特許第6486899号(P6486899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6486899組成物、その製造、及び、食器洗い組成物としての、又は食器洗い組成物を製造するためのその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486899
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】組成物、その製造、及び、食器洗い組成物としての、又は食器洗い組成物を製造するためのその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/32 20060101AFI20190311BHJP
   C11D 7/10 20060101ALI20190311BHJP
   C11D 7/54 20060101ALI20190311BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20190311BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   C11D7/32
   C11D7/10
   C11D7/54
   C11D17/06
   A47L15/42 Z
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-505774(P2016-505774)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公表番号】特表2016-519186(P2016-519186A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】EP2014056312
(87)【国際公開番号】WO2014161786
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】13161998.3
(32)【優先日】2013年4月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッファー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア マルコス,アレハンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,ハイケ
【審査官】 林 建二
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−535961(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/025740(WO,A1)
【文献】 特表2005−534728(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043859(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01721962(EP,A1)
【文献】 米国特許第05981456(US,A)
【文献】 特表2014−530930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
A47L 15/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの場合、それぞれの組成物の固体含有量に対して、
(A)メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、グルタミン酸ジアセテート(GLDA)及びそれらの塩から選択される少なくとも一種の化合物を、合計で、1〜50質量%の範囲、
(B)亜鉛として記載される少なくとも一種の亜鉛塩を、合計で、0.01〜0.4質量%の範囲、
(C)エチレンイミンのホモ−又はコポリマーを、合計で、0.001〜0.045質量%の範囲、及び
(D)任意に、漂白剤を、0.5〜15質量%
を含み
8〜13の範囲のpHを有する、食器及び調理器具の機械洗浄用の組成物であって、
前記機械洗浄が、食器洗い機を使用するウォッシング又はクリーニング動作であることを特徴とする、組成物
【請求項2】
前記組成物が、ホスフェート及びポリホスフェートを含まないことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(C)が、直鎖状又は分岐状のエチレンイミンのホモポリマー及び、エチレンイミンのグラフトコポリマーから選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記亜鉛塩が、ZnCl、ZnSO、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO、Zn(CHSO及び、没食子酸亜鉛からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、室温で固体であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、水を、0.1〜10質量%の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、酸素漂白剤及び塩素含有漂白剤から選択される漂白剤(D)を、0.5〜15質量%含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
装飾されていてもよく、又は装飾されていなくてもよい少なくとも一つのガラス表面を有する物品を機械洗浄するための請求項1〜7の何れか1項に記載の組成物の使用方法。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の少なくとも1種の組成物が、飲料用グラス、ガラス製の花瓶及び料理用のガラス製容器の機械洗浄のために使用されることを特徴とする請求項8に記載の使用方法。
【請求項10】
(A)メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、グルタミン酸ジアセテート(GLDA)及びそれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも一種の化合物、
(B)少なくとも一種の亜鉛塩、
(C)少なくとも一種のエチレンイミンのホモ−又はコポリマー、
(D)及び、任意に、酸素漂白剤及び塩素含有漂白剤から選択される少なくとも一種の漂白剤、
及び、任意に他の成分が、水の存在下で、1つ以上の工程で互いに混合され、その後、前記水が除去されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項11】
前記水が、噴霧乾燥、噴霧造粒又は圧縮によって除去されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
それぞれの場合、それぞれの組成物の固体含有量に対して、
(A)メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、グルタミン酸ジアセテート(GLDA)及びそれらの塩から選択される少なくとも一種の化合物を、合計で、1〜50質量%の範囲、
(B)亜鉛として記載される少なくとも一種の亜鉛塩を、合計で、0.01〜0.4質量%の範囲、
(C)エチレンイミンのホモ−又はコポリマーを、合計で、0.001〜0.045質量%の範囲、及び
(D)任意に、漂白剤を、0.5〜15質量%
を含む組成物に関する。
【0002】
本発明は、さらに、本発明の組成物の製造方法、及び食器洗い組成物、特に、食器洗い機用の食器洗い組成物としての又は食器洗い組成物、特に、食器洗い機用の食器洗い組成物を製造するためのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
食器洗い組成物は、多くの要件を満たさなければならない。従って、それらは、食器を徹底的に洗浄しなければならず、それらは、どんな有害な又は有害となる可能性のある物質も廃水に含ませるべきではなく、それらは、食器から水を排水させ、乾燥させることを可能にさせるべきであり、それらは、食器洗い機の動作においていかなる問題も生じさせるべきではない。最後に、それらは洗浄される物品にどんな望ましくない美的効果も生じさせるべきではない。ここでは、特に、ガラス腐食(corrosion)が言及されるべきである。
【0004】
ガラス腐食は、機械的影響(例えば、ガラスが互いに摩擦することによる、又はガラスが食器洗い機の一部と機械的に接触することによる)のみによって生じるのではなく、主に、化学的影響によっても引き起こされる。例えば、特定のイオンは、繰り返される機械洗浄によってガラスの外側に溶出され、それは、好ましくないことに、光学的及び、美的な特性を変化させる。
【0005】
ガラスの腐食において、複数の影響が観察される。第一に、線状に目立つようになる微視的な細かいひびの形成が観察され得る。第二に、多くの場合、一般的な曇りが観察されることができ、例えば、粗くすることは、影響を受けたガラスの外観を魅力的でないものにする。そのような影響は、概して、玉虫色の変色、擦り傷の形成、連続し、環状の曇りに分類される。
【0006】
EP2118254は、亜鉛塩が、ガラス腐食を防止するための抑制剤として、特定のビニルポリマーと組み合わせて使用され得ることを開示している。
【0007】
EP0383482においては、ガラス腐食を減少させるために、1.7mm未満の粒径を有する亜鉛塩を使用することが提案されている。
【0008】
WO03/104370においては、ガラス腐食を防止するために、亜鉛含有シリケートコーティング剤を使用することが提案されている。
【0009】
多くの食器洗い組成物が、US5981456及びWO99/05248から知られており、そこでは、変色又は腐食からカトラリーを守るために亜鉛塩又はビスマス塩が加えられ得る。
【0010】
WO2002/64719は、エチレン性不飽和カルボン酸と、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸のエステルとの特定のコポリマーが、食器洗い組成物において使用され得ることを開示している。
【0011】
WO2010/020765は、ポリエチレンイミンを含む食器洗い組成物を開示している。そのような食器洗い組成物は、ホスフェートを含んでもよく、又はホスフェートを含まなくてもよい。ガラス腐食の良好な抑制剤は、これらによるものである。亜鉛及びビスマス含有食器洗い組成物は薦められない。
【0012】
しかしながら、ガラス腐食、特に、線状の腐食及び曇りは、多くの場合、依然として十分に、その発生を遅れさせ、又は防止されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP2118254
【特許文献2】EP0383482
【特許文献3】WO03/104370
【特許文献4】WO2002/64719
【特許文献5】WO2010/020765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、目的は、食器洗い組成物として好適であり、又は食器洗い組成物の製造用に好適であり、先行技術の公知の短所を回避し、ガラス腐食を抑制し、又は少なくとも、特に効果的に減少させる組成物を提供することであった。他の目的は、食器洗い組成物として好適であり、又は食器洗い組成物の製造用に好適であり、先行技術の公知の短所を回避する組成物の製造方法を提供することであった。他の目的は、組成物の使用方法を提供することであった。
【0015】
従って、上記で定義された組成物が発見され、本発明の組成物と省略される。
【0016】
本発明の組成物は、合計で、1〜50質量%の範囲で、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、グルタミン酸ジアセテート(GLDA)及びそれらの塩から選択される少なくとも一種の化合物(A)を含み、本発明において化合物(A)と省略される。
【0017】
化合物(A)は、酸を含まないものとして、又は好ましくは、部分的に又は完全に中和された状態で、すなわち、塩として存在してもよい。対イオンは、例えば、無機カチオン、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属、特に好ましくは、Na、K又は有機カチオン、好ましくは一個以上の有機ラジカルで置換されたアンモニウム、特に、トリエタノールアンモニウム、N,N−ジエタノールアンモニウム、N−モノ−C−C−アルキルジエタノールアンモニウム、例えば、N−メチル−ジエタノールアンモニウム、又はN−n−ブチルジエタノールアンモニウム、及びN,N−ジ−C−C−アルキルエタノールアンモニウムを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の一つにおいては、化合物(A)は、メチルグリシンジアセテート(MGDA)及びグルタミン酸ジアセテート(GLDA)及び好ましくはそれらの塩、特に、それらのナトリウム塩から選択される。非常に特に好ましくは、グルタミン酸ジアセテート(GLDA)、GLDAのテトラナトリウム塩、メチルグリシンジアセテート及びMGDAのトリナトリウム塩である。
【0019】
出発のアミノ酸アラニン又はグルタミン酸は、L−アミノ酸、R−アミノ酸、アミノ酸のエナンチオマー混合物、例えば、ラセミ化合物から選択されてもよい。
【0020】
本発明の組成物は、合計で、0.01〜0.4質量%の範囲の少なくとも一種の亜鉛塩(B)を含む。亜鉛塩(B)は、水に可溶な及び水に不溶な亜鉛塩から選択され得る。本発明においては、水に不溶と呼ばれる亜鉛塩(B)は、25℃で、蒸留水に0.1g/l以下の溶解度を有する。従って、本発明においては、高い水溶性を有する亜鉛塩(B)は、水溶性の亜鉛塩と呼ばれる。
【0021】
亜鉛塩の比率は、亜鉛又は亜鉛イオンとして記載される。このようにして対イオンの比率が計算されてもよい。
【0022】
本発明の実施形態の一つにおいては、亜鉛塩(B)は、安息香酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ZnCl、ZnSO、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO、Zn(CHSO、没食子酸亜鉛からなる群から選択され、好ましくは、ZnCl、ZnSO、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、Zn(NO、Zn(CHSO及び没食子酸亜鉛である。
【0023】
本発明の他の実施形態においては、亜鉛塩(B)は、ZnO、ZnO水溶液、Zn(OH)、及びZnCOから選択される。好ましくは、ZnO水溶液である。
【0024】
本発明の実施形態の一つにおいては、亜鉛塩(B)は、10nm〜100μmの範囲の平均粒径(質量平均)を有する亜鉛オキシドから選択される。
【0025】
亜鉛塩(B)中のカチオンは錯体、例えば、アンモニアリガンド又は水リガンドとの錯体、特に、ハイドレートとして存在してもよい。本発明における表記を簡略化するために、リガンドは、水リガンドである場合には、一般的に省略される。
【0026】
どのように本発明の混合物のpHが調整されるかによって、亜鉛塩(B)は、変換を受けてもよい。従って、例えば、酢酸亜鉛又はZnCl(しかしながら、これらは、pHが8又は9で、水溶液環境下では、ZnO、Zn(OH)又はZnO水溶液への変換を受ける)を使用して本発明の組成物を製造することができ、これらは、錯体、又は錯体でない状態で存在してもよい。
【0027】
亜鉛塩(B)は、本発明の組成物中に存在し、本発明の組成物は、好ましくは、例えば、X線散乱によって測定され、例えば、10nm〜100μm、好ましくは100nm〜5μmの範囲の平均直径(数平均)を有する粒子の状態で、室温で固体である。
【0028】
亜鉛塩(B)は、溶解された又は固体の又はコロイドの状態で、室温で液体である本発明の組成物中に存在する。
【0029】
本発明の組成物は、さらに、(C)少なくとも一種のコポリマー又は好ましくは、少なくとも一種のエチレンイミンのホモポリマーを、合計で0.001〜0.045質量%含み、ともに、ポリエチレンイミン(C)とも略される。
【0030】
本発明においては、エチレンイミンのコポリマーは、エチレンイミンの一種以上の高級同族体、例えば、プロピレンイミン(2−メチルアジリジン)、1−又は2−ブチレンイミン(2−エチルアジリジン又は2,3−ジメチルアジリジン)を有し、例えば、エチレンイミンの割合に対して一種以上のエチレンイミンの同族体を、合計で0.01〜75mol%有するエチレンイミン(アジリジン)のコポリマーを意味するものとして理解される。しかしながら、好ましくは、コポリマー化された状態で、エチレンイミン及び、0.01〜5mol%の範囲のエチレンイミンの同族体のみを含むようなコポリマーであり、特に、エチレンイミンのホモポリマーである。
【0031】
本発明の実施形態の一つにおいては、エチレンイミンのコポリマー(C)は、エチレンイミンのグラフトコポリマー(C)から選択される。本発明においては、そのようなグラフトコポリマーは、エチレンイミングラフトコポリマー(C)とも呼ばれる。エチレンイミングラフトコポリマー(C)は、架橋されていても、又は架橋されていなくてもよい。
【0032】
本発明の実施形態の一つにおいては、エチレンイミングラフトコポリマー(C)は、ポリアミドアミンをエチレンイミンでグラフト(grafting、移植)することによって得られるポリマーから選択される。
【0033】
エチレンイミングラフトコポリマー(C)は、好ましくは、それぞれの場合、エチレンイミングラフトコポリマー(C)に対して、グラフトベースとしてのポリアミドアミン10〜90質量%と、グラフトとしてのエチレンイミン90〜10質量%から構成される。
【0034】
ポリアミドアミンは、例えば、互いの混合物として、又はジアミンとの混合物中で、純粋な状態におけるポリアルキレンポリアミンの縮合によって得られる。
【0035】
ポリアルキレンポリアミンは、本発明においては、分子中に少なくとも3個の塩基性窒素原子を含む化合物、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン及びN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを意味するものと理解される。
【0036】
好適なジアミンは、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス−(3−アミノプロピル)ピペラジン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン及び、ポリアルキレンオキシドのα,ω−ジアミノ化合物である。
【0037】
本発明の他の実施形態においては、エチレンイミングラフトコポリマー(C)は、グラフトベースとしてのポリビニルアミンを、エチレンイミン又はエチレンイミンのオリゴマー、例えば、エチレンイミンのニ量体又は三量体でグラフトすることによって製造され得るポリマーから選択される。エチレンイミングラフトコポリマー(C)は、それぞれの場合、エチレンイミングラフトコポリマー(C)に対して、好ましくは、グラフトベースとしてのポリビニルアミン10〜90質量%と、グラフトとしてのエチレンイミン90〜10質量%を主原料とする。
【0038】
しかしながら、好ましくは、ホモポリマーとしての少なくとも一種のポリエチレンイミン(C)が、好ましくは架橋されていない、本発明の組成物の成分として選択される。
【0039】
本発明の特定の実施形態によると、ポリエチレンイミン(C)は、500g/mol〜125000g/mol、好ましくは、750g/mol〜100000g/molの平均分子量Mを有する。
【0040】
本発明の実施形態の一つにおいては、ポリエチレンイミン(C)は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された500〜1000000g/molの範囲、好ましくは600〜75000g/molの範囲、特に好ましくは、800〜25000g/molの範囲の平均分子量Mを有する。
【0041】
本発明の実施形態の一つにおいては、ポリエチレンイミン(C)は、高分岐のポリエチレンイミンから選択される。高分岐のポリエチレンイミン(C)は、それらの高い分岐度(DB)によって特徴付けられる。分岐度は、例えば、13C−NMRスペクトルによって、好ましくはDO中で測定されることができ、以下のように定義される:
DB=D+T/D+T+L
(式中、D(デンドリチック)は、第三級アミノ基の割合に対応し、L(リニア)は、第二級アミノ基の割合に対応し、T(ターミナル)は、第一級アミノ基の割合に対応する。)
【0042】
本発明においては、0.1〜0.95、好ましくは0.25〜0.90の範囲、特に好ましくは、0.30〜0.80%の範囲、特に好ましくは少なくとも0.5のDBを有するポリエチレンイミン(C)が、高分岐ポリエチレンイミン(C)として分類される。
【0043】
本発明においては、構造的及び分子ユニット構成を有するポリエチレンイミン(C)は、デンドリマーポリエチレンイミン(C)に分類される。
【0044】
本発明の実施形態の一つにおいては、ポリエチレンイミン(C)は、600〜75000g/molの範囲、好ましくは800〜25000g/molの範囲の平均分子量Mを有する高分岐ポリエチレンイミン(ホモポリマー)である。
【0045】
本発明の特定の実施形態によると、ポリエチレンイミン(C)は、デンドリマーから選択され、500g/mol〜125000g/mol、好ましくは750g/mol〜100000g/molの平均分子量Mを有する高分岐ポリエチレンイミン(ホモポリマー)である。
【0046】
本発明の他の特定の実施形態においては、ポリエチレンイミン(C)は、600〜75000g/molの範囲、好ましくは800〜25000g/molの範囲の平均分子量Mを有する直鎖状又は実質的に直鎖状のポリエチレンイミン(ホモポリマー)である。
【0047】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、それぞれの場合、それぞれの組成物の固体含有量に対して、化合物(A)を、合計で1〜50質量%、好ましくは、10〜40質量%の範囲、亜鉛塩(B)を、亜鉛として計算され、合計で0.01〜0.4質量%、好ましくは0.05〜0.2質量%の範囲、及び、
エチレンイミンのホモ又はコポリマー(C)を合計で、0.001〜0.045質量%、好ましくは0.01〜0.04質量%、
任意に漂白剤(D)を、合計で、0.5〜15質量%含む。
【0048】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、室温で固体であり、例えば、粉末又はタブレット(tablet、錠剤、平板)である。本発明の他の実施形態においては、本発明の組成物は、室温で液体である。本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は顆粒状の物質、液体製剤又はゲルである。
【0049】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、それぞれの組成物の全ての固体の合計に対して、水を0.1〜10質量%含む。
【0050】
特定の理論を優先することを望むことなく、本発明の組成物において、亜鉛塩(B)は、ポリエチレンイミン(C)と複合化された状態で存在してもよい。
【0051】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、ホスフェート及びポリホスフェート(ハイドロゲンホスフェートを含む)を含まず、例えば、トリナトリウムホスフェート、ペンタナトリウムトリポリホスフェート及びヘキサナトリウムメタホスフェートを含まない。本発明におけるホスフェート及びポリホスフェートについて、“含まない”は、ホスフェート及びポリホスフェートの含有量が合計で、10ppm〜0.2質量%の範囲(重量測定法で測定)であることを意味するものと理解されるべきである。
【0052】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、漂白触媒として作用しない重金属化合物、特に、鉄及びビスマス化合物を含まない。本発明における重金属化合物について、“含まない”は、漂白触媒として作用しない重金属化合物の含有量が、合計で0〜100ppm、好ましくは1〜30ppmの範囲(リーチング法によって測定)であることを意味するものと理解されるべきである。
【0053】
本発明において、亜鉛を除き、少なくとも6g/cmの特定の密度を有する全ての金属は、“重金属”として分類される。特に、貴金属、及びビスマス、鉄、銅、鉛、スズ、ニッケル、カドミウム及びクロムも重金属として分類される。
【0054】
本発明の組成物は、好ましくは、測定可能な量のビスマス化合物を含まない。従って、例えば、1ppm未満である。
【0055】
本発明の実施形態においては、本発明の組成物は、一種以上の漂白剤(D)、例えば、一種以上の酸素漂白剤又は一種以上の塩素含有漂白剤を含む。
【0056】
本発明の組成物は、例えば、漂白剤(D)を0.5〜15質量%含んでもよい。
【0057】
好適な酸素漂白剤の例は、過ホウ酸ナトリウム(無水物、又は例えば、モノハイドレート又はテトラハイドレート、又はいわゆるジハイドレートとして)、ナトリウムペルカルボネート(無水物又は、例えば、モノハイドレートとして)、ハイドロゲンペルオキシド、ペルサルフェート、有機過酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ペルオキシ−α−ナフトエ酸、1,12−ジペルオキシドデカン二酸、過安息香酸、ペルオキシラウリン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシイソフタル酸、それぞれの場合、遊離酸として、又はアルカリ金属塩として、特に、ナトリウム塩として、さらに、スルホニルペルオキシ酸及びカチオン性ペルオキシ酸である。
【0058】
本発明の組成物は、例えば、酸素漂白剤を0.5〜15質量%の範囲で含んでもよい。
【0059】
好適な塩素含有漂白剤は、例えば、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−N−クロロスルファミド、クロラミンT、クロラミンB、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カリウム、カリウムジクロロイソシアヌレート、及びナトリウムジクロロイソシアヌレートである。
【0060】
本発明の組成物は、例えば、塩素含有漂白剤を3〜10質量%の範囲で含んでもよい。
【0061】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、他の成分(E)、例えば、一種以上の界面活性剤、一種以上の酵素、一種以上のビルダー、特に、リンを含まないビルダー、一種以上のコビルダー、一種以上のアルカリ金属キャリア、一種以上の漂白剤触媒、一種以上の漂白活性化剤、一種以上の漂白安定剤、一種以上の消泡剤、一種以上の腐食抑制剤、バッファ、染料、一種以上のフレグランス、一種以上の有機溶媒、一種以上の錠剤化助剤、一種以上の崩壊剤、一種以上の増粘剤、又は一種以上の溶解促進剤を有してもよい。
【0062】
界面活性剤の例は、特に、非イオン性界面活性剤及び、アニオン性又は双性イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物である。好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコール及び、アルコキシル化脂肪族アルコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのジ及びマルチブロックコポリマー、ソルビタンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシド、アルキルグリコシド、いわゆるアミンオキシドとの反応生成物である。
【0063】
好ましいアルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪族アルコールの例は、例えば、一般式(I)
【化1】
(式中、変数は以下のように定義される:
は同一又は異なっており、直鎖状C−C10−アルキル、好ましくはエチル、特に好ましくはメチルから選択され、
は、C−C22−アルキル、例えば、n−C17、n−C1021、n−C1225、n−C1429、n−C1633又はn−C1837から選択され、
は、C−C10−アルキル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、第二級ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、第二級ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル又はイソデシルから選択され、
m及びnは、0〜300の範囲であり、nとmの合計は少なくとも1である。好ましくは、mは、1〜100の範囲であり、nは、1〜30の範囲である。)
の化合物である。
【0064】
ここでは、一般式(I)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーでもよく、好ましくはブロックコポリマーである。
【0065】
他のアルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪族アルコールの好ましい例は、例えば、一般式(II)
【化2】
(式中、変数は以下のように定義される:
は 同一又は異なっており、直鎖状C−C−アルキルから選択され、好ましくはそれぞれの場合、同一であり、エチル、特に好ましくはメチルであり、
は、 C−C20−アルキルから選択され、特に、n−C17、n−C1021、n−C1225、n−C1429、n−C1633、n−C1837であり、
aは、 1〜6の範囲の数であり、
bは、 4〜20の範囲の数であり、
dは、 4〜25の範囲の数である)
の化合物である。
【0066】
ここでは、一般式(II)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマー、好ましくは、ブロックコポリマーとなり得る。
【0067】
非イオン性界面活性剤の他の例は、一般式(III)
【化3】
(この場合、変数は以下のように定義される:
は、同一又は異なっており、水素、メチル、及びエチルから選択され、好ましくは、同一又は異なっており、メチル及び水素から選択され、
t は、1〜50の範囲であり、
とRは、上述で定義された通りである。)
の化合物である。
【0068】
他の好適な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから構成されるジ及びマルチブロックコポリマーから選択される。他の好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシル化又はプロポキシル化ソルビタンエステルから選択される。アミンオキシド又はアルキルポリグリコシドも同様に好適である。他の好適な非イオン性界面活性剤の概要は、EP−A0851023及びDE−A19819187で知られ得る。
【0069】
2種以上の異なる非イオン性界面活性剤の混合物も存在してもよい。
【0070】
アニオン性界面活性剤の例は、分子あたり、1〜6個のエチレンオキシドユニットを有するC−C20−アルキルサルフェート、C−C20−アルキルスルホネート及びC−C20−アルキルエーテルサルフェートである。
【0071】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、それぞれの組成物の固体含有量に対して界面活性剤を3〜20質量%の範囲で含んでもよい。
【0072】
本発明の組成物は、一種以上の酵素を含んでもよい。酵素の例は、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼである。
【0073】
本発明の組成物は、例えば、それぞれの場合、本発明の組成物の固体含有量の合計に対して、最大で5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の酵素を含んでもよい。
【0074】
本発明の組成物は、一種以上のビルダー、特に、ホスフェートを含まないビルダーを含んでもよい。好適なビルダーの例は、シリケート、特に、ナトリウムジシリケート、及びナトリウムメタシリケート、ゼオライト、層状シリケート、特に、式α−NaSi、β−NaSi、及びσ−NaSi、クエン酸、及びそのアルカリ金属塩、コハク酸、及びそのアルカリ金属塩、脂肪酸スルホネート、α−ヒドロキシプロピオン酸、アルカリ金属マロネート、脂肪酸スルホネート、アルカリ−及びアルケニルジスクシナート、酒石酸ジアセテート、酒石酸モノアセテート、酸化スターチ、及びポリマービルダー、例えば、ポリカルボキシレート、及びポリアスパラギン酸である。
【0075】
本発明の実施形態の一つにおいては、ビルダーは、ポリカルボキシレート、例えば、(メタ)アクリル酸ホモポリマーのアルカリ金属塩又は(メタ)アクリル酸コポリマーから選択される。
【0076】
好適な(メタ)アクリル酸ホモポリマーのコモノマー又は(メタ)アクリル酸コポリマーは、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、及びシトラコン酸である。特に好適なポリマーは、好ましくは、2000〜40000g/mol、好ましくは2000〜10000g/mol、特に、3000〜8000g/molの範囲の平均分子量Mを有するポリアクリル酸である。また、好適なのは、コポリマーポリカルボキシレート、特に、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマーポリカルボキシレート、及びアクリル酸又はメタクリル酸と、マレイン酸及び/又はフマル酸のコポリマーポリカルボキシレートである。
【0077】
モノエチレン性不飽和C−C10−モノ又はジカルボン酸又はその無水物、例えば、以下に、列挙された少なくとも一種の親水性又は疎水性の変性モノマーを有するマレイン酸、マレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸からなる群からの少なくとも一種のモノマーのコポリマーを使用することも可能である。
【0078】
好適な疎水性モノマーは、例えば、イソブテン、ジイソブテン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、及びスチレン、10個以上の炭素原子を有するオレフィン、又はそれらの混合物、例えば、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、及び1−ヘキサコセン、C22−α−オレフィン、C20−C24−α−オレフィンの混合物及び、平均で12〜100個の炭素原子を有するポリイソブテンである。
【0079】
好適な親水性モノマーは、スルホネート又はホスホネート基を有するモノマー及び、ヒドロキシル官能基又はアルキレンオキシド基を有する非イオン性モノマーである。具体例は、以下のものを含む:アリルアルコール、イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(プロピレンオキシド‐コエチレンオキシド)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリ(プロピレンオキシド−コ−エチレンオキシド)(メタ)アクリレート。ここでは、ポリアルキレングリコールは、3〜50個、特に、5〜40個、特に、10〜30個のアルキレンオキシドユニットを含む。
【0080】
ここでは、特に好ましいスルホン酸基を含むモノマーは、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタアリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド及び上述の酸の塩、例えば、それらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩である。
【0081】
特に好ましいホスホネート基を含むモノマーは、ビニルホスホン酸及びその塩である。
【0082】
さらに、両性のポリマーもビルダーとして使用されてもよい。
【0083】
本発明の組成物は、それぞれの組成物の固体含有量に対して、例えば、合計で10〜50質量%の範囲、好ましくは最大で20質量%のビルダーを含んでもよい。
【0084】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、一種以上のコビルダーを含んでもよい。
【0085】
コビルダーの例は、ホスホネート、例えば、ヒドロキシアルカンホスホネート及びアミノアルカンホスホネートである。ヒドロキシアルカンホスホネートの中では、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホネート(HEDP)が、コビルダーとして特に重要である。それは、好ましくはナトリウム塩として使用され、ジナトリウム塩は中性であり、テトラナトリウム塩はアルカリ性(pH9)である。好適なアミノアルカンホスホネートは、好ましくは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びそれらの高い同族体である。それらは好ましくは、中性的に反応するナトリウム塩の状態で、例えば、EDTMPのヘキサナトリウム塩として、又はDTPMPのヘプタ及びオクタナトリウム塩として使用される。
【0086】
本発明の組成物は、一種以上のアルカリキャリアを含んでもよい。アルカリ性のpHが要求される場合には、アルカリキャリアは、例えば、少なくとも9のpHを提供する。例えば、アルカリ金属カルボネート、アルカリ金属ハイドロゲンカルボネート、アルカリ金属ヒドロキシド、及びアルカリ金属メタシリケートが好適である。好ましいアルカリ金属は、それぞれの場合、カリウム、特に好ましくはナトリウムである。
【0087】
本発明の組成物は、一種以上の漂白触媒を含んでもよい。漂白触媒は、漂白強化遷移金属塩又は遷移金属錯体、例えば、マンガン−、鉄−、コバルト−、ルテニウム−、又はモリブデン−サレン錯体、又はマンガン−、鉄−、コバルト−、ルテニウム−、又はモリブデン−カルボニル錯体から選択され得る。漂白触媒として、ニトロゲン含有トリポッドリガンドを有するマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウム及び銅錯体並びに、コバルト−、鉄−、銅−及びルテニウム−アミン錯体を使用することも可能である。
【0088】
本発明の組成物は、一種以上の漂白活性剤、例えば、N−メチルモルホリニウム−アセトニトリル塩(“MMA塩”)、トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、N−アシルイミド、例えば、N−ノナノイルスクシンイミド、1,5−ジアセチル−2,2−ジオキソヘキサハイドロ−1,3,5−トリアジン(“DADHT”)又はニトリルクワット(トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩)を含んでもよい。
【0089】
他の好適な漂白活性剤の例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)及びテトラアセチルへキシレンジアミンである。
【0090】
本発明の組成物は、一種以上の腐食抑制剤を含んでもよい。ここでは、金属腐食を抑制する化合物を意味するものと理解される。好適な腐食抑制剤の例は、トリアゾール、特に、ベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、フェノール誘導体、例えば、ヒドロキノン、ピロカテキン、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール又はピロガロールである。
【0091】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、それぞれの組成物の固体含有量に対して、合計で0.1〜15質量%の範囲の腐食抑制剤を含む。
【0092】
本発明の組成物は、一種以上のビルダー、例えば、ナトリウムサルフェートを含んでもよい。
【0093】
本発明の組成物は、例えば、シリコンオイル及びパラフィンオイルから選択される一種以上の消泡剤を含んでもよい。
【0094】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、それぞれの組成物の固体含有量に対して、合計で0.05〜0.5質量%の範囲の消泡剤を含む。
【0095】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、一種以上の追加の酸の塩、例えば、メタンスルホン酸のナトリウム塩を含んでもよい。
【0096】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の組成物は、5〜14、好ましくは8〜13の範囲のpHを有する。
【0097】
本発明はさらに、食器及び調理器具の機械洗浄用の本発明の組成物の使用方法に関する。
【0098】
本発明においては、挙げられる調理器具は、例えば、鍋、パン、キャセロール、金属製品、例えば、スキマー、魚おろし器、及びにんにくつぶし器である。
【0099】
好ましくは、装飾されていても装飾されていなくてもよい少なくとも1つのガラス表面を有する物品を機械洗浄するために本発明の組成物を使用することである。これに関連して、本発明において、ガラス製の表面は、当物品が、大気中の空気と接触し、その物品を使用するときに汚れる可能性のあるガラス製の少なくとも一部分を有することを意味するものとして理解される。従って、当物品は、飲料用グラス又はガラス製の皿のように、基本的にガラス製の物品でもよい。しかしながら、それらは、例えば、他の材料でできている独立した構成要素を有する蓋、例えば、金属製の縁と取っ手を有する鍋の蓋であってもよい。
【0100】
ガラス製の表面は装飾、例えば、着色され、印刷されていてもよく、又は装飾されていなくてもよい。
【0101】
“ガラス”の語は、任意のガラス、例えば、鉛ガラス、特にソーダライムガラス、クリスタルガラス、及びホウケイ酸ガラスを含む。
【0102】
好ましくは、機械洗浄は、食器洗い機(自動食器洗い)を使用する洗浄動作である。
【0103】
本発明の実施形態の一つにおいては、本発明の少なくとも一種の組成物は、飲料用グラス、ガラス製花瓶、及び調理用ガラス容器を機械洗浄するために使用される。
【0104】
本発明の実施形態の一つにおいては、ドイツ硬度1〜30°、好ましくは、ドイツ硬度2〜25°の範囲の硬度を有する水が洗浄用に使用され、ドイツ硬度は、特にカルシウム硬度を意味するものとして理解される。
【0105】
本発明の組成物が機械洗浄用に使用される場合には、少なくとも一部にガラス製の表面を有する物品が機械洗浄を繰り返されるときでさえも、少なくとも一部にガラス製の表面を有する物品が、ひどく汚れたカトラリー又は食器と一緒に洗浄される場合のみに、ガラス腐食に対する非常に低い傾向が観察される。さらに、金属製品と一緒に、例えば、ポット、鍋、にんにくつぶし器と一緒にガラスを洗浄することにとって、本発明の組成物を使用することは非常に害が少ない。
【0106】
本発明はさらに、本発明の製造方法とも略される、本発明の組成物の製造方法を提供する。本発明の製造方法を行うために、手順は、例えば、互いに混合すること、例えば、
(A)MGDA、GLDA及びそれらの塩から選択される少なくとも一種の化合物、
(B)少なくとも一種の亜鉛塩、
(C)エチレンイミンの少なくとも一種のホモ又はコポリマー
及び、任意に漂白剤(D)及び/又は他の成分(E)を、一以上の工程で、水の存在下で攪拌すること、及び、その後、水を完全に又は少なくとも部分的に除去することを含んでもよい。化合物(A)、亜鉛塩(B)、ポリエチレンイミン(C)及び任意に漂白剤(D)及び/又は他の成分(E)は、好ましくは、ここでは、上述された割合で使用される。
【0107】
化合物(A)、亜鉛塩(B)及びポリエチレンイミン(C)及び漂白剤(D)及び他の成分(E)は、上で定義されている。
【0108】
本発明の実施形態の一つにおいては、水が少なくとも部分的に除去される前に、本発明の組成物のための一種以上の他の成分(E)、例えば、一種以上の界面活性剤、一種以上の酵素、一種以上のビルダー、特に、ホスホラスを含まないビルダー、一種以上のコビルダー、一種以上のアルカリキャリア、一種以上の漂白触媒、一種以上の漂白活性剤、一種以上の漂白安定剤、一種以上の消泡剤、一種以上の腐食抑制剤、バッファ、又は染料の中で混合することが可能である。
【0109】
一実施形態においては、手順は、水を完全に又は部分的に、例えば、0〜5質量%の範囲の残留湿気となるまで、蒸留によって、特に噴霧乾燥、噴霧造粒又は圧縮によって、本発明の組成物から、水を除去することを含む。
【0110】
本発明の他の実施形態においては、
(A)MGDA、GLDA及びそれらの塩から選択される少なくとも一種の化合物、及び
(C)エチレンイミンの少なくとも一種のホモ又はコポリマー
は、最初に水の存在下で混合され、その後、水が完全に、又は少なくとも部分的に除去され、その後、亜鉛塩(B)と共に、水と共に、又は水を含まずに、及び任意に、一種以上の漂白剤と共に、又は一種以上の他の成分(E)と共に混合される。
【0111】
本発明の実施形態の一つにおいては、水は、0.3〜2barの範囲の圧力で、完全に又は部分的に除去される。
【0112】
本発明の実施形態の一つにおいては、水は、60〜220℃の範囲の温度で、完全に又は部分的に除去される。
【0113】
本発明の製造方法によって、本発明の組成物は容易に得られることができる。
【0114】
本発明の組成物の洗浄は、液体又は固体状態で、単相又は多相で、タブレットとして、又は他の計量単位の状態で、パッケージされ又は、パッケージされていない状態で提供され得る。液体組成物の水含有量は、35〜90%の水で変化し得る。
【実施例】
【0115】
本発明は実施例によって説明される。
【0116】
概論:家庭用の食器洗い機における試験片の最初の洗浄に続いて、計量し、ガラスの視覚的評価をする後まで、試験片は、試験片の質量及び/又は視覚的評価が歪められないように清潔な綿の手袋を使用して取り扱われるのみであることが確保された。
【0117】
本発明の範囲内においては、別段に明記されない限り、%及びppmは常に、質量%及び質量ppmであり、本発明の組成物の場合には、合計固体含有量に基づいている。
【0118】
I.本発明の組成物の製造
I.1 ベース混合物の製造
初めに、表1に記載の供給物質が含有されるベース混合物が製造された。供給物質は乾燥状態で混合された。
【0119】
【表1】
【0120】
注:全ての量的データの単位はgである。
略称:
MGDA:トリナトリウム塩としてのメチルグリシンジ酢酸
TAED:N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン
HEDP:ヒドロキシエタン(1,1−ジホスホン酸)のジナトリウム塩
【0121】
I.2 本発明の組成物の製造
100mlビーカー中に、20mlの蒸留水が入れられ、以下のものが攪拌しながら連続して加えられた;
表2(又は3)に記載の亜鉛塩(B.1)又は(B.2)
表2(又は3)に記載のポリエチレンイミン(C.1)、(C.2)又は(C.3)
混合物が室温で10分間攪拌された。30mlの水に溶解されたMGDAトリナトリウム塩(A.1)は、その後、表2(又は3)に加えられた。これは、はっきりと透明な溶液を与えた。水が蒸留された。その後、表2(又は3)に記載のベース混合物が加えられ、乾燥成分が混合された。
【0122】
これは、表2(又は3)に従って試験された本発明に記載の組成物を与えた。
【0123】
比較組成物を製造するために、手順は、亜鉛塩(B)又はポリエチレンイミン(C)又は両方が省かれることを除き類似していた。
【0124】
“連続的に動作する食器洗い機”試験において(又は浸漬試験において)、ベース混合物の対応するフラクション(fraction、留分)が、(A.1)、(B)又は(C)の水溶液とは別に加えられた場合に、同一の量の活性成分を有する乾燥された組成物が試験されたときと同一の結果が得られた。従って、追加の順序の問題ではない。
【0125】
(B.1):ZnSO・7HO。量は亜鉛に基づいている。
【0126】
(B.2):ZnO。量は亜鉛に基づいている。
【0127】
(C.1):ポリエチレンイミンホモポリマー M800g/mol、DB=0.63
(C.2):ポリエチレンイミンホモポリマー M5000g/mol、DB=0.67
(C.3):ポリエチレンイミンホモポリマー M25000g/mol、DB=0.70
【0128】
II.ガラスの機械洗浄用の本発明の組成物及び比較組成物の使用方法
【0129】
本発明の組成物及び比較組成物の試験は、以下のように行われた。
【0130】
II.1 連続動作する食器洗い機による試験方法
食器洗い機: Miele G 1222 SCL
プログラム: 65℃(予備洗浄を含む)
食器: 3個“GILDE”シャンパングラス、3個“INTERMEZZO”ブランデーグラス
【0131】
洗浄(cleaning、クリーニング)のために、グラスが食器洗い機の上部の食器かごの中に配置された。
【0132】
使用される食器洗浄用組成物は、それぞれの場合、18gの本発明の組成物又は表2に記載の比較組成物であり、表2は、それぞれの場合、個々に活性成分(A.1)、任意に(B)、任意に(C)及び本発明の組成物のベース混合物を明示している。洗浄は、65℃のクリアリンス(clear-rinse)温度で行われた。水の硬度は、それぞれの場合、0〜2°ドイツ硬度の範囲であった。
【0133】
洗浄(washing,ウォッシング)は、それぞれの場合、50洗浄サイクル行われ、すなわち、プログラムは50x実行させておかれた。50洗浄サイクルの後、評価は、重量測定法で、及び視覚的に行われた。グラスの質量は、最初の洗浄サイクルが開始される前と、最後の洗浄サイクルの後の乾燥後に測定された。質量損失は、2つの値の差である。
【0134】
重量測定評価と同様に、多孔板の背後からの光を用いる暗室における、100サイクル後の食器の視覚的評価は、1(非常に悪い)〜5(非常に良い)の評価尺度を用いて与えられた。これに関連して、グレードは、斑状の腐食/曇り及び/又は線腐食のそれぞれの場合で測定された。
【0135】
II.2 浸漬試験方法
装置:
接触式温度計のための孔がある蓋を有するステンレス鋼鍋(容積約6リットル)
ステンレス鋼鍋のための取り付け部(台、mounting)を有するメッシュベース挿入物(mesh base insert)
スターラーロッド、接触式温度計、孔を有するゴム栓を有する磁気攪拌機
【0136】
実験条件:
温度:75℃
時間:72時間
蒸留水又は所定の水硬度を有する水(“硬水”)5リットル
使用される試験片は、それぞれの場合、リビー社(NL)のシャンパングラスとブランデーグラスであった。原料:ソーダライムガラス
【0137】
実験手順:
予備処理の目的のために、試験片は最初に、どんな汚れも除去するために、1gの界面活性剤(n−C1837(OCHCH10OH)及び、20gのクエン酸を使用して家庭用食器洗い機(Bosch SGS5602)で洗浄された。試験片は乾燥され、それらの質量が測定され、それらはメッシュベース挿入物に固定された。
【0138】
ステンレス鋼鍋は、5.5リットルの水で満たされ、本発明の組成物又は比較組成物18gが加えられた。表3は、それぞれの場合、個々に、活性成分(A.1)、任意に(B)、任意に(C)、本発明の組成物又は比較組成物のベース混合物を明示する。この方法で得られた洗浄用液体は、毎分550回転で磁気攪拌機を使用して攪拌された。接触式温度計が挿入され、実験中は水が全く蒸発できないようにステンレス鋼鍋は蓋で覆われた。75℃まで加熱され、2個の試験片とともに、メッシュベース挿入物がステンレス鋼鍋の中に配置され、試験片が完全に液体の中に浸漬されたことが保証された。
【0139】
実験の最後に、試験片が取り出され、流れる蒸留水の下で濯がれた。その後、試験片は、再び、55℃のプログラムを使用して、どんな沈殿物をも除去するために、界面活性剤(n−C1837(OCHCH10OH)1gと、クエン酸20gからなる組成物を使用して、家庭用食器洗い機で洗浄された。
【0140】
重量摩耗を評価するために、乾燥した試験片の質量が測定された。その後、試験片の視覚的評価が行われた。このために、試験片の表面が、線腐食(ガラスリッジ(glass ridges))、曇り腐食(シート状の曇り)に関して評価された。
【0141】
評価は以下の表(scheme、スキーム)に従って行われた。
【0142】
線腐食:
L5:視認可能な線がない
L4:非常に少ない範囲におけるわずかな線形成、細い線腐食
L3:少ない範囲における線腐食
L2:いくつかの範囲における線腐食
L1:ひどい線腐食
ガラス曇り
5:視認可能な曇りがない
4:非常に少ない範囲におけるわずかな曇り
3:少ない範囲における曇り
2:いくつかの範囲における曇り
1:実質的にガラス表面全体にわたるひどい曇り
【0143】
評価時に、中間のグレード(例えばL3〜4)も認められた。
【0144】
水の代わりに、ドイツ硬度2°を有する硬水が試験のために使用された場合、同様に、本発明の組成物は、ガラス腐食の抑制に関し、常に対応する比較組成物よりも優れていた。
【0145】
II.3 結果
結果は表2及び3にまとめられている。
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】