(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のシステムであって、上記コンピュータサブシステムが、更に、上記検出、上記値の導出、上記自動的なランク付け、上記識別、上記1個又は複数個のパラメタの導出、並びに上記適用を、自動的に且つマニュアルでのレシピセットアップ無しで実行するよう構成されているシステム。
請求項9記載のシステムであって、上記コンピュータサブシステムが、更に、上記様々なモードで以て生成された出力に基づき他の欠陥を検出し、当該様々なモードで以て生成された出力を用いそれら他の欠陥の特徴に係る値を導出し、何らかの欠陥に関し導出された何らかの特徴の値全てを組み合わせたものに基づき欠陥発見を実行するよう構成されているシステム。
請求項9記載のシステムであって、上記コンピュータサブシステムが、更に、上記様々なモードで以て生成された出力に基づき他の欠陥を検出し、それら他の欠陥それぞれが検出された当該様々なモードをそれら他の欠陥を比較することで識別し、それら他の欠陥それぞれに係る特徴の集合を当該様々なモードで以て生成された出力に基づき導出し、当該特徴の集合に基づき別種の欠陥を対象にしてそれら他の欠陥をサーチするよう構成されているシステム。
請求項11記載のシステムであって、上記サーチが、上記他の欠陥のサンプルに基づき欠陥分類プロセスをセットアップするステップと、それら他の欠陥のうちそのサンプルに含まれていないものに対しその欠陥分類プロセスを適用するステップと、それら他の欠陥のうちそのサンプルに含まれていないものに対しその欠陥分類プロセスにより割り当てられる分類の信頼度を導出するステップと、を含むシステム。
請求項12記載のシステムであって、上記サーチが、更に、上記他の欠陥のうち他のものの信頼度より低い信頼度を有するものの集合をサンプリングするステップと、上記サンプル及びサンプリングされている当該他の欠陥の集合に基づき新たな欠陥分類プロセスをセットアップするステップと、当該他の欠陥のうち当該サンプルに含まれておらず且つ上記サンプリングされている欠陥の集合に含まれていないものに対しその新たな欠陥分類プロセスを適用するステップと、当該他の欠陥のうち当該サンプル又は当該サンプリングされている欠陥の集合に含まれていないものに対しその新たな欠陥分類プロセスにより割り当てられる分類の信頼度を導出するステップと、を含むシステム。
請求項1記載のシステムであって、上記検査サブシステムが、上記検出器が上記出力を生成している間に他のウェハ上を上記エネルギでスキャンするよう構成されており、当該他のウェハが、ウェハのプリントに使用されるプロセスの1個又は複数個のパラメタに係る値を違えその上に少なくとも2個のダイがプリントされるプロセスウインドウクオリフィケーションウェハであり、上記コンピュータサブシステムが、更に、上記出力中のマイクロケアエリアを識別しそれらマイクロケアエリアでの上記出力に基づき他の欠陥を検出するよう構成されているシステム。
請求項14記載のシステムであって、上記スキャンが、別々の値で以てプリントされた上記少なくとも2個のダイのうち2個以上に関し且つ上記検査サブシステムの一通り又は複数通りのモードに関し実行され、上記他の欠陥の検出が、上記一通り又は複数通りのモードそれぞれに係る一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションを生成するステップを含み、当該一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションそれぞれが、上記他の欠陥のうち、上記少なくとも2個のダイのうち上記2個以上にて検出されたものを含むシステム。
請求項15記載のシステムであって、上記一通り又は複数通りのモードそれぞれに係る上記一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションが、上記少なくとも2個のダイのうち上記2個以上のダイそれぞれに関しほぼ同個数の欠陥を含むシステム。
請求項15記載のシステムであって、上記コンピュータサブシステムが、更に、上記一通り又は複数通りのモードそれぞれに係る上記一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションに基づき、上記一通り又は複数通りのモードのうち少なくとも一通りでの更なるプロセスウインドウクオリフィケーションウェハの検査用に1個又は複数個のパラメタを選定するよう構成されているシステム。
ウェハ上の欠陥を発見するためのコンピュータ利用方法を実行するため、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令が格納される非一時的コンピュータ可読媒体であって、そのコンピュータ利用方法が、
上記ウェハの第1スキャンにて検査システムの検出器により生成された出力に対ししきい値を適用することでそのウェハ上の欠陥を検出するステップであり、その検査システムが少なくともエネルギ源及び検出器を備え、ウェハに差し向けられそのウェハ上をスキャンするエネルギを生成するようそのエネルギ源が構成されており、上記ウェハからのエネルギを検出し検出したエネルギに応じ出力を生成するようその検出器が構成されているステップと、
検出された欠陥の特徴に係る値を導出するステップと、
上記特徴に係る値に基づき、それら特徴を自動的にランク付けすること及び特徴カットラインを識別することで、それら特徴をビンへとグループ分けするステップと、
個々のビンについて、当該個々のビンに属する欠陥の特徴に係る値に適用したならば当該個々のビン内に所定個数の欠陥がもたらされるであろう1個又は複数個のパラメタを導出するステップと、
上記ウェハの第2スキャンにて上記検出器により生成された出力に対し、導出されている上記1個又は複数個のパラメタを適用することで、所定の欠陥カウントを有し且つ上記特徴に係る値に従い分化されている欠陥ポピュレーションを生成するステップと、
を有する非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明については様々な変形及び代替形態が可能であるので、その具体的実施形態について、図面にて例示し本明細書中で詳細に記述することにする。それら図面は等倍縮尺されていないこともある。但し、ご理解頂くべきことに、図面及びそれについての詳細な記述は本発明を本願記載の特定形態に限定する意図のものではなく、その意図は寧ろ、添付する特許請求の範囲での規定に従い、本発明の神髄及び技術的範囲内に収まる全ての変形、等価物及び代替物をカバーすることにある。
【0017】
図面に関し手始めに注記すべきことは、それらの図が等倍縮尺で描かれていないことである。特に、図中の諸要素のうち幾つかについては、それら要素の特徴を強調するためスケールが大きく誇張されている。同じく注記すべきことに、これらの図は同一スケールにて描かれていない。複数個の図に示されている要素のうち、同様に構成することが可能なものについては、同一の参照符号を用い示してある。本願中で注記しない限り、記載や図示のあるどの要素も、あらゆる好適な市販要素を備えうる。
【0018】
本願記載の諸実施形態は、ウェハ欠陥発見のためワンステップチューニングスキャン(OSTS)を実行するよう構成される。実施形態の一つはウェハ上の欠陥を発見しうるよう構成されたシステムに係るものであり、
図1にはそうしたシステムの一例が示されている。このシステムは検査サブシステムを有しており、その検査サブシステムは少なくともエネルギ源及び検出器を有している。そのエネルギ源は、ウェハに差し向けられそのウェハ上をスキャンするエネルギを生成するよう、構成されている。検出器は、そのウェハからのエネルギを検出するよう、且つ検出したエネルギに応じ出力を生成するよう、構成されている。
【0019】
ある実施形態では、光源を有するエネルギ源によって、光を含むエネルギがウェハに差し向けられてウェハがスキャンされ、また検出対象たる光を含むエネルギが検出される。例えば、
図1に示すシステム実施形態では、検査サブシステム10が照明サブシステムを有しており、ウェハ14に光を差し向けるようその照明サブシステムが構成されている。この照明サブシステムは少なくとも1個の光源を有している。例えば、
図1に示す照明サブシステムは光源16を有している。ある実施形態では、例えば一通り又は複数通りの斜め角及び/又は一通り又は複数通りの直交角を含む一通り又は複数通りの入射角で、ウェハに光を差し向けるよう、照明サブシステムが構成される。
図1に示す例では、光源16からの光が、光学素子18及びそれに後続するレンズ20を通り、ある斜め入射角でウェハ14に差し向けられている。この斜め入射角は、好適な斜め入射角であるならどのような角度であってもよく、例えばウェハの特性及びそのウェハ上の検出対象欠陥によって変わることもありうる。
【0020】
照明サブシステムは、別時点では別の入射角にてウェハに光を差し向けるよう構成することができる。例えば、照明サブシステムに備わる1個又は複数個の構成が有する一通り又は複数通りの特性を変化させ、
図1に示したそれとは異なる入射角にてウェハに光を差し向けることができるよう、検査サブシステムを構成することができる。その一例によれば、光源16、光学素子18及びレンズ20を動かし、別の斜め入射角又は直交(又は近直交)入射角でウェハに光を差し向けることができるよう、検査サブシステムを構成することができる。
【0021】
ある例によれば、同時に複数通りの入射角でウェハに光を差し向けうるよう照明サブシステムを構成することができる。例えば、照明サブシステムが複数個の照明チャネルを有し、その照明チャネルのうち1個が
図1に示す如く光源16、光学素子18及びレンズ20を有し、他の照明チャネル(図示せず)が、別様の構成でも同様の構成でもかまわないが類種の構成要素を有するか、少なくとも1個の光源と場合によっては1個又は複数個の他部材例えばやはり本願記載のそれとを有する、構成とすればよい。そうした光を他の光と同時にウェハに差し向けるなら、ウェハに差し向けられた光に備わる一通り又は複数通りの特性(例.波長、偏向等々)を入射角の違いに応じ違えることができ、ひいては別々の入射角でのウェハの照明に由来する光を1個又は複数個の検出器にて互いに弁別することができる。
【0022】
別の例によれば、照明サブシステムに備わる光源を1個(例.
図1中の光源16)だけにし、その照明サブシステムに備わる1個又は複数個の光学素子(図示せず)によって(例.波長、偏向等々に基づき)その光源からの光を複数個の光路に振り分けるようにすることができる。振り分けた後は、複数個ある光路それぞれを辿り光をウェハに差し向けることができる。ウェハに対し光が同時に差し向けられ又は別々の時点で差し向けられる(例.複数個の照明チャネルによってウェハが順繰りに照明される)よう、複数個の照明チャネルを構成すればよい。或いは、別時点では別の特性を以てウェハに光が差し向けられるよう共通の照明チャネルを構成すればよい。例えば、ある種の例では、別時点にて別波長の光をウェハに差し向けることができるよう、光学素子18がスペクトラルフィルタとして構成されそのスペクトラルフィルタの特性が様々な要領で(例.スペクトラルフィルタを交換することによって)変更されることとなろう。照明サブシステムは、別々又は同一の特性を有する光を別々又は同一の入射角にて順繰り又は同時にウェハへと差し向けるべく、本件技術分野で知られていて好適である他のどのような構成を有するものにもすることができる。
【0023】
ある実施形態によれば、光源16を、広帯域プラズマ(BBP)光源を有するものとすることができる。この構成では、光源によって生成されウェハに差し向けられる光を、広帯域光を含む光とすることができる。しかしながら、光源は、好適である他のどのような光源でも、例えばレーザでも構成することができる。このレーザは、好適であり本件技術分野で知られているどのようなレーザで構成されていてもよく、また本件技術分野で知られているどのような好適波長又は波長群で光を生成するよう構成されていてもよい。加えて、このレーザは、単色又は近単色である光を生成するよう構成することができる。これによりそのレーザを狭帯域レーザとすることができる。更に、光源を、複数通りの離散波長帯で光を生成する多色光源とすることもできる。
【0024】
光学素子18からの光はレンズ20によってウェハ14上に合焦させることができる。
図1ではレンズ20が単体の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂けるように、実際には、レンズ20が、その光学素子からの光をウェハへと協働で合焦させる複数個の屈折性及び/又は反射性光学素子を有していることもありうる。
図1に示され本願にて記述されている照明サブシステムは、これ以外に、好適であるどのような光学素子(図示せず)を有していてもよい。そうした光学素子の例としては、これに限られるものではないが、偏向部材(群)、スペクトラルフィルタ(群)、空間フィルタ(群)、反射性光学素子(群)、アポダイザ(群)、ビームスプリッタ(群)、アパーチャ(群)その他、本件技術分野で知られているあらゆる好適な類種光学素子がある。加えて、検査サブシステムは、検査に使用される照明の種類に基づき、照明サブシステムに備わる1個又は複数個の要素を改変するよう、構成することができる。
【0025】
検査サブシステムは、また、光によってウェハ上をスキャンさせるよう構成されたスキャニングサブシステムを有する構成とすることができる。例えば、検査サブシステムが、検査中にその上にウェハ14が配されるステージ22を有していてもよい。このスキャニングサブシステムは(ステージ22を有する)あらゆる好適な機械的及び/又はロボット的アセンブリを備えうるものであり、またそのアセンブリはウェハを動かし光でウェハ上をスキャンすることができるよう構成することができる。これに加え又は代え、その検査サブシステムに備わる1個又は複数個の光学素子によって光によるウェハ上のスキャンのうち幾ばくかが実行されるよう、検査サブシステムを構成することができる。光によるウェハ上のスキャンはあらゆる好適な形態、例えば蛇状経路沿い又は螺旋状経路沿いの形態で行うことができる。
【0026】
検査サブシステムは、更に、1個又は複数個の検出チャネルを有する。当該1個又は複数個の検出チャネルのうち少なくとも1個は検出器を有し、その検出器は、その検査サブシステムによるウェハの照明を受けウェハからもたらされる光を検出するよう、且つ検出された光に応じ出力を生成するよう構成される。例えば、
図1に示す検査サブシステムは2個の検出チャネルを有しており、そのうち1個は集光器24、素子26及び検出器28で、他の1個は集光器30、素子32及び検出器34で形成されている。
図1に示す通り、それら2個の検出チャネルは、別々の集光角にて光を収集及び検出するよう構成されている。ある種の例では、散乱光を検出するよう両検出チャネルが構成され、またウェハから別々の角度で散乱されてくる光を検出するようそれら検出チャネルが構成される。とはいえ、ウェハから来る別種の光(例.反射光)を検出しうるよう1個又は複数個の検出チャネルを構成することもできる。
【0027】
同じく
図1に示す通り、両検出チャネルは図面上で紙面内に位置しており、また照明サブシステムも図面上で紙面内に位置している。即ち、この実施形態では両検出チャネルが入射面上に配置されている(例.その中心がある)。しかしながら、1個又は複数個の検出チャネルを入射面外に配置することもできる。例えば、集光器30、素子32及び検出器34によって形成される検出チャネルを、入射面外へと散乱された光を集光及び検出するよう構成することができる。従って、それら検出チャネルは“サイド”チャネルと通称することができ、またそうしたサイドチャネルの中心を入射面に対しほぼ垂直な面内におくことができる。
【0028】
図1には検査サブシステムの実施形態として2個の検出チャネルを有するものを示したが、検査サブシステムが他個数の検出チャネル(例.単一の検出チャネル又は2個以上の検出チャネル)を有していてもよい。その一例によれば、集光器30、素子32及び検出器34によって形成される検出チャネルにより上述のサイドチャネルを1個形成することができ、且つ、入射面を挟み逆側に位置する別のサイドチャネルとして形成された更なる検出チャネル(図示せず)を検査サブシステムに設けることができる。ひいては、集光器24、素子26及び検出器28を有し、入射面上にその中心があり、且つウェハ表面に対し直角又はほぼ直角をなす(複数通りの)散乱角にて光を集め検出するよう構成された検出チャネルを、検査サブシステムに設けることが可能である。この検出チャネルは従って“トップ”チャネルと通称することが可能であり、上述の通り構成された2個以上のサイドチャネルと併せ検査サブシステムに設けることができる。即ち、それぞれそれ自身の集光器を有していて他のどの集光器とも異なる散乱角で光を集めるようその集光器それぞれが構成されている少なくとも3個のチャネル(即ちトップチャネル1個とサイドチャネル2個)を、検査サブシステムに設けることができる。
【0029】
同じく上述の通り、検査サブシステムに備わる検出チャネルは、それぞれ、散乱光を検出するよう構成することができる。従って、
図1に示す検査サブシステムはウェハの暗視野(DF)検査向けに構成することが可能である。しかしながら、検査サブシステムが、これに加え又は代え、ウェハの明視野(BF)検査向けに構成された1個又は複数個の検出チャネルを有していてもよい。言い換えれば、検査サブシステムが、ウェハから鏡面反射されてくる光を検出するよう構成された少なくとも1個の検出チャネルを有していてもよい。このように、本願記載の検査サブシステムは、DF検査専用にも、BF検査専用にも、或いはDF及びBF検査両用にも構成することができる。
図1では各集光器が単体の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂けるように、各集光器が1個又は複数個の屈折性光学素子及び/又は1個又は複数個の反射性光学素子を有していてもよい。
【0030】
上記1個又は複数個の検出チャネルに備わる検出器は、好適であり本件技術分野で知られているどのような検出器で構成されていてもよい。例えば、光電子増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)及び時間遅延積分(TDI)カメラがそうした検出器に含まれうる。これ以外にも、好適であり本件技術分野で知られている他のあらゆる検出器がそれら検出器に含まれうる。更に、非イメージング型検出器やイメージング型検出器もそれら検出器に含まれうる。これを踏まえ、検出器を例えば非イメージング型検出器とする場合、各検出器を、散乱光のある種の特性例えば強度を検出するよう、しかしその特性を像面内位置の関数として検出しないよう構成することができる。これにより、検査サブシステムに備わる個々の検出チャネル内の検出器それぞれによって生成される出力を、画像信号や画像データでない信号又はデータにすることができる。こうした例では、コンピュータサブシステム例えば本システムのコンピュータサブシステム36を、検出器の非イメージング出力からウェハの画像を生成するよう構成するとよい。逆に、他の例では、画像信号又は画像データを生成するよう構成されたイメージング型検出器として検出器が構成されることもある。即ち、本システムは、画像を生成しうる多用な形態で構成することができる。
【0031】
注記すべきことに、本願における
図1の役目は、本願記載の諸システム実施形態に組みこむことができる検査サブシステムの構成を大まかに示すことにある。自明な通り、本願記載の検査サブシステムコンフィギュレーションは、販売される検査システムの設計時に通常実行される通り、検査サブシステムの性能を最適化する目的で改変することができる。加えて、本願記載のシステムは既存の検査サブシステム、例えば米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA−Tencor(社名)から購入可能な29xx/28xxシリーズのツールを用い(例.既存の検査システムに本願記載の機能を追加することで)実現することができる。そうしたシステムのうちある種のものでは、本願記載の諸方法が、(例.その検査システムの他機能に加え)検査システムの付加的機能として提供されよう。或いは、本願記載の検査サブシステムを“ゼロから”設計することで、完全に新規な検査システムを提供してもよい。
【0032】
本システムのコンピュータサブシステム36は、ウェハのスキャン中に検出器によって生成された出力をそのコンピュータサブシステムにて受け取ることができるよう、(例.“有線”及び/又は“無線”伝送媒体等といった1個又は複数個の伝送媒体を介する)様々な好適形態で検査サブシステムの検出器に結合させることができる。コンピュータサブシステム36は、検出器の出力を用い様々な機能を実行するよう構成することができる。例えば、然るべき構成のコンピュータサブシステムでは、ウェハの第1スキャンにて検出器により生成される出力にしきい値を適用することで、ウェハ上の欠陥が検出される。このしきい値は、好適であり本件技術分野で知られているどのような欠陥検出アルゴリズム及び/又は方法にも組みこむことができる。しきい値超の値を有する出力をいずれも欠陥として識別する一方、しきい値未満の値を有する出力をいずれも欠陥としては識別しないようにすればよい。
【0033】
ある実施形態ではしきい値が出力のノイズフロアと同レベルとされる。そのノイズフロアは、別の画像のヒストグラムにてユーザが指定した画素密度に基づき定まる。そのノイズフロアからのしきい値の離れ具合はしきい値オフセットで表される。例えば、しきい値がノイズフロアと同レベルであるならしきい値オフセットは0である。別の実施形態ではしきい値がコンピュータサブシステムによって自動選定される。こうすることでしきい値を自動選定しきい値とすることができる。本システムのコンピュータサブシステムは更に、本願記載の如く構成することができる。
【0034】
本システムのコンピュータサブシステム(並びに本願記載の他のコンピュータサブシステム)は、本願中でコンピュータシステム(群)と称されることもある。本願記載の各コンピュータサブシステム(群)又はコンピュータシステム(群)は、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他の装置等、様々な形態を採りうる。総じて、語“コンピュータシステム”は、記憶媒体上の命令を実行するプロセッサを1個又は複数個有するあらゆる装置を包含すべく広義に定義されうる。また、そのコンピュータサブシステム(群)又はコンピュータシステム(群)には、好適であり本件技術分野で知られているあらゆるプロセッサ、例えばパラレルプロセッサを組みこむことができる。加えて、このコンピュータサブシステム(群)又はコンピュータシステム(群)には、スタンドアロンツールであるかネットワーク化ツールであるかを問わず、高速処理型のコンピュータプラットフォーム及びソフトウェアを組みこむことができる。
【0035】
ここまで本システムが光学式又は光ベース検査システムであるものとして記述してきたが、本検査システムは電子ビームベースシステムとすることもできる。例えば、ある実施形態ではエネルギ源が電子ビーム源を有し、電子を含むエネルギがウェハへと差し向けられてウェハ上がスキャンされ、検出対象電子を含むエネルギが検出される。この種の実施形態のうち
図1aに示すものでは、本システムに備わる検査サブシステムが電子カラム122として構成されており、それがコンピュータサブシステム124に結合されている。
【0036】
同じく
図1aに示す通り、この電子カラムは電子を生成するよう構成された電子ビーム源126を有しており、それら電子が1個又は複数個の要素130によってウェハ128へと集中されている。この電子ビーム源は例えばカソード源又はエミッタチップを有するものとすることができ、また1個又は複数個ある要素130は例えばガンレンズ、アノード、ビーム制限アパーチャ、ゲートバルブ、ビーム流選択アパーチャ、対物レンズ及びスキャニングサブシステムを有するものとすることができるのであり、それらはいずれも、好適であり本件技術分野で知られているどのような類種要素を有するものとすることができる。
【0037】
ウェハから返されてきた電子(例.二次電子)は、1個又は複数個の要素132によって検出器134に集中させることができる。1個又は複数個ある要素132は例えばスキャニングサブシステムを有するものとすることができ、そのスキャニングサブシステムは要素(群)130に備わるものと同じスキャニングサブシステムとすることができる。
【0038】
電子カラムは、好適であり本件技術分野で知られているどのような他要素を有していてもよい。加えて、電子カラムは、更に、全面的に説明されているが如くこの参照を以て本願に繰り入れられるところの2014年4月4日付特許文献1(発明者:Jiang et al.)、2014年4月8日付特許文献2(発明者:Kojima et al.)、2014年4月15日付特許文献3(発明者:Gubbens et al.)及び2014年5月6日付特許文献4(発明者:MacDonald et al.)での記載に従い、構成することができる。
【0039】
図1aでは、電子がある斜め入射角でウェハへと差し向けられそのウェハから別の斜め角で散乱される構成である如く電子カラムが表されているが、ご理解頂けるように、電子ビームは、好適であるどのような角度でもウェハに差し向けまたウェハから散乱させることができる。加えて、こうした電子ビームベース検査システムは、やはり本願記載の通り、複数通りのモードを用い(例.別々の照射角、収集角等々で以て)ウェハの像を生成するよう構成することができる。電子ビームベース検査サブシステムにおけるそれら複数通りのモードは、その検査サブシステムにおける何らかの画像生成パラメタの点で異なるものでありうる。
【0040】
コンピュータサブシステム124は、上述の通り検出器134に結合させることができる。検出器では、ウェハの表面から返ってくる電子を検出しそのウェハの電子ビーム像を形成することができる。それら電子ビーム像には好適であるどのような電子ビーム像も含まれうる。コンピュータサブシステム124は、検出器134により生成される出力を用い、同じく本願記載の通りウェハ上の欠陥を検出するよう、構成することができる。コンピュータサブシステム124は、本願記載の様々な付加的ステップ(群)を実行しうるよう構成することができる。
図1aに示す検査サブシステムを有するシステムは、やはり本願記載の如く構成することができる。
【0041】
注記すべきことに、本願における
図1aの役目は、本願記載の諸実施形態に備わりうる電子ビームベース検査サブシステムの構成を大まかに示すことにある。上述した光学的検査サブシステムと同じく、本願記載の電子ビームベース検査サブシステムコンフィギュレーションも、販売される検査システムの設計時に通常実行される通り、検査サブシステムの性能を最適化する目的で改変することができる。加えて、本願記載のシステムは既存の検査サブシステム、例えば米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA−Tencor(社名)から購入可能なeSxxxシリーズのツールを用い(例.既存の検査サブシステムに本願記載の機能を追加することで)実現することができる。そうしたシステムのうちある種のものでは、本願記載の諸方法がそのシステムのオプション的機能として(そのシステムの他の機能に加え)提供されうる。或いは、本願記載のシステムを“ゼロから”設計し、完全に新規なシステムを提供することもできる。
【0042】
コンピュータサブシステム(例.コンピュータサブシステム36又はコンピュータサブシステム124)は、また、検出された欠陥の特徴に係る値を導出しうるよう構成される。例えば、上述した第1スキャンの間に、検出された欠陥それぞれに係る様々な特徴を、このコンピュータサブシステムによって算出及び収集することができる。具体的には、ウェハ上の欠陥検出済部位に関し生成された出力及び/又はその出力についての情報を用い、コンピュータサブシステムによってそれら検出済欠陥の特徴に係る値を導出することができる。それら特徴に係る値は量的値であってもそうでなくてもよい。例えば、特徴に係る値にはグレイレベル又は強度に係る値が含まれうる。逆に、特徴に係る値には質的値、例えば欠陥が検出されたダイの種類、欠陥が検出された領域の種類、欠陥がその背景に比べ明るいか否かを示す極性(polarity)、並びにそれらに類するものも含まれうる。そうした特徴のいずれに係る値も、あらゆる好適な形態で導出することができる。加えて、欠陥の特徴には、本願記載の又は本件技術分野で知られている他のどのような欠陥特徴も含まれうる。
【0043】
このコンピュータサブシステムは、また、特徴に係る値(例.第1スキャンで収集された特徴情報)に基づきその特徴(即ち欠陥特徴)を自動的にランク付けし、特徴カットラインを識別することでそれら特徴をビン(即ちサブグループ)にグループ分けするよう構成される。例えば、様々な欠陥特徴を算出した上でそれらを自動的にランク付けすることができる。上位の特徴を用い欠陥を様々なサブグループ(ビン)にグループ分けすることができる。このようにすることで、複数レベルの欠陥特徴ノードを用い欠陥をグループ分けすることができる。個々のノードによってそのランクに基づき様々な特徴を選択することができる。このようにすることで、特徴の自動的なランク付け並びに特徴カットラインの識別の結果により、欠陥分類モデル、方法又はアルゴリズム例えば欠陥分類ディシジョンツリーを生成することができる。
【0044】
分化ノードと各ノードに係るカットラインとを選定するには、例えば、ユーザによってダイ種別、領域及び極性が選定されるのを受け、それらを上位ノードにすればよい。極性があるので、第1スキャン中に保存された特徴から、ユーザが指定するレイヤのノード(例えば1、2又は3)を選択することができる。個々のノード及びノード毎カットラインは、米国カリフォルニア州ミルピタス所在のKLA−Tencorから購入可能なIMPACT製品におけるパワーアシスト型のノード及びカットライン選定で使用されているそれに類する方式を用い、選定することができる。ノードのレイヤ及び最大カットラインはレシピにて指定することができる。
【0045】
このコンピュータサブシステムは、また、各ビン内の欠陥の特徴に係る値に適用したら各ビン内に所定個数の欠陥がもたらされるであろう1個又は複数個のパラメタをビン毎に導出するよう、構成される。ある実施形態では、導出される上記1個又は複数個のパラメタに一通り又は複数通りのしきい値が含まれる。例えば、それら欠陥上特徴のうち幾つかにより区画された個々のサブグループ(ビン)にて様々なしきい値パラメタを適用することにより、所望の合計欠陥カウントを得ることができる。このようにすることで、サブグループ毎に、所望個数の欠陥を一通り又は複数通りの具体的なしきい値パラメタで以て得ることができる。
【0046】
ある種の実施形態では、導出される1個又は複数個のパラメタに、1個又は複数個のニューサンスフィルタリング用パラメタが含まれる。例えば、本願記載の諸実施形態にて使用されるニューサンスフィルタを、個々のレイヤ/デバイス/等々への分化基準をユーザが調整できるように構成することができる。加えて、本願記載の諸実施形態は、ユーザによるマニュアルでのレシピセットアップ無しに、ニューサンスフィルタセットアップ用にユーザ指定量の欠陥を自動収集するよう構成することができる。
【0047】
図2に、被分化欠陥ポピュレーションの生成手法の一実施形態を示す。例えば、
図2の実施形態におけるビン200はある一種類のダイ向けに使用されうるものであり、ある仮想例では、125000個の欠陥を収めうるビンとされる。ビン200に属する欠陥は、更に、そのダイ種別における領域に基づきビン202及び他の1個又は複数個のビン(図示せず)に分かつことができる。上述の仮想例ではビン202に属する欠陥の個数が100000個になりうる。ビン202に属する欠陥は、更に、極性に基づきビン204及び他の1個又は複数個のビン(図示せず)に分かつことができる。上述の仮想例ではビン204に属する欠陥の個数が25000個になりうる。ビン204に属する欠陥は、更に、欠陥検出アルゴリズムのパラメタ、例えばKLA−Tencorから購入可能な幾種類かの検査ツールで欠陥検出に使用されているMDAT(multi-die auto-thresholding)アルゴリズムのメディアングレイレベルに基づき、ビン206及び他の1個又は複数個のビン(図示せず)に分かつことができる。上述の仮想例ではビン206に属する欠陥の個数が12500個になりうる。ビン206に属する欠陥は、更に、その欠陥検出アルゴリズムの他のパラメタ例えばしきい値オフセットに基づき、ビン208及び他の1個又は複数個のビン(図示せず)に分かつことができる。最終レイヤで使用される欠陥検出パラメタは、目標個数の欠陥が得られるように選定すればよい。
【0048】
他の実施形態では所定個数の欠陥がユーザによって選定される。例えば、本願記載のそれら実施形態は、ユーザによるマニュアルでのレシピセットアップ無しで、ユーザが指定する量の欠陥がワンステップレシピチューニング向けに自動収集されるよう構成される。更に他の実施形態では、所定個数の欠陥がビンのうち少なくとも2個について異なる個数とされる。その種の実施形態のうちあるものでは、ユーザが一次及び二次ダイに基づき欠陥百分率を指定することができ、領域に基づき欠陥百分率を指定すること、ひいては領域毎の極性百分率を指定することができる。どれか1個のノードが十分な欠陥を有していない場合は、同じレベルに存する他のノードに残りの欠陥割当分を再分配することで、ユーザ所望の合計欠陥カウントを生成することができる。例えば、ある領域に発する欠陥が十分にない場合、余った欠陥割当分を他領域へと再分配することができる。
【0049】
このコンピュータサブシステムは、更に、導出された1個又は複数個のパラメタを、ウェハの第2スキャンにて検出器により生成された出力に適用し、それによってある欠陥ポピュレーションを生成するよう構成される。即ち、本願記載の発見OSTSは2回のスキャンを有することとなりうる。加えて、上述の通り、1回目と2回目のOSTSスキャンの狭間に、目標個数の被分化欠陥を収集すべくコンピュータサブシステムによりレシピパラメタ及びニューサンスフィルタが識別される。第2スキャンはあらゆる好適な形態で実行することができる。欠陥ポピュレーションは、やはり上述の通り第2スキャンにより生成すること、例えば検査サブシステムに備わる1個又は複数個の検出器の出力であって第2スキャン中に生成されたものに対し、導出されている上記1個又は複数個のパラメタを適用することで、生成することができる。
【0050】
この欠陥ポピュレーションは所定の欠陥カウントを有するものであり、特徴に係る値に従い分化される。例えば、所望の合計欠陥カウント及び被分化欠陥ポピュレーションを伴う多数の結果を生成することでユーザが注目欠陥(DOI)を速やかに発見しうるようにすることが、本願記載の諸実施形態の目的となりうる。このようにすることで、第2スキャンにあっては、第1スキャン後に識別されたレシピパラメタ及びニューサンスフィルタを第2スキャンにて適用し、ある被分化欠陥ポピュレーションを伴う所望の欠陥カウントを実現することができる。分化は、様々な欠陥特徴で規定される多次元空間内に分布する欠陥を収集することによって達成される。このように、本願記載の諸実施形態は、ホットスキャン生成における欠陥分化及びニューサンスフィルタ“トレーニング”向けに構成することができる。
【0051】
ある実施形態では、このコンピュータサブシステムが、更に、検出、値の導出、自動的なランク付け、識別、上記1個又は複数個のパラメタの導出、並びにマニュアルでのレシピセットアップを伴わない自動適用を実行するよう、構成される。例えば、本願記載の諸実施形態を用い、半導体ウェハ上の被分化欠陥をユーザによるマニュアルでのレシピセットアップ無しで自動検出することができる。
【0052】
上述の通り、諸実施形態における初期スキャンは1回とされうる。とはいえ、諸実施形態にて、初期スキャンの後続ランを通じ反復チューニングを実行するようにしてもよい。反復対象には、初回のしきい値オフセットを0としてのスキャンの実行が含まれよう。コンピュータサブシステムは、各回反復後に、所望の分化を伴う所望の欠陥カウントが得られるニューサンスフィルタを探し、割り当てられているニューサンスフィルタでは多数の欠陥が除去されないレベルまで検出しきい値を上昇させるよう構成することができる。検出オフセットを上昇させたら、それらをレシピに適用しその新たなしきい値で以てスキャンを実行すればよい。このプロセスを、停止基準に到達するまで反復すればよい。このようにすることで、本願記載の諸実施形態を、検出しきい値及びニューサンスフィルタの同時反復チューニング向けに構成することができる。
【0053】
OSTS用の方法及びシステムは幾種類か開発されているが、多数の短所を有している。例えば、現用OSTS方法のなかには、アグレッシブな欠陥検出しきい値で以て欠陥を収集しサブグループにおけるしきい値を自動調整することで所望の欠陥カウントを達成するものがある。更に、この現用方法はかなり少ない分化ディメンションで稼働するものであり、様々な欠陥特徴に基づき被分化欠陥ポピュレーションを収集することができない。加えて、この現用方法は固定分化方式で稼働するため柔軟性に欠ける。この現用方法は、更に、ニューサンス抑圧の面で弱く、ある特定の検出アルゴリズムでしか稼働せず、しかも欠陥背景ではなくウェハの欠陥性に強く依存している。
【0054】
本願記載の諸実施形態は、こうした現用方法に勝る多数の長所を有している。例えば、今日のBBPツールでは、生産時検査において所望の感度及びニューサンス率を達成すべくニューサンスフィルタを用いることが通例となっている。それらのニューサンスフィルタでは、分化に続くチューニングという全く同様の戦略が採用される。そうした検査レシピをチューニングするため、それらニューサンスフィルタの全リーフノードに関し良好なトレーニングデータがもたらされるよう、良好なトレーニングロット結果及び効率的なサンプリング方式が必要となる。本願記載の諸実施形態によれば、チューニング対象ニューサンスフィルタの全ノードにて、十分な欠陥カウントで以て、迅速であり且つ信頼できる良好なトレーニングロット結果を生成することが可能となろう。それら実施形態では、また、チューニングプロセスを通じ、即ち(a)データ収集(ホットスキャン)、(b)サンプリング(走査型電子顕微鏡(SEM)レビューによるグランドトゥルース取得のためのそれ)並びに(c)欠陥分類結果に基づくニューサンスフィルタチューニングを通じ、必要な欠陥分化を勘案する統一レシピチューニング方式を可能にするループを閉鎖させる。本願記載の諸実施形態ではまた結果に至る時間が改善される。例えば、旧方式では、所望の結果を得るため、(ときとして複数回に及ぶ)スキャンの実行及びチューニングに、ユーザが長大な時間を投入する必要がある。対するに、本願記載の諸実施形態ではその時間が顕著に短縮される。加えて、現用方法では、とりわけ論理領域向けに良好なスキャンを実行するのにそぐう、ある程度のアプリケーションエンジニアスキルが必要である。対するに、本願記載の諸実施形態はより効率的なものとなり、アプリケーションエンジニア側から多くのマニュアル作業が除かれることとなろう。
【0055】
本願記載の更なる実施形態はマルチモードな適合的欠陥発見向けに構成される。例えば、ある実施形態では、様々な光学系モードで以てウェハをスキャンするよう検査サブシステムが構成される。そうした例のうちあるものでは、BBP光学インスペクタを用いた欠陥発見に際し、ウェハ上の全欠陥種別が検出される確率を高めるべく、光学系モードの分化集合による複数回のウェハスキャンが採用される。“モード”とは、一般に、ウェハ向けの出力を生成すべく一緒に用いることが可能なパラメタの集合として定義することができる。従って、異なるモードは少なくとも1個の異なるパラメタ、例えば異なる照明条件、異なる収集/検出条件等々を有することとなろう。このようにすることで、個々のモードをそのウェハの別の“パースペクティブ”と見なすことができる。幾つかのモードはウェハの同じスキャンで用いることができる。反面、幾つかのモードはウェハの別々のスキャンでしか用いることができない。従って、本願記載の様々なモードでのウェハのスキャンには、1回又は複数回のスキャンが含まれうる。発見に使用されるモードの個数は順調に増加を続け、現在におけるBKM(最良既知モード)は27モードである。本願記載の諸実施形態によれば、このリッチな情報をかなり効率的な形態で処理しているためより良好且つ迅速な発見結果がもたらされる、新たな方法が得られる。
【0056】
ウェハ上の欠陥種別の発見に現在使用されている方法のうちあるものは、BBPツール上の一組の分化光学系モードであって光学条件の全スペクトラムを基本的にカバーするものを識別するステップを有している。(現在のBKMは27モードを使用することである。)加えて、これら現用方法は、各モードでのウェハのスキャン及びそれら全てに係るホット検査の提供後に、どの欠陥がどのモードで発見されたかを調べる共有性分析を実行するステップを有している。ユニークな欠陥それぞれの捕捉率を算出することができる。(捕捉率は欠陥を検出したモードの分数比に等しい。)検出された欠陥のうち重複するインスタンスが除去され、それが検出された最初のモードでもたらされた欠陥が保持される。その上で、個々のモードを用い生成された結果を発見(分化)サンプリングを用い独立に処理することで、各モードにおける欠陥の分化集合が探索される。このステップは、更に、現在処理されているモードにおける欠陥であり先行するモードで既にサンプリングされているものを識別し、それらの欠陥に関しても同じく分化することができる可能性を有している。
【0057】
図3に本方法を模式的に示す。例えば、ステップ300に示す通り、本方法は、ウェハを別々の光学系モードで以て複数回スキャンするステップを有するものとすることができる。従って、各モードで様々な検査結果302を生成すること、特に1モード当たり1個ずつ生成することができる。ステップ304に示す通り、本方法は、スキャン間(モード間)で共通する欠陥を探すステップ及びユニークな欠陥それぞれについて捕捉率を算出するステップを有するものとすることができる。例えば、
図3に示す検査結果306、308及び310は別モードで以て生成されたものであり、それら結果のうち2個以上に共通な複数個の欠陥が存在しうる。具体的には、欠陥312a及び312bは検査結果306及び310に共通であり、欠陥314a及び314bは検査結果308及び310に共通であり、欠陥316a及び316bは検査結果306及び308に共通であり、且つ欠陥318a、318b及び318cは検査結果306、308及び310に共通である。
【0058】
ステップ320に示す通り、本方法は、同一の欠陥が複数個選ばれないよう相次ぐスキャン(モード)から重複を除去するステップを、有するものとすることができる。加えて、ステップ322に示す通り、本方法は、ユーザにより選定された特徴を用い各スキャン(モード)から欠陥の分化集合を選定するステップを、有するものとすることができる。例えば、本方法は、あるモードで以て実行された1回のスキャンにより生成された検査結果302aから欠陥の分化集合を選定するステップと、別のモードで以て実行された別のスキャンにより生成された検査結果302bから欠陥の分化集合を選定するステップとを、有するものとすることができる。更にステップ324に示す通り、本方法は、個別のスキャン(モード)から選定された欠陥を組み合わせて最終的な“発見”集合にするステップを、有するものとすることができる。
【0059】
現用方法例えば上述したそれには、本願記載の諸実施形態に比し顕著な2個の短所を有している。第1に、最も良好で最も関連性が強い分化を自分にもたらすであろうとユーザが信ずる欠陥属性の集合を、ユーザが選定する必要がある。ある程度はこうした知識を入手しうるとはいえ、所与ウェハに係るより良好な属性集合が存在していてそれを今のところは識別できないという可能性が、常に存在しうる。加えて、マルチモード情報の使用形態がかなりぎこちない。基本的には各モードが互いに独立に処理されるのであり、重複が除去されることや、欠陥捕捉率がモデル間連情報として用いられることや、他モードで既にサンプリングされている欠陥を識別することによりモード間分化機構を潜在的にてこ入れすることは、例外的なものである。更に、各欠陥が有する複数組の特性中に符号化されており、複数通りのモードで得られている豊かな情報が、現在は全く使用されていない。(欠陥には別のモードにて別の光学的外観を呈する傾向があるので、そうした違いを利用することでユニークな欠陥種別を探索することができる。)
【0060】
本願記載の更なる諸実施形態では、ラベル付きデータポイントのトレーニングセットから欠陥分類モデルを構築するマシン学習アルゴリズムが利用されうる。このモデルは、それに対しトレーニングが施されていない欠陥に関し、(a)欠陥分類及び(b)分類信頼度を生成する。その上でこの情報を用いることで、そのモデルにとり既知でない欠陥種別に関しサーチすることができる。
【0061】
そうした実施形態のうちあるものでは、様々なモードで以て生成された出力に基づき他の欠陥を検出し、当該別々のモードで以て生成された出力を用い当該他の欠陥の特徴に係る値を導出し、更に、あらゆる欠陥に関し導出されているあらゆる特徴に係る値全ての組合せに基づき欠陥発見を実行するよう、コンピュータサブシステムが構成される。例えば、それら実施形態は、ウェハを別々のモードで1回又は複数回スキャンするステップを有するものとすることができる。検査システムの検出器(群)によってそれら別々のモードそれぞれに関し生成された出力を本願詳述の如く用い、ウェハ上の欠陥を検出することが可能である。加えて、本方法は、上述の通り上記別々のモードそれぞれによって検出された欠陥の特徴に係る値を導出するステップを、有するものとすることができる。その上で、あらゆる欠陥に係るあらゆる特徴に係る値全てを本願詳述の如く併せ用い、欠陥発見を実行することができる。
【0062】
そうした実施形態のうち他のものでは、別々のモードで以て生成された出力に基づき他の欠陥を検出し、それら他の欠陥を比較することによって当該別々のモードのうち当該他の欠陥それぞれが検出されたモードを識別し、当該別々のモードで以て生成された出力に基づき当該他の欠陥それぞれに係る特徴の集合を導出し、更に、当該他の欠陥であって他の欠陥種別に係るものをその特徴集合に基づきサーチするよう、コンピュータサブシステムが構成される。例えば、様々な光学系モード(M通りのモードと仮定する)で以てウェハを1回又は複数回スキャンするよう、検査サブシステムを構成することができる。更に、どの欠陥がどのモードで検出されたかを識別すべく共有性分析を実行するよう、且つ全てのユニークな欠陥からなるマスタリストを生成するよう、コンピュータサブシステムを構成することができる。また、後述の動作を実行することによってマルチモード検査由来のマルチモードデータセットを生成するよう、コンピュータサブシステムを構成することができる。マスタリスト上の個々の欠陥に関しては、全モードから全特徴が収集される。即ち、検出された欠陥それぞれに関し各モードでN個の欠陥特徴が生成されるなら、マスタリスト上の欠陥が、後述の形態で構築されたN×M個の特徴を有することとなろう。マスタリスト上の欠陥がモードJにて検出されたのであれば、位置[N×(J−1)+1]〜[N×J]におけるその特徴がモードJ由来のN個の特徴を含むこととなろう。マスタリスト上のこの欠陥がモードJにて検出されていなければ、位置[N×(J−1)+1]〜[N×J]にある特徴がゼロで満たされることとなろう。コンピュータサブシステムでは、それを受け、本願で更に記述する如く欠陥種別に係る適合的サーチを実行することができる。
【0063】
そうした実施形態のうちあるものでは、他の欠陥をサーチするステップが、それら他の欠陥のサンプルに基づき欠陥分類プロセスをセットアップするステップと、当該他の欠陥のうちそのサンプルに含まれていないものにその欠陥分類プロセスを適用するステップと、当該他の欠陥のうちそのサンプルに含まれていないものに対しその欠陥分類プロセスによって割り当てられた分類の信頼度を導出するステップと、を有する。他の欠陥をサーチするステップは、ウェハがSEMレビューステーション上にある間に実行するとよい。そのSEMレビューステーションは、
図1aを参照し上述した通り構成することができる(但し
図1aに示す検査サブシステムの1個又は複数個のパラメタはその電子ビームサブシステムが検査又は欠陥レビューに使用されるか否かに応じ変わりうる)。この実施形態では、マルチモードデータセットから欠陥の比較的小規模な集合をサンプリングするよう、コンピュータサブシステムが構成される。(この集合のサイズは特徴付けに供されるが恐らくは欠陥の個数で5〜50個のオーダになろう。)このシステムは、更に、SEMレビュー並びに欠陥の集合のマニュアル分類向けに構成することができる。サンプル中に1個しか欠陥種別が存していない場合、そのコンピュータサブシステムで欠陥の比較的小規模な他の集合をサンプリングすればよい。或いは、SEMレビュー及びマニュアル分類によって生成されたトレーニングセットを用い既知の欠陥種別に係る分類モデルを生成するよう、コンピュータサブシステムを構成してもよい。また、上述の通り生成された分類モデルを用いマルチモード検査結果中の残存欠陥全てを分類するよう、コンピュータサブシステムを構成することができる。それらの欠陥は、様々な信頼度でもって、そのモデルに採り既知の種別へと分類されることとなろう。
【0064】
そうした実施形態のうちあるものでは、他の欠陥をサーチするステップが、それら他の欠陥のなかで他のものに比べ低い信頼度を有するものからなる集合をサンプリングするステップと、そのサンプル及びサンプリングされた当該他の欠陥の集合に基づき新たな欠陥分類プロセスをセットアップするステップと、当該他の欠陥のうちサンプルに含まれておらず且つサンプリングされた欠陥の集合に含まれていないものにその新たな欠陥分類プロセスを適用するステップと、当該他の欠陥のうちサンプルに含まれていないかサンプリングされた欠陥集合に含まれていないものに対し当該新たな欠陥分類プロセスによって割り当てられた分類の信頼度を導出するステップと、をも有する。例えば、最低信頼度欠陥の集合をサンプリングするようコンピュータサブシステムを構成することができる。最低信頼度欠陥とはそのモデルでうまく分類できない欠陥のことであり、それらは新たな欠陥種別とされやすい。そのサンプル集合のサイズは特徴付けに供されるが、欠陥の個数では5〜50個のオーダとなろう。このシステムは、更に、その欠陥集合のSEMレビュー向け及びマニュアル分類向けに構成することができる。その上で、コンピュータサブシステムにより、それらの欠陥をトレーニングセットに追加し、新たなモデルをトレーニングすることができる。然る後、その新たなモデルを、マルチモード検査結果中の残余欠陥全ての分類に用いることができる。原モデルと同じく、それら欠陥は、そのモデルに採り既知の種別へと様々な信頼度で以て分類されることとなろう。その上で、最低の信頼度を有する欠陥をサンプリング、レビュー及びマニュアル分類し、そして新たなモデルを生成することができる。これらのステップは、そのモデルによる比較的低信頼の分類の生成が停止されるまで反復されうる。
【0065】
図4及び
図5にマルチモード用欠陥発見プロセスを示す。
図4に示したのはマルチモードマスタリストを生成するプロセスである。
図5に示したのは、そのマルチモード情報のユーザの許でSEMレビューステーションにて実行可能な適合的発見方法である。
【0066】
図4のステップ400に示す通り、検査サブシステムにより、様々な光学系モードで以てウェハを複数回(1回又は複数回)スキャンすることができる。コンピュータサブシステムによって、様々な光学系モードに係る様々な検査結果402を生成することができる。更に、ステップ404に示す通り、コンピュータサブシステムにより、全てのユニークな欠陥からなるマスタリストを生成することができる。例えば、検査結果402a、402b及び402cに基づき、コンピュータサブシステムにより、あらゆるモードによって検出されているあらゆる欠陥に係る情報を含むマスタリスト406を生成することができる。ある欠陥が複数通りのモードによって検出された場合は、マスタリストに、その欠陥のインスタンスを1個だけ含めればよい。更に、ステップ408に示す通り、コンピュータサブシステムによりマルチパースペクティブ(マルチモード)マスタリストを生成することができる。
図4に示す通り、このマルチパースペクティブマスタリストは、テーブル410その他のデータ構造、即ちウェハをスキャンするのに使用された何らかのモードによってそれら欠陥に関し導出されたあらゆる特徴に様々な欠陥を関連付けることができる何らかの好適なデータ構造を、有するものとすることができる。例えば、テーブル410の第1カラムにはそれら欠陥のIDが列記されうる。更に、他の欠陥用カラムにはそれら欠陥に関し導出されたあらゆる特徴が列記されうる。例えば、
図4に示す通り、ウェハのスキャンにモード1及びモード2が使用された可能性があるものとする。この場合、このテーブルのモード1セクション下にあるカラムF1、F2及びF3には、モード1を用い生成された出力に基づきそれら欠陥に関し導出された欠陥特徴F1、F2及びF3に係る値が列記されうる。加えて、同テーブルのモード2セクション下にあるカラムF1、F2及びF3には、モード2を用い生成された出力に基づきそれら欠陥に関し導出された欠陥特徴F1、F2及びF3に係る値が列記されうる。このようにすることで、あらゆるモードに由来する特徴を組み合わせて欠陥毎に1個の特徴集合にすることができる。加えて、それらモードのいずれでも欠陥が検出されなかった場合は、対応する特徴にゼロが割り振られる。例えば、テーブル410に示す通り、モード2にて欠陥1が検出されなかった場合、同テーブルのモード2セクション内の特徴F1、F2及びF3に係る値がゼロとなる。また例えば、テーブル410に示す通り、モード1にて欠陥2が検出されなかった場合、同テーブルのモード1セクション内の特徴F1、F2及びF3に係る値がゼロとなる。そして、ステップ412に示す通り、コンピュータサブシステムにより、マルチパースペクティブ(マルチモード)マスタリストからの適合的欠陥選定を実行することができる。この適合的欠陥選定は
図5に示す如く実行することができる。
【0067】
図5に示す適合的発見は電子ビーム欠陥レビューツール、例えばKLA−Tencor(社名)から購入可能なeDRツール上で(そのレビューツール上にウェハがある状態で)実行可能なものであり、欠陥の小分化集合を選定する図示の如きステップ500を有するものとすることができる。この適合的発見は、それら欠陥をSEMレビュー及びマニュアル分類する図示の如きステップ502をも有するものとすることができる。加えて、この適合的発見は、複数の種別が見つかったか否かを判別する図示の如きステップ504を有するものとすることができる。コンピュータサブシステムは、複数の種別が見つからなかった場合にステップ500に示す選定、ステップ502に示すレビュー及び分類並びにステップ504に示す判別を反復するよう構成することができる。複数の種別が見つかった場合、コンピュータサブシステムにより、ステップ506に示す通り、全ての分類済欠陥をトレーニングセットとして用い分類モデルを構築することができる。そして、同コンピュータサブシステムにより、ステップ508に示す通り、構築されたモデルを用いマスタリスト中の全ての残余欠陥を分類することができる。同コンピュータサブシステムは、ステップ510に示す通り、モデルが集束したか否かを判別する。集束は、その分類の信頼度及びトレーニングコンフュージョンマトリクスの安定性をモニタリングすることを通じ、画定される。いつストップさせるかについてはコンピュータサブシステムから示唆することができるが、究極的には、いつストップさせるかをコンピュータサブシステムによる示唆に基づきユーザが決めるのがよかろう。モデルが集束している場合、ステップ512に示す通り、コンピュータサブシステムをストップさせることができる。モデルが集束していない場合、コンピュータサブシステムにより、ステップ514に示す通り、最低の分類信頼度を有する欠陥の小集合を選定することができる。その上で、コンピュータサブシステムにより、上述したステップ500その他のステップを実行することができる。
【0068】
本願記載の諸実施形態は、既存の発見手法に勝る多数の長所を有している。例えば、本願記載の諸実施形態により、複数通りのモードに由来する欠陥特徴同士を組み合わせることでマルチモード発見検査を処理する新規な手法が提供される。即ち、本願記載の諸実施形態では、各モードで独立に欠陥発見を実行してそれらを一体にまとめる必要がなくなる。加えて、マルチモードマスタリストには、各欠陥の捕捉率についての情報だけでなく、欠陥を検出する上でどのモードが上首尾であったかについての情報も含まれる。この付加的情報は、今日使用されている既存の方法では存分に利用することができなかった。諸実施形態によれば、更に、発見プロセスを終端させる機構が提供されるので、全ウェハに適用されるべきサンプリングサイズを踏まえBKMを開発する必要性がなくなる。この停止基準は、様々なウェハ向けの様々なSEMレビュー条件につながろう。更に、本願記載の諸実施形態は、分化用に使用される特徴の小集合をユーザが選定することに依拠する発見サンプリングと異なり、有効性の欠損を伴わずあらゆる欠陥特徴で以て稼働させることができる。本願記載の諸実施形態には、更に、欠陥種別を仕分ける上で重要な欠陥特徴を見つける能力があるので、この示唆を引き続き生産レシピチューニング用の第2ラウンド発見に使用することができる。本願記載の諸実施形態は、また、他の手法例えば分化、バイアシング等々と組み合わせることができる。
【0069】
比較的低信頼度の欠陥を選定すべく分類モデルを用い新たな欠陥種別を発見することでもたらされる結果からは、この方式が発見サンプリングと同等以上に良好に機能することや、レビューバジェットをリアルタイムで提示できるようになるという付加的な利点があることがわかる。また、その特徴付けからは、比較的多数(約500個)の欠陥特徴で以てしてもまたそれらの多くがノイズであっても、その分類モデルが十分に働くことがわかる。これは、本マルチモード方式が極めて有益たるべきことを示している。ツール上にウェハを配しSEMレビューステーションで発見を実行した場合、その発見は、検査(BBP)及び欠陥レビュー(SEM)が共に働く融合特徴として有益たりうる。
【0070】
本願記載の更なる諸実施形態は、“1TestNP(NanoPoint)+PWQ(process window qualification)スキャン”と通称しうるものである。大略、本願記載の諸実施形態はNP向けOSTSに使用することができる。語“NP”は、大まかには極小規模(例.ウェハ上にプリントされている特徴のサイズと同程度)のケアエリアを使用する種類の検査を指すものであり、検査システムの検出器により生成された出力における“マイクロケアエリア”の位置を十分に高い精度(例.サブ画素レベルの精度)で導出すること、例えばその検出器の出力を設計データに揃えることで導出することにより、その使用が可能になる。PWQスキャンとは、大まかには、その上に少なくとも2個のダイが形成されているウェハであって、そのウェハに対し実行される製造プロセスの1個又は複数個のパラメタを別の(即ち変調された)値にしてそれらダイがその上にプリントされているウェハを対象に、検査システムにより実行される種類のスキャンを指している。そうしたパラメタの例としては、これに限られるものではないが、そのウェハを対象に実行されるリソグラフィプロセスでの露出及び線量がある。
【0071】
本願記載の諸実施形態を用いることで、検査ツール例えばBBPツール上でのNP及びPWQスキャンのセットアップ及びランタイムを短縮することができる。例えば、ケアエリアを用いる現用のPWQスキャン方法のうちあるものでは、モード毎変調毎に1回のテスト即ち被変調ダイ毎に別々のテストが実行され(通常は1モードが約20〜約50通りの変調を伴う)、ITF(initial threshold finder)、即ち予備スキャンを実行することでダイの欠陥性を評価し更にユーザによって割り当てられた百分率に基づき感度を割り当てるITFを個別に用い変調毎に感度が設定され、そのスキャン当たりの時間が、フルウェハスキャン時間に変調カラムの個数を乗じたものにほぼ等しくなる。
【0072】
これらの現用方法は多数の短所を有している。例えば、それら現用方法では変調毎に1回のテストが必要であるためBBPツール側でかなり多くの時間が費やされる。スキャン1回当たり所要時間は、フルウェハスキャン1回のそれに変調カラムの個数を乗じた時間となる。スキャン所要時間が長いので、他の有益なプロジェクトで使用できるはずの時間が奪われる。加えて、それら現用方法ではITF百分率に係る反復チューニングが必要である。ユーザは、しきい値領域毎にそのBKMのITF値で以てスタートさせる。その上で、ユーザは、数回の変調を実行してITF百分率をチューニングするプロセスを、自分がそのITF百分率で以て満足するに至るまで反復させる。
【0073】
対するに、本願記載の諸実施形態では、モード毎に1回のテストでよく、後処理を用いウェハに亘り感度を設定することができ、OSTSに類似しているがNPケアエリア(CA)及びレガシーなCAの双方で且つPWQでも働かせることができ、且つスキャン1回の時間がフルウェハスキャン時間となる。このように、本願記載の諸実施形態には現用方法に勝る多数の長所、例えばより使いやすいこと、検査ツール例えばBBPツール側でのスキャン時間が短縮されること、その時間を他のプロジェクトに使用しうること、といった長所がある。例えば、ツール時間の余剰分をいずれも生産スキャンやその他のレシピセットアップの実行に用いることができるので、検査ツールの時間例えばBBPツールの時間にははなはだ値打ちがある。加えて、使いやすさが高いのでレシピのセットアップ時間がより短くなろう。こうした時間的節約は検査ツールのユーザにとり重大なことであり、数百万ドルの節約につながりうる。
【0074】
ある実施形態では、検出器により出力を生成しながらもう一つのウェハ、即ちそのウェハへのプリントに使用されるプロセスの1個又は複数個のパラメタに係る値を違え少なくとも2個のダイがその上にプリントされているPWQウェハ上を、エネルギでスキャンするよう検査サブシステムが構成され、且つ、出力中にあるマイクロケアエリアを識別しそれらマイクロケアエリアにおける出力に基づき他の欠陥を検出するよう、コンピュータサブシステムが構成される。例えば、これら実施形態は、BBPスキャン向けのあらゆるNP+PWQフローで利用することができる。これら実施形態は、更に、セグメント及びしきい値チューニングをより容易にすべく、ホットスキャンに代え定常NPスキャンにて用いることができる。検査サブシステムは、本願詳示の通りウェハ上をエネルギでスキャンするよう構成することができる。コンピュータサブシステムは、本願詳示の通り(例.検出器の出力をそのウェハに係る設計データに揃えることにより)出力中にあるマイクロケアエリアを識別するよう構成することができる。コンピュータサブシステムは、更に、マイクロケアエリアにおける出力に基づき何らかの好適な形態で欠陥を検出するよう、例えばそれらマイクロケアエリアにて生成された出力のみに欠陥検出アルゴリズム及び/又は方法を適用することで検出するよう、構成することができる。
【0075】
このようにすることで、本願記載の諸実施形態によれば、個別変調毎に1回のテストではなく全変調を対象に1回のテストを使用するだけでよくなる。本願記載の諸実施形態によれば、ITFを用いるのに代え、ワンステップチューニングをもたらすであろう新規なアルゴリズムを用いることができる。NP向けOSTSと称されるこの新規なアルゴリズムは、OSTSに類似するが、レガシーなCAだけではなくNPケアエリア及びレガシーなケアエリア(CA)を対象に稼働しうる点で異なるものとなろう。これらの実施形態は、セットアップ及びランタイム双方が大きく短縮される点で旧方法に勝っている。セットアップ時にユーザが行わねばならないのは、欠陥限界を指定し新アルゴリズムを選択することだけであろう。更なる反復については必要なかろう。ランタイムにおけるスキャン時間はフルウェハスキャンと同じ長さとなり、従って旧方法を用いたときのスキャンよりも数倍高速なスキャンとなろう。
【0076】
そうした実施形態のうちあるものでは、検査サブシステムの一通り又は複数通りのモード及び値を違えプリントされた少なくとも2個のダイのうち複数個に関しスキャンが実行され、他の欠陥の検出に当たり一通り又は複数通りのモードそれぞれに関し一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションが生成され、更に当該少なくとも2個のダイのうち当該複数個にて検出された他の欠陥が当該一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションそれぞれに含まれることとなる。このようにすることで、各スキャンを、少なくとも2個の被変調ダイに関し且つ検査サブシステムの一通り又は複数通りのモードに関し実行することができる。従って、どの1スキャンで生成される欠陥ポピュレーションにも、当該1スキャンにてスキャンされた少なくとも2個の被変調ダイにおける欠陥が含まれる。そうした実施形態のうちあるものでは、当該一通り又は複数通りのモードに係る当該一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションに、それぞれ、それら少なくとも2個のダイのうち当該複数個のダイそれぞれについてほぼ同個数の欠陥が含まれる。例えば、新規なアルゴリズムたるNP向けOSTSでは、欠陥性を評価すべくウェハに亘りある百分率でのスキャンを実行することができる。この情報を用いることで、そのアルゴリズムにより、それら欠陥がそれらダイに亘り均等に分布することとなるようウェハに亘り欠陥を割り振り、どの変調についても同様の欠陥カウントになるようにすることができる。
【0077】
そうした実施形態のうち他のものでは、上記一通り又は複数通りのモードのうち少なくとも1個での更なるPWQウェハの検査のための1個又は複数個のパラメタを、それぞれ、当該一通り又は複数通りのモードに係る上記一通り又は複数通りの欠陥ポピュレーションに基づき選定するよう、コンピュータサブシステムが構成される。例えば、このアルゴリズムによってPWQ向けのワンステップチューニングが可能になり、諸変調に亘り欠陥が均等分布される。ワンステップチューニングであるので、ユーザがしきい値を反復的にチューニングすることはもはや不要となろう。これによっても、テストの回数が変調毎に1回から全変調で1回へと減少し、スキャン時間が大きく短縮されることとなろう。更なるPWQウェハの検査向けのパラメタ選定は、あらゆる好適な形態で実行することができる。
【0078】
上述の諸実施形態に施しうる改変には、類似する変調の集合のグルーピングによってテストの回数ひいてはスキャン時間の抑制を図ることが含まれうる。ただ、これは、複数通りの変調に関しホットスキャンを実行しどの変調をグルーピングしうるかを調べることを、意味するものとなろう。加えて、これは、テストの回数が数回になること及び本願記載の諸実施形態のそれに比べスキャン時間が長くなることにもつながろう。
【0079】
他の実施形態としては、ウェハ上の欠陥を発見するためのコンピュータ利用方法に係るものがある。本方法は、ウェハの第1スキャンにて検査システムの検出器により生成された出力にしきい値を適用することによって、そのウェハ上の欠陥を検出するステップを有する。その検査システムは、検査サブシステムとの関連で本願記載の如く構成することができる。本方法は、更に、値を導出するステップと、特徴を自動的にランク付けするステップと、特徴を識別するステップと、1個又は複数個のパラメタを導出するステップと、本願記載の1個又は複数個の導出済パラメタを適用するステップと、を有する。これらのステップはコンピュータシステムで実行されるものであり、そのコンピュータシステムはやはり本願記載の如く構成することができる。
【0080】
上述の方法には、本願記載のシステム実施形態(群)に備わる他のいずれか1個又は複数個の機能を実行するためのステップ(群)を組みこむことができる。更に、上述の方法は本願記載のどのシステムでも実行することができる。
【0081】
本願記載のどの方法も、その方法実施形態が有している1個又は複数個のステップの結果をコンピュータ可読ストレージ媒体に格納するステップを、有するものとすることができる。それら結果には本願記載のどの結果も含めることができ、またそれらは本件技術分野で知られているあらゆる方法で格納することができる。そのストレージ媒体には、本願記載のあらゆるストレージ媒体が、また本件技術分野で知られているあらゆる好適な他のストレージ媒体が含まれうる。結果を格納した後は、そのストレージ媒体内の結果にアクセスすることができ、またそれを本願記載の任意の方法又はシステム実施形態で使用すること、ユーザに対する表示用にフォーマットすること、他のソフトウェアモジュール、方法又はシステムで使用すること等々が可能である。
【0082】
他の実施形態としては、ウェハ上の欠陥を発見するためのコンピュータ利用方法を実行すべくコンピュータシステム上で実行することが可能なプログラム命令が格納される、非一時的コンピュータ可読媒体に係るものがある。そうした実施形態の一例を
図6に示す。例えば、
図6に示す非一時的コンピュータ可読媒体600には、コンピュータシステム604上で実行可能なプログラム命令602、特にウェハ上の欠陥を発見するためのコンピュータ利用方法を実行するためのそれが格納されている。そのコンピュータ利用方法には、本願記載のあらゆる方法(群)のあらゆるステップ(群)が含まれうる。
【0083】
諸方法、例えば本願記載の方法を実現するためのプログラム命令602は、非一時的コンピュータ可読媒体600上に格納可能である。このコンピュータ可読媒体は、磁気若しくは光ディスク、磁気テープ等のストレージ媒体としうるが、本件技術分野で知られており好適な他のどの非一時的コンピュータ可読媒体であってもよい。
【0084】
それらプログラム命令は、とりわけ手続きベース技術、コンポーネントベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を含め、多々ある手法のいずれでも実現することができる。例えば、Matlab、VisualBasic(登録商標)、ActiveX(登録商標)コントロール、C、C++オブジェクト、C#、JavaBeans(登録商標)、Microsoft(登録商標)FoundationClass(“MFC”)その他の技術又は手法を用い、それらプログラム命令を望みの如く実現することができる。
【0085】
コンピュータシステム604は、更に、本願記載の如く構成することができる。
【0086】
本発明の諸態様の更なる変形や代替的な実施形態については、いわゆる当業者にとり、本明細書から明らかであろう。例えば、ウェハ上の欠陥を発見するためのシステム及び方法が提供される。従って、本明細書は、専ら説明的なものとして、また本発明の一般的実行形態をいわゆる当業者に教示するためのものとして解されるべきである。ご理解頂けるように、本願中で提示及び記述した本発明の諸形態は、現段階で好ましい実施形態として解されるべきである。本願で提示及び記述した要素及び素材は別のものに置き換えることができ、部品及びプロセスは順序を逆にすることができ、また本発明の特徴のうちあるものは独立に利用することができるのであって、これらのことはいずれも、本発明についての記述を踏まえればいわゆる当業者にとり明らかであろう。本願記載の諸要素には、後掲の特許請求の範囲に記載のある本発明の神髄及び技術的範囲から離隔することなく変更を施すことができる。