(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自動車、コーティング、ケーブル、プラグコネクタ、太陽電池モジュール、箔、成形体、靴底及び靴構成部材、ボール及びボール構成部材、ローラー、繊維、プロファイル、積層体及びワイパーブレード、ホース、ケーブルプラグ、蛇腹構造体、牽引用ケーブル、ケーブル外装、ガスケット、不織布、駆動ベルト又は減衰要素におけるクラッディングとして、請求項4又は5に記載のポリウレタンを使用する方法。
【背景技術】
【0002】
先行技術においては、ポリマーポリオールから開始するポリウレタンの製造方法及びポリイソシアネートから開始するポリウレタンの製造方法がすでに開示されており、ここでの意図は、できるだけ無色の生成物を得ることである。
【0003】
WO2011/083000A1には、特に天然原料からの、ポリエステルポリオールの製造方法と、淡い固有色を有し、良好な機械的特性を有するポリウレタンを得るために記載されたポリエステルポリオールの他の反応も開示されている。前述の文献によると、再生可能な原料からこのタイプの化学化合物を得ることが目的である場合には、このタイプの出発化合物は、固有色及び機械的特性についての厳しい条件を満たすこのタイプの生成物を得るために、さらなる精製工程に供されなければならない。この目的のために、前述の文献は、天然原料から得られ、少なくとも一種の多価アルコールと反応される少なくとも2種の酸基と、少なくとも一種の有機ホスファイト化合物と、少なくとも一種のルイス酸を有する少なくとも一種のカルボン酸を提案している。
【0004】
WO2010/107562A1には、
変色が減少傾向にある熱可塑性ポリウレタンが開示されている。この目的のために、反応が、初めに、ヒドロキシ末端ポリエステルと、ポリイソシアネートと、グリコール系鎖延長剤との間で行われ、ヒドロキシ末端ポリエステルは、プロピレン1,3−グリコールとジカルボン酸から得られる繰り返し単位を有する。
【0005】
EP1477505A1には、ポリエステルポリオールからポリウレタンを製造する方法が開示されている。上述の文献では、再生可能な原料から生成されるこのタイプの生成物が望まれない固有色を有することが可能であるという問題については対処していない。
【0006】
WO2010/031792A1には、偶数個の炭素原子を有するジカルボン酸を使用し、及び、奇数個の炭素原子を有するジオールを使用し、それぞれの場合、再生可能な原料から製造されるポリエステルジオールを主原料とするポリウレタンが開示されている。
【0007】
US2011/0206734A1には、熱可塑的に処理可能なポリウレタンエラストマーの製造方法が開示されている。これは、1.8〜2.2の官能基数を有し、コハク酸及び1,3−プロパンジオールを主原料とする一種以上の線形ポリエステルジオールと、一種以上の有機ジイソシアネート及び一種以上のジオールと反応することで得られる。上述の文献による方法は、第1の段階で、このタイプのポリエステルジオールは、ポリイソシアネートと反応して、末端基として本質的にOCN基を有する相当するプレポリマーが得られることを提供している。
【0008】
カルボン酸から製造されるポリエステル化合物と、再生可能な原料から製造されるある程度のアルコール、特に、再生可能な油脂から製造されるポリエステル化合物は、詳細には明記できないが、比較的高い共役電子系を有する化合物によって、通常、黄色がかった/褐色を示す。上述の変色も、そこで製造された熱可塑性ポリウレタンにおける例の方法によって明らかである。変色のせいで、再生可能な原料で製造される製品は、石油製品を主原料とする明確に定義された原料で製造される製品ほど市場では許容されない。しかし、再生可能な原料で製造される製品の機械的/動的特性は、時々、実際にそれらの石油同等物よりも優れていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の方法の各工程を以下に詳細に説明する。
【0014】
工程(A):
本発明の方法の工程(A)は、少なくとも一種のポリマーポリオールを、ポリイソシアネートの全量に対して0.1〜20mol%の量の少なくとも一種の第1のポリイソシアネートと接触させて、本質的に末端ヒドロキシ基を有するプレポリマーを生成することを有する。
【0015】
本発明によると、一般的に、当業者に公知であり、ポリウレタン、特に、熱可塑性ポリウレタンを製造するのに好適ないずれのポリマーポリオールも使用することができる。本発明によると、好ましくは、ポリエステルポリオール、及び/又はポリエーテルポリオール、特に好ましくは、ポリエステルポリオール、非常に特に好ましくは、線形ポリエステルポリオールである。
【0016】
ポリエステルポリオール、特に、ポリエステルジオールは、例として、2個〜12個の炭素原子、好ましくは4個〜10個の炭素原子を有するカルボン酸、及び多価アルコールから製造されることができる。使用され得るジカルボン酸の例は、脂肪族ジカルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、又は芳香族ジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸である。ジカルボン酸は、単独で、又は混合物の状態、例えば、コハク酸、セバシン酸及びアジピン酸混合物の状態で使用されることができる。ポリエステルジオールを製造するために、ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えば、アルコール部分に1個〜4個の炭素原子を有するカルボン酸ジエステル、例えば、ジメチルテレフタラート、又はジメチルアジペート、カルボン酸無水物、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物又はフタル酸無水物又はアシルクロリドを使用することが時には有利になり得る。多価アルコールの例は、2個〜10個の炭素原子、好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有するグリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、又はジプロピレングリコールである。多価アルコールは、単独で、又は混合物の状態、例えば、1,4−ブタンジオール混合物及び/又は1,3−プロパンジオール混合物の状態で使用され得る。
【0017】
これらの物質と一緒に、全反応混合物に対して最大3質量%の少量の、低分子量の高官能性ポリオール、例えば、1,1,1−トリメチ
ロールプロパン又はペンタエリトリトールを付随して使用することも可能である。
【0018】
本発明によると、好ましくはもっぱら、2官能性出発化合物、すなわち、ポリマージオール及びジイソシアネートを使用することである。
【0019】
例として、ジカルボン酸のジメチルエステルが好ましいポリエステルポリオールの製造において使用されるときに、不完全なエステル交換の結果として、少量の未反応の末端メチルエステル基がポリエステルの官能基数を2未満、例えば、1.95まで、又は1.90まで減少させることも可能である。
【0020】
当業者に知られる方法が、好ましくは、本発明に従って使用されるポリエステルポリオール、特に好ましくは、ポリエステルジオールを製造するための重縮合に使用され、例えば、最初に、
反応水(反応による水)を除去するために、大気圧下又は大気圧下からわずかに減少した圧力下で、150〜270℃の温度を使用し、その後、例えば、5〜20mbar
まで圧力をゆっくりと下げることによって使用される。触媒は原則として必要ないが、好ましくは加えられる。この目的のために使用され得る触媒の例は、スズ(II)塩、チタン(IV)化合物、ビスマス(III)塩、などである。
【0021】
さらに、不活性ガス、例えば窒素を使用して、
反応水を除去することは有利となり得る。使用され得る他の方法は、室温で液体である、例えばトルエンである添加溶剤を共沸エステル化方法で使用する。
【0022】
通常使用される物質は、本質的に線形であるポリエステルジオールである。しかし、本質的に線形である一種以上のポリエステルジオールの混合物を使用することも可能である。
【0023】
本発明によると、特に好ましくは、使用される全ポリエステルジオールに対して、40〜100質量%、好ましくは90〜100質量%のセバシン酸1,3−プロピオネート、コハク酸1,3−プロピオネート及び/又はアジピン酸1,3−プロピオネートを含む少なくとも一種のポリエステルジオール又は複数のポリエステルジオールの混合物を使用することである。コハク酸1,3−プロピオネートは、コハク酸と1,3−プロパンジオールからなる。セバシン酸1,3−プロピオネートは、セバシン酸と1,3−プロパンジオールからなる。アジピン酸1,3−プロピオネートは、アジピン酸と1,3−プロパンジオールからなる。
【0024】
本発明で使用される少なくとも一種のポリマーポリオール、好ましくは少なくとも一種のポリエステルポリオール、より好ましくは、少なくとも一種のポリエステルジオール、又は同一のものを製造するための出発物質は、一般的に、石油化学ルートで製造され、又は生物源、すなわち、再生可能な原料に由来する。好ましくは、本発明に従って出発物質、すなわち、特に、少なくとも一種のポリマーポリオールを使用することが好ましく、これらは、再生可能な原料から得られる。
【0025】
セバシン酸は特に好ましくは使用され、石油化学ルートによって製造されることができ、又は、例えば、キャスターオイルのように生物源からの化学方法によって得られる。
【0026】
1,3−プロパンジオールは、例えば、出発物質としてアクロレインの使用を伴う石油化学ルートによって製造されることができ、又は、例えば、DuPont Tate&Lyleが大きな工業的規模でコーンシロップから発酵によって1,3−プロパンジオールを生成するように生物源に由来する。
【0027】
特に好ましいポリエステルジオールは、(使用されるジカルボン酸の全質量に対して)少なくとも40質量%の生物由来のジカルボン酸、特に、セバシン酸、及び/又は(使用されるジオール又はプロパンジオールの全質量に対して)少なくとも40質量%の生物由来の多価アルコール、特に、1,3−プロパンジオールを使用して製造される。
【0028】
本発明によると、好ましくは使用されるポリエステルジオールの数平均分子量Mnは、950〜4000g/molであり、好ましくは、1100〜3500g/molであり、特に好ましくは、1300〜2000g/molである。好ましくは使用されるポリエステルジオールの官能基数は、好ましくは、1.8〜2.2、特に、好ましくは、1.9〜2.1である。
【0029】
本発明によると、一般的に、当業者に公知であり、ポリウレタン、特に、熱可塑性ポリウレタンの製造に好適ないずれのポリイソシアネートも使用することが可能である。
【0030】
本発明によると、好ましくは、有機ポリイソシアネート、特に好ましくは、有機ジイソシアネートである。
【0031】
本発明によると、有機ポリイソシアネート、好ましくは、ジイソシアネートの使用され得る例は、“Justus Liebigs Annalen der Chemie”(562巻、75〜136ページ)に一例として記載されている脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、複素環式及び芳香族ポリイソシアネート、好ましくはジイソシアネートである。
【0032】
好ましくは、本発明が、少なくとも一種の第1のポリイソシアネートが、少なくとも一種の脂肪族ポリイソシアネート、より好ましくは少なくとも一種の脂肪族ジイソシアネートである本発明による方法を提供することである。
【0033】
他の好ましい実施形態においては、本発明は、少なくとも一種の第2のポリイソシアネートが、少なくとも一種の芳香族ポリイソシアネート、より好ましくは少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートである本発明による方法を提供することである。
【0034】
非常に好ましくは、本発明が、少なくとも一種の第1のポリイソシアネートが少なくとも一種の脂肪族ポリイソシアネート、より好ましくは少なくとも一種の脂肪族ジイソシアネートであり、少なくとも一種の第2のポリイソシアネートが少なくとも一種の芳香族ポリイソシアネート、より好ましくは少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートである本発明による方法を提供することである。
【0035】
列挙してもよいそれぞれの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、及び、1−メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、ジシクロヘキシルメタン4,4‘−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’−ジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン2,2‘−ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、芳香族ジイソシアネート、例えば、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート及びトリレン2,6−ジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4‘−ジイソシアネート、及びジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4‘ジイソシアネート及びジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートの混合物、ウレタン変性液体ジフェニルメタン4,4‘−ジイソシアネート、又はジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、4,4‘−ジイソシアナト1,2−ジフェニルエタン、及びナフチレン1,5−ジイソシアネートである。好ましくは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート含有量が96質量%を超えるジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物、ジフェニルメタン4,4‘−ジイソシアネート及びナフチレン1,5−ジイソシアネートを使用することである。
【0036】
列挙されたジイソシアネートは、単独で又は互いに混合物の状態で使用され得る。それらは(ジイソシアネートの合計に対して)最大で15mol%のポリイソシアネートとともに使用されることもできるが、好ましくは、許容しうることは、せいぜい、依然として熱可塑的に加工し得る生成物を製造することのできるポリイソシアネートの量を加えることである。ポリイソシアネートの例は、トリフェニルメタン4,4‘,4’‘−トリイソシアネート、及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートである。
【0037】
当業者に公知の方法は、好ましくは本発明において使用されるポリイソシアネートを製造し、又は分離するのに使用され得る。
【0038】
本発明において、工程(A)及び(B)において異なるポリイソシアネートが使用されることが可能である。
【0039】
従って、本発明は、好ましくは、少なくとも一種の第1の及び少なくとも一種の第2のポリイソシアネートが異なる本発明による方法を提供する。
【0040】
本発明において、工程(A)及び(B)で使用されるポリイソシアネートが同一であることも可能である。
【0041】
従って、本発明は、好ましくは、少なくとも一種の第1の及び少なくとも一種の第2のポリイソシアネートが同一である本発明による方法を提供する。
【0042】
本発明による方法の工程(A)において、少なくとも一種のポリマーポリオールが、ポリイソシアネートの全量に対して、0.1〜20mol%の量の少なくとも一種の第1のポリイソシアネートと接触する。
【0043】
本発明において、ポリイソシアネートの全量は、好ましくは、工程(A)で加えられた量と工程(B)で加えられた量からなる。すなわち、合計量は、少なくとも一種の第1のポリイソシアネートの量と少なくとも一種の第2のポリイソシアネートの量の合計である。
【0044】
したがって、本発明において、好ましくは、それぞれの場合、ポリイソシアネートの全量に対して、少なくとも一種の第1のポリイソシアネートの工程(A)で加えられた量は、0.1〜20mol%、より好ましくは、0.5〜12mol%、特に好ましくは、1.0〜10mol%であり、少なくとも一種の第2のポリイソシアネートの工程(B)で加えられた量は、80〜99.9mol%、より好ましくは88〜99.5mol%、特に好ましくは90〜99.9mol%である。
【0045】
本発明によると、好ましくは、
使用するポリイソシアネートの全量と
使用する少なくとも一種のポリマーポリオールの量は、存在する全てのヒドロキシ基に対する存在する全てのNCO基の当量比が0.9:1.0〜1.1:1.0、好ましくは、0.95:1.0〜1.10:1.0となるような方法で
選択する。
【0046】
本発明による方法の工程(A)はプレポリマーを製造するための当業者に公知の装置、例えば、加熱・冷却が可能な攪拌槽、反応押出機等で行われる。
【0047】
本発明による方法の工程(A)は、例えば、20〜250℃の、当業者に公知の温度で行われる。
【0048】
本発明による方法の工程(A)は、少なくとも一種の溶媒、例えば、不活性溶媒の群から選択され、すなわち、反応性水素原子を有さない溶媒、好ましくは、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等、それらの混合物からなる群から選択される溶媒の存在下で又は溶媒を使用せずに行われ得る。
【0049】
本発明による方法の工程(A)によって本質的に末端ヒドロキシ基を有するプレポリマーが得られる。本発明において、“本質的に”は、存在する末端基の優勢な割合、例えば、70%を超える割合、好ましくは80%を超える割合、特に好ましくは90%を超える割合が末端ヒドロキシ基であることを意味する。残りの末端基はいずれも末端イソシアネート基である。
【0050】
本発明において、本質的に末端ヒドロキシ基を有するプレポリマーが工程(A)の後に分離されることが可能である。
【0051】
従って、好ましくは本発明が、本質的に末端ヒドロキシ基を有するプレポリマーが工程(A)の後に分離される本発明による方法を提供することである。
【0052】
工程(A)の後で生成されるプレポリマーを分離する方法は、当業者に公知であり、例えば、任意に真空中で、蒸留を利用して使用されてもよいいかなる溶媒も除去するものである。工程(A)が好ましくは溶媒を使用せずに行われるので、この実施形態による分離は、工程(B)で使用されることができるように、好ましくは工程(A)からの反応混合物を貯蔵し、供給することを有する。
【0053】
本発明にしたがって行われる分離の後は、プレポリマーは、本方法の工程(B)でその後使用されることができるように、例えば保管され得る。
【0054】
本発明によれば、本質的に末端ヒドロキシ基を有するプレポリマーが工程(A)の後に分離されず、工程(B)で直接使用されることも可能である。
【0055】
従って、本発明は好ましくは、本質的に末端ヒドロキシ基を有するプレポリマーが(A)の後に分離されず、工程(B)において直接使用される本発明による方法を提供する。
【0056】
本発明に係るこの実施形態においては、工程(A)で生成されるプレポリマーは分離されないが、代わりに、工程(B)に直接移行される。特に好ましい実施形態の一つにおいては、工程(A)と(B)は一つの装置内で行われ、すなわち、工程(A)による付加が最初に行われ、その後まもなくして、すなわち、せいぜい2、3分後に工程(B)による付加が行われる。
【0057】
工程(B):
本発明による方法の工程(B)が、工程(A)からのプレポリマーを、少なくとも一種の第2のポリイソシアネート及び任意に他の添加剤と接触させてポリウレタンを生成することを含む。
【0058】
本発明において、工程(A)に関して上述したように、工程(B)が工程(A)で使用されるポリイソシアネート以外の少なくとも一種のポリイソシアネートを使用することができ、又は同一の少なくとも一種のポリイソシアネートを使用することができる。
【0059】
本発明において、本発明による方法の工程(B)において、適切な量の少なくとも一種の第2のポリイソシアネートが加えられ、この量は、それが工程(A)で加えられた少なくとも一種の第1のポリイソシアネートの量に加えられるときに、合計がポリイソシアネートの全体量となるような量である。これは、本発明による方法の他のポイントでさらなるポリイソシアネートを加えないことが好ましいことを意味する。
【0060】
本発明による方法の工程(B)において、任意に他の添加剤を追加することも可能である。
【0061】
任意に存在する本発明による添加剤の例は、鎖延長剤、触媒、加水分解安定剤、UV安定剤、酸化防止剤、ワックス、他の従来の助剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0062】
使用され得る鎖延長剤の例は、50〜499g/molのモル質量を有するよく知られた脂肪族、芳香脂肪族、芳香族、及び/又は脂環式化合物、好ましくはニ官能性化合物、例えば、アルキレン部分に2〜10個の炭素原子を有するアルカンジオール、好ましくは、3〜8個の炭素原子を有する、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び/又はジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−及び/又はデカアルキレングリコール、好ましくは分岐していないアルカンジオール、特に、1,3−プロパンジオールと1,4−ブタンジオールである。
【0063】
特に、少なくとも一種のポリマーポリオールとポリイソシアネートの間の反応を促進させる好適な触媒は、先行技術で公知の第三級アミン及び従来の、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N‘−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等、特に、有機金属化合物、例えば、チタンエステル、鉄化合物、例えば、鉄(MI)アセチルアセトネート、スズ化合物、例えば、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート、又は脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等である。触媒の通常使用される量は、ポリマーポリオール100質量部当たり0.00001〜0.1質量部である。
【0064】
従来の助剤の例は、発泡剤、界面活性物質、難燃剤、核剤、潤滑剤、離型補助剤、染料及び顔料、例えば、加水分解、光、熱又は変色を防止するための安定剤、無機及び/又は有機充填剤、補強剤、可塑剤及び金属不活性化剤である。
【0065】
使用される加水分解安定剤は、好ましくは、オリゴマー及び/又はポリマー脂肪族又は芳香族カルボジイミドである。好ましくは、ポリウレタンに安定剤を加えて、エイジング(aging、経時変化)に関して本発明によるポリウレタンを安定化させることである。本発明の目的のために、それに安定剤が加えられ、有害な環境への影響からプラスチック又はプラスチック混合物を保護する。例は、一次及び二次酸化防止剤、チオシナジスト(チオ相乗剤)、三価リンの有機リン化合物、ヒンダードアミン光安定剤、UV吸収剤、加水分解安定剤、焼光剤、及び難燃剤である。市販の安定剤の例は、“プラスチック添加剤ハンドブック”(第5版、H. Zweifel、編集 Hanser出版社、ミュンヘン、2001年、([1])、98〜136ページ)に記載されている。本発明によるポリウレタンが、その適用中に有害な熱酸化作用にさらされる場合には、酸化防止剤が加えられ得る。好ましくは、フェノール性の酸化防止剤を使用することである。フェノール性の酸化防止剤の例は、“プラスチック添加剤ハンドブック”(第5版、H. Zweifel、編集 Hanser出版社、ミュンヘン、2001年、([1])、98〜107ページ、116〜121ページ)に記載されている。好ましくは、フェノール性酸化防止剤は、モル質量が700g/molより大きい。好ましくは、使用されるフェノール性酸化防止剤の例は、ペンタエリスリチルテトラキス(3−(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox(R) 1010)、又は適切な酸化防止剤由来の他の比較的高分子量の縮合物である。フェノール性酸化防止剤の使用された濃度は、それぞれの場合、ポリウレタンの合計質量に対して、一般的に0.1〜5質量%、好ましくは、0.1〜2質量%、特に、0.5〜1.5質量%である。さらに好ましくは、アモルファス又は液体である酸化防止剤を使用することである。本発明によるポリウレタンが、それらの好ましい成分によって、例えば、フタレート又はベンゾエートによって可塑化されたポリウレタンよりも紫外線に対して顕著により安定であるかどうかに拘わらず、フェノール性安定剤のみを含む安定剤システムは、多くの場合、適切でない。この理由のため、本発明によるポリウレタンは、紫外線にさらされるところでは、好ましくは、UV光によって安定化されている。UV吸収剤は、高エネルギーのUV光を吸収し、エネルギーを放散する分子である。工業で使用されるよく知られたUV吸収剤は、例として、桂皮酸エステルの群、ジフェニルシアノアクリレートの群、オキサルアミド(オキサニリド)の群、特に2−エトキシ−2‘−エチルオキサニリド、ホルムアミジンの群、ベンジリデンマロネートの群、ジアリールブタジエンの群、トリアジンの群、又は他のベンゾトリアゾールの群に属する。市販のUV吸収剤の例は、“プラスチック添加剤ハンドブック”(第5版、H. Zweifel、編集 Hanser出版社、ミュンヘン、2001年、116〜122ページ)に記載されている。好ましい実施形態の一つにおいては、UV吸収剤の数平均モル質量は、300g/molより大きく、特に、390g/molより大きい。好ましくは使用されるUV吸収剤のモル質量は、さらに、5000g/mol以下、特に好ましくは2000g/mol以下であるべきである。ベンゾトリアゾールの群は特に、UV吸収剤として好適である。特に好適なベンゾトリアゾールの例は、Tinuvin(R)213、Tinuvin(R)328、Tinuvin(R)571及びTinuvin(R)384及びEversorb(R)82である。好ましくは、ポリウレタン組成物の全量に対して、0.01〜5質量%の量のUV吸収剤を使用することであり、特に好ましくは、それぞれの場合、ポリウレタンの全量に対して0.1〜2.0質量%、特に、0.2〜0.5質量%の使用することである。酸化防止剤及びUV吸収剤を基礎とする上述のUV安定剤システムは、本発明によるポリウレタンがUV線の有害効果に対する良好な耐性を有することを確実にするのに多くの場合、まだ十分ではない。その場合、酸化防止剤及びUV吸収剤に加えてヒンダードアミン光安定剤(HALS)を加えることもできる。特に好ましいUV安定剤システムは、上述の好ましい量のフェノール安定剤、ベンゾトリアゾール及びHALS化合物の混合物を含む。しかしながら、安定剤の官能基を結合する化合物、例えば、立体障害ピペラジル−ヒドロキシベンジル縮合物、例えば、ジ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペラジル)2−ブチル−2−(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、Tinuvin(R)144を使用することも可能である。
【0066】
他の特に好適な物質は、ワックスであり、それは、ポリウレタンの工業的な製造時だけではなく、同一のものの加工時もまた重要な機能を有する。ワックスは、摩擦低減内部及び外部潤滑剤として機能し、したがって、ポリウレタンの流動性を向上させる。それは、また、ポリウレタンが周囲の物質(例えば、鋳型)に付着するのを防止する剥離剤として作用し、他の添加剤、例えば、顔料、アンチブロッキング剤のための分散剤として作用させるように意図されている。好適な物質の例は、脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸エステル、モンタン酸エステル、及び相当する金属石鹸、及び脂肪酸アミド、例えば、ステアリルアミド、オレアミド及び、ポリエチレンワックスである。熱可塑性プラスチックで使用されるワックスの概要は、“プラスチック添加剤ハンドブック”(第5版、H. Zweifel、編集 Hanser出版社、ミュンヘン、2001年、443ページff)、EP−A308683、EP−A670339、及びJP−A5163431に記載されている。
【0067】
DE−A19607870によるエステル/アミドの組み合わせの使用により、モンタン酸誘導体と脂肪酸誘導体の特定のワックスの混合物(DE−A19649290)の使用により、また、DE102006009096A1によるヒドロキシステアリルの使用により向上が達成される。
【0068】
上述の助剤及び添加剤に関する他の詳細は、技術文献、例えば、“プラスチック添加剤ハンドブック”(第5版、H. Zweifel、編集 Hanser出版社、ミュンヘン、2001年)に記載されている。本明細書中の全ての分子量及びモル質量は単位[g/mol]を有する。
【0069】
本発明による方法の工程(B)は、一般的に、当業者に公知の任意の温度、例えば、20〜250℃、好ましくは40〜230℃で行われ得る。
【0070】
従って、本発明はまた、好ましくは、工程(B)が40〜230℃の温度で行われる本発明による方法を提供する。
【0071】
任意の工程(C)
他の好ましい実施形態においては、本発明は、以下の工程(C):
(C)工程(B)で製造されたポリウレタンを30〜120℃の温度でコンディショニング(調整、conditioning)する工程
が工程(B)の後に行われる本発明による方法を提供する。
【0072】
本発明による、本発明による方法の工程(C)による好ましいコンディショニングは、工程(B)で製造されたポリウレタンを成熟させるのに役に立ち、すなわち、ポリウレタンの最終的な特性を得るのに役に立つ。
【0073】
工程(C)は、好ましくは40〜100℃、好ましくは60〜90℃で行われる。
【0074】
工程(C)は、当業者に公知の任意の装置で、例えば、加熱プレート上で、温度制御キャビネットで、加熱貯蔵タンク(サイロ)で、又は類似の装置で行われることができ、これは、高温でポリウレタンを貯蔵することを可能とする。
【0075】
工程(C)は、一般的に必要とされる効果が生じるまで、例えば、1〜48時間、好ましくは2〜36時間、特に好ましくは10〜30時間行われる。
【0076】
本発明による方法の工程(B)及び(C)のそれぞれの後に製造されるポリウレタンは、通常、顆粒状又は粉末状であり、当業者に公知の方法で、例えば、射出成形、カレンダー仕上げ、又は押出し加工によってさらに加工されて、自動車、箔、成形体、ローラー、繊維、ホース、ケーブルプラグ、蛇腹構造体、牽引用ケーブル、ケーブル外装、ガスケット、駆動ベルト、又は減衰要素において必要なクラッディングが得られる。
【0077】
本発明による方法によって製造され得る熱可塑性ポリウレタン、好ましくは、自動車、コーティング、ケーブル、プラグコネクター、太陽電池モジュール、箔、成形体、靴底及び靴構成部材、ボール及びボール構成部材、ローラー、繊維、プロファイル、積層体及びワイパーブレード、ホース、ケーブルプラグ、蛇腹構造体、牽引用ケーブル、ケーブル外装、ガスケット、不織布、駆動ベルト、又は減衰要素は、導入部分で記述した利点を有する。
【0078】
従って、本発明はまた、本発明による方法によって製造されるポリウレタンを提供する。
【0079】
好ましい実施形態においては、本発明は、黄色度が1〜60、好ましくは1〜40の本発明によるポリウレタンを提供する。
【0080】
本発明によって製造されるポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンのあらゆる特定の用途において有利に使用され得る。従って、本発明はまた、自動車、コーティング、ケーブル、プラグコネクター、太陽電池モジュール、箔、成形体、靴底及び靴構成部材、ボール及びボール構成部材、ローラー、繊維、プロファイル、積層体及びワイパーブレード、ホース、ケーブルプラグ、蛇腹構造体、牽引用ケーブル、ケーブル外装、ガスケット、不織布、駆動ベルト又は減衰要素におけるクラッディングとしての本発明によるポリウレタンの使用方法を提供する。
【実施例】
【0081】
使用した出発物質
ポリマーポリオール1:
セバシン酸、アジピン酸及び1,3−プロパンジオールからなるポリエステルジオールを、ポリマーポリオール1、モル質量=1400g/mol、OH数=79.3として使用した。
【0082】
鎖延長剤(CE)1は、1,3−プロパンジオール、モル質量=76.09g/molである。
【0083】
イソシアネート1は、ジフェニルメタン4,4‘−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、モル質量=250.26g/molである。
【0084】
イソシアネート2は、ヘキサンジイソシアネート(HDI)、モル質量=168.20g/molである。
【0085】
加水分解安定剤1は、カルボジイミドを主原料とする加水分解安定剤(Elastostab(R) H01)である。
【0086】
方法
方法1(比較例)
ポリマーポリオール1は、鎖延長剤1及びイソシアネート1と共に反応させた。同様に、加水分解安定剤を反応混合物に加えた。生成した反応混合物を加熱プレート上に注ぎ出し、120℃で10分間完了まで反応させた。その後、製造されたポリマーシートを80℃で24時間調整した。その後、ポリマーシートを顆粒化し、その顆粒を射出成形方法によって成形し、テストシートを製造した。
【0087】
方法2(本発明による)
第1の工程において、ポリマーポリオール1を5mol%のイソシアネート2と反応させた。これにより末端カルボキシ基を有するニ官能性プレポリマーを生成した。上述のプレポリマー1を貯蔵することができ、すぐに他の処理をする必要がない。
【0088】
独立した反応工程において、生成されたプレポリマー1を鎖延長剤1及びイソシアネート1と反応させた。加水分解安定剤1を同様に加えた。
【0089】
生成した反応混合物を加熱プレート上に注ぎ出し、120℃で10分間完了まで反応させた。その後、製造されたポリマーシートを24時間80℃で調整した。その後、ポリマーシートを顆粒化し、その顆粒を射出成形方法によって成形し、テストシートを製造した。
【0090】
方法3(本発明による)
ポリマーポリオール1を最初に1mol%のイソシアネート
2を反応させる。イソシアネート2を加えた後すぐに、イソシアネート1、鎖延長剤1及び加水分解安定剤1を加え、同様に反応させた。
【0091】
生成した反応混合物を加熱プレート上に注ぎ出し、120℃で10分間完了まで反応させた。その後、製造されたポリマーシートを24時間80℃で調整した。その後、ポリマーシートを顆粒化し、その顆粒を射出成形方法によって成形し、テストシートを製造した。
【0092】
実施例1(比較例)
ポリマーポリオール1が55.90質量%、CE1が7.80質量%、イソシアネート1が35.4質量%及び、加水分解安定剤1が0.90質量%を方法1によって反応させた。表1に結果を示す。
【0093】
実施例2(本発明による)
プレポリマー1が56.70質量%、鎖延長剤1が7.65質量%、イソシアネート1が35.20質量%及び、加水分解安定剤1が0.45質量%を方法2によって反応させた。表1に結果を示す。
【0094】
実施例3(比較例)
ポリマーポリオール1が55.90質量%、鎖延長剤1が7.60質量%、イソシアネート1が35.20質量%及び、加水分解安定剤1が1.30質量%を方法1によって反応させた。表1に結果を示す。
【0095】
実施例4(本発明による)
ポリマーポリオール1が56.60質量%、鎖延長剤1が7.66質量%、イソシアネート1が35.07質量%、イソシアネート2が0.25質量%、及び加水分解安定剤1が0.45質量%を方法3によって反応させた。表1に結果を示す。
【0096】
【表1】
【0097】
それぞれのパラメータを決定するために使用された方法は次の通りである:
黄色度:ASTM E313
硬度:DIN53505
引っ張り長さ:DIN53504
破壊時の伸び率:DIN53504
引き裂き強度:DIN ISO 34−1、B(b)
摩耗量:DIN ISO 4649
【0098】
実施例からわかるように、実験のそれぞれの組の機械的特性はほとんど変化しなかった。しかしながら、驚くことに、黄色度は、最初に40を超えるところから25〜28に減少した。この変化は、はっきりと肉眼で見ることができる。