(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
含水原料、5質量%以上の油脂、デンプン、及び冷凍耐性を有する増粘成分を含み、水分含量が10〜40質量%であり、そして油脂成分の5質量%以上が油脂層を形成している、ソース用冷凍ルウ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔1〕冷凍ルウ
本発明の冷凍ルウは、含水原料、5質量%以上の油脂、デンプン、及び冷凍耐性を有する増粘成分を含み、水分含量が10〜40質量%であり、そして油脂成分の5質量%以上が油脂層を形成している。
従来の固形ルウは保存安定性のため、水分含量を4質量%程度に抑えており、6倍量程度の水を添加して使用される。これに対して、本発明の冷凍ルウは、冷凍保存のため、水分含有量が制限されない。すなわち、本発明の冷凍ルウは含水原料を用いることができ、自然な風味を得ることができる。含水原料としては、畜肉エキス、魚介エキス、畜肉ペースト、魚介ペースト、野菜エキス、野菜ペースト、果物エキス、果物のペースト、ココナッツミルク及び液体乳原料などを挙げることができる。
【0010】
本発明の具体的な冷凍ルウの種類は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばカレールウ、ホワイトルウ、デミグラスルウ、ハヤシルウ、パスタルウ、ベシャメルルウ、ヴルーテルウ、エスパニョールルウ、又はポタージュルウを挙げることができる。これらの冷凍ルウを用いて、例えばカレーソース、ホワイトソース、デミグラスソース、ハヤシソース、パスタソース、ベシャメルソース、ヴルーテソース、エスパニョールソース、又はポタージュソースを調製することができる。
【0011】
《油脂層の形成》
本発明の冷凍ルウは、使用された油脂成分の5質量%以上が油脂層を形成している。油脂層を形成している油脂成分の量は、好ましくは10質量%であり、より好ましくは15質量%である。限定されるものではないが、冷凍ルウの油脂成分が油脂層を形成していることによって、本発明の冷凍ルウを用いた食品は、優れた風味を示すと考えられる。
油脂層を形成した油脂成分の量は、油脂層をスプーンなどによって剥離し、その剥離量を油脂成分の量とすることもできる。しかしながら、より正確には、剥離した油脂層の中の油脂成分を酸分解法又はソックスレー法によって測定することができる。また、冷凍ルウに含まれる全体の油脂量も酸分解法又はソックスレー法によって測定し、油脂層を形成している油脂成分の比率を計算することができる。
【0012】
《水分含量》
本発明の冷凍ルウの水分含量は、10〜40質量%であるが、好ましくは12〜38質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。水分含量が10〜40質量%であることによって、本発明の冷凍ルウを用いた食品は、自然な風味を示すことができる。
【0013】
本発明の冷凍ルウは、限定されるものではないが、保存コスト又は輸送コストを考慮して、冷凍ルウの容積を減少させ、2〜5倍程度までの水を添加する態様の冷凍ルウを製造することが好ましい。すなわち、本発明の冷凍ルウの濃度は、限定されるものではないが、2〜5倍濃縮であり、より好ましくは3〜4倍濃縮である。
【0014】
《油脂》
本発明の冷凍ルウは、5質量%以上の油脂を含む。油脂の含有量の下限は、好ましくは7質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは12質量%以上であり、最も好ましくは15質量%以上である。油脂の含有量の上限は、限定されるものではないが、50質量%以下であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは35質量%以下であり、最も好ましくは30質量%以下である。
本発明の冷凍ルウに用いる油脂としては、限定されるものではないが、動物油脂、又は植物油脂を挙げることができる。動物油脂の由来としては、特に限定されるものではないが、例えばウシ(牛脂)、ブタ(豚脂)、ヒツジ(羊脂)、ヤギ(山羊脂)、ウマ(馬脂)、ニワトリ(鶏脂)、又は乳脂(例えば、バター)を挙げることができる。また、植物油脂としてしては、ひまわり油、菜種油、大豆油、紅花油、綿実油、コーン油、米油、ゴマ油、アマニ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、つばき油、カカオ脂、シア脂、サル脂、イリッペ脂、アーモンド油、落花生油、米糠油、又はアボカド油を挙げることができる。更に、本発明においては、前記動物油脂又は植物油脂の分別油、硬化油(極度硬化油、又は部分硬化油;例えば、マーガリン)、又はエステル交換油を用いることもでき、前記油脂、又はその分別油、硬化油(極度硬化油、又は部分硬化油)、若しくはエステル交換油の1つ又は2つ以上を組み合わせて、本発明の冷凍ルウに用いることができる。
【0015】
《デンプン》
本発明の冷凍ルウに用いるデンプンは、通常ルウに用いられているものを、制限なく用いることができる。デンプンとしては、小麦、馬鈴薯、コーン(例えば、ワキシーコーン)、米、又はタピオカ由来のデンプンを挙げることができる。また、これらのデンプンの物理的性状を改善させた加工デンプンを用いることもできる。加工デンプンは、粘性等を改善するために、デンプンを物理的、酵素的、又は化学的に処理したものである。本発明の冷凍ルウにおいては、これらのデンプンを1種又は2種以上混合して用いることができるが、小麦由来のデンプンを含む小麦粉を含んでいることが好ましい。小麦粉の主成分はデンプンであるが、10質量%程度のタンパク質(グリアジン及びグルテニン)を含んでいる。このタンパク質が水を吸収することにより、グルテンとなり、小麦粉の粘性を示す。また、小麦粉は、タンパク質の含有量によって、強力粉、中力粉、又は薄力粉に分類されている。
【0016】
《冷凍耐性を有する増粘成分》
冷凍耐性を有する増粘成分は、冷凍耐性を有する限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、米由来デンプン、加工デンプン、増粘多糖類(例えば、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、カラヤガム)を挙げることができる。加工デンプンには様々な物性を示す加工デンプンがあるが、冷凍耐性を有する加工デンプンを、冷凍耐性を有する増粘成分として用いることができる。米由来デンプン及び冷凍耐性を有する加工デンプンは、前記の「デンプン」及び「冷凍耐性を有する増粘成分」としても用いることができる。冷凍耐性を有する増粘成分を含むことにより、冷凍によって粘度が低下する小麦由来デンプン等によるとろみを補完し、まろやかな食感を得ることができる。
【0017】
《含水原料》
本発明の冷凍ルウは、含水原料を含む。含水原料としては、例えば畜肉エキス、魚介エキス、畜肉ペースト、魚介ペースト、野菜エキス、野菜ペースト、果物エキス、果物のペースト、ココナッツミルク及び液体乳原料を挙げることができる。これらの含水原料を含むことによって、粉っぽさがなく瑞々しい食感、又はまろやかな食感を得ることができる。畜肉エキス若しくはペーストとしては、ビーフ、ポーク、又はチキン由来のエキス又はペーストを挙げることができる。魚介エキス若しくはペーストとしては、昆布、シュリンプ、貝又は鰹節由来のエキス又はペーストを挙げることができる。野菜若しくは果物のペースト又はエキスとしては、オニオン、キャベツ、人参、パンプキン、白菜、しょうが、にんにく、リンゴ、ブルーベリー、又はゆず由来のペースト又はエキスを挙げることができる。液体乳原料としては、例えば、生乳、クリーム、ヨーグルト又はチーズを挙げることができる。
【0018】
《香辛料》
本発明の冷凍ルウに含まれる香辛料は、一般的には、スパイスやハーブと呼ばれるものである。具体的には、例えば、アニス、オールスパイス、オレガノ、にんにく、カルダモン、クミン、唐辛子、コショウ、セージ、ナツメッグ、クローブ、シナモン、山椒、しょうが、コリアンダー、フェンネル、フェネグリーク、パプリカ、バジル、ターメリック、カフェライムリーフ、又はレモングラスを挙げることができる。また、これら香辛料を粉末状にしたものや、混合したもの(例えば、カレー粉、ガラムマサラ)も含む。
【0019】
《調味料》
本発明の冷凍ルウに含まれる調味料としては、甘み、コク、酸味、旨み等を加えることができる各種調味料などであれば必要に応じて使用することができるが、例えば、食塩、砂糖(糖類)、醤油、蝦醤、魚醤、グルタミン酸ナトリウムを挙げることができる。更に、畜肉魚介、野菜、又は果物の粉末(例えば、オニオン粉末)を用いることもできる。
【0020】
《乳化剤》
本発明の冷凍ルウは、乳化剤を含むことができる。乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン及び/又はプロピレングリコールを挙げることができる。
【0021】
〔2〕冷凍ルウの製造方法
本発明の冷凍ルウの製造方法は、(1)油脂、及びデンプンを混合する工程、(2)含水原料を添加し、水分含量10〜40質量%のルウを得る混合工程、(3)前記ルウを1〜15℃の温度下で、表面から5mmの温度が23℃以下になるまで冷蔵し、冷蔵ルウを製造する工程、及び(4)前記冷蔵ルウを−5℃以下で冷凍する工程、を含む。
本発明の冷凍ルウの製造方法においては、混合工程(1)において、焙煎したデンプン及び油脂を用い、80℃以上の加熱を行わずに混合することもできる。また、混合工程(1)において、焙煎されていない生のデンプンを用いて、油脂及びデンプンを混合して80℃以上で加熱し混合することもできる。本明細書においては、便宜上、80℃以上の加熱を行わずに混合することを「低温加熱混合」と称し、80℃以上で加熱し混合することを「高温加熱混合」と称する。本発明の製造方法において用いられる油脂、デンプン、含水原料、冷凍耐性を有する増粘成分、香辛料、調味料、及び乳化剤などは、例えば前記「〔1〕冷凍ルウ」の項に記載のものを用いることができる。限定されるものではないが、本発明の冷凍ルウの製造方法によって、本発明の冷凍ルウを製造することができる。
【0022】
(1)混合工程
《低温加熱混合》
低温加熱混合の場合、デンプンとして焙煎されたデンプンを用いることができる。焙煎デンプンは、例えば小麦、馬鈴薯、コーン(例えば、ワキシーコーン)、米、又はタピオカ由来のデンプン、若しくはそれらの加工デンプンを、80〜300℃でローストすることによって得ることができる。
焙煎されたデンプン及び油脂を、必要に応じて80℃未満で加熱しながら混合する。
【0023】
《高温加熱混合》
高温加熱混合の場合、限定されるものではないが、好ましくはデンプンとして生デンプン(焙煎されていないデンプン)を用いる。すなわち、デンプン(小麦、馬鈴薯、コーン(例えば、ワキシーコーン)、米、又はタピオカ由来のデンプン、若しくはそれらの加工デンプン)を油脂と混合して、80℃以上で加熱する。加熱の温度は80℃以上であるが、好ましくは90℃以上であり、更に好ましくは100℃以上である。加熱温度の上限は限定されるものではないが、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは160℃以下であり、更に好ましくは150℃以下であり、最も好ましくは140℃以下である。加熱時間も、特に限定されるものではないが、好ましくは15分〜2時間であり、より好ましくは30分〜1時間である。
【0024】
混合工程(1)において用いる油脂は、前記「〔1〕冷凍ルウ」の欄に記載の油脂、又はその油脂の2種以上の組み合わせを用いることができるが、バター、マーガリン、ファットスプレッド、又はショートニングなどの硬化油が好ましい。デンプンも前記「〔1〕冷凍ルウ」の欄に記載のデンプン、又はそのデンプンの2種以上の組み合わせを用いることができるが、小麦由来のデンプンを含む小麦粉を含むことが好ましい。
更に、混合工程(1)においては、本発明の効果が得られる限りにおいて、冷凍耐性を有する増粘成分、香辛料、乳化剤、及び調味料、を混合してもよい。
【0025】
(2)混合工程
本発明の冷凍ルウの製造方法においては、前記混合された油脂及びでんぷんなどに、含水原料を添加し、水分含量10〜40質量%のルウを得る混合工程(2)を含む。混合工程(2)においては、カレールウ、ホワイトルウ、又はデミグラスルウなどの各種のルウに合わせて、畜肉エキス、畜肉ペースト、魚介エキス、魚介ペースト、野菜若しくは果物のペースト若しくはエキス、ココナッツミルク、及び液体乳原料から選択することができる。更に、香辛料、調味料、及び乳化剤も、各種のルウに合わせて選択し、混合することができる。含水原料、香辛料、調味料、及び乳化剤は、前記「〔1〕冷凍ルウ」の欄に記載のものを制限なく、用いることができる。更に、前記「〔1〕冷凍ルウ」の欄に記載の冷凍耐性を有する増粘成分を、混合工程(2)において混合することもできる。
【0026】
前記含水原料は、風味を維持するために、100℃未満で混合することが好ましい。従って、混合工程(2)の温度は、限定されるものではないが、100℃未満で行うことが好ましい。また、100℃未満であれば、添加する材料に応じて、適宜決定することができる。例えば、畜肉エキス、魚介エキス、又は野菜若しくは果物のペーストは、限定されるものではないが100℃未満で混合するのが好ましく、一方、液体乳原料は、45〜80℃程度で混合するのが好ましい。
前記混合工程(1)及び混合工程(2)を同時に行うこともできる。特に、混合工程(1)を100℃未満で行う場合は、含水材料の温度が100℃以上とならないため、混合工程(1)及び(2)を同時に行うことが可能である。
【0027】
混合工程(2)で得られたルウは、後述の冷蔵工程及び冷凍工程のために、好ましくは容器に充填する。充填容器は、特に限定されるものでないが、例えば合成樹脂のトレー容器、合成樹脂フィルム及び/又は金属箔のラミネート材からなるプラスチック袋を用いることができる。例えば、袋状容器では、アルミナ蒸着PETフィルム/ポリアミド/ポリプロピレンフィルムを、ポリプロピレンフィルム面ではりあわせた袋や、トレー容器と蓋材の組み合わせ容器では、トレー容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を中間層とし、上下層には、ポリプロピレンを積層しこれをトレー状に成形したものとトレー容器上蓋フィルム(ガラス蒸着PET/ポリアミド/ポリプロピレン系シーラント)などが使用できる。
充填工程は、限定されるものでないが、好ましくは無菌設備中でバリヤー性容器中に充填し、例えばヒートシール機で完全に密封する。また必要に応じて、完全密封する際に、窒素などでバリヤー性容器内の残存空気を置換したり、脱酸素剤も充填して残存空気中の酸素を脱酸素剤に吸収させることもできる。
容器の大きさも、製品の荷姿に応じて、例えば一食用のサイズから業務用のサイズまで、適宜選択することが可能である。具体的には、30g〜20kg程度の荷姿用の容器を用いることが可能であり、例えば30g、50g、100g、200g、500g、1kg、3kg、5kg、10kg、15kg、又は20kg程度の荷姿用の容器を用いることができる。
【0028】
(3)冷蔵工程
前記ルウは、1〜15℃の温度下で、表面から5mmの温度が23℃以下になるまで、冷蔵庫又は冷蔵室などで冷蔵される。冷凍ではなく、冷蔵により緩やかに温度が23℃以下になることによって、油脂成分が油脂層を形成する。油脂成分が油脂層を形成することによって、本発明の冷凍ルウを用いた食品は優れた風味を示すと考えられる。例えば、40℃のルウの表面から5mmの温度が23℃以下になるまでの時間は、限定されるものでないが、5kgの荷姿の場合2時間以上、3kgの荷姿の場合2時間以上、1kgの荷姿の場合1時間15分以上が好ましい。
表面から5mmの温度が23℃以下になるように、緩やかな温度低下で冷蔵することにより、ルウの表面が固まり、そして油脂成分が油脂層を形成する。これによって、本発明の効果が得られるが、表面から5mmの温度は、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは17℃以下である。
しかしながら、急速冷凍では油脂成分が油脂層を形成せず、優れた風味の食品を得ることができない。すなわち、冷蔵を行わずに、そのまま冷凍する急速冷凍では、本発明の効果が得られない。
【0029】
冷蔵温度、及び冷蔵時間は、ルウの表面に油脂成分の5質量%以上が油脂層を形成する限りにおいて限定されるものではない。冷蔵温度1〜15℃の冷蔵庫を用いて、冷蔵すれば、当業者は容易に、表面から5mmの温度を23℃以下とし、ルウの表面に油脂成分の5質量%以上の油脂層を形成させることができる。なお、容器が1cm未満の厚さの場合、「表面から5mmの温度」は、中心温度とし、中心温度の測定を行うものとする。
なお、冷蔵前の冷凍ルウの温度は、特に限定されるものでないが、例えば35〜70℃であり、好ましくは40〜60℃である。
【0030】
前記の通り、冷蔵温度は1〜15℃である限りにおいて、限定されるものではないが、上限は好ましくは13℃以下であり、より好ましくは11℃以下である。冷蔵温度の下限は、好ましくは3℃以上であり、より好ましくは5℃以上である。また、冷蔵時間も特に限定されるものではないが、下限は好ましくは2時間以上であり、より好ましくは3時間以上であり、更に好ましくは4時間以上であり、更に好ましくは5時間以上である。冷蔵時間の上限は、ルウの品質が低下しない限りにおいて特に限定されないが、好ましくは72時間以下であり、より好ましくは48時間以下であり、更に好ましくは36時間以下であり、最も好ましくは24時間以下である。
【0031】
更に、表面から5mmの温度が23℃以下になった状態で、30分以上載置されることが好ましいが、より好ましくは1時間以上であり、更に好ましくは2時間以上であり、更に好ましくは3時間以上であり、更に好ましくは4時間以上である。載置時間の上限は、ルウの品質が低下しない限りにおいて特に限定されないが、好ましくは72時間以下であり、より好ましくは48時間以下であり、更に好ましくは36時間以下であり、最も好ましくは24時間以下である。
なお、冷蔵工程の後に、箱詰め作業を行ってもよい。この場合、箱詰めは冷蔵の状態で行ってもよく、又は室温で行ってもよい。室温で箱詰め作業を行っても、本発明の効果を得ることができるが、12時間以上室温に置くことは好ましくない。本明細書において、室温とは15〜30℃を意味する。
【0032】
(4)冷凍工程
前記冷蔵されたルウは、−5℃以下の冷凍庫、冷凍室、又は冷凍車などで冷凍される。冷凍温度はルウが冷凍される限りにおいて、限定されないが好ましくは−5〜−30℃であり、より好ましくは−10〜−30℃であり、更に好ましくは−15〜−30℃である。冷凍された冷凍ルウは、基本的に使用されるまで冷凍状態で輸送及び保存される。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
《実施例1》
本実施例では、冷凍カレールウを調整した。
小麦粉5kg、バター12.5kg、マーガリン7.5kg、しょうがペースト1kg、及びにんにくペースト0.5kgを焙煎した。小麦粉、バター、及びマーガリンを撹拌混合しながら品温が50℃程度になったとところで、しょうがペースト及びにんにくペーストを加え、品温が約120℃に達するまで焙煎し、消火した。次に、オニオンペースト25kg、及びフルーツ(バナナ及びリンゴ)ペースト7.5kgを加え、撹拌混合した。更に、調味料(食塩、砂糖等)10kg、香辛料(カレー粉、ガラムマサラ等)4kg、ビーフエキス5kg、カラメル0.75kg、乳化剤0.25kg、加工デンプン5kgを添加し、更に60℃程度に品温が低下した段階で、液体乳原料10kgを加え、撹拌混合した。
得られたカレールウを、10kg、5kg、3kg、及び1kgずつ、プラスチック袋に充填した。これらの充填したカレールウは、表面温度が40℃〜50℃程度であった。充填されたカレールウを15℃の冷蔵庫に載置した。表面から5mmの温度が23℃以下に低下した時間は、5kgで約3時間30分、3kgで約3時間00分、1kgで約2時間25分であった。表面から5mmの温度が23℃程度で、表面が固化し、油脂層が形成された。
20時間後、冷蔵庫からカレールウを取り出し、−18℃のブラストチラー急速冷凍機に移し替えた。約2時間半程度の冷凍により、10kg、5kg、3kg、及び1kgの荷姿の本発明の冷凍カレールウを得た。
【0035】
《実施例2》
15℃の冷蔵庫に代えて、10℃の冷蔵庫を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。表面から5mmの温度が23℃以下に低下した時間は、5kgで約2時間30分、3kgで約2時間30分、1kgで約1時間45分であった。
【0036】
《実施例3》
15℃の冷蔵庫に代えて、5℃の冷蔵庫を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。表面から5mmの温度が23℃以下に低下した時間は、5kgで約2時間15分、3kgで約2時間15分、1kgで約1時間30分であった。
【0037】
《比較例1》
本比較例では、冷蔵工程を行わずに、冷凍カレールウを調製した。
冷蔵庫による冷蔵工程を行わなかったことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、10kg、5kg、3kg、及び1kgの荷姿の冷凍カレールウを得た。例えば10kgの荷姿のカレールウにおいて、表面から5mmの温度は、1時間20分程度で23℃に低下し、約2時間程度で、表面が凍結した。
【0038】
《油脂層の油脂成分量の測定》
実施例1〜3及び比較例1の油脂層を形成する油脂成分量を測定した。油脂層は、凍結物の表面に形成されているため、油脂層をスプーンで剥離し、それを計量して油脂層の油脂成分量とした。一方、実施例及び比較例の原料中の油脂成分を計算し、冷凍カレールウ中の全体の油脂成分量を求めた。油脂層の油脂成分量を全体の油脂成分量で除して、油脂層を形成している油脂成分の比率を求めた。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
急速冷凍した比較例1に比べて、緩やかに冷蔵した実施例1〜3は、油脂層に含まれる油脂成分が多かった。また、実施例1〜3より、冷蔵が緩やかである方が油脂成分の比率が高かった。
【0040】
実施例1〜3及び比較例1の1kgの荷姿の冷凍カレールウを用いて、カレーソースを調製した。前記実施例1〜3及び比較例1の冷凍カレールウを室温で溶解させた。水150gを沸騰させた後、加熱を止め、約80℃になった時、前記実施例1〜3及び比較例1の冷凍ルウ50gを添加し、加熱して炊き上げ、カレーソースを得た。
パネルメンバー13人により、カレーソースを以下の評価基準に従って評価し、その平均点を表2に示した。
【0041】
【表2】
(評価基準)
5点:(香り立ち又は味のまとまりが)明らかに優れている
4点:(香り立ち又は味のまとまりが)優れている
3点:(香り立ち又は味のまとまりが)従来レベルである
2点:(香り立ち又は味のまとまりが)劣っている
1点:(香り立ち又は味のまとまりが)明らかに劣っている
【0042】
本発明の冷凍カレールウを用いて調製したカレーソースは、比較例1の冷凍カレールウを用いて調製したカレーソースと比較して、優れた風味、特に優れた香り立ち及び味のまとまり示した。
《実施例4》
本実施例では、冷凍ホワイトソースルウを調整した。
小麦粉100g、バター50gを焙煎した。品温が約110℃に達するまで焙煎し、消火した。次に、乳糖50g、及び調味料(食塩、砂糖等)40g、香辛料(コショウ等)5g、乳化剤5g、加工デンプン100gを加え混合撹拌した。70℃程度に品温が低下した段階で、液体乳原料1500gを加え、撹拌混合した。
得られたホワイトソースルウを、1kgずつプラスチック袋に充填した。充填したホワイトソースルウは、表面温度が40℃〜50℃程度であった。充填されたホワイトソースルウを10℃の冷蔵庫に載置した。表面から5mmの温度が23℃程度で、表面が固化し、油脂層が形成された。
15時間後、冷蔵庫からホワイトソースルウを取り出し、−18℃のブラストチラー急速冷凍機に移し替えた。約30分程度の冷凍により、1kgの荷姿の冷凍ホワイトソースルウを得た。
得られた冷凍ホワイトソースルウを用いてホワイトソースを調製した。得られたホワイトソースは、実施例1で得られたカレーソースと同じように、香り立ち及び味のまとまりが優れていた。