(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1から3のようにバスバーを孔に挿入して固定する構成の接続具は、絶縁部に孔を形成する必要があるため、絶縁部の構成が複雑になる。従って、絶縁部を成型するための金型が複雑になり、絶縁部に掛かるコストが増大する。また、バスバーを孔に挿入して固定する構成の接続具は、絶縁部の孔に寸法精度が要求されるため、この点においてもコストが増大する。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、シンプルな構成でバスバーと絶縁部を接続可能なケーブル接続構造を提供することにある。
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のケーブル接続構造が提供される。即ち、このケーブル接続構造は、複数本のバスバーと、フラットケーブルと、絶縁部と、を備える。前記フラットケーブルは、前記バスバーと交差するように接続される。前記絶縁部には、前記バスバーを個別に配置するための溝であるバスバー取付溝が形成されるとともに、前記バスバーを覆うことで前記バスバーを固定するバスバー固定部が形成される。前記バスバーには、前記バスバー取付溝の深さ方向の一側であって前記フラットケーブルが取り付けられる側に突出する突出部が少なくとも1つ形成されている。前記フラットケーブルには、当該フラットケーブルの被覆部から導体部を個別に露出させる窓部が、前記バスバーの前記突出部と対応する位置に形成されており、当該窓部により露出した前記導体部が前記バスバーの前記突出部に接続される。
前記バスバーの長手方向の少なくとも一端部には、当該バスバーの配列方向で見たときに屈曲している屈曲部が形成されている。前記絶縁部には、前記バスバー取付溝の長手方向の端部近傍に、前記屈曲部が入り込む凹部であるバスバー規制部が形成されており、当該凹部に入り込んだ前記屈曲部に接触することで前記バスバー規制部が前記バスバーの移動を規制する。
【0011】
これにより、絶縁部に孔ではなく溝が形成されているため、絶縁部の形状をシンプルにすることができる。従って、絶縁部を成型するための金型もシンプルにできるので、絶縁部に掛かるコストを低減できる。また、孔ではなく溝でバスバーを取り付けた場合、バスバーの位置が定まりにくくなるため、バスバーとフラットケーブルの接続品質が低下するおそれがある。この点、上記のようにバスバーに突出部を形成することで、バスバーとフラットケーブルとを確実に接触させることができるので、接続品質の低下を防止できる。
また、バスバー規制部によりバスバーの移動を規制することができるので、バスバーの突出部の位置ズレを防止できる。従って、バスバーとフラットケーブルとを確実に接続することができる。
【0012】
前記のケーブル接続構造においては、前記絶縁部において、前記バスバーの前記突出部に対応する位置であって、前記突出部の突出方向の反対側に位置する部分には、バスバーを露出させるバスバー露出孔が形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、フラットケーブルとの接続箇所において、絶縁部からバスバーを露出させることができる。従って、フラットケーブルとバスバーとを抵抗溶接で接続することができる。
【0014】
前記のケーブル接続構造においては、前記バスバー固定部は、前記絶縁部の一部が潰れるように変形した部分であり、当該潰れた部分で前記バスバーの一部を覆うことが好ましい。
【0015】
これにより、絶縁部を潰してバスバーを固定することで、バスバーを固定するための別部材が不要になる。従って、部品点数を抑えることができる。
【0018】
前記のケーブル接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記バスバー取付溝は、前記バスバーを介して前記フラットケーブルに接続される被覆電線を取り付けるための被覆電線取付溝を兼ねている。前記被覆電線が取り付けられる部分と、前記フラットケーブルが取り付けられる部分との間に、前記バスバー固定部が配置されている。
【0019】
これにより、バスバーとフラットケーブルの接続、及び、バスバーと被覆電線の接続の両方を邪魔しない位置でバスバーを固定することができる。
【0020】
前記のケーブル接続構造においては、前記被覆電線取付溝には、芯線収容部と被覆収容部とが形成されていることが好ましい。
【0021】
これにより、芯線収容部と被覆収容部とを分けることで、被覆電線の取付位置を明確にすることができる。
【0022】
前記のケーブル接続構造においては、前記芯線収容部には、芯線を個別に配置するための複数の壁部が形成されており、当該壁部の間には、前記芯線を露出させる芯線露出孔が形成されていることが好ましい。
【0023】
これにより、絶縁部の一面及び他面について、芯線とバスバーを露出させることができる。従って、芯線とバスバーとを抵抗溶接で接続することができる。
【0024】
前記のケーブル接続構造においては、前記被覆収容部には、前記被覆電線を嵌め込むことで固定可能な被覆固定部が形成されていることが好ましい。
【0025】
これにより、被覆電線を容易に固定することができる。
【0026】
前記のケーブル接続構造においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記バスバーには、当該バスバーの長手方向に並べて
一定の間隔で複数の前記突出部が形成されている。前記絶縁部には、複数の前記突出部に対応する位置にバスバー嵌合部が形成されて
いる。前記突出部は、前記フラットケーブルの前記導体部に接続可能であるとともに、前記バスバー嵌合部に嵌合可能であり、1つの前記バスバーに形成された複数の前記突出部には、前記導体部に接続されるものと、複数の前記バスバー嵌合部にそれぞれ嵌合するものとが含まれている。
【0027】
これにより、バスバーによってフラットケーブルとの溶接位置が異なる場合であっても、同じ種類のバスバーを用いることができる。また、バスバーと絶縁部が複数箇所で嵌まるため、バスバーの位置ズレをより好適に防止できる。
【0028】
本発明の第2の観点によれば、少なくともバスバー及びフラットケーブルを絶縁部に取り付ける工程を含み、以下の工程を更に含む、ケーブル接続構造の製造方法が提供される。即ち、このケーブル接続構造の製造方法は、バスバー配置工程と、バスバー固定工程と、フラットケーブル接続工程と、を含む。前記バスバー配置工程では、前記バスバーを個別に配置するための溝であるバスバー取付溝に、前記バスバーを配置する。前記バスバー固定工程では、前記絶縁部と一体的に形成されたバスバー固定部を溶かすことで前記バスバー取付溝に配置された前記バスバーを固定する。前記フラットケーブル接続工程では、前記バスバーと交差するように前記フラットケーブルを接続する。前記バスバーには、前記バスバー取付溝の深さ方向の一側であって前記フラットケーブルが取り付けられる側に突出する突出部が形成されている。前記フラットケーブルには、当該フラットケーブルの被覆部から導体部を露出させる窓部が、前記バスバーの前記突出部と対応する位置に形成されている。前記フラットケーブル接続工程では、前記突出部と、前記窓部により露出した前記導体部と、が接続される。
前記バスバーの長手方向の少なくとも一端部には、当該バスバーの配列方向で見たときに屈曲している屈曲部が形成されている。前記絶縁部には、前記バスバー取付溝の長手方向の端部近傍に、前記屈曲部が入り込む凹部であるバスバー規制部が形成されている。前記バスバー配置工程では、前記凹部に入り込んだ前記屈曲部に接触することで前記バスバー規制部が前記バスバーの移動を規制する。
【0029】
これにより、絶縁部に孔ではなく溝が形成されているため、絶縁部の形状をシンプルにすることができる。従って、絶縁部を成型する金型もシンプルにできるので、絶縁部に掛かるコストを低減できる。また、孔ではなく溝でバスバーを取り付けた場合、バスバーの位置が定まりにくくなるため、バスバーとフラットケーブルの接続品質が低下するおそれがある。この点、上記のようにバスバーに突出部を形成することで、バスバーとフラットケーブルとを確実に接触させることができるので、接続品質の低下を防止できる。
また、バスバー規制部によりバスバーの移動を規制することができるので、バスバーの突出部の位置ズレを防止できる。従って、バスバーとフラットケーブルとを確実に接続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照して発明の実施の形態を説明する。初めに、
図1及び
図2を参照して、回転コネクタ装置1について説明する。
図1及び
図2に示す回転コネクタ装置1は、ステータ11とロテータ12から構成される。
【0032】
ステータ11は、車体側の適宜の部材、例えばコンビネーションスイッチに固定されている。ステータ11は図略のステアリングホイールに対して相対回転可能に取り付けられている。また、ステータ11には、外側筒部31が形成されている。
【0033】
ロテータ12には内側筒部32が形成されており、この内側筒部32に、ステアリングホイールが挿入される。ロテータ12は、挿入されたステアリングホイールと一体的に回転するように、かつ、ステータ11と相対回転するように構成されている。
【0034】
ステータ11及びロテータ12には、固定ピン18を取り付けるための凹部がそれぞれ形成されている。ステータ11及びロテータ12の凹部に固定ピン18を取り付けることで、ステータ11に対してロテータ12が回転しないようにロックすることができる。固定ピン18は、回転コネクタ装置1を車体に取り付ける際に、ロテータ12の位置が中立位置からズレないように一時的に取り付けられる。回転コネクタ装置1を適切に車体に取り付けた後は、当該固定ピン18を中途部で折り取ることにより、ステータ11に対してロテータ12を回転させることが可能となる。
【0035】
ステータ11には第1コネクタ35が取り付けられ、ロテータ12には第2コネクタ36が取り付けられる。第2コネクタ36は、ロテータ12の回転に伴って一体的に回転する。第1コネクタ35及び第2コネクタ36は、外部の電気回路(例えば、ホーンスイッチ、エアバッグモジュール、電源、ECU等)から引き出された図略のケーブルをそれぞれ接続可能に構成されている。
【0036】
ステータ11とロテータ12の間には、環状の空間であるケーブル収容空間が形成されている。ケーブル収容空間は、具体的には、内側筒部32の外壁部及び外側筒部31の内壁部で囲まれた空間である。このケーブル収容空間の内部には、リテーナ25と、2本のフレキシブルフラットケーブル(フラットケーブル)14,15と、が収容されている。リテーナ25は、ベースリング26と、複数の回転ローラ27とを備えている。
【0037】
ベースリング26は環状に形成された板状の部材である。このベースリング26は、ロテータ12の回転軸を中心にして回転可能に構成されている。回転ローラ27はベースリング26の一面側に周方向に等間隔で並べて配置されている。
【0038】
フレキシブルフラットケーブル14,15は、このベースリング26の上に巻かれるようにして、ケーブル収容空間に収容されている。2本のフレキシブルフラットケーブル14,15の第1端部14a,15aは、第1コネクタ35に接続されている。
【0039】
第1コネクタ35からケーブル収容空間へ引き出されたフレキシブルフラットケーブル14,15は、その一部がリテーナ25の外側でステータ11の外側筒部31の内周面に沿うように巻かれる。そして、フレキシブルフラットケーブル14,15は途中で、複数の前記回転ローラ27のうち1つに巻き掛かるようにして向きを反転する(反転部16、反転部17)。その後は、フレキシブルフラットケーブル14,15はリテーナ25の内側でロテータ12の内側筒部32の外周面に沿うように巻かれ、最終的にはケーブル収容空間から引き出されている。ケーブル収容空間から引き出された2本のフレキシブルフラットケーブル14,15の第2端部14b,15bは、第2コネクタ36に接続される。
【0040】
このように、前記ケーブル収容空間の内部において、フレキシブルフラットケーブル14,15は適宜の長さの弛みを有するように巻かれており、この弛みの長さは、ロテータ12がステータ11に対して回転することにより変化する。この弛み長さの変化に追従するようにリテーナ25が適宜回転することにより、フレキシブルフラットケーブル14,15をケーブル収容空間内で常に整列させた状態で保持することができる。
【0041】
これにより、ステアリングホイール側(回転側)のエアバッグモジュール等と、車体側(固定側)の電源等とを、フレキシブルフラットケーブル14,15を介して電気的に接続することができる。
【0042】
次に、
図3から
図6を参照して、第1コネクタ35又は第2コネクタ36の内部に配置されるケーブル接続構造100について説明する。
図3及び
図4に示すように、ケーブル接続構造100は、絶縁部40と、バスバー60と、被覆電線70と、フレキシブルフラットケーブル14と、を備える。なお、フレキシブルフラットケーブル14の代わりにフレキシブルフラットケーブル15に本実施形態の構成を適用しても良い。
【0043】
バスバー60は、金属等の導電性を有する材料で構成された細長状の部材である。ケーブル接続構造100は、複数本(本実施形態では6本)のバスバー60を備えている。本実施形態では、6本のバスバー60のうち、4本が被覆電線70に接続され、残りの2本が図略の端子に接続される。
図4に示すようにバスバー60には、被覆電線接続部61と、三角状突出部62と、屈曲部63と、が形成されている。
【0044】
被覆電線接続部61は、バスバー60の長手方向の略中央よりも一側(被覆電線70側)の部分である。被覆電線接続部61は、凹凸が無く平らに形成されている。バスバー60は、被覆電線接続部61によって被覆電線70と電気的かつ機械的に接続される。
【0045】
三角状突出部62は、それぞれのバスバー60に1つずつ形成されている。三角状突出部62は、三角形の頂点の2つがバスバー60上に位置するように、かつ残りの1つの頂点がバスバー60の上側(バスバー60の長手方向に垂直な方向の一側、バスバー60の配列方向に垂直な方向の一側、バスバー取付溝41の深さ方向の一側)に位置するように形成されている。バスバー60は、三角状突出部62によってフレキシブルフラットケーブル14と電気的かつ機械的に接続される。
【0046】
屈曲部63は、バスバー60の長手方向の他側(被覆電線70の反対側)の端部に形成されている。屈曲部63は、バスバー60の長手方向と垂直に(詳細にはフレキシブルフラットケーブル14の反対側に)折り曲げられた部分である。
【0047】
絶縁部40は、樹脂製であり、金型を用いて一体的に成型されている。
図4に示すように絶縁部40には、バスバー取付溝41と、バスバー露出孔42と、が形成されている。なお、
図5は、バスバー60の配列方向で見た端面図である。
【0048】
バスバー取付溝41は、複数のバスバー60を取り付けるための溝である。本実施形態では6本のバスバー60が配置されるため、バスバー取付溝41も6箇所に形成されている。バスバー取付溝41は、上方(バスバー60の長手方向に垂直な方向、バスバー60の配列方向に垂直な方向)が開放されている。従来では、絶縁部に形成された貫通孔にバスバーを挿入する(即ちバスバーを長手方向に沿って移動させる)ことで当該バスバーが取り付けられる。この点、本実施形態では、
図4に示すようにバスバー60を長手方向に垂直に(バスバー取付溝41の深さ方向に平行に)移動させることで、当該バスバー60を絶縁部40(詳細にはバスバー取付溝41)に入れる。
【0049】
この構成により、バスバー60を配置する作業が簡単になる。また、絶縁部40の形状をシンプルにできるので、金型をシンプルにしてコストを抑えることができる。
【0050】
図5及び
図6に示すように、バスバー取付溝41には、バスバー露出孔42と、バスバー規制部43と、が形成されている。具体的には、バスバー取付溝41には、それぞれ1つのバスバー露出孔42が形成されており、当該バスバー取付溝41の端部にはバスバー規制部43が形成されている。
【0051】
バスバー露出孔42は、貫通状の丸孔である。バスバー露出孔42の直径は、バスバー取付溝41の幅よりも大きい。バスバー露出孔42がバスバー60を露出させることで、抵抗溶接(詳細は後述)で、フレキシブルフラットケーブル14とバスバー60を溶接することができる。なお、
図3に示すようにバスバー60とフレキシブルフラットケーブル14は交差するように配置された状態で溶接される。従って、バスバー露出孔42が形成される位置は、バスバー取付溝41毎に異なる。具体的には、バスバー露出孔42は、三角状突出部62(及び後述の窓部83)が形成された位置と対応する位置にそれぞれ形成される。
【0052】
バスバー規制部43は、バスバー取付溝41の端部近傍に形成された凹部である。バスバー規制部43は、バスバー60の屈曲部63が入り込むように構成されている。バスバー規制部43は、屈曲部63に接触することで、バスバー60が長手方向に沿って移動しないように規制する。また、バスバー規制部43は、バスバー60の位置決めを行う機能も有している。
【0053】
また、
図4に示すように絶縁部40の中央近傍には、バスバー固定部45が形成されている。バスバー固定部45は、絶縁部40の表面から垂直に突出した部分であり、バスバー取付溝41の脇に形成されている。作業者は、バスバー60をバスバー取付溝41に取り付けた後に、高温の加工具をバスバー固定部45へ接触させて、更に下側へ押し付ける。これにより、バスバー固定部45の高さが低くなるように(潰すように)当該バスバー固定部45を変形させることができる。その結果、バスバー取付溝41の開放部分及びバスバー60をバスバー固定部45が覆うため、バスバー60を絶縁部40に固定することができる。
【0054】
バスバー取付溝41は、被覆電線70を取り付けるための被覆電線取付溝41aを兼ねている(含んでいる)。被覆電線取付溝41aには、被覆電線70の被覆71を収容するための被覆収容部51と、被覆電線70の芯線72を収容するための芯線収容部55と、が形成されている。
【0055】
被覆収容部51の壁部52には、被覆固定部53が形成されている。被覆固定部53は、壁部52から内側に(対向する芯線露出孔57に近づくように)突出する凹凸形状を有している。被覆71は樹脂製であるため、作業者が被覆71を被覆固定部53に押し付けることで、被覆71を絶縁部40に固定することができる。
【0056】
芯線収容部55の壁部56の間には、芯線露出孔57が形成されている。芯線露出孔57は、上下方向(バスバー60の挿入方向)に貫通するように形成されている。これにより、バスバー60及び被覆電線70を絶縁部40にセットした後に、バスバー60と芯線72を抵抗溶接で溶接することができる。
【0057】
絶縁部40にバスバー60と被覆電線70を取り付けて溶接を行った後に、作業者は、フレキシブルフラットケーブル14を絶縁部40の上にセットする。ここで、フレキシブルフラットケーブル14は、被覆部81と、並べて配置される導体部82と、を備えている。被覆部81の表面には、導体部82を露出させるための窓部83が形成されている。なお、窓部83とバスバー露出孔42とは、位置が対応するように形成されている。
【0058】
作業者は、フレキシブルフラットケーブル14をセットした後に、フレキシブルフラットケーブル14の窓部83側と、絶縁部40のバスバー露出孔42側と、を抵抗溶接用の工具で挟み込むことで、バスバー60とフレキシブルフラットケーブル14とを電気的かつ機械的に接続することができる。このように、本実施形態では、バスバー60の取付け、被覆電線70の接続、フレキシブルフラットケーブル14の接続を一連の流れで行うことができる。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態のケーブル接続構造100は、複数本のバスバー60と、フレキシブルフラットケーブル14と、絶縁部40と、を備える。フレキシブルフラットケーブル14は、バスバー60に接続される。絶縁部40には、バスバー60を個別に配置するための溝であるバスバー取付溝41が形成されるとともに、バスバー60を覆うことでバスバー60を固定するバスバー固定部45が形成される。バスバー60には、バスバー取付溝41の深さ方向の一側であってフレキシブルフラットケーブル14が取り付けられる側に突出する三角状突出部62が形成されている。フレキシブルフラットケーブル14は、バスバー60の三角状突出部62に接続される。
【0060】
これにより、絶縁部40の形状をシンプルにすることができるため、絶縁部40の金型をシンプルにできるので、絶縁部40に掛かるコストを低減できる。また、バスバー60に三角状突出部62を形成することで、バスバー60とフレキシブルフラットケーブル14とを確実に接触させることができるので、接続品質を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、絶縁部40において、バスバー60の三角状突出部62に対応する位置であって、三角状突出部62の突出方向の反対側に位置する部分には、バスバー60を露出させるバスバー露出孔42が形成されている。
【0062】
これにより、フレキシブルフラットケーブル14との接続箇所において、絶縁部40からバスバー60を露出させることができる。従って、フレキシブルフラットケーブル14とバスバー60とを抵抗溶接で接続することができる。
【0063】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、バスバー固定部45は、絶縁部40の一部が潰れるように変形した部分であり、当該潰れた部分でバスバー60の一部を覆う。
【0064】
これにより、絶縁部40を潰してバスバー60を固定することで、バスバー60を固定するための別部材が不要になる。従って、部品点数を抑えることができる。
【0065】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、バスバー60の少なくとも一端部には、当該バスバー60の配列方向で見たときに屈曲している屈曲部63が形成されている。絶縁部40には、屈曲部63に接触することでバスバー60の移動を規制するバスバー規制部43が形成されている。
【0066】
これにより、バスバー60の移動を規制することができるので、バスバー60の三角状突出部62の位置ズレを防止できる。従って、バスバー60とフレキシブルフラットケーブル14とを確実に接続することができる。
【0067】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、バスバー取付溝41は、バスバー60を介してフレキシブルフラットケーブル14に接続される被覆電線70を取り付けるための被覆電線取付溝41aを兼ねている。被覆電線70が取り付けられる部分と、フレキシブルフラットケーブル14が取り付けられる部分との間に、バスバー固定部45が配置されている。
【0068】
これにより、バスバー60とフレキシブルフラットケーブル14の接続、及び、バスバー60と被覆電線70の接続の両方を邪魔しない位置でバスバー60を固定することができる。
【0069】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、被覆電線取付溝41aには、芯線収容部55と被覆収容部51とが形成されている。
【0070】
これにより、芯線収容部55と被覆収容部51とを分けることで、被覆電線70の取付位置を明確にすることができる。
【0071】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、芯線収容部55には、芯線72を個別に配置するための複数の壁部56が形成されており、当該壁部56の間であって絶縁部40の底面には、芯線72を露出させる芯線露出孔57が形成されている。
【0072】
これにより、絶縁部40の一面及び他面について、芯線とバスバー60を露出させることができる。従って、芯線72とバスバー60とを抵抗溶接で接続することができる。
【0073】
また、本実施形態のケーブル接続構造100において、被覆収容部51には、被覆電線70(詳細には被覆71)を嵌め込むことで固定可能な被覆固定部53が形成されている。
【0074】
これにより、被覆電線を容易に固定することができる。
【0075】
次に、
図7及び
図8を参照して、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0076】
第1変形例では、バスバー取付溝41及びバスバー60の形状が上記実施形態とは異なっている。具体的には、
図8に示すように、バスバー取付溝41の底部には、当該バスバー取付溝41の長手方向に並べて一定の間隔で、バスバー露出孔42又はバスバー嵌合部44が形成されている。バスバー嵌合部44は、バスバー取付溝41の底部からバスバー60側へ突出するように形成された部分である。また、バスバー露出孔42は、1つのバスバー取付溝41につき1箇所のみに形成されている。
【0077】
また、第1変形例のバスバー60には、当該バスバー60の長手方向に並べて一定の間隔で、複数の垂直突出部64が形成されている。垂直突出部64は、当該バスバー60を一側(バスバー60の長手方向及び配列方向に垂直な一側)及び他側に直角に折り曲げることで形成される部分である。垂直突出部64は、上記のバスバー露出孔42又はバスバー嵌合部44と等しい間隔で形成される。より具体的には、垂直突出部64によって形成されるバスバー取付溝41側(底面側)の凹部の位置と、バスバー嵌合部44の位置(突出する部分の位置)と、が対応するようになっており、互いに嵌合可能に構成されている。
【0078】
作業者は、バスバー60を絶縁部40に入れる際に、垂直突出部64の底面側の凹部がバスバー嵌合部44に嵌合するように、かつ、屈曲部63がバスバー規制部43に入り込むように、バスバー60をバスバー取付溝41に取り付ける。これにより、バスバー60を適切な位置に取り付けることができるとともに、位置ズレを防止できる。
【0079】
このように、バスバー60に複数の垂直突出部64を形成し、それに合わせるように絶縁部40の形状を定めることで、バスバー60を共通化することができる。従って、
図8に示すように、バスバー60によってフレキシブルフラットケーブル14との溶接位置が異なる本実施形態においても、同じ種類のバスバー60を用いることができる。また、バスバー60と絶縁部40が複数箇所で嵌まるため、バスバー60の位置ズレをより好適に防止できる。
【0080】
次に、
図9を参照して、第2変形例から第4変形例について説明する。
【0081】
図9(a)には、第2変形例に係るバスバー60が示されている。第2変形例に係るバスバー60には、上面に直方体状に突出する直方体状突出部65が形成されている。また、第2変形例に係るバスバー60の下面には凹凸が形成されていない。
【0082】
図9(b)には、第3変形例に係るバスバー60が示されている。第3変形例に係るバスバー60には、上面に円柱状に突出する円柱状突出部66が形成されている。また、第3変形例に係るバスバー60の下面には凹凸が形成されていない。
【0083】
図9(c)には、第4変形例に係るバスバー60が示されている。第4変形例に係るバスバー60には、上面に直方体状突出部65が形成されるとともに、下面にも直方体状突出部65が形成されている。なお、下面に形成された直方体状突出部65に対応するバスバー取付溝41の底部には、当該直方体状突出部65と嵌合可能な凹部が形成されている。
【0084】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0085】
上記の実施形態の三角状突出部62、第1変形例の垂直突出部64、第2変形例及び第4変形例の直方体状突出部65、第3変形例の円柱状突出部66が形成される数は任意であり、1つであっても良いし、2つ以上(例えばバスバー露出孔42と同数)であっても良い。また、バスバー60の下面の形状も任意である。
【0086】
上記の実施形態では、被覆電線70及びフレキシブルフラットケーブル14をバスバー60に溶接する方法として抵抗溶接を挙げたが、超音波溶接又はレーザー溶接等の他の接続方法を用いても良い。
【0087】
上記の実施形態では、バスバー60の幅は一定であるが、例えば中途部の幅が大きくなっているバスバーを用いても良い。
【0088】
上記の実施形態では、突出した樹脂(バスバー固定部45)を溶かすことでバスバー60を固定しているが、他の部材を用いてバスバー60を固定しても良い。
【0089】
上記の実施形態では、バスバー60に被覆電線70及び端子が接続されるが、被覆電線のみ又は端子のみに接続される構成であっても良い。
【0090】
上記で説明した部品の形状、個数、位置等は一例であり、上記で説明した他にも適宜変更することができる。