(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489382
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ネマチック液晶組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 19/44 20060101AFI20190318BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20190318BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20190318BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20190318BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20190318BHJP
C09K 19/32 20060101ALI20190318BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20190318BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
C09K19/44
C09K19/30
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/20
C09K19/32
C09K19/34
G02F1/13 500
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-27938(P2017-27938)
(22)【出願日】2017年2月17日
(62)【分割の表示】特願2015-215718(P2015-215718)の分割
【原出願日】2007年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-88904(P2017-88904A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年3月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】川上 正太郎
【審査官】
南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−286217(JP,A)
【文献】
特開2000−053602(JP,A)
【文献】
特開2010−083771(JP,A)
【文献】
特開平10−287875(JP,A)
【文献】
特開平10−287874(JP,A)
【文献】
国際公開第00/039063(WO,A1)
【文献】
国際公開第99/021816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として式(1)
【化1】
で表される化合物を含有し、第二成分として誘電率異方性Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物を含有し、
一般式(5)
【化2】
(式中、R
7〜R
8はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシル基を表し、環D〜環Eはそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、L
7は単結合を表し、L
8は単結合を表し、rは0〜2を表し、X
6〜X
7はそれぞれ独立してH又はFを表す
が、後述する一般式(4−3)及び(4−5)で表される化合物を除く。)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、
式(4−1−1)
【化3】
で表される化合物を含有し、
式(4−3)又は(4−5)
【化4】
(式中、R5〜R6はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシル基を表す。)で表される化合物を含有し、
アルケニル基を有する化合物を含有せず、
ネマチック相−等方性液体相転移温度が60℃〜120℃であり、固体相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度が−80℃〜−20℃であり、屈折率異方性Δnが0.05〜0.15であり、誘電率異方性Δεが−1.5〜−8.0であることを特徴とするネマチック液晶組成物。
【請求項2】
一般式(4)
【化5】
(式中、R
5〜R
6はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシル基を表し、環A〜環Cはそれぞれ独立的してトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、これらの基中のH原子はそれぞれ独立してCH
3、F又はClで置換されていても良く、L
5〜L
6はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又はCF
2O−を表し、qは0〜2を表す。但し、式(1)
、式(5)、式(4−1−1)、式(4−3)及び式(4−5)で表される化合物を除く。)で表される化合物を1種又は2種以上含有することを特徴とする請求項1記載のネマチック液晶組成物。
【請求項3】
前記一般式(5)で表される化合物として、rが0または1を表し、R7は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R8はアルコキシル基を表す化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のネマチック液晶組成物。
【請求項4】
一般式(4)で表される化合物として、一般式(4−1)
、(4−2)、(4−4)、(4−6)及び(4−7)
【化6】
(式中、R
5〜R
6はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシル基を表す。
但し、式(1)及び(4−1−1)で表される化合物を除く。)で表される化合物
からなる群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することを特徴とする請求項2又は3に記載のネマチック液晶組成物。
【請求項5】
構造式(1)で表される化合物を5〜25%含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
【請求項6】
第二成分が、一般式(2)又は(3)
【化7】
(式中、R
1〜R
4はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、B
1〜B
4はそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、L
1〜L
4はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又はCF
2O−を表し、m、n、o及びpはそれぞれ独立して0、1又は2を表し、m+n及びo+pはそれぞれ独立して0、1、2又は3を表し、X
1〜X
5はそれぞれ独立してH、F又はClを表す。)で表される化合物である請求項1から5のいずれか一項に記載のネマチック液晶組成物。
【請求項7】
式(1)で表される化合物を5〜25%含有し、一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物を5〜75%含有する請求項6記載のネマチック液晶組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のネマチック液晶組成物を用いた液晶表示素子。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のネマチック液晶組成物を用いたアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載のネマチック液晶組成物を用いたVAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な誘電率異方性が負のネマチック晶組成物およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示品位が優れていることから、アクティブマトリクス型液晶表示装置が携帯端末、液晶テレビ、プロジェクタ、コンピューター等の市場に出されている。アクティブマトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等が使われており、この方式には高電圧保持率であることが重要視されている。また、更に広い視角特性を得るためにVA、IPS、OCBモードと組み合わせたTFT表示やより明るい表示を得るためにECBモードの反射型が提案されている。この様な表示素子に対応するために、現在も新しい液晶化合物又は液晶組成物の提案がなされている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
近年、VAモードを採用した液晶テレビが本格的に普及し始めており、負の誘電率異方性を有する液晶化合物及びそれを用いた液晶組成物が数多く開示されている。しかしながら、液晶テレビに用いる場合表示素子として構成した場合の応答速度が特に重視されることから、従来の液晶組成物では十分要求に応えられないのが現状である。例えば、ビシクロヘキサン化合物を用いた液晶組成物(特許文献3及び4参照)においては、応答速度に大きく関与する液晶組成物の粘度低減にはある程度の効果を有する。しかし、応答速度を重視しビシクロヘキサン系の化合物の含有量を増やした場合、液晶組成物の低温における安定性が損なわれ、粘性においても市場の要求を未だ満たしてはいなかった。
【0004】
一方、応答速度を改善するために、側鎖にアルケニル基を導入したビシクロヘキサン系化合物を用いた液晶組成物を使用した場合には、耐光性の点で十分ではない問題があった。
【0005】
これらの問題点を改善するために、
【0006】
【化1】
【0007】
誘電率異方性が負の液晶材料の耐光性を改善した液晶組成物として、側鎖にアルケニル基を導入したビシクロヘキサン系化合物、ナフタレン骨格を有する液晶化合物及びクロマン骨格を有する液晶化合物と紫外線吸収剤とを組み合わせた具体例(特許文献5参照)が開示されているが、耐光性の改善と引き換えに、紫外線吸収剤由来の種々の表示不良を誘発する可能性があるため、積極的に展開するには至っていない。
【0008】
すなわち、誘電率異方性が負の液晶組成物に関して、応答速度の改善と耐光性及び低温安定性を改善するには至っておらず、これらを同時に解決した誘電率異方性が負の液晶組成物を得ることは困難であった。
【0009】
【特許文献1】特開平2−233626号公報
【特許文献2】特公表4−501575号公報
【特許文献3】特開昭59−70624
【特許文献4】特開昭60−16940
【特許文献5】特開2006−124544
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、液晶テレビ用途に適した高速応答かつ耐光性と低温安定性に優れた誘電率異方性が負の液晶組成物を提供すること、及び、これを使用した液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第一成分として式(1)
【0012】
【化2】
【0013】
で表される化合物を含有し、第二成分として誘電率異方性Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物を含有し、ネマチック相-等方性液体相転移温度が60℃〜120℃であり、固体相又はスメクチック相-ネマチック相転移温度が-80℃〜-20℃であり、屈折率異方性Δnが0.05〜0.15であり、誘電率異方性Δεが-1.5〜-8.0であることを特徴とするネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶化合物の組み合わせによって、液晶テレビに求められる諸特性を満たしつつ、高速応答かつ耐光性と低温安定性に優れたアクティブマトリクス型液晶表示素子用液晶組成物が得られた。これにより、表示品位を維持又は改善しつつ、高信頼性であることに起因した長寿命の液晶表示素子が提供され、特に透過モードの液晶テレビ用アクティブマトリックス型液晶表示素子として非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における液晶組成物において、式(1)で表される化合物を含有するが5〜25%含有することが好ましい。
【0016】
又、第二成分として誘電率異方性Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物を含有するが、第二成分が、一般式(2)又は(3)
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、R
1〜R
4はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、B
1〜B
4はそれぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、L
1〜L
4はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-COO-、-OCH
2-、-CH
2O-、-OCF
2-又はCF
2O-を表し、m、n、o及びpはそれぞれ独立して0、1又は2を表し、m+n及びo+pはそれぞれ独立して0、1、2又は3を表し、X
1〜X
5はそれぞれ独立してH、F又はClを表す。)で表される化合物を表すことが好ましい。一般式(2)又は(3)で表される化合物を含有する場合、2種以上含有することが好ましく、3〜15種含有することがより好ましい一般式(2)又は(3)で表される化合物を含有する場合、5〜75%含有することが好ましく、10〜60%含有することがより好ましく、10〜40%含有することが特に好ましい。
【0019】
本発明の液晶組成物は、式(1)で表される化合物を5〜25%含有し、一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物を5〜75%含有することが好ましい。
【0020】
又、本発明の液晶組成物は式(1)、一般式(2)及び(3)を同時に含有することがより好ましい。
【0021】
一般式(2)及び(3)において、R
1〜R
4はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表すが、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。
【0022】
B
1〜B
4はそれぞれ独立してフッ素置換されていても良いトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すが、トランス-1,4-シクロへキシレン基がより好ましい。
【0023】
L
1〜L
4はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-COO-、-OCH
2-、-CH
2O-、-OCF
2-、又はCF
2O-を表すが、単結合、-CH
2CH
2-、-OCH
2-、-CH
2O-がより好ましい。
【0024】
m+n及びo+pはそれぞれ独立して0、1、2又は3を表すが、1又は2がより好ましい。
【0025】
更に具体的には、一般式(2)で表される化合物は、一般式(2-1)又は(2-2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0026】
【化4】
【0027】
更に具体的には、一般式(3)で表される化合物は、一般式(3-1)で表される化合物であることがより好ましい。
【0028】
【化5】
【0029】
本発明の液晶組成物の物性値を調整するために、一般式(4)又は(5)
【0030】
【化6】
【0031】
(式中、R
5〜R
8はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシル基を表し、環A〜環Eはそれぞれ独立的してトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すが、これらの基中のH原子はそれぞれ独立してCH
3、F又はClで置換されていても良く、L
5〜L
8はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-OCF
2-又はCF
2O-を表し、q及びrはそれぞれ独立して0〜2を表し、X
6〜X
7はそれぞれ独立してH、F又はClを表す。)で表される化合物を1種又は2種以上含有しても良い。但し、一般式(4)において、式(1)で表される化合物を除くものとする。
【0032】
一般式(4)又は(5)で表される化合物を1種又は2種以上含有する場合、2種以上含有することが好ましく、2種〜10種含有することがより好ましい。
【0033】
一般式(4)又は(5)で表される化合物の含有量は、5〜80%含有することが好ましく、10〜60%含有することがより好ましく、20〜50%含有することが特に好ましい。
【0034】
R
5〜R
8はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシル基を表すが、炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシル基がより好ましい。
【0035】
L
5〜L
8はそれぞれ独立して単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-OCF
2-又はCF
2O-を表すが、単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-がより好ましい。
【0036】
X
6〜X
7はそれぞれ独立してH、F又はClを表すが、-H又はFがより好ましく、X
1=X
2=Fが特に好ましい。
【0037】
更に詳述すると、一般式(4)で表される化合物は、一般式(4-1)〜(4-7)で表される化合物であることがより好ましい。
【0038】
【化7】
【0039】
一般式(5)で表される化合物は、一般式(5-1)〜(5-6)で表される化合物であることがより好ましい。
【0040】
【化8】
【0041】
―上記の化合物以外に通常のネマチック液晶、スメクチック液晶又はコレステリック液晶等を含有しても良い。
【0042】
本発明の液晶組成物において、ネマチック相-等方性液体相転移温度(T
N-I)は60〜120℃であるが、70〜105℃がより好ましく、75〜95℃が特に好ましい。固体相又はスメクチック相-ネマチック相転移温度(T
→N)は-80〜-20℃であるが、-20℃以下であることがより好ましく、-30℃以下であることが特に好ましい。25℃における屈折率異方性(Δn)は0.05〜0.15であるが、0.07〜0.13であることがより好ましく、0.08〜0.11であることが特に好ましい。25℃における誘電率異方性(Δε)は-1.5〜-8.0であるが、-1.5〜-5.0であることがより好ましく、-1.5〜-3.5であることが特に好ましい。
【0043】
本発明の液晶組成物は液晶表示素子に有用であるが、アクティブマトリクス駆動用液晶表示素子に特に有用であり、透過モード、反射モード又は半透過モード用液晶表示素子に用いることができる。
【実施例】
【0044】
以下、例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、「%」は「質量%」を意味する。
【0045】
T
N-I :ネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)を液晶相上限温度とする
T
→N :固体相又はスメクチック相-ネマチック相転移温度(℃)を液晶相下限温度とする。
【0046】
Δε :25℃における誘電率異方性
Δn :25℃における屈折率異方性
η :20℃における粘性
VHR(UV) :紫外線照射後の25℃における電圧保持率(%)
(なお、電圧保持率の測定条件は、印加電圧5V、フレーム時間16.5ms、パルス幅64μsecである。紫外線照射ランプには三菱電機オスラム株式会社製FL15BL-360を使用し、液晶を注入したVAモードセル(セル厚3.5um、配向膜RN-1517)に紫外線を60分間照射した。)
【0047】
化合物の記載に下記の略号を使用する。
【0048】
n- C
nH
2n+1-
-2- -CH
2CH
2-
-1O- -CH
2O-
-O1- -OCH
2-
-On -OC
nH
2n+1
ndm- C
nH
2n+1-C=C-(CH
2)
m-1-
【0049】
【化9】
【0050】
本発明の液晶組成物である実施例1(No.1)と比較例1(R1)、比較例2(R2)の組成と物性値を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例1(No.1)は、液晶テレビに求められる物性値を満たしており、なおかつ、VHR(UV)の値が良好であった。一方、比較例1(R1)の液晶組成物は特許文献5記載の比較例3であり、式(1)及び一般式(3)で表される化合物を含まず、VHR(UV)の値も低かった。比較例2(R2)は応答速度を改善するために粘性の低いビシクロヘキサン系化合物を多く用いた液晶組成物であるが、T
→Nが-5℃と高すぎ、低温安定性の観点から実用的ではない。以上のことから、本発明の液晶組成物である実施例1(No.1)は液晶テレビに求められる諸特性を満たしつつ、耐光性に優れており、また、低温安定性も良く、長寿命のアクティブマトリクス型液晶表示素子として非常に有用であることがわかる。
【0053】
更に実施例2(No.2)及び比較例3(R3)の組成と物性値を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
実施例2(No.2)は実施例1同様に諸特性を満たしており、非常に有用であることが確認された。一方、比較例3(R3)の液晶組成物は特許文献5記載の比較例4であり、本発明の条件を満たさず、VHR(UV)も低いことがわかる。
【0056】
更に実施例3(No.3)及び実施例4(No.4)、実施例5(No.5)の組成と物性値を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例3(No.3)、実施例4(No.4)、実施例5(No.5)は本発明の好ましい条件を満たしており、非常に有用であることが確認された。