【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0045】
〔溶融粘度〕
東洋精機キャピログラフ1B型を用いて、温度330℃、剪断速度r=1200sec
−1の条件下で測定した。
【0046】
〔紡糸性〕
紡糸時のポリマー吐出の様子、得られた不織布を観察し、下記の基準にしたがって紡糸性を評価した。
【0047】
A:風綿、ショットの発生、ノズル詰まりがない
B:風綿、ショットの発生もしくはノズル詰まりのいずれかが発生
〔平均繊維径(μm)〕
不織布を走査型電子顕微鏡で拡大撮影し、任意の100本の繊維の径を測定し、平均値を算出し、平均繊維径とした。
【0048】
〔不織布の目付け(g/m
2)〕
JIS L 1906に準じ、縦20cm×横20cmの試料片を採取し、電子天秤にて質量を測定し、試験片面積400cm
2で除して、単位面積当たりの質量を目付けとした。
【0049】
〔不織布の厚み(μm)〕
JIS L 1906に準じ、目付け測定と同試料片を用い、各試料片において、直径16mm、荷重20gf/cm
2のデジタル測厚計((株)東洋精機製作所製:B1型)で各5箇所測定し、15点の平均値をシートの厚みとした。
【0050】
〔不織布の密度(g/cm
3)〕
〔不織布の目付け(g/m
2)〕/〔不織布の厚み(μm)〕にて、不織布の密度を算出した。
【0051】
〔タテ強力(タテ方向(流れ方向)における強度)〕
不織布を幅15mmにカットし、島津製作所製オートグラフを使用し、JIS L 1906に準じ、引張り速度10cm/分で伸長し、切断時の荷重値をタテ強力(/15mm)とした。
【0052】
〔不織布の透気度(秒/100mL)〕
JIS L 1906に準じ、(株)東洋精機製作所製の透気度試験機(ガーレ式デンソメーター)を用い、加圧シリンダーが100mL通過する時間を透気度とした。
【0053】
〔不織布の耐電圧(kV/mm)〕
JIS C 2111に準拠し、直径25mm、質量250gの円盤状の電極間に不織布を挟んだ。試験媒体には空気を用いた。1.0kV/秒で昇圧させながら、周波数60Hzの交流電圧を印加させ、絶縁破壊したときの電圧を測定した。得られた値を不織布の厚みで割り、耐電圧とした。
【0054】
〔難燃性〕
JIS A1322試験法に準拠して、45℃に配置した試料の下端に対して、試料の下端から50mm離れたメッケルバーナーで10秒間加熱したときの炭化長を測定した。その炭化長の結果から、下記の基準にしたがって難燃性を評価した。
【0055】
C:炭化長が5cm未満
D:炭化長が5cm以上
<実施例1>
330℃での溶融粘度が500Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、押し出し機により押し出し、ノズル孔径D(直径)0.3mm、L(ノズル長さ)/D=10、ノズル孔ピッチ0.67mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.15g/分、紡糸温度420℃、熱風温度430℃、ノズル幅1mあたり15Nm
3/分でエアーを吹き付けて、目付が25g/m
2の不織布を得た。次いで、得られた不織布を水流絡合機にて、ノズル孔径(直径)0.1mm、孔ピッチ0.6mmの水絡ノズルを使用し、圧力2MPaの水を不織布の両面に噴出させ、繊維を三次元絡合させ、160℃で乾燥処理した。さらに、得られた不織布を200℃に加熱した金属ロールと表面のショアD硬度が86°の樹脂製の弾性ロール(由利ロール株式会社製)間に通し、線圧200kg/cmで加圧カレンダーした。得られた不織布の平均繊維径は2.2μm、厚みは35μm、タテ強力は25N/15mm、透気度は22秒/100mL、耐電圧は23kV/mmであり、難燃性を有し、高強力な絶縁性不織布が得られた。
【0056】
<実施例2>
表面のショアD硬度が90°の樹脂製の弾性ロール(由利ロール株式会社製)を使用する以外は実施例1と同様の方法で不織布を得た。
【0057】
<実施例3>
表面のショアD硬度が93°の樹脂製の弾性ロール(由利ロール株式会社製)を使用する以外は実施例1と同様の方法で不織布を得た。
【0058】
<実施例4>
表面のショアD硬度が95°の樹脂製の弾性ロール(由利ロール株式会社製)を使用する以外は実施例1と同様の方法で不織布を得た。
【0059】
<実施例5>
金属ロール温度を160℃とする以外は実施例3と同様の方法で不織布を得た。
【0060】
<実施例6>
金属ロール温度を280℃とする以外は実施例3と同様の方法で不織布を得た。
【0061】
<実施例7>
線圧を150kg/cmとする以外は実施例3と同様の方法で不織布を得た。
【0062】
<実施例8>
線圧を450kg/cmとする以外は実施例3と同様の方法で不織布を得た。
【0063】
<実施例9>
330℃での溶融粘度が500Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、押し出し機により押し出し、ノズル孔径D(直径)0.1mm、L(ノズル長さ)/D=20、ノズル孔ピッチ0.67mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.05g/分、紡糸温度420℃、熱風温度430℃、ノズル幅1mあたり20Nm
3/分でエアーを吹き付けて、目付が25g/m
2の不織布を得た。次いで、得られた不織布を水流絡合機にて、ノズル孔径(直径)0.1mm、孔ピッチ0.6mmの水絡ノズルを使用し、圧力2MPaの水を不織布の両面に噴出させ、繊維を三次元絡合させ、160℃で乾燥処理した。更に、得られた不織布を200℃に加熱した金属ロールと実施例3と同じ表面のショアD硬度93°の樹脂製の弾性ロール間に通し、線圧200kg/cmで加圧カレンダーした。得られた不織布の平均繊維径は0.7μm、厚みは25μm、タテ強力は34N/15mm、透気度は100秒/100mL、耐電圧は58kV/mmであり、難燃性を有し、高強力な絶縁性不織布が得られた。
【0064】
<実施例10>
330℃での溶融粘度が2200Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、押し出し機により押し出し、ノズル孔径D(直径)0.3mm、L(ノズル長さ)/D=10、ノズル孔ピッチ0.67mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.15g/分、紡糸温度455℃、熱風温度465℃、ノズル幅1mあたり20Nm
3/分でエアーを吹き付けて、目付が25g/m
2の不織布を得た。次いで、得られた不織布を水流絡合機にて、ノズル孔径(直径)0.1mm、孔ピッチ0.6mmの水絡ノズルを使用し、圧力2MPaの水を不織布の両面に噴出させ、繊維を三次元絡合させ、160℃で乾燥処理した。さらに、得られた不織布を200℃に加熱した金属ロールと表面のショアD硬度が95°の樹脂製の弾性ロール間に通し、線圧200kg/cmで加圧カレンダーした。得られた不織布の平均繊維径は2.7μm、厚みは25μm、タテ強力は22N/15mm、透気度は24秒/100mL、耐電圧は48kV/mmであり、難燃性を有し、高強力な絶縁性不織布が得られた。
【0065】
<実施例11>
樹脂製の弾性ロールの代わりに金属ロールを使用し、目付けを100g/m
2とした以外は実施例1と同様の方法で不織布を得た。得られた不織布の平均繊維径は2.2μm、厚みは135μm、タテ強力は96N/15mm、透気度は21秒/100mL、耐電圧は22kV/mmであり、難燃性を有し、高強力な絶縁性不織布が得られた。
【0066】
<比較例1>
表面のショアD硬度が80°の樹脂製の弾性ロールを使用した以外は実施例1と同様の方法で不織布を得た。
【0067】
<比較例2>
樹脂製の弾性ロールの代わりに金属ロールを使用した以外は実施例1と同様の方法で不織布を得た。
【0068】
<比較例3>
金属ロール温度を100℃とした以外は実施例3と同様の方法で不織布を得た。
【0069】
<比較例4>
金属ロール温度を350℃とした以外は実施例3と同様の方法でカレンダー加工を実施したが、カレンダーロールに張り付き、加工できなかった。
【0070】
<比較例5>
線圧を60kg/cmとした以外は実施例3と同様の方法で不織布を得た。
【0071】
<比較例6>
線圧を800kg/cmとした以外は実施例3と同様の方法でカレンダー加工を実施したが、線圧が高すぎるため、不織布が破れてしまい、加工できなかった。
【0072】
<比較例7>
実施例1において、水流絡合処理を行わず、弾性樹脂ロールの代わりに金属ロールを使用した。
【0073】
<比較例8>
330℃での溶融粘度が80Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、押し出し機により押し出し、ノズル孔径D(直径)0.3mm、L(ノズル長さ)/D=10、ノズル孔ピッチ0.67mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.15g/分、紡糸温度420℃、熱風温度430℃、ノズル幅1mあたり15Nm
3/分で吹き付けて、目付が25g/m
2の不織布を得たが、溶融粘度が低すぎてノズル圧力が安定せず、繊維形状にならないポリマー塊がウェブ上に多発し、紡糸性が悪かった。
【0074】
<比較例9>
330℃での溶融粘度が3100Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、押し出し機により押し出し、ノズル孔径D(直径)0.3mm、L(ノズル長さ)/D=10、ノズル孔ピッチ0.67mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.15g/分、紡糸温度435℃、熱風温度445℃、ノズル幅1mあたり15Nm
3/分で吹き付けて、目付が25g/m
2の不織布を得たが、溶融粘度が高いため、ノズル詰まりが発生し、紡糸性が悪かった。
【0075】
<比較例10>
330℃での溶融粘度が500Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、押し出し機により押し出し、ノズル孔径D(直径)0.1mm、L(ノズル長さ)/D=20、ノズル孔ピッチ0.67mmのノズルを有するメルトブローン不織布製造装置に供給し、単孔吐出量0.01g/分、紡糸温度450℃、熱風温度460℃、ノズル幅1mあたり25Nm
3/分で吹き付けて、平均繊維径0.4μmの繊維を得たが、風綿(糸切れ)が多発し、不織布の採取は困難であった。
【0076】
<比較例11>
330℃での溶融粘度が900Pa・sである非晶性ポリエーテルイミドを使用し、紡糸温度390℃により繊維径15μm、200℃における乾熱収縮率3.5%のマルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントに捲縮を施した後、切断して繊維長51mmの短繊維を作製し、この短繊維をカードにかけ、目付け28g/m
2の繊維ウェブを作製し、このウェブを水流交絡機の支持ネットに乗せ、水圧力20〜100kgf/cm
2の水を両面噴出して、ステープル同士を絡合、一体化させた後、温度110〜160℃で乾燥熱処理を行い、不織布を得た。さらに、得られた不織布を200℃に加熱した金属ロールと表面のショアD硬度が93°の樹脂製の弾性ロール間に通し、線圧200kg/cmで加圧カレンダーした。得られた不織布の平均繊維径は15μm、厚みは35μm、タテ強力は15N/15mであり、難燃性を有するものであったが、繊維径が太く、緻密性が低く、透気度は0秒/100mL、耐電圧は1kV/mmと低いものであった。
【0077】
実施例1〜11についての結果を表1に、比較例1〜9、11についての結果を表2にそれぞれ示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】