特許第6487800号(P6487800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487800
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】基板の加工方法及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20190311BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190311BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20190311BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20190311BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20190311BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   B24B27/06 M
   H01L21/68 A
   B08B1/00
   H01L21/68 P
   B24B41/06 Z
   B28D7/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-148448(P2015-148448)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2017-24150(P2017-24150A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大室 喜洋
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−367227(JP,A)
【文献】 特開平10−218364(JP,A)
【文献】 特開2014−93513(JP,A)
【文献】 特開2006−78528(JP,A)
【文献】 特開2014−22591(JP,A)
【文献】 特開2000−21952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B08B 1/00
B24B 41/06
B28D 7/04
H01L 21/677
H01L 21/683
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にはディスプレイ画面が形成され、裏面には該ディスプレイ画面を駆動する部品が実装された中央領域と該中央領域を囲繞する外周余剰領域とが形成された基板について、接続端子を該中央領域から外周側に露出させるために、該基板を切断して外周余剰領域を除去する基板の加工方法であって、
該中央領域を除く基板の裏面側を第1の保持テーブルに保持する保持ステップと、
該保持ステップの実施後、切削ブレードを用いて基板の該外周余剰領域を切削する切削ステップと、
該切削ステップの実施後、基板の表面を洗浄する洗浄ステップと、
該洗浄ステップの実施後、吸水性を有し多孔質部材から構成される搬送パッドによって基板の表面全面を吸着し、該搬送パッドが表面に付着した水分を除去しながら該第1の保持テーブルから第2の保持テーブルへ基板を搬送する搬送ステップと、
該搬送ステップの実施後、該保持ステップで該第1の保持テーブルに保持されていた該中央領域を除く基板の裏面側を該第2の保持テーブルによって保持し、該基板の裏面を洗浄するとともに乾燥させる洗浄乾燥ステップと、
を含み、
該保持ステップでは、該第1の保持テーブルのうち、基板の裏面の該中央領域に対応する部分を正圧とし、該中央領域以外に対応する部分を吸着する
ことを特徴とする基板の加工方法。
【請求項2】
表面にはディスプレイ画面が形成され、裏面には該ディスプレイ画面を駆動する部品が実装された中央領域と該中央領域を囲繞する外周余剰領域とが形成された基板について、接続端子を該中央領域から外周側に露出させるために、該基板を切断して外周余剰領域を除去する加工装置であって、
基板を保持する第1の保持テーブルと、
該第1の保持テーブルに保持された基板を切削する切削ブレードを含む切削手段と、
切削後の基板の表面を洗浄する洗浄手段と、
洗浄後の基板の表面に付着した水分を除去しながら、該第1の保持テーブルから、該第1の保持テーブルによって保持された領域を洗浄するとともに乾燥させる第2の保持テーブルに搬送する搬送パッドと、
を少なくとも具備し、
該第1の保持テーブルは、
中央部に位置する正圧領域と該正圧領域を囲繞する吸着領域とに分かれ、
該正圧領域は、大気圧又は正圧のいずれかを供給する供給源と該正圧領域とを連通させる供給路を具備し、
該吸着領域は、
二つの環状のゴムに囲まれた領域を指し、
該ゴムのうち、外側のゴムに形成された該切削ブレード用の逃げ溝と、
吸引源と該吸着領域とを連通させる第1の吸引路とを具備し、
該搬送パッドは、
板状の多孔質部材から形成され該基板の表面全面を吸着する第1のスポンジと、
該第1のスポンジを収容する凹部を有する第1のプレートと、
該第1のスポンジと吸引源とを連通させる第2の吸引路と
を少なくとも具備し、
該第2の保持テーブルは、
板状の多孔質部材から形成され該第1の保持テーブルによって保持された領域を吸着する第2のスポンジと、
該第2のスポンジの吸着させる表面以外の部分を覆う第2のプレートと、
該第2のスポンジと吸引源とを連通させる第3の吸引路と、
を少なくとも具備することを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にディスプレイ画面が形成され裏面にディスプレイ画面を作動させる部品が実装された中央領域と該中央領域を囲繞する外周余剰領域とが形成された基板について、接続端子を外周に露出させるために外周余剰領域を切断する基板の加工方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面側に配線や部品が実装されている基板の外周部を切断する場合は、裏面側を濡らさないようにするために、部品周辺及びカットライン近傍にパッキンを設け、基板裏面を吸着保持している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−142080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板の裏面に配線のプリント等の凹凸があると、パッキンではシールしきれないためにエアーのリークが発生し、外部から侵入した水が部品に付着してしまうという問題がある。
【0005】
また、基板の外周部を切断する切削工程と外周部が切断された基板を洗浄する洗浄工程との後には、基板の表面を乾燥させる乾燥工程が必要となるが、基板を保持テーブルに保持した状態で、吸水スポンジやエアーブローによって基板上面を乾燥させ、その後、乾燥させた基板を装置内の次の工程が行われる場所に搬送しているため、前の基板の乾燥工程が終わるまでは次の基板を保持テーブルに搬送することができず、生産性が低いという問題が生じている。
【0006】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、基板の裏面の部品を濡らさずに切削加工できるようにするとともに、切削加工後の基板の乾燥を迅速に行い、生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板の加工方法は、表面にはディスプレイ画面が形成され、裏面には該ディスプレイ画面を駆動する部品が実装された中央領域と該中央領域を囲繞する外周余剰領域とが形成された基板について、接続端子を該中央領域から外周側に露出させるために、該基板を切断して外周余剰領域を除去する基板の加工方法であって、該中央領域に対して非接触な状態で、該中央領域を除く基板の裏面側を第1の保持テーブルに保持する保持ステップと、該保持ステップの実施後、切削ブレードを用いて基板の該外周余剰領域を切削する切削ステップと、該切削ステップの実施後、基板の表面を洗浄する洗浄ステップと、該洗浄ステップの実施後、吸水性を有し多孔質部材から構成される搬送パッドによって基板の表面全面を吸着し、該搬送パッドが表面に付着した水分を除去しながら該第1の保持テーブルから第2の保持テーブルへ基板を搬送する搬送ステップと、該搬送ステップの実施後、該保持ステップで該第1の保持テーブルに保持されていた該中央領域を除く基板の裏面側を該第2の保持テーブルによって保持し、該基板の裏面を洗浄するとともに乾燥させる洗浄乾燥ステップと、を含み、該保持ステップでは、該第1の保持テーブルのうち、基板の裏面の該中央領域に対応する部分を正圧とし、該中央領域以外に対応する部分を吸着することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る加工装置は、表面にはディスプレイ画面が形成され、裏面には該ディスプレイ画面を駆動する部品が実装された中央領域と該中央領域を囲繞する外周余剰領域とが形成された基板について、接続端子を該中央領域から外周側に露出させるために、該基板を切断して外周余剰領域を除去する加工装置であって、基板を保持する第1の保持テーブルと、該第1の保持テーブルに保持された基板を切削する切削ブレードを含む切削手段と、切削後の基板の表面を洗浄する洗浄手段と、洗浄後の基板の表面に付着した水分を除去しながら、該第1の保持テーブルから、該第1の保持テーブルによって保持された領域を洗浄するとともに乾燥させる第2の保持テーブルに搬送する搬送パッドと、を少なくとも具備し、該第1の保持テーブルは、中央部に位置する正圧領域と該正圧領域を囲繞する吸着領域とに分かれ、該正圧領域は、大気圧又は正圧のいずれかを供給する供給源と該正圧領域とを連通させる供給路を具備し、該吸着領域は、二つの環状のゴムに囲まれた領域を指し、該ゴムのうち、外側のゴムに形成された該切削ブレード用の逃げ溝と、吸引源と該吸着領域とを連通させる第1の吸引路とを具備し、該搬送パッドは、板状の多孔質部材から形成され該基板の表面全面を吸着する第1のスポンジと、該第1のスポンジを収容する凹部を有する第1のプレートと、該第1のスポンジと吸引源とを連通させる第2の吸引路とを少なくとも具備し、該第2の保持テーブルは、板状の多孔質部材から形成され該第1の保持テーブルによって保持された領域を吸着する第2のスポンジと、該第2のスポンジの吸着させる表面以外の部分を覆う第2のプレートと、該第2のスポンジと吸引源とを連通させる第3の吸引路と、
を少なくとも具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る基板の加工方法は、保持ステップにおいて、第1の保持テーブルのうち、基板の裏面の中央領域に対応する部分を正圧とし、中央領域以外に対応する部分を吸着するため、基板の裏面の部品を濡らさずに切削加工することができる。また、基板の表面を洗浄した後、吸水性があり多孔質部材から形成される搬送パッドで基板の表面を吸着し、基板の表面に付着した水分を除去しながら基板を第2の保持テーブルに搬送し、第2の保持テーブルにおいては第1の保持テーブルによって保持された部分以外を保持するとともにその部分を洗浄し乾燥させるため、切削加工後の基板の乾燥を迅速に行い、生産性を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る加工装置は、第1の保持テーブルを、吸着領域と正圧領域に分けた構造とし、部品が実装された基板の中央領域には正圧を供給することで、配線等の凹凸によるバキュームリークがあっても部品が濡れずに外周を切断することが可能となっている。また、搬送パッドと第2の保持テーブルとに、バキューム機構を具備した多孔質部材を使用し、この搬送パッドによって搬送と基板表面の水分除去とが同時に行われ、第2の保持テーブルによって基板裏面の水分除去が行われる。これによって、乾燥時間を待たずに次の基板をチャックテーブルに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】加工装置の例を示す斜視図である。
図2】第1の保持テーブルの例を示す断面図である。
図3】搬送パッドの例を示す断面図である。
図4】第2の保持テーブルの例を示す断面図である。
図5】保持ステップを示す断面図である。
図6】切削ステップを示す断面図である。
図7】洗浄ステップを示す断面図である。
図8】搬送ステップを示す断面図である。
図9】乾燥ステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す切削装置1は、本発明の加工装置の一例であり、切削対象の矩形の基板10の裏面102を保持する第1の保持テーブル2と、第1の保持テーブル2に保持された基板10を切削する切削手段3と、切削後の基板10の表面101を洗浄する洗浄手段4と、切削及び表面洗浄後の基板10を保持する第2の保持テーブル5と、切削及び表面洗浄後の基板10を第1の保持テーブル2から第2の保持テーブル5に搬送する搬送パッド6とを備えている。
【0013】
基板10の表面101には、ディスプレイ画面が形成されている。一方、基板10の裏面102には、ディスプレイ画面を駆動する部品が実装された中央領域103と中央領域103を囲繞する外周余剰領域104とが形成されている。
【0014】
切削装置1の前面側には、加工対象の基板10が収容されるカセット70が載置されるカセット載置領域7が設けられている。カセット載置領域7の後方(+Y方向側)には、カセット70からの基板10の搬出及びカセット70への基板10の搬入を行う搬入出手段8が配設されている。また、カセット載置領域7と搬入出手段8との間には、基板10が一時的に載置される仮置き領域80が設けられている。仮置き領域80には、基板10を一定の位置に位置合わせする位置合わせ手段81が配設されている。
【0015】
仮置き領域80の近傍には、基板10を仮置き領域80から第1の保持テーブル2に搬送する旋回搬送手段9が配設されている。
【0016】
第1の保持テーブル2は、X軸方向に移動可能であり、その移動経路の上方には、基板の切削すべき位置を検出するアライメント手段11が配設されている。アライメント手段11は、基板を撮像する撮像手段110を備えている。
【0017】
切削手段3は、Y軸方向の軸心を有するスピンドルの先端に装着された切削ブレード30を備えている。また、切削ブレード30をY軸方向から挟むようにして、切削ブレード30に対して切削液を供給する一対の切削液ノズル31(一方のみを図示)が配設されている。
【0018】
洗浄手段4は、第1の保持テーブル2の移動経路の上方であって切削手段3よりも+X方向側に配設されている。洗浄手段4は、切削後の基板10の表面101を洗浄する。洗浄手段4は、昇降可能な軸部40と、軸部40の下端に固定されY軸方向に延在する洗浄スポンジ41とを備えている。
【0019】
図2に示すように、第1の保持テーブル2の中央部には、凹部20が形成されている。凹部20は、底面200と側面201とを備え、底面200には、エアー供給路21の一端から開口した噴出口210が形成されている。エアー供給路21の他端は、エアー供給源22に連通している。凹部20の外周側は、図1に示した基板10の裏面102を接触状態で保持する接触保持部23を備えている。接触保持部23の上面は、基板10の裏面102に接触する保持面230であり、保持面230には、第1の吸引路24の一端から開口した吸引口240が形成されている。第1の吸引路24の他端は、吸引源25に連通している。
【0020】
保持面230には、四角環状の内側ゴム26と、内側ゴム26の外周側に位置する環状の外側ゴム27とが固着されている。また、外側ゴム27には、その周回方向に沿ってブレード用逃げ溝270が形成されている。
【0021】
図1に示すように、搬送パッド6は、Y軸方向に移動可能なアーム部60と、アーム部60に対してZ軸方向に昇降可能な昇降部61と、昇降部61の下端に固定された第1のプレート62とを備えている。図3に示すように、第1のプレート62の下面側には凹部63が形成され、凹部63には第1のスポンジ64が収容されている。この第1のスポンジ64は、吸水性のあるもの、例えば、ウレタンスポンジであり、板状の多孔質部材によって形成され、その下面640は、平面上に形成されている。第1のプレート62の内部には第2の吸引路65が設けられ、第2の吸引路65の一端が第1のスポンジ64の上端に連通している。一方、第2の吸引路65の他端は、継手66を介して吸引源67に連通している。
【0022】
第2の保持テーブル5は、図4に示すように、側壁510と、底板511と、底板511から側壁510と平行に立設された隔壁512とからなる第一のプレート51を備えている。側壁510と隔壁512との間には、四角環状の第2のスポンジ52が収容されている。底板511の内部には第3の吸引路53が形成されており、この第3の吸引路53の一端は、第2のスポンジ52に連通している。一方、第3の吸引路53の他端は、継手54を介して吸引源55に連通している。第2のスポンジ52は、吸水性のあるもの、例えばウレタンスポンジであり、第2のスポンジの吸着させる表面520以外の部分は、第2のプレート51の側壁510と、底板511と、隔壁512とによって覆われている。
【0023】
(1)保持ステップ
切削装置1の第1の保持テーブル2には、図5に示すように、基板10の裏面102側が載置される。基板10の裏面102の中央領域103には、表面のディスプレイ画面を駆動する部品105が実装されており、中央領域103の周囲には中央領域103を囲繞する外周余剰領域104が形成されている。
【0024】
外周余剰領域104は、内側ゴム26及び外側ゴム27の上に載置される。このとき、中央領域103の部品105が凹部20に位置し、部品105と第1の保持テーブル2とが非接触となることが好ましい。
【0025】
そして、吸引源25を作動させ、吸引源25が生み出す吸引力を第1の吸引路24を介して吸引口240に作用させる。そうすると、内側ゴム26の外周と外側ゴム27の内周との間の領域、すなわち、内側ゴム26の外周面と基板10の裏面102と外側ゴム27の内周面と保持面230とによって囲まれた空間28は、負圧による吸着領域となる。したがって、空間28に作用する負圧によって、基板10の裏面102の外周余剰領域104が吸引保持される。
【0026】
また、供給源22を作動させ、供給路21を介して供給口210からエアーを噴出させる。そうすると、内側ゴム26の内周側の領域、すなわち、内側ゴム26の内周面と基板10の裏面102と保持面230と凹部20の底面200と凹部20の側面201とによって囲まれた空間29は、正圧領域となる。なお、空間29の圧力は、大気圧としてもよい。このように、保持ステップでは、第1の保持テーブル2のうち、基板10の裏面102の中央領域103に対応する部分を正圧とし、中央領域103以外に対応する部分を吸着する。
【0027】
(2)切削ステップ
このようにして基板10の裏面102が保持された状態で、第1の保持テーブル2が図1に示した−X方向に移動し、撮像手段110によって基板10の表面101が撮像され、切削すべき切削ライン、すなわちこの場合は、外周余剰領域104の切削すべき位置が検出される。そして、その検出された切削ラインと切削ブレード30とのY軸方向の位置合わせがなされる。
【0028】
次に、第1の保持テーブル2がさらに+X方向に移動し、切削ブレード30が高速回転しながら切削手段3が降下し、図6に示すように、検出された切削ラインに切削ブレード31が切り込んで切削される。切削ブレード31の刃先は、外側ゴム27に形成されたブレード逃げ溝270に収容される。切削時は、切削ブレード30と基板10との接触部位に対して、切削液ノズル31から切削液が供給される。
【0029】
1本の切削ラインを切削後、切削手段3をY軸方向に送り、同方向に形成された切削ラインについても同様の切削を行うと、同方向の2本の切削ラインが切削される。さらに、第1の保持テーブル2を90度回転させ、同様の切削を行うと、外周余剰領域104が切断され、残った基板の中央領域から外周側に接続端子が露出した状態となる。
【0030】
空間29は正圧領域となっているため、空間28との間には圧力差がある。したがって、かりに内側ゴム26と基板10の裏面102との間、または内側ゴム26と保持面230との間に多少の隙間があったとしても、切削中に使用される切削液が空間29に侵入するのを阻止することができる。したがって、空間29に位置する部品105が濡れるのを防止することができる。
【0031】
(3)洗浄ステップ
次に、図7に示すように、洗浄手段4を構成する軸部40を降下させることにより、洗浄スポンジ41の下面の高さを基板10の表面101の高さの若干下方にあわせる。そして、基板10の表面101に洗浄スポンジ41を接触させながら、第1の保持テーブル2を+X方向に移動させながら、表面101に付着した切削屑を除去する。そして、かかる洗浄が終了すると、第1の保持テーブル2は、図1に示した元の位置に戻る。
【0032】
(4)搬送ステップ
次に、図1に示した搬送パッド6が−Y方向に移動し、図3に示した第1のスポンジ64を、第1の保持テーブル2に保持された基板10の直上に位置させる。そして、図1に示した昇降部61が降下して第1のプレート62及び第1のスポンジ64が降下し、図8に示すように、第1のスポンジ64の下面640を基板10の表面101全面に接触させる。
【0033】
次に、第2の吸引路65を介して吸引源67において発生する吸引力を第1のスポンジ64に作用させ、基板10の表面101全面を吸引保持する。そうすると、基板10の表面101に付着していた水分が吸引され除去されていく。
【0034】
こうして表面101に付着していた切削液を吸引して表面101の洗浄及び乾燥を行いながら、図1に示したアーム部60を−Y方向に移動させ、基板10を第2の保持テーブル5の直上に移動させる。そして、昇降部61を降下させ、図9に示すように、基板10を第2の保持テーブル5に載置する。
【0035】
(5)洗浄及び乾燥ステップ
次に、図9に示すように、第3の吸引路53を介して吸引源55の吸引力を第2のスポンジ52に作用させ、保持ステップで第1の保持テーブル2に保持されていた中央領域103を除く基板10の裏面102側、すなわち、切削ステップ後にも残存している外周余剰領域104を吸引保持する。そうすると、裏面102の外周余剰領域104に付着していた切削液が吸引され、裏面102の外周余剰領域104が洗浄及び乾燥される。
【0036】
第2のスポンジ52は、四角環状に形成され、中央領域103の部品105には接触しない。部品105は、保持ステップ、切削ステップ及び洗浄ステップにおいて、濡れないように保護されていたため、乾燥ステップにおいても乾燥させる必要はない。
【0037】
このように、基板10の表面101を洗浄した後、吸水性があり多孔質部材から形成される搬送パッド6の第1のスポンジ64によって基板10の表面101を吸着し、基板10の表面101に付着した水分を除去しながら基板10を第2の保持テーブル5に搬送し、第2の保持テーブル5においては第1の保持テーブル2によって保持された部分以外を保持するとともにその部分を洗浄し乾燥させるため、切削加工後の基板10の乾燥を迅速に行うことができる。また、搬送パッド6による搬送中に基板10の表面101の洗浄及び乾燥を行うことができるため、切削された基板10の洗浄及び乾燥が終了するのを待つことなく、次の切削対象の基板を第1の保持テーブル2に保持して切削を行うことができ、生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1:切削装置
2:第1の保持テーブル
20:凹部 200:底面
21:エアー供給路
22:エアー供給源 23:接触保持部 230:保持面 24:第1の吸引路
25:吸引源 26:内側ゴム 27:外側ゴム 270:ブレード用逃げ溝
28:空間(吸引領域) 29:空間(正圧領域)
3:切削手段 30:切削ブレード 31:切削液ノズル
4:洗浄手段 40:軸部 41:スポンジ
5:第2の保持テーブル 50:凹部
51:第2のプレート 510:側壁 511:底板 512:隔壁512
52:第2のスポンジ 520:表面
53:第3の吸引路 54:継手 55:吸引源
6:搬送パッド 60:アーム部 61:昇降部 62:第1のプレート 63:凹部
64:第1のスポンジ 640:下面 65:第2の吸引路 66:吸引源
7:カセット載置領域 70:カセット
8:搬入出手段 80:仮置き領域
9:旋回搬送手段 90:アーム 91:保持部
11:アライメント手段 110:撮像手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9