特許第6483266号(P6483266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483266
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】基板処理方法、および、基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20190304BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190304BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20190304BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   H01L21/28 A
   H01L21/304 645C
   H01L21/90 A
   H01L21/302 104Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-535312(P2017-535312)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】JP2016072179
(87)【国際公開番号】WO2017029961
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-160492(P2015-160492)
(32)【優先日】2015年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】園田 和広
(72)【発明者】
【氏名】小風 豊
(72)【発明者】
【氏名】深谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】中野 賢明
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−102092(JP,A)
【文献】 特開2006−073722(JP,A)
【文献】 特開2012−146749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/304
H01L 21/3065
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスと添加ガスとを混合することによって混合ガスを生成すること、
記混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスからプラズマを生成すること、
基板上に形成された酸化膜を前記プラズマによって還元すること、
を備え、
前記添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含み、
前記水素ガスの流量は前記希ガスの流量よりも多く設定され、
前記混合ガスを生成することは、前記水素ガスの流量に対する前記添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように前記添加ガスと前記水素ガスとを混合することを含む、
基板処理方法。
【請求項2】
水素ガスと添加ガスとを混合することによって混合ガスを生成すること、
前記混合ガス、または前記混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスからプラズマを生成すること、
基板上に形成された酸化膜を前記プラズマによって還元すること、
を備え、
前記添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含み、
前記混合ガスを生成することは、前記水素ガスの流量に対する前記添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように前記添加ガスと前記水素ガスとを混合することを含み、
前記酸化膜を還元することは、前記プラズマを第1プラズマとして用いて前記酸化膜を還元することを含み、
前記酸化膜を前記第1プラズマによって還元した後に前記添加ガスの供給を停止することによって、前記水素ガスまたは前記水素ガスと前記希ガスとを組み合わせたガスから第2プラズマを生成すること、
前記第2プラズマを前記基板に適用すること、
をさらに備える
基板処理方法。
【請求項3】
前記添加ガスが酸素ガスであり、前記流量比が1/10以下に設定される、
請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記添加ガスが窒素ガスであり、前記流量比が1/10以下に設定される、
請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
基板を収容する収容部と、
プラズマ生成用ガスを供給するガス供給部と、
前記ガス供給部によって供給された前記プラズマ生成用ガスからプラズマを生成して、前記収容部に前記プラズマを供給するプラズマ供給部と、
を備え、
前記プラズマ生成用ガスは、水素ガスと添加ガスとの混合ガス、または前記混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスであり、
前記添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含み、
前記ガス供給部は、前記水素ガスの流量に対する前記添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように前記プラズマ生成用ガスを前記プラズマ供給部に供給するように構成され、
前記ガス供給部は、前記プラズマ生成用ガスを第1プラズマ生成用ガスとして供給可能であるとともに、前記水素ガスまたは前記水素ガスと前記希ガスとを組み合わせたガスを第2プラズマ生成用ガスとして供給可能であり、
制御部を更に備え、前記制御部は、
前記ガス供給部から前記プラズマ供給部に前記第1プラズマ生成用ガスを供給し、
前記プラズマ供給部によって前記第1プラズマ生成用ガスから第1プラズマを生成して前記収容部へ前記第1プラズマを供給し、
前記収容部へ前記第1プラズマを供給した後に前記添加ガスの供給を停止することによって前記ガス供給部から前記プラズマ供給部に前記第2プラズマ生成用ガスを供給し、
前記プラズマ供給部によって前記第2プラズマ生成用ガスから第2プラズマを生成して前記収容部へ前記第2プラズマを供給することを含む処理を実行するように前記プラズマ供給部および前記ガス供給部を制御するように構成されている
基板処理装置。
【請求項6】
基板を収容する収容部と、
プラズマ生成用ガスを供給するガス供給部と、
前記ガス供給部によって供給された前記プラズマ生成用ガスからプラズマを生成して、前記収容部に前記プラズマを供給するプラズマ供給部と、を備え、
前記プラズマ生成用ガスは、水素ガスと添加ガスとの混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスであり、
前記添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含み、
前記ガス供給部は、前記水素ガスの流量が前記希ガスの流量よりも多くなり、かつ、前記水素ガスの流量に対する前記添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように前記プラズマ生成用ガスを前記プラズマ供給部に供給するように構成されている、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に形成された酸化膜を還元するための基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトホールなどから露出する金属膜の表面に形成された酸化膜を還元する方法として、水素含有ガスとヘリウムガスとを含む混合ガスのプラズマを用いる方法が知られている。この方法では、酸化膜に含まれる酸素がプラズマ中に含まれる水素イオンや水素ラジカルと反応することによって酸化膜が還元される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−203194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した方法では、プラズマの生成に要する消費電力当たりの酸化膜の還元速度を高めることが求められている。
本発明は、消費電力当たりの酸化膜の還元速度を高めることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様による基板処理方法は、水素ガスと添加ガスとを混合することによって混合ガスを生成すること、前記混合ガスまたは前記混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスからプラズマを生成すること、基板上に形成された酸化膜を前記プラズマによって還元することを備える。前記添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含む。前記混合ガスを生成することは、前記水素ガスの流量に対する前記添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように前記添加ガスと前記水素ガスとを混合することを含む。
【0006】
一態様による基板処理装置は、基板を収容する収容部と、プラズマ生成用ガスを供給するガス供給部と、前記ガス供給部によって供給された前記プラズマ生成用ガスからプラズマを生成して、前記収容部に前記プラズマを供給するプラズマ供給部とを備える。前記プラズマ生成用ガスは、水素ガスと添加ガスとの混合ガス、または前記混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスである。前記添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含む。前記ガス供給部は、前記水素ガスの流量に対する前記添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように前記プラズマ生成用ガスを前記プラズマ供給部に供給するように構成されている。
【0007】
上記方法および装置によれば、水素ガスのみあるいは水素ガスと希ガスとが混合されたガスからプラズマが生成される場合と比べて、水素ガスと添加ガスとの混合ガスからプラズマが生成されることによって、水素ガスから生成された活性種の失活が添加ガスによって好適に抑えられる。そのため、水素ガスから生成された活性種のうち、酸化膜に到達する活性種の割合が高まり、結果として、消費電力当たりの酸化膜の還元速度が高まる。
【0008】
一実施形態において、前記添加ガスは酸素ガスとすることができる。前記流量比は1/10以下であることが好ましい。
この方法によれば、活性種の失活を抑えられるとともに、プラズマ中の酸素が基板に残ることを抑えることが可能となる。
【0009】
一実施形態において、前記添加ガスは窒素ガスとすることができる。前記流量比は1/10以下であることが好ましい。
この方法によれば、活性種の失活を抑えられるとともに、プラズマ中の窒素が基板に残ることを抑えることが可能となる。
【0010】
一実施形態では、上記基板処理方法において、前記酸化膜を還元することは、前記プラズマを第1プラズマとして用いて前記酸化膜を還元することを含み、方法は更に、前記酸化膜を前記第1プラズマによって還元した後に前記添加ガスの供給を停止することによって、前記水素ガスまたは前記水素ガスと前記希ガスとを組み合わせたガスから第2プラズマを生成すること、および前記第2プラズマを前記基板に適用することを含んでもよい。
【0011】
また、一実施形態では、上記基板処理装置において、前記ガス供給部は、前記プラズマ生成用ガスを第1プラズマ生成用ガスとして供給可能であるとともに、前記水素ガスまたは前記水素ガスと前記希ガスとを組み合わせたガスを第2プラズマ生成用ガスとして供給可能である。装置はさらに制御部をさらに備える。この場合、前記制御部は、前記ガス供給部から前記プラズマ供給部に前記第1プラズマ生成用ガスを供給すること、前記プラズマ供給部によって前記第1プラズマ生成用ガスから第1プラズマを生成して前記収容部へ前記第1プラズマを供給すること、前記収容部へ前記第1プラズマを供給した後に前記添加ガスの供給を停止することによって前記ガス供給部から前記プラズマ供給部に前記第2プラズマ生成用ガスを供給すること、前記プラズマ供給部によって前記第2プラズマ生成用ガスから第2プラズマを生成して前記収容部へ前記第2プラズマを供給することを含む処理を実行するように前記プラズマ供給部および前記ガス供給部を制御するように構成されている。
【0012】
上記方法および装置によれば、第1プラズマによって酸化膜を還元した後に基板に残存した酸素原子および窒素原子の少なくとも一方を、第2プラズマを用いた基板処理によって取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態における基板処理装置を示す概略ブロック図である。
図2】水素ガスを用いて銅膜表面の酸化膜を還元したときの銅膜の反射率の変化と還元率とを示すグラフである。
図3】窒素ガスを添加ガスとして含む第1プラズマ生成用ガスを用いて銅膜表面の酸化膜を還元したときの銅膜の反射率の変化と還元率とを示すグラフである。
図4】酸素ガスを添加ガスとして含む第1プラズマ生成用ガスを用いて銅膜表面の酸化膜を還元したときの銅膜の反射率の変化と銅膜の還元率とを示すグラフである。
図5】水素プラズマの発光スペクトルと発光強度との関係を示すグラフである。
図6】試験例4の分析用基板におけるSIMSによる表面分析の結果を示すグラフである。
図7】試験例5の分析用基板におけるSIMSによる表面分析の結果を示すグラフである。
図8】試験例6の分析用基板におけるSIMSによる表面分析の結果を示すグラフである。
図9】試験例7の分析用基板におけるSIMSによる表面分析の結果を示すグラフである。
図10】試験例8の分析用基板におけるSIMSによる表面分析の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図10を参照して、基板処理方法および基板処理装置の一実施形態を説明する。以下では、基板処理装置の構成、基板処理方法、実施例を順番に説明する。
[基板処理装置の構成]
図1を参照して基板処理装置の構成を説明する。
【0015】
図1が示すように、基板処理装置10は、基板Sを収容する収容部11と、収容部11にプラズマを供給するプラズマ供給部12と、プラズマ供給部12にガスを供給するガス供給部13とを備えている。
【0016】
ガス供給部13は、プラズマ生成用ガスをプラズマ供給部12に供給する。プラズマ生成用ガスは、混合ガス、または混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスであり、混合ガスは、水素ガスと添加ガスとを混合したガスである。添加ガスは、窒素原子および酸素原子の少なくとも一方を含む。ガス供給部13は、プラズマ供給部12にプラズマ生成用ガスを供給するとき、水素ガスの流量に対する添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように、混合ガスにおける水素ガスの流量と添加ガスの流量とを調節する。プラズマ供給部12は、ガス供給部13から供給されたプラズマ生成用ガスからプラズマを生成し、プラズマを収容部11に供給する。
【0017】
ガス供給部13は、例えば、水素ガス用のマスフローコントローラと、添加ガス用のマスフローコントローラとを含む。各マスフローコントローラは、基板処理装置10の外部に位置する各ガスのボンベに接続されている。ガス供給部13の供給する添加ガスは、例えば、窒素ガス、酸素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、アンモニア、および水(HOガス)からなる群から選択される少なくとも1つである。添加ガスは、窒素ガスまたは酸素ガスであることが好ましい。
【0018】
ガス供給部13は、混合ガス(水素ガスと添加ガス)に加えて、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの希ガスをプラズマ供給部12に供給してもよい。希ガスは、混合ガスからのプラズマの生成や混合ガスの流れを補助するための補助ガスとして機能する。この場合には、ガス供給部13は、補助ガス用のマスフローコントローラを含んでいればよい。
【0019】
プラズマ供給部12は、プラズマ生成室21、プラズマ源22、および高周波電源23を備えている。プラズマ生成室21は収容部11に接続されている。プラズマ生成室21に形成されたガス供給口21aには、ガス供給部13が接続されている。
【0020】
プラズマ源22は、プラズマ生成室21の周りに配置されている。プラズマ源22には、プラズマ源22に高周波電圧を印加する高周波電源23が接続されている。プラズマ源22は、混合ガスからプラズマを生成することが可能であれば、誘導結合方式のプラズマ源であってもよいし、マグネトロン方式のプラズマ源であってもよい。
【0021】
プラズマ供給部12は、プラズマ生成室21にプラズマ生成用ガスが供給されている状態で、プラズマ源22に高周波電源23から高周波電圧を印加することにより、プラズマ生成用ガスからプラズマを生成する。そして、プラズマ供給部12は、プラズマ生成室21から収容部11にプラズマを供給する。
【0022】
プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマには、水素ガスから生成された活性種が含まれ、活性種は、例えば、還元性を有する水素イオンおよび水素ラジカルなどである。
収容部11は、プラズマ生成室21に接続されるプラズマ供給口を含む。収容部11内において、このプラズマ供給口と対向する位置には、拡散部14が配置されている。プラズマ生成室21から収容部11に供給されたプラズマは、拡散部14と衝突することによって、収容部11内においてプラズマ供給口の径方向に拡散する。
【0023】
収容部11の内部には、基板Sを支持する支持部15が配置されている。支持部15は、例えば、基板Sが載置されるステージであってもよいし、基板Sの周囲を把持するクランプであってもよい。支持部15は、基板Sを加熱する図示されない加熱機構を有し、例えば、加熱機構には、抵抗加熱など公知の機構が採用される。基板Sには、プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマが供給される。基板Sは、例えば、シリコン層と、銅などから形成された金属層などの導電層と、導電層の表面に形成された酸化膜とを含む。
【0024】
収容部11は、プラズマ供給口とは反対側の壁に形成された排気口11aを含む。排気口11aには排気部16が接続されている。排気部16は、例えば、収容部11の内部の圧力を調節する圧力調節弁や各種のポンプを含み、収容部11の内部の圧力を所定の圧力まで減圧する。
【0025】
基板処理装置10は制御部30を備え、制御部30は、プラズマ供給部12の駆動と、ガス供給部13の駆動とを制御する。
制御部30は、例えば、高周波電源23の駆動を制御することによってプラズマ供給部12の駆動を制御する。例えば、制御部30は、高周波電源23からプラズマ源22に高周波電力を供給するタイミング、および高周波電源23が供給する電力の大きさなどを制御する。
【0026】
制御部30は、例えば、各マスフローコントローラの駆動を制御することによってガス供給部13の駆動を制御する。例えば、制御部30は、各マスフローコントローラがプラズマ生成室21に向けてガスを供給するタイミング、およびプラズマ生成室21に供給するガスの流量などを制御する。
【0027】
例えば、制御部30は、収容部11に基板Sが収容された状態でガス供給部13からプラズマ供給部12に対するプラズマ生成用ガスの供給が開始されるようにガス供給部13の駆動を制御する。また、制御部30は、プラズマ供給部12に供給されたプラズマ生成用ガスからプラズマが所定の時間にわたり生成されるようにプラズマ供給部12の駆動を制御する。
【0028】
なお、制御部30は、プラズマ生成用ガスの流量が安定した後(例えば、プラズマ生成用ガスの供給から所定の時間が経過した後)にプラズマの生成が開始されるようにプラズマ供給部12を制御することが好ましい。
【0029】
本実施形態では、上述したプラズマ生成用ガスが第1プラズマ生成用ガスに相当する。また、水素ガス、または水素ガスと希ガスとを組み合わせたガス(つまり、第1プラズマ生成用ガスから添加ガスを除いたガス)が第2プラズマ生成用ガスに相当する。そして、第1プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマが第1プラズマに相当し、第2プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマが第2プラズマに相当する。
【0030】
制御部30は、第1プラズマが収容部11に供給された後に、第2プラズマ生成用ガスの供給が開始されるようにガス供給部13の駆動を制御してもよい。例えば、制御部30は、ガス供給部13の駆動を制御して、第1プラズマ生成用ガスの添加ガスの流量を徐々に下げることにより、添加ガスを含むガス(つまり、第1プラズマ生成用ガス)の供給から添加ガスを含まないガス(つまり、第2プラズマ生成用ガス)の供給へとガス供給状態を遷移させてもよい。あるいは、制御部30は、ガス供給部13の駆動を制御して、第1プラズマ生成用ガスの添加ガスの流量を一度に下げることにより、添加ガスを含むガス(第1プラズマ生成用ガス)の供給から添加ガスを含まないガス(第2プラズマ生成用ガス)の供給へとガス供給状態を遷移させてもよい。また、制御部30は、第2プラズマ生成用ガスから第2プラズマが所定の時間にわたり生成されるようにプラズマ供給部12の駆動を制御する。
【0031】
なお、第2プラズマの生成に際し、制御部30は、第1プラズマの生成後もガスの供給と高周波電力の供給とを継続することで第2プラズマの生成を開始するようにガス供給部13および高周波電源23を制御してもよい。すなわち、第1プラズマの生成と第2プラズマの生成を連続的に行ってもよい。あるいは、制御部30は、第1プラズマの生成後、ガスの供給を継続する一方で高周波電力の供給を一度停止し、その後、高周波電力の供給を再開することで第2プラズマの生成を開始するようにガス供給部13および高周波電源23を制御してもよい。あるいは、制御部30は、第1プラズマの生成後、高周波電力の供給とガスの供給を共に一度停止し、その後、ガスの供給と高周波電力の供給を再開することで第2プラズマの生成を開始するようにガス供給部13および高周波電源23を制御してもよい。
【0032】
[基板処理方法]
上述した基板処理装置にて実施される基板処理方法を説明する。
基板処理方法では、まず、水素ガスの流量に対する添加ガスの流量の比である流量比が1/500以上となるように添加ガスと水素ガスとを混合することによって混合ガスを生成する。その後、混合ガス、または混合ガスと希ガスとを組み合わせたガスからプラズマを生成する。そして、基板S上に形成された酸化膜にプラズマを適用することによって、酸化膜を還元する。基板Sがプラズマ処理されるとき、基板Sは加熱されていてもよい。例えば、基板Sがプラズマ処理されるときの基板Sの温度は50℃以上であり、150℃以上であることが好ましい。基板Sがプラズマ処理されるときの基板Sの温度の上限値は特に制限されないが、上限値は、基板Sを保護することができる温度であればよく、例えば、350℃以下であればよい。
【0033】
本例では、制御部30は、ガス供給部13によって供給される混合ガスにおける流量比が1/500以上となるようにガス供給部13の駆動を制御する。そして、制御部30が高周波電源23の駆動を制御して高周波電源23からプラズマ源22に高周波電圧を印加し、プラズマ生成室21の内部にてプラズマ生成用ガスからプラズマを生成する。
【0034】
これにより、排気部16によって収容部11内に形成されたガスの流れに応じて基板Sにプラズマが適用され、基板Sの酸化膜が還元される。
こうした方法および装置によれば、水素ガスのみ、あるいは水素ガスと希ガスとの混合ガスからプラズマが生成される場合と比べて、混合ガスに含まれる添加ガスが、水素ガスから生成された活性種の失活を好適に抑えるものとなる。そのため、水素ガスから生成された活性種のうち、酸化膜に到達する活性種の割合が高まり、結果として、消費電力当たりの酸化膜の還元速度が高まる。
【0035】
また、基板処理方法では、酸化膜を還元する処理において、第1プラズマ生成用ガスから生成された第1プラズマによって酸化膜を還元した後に、第2プラズマ生成用ガスから生成された第2プラズマを基板Sに適用してもよい。
【0036】
この場合、例えば、制御部30は、以下の処理を実行するようにガス供給部13およびプラズマ供給部12を制御してもよい。まず、ガス供給部13からプラズマ供給部12に第1プラズマ生成用ガスを供給し、プラズマ供給部12によって第1プラズマ生成用ガスから第1プラズマを生成する。そして、第1プラズマを収容部11へ供給して第1プラズマにより酸化膜を還元する。その後、ガス供給部13からプラズマ供給部12への添加ガスの供給を停止することによってプラズマ供給部12に第2プラズマ生成用ガスを供給し、プラズマ供給部12によって第2プラズマ生成用ガスから第2プラズマを生成する。そして、第2プラズマを収容部11へ供給する。
【0037】
こうした方法および装置によれば、第1プラズマを用いた酸化膜の還元の後、基板Sに対し第2プラズマが供給される。このため、第1プラズマを用いて酸化膜の還元を行った後に基板Sに残存した酸素原子および窒素原子の少なくとも一方を、第2プラズマによって基板Sから取り除くことができる。
【0038】
[試験例]
図2から図10を参照して試験例を説明する。
[混合ガスにおける流量比]
図2は、水素ガスのみを用いて酸化膜を還元したときの還元率を示すグラフであり、図3は、窒素ガスを添加ガスとして含む第1プラズマ生成用ガスを用いて酸化膜を還元したときの還元率を示すグラフであり、図4は、酸素ガスを添加ガスとして含む第1プラズマ生成用ガスを用いて酸化膜を還元したときの還元率を示すグラフである。
【0039】
なお、酸化膜の還元率は、以下の方法で算出した。まず、基板Sの面に銅膜を形成し、436nmの波長の光を用いて銅膜の反射率を測定した。そして、銅膜を熱酸化によって強制酸化し、強制酸化後の銅膜の反射率を測定した。次いで、各ガスから生成されたプラズマを用いて銅膜の表面に形成された酸化膜を還元し、還元後の銅膜の反射率を測定した。強制酸化後の銅膜における反射率に対する還元後の銅膜における反射率の比を還元率として算出した。
【0040】
また、水素ガスの流量、アルゴンガスの流量、収容部11の内部の圧力、処理時間、および基板Sの温度は、添加ガスが含まれるか否かに関わらず同じ条件に設定した。本例では、水素ガスの流量を1000sccm、アルゴンガスの流量を200sccm、収容部11の内部の圧力を70Pa、処理時間を70秒、基板Sの温度を150℃に設定した。そして、プラズマ源22としてマイクロ波を用い、混合ガス(水素ガスと添加ガス)を含む第1プラズマ生成用ガスを用いて酸化膜を還元するときには、添加ガスの種類に関わらず、プラズマ源22に供給される高周波電力を500Wに設定した。
【0041】
図2に示すように、プラズマ源22に500Wの高周波電力を供給して水素プラズマを生成したときには還元率が1.04であり、プラズマ源22に1000Wの高周波電力を供給して水素プラズマを生成したときには還元率が1.10であることが認められた。
【0042】
図3に示すように、窒素ガスの流量が1sccmであって流量比が1/1000であるときには還元率が1.05であり、窒素ガスの流量が2sccmであって流量比が1/500であるときには還元率が1.40であることが認められた。また、窒素ガスの流量が5sccmであって流量比が1/200であるときには還元率が1.50であり、窒素ガスの流量が10sccmであって流量比が1/100であるときには還元率が1.45であり、窒素ガスの流量が50sccmであって流量比が1/20であるときには還元率が1.38であることが認められた。
【0043】
図4に示すように、酸素ガスの流量が0.5sccmであって流量比が1/2000であるときには還元率が1.03であり、酸素ガスの流量が1sccmであって流量比が1/1000であるときには還元率が1.18であることが認められた。また、酸素ガスの流量が2sccmであって流量比が1/500であるときには還元率が1.57であり、酸素ガスの流量が5sccmであって流量比が1/200であるときには還元率が1.52であることが認められた。また、酸素ガスの流量が10sccmであって流量比が1/100であるときには還元率が1.66であり、酸素ガスの流量が50sccmであって流量比が1/20であるときには還元率が1.72であることが認められた。
【0044】
このように、添加ガスが窒素ガスであるときだけでなく、添加ガスが酸素ガスであるときにも、流量比が1/500以上であれば、水素ガスのみから生成されたプラズマによって酸化膜を還元するときと比べて、還元率が大きく高まることが認められた。すなわち、消費電力当たりの酸化膜の還元速度が高まることが認められた。
【0045】
また、流量比が1/500以上であれば、プラズマ源22に供給する高周波電力が500Wであっても、水素ガスのみを用いてプラズマ源22に1000Wの高周波電力を供給してプラズマを生成したときよりも還元率が高まる。従って、水素ガスに添加ガスを混合することで、プラズマ源22に供給する高周波電力を単純に大きくするよりも、酸化膜の還元率を高める効果を上げることができる。
【0046】
添加ガスが窒素ガスであるとき、消費電力当たりの酸化膜の還元速度を高め、かつ還元後の基板に窒素原子が残存することを好適に抑えるには、流量比は、1/500以上1/10以下であることが好ましく、1/500以上1/20以下であることがより好ましく、1/500以上1/100以下であることがさらに好ましい。
【0047】
添加ガスが酸素ガスであるとき、消費電力当たりの酸化膜の還元速度を高め、かつ還元後の基板に酸素原子が残存することを好適に抑えるには、流量比は、1/500以上1/10以下であることが好ましく、1/500以上1/20以下であることがより好ましい。
【0048】
[水素プラズマの発光強度]
図5を参照して水素プラズマの発光強度を説明する。図5は、以下の試験例1〜3において、プラズマ発光モニターによって水素プラズマの発光強度を測定した結果を示すグラフである。なお、試験例1〜3の各々では、プラズマ源22としてマイクロ波を用いた。
【0049】
[試験例1]
試験例1では、プラズマ生成用ガスとして水素ガスを用いてプラズマを発生させた。この試験例1では、水素ガスの流量を1000sccm、アルゴンガスの流量を200sccm、プラズマ源22に供給する高周波電力を500Wに設定した。
【0050】
[試験例2]
試験例2では、窒素ガスを添加ガスとして含む第1プラズマ生成用ガスを用いてプラズマを発生させた。この試験例2では、水素ガスの流量を1000sccmに設定しかつ窒素ガスの流量を2sccmに設定することにより流量比を1/500に設定した。また、アルゴンガスの流量を200sccm、プラズマ源22に供給する高周波電力を500Wに設定した。
【0051】
[試験例3]
試験例3では、プラズマ生成用ガスとして水素ガスを用いてプラズマを発生させた。この試験例3では、水素ガスの流量を1000sccm、アルゴンガスの流量を200sccm、プラズマ源22に供給する高周波電力を1000Wに設定した。
【0052】
図5に示すように、試験例1の発光強度よりも試験例2の発光強度が大きく、試験例2の発光強度よりも試験例3の発光強度が大きいことが認められた。また、試験例1の発光強度と試験例2の発光強度との差よりも、試験例2の発光強度と試験例3の発光強度との差が大きいことが認められた。
【0053】
ここで、先に説明した図2に示すように、試験例1の条件における還元率が1.04であり、試験例3の条件における還元率が1.10である一方で、先に説明した図3に示すように、試験例2の条件における還元率が1.40である。そのため、試験例2における還元率は、水素ガスから生成されたプラズマ中に含まれる活性種の量が試験例1よりも大きくなるために高まるのではない。むしろ、試験例2では、添加ガス(窒素ガス)により例えば水素ラジカルの再結合が抑えられることによって活性種の失活が抑えられる。これにより、基板Sの酸化膜に到達する活性種の量が増大し、その結果、試験例2での還元率が、試験例1(および試験例3)での還元率よりも高められている。
【0054】
[SIMSによる表面分析]
図6から図10を参照して、以下の試験例4〜8の各分析用基板に対するSIMSによる表面分析の結果を説明する。
【0055】
[試験例4]
基板の面上に5nmの厚さを有したタンタル層を形成し、タンタル層の面上に150nmの厚さを有した第1銅層を形成して、積層体を形成した。そして、積層体を10日間にわたって大気中に静置した後、第1銅層の面上に50nmの厚さを有した第2銅層を形成して、試験例4の分析用基板を得た。
【0056】
[試験例5]
積層体を大気中に静置した後、第2銅層を形成する前に積層体に対して還元処理を行うこと以外は、試験例4と同様の方法によって試験例5の分析用基板を得た。試験例5での還元処理では、水素ガスの流量を1000sccm、アルゴンガスの流量を200sccm、添加ガスである酸素ガスの流量を2sccm、収容部11の内部の圧力を70Pa、高周波電力を500W、処理時間を10秒、基板Sの温度を150℃に設定した。なお、プラズマ源22としてマイクロ波を用いた。
【0057】
[試験例6]
還元処理において処理時間を60秒に設定すること以外は、試験例5と同様の方法によって試験例6の分析用基板を得た。
【0058】
[試験例7]
還元処理において添加ガスとして窒素ガスを用いること以外は、試験例6と同様の方法によって試験例7の分析用基板を得た。
【0059】
[試験例8]
試験例5と同様の条件で第1銅層の表面を還元した後、第2銅層を形成する前に第2プラズマ生成用ガスを用いて第1銅層の表面を処理すること以外は、試験例5と同様の方法によって試験例8の分析用基板を得た。第2プラズマ生成用ガスを用いて第1銅層の表面を処理する工程では、水素ガスの流量を1000sccm、アルゴンガスの流量を200sccm、収容部11の内部の圧力を70Pa、高周波電力を500W、処理時間を60秒に設定した。
【0060】
[分析結果]
図6に示すように、試験例4の分析用基板では、第1銅層の表面における酸素原子の濃度が1.5×1022原子/cmであり、窒素原子の濃度が1.0×1019原子/cmであり、炭素原子の濃度が2.0×1019原子/cmであり、水素原子の濃度が5.0×1020原子/cmであることが認められた。
【0061】
図7に示すように、試験例5の分析用基板では、第1銅層の表面における酸素原子の濃度が8.0×1019原子/cmであり、窒素原子の濃度、炭素原子の濃度、および水素原子の濃度が、いずれも検出下限値と同程度であることが認められた。言い換えれば、第1銅層の表面には、窒素原子、炭素原子、および水素原子のいずれもほぼ残存していないことが認められた。
【0062】
すなわち、試験例5における還元処理によれば、第1銅層の表面に形成された酸化膜を還元することが可能であるものの、第1銅層の表面に酸素原子が残存することが認められた。また、試験例5における還元処理によれば、酸化膜の還元に加えて、第1銅層の表面から窒素原子、炭素原子、および水素原子も取り除かれることが認められた。
【0063】
図8に示すように、試験例6の分析用基板では、第1銅層の表面における酸素原子の濃度が9.0×1019原子/cmであり、窒素原子の濃度、炭素原子の濃度、および水素原子の濃度が、いずれも検出下限値と同程度であることが認められた。言い換えれば、第1銅層の表面には、窒素原子、炭素原子、および水素原子のいずれもほぼ残存していないことが認められた。
【0064】
すなわち、試験例6における還元処理によれば、第1銅層の表面に形成された酸化膜を試験例5と同程度に還元することが可能であるものの、第1銅層の表面に酸素原子が残存することが認められた。また、試験例6における還元処理によれば、酸化膜の還元に加えて、第1銅層の表面から窒素原子、炭素原子、および水素原子も取り除かれることが認められた。
【0065】
図9に示すように、試験例7の分析用基板では、第1銅層の表面における酸素原子の濃度が検出下限値と同程度であり、窒素原子の濃度が6.0×1019原子/cmであり、炭素原子の濃度が2.0×1019原子/cmであり、水素原子の濃度が検出下限値と同程度であることが認められた。言い換えれば、第1銅層の表面には、酸素原子および水素原子がほぼ残存していないことが認められた。
【0066】
すなわち、試験例7における還元処理によれば、第1銅層の表面に形成された酸化膜を還元することが可能であるものの、第1銅層の表面に窒素原子が残存することが認められた。また、試験例7における還元処理によれば、酸化膜の還元に加えて、第1銅層の表面から水素原子も取り除かれることが認められた。
【0067】
図10に示すように、試験例8の分析用基板では、第1銅層の表面における酸素原子の濃度、窒素原子の濃度、炭素原子の濃度、および水素原子の濃度の全てが、検出下限値と同程度であることが認められた。言い換えれば、第1銅層の表面には、酸素原子、窒素原子、炭素原子、および水素原子いずれも残存していないことが認められた。
【0068】
すなわち、試験例8における還元処理によれば、第1プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマを用いた酸化膜の還元の後に第1銅層の表面に残存する酸素原子が、第2プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマを用いた第1銅層の処理によって取り除かれることが認められた。
【0069】
このように、添加ガスとして酸素ガスを含む第1プラズマ生成用ガスから生成されたプラズマを用いた酸化膜の還元によれば、酸化膜が還元される。そして、第1プラズマ生成用ガスのプラズマを用いて酸化膜を還元した後に、第2プラズマ生成用ガスのプラズマを用いて基板を処理すれば、添加ガスに含まれる酸素原子を基板の表面から取り除くことができる。なお、ここでは説明を省略しているが、添加ガスとして窒素ガスを含む第1プラズマ生成用ガスのプラズマを用いて酸化膜の還元を行った後に、第2プラズマ生成用ガスのプラズマを用いて基板を処理した場合には、添加ガスに含まれる窒素原子を基板の表面から取り除くことができる。
【0070】
本実施形態の基板処理方法および基板処理装置によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)水素ガスのみからプラズマが生成される場合と比べて、水素ガスと添加ガスとの混合ガスからプラズマが生成されることによって、水素ガスから生成された活性種の失活が添加ガスによって好適に抑えられる。このため、水素ガスから生成された活性種のうち酸化膜に到達する活性種の割合が高まり、結果として、消費電力当たりの酸化膜の還元速度が高まる。
【0071】
(2)添加ガスが酸素ガスであり、かつ、流量比が1/10以下であれば、活性種の失活を抑えられるとともに、プラズマ中の酸素原子が基板に残ることを抑えることができる。
【0072】
(3)添加ガスが窒素ガスであり、かつ、流量比が1/10以下であれば、活性種の失活を抑えられるとともに、プラズマ中の窒素原子が基板に残ることを抑えることができる。
【0073】
(4)第1プラズマによって酸化膜の還元を行った後に第2プラズマを用いて基板Sを処理することにより、第1プラズマの使用によって基板Sに残存した酸素原子および窒素原子の少なくとも一方を取り除くことができる。
【0074】
上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・添加ガスが窒素ガスであるとき、基板S上の酸化膜を還元することが可能であれば、流量比は1/10よりも大きくてもよい。この際、混合ガスにおける流量比の上限値は、基板Sの表面に残る窒素原子が後工程の処理結果に影響を及ぼさない範囲から適宜選択されるものである。
【0075】
・添加ガスが酸素ガスであるとき、基板S上の酸化膜を還元することが可能であれば、流量比は1/10よりも大きくてもよい。この際、混合ガスにおける流量比の上限値は、基板Sの表面に残る酸素原子が後工程の処理結果に影響を及ぼさない範囲から適宜選択されるものである。
【0076】
・流量比が1/500以上であれば、水素ガスは1000sccm以外の流量であってもよい。この際、混合ガスにおける流量比の上限値は、基板Sの表面に残る窒素原子および/または酸素原子が後工程の処理結果に影響を及ぼさない範囲から適宜選択されるものである。
【0077】
・プラズマ供給部12は、収容部11の外部においてプラズマを生成して収容部11にプラズマを供給する構成に限らず、収容部11の内部においてプラズマを生成する構成であってもよい。こうした構成では、プラズマ供給部12は、例えば、収容部11と、収容部11の周囲に配置される誘導結合プラズマ(ICP)コイルと、ICPコイルに高周波電圧を印加する電源とを備えていればよい。
【符号の説明】
【0078】
10…基板処理装置、11…収容部、11a…排気口、12…プラズマ供給部、13…ガス供給部、14…拡散部、15…支持部、16…排気部、21…プラズマ生成室、21a…ガス供給口、22…プラズマ源、23…高周波電源、30…制御部、S…基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10