特許第6490414号(P6490414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490414二次電池状態検出装置および二次電池状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490414
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】二次電池状態検出装置および二次電池状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20190101AFI20190318BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20190318BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20190318BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   G01R31/36 A
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H02J7/00 X
   H02J7/14 R
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-247479(P2014-247479)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-109565(P2016-109565A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130247
【弁理士】
【氏名又は名称】江村 美彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 直也
(72)【発明者】
【氏名】岩根 典靖
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−051470(JP,A)
【文献】 特開2014−196985(JP,A)
【文献】 特開2009−052925(JP,A)
【文献】 特開2014−178213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置において、
前記二次電池の開回路電圧を測定または推定する測定手段と、
前記測定手段によって測定または推定された前記開回路電圧を、前記開回路電圧と充電率との相関を示す相関式に適用することで充電率を求出する求出手段と、
前記二次電池の内部抵抗に基づいて充電率を算出する算出手段と、
前記求出手段によって求出した充電率と、前記算出手段によって算出した充電率の値が異なる場合には、前記求出手段の前記相関式を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする二次電池状態検出装置。
【請求項2】
前記二次電池を放電し、放電時の電圧および電流から前記二次電池の等価回路の素子値を学習する学習手段と、
前記二次電池を充電し、充電時の電圧および電流から前記二次電池の抵抗値を計測する計測手段と、を有し、
前記算出手段は、前記計測手段によって求めた内部抵抗から導電抵抗および液抵抗を減算して得た反応抵抗成分と、前記学習手段によって求めた反応抵抗の合算値との比に基づいて、前記充電率を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記計測手段によって求めた内部抵抗から導電抵抗および液抵抗を減算して得た反応抵抗成分と、前記学習手段によって求めた反応抵抗の合算値との比を含む所定の関数に対して、前記二次電池の温度に基づく補正を行うことで前記充電率を算出することを特徴とする請求項2に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項4】
前記計測手段は、充電時の電圧から、前記開回路電圧、成層化電圧、および、分極電圧を減算して得られる過電圧値を電流値で除算して得られる値を、前記二次電池の抵抗値とすることを特徴とする請求項2または3に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記二次電池が車両に搭載された後の初回処理である場合、充電電流が前回処理時よりも小さい場合、または、前回処理から所定以上の期間が経過している場合に、前記求出手段の前記相関式に対する補正処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池状態検出装置。
【請求項6】
二次電池の状態を検出する二次電池状態検出方法において、
前記二次電池の開回路電圧を測定または推定する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて測定または推定された前記開回路電圧を、前記開回路電圧と充電率との相関を示す相関式に適用することで充電率を求出する求出ステップと、
前記二次電池の内部抵抗に基づいて充電率を算出する算出ステップと、
前記求出ステップにおいて求出した充電率と、前記算出ステップにおいて算出した充電率の値が異なる場合には、前記求出ステップの前記相関式を補正する補正ステップと、
を有することを特徴とする二次電池状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池状態検出装置および二次電池状態検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、満充電完了時および走行中の一時停止時に実行される内部抵抗の測定に基づいて定義・算出した内部抵抗率から、各測定時点の放電率を取得し、電流積算方式によって二次電池の残存容量の算出値を補正するようにした電気自動車用鉛蓄電池の残存容量メータであって、ケーブル接続される計測部、表示回路、および、表示LED部の各ユニットから構成され、計測部がアナログ回路部とデジタル回路部を有し、アナログ回路部が抵抗器による強制放電回路と、強制放電時の電圧降下および電流変化を検出する微分回路からなる内部抵抗検出手段を有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−19103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、充電率100〜30%の範囲で、内部抵抗率の変化に対して充電率が急激に変化するため、充電率100〜30%の範囲では電流積算方式を主体とする必要があり、充電率100〜30%の範囲の推定に問題がある。
【0005】
また、二次電池における内部抵抗と放電率(充電率)の関係あるいは経年劣化容量は、新品から経時劣化していく過程で変化し、劣化モード(負極活物質の硬化、正極格子の腐食、正極活物質の軟化等)によっても変化率は異なる。また、取り付け時の二次電池が新品とは限らず、取り付け時点で劣化している場合、それまでの経年劣化量が判らないため、残存容量を正確に推定することができないという問題点がある。
【0006】
さらに、特許文献1に開示された技術では、二次電池の内部状態や環境条件等によって大きく変動する。例えば、液式の鉛バッテリでは、水と硫酸との比重差により充電中に濃硫酸が下にたまって硫酸の濃度傾斜が形成される(成層化)が、その成層化度合いによって端子間電圧や充電受入性が変化する。また、二次電池の容量、液量、重量、容積等の状態量や、二次電池周辺の環境温度等によっても端子間電圧が変化する。二次電池の運用中は、これらの要因が一つあるいは複数組み合わさって端子間電圧に大きく影響する。このため、特許文献1に開示された技術では、前述した変動要因の影響によって、充電状態を正確に検出することができず、充電率を正確に検出できないという問題点がある。また、二次電池の充電率(SOC)を正確に求めるためには、二次電池の充電状態に対応した端子間電圧をできるだけ正確に測定もしくは、推定する必要があるという問題点もある。
【0007】
本発明は、二次電池の充電率をその状態に拘わらず正確に検出することが可能な二次電池検出装置および二次電池状態検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置において、前記二次電池の開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)を測定または推定する測定手段と、前記測定手段によって測定または推定された前記開回路電圧を、前記開回路電圧と充電率との相関を示す相関式に適用することで充電率を求出する求出手段と、前記二次電池の内部抵抗に基づいて充電率を算出する算出手段と、前記求出手段によって求出した充電率と、前記算出手段によって算出した充電率の値が異なる場合には、前記求出手段の前記相関式を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池の充電率をその状態に拘わらず正確に検出することが可能になる。
【0009】
また、本発明は、前記二次電池を放電し、放電時の電圧および電流から前記二次電池の等価回路の素子値を学習する学習手段と、前記二次電池を充電し、充電時の電圧および電流から前記二次電池の抵抗値を計測する計測手段と、を有し、前記算出手段は、前記計測手段によって求めた内部抵抗から導電抵抗および液抵抗を減算して得た反応抵抗成分と、前記学習手段によって求めた反応抵抗の合算値との比に基づいて、前記充電率を算出する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、これらの抵抗値の比に基づいて、二次電池の状態に拘わらず充電率を正確に求めることができる。
【0010】
また、本発明は、前記算出手段は、前記計測手段によって求めた内部抵抗から導電抵抗および液抵抗を減算して得た反応抵抗成分と、前記学習手段によって求めた反応抵抗の合算値との比を含む所定の関数に対して、前記二次電池の温度に基づく補正を行うことで前記充電率を算出することを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池の温度が変化した場合であっても充電率を正確に求めることができる。
【0011】
また、本発明は、前記計測手段は、充電時の電圧から、前記開回路電圧、成層化電圧、および、分極電圧を減算して得られる過電圧値を電流値で除算して得られる値を、前記二次電池の抵抗値とすることを特徴とする。
このような構成によれば、成層化および分極の影響を考慮して、充電率を求めることができる。
【0012】
また、本発明は、前記補正手段は、前記二次電池が車両に搭載された後の初回処理である場合、充電電流が前回処理時よりも小さい場合、または、前回処理から所定以上の期間が経過している場合に、前記求出手段の前記相関式に対する補正処理を実行することを特徴とする。
このような構成によれば、適切なタイミングで補正処理を実行することで、二次電池の状態変化に対応して、正確な充電率を求めることができる。
【0013】
また、本発明は、二次電池の状態を検出する二次電池状態検出方法において、前記二次電池の開回路電圧を測定または推定する測定ステップと、前記測定ステップにおいて測定または推定された前記開回路電圧を、前記開回路電圧と充電率との相関を示す相関式に適用することで充電率を求出する求出ステップと、前記二次電池の内部抵抗に基づいて充電率を算出する算出ステップと、前記求出ステップにおいて求出した充電率と、前記算出ステップにおいて算出した充電率の値が異なる場合には、前記求出ステップの前記相関式を補正する補正ステップと、を有することを特徴とする。
このような方法によれば、二次電池の充電率をその状態に拘わらず正確に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二次電池の充電率をその状態に拘わらず正確に検出することが可能な二次電池検出装置および二次電池状態検出方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る二次電池状態検出装置の構成例を示す図である。
図2図1の制御部の詳細な構成例を示すブロック図である。
図3】二次電池の等価回路の一例を示す図である。
図4】式(3)によって得られたSOCと実測によって得られたSOCを比較する図である。
図5図1に示す実施形態において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
図6図5のステップS18の「条件C設定処理」の詳細な処理の一例を説明するフローチャートである。
図7図5のステップS20の「SOC算出処理」の詳細な処理の一例を説明するフローチャートである。
図8図5のステップS21の「SOC補正・算出処理」の詳細な処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る二次電池状態検出装置を有する車両の電源系統を示す図である。この図において、二次電池状態検出装置1は、制御部10、電圧センサ11、電流センサ12、温度センサ13、および、放電回路15を主要な構成要素としており、二次電池14の状態を検出する。ここで、制御部10は、電圧センサ11、電流センサ12、および、温度センサ13からの出力を参照し、二次電池14の状態を検出する。電圧センサ11は、二次電池14の端子電圧を検出し、制御部10に通知する。電流センサ12は、二次電池14に流れる電流を検出し、制御部10に通知する。温度センサ13は、二次電池14自体または周囲の環境温度を検出し、制御部10に通知する。放電回路15は、例えば、直列接続された半導体スイッチと抵抗素子等によって構成され、制御部10によって半導体スイッチがオン/オフ制御されることにより二次電池14を間欠的に放電させる。
【0018】
二次電池14は、例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、または、リチウムイオン電池等によって構成され、オルタネータ16によって充電され、スタータモータ18を駆動してエンジンを始動するとともに、負荷19に電力を供給する。オルタネータ16は、エンジン17によって駆動され、交流電力を発生して整流回路によって直流電力に変換し、二次電池14を充電する。
【0019】
エンジン17は、例えば、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジン等のレシプロエンジンまたはロータリーエンジン等によって構成され、スタータモータ18によって始動され、トランスミッションを介して駆動輪を駆動し車両に推進力を与えるとともに、オルタネータ16を駆動して電力を発生させる。スタータモータ18は、例えば、直流電動機によって構成され、二次電池14から供給される電力によって回転力を発生し、エンジン17を始動する。負荷19は、例えば、電動ステアリングモータ、デフォッガ、イグニッションコイル、カーオーディオ、および、カーナビゲーション等によって構成され、二次電池14からの電力によって動作する。
【0020】
図2は、図1に示す制御部10の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c、通信部10d、I/F(Interface)10eを有している。ここで、CPU10aは、ROM10bに格納されているプログラム10baに基づいて各部を制御する。ROM10bは、半導体メモリ等によって構成され、プログラム10ba等を格納している。RAM10cは、半導体メモリ等によって構成され、プログラムbaを実行する際に生成されるデータや、後述するテーブルまたは数式等のパラメータ10caを格納する。通信部10dは、上位の装置であるECU(Electronic Control Unit)等との間で通信を行い、検出した情報を上位装置に通知する。I/F10eは、電圧センサ11、電流センサ12、および、温度センサ13から供給される信号をデジタル信号に変換して取り込むとともに、放電回路15に駆動電流を供給してこれを制御する。
【0021】
(B)実施形態の動作の説明
つぎに、図を参照して、本発明の実施形態の動作について説明する。本発明の実施形態では、エンジン17を始動する際に操作されるイグニッションスイッチ(不図示)がオフの状態にされてエンジン17が停止され、一定時間が経過すると、制御部10は放電回路15を制御して、所定の周波数および所定の電流にて、二次電池14を放電させる。そして、放電時の電圧値および電流値を電圧センサ11および電流センサ12によって検出し、検出した電圧値および電流値と、放電前の電圧値および電流値に基づいて二次電池14の電気的な等価回路のパラメータに対する学習処理を実行する。
【0022】
図3は、二次電池14の電気的等価回路の一例を示す図である。この例では、等価回路は、導電抵抗および液抵抗であるRohmに対して、並列接続された反応抵抗Rct1および電気二重層容量C1と、並列接続された反応抵抗Rct2および電気二重層容量C2とが直列接続されている。制御部10のCPU10aは、このような等価回路のパラメータ(素子値)を、例えば、カルマンフィルタまたはサポートベクタマシン等のアルゴリズムを用いて学習処理する。CPU10aは、学習処理によって得られた等価回路のパラメータを、RAM10cにパラメータ10caとして格納する。
【0023】
なお、図3に示す等価回路は一例であって、並列接続される反応抵抗と電気二重層容量が1つずつ存在してもよいし、あるいは、反応抵抗と電気二重層容量が3つ以上存在してもよい。また、電気二重層容量を有しない抵抗だけの構成としてもよい。
【0024】
つぎに、イグニッションスイッチがオンの状態にされてエンジン17が始動され、車両が動作状態になると、制御部10のCPU10aは、電圧センサ11および電流センサ12によって二次電池14の電圧値V、電流値Iを所定の周期で測定し、測定したこれらの値をRAM10cにパラメータ10caとして格納する。
【0025】
また、CPU10aは、二次電池14の変動起因状態量を所定の周期で取得し、RAM10cにパラメータ10caとして格納する。ここで、変動起因状態量とは、二次電池14が基準状態から外れる(変動する)要因(起因)の状態量をいう。変動起因状態量の具体的な例としては、例えば、温度Tを例に挙げることができるが、これ以外にも、例えば、成層化St、分極Pl、劣化状態Dt、電池容量Cp、および、電池サイズSzを変動起因状態量として用いることができる。なお、成層化Stとは、二次電池14の電解液のイオン濃度によって形成される層の状態をいい、分極Plとは、例えば、充放電によって電極電位が静止電位からずれた状態をいい、劣化状態Dtとは、二次電池14の劣化状態(例えば、SOH(State of Health))をいい、電池容量Cpとは二次電池14のその時点において充放電可能な容量をいい、また、電池サイズSzは二次電池14の初期における充放電可能な容量をいう。なお、電池サイズSzは時間の経過に拘わらず一定の値であるが、それ以外は時間の経過に応じて変化する値である。以下の説明では、変動起因状態量として、温度T、成層化St、および、分極Plを例に挙げて説明しているが、劣化状態Dt、電池容量Cp、および、電池サイズSzを用いるようにしてもよい。
【0026】
イグニッションスイッチがオフの状態にされて、エンジン17が停止されると、CPU10aは、停止直前に測定された二次電池14の電圧値V、電流値I、および、停止直前に取得された変動起因状態量としての温度T、成層化St、および、分極PlをRAM10cから取得する。
【0027】
つぎに、CPU10aは、OCV−SOCの相関を示す相関式(以下、「OCV−SOC相関式」と称する)に対する補正処理を実行する条件を満たすか否かを判定する。具体的には、例えば、二次電池14を車両に搭載した後の初回の処理である場合には条件を満たすと判定する。また、今回のエンジン17の停止時に取得した電流値Iと、前回の停止時に取得した電流値Iとを比較し、今回取得した電流値Iの方が前回取得した電流値Iよりも小さい場合、あるいは、前回の補正処理から所定の期間(1ヶ月)が経過した場合には、条件を満たしていると判定する。条件を満たしていると判定した場合には、OCV−SOC相関式を補正する処理を実行する。
【0028】
OCV−SOC相関式の補正処理としては、まず、CPU10aは、エンジン17の停止直前まで平均化処理により算出した平均充電電圧、初期学習あるいは前回学習したOCV−SOC相関式からSOC(ここでは充放電積算で計算したSOC)を用いて算出した開回路電圧OCV、および、停止直前に取得した変動起因状態量としての成層化St、および、分極Plを以下の式(1)に適用してΔVを算出する。そして、ΔVと、停止直前まで平均化処理により算出した平均電流値Iと、を式(2)に適用して、内部抵抗Rを算出する。ここで、内部抵抗Rは、図3に示すRohm(液抵抗、導体抵抗)、Rct1(負極の反応抵抗)、および、Rct2(正極の反応抵抗)により構成されていると考えることができる。内部抵抗Rが求まると、CPU10aは、式(3)に基づいて、充電率SOCを計算する。式(3)において、温度による影響を考慮するため、例えば、温度を変数とするアンプリチュード係数f(T)、を乗算したり、オフセット値f’(T)を加算したりすることができる。これらのf(T)およびf’(T)に基づいて温度による補正を行うことができる。また、exp(R,Rohm,Rct1,Rct2)は、R,Rohm,Rct1,Rct2を変数とする指数関数であり、括弧内の減衰係数は、例えば、内部抵抗Rから導電抵抗および液抵抗であるRohmを減算した反応抵抗成分と、予め取得していたRct1とRct2の合算値との比によって表される内部抵抗比とすることができる。なお、Rohm、Rct1、Rct2、成層化St、および、分極Plは、温度の影響を受けてその値が変化するため、検出した温度Tによる補正を行うことが望ましい。さらに、式(3)は、一次の指数関数としているが、高次の指数関数、または、対数関数としてもよい。
【0029】
ΔV=充電電圧−開回路電圧−St−Pl ・・・(1)
【0030】
R=ΔV/I ・・・(2)
【0031】
SOC=f(T)×exp(R,Rohm,Rct1,Rct2)+f’(T) ・・・(3)
【0032】
図4は、4種類の二次電池♯1〜♯4について電流積算方式によって算出したSOCと、式(3)によって得られたSOCの対応関係を示す図である。この図において、横軸は電流積算方式にて算出したSOCを示し、縦軸は式(3)によって推定したSOCを示している。また、実線は二次電池♯1(停車時にアイドリングを停止するいわゆる「アイドリングストップ」機能付き車両用の二次電池(Q−85))の実測結果を、間隔が短い破線は二次電池♯2(通常の二次電池(55D23))の実測結果を、間隔が長い破線は二次電池♯3(通常の二次電池(38B19))の実測結果を、一点鎖線は二次電池♯4(アイドリングストップ機能付き車両用の二次電池(M−42))の実測結果を示している。実測方法としては、これらの二次電池♯1〜♯4を車両に搭載し、SOC=90%から充電を開始し、公道を走行してSOC=100%まで充電して測定した。図4にはSOC95〜100%の挙動を示す。この図では、横軸をxとし、縦軸をyとした場合に、直線y=x上に測定結果が位置すれば、式(3)によって得られたSOCと電流積算方式によるSOCは誤差の無い理想的な関係となる。これら4種類の測定結果は、y=xの直線付近に配置されることから、式(3)により電流積算方式と同等のSOCを推定可能なことが分かる。
【0033】
つぎに、CPU10aは、二次電池14の開回路電圧OCVを求める。具体的には、エンジン17を停止してから一定時間以上が経過した際に二次電池14の電圧を測定するか、または、エンジン17を停止した後の二次電池14の電圧変化から、一定時間以上が経過した後の電圧を推定し、これをOCVとする。
【0034】
つづいて、CPU10aは、OCV−SOC相関式に対してOCVを適用してSOCを求め、この求めたSOCと前述した式(1)〜(3)で求めたSOCを比較し、これらが一致する場合にはOCV−SOC相関式は正しいと判定し、それ以外の場合には、OCV−SOC相関式を補正する。なお、補正の方法としては、例えば、OCV−SOC相関式は一次関数(例えば、SOC=a・OCV+b)によって表されるが、この一次関数の切片であるbの値を補正することで、OCV−SOC相関式にOCVを適用して得たSOCと、式(1)〜(3)によって得たSOCが一致するようにする。なお、a,bは、温度依存性があるため、これらa,bは温度によって補正することが望ましい。
【0035】
以上のようにして、OCV−SOC相関式が補正されると、それ以降は、補正後のOCV−SOC相関式に基づいて、OCVからSOCを正確に求めることができる。
【0036】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、式(1)および式(2)によって求めた内部抵抗Rと、学習処理によって求めた図3に示す等価回路を構成する抵抗素子とから求めた内部抵抗比に基づいて式(3)により充電率SOCを求め、この充電率SOCに基づいて、OCV−SOC相関式を補正するようにしたので、例えば、二次電池14の状態によらず、充電率SOCを正確に求めることが可能になる。
【0037】
(C)実施形態の詳細な動作の説明
【0038】
つぎに、図5図8を参照して、本発明の実施形態において実行される詳細な処理の一例について説明する。図5は、本発明の実施形態において実行されるメイン処理の一例を示す図である。この図5に示すフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0039】
ステップS10では、CPU10aは、イグニッションスイッチ(不図示)がオフの状態にされたか否かを判定し、オフの状態にされたと判定した場合(ステップS10:Yes)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10:No)にはステップS13に進む。例えば、運転者によって、イグニッションスイッチがオフの状態にされた場合にはYesと判定してステップS11に進む。
【0040】
ステップS11では、CPU10aは、図3に示す、二次電池14の等価回路を構成する各パラメータ(素子値)について学習処理を実行する。具体的には、CPU10aは、放電回路15を制御して、二次電池14を所定の周波数および所定の電流で放電させる。そして、その時の電圧値および電流値を電圧センサ11および電流センサ12から取得し、放電前の電圧値および電流値に基づいて二次電池14の電気的な等価回路のパラメータに対する学習処理を実行する。なお、学習処理としては、例えば、カルマンフィルタまたはサポートベクタマシン等のアルゴリズムを用いることができる。
【0041】
ステップS12では、CPU10aは、ステップS11の学習処理によって得られた等価回路のパラメータを、RAM10cにパラメータ10caとして格納する。
【0042】
ステップS13では、CPU10aは、イグニッションスイッチ(不図示)がオンの状態にされたか否かを判定し、オンの状態にされたと判定した場合(ステップS13:Yes)にはステップS14に進み、それ以外の場合(ステップS13:No)には処理を終了する。例えば、運転者によって、イグニッションスイッチがオンの状態にされた場合にはYesと判定してステップS14に進む。
【0043】
ステップS14では、CPU10aは、電圧センサ11および電流センサ12から、その時点における二次電池14の電圧値および電流値を取得する。
【0044】
ステップS15では、CPU10aは、変動起因状態量を取得する。より詳細には、CPU10aは、温度T、成層化St、分極Pl、劣化状態Dt、電池容量Cp、および、電池サイズSzを変動起因状態量として取得する。ここで、温度Tは、温度センサ13から取得する。また、電池サイズSzは、固定値であるので、予め格納されている値を、例えば、RAM10cから取得する。成層化St、分極Pl、劣化状態Dt、および、電池容量Cpは、例えば、二次電池14に流れる電流の積算値や、充放電の際の内部抵抗を参照して求めることができる。なお、二次電池14の劣化状態Dtについては、導電抵抗・液抵抗、反応抵抗、および、電気二重層容量の経時変化に基づいて求めることができる。また、劣化状態Dt、電池容量Cp、および、電池サイズSzについては、式(1)〜(3)では使用していないが、これらを式(1)〜(3)に含むようにしてもよい。
【0045】
ステップS16では、CPU10aは、ステップS14で取得した電圧値および電流値と、ステップS15で取得した変動起因状態量とを、RAM10cにパラメータ10caとして記憶する。
【0046】
ステップS17では、CPU10aは、イグニッションスイッチ(不図示)がオフの状態にされたか否かを判定し、オフの状態にされたと判定した場合(ステップS17:Yes)にはステップS18に進み、それ以外の場合(ステップS17:No)にはステップS14に戻って同様の処理を繰り返す。例えば、運転者がイグニッションスイッチをオフの状態にしたと判定した場合にはYesと判定してステップS18に進む。
【0047】
ステップS18では、CPU10aは、SOCの補正処理を実行するか否かを判定するための条件Cを設定する(求める)処理を実行する。条件Cは、補正処理が必要な場合にはC=1に設定され、それ以外の場合にはC=0に設定される。なお、条件C設定処理の詳細については、図6を参照して後述する。
【0048】
ステップS19では、CPU10aは、ステップS18において求めた条件C=1であるか否かを判定し、C=1である場合(ステップS19:Yes)にはステップS21に進み、それ以外の場合(ステップS19:No)にはステップS20に進む。例えば、C=1である場合にはYesと判定してステップS21に進む。
【0049】
ステップS20では、CPU10aは、OCV−SOC相関式に基づいてOCVからSOCを算出する処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図7を参照して後述する。
【0050】
ステップS21では、CPU10aは、OCV−SOC相関式を補正するとともに、SOCを算出する処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図8を参照して後述する。
【0051】
つぎに、図6を参照して、図5のステップS18に示す「条件C設定処理」の詳細について説明する。図5に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0052】
ステップS30では、CPU10aは、変数Cに初期値として“0”を代入する。
【0053】
ステップS31では、CPU10aは、初回の処理か否かを判定し、初回の処理である場合(ステップS31:Yes)にはステップS32に進み、それ以外の場合(ステップS31:No)にはステップS33に進む。より詳細には、CPU10aは、二次電池14が車両に搭載され、補正処理がまだ実行されていない場合には、Yesと判定してステップS32に進む。
【0054】
ステップS32では、CPU10aは、変数Cに値“1”を代入する。これにより、図5のステップS19ではYesと判定される。
【0055】
ステップS33では、CPU10aは、平均電流値が正、かつ、前回よりも小さいか否かを判定し、小さい場合(ステップS33:Yes)にはステップS34に進み、それ以外の場合(ステップS33:No)にはステップS35に進む。より詳細には、CPU10aは、ステップS14の処理により、エンジン17の停止直前に測定した平均電流値が、前回の測定値よりも小さい場合にはYesと判定してステップS34に進む。ここで、平均電流値が小さいことは、SOCが大きいことを示し、SOCが大きい方が、OCV−SOC相関式をより正確に補正することができる。このため、前回よりも平均電流値が小さい場合に、OCV−SOC相関式を補正することで、OCV−SOC相関式をより正確なものにすることができる。
【0056】
ステップS34では、CPU10aは、変数Cに値“1”を代入する。
【0057】
ステップS35では、CPU10aは、前回、補正処理が実行されてから、所定の期間以上が経過しているか否かを判定し、所定期間以上が経過していると判定した場合(ステップS35:Yes)にはステップS36に進み、それ以外の場合(ステップS35:No)には図5の処理に復帰(リターン)する。例えば、前回、補正処理が実行されてから、1ヶ月以上が経過している場合にはYesと判定してステップS36に進む。すなわち、平均電流値が前回値よりも大きい状態が続く場合には、OCV−SOC相関式の補正が実行されなくなるので、例えば、補正処理を実行してから所定の期間(例えば、1ヶ月)が経過した場合には、補正処理を実行することで、OCV−SOC相関式を経時変化に応じて補正することができる。
【0058】
ステップS36では、CPU10aは、変数Cに値“1”を代入する。そして、図5の処理に復帰(リターン)する。
【0059】
以上の処理によれば、補正処理を実行する条件を満たしている場合には条件C=1とし、それ以外の場合には条件C=0とすることができる。
【0060】
つぎに、図7を参照して、図5のステップS20に示すSOC算出処理の詳細について説明する。図7に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0061】
ステップS50では、CPU10aは、積算SOCを算出する。より詳細には、ある時点におけるSOCを基準として、二次電池14に入出力される電流を積算することで積算SOCを得る。
【0062】
ステップS51では、CPU10aは、開回路電圧OCVを取得する。なお、開回路電圧OCVを求める方法としては、例えば、車両が停止してから所定の時間(例えば、数時間)が経過した場合であって、負荷19に流れる平均電流が所定の閾値よりも小さい場合に二次電池14の電圧を測定することで開回路電圧OCVを得ることができる。あるいは、二次電池14の電圧の経時変化から、安定電圧である開回路電圧を推定するようにしてもよい。
【0063】
ステップS52では、CPU10aは、図5のステップS21で必要に応じて補正処理が施されたOCV−SOC相関式に、ステップS51で求めた開回路電圧OCVを適用し、充電率SOCを求める。
【0064】
以上の処理によれば、積算SOCを求めるとともに、図5のステップS21で必要に応じて補正処理が施されたOCV−SOC相関式を用いてSOCを算出することが可能になり、両者を補完的に用いることにより、精度の高いSOCを得ることができる。
【0065】
つぎに、図8を参照して、図5のステップS21に示すSOC補正・算出処理の詳細について説明する。図8に示す処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0066】
ステップS70では、CPU10aは、図5のステップS12で記憶した等価回路のパラメータをRAM10cから取得する。
【0067】
ステップS71では、CPU10aは、図5のステップS15で記憶した変動起因状態量のうち、エンジン17の停止前(例えば、停止直前)に記憶したものをRAM10cから取得する。なお、エンジン17の停止前に記憶した変動起因状態量を取得するのは、最新の変動起因状態量を使用するためである。もちろん、経時的な変化が少ない変動起因状態量については、停止直前ではなく、それよりも前の情報を使用するようにしてもよい。
【0068】
ステップS72では、CPU10aは、図5のステップS14で記憶した電圧値および電流値のうち、エンジン17の停止前(例えば、停止直前)に記憶したものをRAM10cから取得する。なお、エンジン17の停止前に記憶した電圧値および電流値を取得するのは、最新の電圧値および電流値を使用するためである。
【0069】
ステップS73では、CPU10aは、取得した等価回路パラメータ、変動起因状態量、および、電圧値・電流値を、前述した式(1)〜(3)に適用することで、その時点における二次電池14のSOCの値を算出する。なお、式(1)〜(3)は、一例であって、これ以外の式を用いるようにしてもよい。あるいは、式の代わりに、例えば、テーブルを用いるようにしてもよい。
【0070】
ステップS74では、CPU10aは、開回路電圧OCVを取得する。なお、開回路電圧OCVを求める方法としては、例えば、前述の場合と同様に、車両が停止してから所定の時間(例えば、数時間)が経過した場合であって、負荷19に流れる電流が所定の閾値よりも小さい場合に二次電池14の電圧を測定することで開回路電圧OCVを得ることができる。あるいは、二次電池14の電圧の経時変化から、安定電圧である開回路電圧を推定するようにしてもよい。
【0071】
ステップS75では、CPU10aは、OCV−SOC相関式を補正する処理を実行する。より詳細には、CPU10aは、OCV−SOC相関式に対して、ステップS74で取得したOCVを適用してSOCを求め、この求めたSOCと前述した式(1)〜(3)で求めたSOCを比較し、これらの値が一致する場合にはOCV−SOC相関式は正しいために補正を必要ないと判定し、それ以外の場合には、OCV−SOC相関式を補正する。なお、補正の方法としては、例えば、OCV−SOC相関式は一次関数(例えば、SOC=a・OCV+b)によって表されるが、この一次関数の切片であるbの値を補正することで、OCV−SOC相関式にOCVを適用して得たSOCと、式(1)〜(3)によって得たSOCが一致するようにする。なお、傾きaについても合わせて補正するようにしてもよい。その場合には、複数のSOCに基づいて計算を行うことで、a,bの双方を補正することができる。
【0072】
ステップS76では、CPU10aは、OCV−SOC相関式に対して、ステップS74で求めた開回路電圧OCVを適用することで、充電率であるSOCを求める。そして、図5の処理に復帰(リターン)する。
【0073】
以上の処理によれば、等価回路パラメータと、停止前の変動起因状態量と、停止前の電圧値・電流値を、式(1)〜(3)に適用して充電率SOCを求め、式(1)〜(3)から求めたSOCと、OCV−SOC相関式から求めたSOCとを比較することにより、これらが一致しない場合にはOCV−SOC相関式を補正することができる。
【0074】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、前述した式(1)〜(3)に基づいてSOCを算出し、算出したSOCに基づいてOCV−SOC相関式を補正するようにしたので、二次電池14が満充電の状態でない場合でもSOCを正確に求めることができる。このように、満充電状態まで待たないことにより、不要な充電を減らし、燃費を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、内部抵抗比および変動起因状態量に基づいてSOCを求め、このSOCに基づいてOCV−SOC相関式を補正するようにしたので、二次電池14の状態または使用関係によらず、SOCを精度良く求めることができる。また、二次電池14の劣化状態や、二次電池14の種類によって異なる因子を、変動起因状態量として取得し、この取得した変動起因状態量に基づいてSOCを求めることで、二次電池14が交換された場合(同じ種類の二次電池14に交換された場合および異なる種類の二次電池14に交換された場合)であっても、SOCを精度良く求めることができる。
【0076】
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、式(3)では、f(T)およびf’(T)を用いて補正を行うようにしたが、これらの一方のみを用いるようにしたり、あるいは、これらの双方を用いないようにしたりしてもよい。
【0077】
また、以上の実施形態では、補正処理において、式(3)で求めたSOCとOCV−SOC相関式によって求めたSOCが同じでない場合には補正を行うようにしたが、例えば、これらの差分値が所定の閾値未満である場合に補正を実行するようにしてもよい。
【0078】
また、以上の実施形態では、変動起因状態量として、温度、成層化、分極、劣化状態、電池容量、および、電池サイズを用いるようにしたが、これらの全てを用いるのではなく、これらの一部を用いるようにしてもよい。また、温度、成層化、分極の順に影響が大きいことが実験によって判明しているので、これらを優先して用いるようにしたり、あるいは、影響の大小に応じた係数を用いたりするようにしてもよい。
【0079】
また、以上の実施形態では、前述した式(1)〜(3)は一例であって、これ以外の式を用いるようにしてもよい。あるいは、数式の代わりに、テーブルを用いるようにしてもよい。
【0080】
また、以上の実施形態では、変動起因状態量、電圧値、および、電流値としては、エンジン17の停止直前の値を用いるようにしたが、直前の値ではなく、数分から数十分前の値を用いるようにしてもよい。また、運転時間に応じて、取得するタイミングを変更するようにしてもよい。例えば、長時間運転する場合、例えば、温度に関してはある程度運転すると安定するので、安定した後の値を取得するようにすることができ、また、短時間運転の場合には安定する前に停止されるので、停止直前の値を取得することが望ましい。また、変動起因状態量の種類によって、取得するタイミングを設定するようにしてもよい。例えば、変化が激しい電圧値および電流値については停止直前に値を取得し、劣化状態については緩やかに変化するので、定期的(例えば、1週間毎)に取得することができる。なお、1回の計測によって得られた値を使用するのではなく、複数回の測定によって得られた値の平均値を求めるようにしてもよい。
【0081】
また、以上の実施形態では、二次電池14の等価回路としては、図3に示す等価回路を用いるようにしたが、これ以外の等価回路を用いるようにしてもよい。例えば、並列接続される反応抵抗と電気二重層容量の数が1つまたは3つ以上であってもよい。また、電気二重容量を有しない抵抗だけの等価回路を用いるようにしてもよい。
【0082】
また、以上の実施形態では、OCV−SOC相関式として、前述した一次式を使用するようにしたが、一次式以外の数式を用いたり、数式の代わりにテーブルを用いたりしてもよい。
【0083】
また、図6のステップS33に示すように、前回と今回の電流値を比較して判定するのではなく、例えば、今回の電流値が所定の閾値よりも小さい場合に、C=1に設定するようにしてもよい。なお、閾値としては、例えば、10Aを用いることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 二次電池状態検出装置
10 制御部(求出手段、算出手段、補正手段、学習手段、計測手段)
10a CPU
10b ROM
10c RAM
10d 通信部
10e I/F
11 電圧センサ(測定手段)
12 電流センサ
13 温度センサ
14 二次電池
15 放電回路
16 オルタネータ
17 エンジン
18 スタータモータ
19 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8