】
制御部202から入力された制御信号が色域変換を行うことを指示する場合、信号処理部205は、I/F204を介して生成装置10から入力されたカラーバー信号について色域変換を行う。信号処理部205は、色域変換により、第1の表色系で表された信号値を変換した第2の表色系で表された信号値を含んだカラーバー信号を生成し、生成したカラーバー信号を表示部206に出力する。他方、制御部202から入力された制御信号が色域変換を行わないことを指示する場合、信号処理部205は、入力されたカラーバー信号について色域変換を行わずに、表示部206に出力する。
【0024】
色域変換を行う際、信号処理部205は、制御部202から入力された3D−LUTを参照し、カラーバー信号が示す座標毎の信号値と等しい入力値を探索する。以下の説明では、3D−LUTに記録された入力値、出力値を、それぞれLUT入力値、LUT出力値と呼ぶ。信号処理部205は、探索したLUT入力値に対応したLUT出力値を3D−LUTから読み取り、読み取ったLUT出力値を変換後の出力値と定める。カラーバー信号が示す信号値と等しいLUT入力値が3D−LUTにない場合には、信号処理部205は、当該信号値から所定範囲内のLUT入力値(例えば、近傍の8つの色空間点)のそれぞれに対応するLUT出力値を補間して変換後の出力値を算出する。信号処理部205は、補間により算出された値を変換後の出力値と定める。信号処理部205は、変換後の出力値を含んだカラーバー信号を、変換後のカラーバー信号として表示部206に出力する。
【0025】
表示部206は、入力されたカラーバー信号が示すカラーバーを、制御部202で指示された表色系で表示する。変換後のカラーバー信号が示すカラーバーは、第2の表色系で表示されるのに対し、色域変換が行われていないカラーバー信号が示すカラーバーは、第1の表色系で表示される。
表示部206の表示特性は、制御部202から入力された調整信号に基づいて調整される。また、表示部206は、入力されたカラーバー信号の一部である、色信号の垂直方向の波形を表示してもよい。表示部206は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electrolumunescence)ディスプレイ、を含んで構成される。
【0026】
(カラーバーの一例)
次に、生成部103が生成するカラーバーの一例について説明する。
図2は、本実施形態に係るカラーバーの一例(カラーバー40)を示す図である。
カラーバー40は、複数の棒領域からなるセットを含んで構成される。以下の説明では、各行の棒領域のセットを「帯領域」と呼ぶ。カラーバー40において、2行の帯領域41、42が垂直方向に隣接して配置されている。帯領域42は、帯領域41の上方に配置されている。帯領域41、42の大きさは互いに等しい。
【0027】
帯領域41は、水平方向に互いに隣接して配列した7個の棒領域411−417を含んで構成される。棒領域411、412、413、414、415、416、417において表示される色は、それぞれ第1の表色系における白(W:White)、黄(Y:Yellow)、シアン(C:Cyan)、緑(G:Green)、マゼンタ(M:Magenta)、赤(R:Red)、青(B:Blue)である。そのうち、赤、緑、青は、第1の表色系の色域を定める三原色である。シアン、マゼンタ、黄は、それぞれ赤、緑、青の補色である。原色は、これらの混色により第1の表色系であらゆる色を表現可能な色である。混色において、各原色の明度はRGB値に対応付けられ、0〜100%の間で調整可能である。この明度の範囲は、各原色の信号値の最大値で正規化された値で表されている。なお、白も、赤、緑、青の三原色を混色して実現される。帯領域41は、第1の表色系でカラーバー40が表示されるときに利用される。帯領域41で用いられる各原色及び補色のRGB値の例を式(1)に示す。式(1)に示すRGB値は、各色について10ビットで表されている。
【0028】
R:(940,64,64)
G:(64,940,64)
B:(64,64,940)
C:(64,940,940)
M:(940,64,940)
Y:(940,940,64) … (1)
【0029】
なお、白(W)、黒(Bk:Black)のRGB値は、表色系によらず、それぞれ式(2)に示す値である。
W:(940,940,940)
Bk:(64,64,64) …(2)
【0030】
帯領域42は、水平方向に互いに隣接して配列した7個の棒領域421−427を含んで構成される。棒領域421、422、423、424、425、426、427において表示される色は、それぞれ第2の表色系における白、黄、シアン、緑、マゼンタ、赤、青である。そのうち、赤、緑、青は、第2の表色系の色域を定める三原色である。シアン、マゼンタ、黄は、それぞれ赤、緑、青の補色である。原色は、その混色により第2の表色系であらゆる色を表現可能な色である。混色において、各原色の明度はRGB値に対応付けられ、0〜100%の間で調整可能である。これらの色を、白(W
2)、黄(Y
2)、シアン(C
2)、緑(G
2)、マゼンタ(M
2)、赤(R
2)、青(B
2)と呼んで第1の表色系の対応する原色又はその補色と区別する。帯領域42は、色域変換により変換されたカラーバー40が第2の表色系で表示されるときに利用される。赤(R
2)、緑(G
2)、青(B
2)、シアン(C
2)、マゼンタ(M
2)、黄(Y
2)のRGB値の例を式(3)に示す。式(3)に示すRGB値は、第1の表色系で表されたものであり、各色について10ビットで表されている。
【0031】
R
2:(758,266,129)
G
2:(561,
904,300)
B
2:(211,109,893)
C
2:(595,909,933)
M
2:(782,287,901)
Y
2:(921,935,325) … (3)
【0032】
(色域)
次に、第1の表色系、第2の表色系の色域の一例について説明する。
図3は、各表色系の色域を示す色度図である。色度とは、色あい(色相)と鮮やかさ(彩度)の特性を定量化した値である。色度は、国際照明委員会(CIE:Commission internationale de l’eclairage)で定められたCIE標準表色系における2次元の座標(x,y)で表される。
図3の縦軸、横軸は、それぞれ色度のx値、y値を示す。色域とは、各表色系において原色を混合して表現できる色の範囲である。言い換えれば、原色の色度は、色域を表すパラメータである。
【0033】
図3において、実線の三角形は、第1の表色系の色域CG1を示す。頂点R1、G1、B1は、それぞれ第1の表色系での原色である赤、緑、青の色度を示す。例えば、Rec.2020で定められた赤、緑、青の色度は、それぞれ(0.708,0.292)、(0.170,0.797)、(0.131,0.046)である。式(1)に示す赤(R)、緑(G)、青(B)、それぞれのRGB値は、第1の表色系において、これらの色度の色を表す信号値である。
【0034】
破線の三角形は、第2の表色系の色域CG2を示す。頂点R2、G2、B2は、それぞれ第2の表色系での原色である赤、緑、青の色度を示す。例えば、Rec.709で定められた赤、緑、青の色度は、それぞれ(0.64,0.33)、(0.30,0.60)、(0.15,0.06)である。式(3)に示す赤(R
2)、緑(G
2)、青(B
2)、それぞれのRGB値は、第1の表色系において、これらの色度の色を表す信号値である。
【0035】
そこで、第1の表色系から第2の表色系への色域変換において、信号処理部205は、第1の表色系で表されたRGB値を、第2の表色系で表されたRGB値に変換する際に、変換前後で色域CG2内の色度を一定に保つ。これにより、変換後のカラーバー40において帯領域42に示された色が、第2の表色系での白、黄、シアン、緑、マゼンタ、赤、青とそれぞれ一致する。
なお、色域CG1、CG2の中央部の×印は、第1の表色系での白の色度W1、第2の表色系での白の色度W2を示す。例えば、白の色度W1、W2は、Rec.2020、Rec.709ともに(0.3127,0.3290)である。
【0036】
(3D−LUTの例)
次に、記憶部201に記憶された3D−LUTの一例について説明する。
図4は、本実施形態に係る3D−LUTの一例を示す図である。
図4に示す例では、3D−LUTは、色空間点を示す符号、第1の表色系で表されるLUT入力値、及び第2の表色系で表されるLUT出力値を含み、それらが対応付けられたデータである。色空間点は、LUT入力値としてRGB色空間内の位置を示すインデックスである。色空間点により、LUT入力値とLUT出力値とのセットが一意に特定される。
図4の第2−7行の「R
2」、「G
2」、「B
2」、「C
2」、「M
2」、「Y
2」は、第2の表色系での赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄の各色を示す。この6色のそれぞれについて、LUT入力値として第1の表色系で表されたRGB値と、LUT出力値として第1の表色よりも色域が狭い第2の表色系で表されたRGB値とが対応付けられている。具体的には、LUT入力値として式(3)に示すRGB値と、第2の表色系における原色である赤、緑、青、それらの補色であるシアン、マゼンタ、黄、それぞれのRGB値とが対応付けられている。例えば、第2行において色空間点「R」は、LUT入力値(758,266,129)とLUT出力値(940,64,64)が対応付けられている。
【0037】
色域変換に際し、例えば、入力されたカラーバー信号がRGB値(758,266,129)を含むとき、信号処理部205は、当該3D−LUTからLUT出力値(940,64,64)を読み取る。信号処理部205は、読み取ったLUT出力値(940,64,64)を含む変換後のカラーバー信号を出力する。従って、信号処理部205は、入力されたカラーバー信号が示す帯領域42が表す色の色度と、変換後のカラーバー信号が示す棒領域が表す色の色度を一定に保つことができる。そのため、変換後のカラーバー信号が示す棒領域に付された赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄の色の信号レベルと、既存の第2の表色系で表されたカラーバーに含まれる棒領域に付された赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄の色の信号レベルとを一致させることができる。また、信号処理部205は、3D−LUTを用いて入力値に対応するLUT出力値を読み取るため、量子化等による計算誤差を生じない。そのため、誤差による色の変化を回避することができる。
【0038】
3D−LUTには、上述の6個の色空間点以外にも色空間点を設定しておくことで、信号処理部205は、カラーバー信号以外の第1の表色系で表された信号値を含んだ任意の画像信号についても色域変換を行えるようにする。色空間点の設定例として、3D−LUTには、RGB色空間の各要素について、10ビットの最小値0から最大値の1023までの幅64間隔で17点ずつ、計17×17×17(=4913)点の色空間点が設定されてもよい。但し、この例では、RGB色空間の各要素について最大値と2番目に大きい信号値との差は、63(=64−1)となる。また、3D−LUTには、各要素について0から1023までの幅8間隔で129点ずつ、計129×129×129(=2146689)点の色空間点が設定されてもよい。但し、この例では、RGB色空間の各要素について最大値と2番目に大きい信号値との差は、7(=8−1)となる。また、色空間点は、RGB色空間を網羅していれば、必ずしも等間隔でなくてもよいし、RGB色空間における原色(R、G、B)毎に色空間点の数が異なっていてもよい。
【0039】
なお、設定された色空間点について、LUT入力値が示す色の色度が色域CG2の範囲内である場合には、LUT出力値として、その色度を有する色の第2の表色系で表されるRGB値が設定されてもよい。これにより、色域変換前後における色度の変化が回避される。また、設定された色空間点について、LUT入力値が示す色の色度が色域CG2の範囲外である場合には、LUT出力値として、色域CG2に属する色度のうち、LUT入力値が示す色の色度に最も近接した色度を有する色の第2の表色系で表されるRGB値が設定されてもよい。これにより、色域変換前後における色度の変化を低減することができる。
【0040】
(色域変換)
次に、信号処理部205が実行する色域変換について説明する。
図5は、本実施形態に係る信号処理部205が実行する色域変換を示すフローチャートである。
(ステップS101)制御部202には、表示部206でカラーバーを表示する際の表色系が指示される。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)信号処理部205は、第1の表色系と第2の表色系のどちらが指示されたかを判定する。信号処理部205が、第2の表色系が指示されたと判定した場合には(ステップS102 YES)、色域変換を行うと判定し、ステップS103に進む。信号処理部205が、第1の表色系が指示されたと判定した場合には(ステップS102 NO)、色域変換を行わないと判定する。信号処理部205は、入力されたカラーバー信号を表示部206に出力する。
【0041】
(ステップS103)信号処理部205は、制御部202から入力された3D−LUTを参照し、I/F204を介して入力された画像信号が示す座標毎の信号値と等しいLUT入力値を探索する。座標毎の信号値と等しいLUT入力値の探索に成功した場合、信号処理部205は、探索したLUT入力値に対応したLUT出力値を3D−LUTから読み取り、読み取ったLUT出力値を変換後の出力値と定める。LUT入力値の探索に失敗した場合には、信号処理部205は、注目する座標の信号値から所定範囲内のLUT入力値(例えば、注目する座標の近傍の8つの色空間点)を選択し、選択したLUT入力値に対応するLUT出力値を補間して、注目する座標の信号値に対応する出力値を算出する。補間において、既知の補間法、例えば、線形補間法を利用することが可能である。信号処理部205は、補間により算出された出力値を変換後の出力値と定める。変換後の画像信号は、座標毎に定めた出力値を含んで構成される。信号処理部205は、変換後の画像信号を表示部206に出力する。これにより、信号処理部205から入力された画像信号に基づく画像が表示部206で表示される。その後、
図5に示す処理を終了する。
【0042】
(カラーバーの他の例)
次に、生成部103が生成するカラーバーの他の例について説明する。
図6は、本実施形態に係るカラーバーの他の例(カラーバー40a)を示す図である。カラーバー40(
図2)と同一の構成については、同一の符号を付して説明を援用する。
カラーバー40aは、2つの帯領域41a、42を含み、それらが垂直方向に隣接して配置されている。帯領域41aを構成する7個の棒領域411a−417aは、棒領域411−417と同様に水平方向に互いに隣接して配列されている。但し、棒領域421−427の色が、それぞれ色域変換後の棒領域411a−417aの色の補色となるように、棒領域411a−417aの色が定められている。
図6に示す例では、棒領域411a、412a、413a、414a、415a、416a、417aの色は、それぞれ第1の表色系における黒(Bk)、青(B)、赤(R)、マゼンタ(M)、緑(G)、シアン(C)、黄(Y)である。これに対し、棒領域421、422、423、424、425、426、427の色は、第2の表色系において棒領域411a−417aの色にそれぞれ相当する色の補色、つまり第2の表色系における白(W
2)、黄(Y
2)、シアン(C
2)、緑(G
2)、マゼンタ(M
2)、赤(R
2)、青(B
2)である。なお、棒領域411aの色は、白(W
2)であってもよい。
【0043】
次に、カラーバー40、40aを構成する帯領域41、41a、42に係る信号値の例について説明する。
図7は、本実施形態に係るカラーバー40、40aを構成する帯領域41、41a、42に係る信号値の例を示す図である。
図7は、横軸、縦軸に、それぞれ水平方向の座標、信号値を示す。横軸の近傍に示した矢印は、棒領域の範囲を示す。
図7に示す信号値は、その最小値、最大値が、それぞれ0、1となるように正規化されている。実線、破線、一点破線は、それぞれ帯領域41、41a、42に係る第1の表色系で表された赤(R)の色信号値を示す。当該色信号値は、帯領域に付された色に赤(R)の成分が多く含まれるほど大きい値を示す。帯領域41については、棒領域411、412、415、416において信号値が1となり、棒領域413、414、417において信号値が0となる。これに対し、帯領域42については、棒領域421、422、425、426において信号値が0よりも1に近似した値となり、棒領域423、424、427において信号値が1よりも0に近似した値となる。そのため、ユーザは帯領域41、42間で信号値の波形を直ちに区別できないことがある。
【0044】
他方、帯領域41aについて、棒領域411a、412a、415a、416aにおいて信号値が0となり、棒領域413a、414a、417aにおいて信号値が1となり、帯領域42に係る信号値の逆相関に近似する。これにより、ユーザは、カラーバー40aの信号値の波形を監視する際に、帯領域41a、42を直ちに判別することができる。
なお、カラーバー40aにおいて、帯領域42は、帯領域41aの上方に配列されているが、これには限られない。帯領域42は、帯領域41aの下方に配列されてもよい。
【0045】
図8は、本実施形態に係るカラーバーの他の例(カラーバー40b)を示す図である。カラーバー40(
図3)と同一の構成については、同一の符号を付して説明を援用する。
カラーバー40bは、2つの帯領域41、42を含み、それらが水平方向に隣接して配置されている。帯領域41は、帯領域42の右方に配列されている。そのため、帯領域41の信号値の波形が、帯領域42の信号値の波形よりも水平方向の正方向にずれた位置に表れる。そのため、波形モニタにカラーバー40bの全ラインの信号値の波形を重ねて表示させるとき、ユーザがカラーバー40bの信号値の波形を監視する際に、帯領域41、42を直ちに判別することができる。
なお、
図8に示す例では、カラーバー40bの水平方向の幅が、カラーバー40と等しい。つまり、カラーバー40bを構成する個々の帯領域の幅は、カラーバー40における帯領域の半分になる。これにより、カラーバー40bが1フレームの画像内に含まれる。
また、
図8に示す例において、帯領域41は、帯領域42の右方に配列されているが、これには限られない。帯領域41は、帯領域42の左方に配列されてもよい。
【0046】
なお、カラーバーのさらに他の例として、カラーバー40cは、帯領域41と帯領域42とが時間経過に応じて交互に表わされるように構成されてもよい。例えば、生成部103は、
図9に示すように、時刻tの経過に応じて、所定の表示時間ΔT(例えば、5秒)毎に帯領域41が表わされる時間帯(I)と、帯領域42が表わされる時間帯(II)とが繰り返されてもよい。カラーバー40cの信号値の波形を監視する際に、帯領域41の信号値の波形が表わされる時間帯と、帯領域42の信号値の波形が表される時間帯が異なる。そのため、ユーザは帯領域41、42を直ちに判別することができる。
【0047】
ここで、信号処理部205は、帯領域42が表される時間帯(II)において、入力されたカラーバー信号に対して色域変化を行い、帯領域41が表される時間帯(I)において、入力されたカラーバー信号に対して色域変化を行わない。
なお、時間帯(I)、(II)は、必ずしも表示時間ΔT毎に繰り返されなくてもよい。例えば、入力部203からの操作信号で指示された表色系が第1の表色系である場合、生成部103は、帯領域41を表し、指示された表色系が第2の表色系である場合、帯領域42を表してもよい。また、生成部103は、入力部203から操作信号が入力される毎に、制御部202が帯領域41、42のいずれを表すかを切り替えてもよい。これにより、ユーザは、表示すべき帯領域を任意に選択することができる。
【0048】
以上に説明したように、本実施形態に係る生成装置10は、第1の色を第1の表色系で示す第1の信号値と、第2の色を第1の表色系で示す第2の信号値とを記憶した記憶部101を備える。また、生成装置10は、第1の信号値が示す色の棒領域411−417と、第2の信号値が示す色の棒領域421−427とを第1の表色系で示すカラーバー信号を生成する生成部103とを備える。第1の色は、第1の表色系における原色(R、G、B)および原色の補色(C、M、Y)のセットであって、第2の色は、第2の表色系における原色(R
2、G
2、B
2)および原色の補色(C
2、M
2、Y
2)のセットである。第2の表色系は、第1の表色系よりも色域が狭い。
この構成により、生成されたカラーバー信号について、第1の表色系からより狭い色域の第2の表色系に色域変換して得られるカラーバー40が示す第2の色の信号レベルを、第2の表色系における原色と補色の領域からなる既存のカラーバーの信号レベルに一致させることができる。例えば、第1の表色系を採用したテレビジョンシステム向けの放送番組と、第2の表色系を採用したテレビジョンシステム向けの放送番組の両方で色の調整を直ちに行うことができるので、両放送番組の制作を一体的に行うことができる。
【0049】
また、生成装置10において、生成部103は、第1の色の棒領域411a−417aと、第2の色の領域として、第2の表色系における第1の色(R、G、B、C、M、Y)の補色(C、M、Y、R、G、B)に相当する色(C
2、M
2、Y
2、R
2、G
2、B
2)を示す棒領域421−427とを垂直に配列したカラーバー40aを示すカラーバー信号を生成する。
この構成により、第1の色の棒領域411a−417aの信号値の水平方向の波形と、第2の表色系における第1の色の補色に相当する色の棒領域421−427における信号値の水平方向の波形とが逆相関に近似する。波形モニタにカラーバー40aの全ラインの信号値の波形を重ねて表示させるとき、信号値の波形を目視することにより、それぞれの領域を直ちに判別可能であるので、色の調整に係る作業の効率を向上させることができる。
【0050】
また、生成装置10において生成部103は、第1の色の棒領域411−417と、第2の色の棒領域421−427とを水平に配列したカラーバー40bを示すカラーバー信号を生成する。
この構成により、第1の色の棒領域411−417における信号値の水平方向のパターンと、第2の色の棒領域421−427における信号値の水平方向のパターンとが、水平方向に配列される。波形モニタにカラーバー40bの全ラインの信号値の波形を重ねて表示させるとき、信号値の波形を目視することにより、それぞれの領域を直ちに判別可能であるので、色の調整に係る作業の効率を向上させることができる。
【0051】
また、生成装置10において生成部103は、第1の色の棒領域411−417と、前記第2の色の棒領域421−427とを互いに異なる時刻に示すカラーバー信号を生成する。
この構成により、第1の色の棒領域411−417における信号値の水平方向のパターンと、第2の色の棒領域421−427の水平方向のパターンとが、それぞれ異なる時刻に表示される。波形モニタにカラーバー40cの全ラインの信号値の波形を重ねて表示させるとき、信号値の波形を目視することにより、それぞれの領域を直ちに判別可能であるので、色の調整に係る作業の効率を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る表示装置20は、第1の表色系で表されるLUT入力値と第2の表色系で表されるLUT出力値とを対応付けた信号値のセットを含む3D−LUTを記憶した記憶部201を備える。第2の表色系は、第1の表色系よりも色域が狭く、LUT出力値が示す色は、第2の表色系における原色(R
2、G
2、B
2)および原色の補色(C
2、M
2、Y
2)のいずれかである。また、LUT入力値が示す色は、LUT出力値が示す色、つまり第2の表色系における原色(R
2、G
2、B
2)および原色の補色(C
2、M
2、Y
2)のいずれかと同じ色である。また、表示装置20は、3D−LUTに基づいて、入力信号の信号値に対応する出力信号の信号値を定める信号処理部205を備える。
この構成により、入力信号に第2の表色系における原色(R
2、G
2、B
2)および原色の補色(C
2、M
2、Y
2)のいずれかを示す信号値を含む場合、この含まれた信号値の色度を保ちながら、第1の表色系からより狭い色域の第2の表色系に色域変換することができる。また、色度の変化要因となる量子化誤差が発生しない。言い換えれば、出力信号が示すカラーバーの信号レベルを、第2の表色系における原色と補色の領域からなる既存のカラーバーの信号レベルに正確に一致させることができる。第1の表色系を採用したテレビジョンシステム向けの放送番組と、第2の表色系を採用したテレビジョンシステム向けの放送番組の両方で色の調整を直ちに行うことができるので、両放送番組の制作を一体的に行うことができる。
【0053】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
上述したRGB値は、10ビット値である場合を例にしたが、10ビット値には限られない。RGB値は、例えば、12ビット値であってもよい。RGB値が12ビット値である場合には、式(1)、(2)、(3)に示すRGB値、
図4のLUT入力値、LUT出力値を、それぞれ4倍とすればよい。4倍の信号値は、10ビットの信号値を示すデータビットを、それぞれ2ビット上位のデータビットにシフトすることによって得られる。そのため、10ビットのRGB値を示す3D−LUTと、12ビットのRGB値を示す3D−LUTのどちらかを記憶部201に記憶しておけば、表示装置20は、10ビットのRGB値を示す画像信号の色域変換と、12ビットのRGB値を示す画像信号の色域変換のいずれも実行可能である。
【0054】
上述したカラーバー40、40a、40b、40cには、他の要素画像が含まれたテストパターンとして構成されてもよい。他の要素画像として、例えば、非特許文献1に記載の、無彩色信号、モニタのクロマ調整用信号、ビット落ちをチェックするためのランプ信号、モニタの黒レベル輝度設定用信号、のいずれか又は全てが含まれてもよい。
また、表示装置20は、生成装置10と一体化した単一の装置として構成されてもよい。また、表示装置20の変換部20Xが独立した信号変換装置として構成されてもよい。
【0055】
なお、上述した生成装置10又は表示装置20の一部、例えば、制御部102、生成部103、制御部202、信号処理部205をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、生成装置10又は表示装置20に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。