特許第6490567号(P6490567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490567超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490567
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/04 20060101AFI20190318BHJP
   F16C 3/02 20060101ALI20190318BHJP
   F16H 33/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   F16C32/04 Z
   F16C3/02
   F16H33/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-230201(P2015-230201)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2017-96430(P2017-96430A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597100538
【氏名又は名称】株式会社ミラプロ
(73)【特許権者】
【識別番号】514193395
【氏名又は名称】ステンレスプロダクト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594069764
【氏名又は名称】三星工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 知久
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】小方 正文
(72)【発明者】
【氏名】松岡 太郎
(72)【発明者】
【氏名】中尾 健吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】澤村 秀次
(72)【発明者】
【氏名】小澤 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】松井 義
(72)【発明者】
【氏名】土肥 哲也
(72)【発明者】
【氏名】上島 史生
(72)【発明者】
【氏名】森本 富治
(72)【発明者】
【氏名】徳永 宏
(72)【発明者】
【氏名】風間 竜也
(72)【発明者】
【氏名】浅野 幸雄
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−235355(JP,A)
【文献】 特開平03−192129(JP,A)
【文献】 特開2010−081701(JP,A)
【文献】 特開2011−097802(JP,A)
【文献】 特開2010−004646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 32/04
F16C 3/02
F16H 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導バルクと回転軸の中心を各々を一致させて、前記超電導バルクに印加磁場を付与し、フライホイールを吊り上げるアルミナロッドと断熱パイプからなる荷重支持体ならびに超電導コイルを配置し、前記フライホイールの回転軸の下端に発電電動機を設けるようにしたことを特徴とする超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受。
【請求項2】
請求項1記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記荷重支持体の上部に直径が120mm以上の超電導大バルクと直径が100mm以下の超電導小バルクとを内蔵することを特徴とする超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受。
【請求項3】
請求項1記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記荷重支持体が、断熱性に優れ、高強度なFRP製ロッドとFRP製薄肉パイプからなることを特徴とする超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受。
【請求項4】
請求項3記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記断熱性に優れ、高強度なFRP製ロッドがアルミナ繊維とエポキシ樹脂とからなることを特徴とする超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受。
【請求項5】
請求項3記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記FRP薄肉パイプがガラス繊維クロスとエポキシ樹脂とからなることを特徴とする超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受に係り、特に、吊り上げ浮上可能な方式の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導磁気軸受は、REBCOコイルとREBCOバルクからなる荷重支持体において、印加浮上力が圧縮側に作用する、つまり、押し上げ可能な方式の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受で設計されていた。
【0003】
図3は超電導磁気軸受を組み込んだ従来の超電導フライホイール蓄電装置の模式図、図4は従来の図面代用超電導フライホイール蓄電装置の正面写真、図5は従来の図面代用超電導フライホイール蓄電装置の上面写真である。
【0004】
これらの図において、101は軸部材、102は下部に配置される超電導コイル、103は超電導コイル102と対向して配置される超電導バルク、104は下部真空容器(外槽容器)、105は軸部材101に固定されるフライホイール、106は上部真空容器(外槽容器)、107は真空シール、108は軸部材101の上端に設けられる発電電動機、109は冷凍機、110は圧縮機である。
【0005】
従来の超電導磁気軸受でも、数トン級のフライホイールの大荷重を浮上させる強力な磁場を発生させることは可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−249130号公報
【特許文献2】特開2012−007708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、停電などで万一冷凍機が停止した場合、高さ数mのフライホイール装置の下部のピット部の限られたスペースで作業しなければならず、作業性が悪く、長期連続運転を前提にした定期的なメンテナンス性が良いとは言えないといった問題があった。
【0008】
また、図4及び図5に示すように、発電電動機専用の大掛かりな支持やぐらが必要であり、しかも、図1に示すように、超電導磁気浮上機構への高圧配管の配置も十数mになるといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて、印加浮上力が引っ張り側に作用、すなわち、吊り上げ浮上可能な方式の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受を構成し、発電電動機専用の大掛かりな支持やぐらが不要となり、その分、装置を簡素化することができ、超電導磁気浮上機構への冷凍機の配置が装置上部となるため、メンテナンスの効率化を図ることができる、超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、超電導バルクと回転軸の中心を各々一致させて、前記超電導バルクに印加磁場を付与し、フライホイールを吊り上げるアルミナロッドと断熱パイプからなる荷重支持体ならびに超電導コイルを配置し、前記フライホイールの回転軸の下端に発電電動機を設けることを特徴とする。
【0011】
〔2〕上記〔1〕記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記荷重支持体の上部に直径が120mm以上の超電導大バルクと直径が100mm以下の超電導小バルクとを内蔵することを特徴とする。
【0012】
〔3〕上記〔1〕記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記荷重支持体が、断熱性に優れ、高強度なFRP製ロッドとFRP製薄肉パイプからなることを特徴とする。
【0013】
〔4〕上記〔3〕記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記断熱性に優れ、高強度なFRP製ロッドがアルミナ繊維とエポキシ樹脂とからなることを特徴とする。
【0014】
〔5〕上記〔3〕記載の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、前記FRP薄肉パイプがガラス繊維クロスとエポキシ樹脂とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受において、発電電動機専用の大掛かりな支持やぐらが不要となり、大幅に装置を簡素化することができ、しかも、超電導磁気浮上機構への冷凍機の配置が装置上部となるため、メンテナンスの効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の超電導磁気軸受を備えた超電導フライホイール蓄電装置の模式図である。
図2】本発明の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受の縦断面図である。
図3】超電導磁気軸受を組み込んだ従来の非吊り上げ式の超電導フライホイール蓄電装置の模式図である。
図4】従来の図面代用超電導フライホイール蓄電装置の正面写真である。
図5】従来の図面代用超電導フライホイール蓄電装置の上面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受は、超電導バルクと回転軸の中心を各々一致させて、前記超電導バルクに印加磁場を付与し、フライホイールを吊り上げるアルミナロッドと断熱パイプからなる荷重支持体ならびに超電導コイルを配置する。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の超電導磁気軸受を備えた超電導フライホイール蓄電装置の模式図である。
【0020】
この図において、1は断熱性に優れ、高強度なアルミナロッドと断熱パイプからなる荷重支持体、2はその荷重支持体1の上端に固定される超電導バルク、3は超電導バルク2と軸心を一致させて、超電導バルク2に印加磁場を付与し、荷重支持体1を吊り上げる強磁場を発生する超電導コイル、4は荷重支持体1に固定されるフライホイール、5は真空容器(外槽容器)、6は真空シール、7はフライホイール4の回転軸の下端に設けられる発電電動機,8は上部真空容器、9は内槽容器、10は冷凍機、10Aは圧縮機である。
【0021】
因みに、真空シール6はフライホイール4と発電電動機7の中間にのみ存在する。超電導磁気軸受部(内槽内)とフライホイール4の真空容器5の間に仕切りはなく、約10Pa(大気圧の約1/10000)の希薄ヘリウムガスでみたされている。冷凍機10は内槽容器9を直冷し、バルク類の冷却はヘリウムガスでなされている。
【0022】
図2は本発明の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受の縦断面図である。
【0023】
この図において、11は断熱性に優れ、高強度なアルミナロッド(直径24mm)、12はSUS製上部フランジ、13はアルミナロッド11に固定され主として浮上力を担う超電導大バルク、14A,14Bは超電導大バルクの下部に固定され主として案内力を担う超電導小バルク、15A〜15Cは超電導大バルク13及び超電導大バルクの下部に固定される超電導小バルク14A,14Bと軸心を一致させて、超電導大バルク13と超電導小バルク14A,14Bに印加磁場を付与し、その反発力でアルミナロッド11を吊り上げる超電導コイル(REBCO系超電導体からなる高温超電導コイル)、16は下部フランジ、17はアルミナロッド11の下端に設けられる固定ボルト、18は荷重支持体1を構成するGFRP薄肉パイプである。
【0024】
このように、本発明の超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受は、超電導大バルク13及びこの超電導大バルク13の下部に固定される超電導小バルク14A,14Bと軸心を一致させて、超電導大バルク13と超電導小バルク14A,14Bに印加磁場を付与し、フライホイール4を吊り上げる荷重支持体1および超電導コイル15A〜15Cを配置するようにした。
【0025】
本発明によれば、従来の図4及び図5に示すような発電電動機専用の大掛かりな支持やぐらが不要となり大幅に装置を簡素化することができる。また、超電導磁気浮上機構への冷凍機の配置が装置上部となるため、メンテナンスの効率化を図ることができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、大掛かりな超電導磁気軸受の支持やぐらが不要となり簡素化することができる。また、超電導磁気浮上機構への冷凍機の配置を簡素化することができるとともに、メンテナンスの効率化を図ることができる、超電導フライホイール蓄電装置用超電導磁気軸受として、利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 荷重支持体
2 超電導バルク
3 超電導コイル
4 フライホイール
5 は真空容器(外槽容器)
6 真空シール
7、17 発電電動機
8 上部真空容器
9 内槽容器
10 冷凍機
10A 圧縮機
11 アルミナロッド
12 上部フランジ
13 超電導大バルク
14A,14B 超電導小バルク
15A〜15C 超電導コイル
16 下部フランジ(フライホイール回転軸)
18 荷重支持体を構成するGFRP薄肉パイプ
図1
図2
図3
図4
図5