(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて各実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の半導体発光装置100を示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、半導体発光装置100は、取付面30aと取付面30aの反対側に位置する放熱面30bとを有する基体30と、基体30の取付面30a側に取り付けられる半導体発光素子10と、基体30の取付面30a側に取り付けられ、半導体発光素子10と電気的に接続される内部リード60と、半導体発光素子10および内部リード60を覆うように取付面30aに取り付けられ、貫通孔41bが設けられたキャップ40と、キャップ40の貫通孔41bに取り付けられ、一端がキャップ40の内側で内部リード60と電気的に接続され、他端がキャップ40の外側に配置される外部リード50と、を備える。特に、外部リード50は、取付面30aの法線方向からみて、基体30の外形線30cよりも内側の領域Z1に位置している。なお、基体30の外形線はキャップ40の外形線と重なるか、又は基体30の外形線はキャップ40の外形線よりも外側にある。
【0015】
前記半導体発光装置100では、外部リード50は、基体30を貫通しないで、キャップ40を貫通する。つまり、基体30の放熱面30b側に外部リード50が存在しない。このため、基体30の放熱面30b側に外部リードが存在する場合と比較して、基体30の放熱面30bの面積を大きくすることができる。これにより、放熱性が向上する。
【0016】
ここで、基体30の下面全面を放熱面30bとする構造において、仮に、外部リードが水平方向に突出して基体の外形線よりも外側に配置されると、水平方向に複数の半導体発光装置を近接配置しにくくなる。つまり、隣接する2つの半導体発光装置において、一方の半導体発光装置の外部リードが他方の半導体発光装置に接触してしまうため、近接して配置しにくくなる。そこで、前記実施形態の半導体発光装置100では、キャップ40の外側に配置される外部リード50を外形線30cよりも内側の領域Z1に位置するよう配置した。こうすることで、
図3に示すように、複数の半導体発光装置100を近接して配置する際に、隣接する2つの半導体発光装置100において、一方の半導体発光装置100の外部リード50が、他方の半導体発光装置100に接触し難くなる。したがって、複数の半導体発光装置100を近接して並べることができる。これにより、小さな面積で高出力な半導体発光装置アレイ1を構成することができる。
【0017】
前記半導体発光装置100の製造方法は、第1構成部材準備工程と第2構成部材準備工程とキャップ被覆工程とキャップ接着工程とを備える。
【0018】
第1構成部材準備工程は、互いに反対側に位置する取付面30aおよび放熱面30bを含む基体30と、前記基体30の前記取付面30a側に取り付けられた内部リード60と、前記基体30の前記取付面30a側に取り付けられ、前記内部リード60と電気的に接続された半導体発光素子10とを有する第1構成部材を準備する。第2構成部材準備工程は、貫通孔41bが設けられたキャップ40と、前記キャップ40の前記貫通孔41bに取り付けられ、一端が前記キャップ40の内側に配置され、他端が前記キャップ40の外側に配置された外部リード50とを有する第2構成部材を準備する。キャップ被覆工程は、前記半導体発光素子10および前記内部リード60を前記キャップ40で覆い、前記キャップ40の内側で前記外部リード50と前記内部リード60とを電気的に接続する。キャップ接着工程は、前記キャップ40と前記基体30の前記取付面30aとを接着する。キャップ被覆工程において、外部リード50は、取付面30aの法線方向からみて、基体30の外形線30cよりも内側の領域Z1に位置している。なお、第1構成部材準備工程と第2構成部材準備工程とは、どちらが先であってもかまわない。
【0019】
したがって、上述したように、外部リード50は、基体30を貫通しないで、キャップ40を貫通する。つまり、基体30の放熱面30b側に外部リードが存在しないため、基体30の下面全面から放熱でき、放熱性が向上する半導体発光装置100を構成できる。また、外部リード50は、取付面30aの法線方向からみて、基体30の外形線30cよりも内側の領域Z1に位置しているので、複数の半導体発光装置100を近接して並べることができて、配列性が向上する半導体発光装置100を構成できる。
【0020】
以下に、半導体発光装置100に用いられる主な部材について詳しく説明する。なお、各部材については少なくとも1つあればよく、複数個あってもよいものとする。
【0021】
(基体30)
基体30は、取付面30aと、前記取付面30aの反対側に位置する放熱面30bとを少なくとも有する。基体30の放熱面30bは平坦とするのが好ましい。こうすることで、基体30の下面全面を放熱面30bとできるため、排熱しやすくなる。取付面30aは平坦であってもよいし、凸部31が設けられていてもよく、本実施形態において、取付面30aは、凸部31を有している。つまり、取付面30aの外周部を平坦部とし、取付面30aの内部を平坦部よりも高い位置にある凸部31としている。こうすることで、凸部31とキャップ40をはめ合わせると内部リード60と外部リード50とが接続されることになるため、内部リード60と外部リード50との位置合わせがキャップ40をはめ合わせると同時に行えることとなる。なお、本明細書における「取付面」とは、基体30のうちキャップ40及び半導体発光素子が取り付けられる側の面であり、基体30の放熱面を下面としたときに、反対側の面が取付面である。
【0022】
前記基体30は、例えば、Fe−Cu−Feクラッド材の表面にニッケルめっきと金めっきを順次施して、構成される。なお、基体30の構成材料としては、金属、セラミック等、あるいは、それらの組合せであってもよい。
【0023】
前記基体30の形状は、上面視において矩形であるが、この形状に限定されず、例えば、円形等とすることもできる。また、基体30の四隅には、図示しない取付用孔(
図4Aの取付用孔35と同じ)が設けられている。取付用孔は、放熱部材を取り付けるための孔である。
【0024】
(ヒートシンク20)
基体30には、ヒートシンク20を取り付けることができる。本実施形態においては、ヒートシンク20は、取付面30aの凸部31に取り付けられている。ヒートシンク20は、例えば、銅あるいはアルミニウムなどの放熱性の良好な部材から構成される。ヒートシンク20が、銅から構成される場合、ヒートシンク20は、例えば、銀ろうにより基体30に接着される。また、基体30のヒートシンク20を接着する領域において、Fe−Cu−Feクラッド材から構成される基体30のFe層を、予め、機械加工あるいは化学的エッチングにより、除去しておくことが好ましい。こうすることで、ヒートシンク20の基体30へのろう付け精度、および、ヒートシンク20と基体30との熱伝導性を高めることができる。
【0025】
ヒートシンク20は、用途に合わせて様々な形状とすることができる。半導体発光装置100では、ヒートシンク20の上面に、搭載面20a、傾斜面20b及び平坦面20cを有する。ヒートシンク20の半導体発光素子(半導体発光装置100では、Laser Diodeチップ(LDチップ))10を搭載する搭載面20aは、取付面30aに対して、平行である。つまり、LDチップ10は、ヒートシンク20に平置きされている。平坦面20cは、搭載面20aと平行であり、搭載面20aよりも、取付面30aから離れた高い位置にある。傾斜面20bは、搭載面20aに対して傾斜しており、搭載面20aと平坦面20cとの間に接続される。傾斜面20bには、フォトダイオード15が取り付けられ、平坦面20cには、内部リード60が取り付けられている。
【0026】
(LDチップ10)
LDチップ10は、サブマウント70を介して、ヒートシンク20の搭載面20aに取り付けられる。LDチップ10としては、窒化物半導体素子を用いることができる。LDチップ10は、端面発光型であり、搭載面20aと平行な方向にレーザ光200を出射する。サブマウント70は、例えば、窒化アルミニウムや酸化アルミニウムなどからなるセラミック基板等の絶縁性の部材に、所定の金属薄膜パターンを設けたものである。
【0027】
(内部リード60)
内部リード60は、例えば、絶縁材80を介して、ヒートシンク20に取り付けられ、キャップ40の内側に配置される。絶縁材80は、例えば、アルミナセラミックを用いることができる。絶縁材80は、例えば銀ろうによりヒートシンク20に接着され、内部リード60の表面には、例えば、ニッケルめっきと金めっきが、順次施される。
【0028】
前記内部リード60の一端(外部リード側の端部)は内部端子64を有し、外部リード50と接続される。また、内部リード60の他端は、例えば銀ろうを介して絶縁材80に接着され、ワイヤ62を介してLDチップ10に電気的に接続される。このとき、キャップによりワイヤが保護されるため半導体発光装置の取り扱い時にワイヤ断線の懸念がなくなる。キャップは樹脂で封止する場合に比べて半導体発光装置の駆動中にワイヤへ負荷をかけることがないので、キャップで被覆するのがよい。
【0029】
(キャップ40)
キャップ40は、LDチップ10、及び内部リード60を覆うように、取付面30aに取り付けられる。キャップ40は、例えば、金属、セラミック等を含む部材を用いることができる。
【0030】
前記キャップ40は、LDチップ10等を収納するための凹みが設けられた本体部41と、本体部41の端から外側に伸びる外鍔部42とを有する。本実施形態において、本体部41は箱型であり、LDチップ10およびヒートシンク20を覆う。
【0031】
前記外鍔部42は、プロジェクション溶接により、取付面30aに接着することができる。プロジェクション溶接では、外鍔部42は部分的に突起43(
図2B参照)を有し、突起43と基体30とが接着される。キャップ40と基体30とは、プロジェクション溶接で接着することにより、キャップ内部の気密性を確保しながら、キャップ40と基体30との溶接の作業時間を短縮して製造コストを低減できる。
【0032】
また、前記キャップ40の本体部41には、貫通孔41bが設けられている。半導体発光装置100においては、本体部41の天井部(キャップ40Aのうち基体30の取付面30aと向かい合う面)に貫通孔41bが設けられ、この貫通孔41bに外部リード50が取り付けられる。前記貫通孔41bは、前記キャップ40の前記外鍔部42よりも内側の領域Z2に位置し、キャップ40に貫通した状態で外部リード50が取り付けられる。貫通孔は、直線的でなく、曲がっていてもよい。直線的であれば製造容易である。曲がっていると、取付面の法線方向の外部リードへの外力に対し、外部リードが抜けにくくなる。
【0033】
本体部41の側面部に窓部41aが設けられ、この窓部41aに窓体46が取り付けられる。本体部41は、基体30の凸部31に嵌合する。外鍔部42は、取付面30aの平坦部に接着される。
【0034】
(外部リード50)
外部リード50は、例えば、キャップ40の貫通孔41bに、絶縁材52を介して固定される。外部リード50の表面には、例えば、ニッケルめっきと金めっきが、順次施される。絶縁材52は、例えば、ホウケイ酸ガラス又はソーダーバリウム系軟質ガラスなどからなる。
【0035】
前記外部リード50の一端(内部リード側の端部)は外部端子54を有する。外部端子54としてはバネを用いることができ、前記内部リード60の内部端子64としてはバネ受け皿を用いることができる。半導体発光装置100では、外部端子54は、コイルバネであり、前記内部リード60の内部端子64は、バネ受け皿である。コイルバネである外部端子54は、圧縮した状態で、バネ受け皿である内部端子64に接触している。このように、外部端子54は、圧縮した状態で、内部端子64に接触しているので、外部端子54は、縮み代を有する。これにより、LDチップ10および内部リード60をキャップ40で覆う際、基体30とキャップ40を接触させる前に、内部端子64と外部端子54を接触せることができる。また、内部リード60と外部リード50とを圧縮した状態で接続するので、内部リード60と外部リード50とを確実に接続できる。したがって、内部リード60と外部リード50との電気的接続の不良を防止できる。
【0036】
前記外部リード50の他端は、図示しない外部配線と電気的に接続される。これにより、外部からの電力を、外部リード50と内部リード60を介して、LDチップ10へ供給することができる。
【0037】
前記外部リード50は、前記基体30の前記取付面30aの法線方向からみて、基体30の外形線30cよりも内側の領域Z1に位置している。基体30の外形線30cは、取付面30aの法線方向からみて、基体30の最も外側に位置する輪郭線である。こうすることで、複数の発光装置100を近接して配置することができる。この実施形態では、基体30の外形線30cは、取付面30aの輪郭線に一致しており、基体30の外形線30cの形状は、矩形である。
【0038】
また、外部リード50は取付面30aと垂直な方向へと設けることができる。つまり、外部リード50のキャップ40の外側に配置される部分は、キャップ40の外鍔部42の法線方向からみて、外鍔部42よりも内側の領域Z2に位置する。このとき、前記外部リード50のキャップ40の外側に配置される部分は、前記基体30の前記取付面30aに対して交差する方向に延在している。こうすることで、後述するように、キャップ40と基体30とをプロジェクション溶接を用いて接着することができるため、製造コストやタクトタイムを削減することができる。
【0039】
次に、前記半導体発光装置100の製造方法について詳細に説明する。
【0040】
(半導体発光装置100の製造方法)
まず、
図1を参照して、基体30と内部リード60とLDチップ10とを有する第1構成部材を準備する(第1構成部材準備工程)。第1構成部材準備工程では、基体30にヒートシンク20を取り付けて、ヒートシンク20にLDチップ10を取り付ける。基体30にヒートシンク20を取り付けて、ヒートシンク20に内部リード60を取り付ける。LDチップ10と内部リード60とを電気的に接続する。なお、このとき、基体30には、LDチップ10又は内部リード60のどちらを先に取り付けてもよい。
【0041】
そして、キャップ40と外部リード50とを有する第2構成部材を準備する(第2構成部材準備工程)。第2構成部材準備工程では、外部リード50の一端がキャップ40の内側に配置されキャップ40の他端がキャップ40の外側に配置されるように、外部リード50をキャップ40の貫通孔41bに取り付ける。このとき、外部リード50のキャップ40の外側に配置される部分が、キャップ40の外鍔部42に対して法線方向からみて、外鍔部42よりも内側の領域Z2に位置するように、外部リード50をキャップ40に取り付ける。
【0042】
そして、LDチップ10および内部リード60をキャップ40で覆い、キャップ40の内側で、外部リード50と内部リード60とを電気的に接続する(キャップ被覆工程)。
【0043】
このとき、外部リード50の外部端子54であるコイルバネと、内部リード60の内部端子64であるバネ受け皿とが圧縮した状態で接触して接続される。このように、外部端子54は、圧縮した状態で、内部端子64に接触しているので、外部端子54は、縮み代を有する。これにより、LDチップ10および内部リード60をキャップ40で覆う際、基体30とキャップ40を接触させる前に、内部端子64と外部端子54を接触せることができる。また、内部リード60と外部リード50とを圧縮した状態で接続するので、内部リード60と外部リード50とを強固に接続できる。したがって、内部リード60と外部リード50との電気的接続の不良を防止できる。
【0044】
また、キャップ40の側面に外部リードがないことにより、キャップ40を真空吸着する際に外部リード50の外側に配置される部分が真空吸着コレットに接触しにくくなるため、真空吸着しやすくなる。さらに、キャップ40の外側面に嵌合する真空吸着コレットを用いてキャップを搬送することができるので、キャップ40を基体30に配置する際に位置決めしやすい。
【0045】
そして、キャップ40の外鍔部42と取付面30aとを接着する(キャップ接着工程)。
【0046】
前記構成の半導体発光装置100の製造方法によれば、放熱性および配列性を向上できる半導体発光装置を作製することができる。
【0047】
前記キャップ被覆工程では、基体30の凸部31に、キャップ40の内側を嵌合して、キャップ40を、取付面30aに接触させる。したがって、基体30に設けられた凸部31に、キャップ40の内側を嵌合して、キャップ40を取付面30aに接触させるので、キャップ40を基体30に取り付けやすくなる。
【0048】
前記キャップ接着工程では、
図2Aに示すように、プロジェクション溶接機300を用いて、キャップ40と基体30とをプロジェクション溶接により接着する。プロジェクション溶接機300は、第1電極としての筒状の上部電極310と、第2電極としての筒状の下部電極320とを有する。キャップ40の外鍔部42と基体30とを、上部電極310と下部電極320によって、外鍔部42の法線方向から挟む。このとき、外部リード50のキャップ40の外側に配置される部分は、前記外鍔部42よりも内側の領域Z2に位置するので、外部リード50は、上部電極310の中央の孔に配置することになり、外部リード50は、上部電極310と下部電極320に接触しない。
【0049】
そして、上部電極310と下部電極320によって、キャップ40の外鍔部42に通電する。このとき、
図2Bに示すように、外鍔部42は、取付面30aに接着される側に、突起43を有しており、この突起43が、取付面30aに接着される。
【0050】
比較として、リード部が、取付面に対して平行な方向に延在している場合、キャップと基体とをプロジェクション溶接により接着しようとする場合を考える。キャップと基体とを、上部電極と下部電極によって、取付面の法線方向から挟むときに、外部リードは、上部電極と下部電極に接触する。このため、キャップと基体との溶接に、プロジェクション溶接を用いることはできず、気密封止が可能な他の接着手段、例えば抵抗シーム溶接を用いらなければならない。しかしながら、例えば抵抗シーム溶接であれば、プロジェクション溶接に比べて、作業時間が長くなり、この結果、製造コストが増大する。これに対して、本実施形態では、プロジェクション溶接を用いることができるため、抵抗シーム溶接等の他の溶接方法に比べて、作業時間が短くなり、この結果、製造コストを低減できる。
【0051】
次に、前記半導体発光装置100の応用例について説明する。
【0052】
(半導体発光装置アレイ1)
図3は、半導体発光装置アレイ1の背面図である。半導体発光装置アレイ1は、放熱部材2と、放熱部材2に取り付けられた複数の半導体発光装置100とを有する。放熱部材2は、平板状の基台2aと、基台2aの一面に取り付けられたフィン部2bとを有する。複数の半導体発光装置100は、基台2aの他面に取り付けられている。
【0053】
隣接する半導体発光装置100の外部リード50は、配線部材3を介して、電気的に接続される。例えば、半導体発光装置100は、アノード側の外部リード50とカソード側の外部リード50とを有する。隣接する半導体発光装置100において、一方の半導体発光装置100のアノード側の外部リード50と、他方の半導体発光装置100のカソード側の外部リード50とが、配線部材3を介して、電気的に接続され、複数の半導体発光装置100が、配線部材3を介して、直列接続されている。
【0054】
配線部材3は、例えば半田により外部リード50と接続できる。このとき、外部リード50を基体30に取り付けていないので、外部リード50と基体30との間で熱が伝わりにくくなる。また、基体の放熱面側に熱容量の大きな治具を取り付けることにより、リフロー炉に入れたときの基体30(および半導体発光素子10)の温度上昇を抑制しつつ、外部リード50は半田付けに十分な温度とすることができる。このため、他の電子部品と同時にリフロー炉を用いて半田付けができ、半導体発光装置100を配線部材3に半田で取り付ける工程の生産性が向上する。また、半田ごてを用いて半田付けする際にも、半田付けする外部リードから半導体発光素子まで距離があるので、半導体発光素子が熱で劣化しにくくなる。この場合、キャップ40は、基体30よりも薄く、熱伝導率が低い材料を用いることができる。例えば、プラスチック等が挙げられる。
【0055】
前記半導体発光装置アレイ1によれば、前記半導体発光装置100を有するので、複数の半導体発光装置100を近接して並べることができ、小さな面積で高出力な半導体発光装置アレイ1を構成することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
図4Aは、本発明の第2実施形態の半導体発光装置100Aを示す平面図である。
図4Bは、半導体発光装置の正面図である。
図4Cは、半導体発光装置の側面図である。
図4Dは、
図4BのX−X線における断面図である。この第2の実施形態は、前記第1の実施形態とは、基体、ヒートシンク、キャップ、外部リードおよび内部リードの構成のみが相違する。この相違する構成のみを以下に説明する。なお、この第2の実施形態において、前記第1の実施形態と同一の符号は、前記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0057】
図4Dに示すように、第2の実施形態の半導体発光装置100Aにおいて、基体30Aの取付面30aと放熱面30bとは、それぞれ平坦であり、且つ、平行である。こうすることで、放熱フィンや水冷ヒートシンクなどの放熱部材を放熱面に取り付けやすくなる。
【0058】
発光装置100Aにおいて、前記ヒートシンク20Aの形状は、
図4BのX−X線における断面視において三角形である。つまり、搭載面20aは、取付面30aに対して、傾斜している。このように、搭載面20aが、取付面30aに対して傾斜することで、同じ体積の直方体形状のものと比較して、搭載面20aに搭載されるLDチップ10と基体30Aとの距離を短くできる。したがって、LDチップ10からヒートシンク20Aを介して基体30Aに達するまでの熱経路を短くでき、放熱性を向上することができる。
【0059】
搭載面20aが基体30Aの取付面30aに対して傾斜する面である場合、前記搭載面20aと前記取付面30aとのなす角度αは、好ましくは、40°以上でかつ80°以下であり、さらに好ましくは、40°以上でかつ60°以下である。角度αが上限値よりも大きくなると、ヒートシンク20Aが大型化してしまうところ、一定以下の角度とすることでヒートシンクを大型化しなくてすむ。また、角度αが下限値よりも小さくなるとLDチップ10が取付面30aに接近するため窓体46も取付面30aの近くに配置する必要があり、窓体46を支持するキャップ40Aの強度が低下するところ、一定以上の角度とすることでキャップ40Aの強度を保持することができる。また、LDチップを用いる場合は、一定以下の角度とすると光が基体30等に当たりやすくなるため、反射して干渉縞が発生するおそれがあるところ、一定以上の角度とすることでLD光が基体30等に当たるのを防止することができる。
【0060】
前記本体部41Aは、LDチップ10から出射されるレーザ光200を取り出すための窓部41aを有する。窓部41aには、窓体46が、無鉛低融点ガラス48を介して、接着される。窓体46は、例えば、両面に反射防止膜をコートした硬質ガラスからなる。窓体46は、LDチップ10のレーザ光200の光軸と垂直となるように配置するのが好ましい。こうすることで、窓体46による非点隔差の発生が、抑制できる。
【0061】
前記外部リード50Aの一端は、キャップ40Aの内側に配置され、外部リード50Aの他端は、キャップ40Aの外側に配置される。外部リード50Aの一端(内部リード側の端部)は、外部端子54Aを有する。外部端子54Aは、雌型端子である。また、内部リードの一端(外部リード側の端部)は、内部端子を有し、内部端子は例えば雄型端子である。
【0062】
前記外部リード50Aは、キャップ40Aの内側で、内部リード60Aに電気的に接続される。具体的に述べると、雄型の内部端子64Aと雌型の外部端子54Aとは、重なり代を有しており、互いに重なり合って嵌合する。これにより、LDチップ10および内部リード60Aをキャップ40Aで覆う際、基体30Aとキャップ40Aを接触させる前に、内部端子64Aと外部端子54Aを嵌合させることができる。また、内部リード60Aと外部リード50Aとを互いに嵌合して接続するので、内部リード60Aと外部リード50Aとを確実に接続できる。したがって、内部リード60Aと外部リード50Aとの電気的接続の不良を防止できる。
【0063】
次に、前記半導体発光装置100Aの製造方法について説明する。この製造方法は、第1構成部材準備工程、第2構成部材準備工程、キャップ被覆工程およびキャップ接着工程を有する。第1構成部材準備工程、第2構成部材準備工程およびキャップ接着工程は、前記第1実施形態の第1構成部材準備工程、第2構成部材準備工程およびキャップ接着工程と同様である。
【0064】
次に、前記半導体発光装置100Aの応用例について説明する。
【0065】
図5Aと
図5Bは、半導体発光装置アレイ1Aを示す。半導体発光装置アレイ1Aは、放熱部材2Aと、放熱部材2Aに取り付けられた複数の半導体発光装置100Aとを有する。放熱部材2Aは、基台2aと、基台2aの一面に取り付けられたフィン部2bとを有する。基台2aは、連続した山形に形成されている。基台2aの他面に、複数の半導体発光装置100Aが、窓体46が略同一面に並ぶように取り付けられている。
【0066】
連続して形成された2つの基台2aにおいて、各基台2aの他面間の角度を、角度βとする。角度βは、
図4Dに示す搭載面20aと取付面30aとのなす角度αの2倍に設定される。こうすることで、一方の各基台2aに搭載された半導体発光装置100AのLDチップ10の光軸を平行にできる。つまり、複数の半導体発光装置100Aを、窓体46が略同一面に並ぶように配置することができる。
【0067】
本実施形態の半導体発光装置100Aは、キャップ40Aの窓部41aが配置された面と外部リード50Aが設けられた面が異なるため、外部リード50Aが設けられた面を向かい合わせて配置することで、窓体46が略同一面に並ぶように複数の半導体発光装置100Aを配置することができる。このとき、キャップ40Aの外部リード50Aが設けられた面が、キャップ40の窓部41aが配置された面に対して垂直な面であると、向かい合わせて配置しやすい。前記外部リード50Aのキャップ40Aの外側に配置される部分は、内側に折り曲げられて、配線部材3に取り付けられる。隣接する半導体発光装置100Aの外部リード50Aは、配線部材3(基板3aに設けられた配線3b)を介して、電気的に接続される。例えば、
図5Aに示す例では、配線部材3を挟んで半導体発光装置100Aが互い違いに配置されており、図中の上から左右交互に半導体発光装置100Aのアノードとカソードが電気的に接続され、直列接続されている。具体的には、左上の半導体発光装置100Aのアノード側の外部リード50Aが、右下の半導体発光装置100Aのカソード側の外部リード50Aと電気的に接続され、さらに、その半導体発光装置100Aのアノード側の外部リード50Aが、左下の半導体発光装置100Aのカソード側の外部リード50Aと電気的に接続されている。
【0068】
前記半導体発光装置アレイ1Aによれば、前記半導体発光装置100Aを有するので、複数の半導体発光装置100Aを近接して並べることができ、小さな面積で高出力な半導体発光装置アレイ1Aを提供できる。
【0069】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態の半導体発光装置を示す断面図である。この第3の実施形態は、前記第2の実施形態とは、基体、ヒートシンクおよびキャップの構成のみが相違する。この相違する構成のみを以下に説明する。なお、この第3の実施形態において、前記第2の実施形態と同一の符号は、前記第2の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0070】
図6に示すように、第3の実施形態の半導体発光装置100Bにおいて、ヒートシンク20BのLDチップ10を搭載する搭載面20aは、取付面30aに対して、平行である。LDチップ10は、搭載面20aおよび取付面30aと平行な方向に、レーザ光200を出射する。つまり、LDチップ10は、ヒートシンク20Bに平置きされている。このように、平置きタイプの装置にも、本発明を適用することができる。搭載面20aには、内部リード60が取り付けられている。
【0071】
発光装置100Bにおいて、基体30は第1実施形態と同様に凸部を有する。このとき、凸部の高さh1と、外部端子54Aと内部端子64Aとのはめ合わせ長さh2との関係は、内部端子64Aが外部端子54Aと接触する範囲においてh1≧h2の関係になるのが好ましい。こうすることで、凸部31とキャップ40Bとを嵌合させると、必然的に外部リード50Aと内部リード60とが接続されることとなるため、内部リード60Aと外部リード50Aとの接続が確実に行える。
【0072】
キャップ40Bは、箱型の本体部41Bと、本体部41Bの開口端から外側に伸びる外鍔部42Bとを有する。本体部41Bに貫通孔41bが設けられ、この貫通孔41bに外部リード50が取り付けられる。本体部41Bの天井部(キャップ40Aのうち基体30の取付面30aと向かい合う面であり、発光装置100Bでは貫通孔41bが設けられた面と同一面)に窓部41aが設けられ、この窓部41aに窓体46が取り付けられる。外鍔部42Bは、取付面30aに接着される。
【0073】
基体30には、LDチップ10から出射されたレーザ光200を窓体46へと反射するための反射プリズム90が取り付けられている。こうすることで、光を反射させて効率よく取り出すことができる。
【0074】
次に、前記半導体発光装置100Bの製造方法について説明する。この製造方法は、前記第1実施形態と同様である、第1構成部材準備工程、第2構成部材準備工程、キャップ被覆工程およびキャップ接着工程を有する。
【0075】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態の半導体発光装置を示す断面図である。この第4の実施形態は、第1の実施形態とは、基体およびキャップの構成のみが相違する。この相違する構成のみを以下に説明する。なお、この第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の符号は、第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0076】
第4の実施形態の半導体発光装置100Cにおいて、基体30Cは、底部35と底部35の外周部に設けられた側壁33とを有する。底部35と側壁33とに囲まれた空間が、凹部32を構成する。底部35の内側の面が、取付面30aであり、底部35の外側の面が、放熱面30bである。基体30Cは、側壁33のうち取付面30aと反対側の端部から外側に伸びる外鍔部34を有する。キャップ40Cは、板状に形成されている。キャップ40Cは、基体30Cの開口を塞ぐ。こうすることで、LDチップ10と窓体36との位置関係がキャップ40Cの組立精度と無関係になり、窓体36が光学素子(レンズ、回折格子、光ファイバー等を含む)機能を備える場合に特に光の取り出し効率が安定する。
【0077】
基体30Cの凹部32内にLDチップ10および内部リード60が収納されている。側壁33には、窓部33aが設けられ、この窓部33aには窓体36が取り付けられる。基体30Cの外鍔部34は、キャップ40Cの下面に接着される。外鍔部34の外周面は、基体30の外形線30cに相当する。外部リード50は、基体30の外形線30cよりも内側の領域Z1に位置している。
【0078】
キャップ40Cは、基体30Cの開口を塞ぐように設けられている。本実施形態では、キャップ40Cは、板状であり、外部リード50は、キャップ40Cのうち基体30Cの外鍔部34と接続される部分49よりも内側の領域Z3に設けられる。なお、第1の実施形態では、基体30に凸部31を設けてキャップ40と嵌合させたが、第4の実施形態において、キャップ40Cに凸部31設け、この凸部31を基体30Cの凹部32と嵌合してもよい。
【0079】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、前記第1から前記第4の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0080】
前記第1から前記第4の実施形態では、外部リードのキャップの外側に配置される部分は、キャップの外鍔部と取付面とが接着された後も、外鍔部より内側の領域に位置しているが、外部リードのキャップの外側に配置される部分は、キャップの外鍔部と取付面とが接着された後に、折り曲げられて、外鍔部より外側に出てもよい。要するに、外部リードのキャップの外側に配置される部分は、キャップの外鍔部と基体の取付面とが接着される時点で、外鍔部より内側の領域に位置していればよい。
【0081】
前記第1から前記第4の実施形態では、外部リードのキャップの外側に配置される部分は、基体の取付面に対して交差する方向に延在していたが、基体の外形線よりも内側の領域に位置していれば、基体の取付面に対して平行に延在していてもよい。
【0082】
前記第1から前記第4の実施形態では、半導体発光素子として、端面発光型のLDチップを用いたが、表面発光型のLDチップ(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:VCSEL)、発光ダイオード、発光トランジスタ、発光サイリスタ等を用いることができる。好ましくはLDチップを用いる。半導体発光素子の数量は、1個に限らず、複数個でもよい。
【0083】
前記第1から前記第4の実施形態では、LDチップを、ヒートシンクを介して、基体に取り付けたが、ヒートシンクを省略して、LDチップを、基体に直接的に取り付けるようにしてもよい。または、基体の取付面が部分的に突出した凸部を有しており、この凸部にLDチップを直接的に取り付けてもよい。
【0084】
前記第1から前記第4の実施形態では、第1構成部材準備工程を行った後に、第2構成部材準備工程を行ったが、第1構成部材準備工程を行う前に、第2構成部材準備工程を行うようにしてもよい。
【0085】
前記第1と前記第4の実施形態では、内部リードの内部端子を雄型端子とし、外部リードの外部端子を雌型端子としたが、内部端子を雌型端子とし、外部端子を雄型端子としてもよい。
【0086】
前記第1実施形態では、内部リードの内部端子をバネ受け皿とし、外部リードの外部端子をコイルバネとしたが、内部端子をコイルバネとし、外部端子をバネ受け皿としてもよい。また、内部端子又は外部端子としてコイルバネの他に、板バネを用いることもできる。
【0087】
第3の実施形態では、板状の基体に、凹部が設けられたキャップを載置するようにしているが、第4の実施形態のように、基体に凹部を形成し、キャップを板状にすることもできる。
【0088】
本発明の半導体発光装置では、基体、キャップ、内部リード、外部リード、ヒートシンクなどの構成部材の材料や数量は、設計変更可能である。
【0089】
本発明の半導体発光装置は、光ディスクシステム、光投射装置(レーザーマーカー、レーザープロジェクター、レーザープリンター、ヘッドライト等)、露光装置などに用いられる半導体発光装置への適用が可能である。