(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のアンテナ装置を適用した実施の形態について説明する。
【0012】
<実施の形態>
図1は、実施の形態のアンテナ装置200に偏分波器100を取り付けた状態を示す側面図である。
【0013】
アンテナ装置200は、導波管210、放射器220、フランジ230、プレート240、パラボラアンテナ用の反射鏡250、取り付け板260、固定板270を含む。
【0014】
図2は、プレート240とパラボラアンテナ用の反射鏡250を示す図である。
図3は、取り付け板260を示す図である。
図4は、固定板270を示す図である。
図1乃至
図4では、図示するようにXYZ座標系を定義する。
【0015】
なお、
図1では、説明の便宜上、導波管210、プレート240、反射鏡250、取り付け板260、及び固定板270を断面で示し、その他の構成要素については側面を示す。また、
図2(A)には、パラボラアンテナ用の反射鏡250の中心部の構成を示す。
【0016】
図1に示す導波管210の断面は、円筒状の導波管210の中心軸を通る長手方向(X軸方向)に沿った(XZ平面に平行な)断面である。また、
図1に示すプレート240、反射鏡250、取り付け板260、及び固定板270の断面は、
図1に示す導波管210の断面と同一平面による断面である。
【0017】
反射鏡250、プレート240、取り付け板260、及び固定板270の断面は、それぞれ、
図2(A)のA1−A2矢視断面、
図2(B)のB1−B2矢視断面、
図3のC1−C2矢視断面、
図4のD1−D2矢視断面に対応する。
【0018】
導波管210は、X軸方向に長手方向を有する円筒状の部材であり、長手方向に垂直な断面が円形の円形導波路211が内部に形成されている。導波管210には、パラボラアンテナ用の放射器220、フランジ230、プレート240が取り付けられている。導波管210は、取り付け板260の開口部260Aに挿通されている。
【0019】
放射器220は、導波管210のX軸正方向側に取り付けられており、導波管210から放射される電波を反射鏡250の反射面250Aに向かって反射させる。反射面250Aで反射された電波は、大気中に放射される。これは、アンテナ装置200が電波を送信する際の動作である。
【0020】
また、アンテナ装置200が電波を受信するときは、反射鏡250の反射面250Aで反射された電波は、放射器220に向かって反射される。放射器220は、電波を導波管210に向けて反射する。電波は導波管210内をX軸負方向側に伝搬する。
【0021】
放射器220と導波管210とを合わせたものは、アンテナ装置200の一次放射器である。
【0022】
フランジ230は、導波管210のX軸負方向側の端部で導波管210の外周面に取り付けられている円環状の部材である。フランジ230は、導波管210を偏分波器100のフランジ113に取り付けるために設けられている。フランジ230は、導波管210と一体的に形成されていてもよく、また、溶接又はねじ止め等によって取り付けられていてもよい。
【0023】
プレート240は、反射鏡250の中央部に取り付けられる部材であり、YZ平面視で円環状の部材である。プレート240は、反射鏡250の一部になる部材であり、放射器220との間で反射される電波が往復しないように、形状が工夫されている。
【0024】
プレート240は、中央に円形の開口部240Aが形成されており、開口部240Aの周りには、4つのピン240Bが設けられている。
【0025】
開口部240Aの円形の中心は、プレート240の円形の中心と一致しており、開口径は導波管210の外周面にはめ込めるように、導波管210の外径に合わせられている。プレート240は、開口部240Aに導波管210をはめ込んだ状態で、導波管210に固定されている。固定は、溶接又はねじ止め等によって行えばよい。
【0026】
ピン240Bは、YZ平面視において開口部240Aの中心に対して、円周方向に90度おきに配置されている。ピン240Bは、反射鏡250の孔部250Cに嵌め込まれることにより、プレート240と反射鏡250との位置決めを行うために用いられる。このため、ピン240Bの外径は、孔部250Cの開口径と合わせられている。また、ピン240Bの長さは、反射鏡250の厚さと合わせられている。
【0027】
また、プレート240は、反射鏡250と上述のように位置を合わせて組み立てるだけで、導波管210、放射器220、プレート240、反射鏡250の位置合わせ(X軸方向における位置、Y軸及びZ軸方向における角度の調整)が完了するように、導波管210の外周に固定されている。
【0028】
反射鏡250は、パラボラアンテナ用の反射鏡であり、反射面250Aと反対側の面が取り付け板260に固定されている。固定は、ねじ止め等で行われる。
【0029】
反射鏡250は、反射面250Aの形状が放物面になるように構成されており、中央に円形の開口部250Bが形成され、開口部250Bの周りには、4つの孔部250Cが設けられている。
【0030】
開口部250Bの円形の中心は、反射鏡250の円形の中心と一致しており、開口径は、取り付け板260の開口部260Aの開口径と等しい。反射鏡250は、開口部250Bと開口部260AがYZ平面視で一致するように、取り付け板260に固定されている。
【0031】
また、開口部250Bの開口径は偏分波器100のアウターカバー170の外径よりも大きい。これは、アンテナ装置200を組み立てるとともに偏分波器100に取り付ける工程において、偏分波器100を開口部250B及び260Aの内部にX軸正方向側からX軸負方向側に通すためである。
【0032】
孔部250Cは、YZ平面視において開口部250Bの中心に対して、円周方向に90度おきに配置されている。孔部250Cには、プレート240のピン240Bが嵌め込まれる。これにより、プレート240と反射鏡250との位置決めが行われる。このため、孔部250Cの位置は、ピン240Bの位置と合わせられており、孔部250Cの開口径は、ピン240Bの外径と合わせられている。
【0033】
また、反射鏡250は、プレート240と上述のように位置を合わせて組み立てるだけで、導波管210、放射器220、プレート240、反射鏡250の位置合わせ(X軸方向における位置、Y軸及びZ軸方向における角度の調整)が完了するように、取り付け板260に固定されている。
【0034】
取り付け板260は、板状の部材であり、開口部260Aが形成されている。開口部260Aの開口径は、反射鏡250の開口部250Bの開口径と等しく、開口部250Bと開口部260AがYZ平面視で一致するように、X軸正方向側の面に反射鏡250が固定されている。取り付け板260は、例えば、三脚やステー等の固定物に取り付けられ、アンテナ装置200を三脚や固定物に固定するための部材である。
【0035】
固定板270は、コの字型の基部271と、棒状のロック部272とを有する。ロック部272は、コの字型の基部271の先端側で一端が回動自在に保持されており、
図4(B)に示す開放位置から中間位置を経て閉成位置まで移動可能である。基部271の一方の先端に切り欠き部271Aが形成されており、切り欠き部271Aにロック部の他端を引っかけることにより、ロック部272は閉成位置に固定される。
【0036】
固定板270の基部271は、プレート240のピン240Bを反射鏡250の孔部250Cに嵌め込むことによって導波管210、プレート240、反射鏡250、取り付け板260の位置を合わせた状態で、ロック部272を開放位置にした状態で、
図1に破線で示す位置から、実線で示すようにフランジ230と取り付け板260との間の位置に嵌め込むことによって、導波管210、プレート240、反射鏡250、取り付け板260を固定するために用いられる部材である。この状態で、コの字型の基部271は、導波管210に跨った状態になる。
【0037】
このため、基部271のX軸方向の厚さは、導波管210、プレート240、反射鏡250、取り付け板260の位置を合わせた状態でのフランジ230と取り付け板260との間の間隔に合わせられている。また、基部271のコの字形状の間隔Aは、導波管210の外径に合わせられている。
【0038】
図1に実線で示す位置に嵌め込んだ後に、ロック部272を閉成位置に回動させ、基部271の一方の先端に形成された切り欠き部271Aに係合させることにより、閉成位置に保持される。これにより、固定部270は固定される。
【0039】
次に、
図5乃至
図9を用いて、偏分波器100について説明する。
【0040】
図5は、偏分波器100の平面構成と断面構成を示す図である。
図5では、図示するようにXYZ座標系を定義する。
図5に示すXYZ座標系は、
図1乃至
図4に示すXYZ座標系と同一である。
【0041】
図5(A)は、X軸負方向側から偏分波器100のYZ平面構成を示す図であり、
図5(C)は、X軸正方向側から偏分波器100のYZ平面構成を示す図であり、
図5(B)は、
図5(A)、(C)におけるA1−A2矢視断面の構成を示す図である。
【0042】
偏分波器100は、導波管本体110、コネクタ120、130、ガイドピン140、サブガイドピン150、インナーカバー160、及びアウターカバー170を含む。偏分波器100は、所謂OMT(Orthogonal Mode Transducer:水平垂直偏波分波器)である。
【0043】
導波管本体110は、X軸方向に長手方向を有する円筒状の部材であり、長手方向に垂直な断面が円形の円形導波路111が内部に形成されている。円形導波路111は、X軸正方向側に円形に開口された開口部111Aを有し、X軸負方向側の端部は壁部112で閉じられている。導波管本体110のX軸正方向側の端部の外周には、フランジ113が設けられている。フランジ113は、導波管210を接続するために用いられる。
【0044】
また、円形導波路111の内部には、ピン114、115、反射部116が設けられている。ピン114は、水平偏波の電波を放射するために設けられており、ピン115は、垂直偏波の電波を放射するために設けられている。ピン114、115は、導波管本体110の外周壁部を貫通する孔部に通されており、導波管本体110とは絶縁されている。反射部116は、X軸正方向側から伝搬する垂直偏波の電波を反射するために設けられている。
【0045】
このため、
図5(C)に示すように、ピン114と115の位置は、円形導波路111の円形の断面内で、円形導波路111の中心軸に対して、円周方向に90度異なる位置に配設されている。
【0046】
コネクタ120は、ピン121と嵌合部122を有し、インナーカバー160のX軸負方向側の端面に配置されている。コネクタ120は、同軸コネクタであり、ピン121が信号線用で、嵌合部122はグランド電位(基準電位)用である。ピン121は配線180を介してピン114に接続されている。嵌合部122は、導波管本体110に接続されている。
【0047】
コネクタ130は、ピン131と嵌合部132を有し、インナーカバー160のX軸負方向側の端面に配置されている。コネクタ130は、同軸コネクタであり、ピン131が信号線用で、嵌合部132はグランド電位(基準電位)用である。ピン131は配線190を介してピン115に接続されている。嵌合部132は、導波管本体110に接続されている。
【0048】
なお、コネクタ120、130は、例えば、N型同軸コネクタ、又はSMA型同軸コネクタを用いることができる。
【0049】
ガイドピン140は、インナーカバー160のX軸負方向側の端面に2本配置されており、 サブガイドピン150は、インナーカバー160のX軸負方向側の端面に1本配置されている。
【0050】
ガイドピン140とサブガイドピン150は、
図5(A)に示すように、アウターカバー170の円形の開口部171をYZ平面視したときに、開口部171の中心に対して非対称に配設される。これは、コネクタ120と130の相手側の2本のコネクタが互い違いに接続されることを防ぐためである。
【0051】
また、ガイドピン140とサブガイドピン150は、コネクタ120、130よりもX軸方向に長く、先端が突出していることが望ましい。コネクタ120、130が相手側のコネクタに係合する前に、ガイドピン140とサブガイドピン150を相手側のガイドホールに係合させるためである。
【0052】
インナーカバー160は、導波管本体110の周囲を覆うように取り付けられている円柱状の部材である。インナーカバー160は、導波管本体110のフランジ113以外の部分を覆っている。また、インナーカバー160の外周部は、アウターカバー170の内周部と係合しており、インナーカバー160に対してアウターカバー170は、X軸方向に移動可能であるとともに、YZ平面内で回動自在に取り付けられている。
【0053】
アウターカバー170は、コネクタ120及び130とインナーカバー160の外周を覆うように設けられる円柱状の部材である。アウターカバー170の開口部171の近傍の内周面には、ねじ山172が形成されている。
【0054】
アウターカバー170は、インナーカバー160に対してX軸方向に移動可能であるとともに、YZ平面内で回動自在に取り付けられており、相手側のコネクタ装置にガイドピン140とサブガイドピン150を係合させた状態でコネクタ120及び130を接続し、さらにねじ山172を相手側のコネクタ装置の対応するねじ山と係合させることにより、コネクタ120及び130の接続部を覆うように構成されている。相手側のコネクタ装置については、
図6を用いて後述する。
【0055】
配線180は、コネクタ120のピン121と、円形導波路111の内部のピン114とを接続している。配線180は、導波管本体110から絶縁された状態で、ピン121とピン114を接続できる配線であればよく、ピン114側では導波管本体110の外周面に沿って設けられている。
【0056】
配線190は、コネクタ130のピン131と、円形導波路111の内部のピン115とを接続している。配線190は、導波管本体110から絶縁された状態で、ピン131とピン115を接続できる配線であればよく、ピン115側では導波管本体110の外周面に沿って設けられている。
【0057】
以上のような構成の偏分波器100は、水平偏波の電波と垂直偏波の電波とを分離し、コネクタ120と導波管210との間で水平偏波の電波を伝送することができるとともに、コネクタ130と導波管210との間で垂直偏波の電波を伝送することができる。
【0058】
図6は、相手側のコネクタ装置300を示す図である。
図6には、
図1及び
図5と同一のXYZ座標を示す。
図6に示すコネクタ装置300は、
図1及び
図5に示す偏分波器100にX軸方向に沿って向かい合わせて取り付け可能な向きである。
【0059】
図6(A)は、Y軸負方向側からコネクタ装置300の側面構成を示す図であり、
図6(B)は、X軸正方向側からコネクタ装置300のYZ平面構成を示す図であり、
図6(C)は、Z軸負方向側からコネクタ装置300の底面構成を示す図である。
【0060】
コネクタ装置300は、コネクタ320、330、ガイドホール340、サブガイドホール350、本体部370を含む。
【0061】
本体部370は、金属製であり、X軸正方向側に突出する突出部371を有する。突出部のX軸正方向側の端面には、コネクタ320、330が取り付けられるとともに、ガイドホール340とサブガイドホール350が形成されている。また、突出部371の外周面には、ねじ山372が形成されている。また、本体部370は、X軸負方向側の端面から円柱状にくり抜かれた凹部374を有する。
【0062】
コネクタ320は、ピンホール321と嵌合部322を有する。コネクタ320は、コネクタ120の相手側になる同軸コネクタであり、ピンホール321が信号線用で、コネクタ120のピン121が挿入され、電気的に接続される。ピンホール321と嵌合部322は絶縁されている。
【0063】
嵌合部322はグランド電位(基準電位)用である。嵌合部322は外周面にねじ山が形成されており、コネクタ120の嵌合部122の内部にねじ止めされる。嵌合部322は、本体部370に接続されている。
【0064】
また、ピンホール321には、本体部370を貫通する信号線323が接続されている。信号線323は、本体部370とは絶縁された状態で、凹部374の内部に突出している。
【0065】
コネクタ330は、ピンホール331と嵌合部332を有する。コネクタ330は、コネクタ130の相手側になる同軸コネクタであり、ピンホール331が信号線用で、コネクタ130のピン131が挿入され、電気的に接続される。ピンホール331と嵌合部332は絶縁されている。
【0066】
嵌合部332はグランド電位(基準電位)用である。嵌合部332は外周面にねじ山が形成されており、コネクタ130の嵌合部132の内部にねじ止めされる。嵌合部332は、本体部370に接続されている。
【0067】
また、ピンホール331には、本体部370を貫通する信号線333が接続されている。信号線333は、本体部370とは絶縁された状態で、凹部374の内部に突出している。
【0068】
ガイドホール340は、2本のガイドピン140に対応して、突出部のX軸正方向側の端面からX軸負方向に2つ形成されている。2つのガイドホール340の開口径、深さ、位置は、2本のガイドピン140の太さ、長さ、位置に合わせられている。
【0069】
サブガイドホール350は、サブガイドピン150に対応して、突出部のX軸正方向側の端面からX軸負方向に形成されている。サブガイドホール350の開口径、深さ、位置は、サブガイドピン150の太さ、長さ、位置に合わせられている。
【0070】
サブガイドホール350は、突出部371のX軸正方向側の円形の端面の中心からオフセットして形成される。これは、ガイドホール340及びサブガイドホール350を突出部371のX軸正方向側の円形の端面の中心に対して非対称に配設することにより、コネクタ320がコネクタ120に接続されるとともに、コネクタ330がコネクタ130に接続されるようにし、コネクタ120、130、320、330が互い違いに接続されることを防ぐためである。
【0071】
このようなコネクタ装置300は、2つのガイドホール340とサブガイドホール350に、それぞれ、2つのガイドピン140とサブガイドピン150の先端を挿入させて、コネクタ320にコネクタ120を押し込むとともに、コネクタ330にコネクタ130を押し込む。これにより、ピンホール321にピン121が挿入され、嵌合部322に嵌合部122が嵌合される。また、ピンホール331にピン131が挿入され、嵌合部332に嵌合部132が嵌合される。
【0072】
そして、コネクタ320にコネクタ120をしっかりと押し込むとともに、コネクタ330にコネクタ130をしっかりと押し込んだ状態で、偏分波器100のアウターカバー170をX軸負方向側にスライドさせて、突出部371にアウターカバー170の先端の位置を合わせ、ねじ山372をねじ山172に係合させて、アウターカバー170を回転させて突出部371にねじ止めする。
【0073】
このようにすることにより、偏分波器100にコネクタ装置300を接続することができる。偏分波器100にコネクタ装置300を完全に接続すると、コネクタ120とコネクタ320が接続されるとともに、コネクタ130とコネクタ330が接続された状態で、コネクタ120、130、320、330の周囲は、アウターカバー170と本体部370の突出部371とのねじ止めによって封止される。
【0074】
図7乃至
図9は、コネクタ装置にケーブルとFPU(Field Pick-up Unit)送受信装置を接続した状態を示す図である。
【0075】
FPUは、例えば、緊急報道やスポーツ中継などで映像,音声を無線伝送するシステムとして用いられている装置である。映像信号をFPUで伝送する場合、中継車の屋上やビルの屋上に送信アンテナ(パラボラアンテナ)を設置して、ビルや山の上に設置した受信基地局に向けて映像音声信号を送信する。
【0076】
コネクタ装置300Aは、
図6に示すコネクタ装置300にN型同軸コネクタ380A、380Bを取り付けたものである。N型同軸コネクタ380A、380Bの信号ピンは、信号線323、333にそれぞれ接続されている。N型同軸コネクタ380A、380Bの嵌合部は、本体部370に取り付けられるとともに、電気的に接続されている。
【0077】
N型同軸コネクタ380A、380Bには、それぞれ、同軸ケーブル390A、390BのN型同軸コネクタ390A1、390B1が接続されている。また、同軸ケーブル390A、390Bの反対側のN型同軸コネクタ390A2、390B2は、FPU送受信装置400A、400BのN型同軸コネクタ480A、480Bに接続されている。FPU送受信装置400A、400Bは、それぞれ、水平偏波の電波、垂直偏波の電波を利用して信号の送受信を行う装置である。
【0078】
このように、コネクタ装置300AのN型同軸コネクタ380A、380Bに、同軸ケーブル390A、390Bを介して、FPU送受信装置400A、400Bを接続してもよい。
【0079】
また、
図8に示すコネクタ装置300Bは、
図7に示すコネクタ装置300AのN型同軸コネクタ380A、380Bの代わりに、同軸ケーブル390A、390Bを直接接続した構造を有する。同軸ケーブル390A、390Bの信号線は、それぞれ、コネクタ装置300Bの信号線323、333に接続されている。また、コネクタ装置300Bの本体部370は、専用の形状を有する。
【0080】
このように、コネクタ装置300Bに、同軸ケーブル390A、390Bを介して、FPU送受信装置400A、400Bを接続してもよい。
【0081】
また、
図9に示すように、コネクタ装置300を直接的にFPU送受信装置400に接続してもよい。
【0082】
以上、実施の形態によれば、
図1乃至
図4を用いて説明したように、プレート240のピン240Bと反射鏡250の孔部250Cとを嵌合させるだけで、導波管210、放射器220、プレート240、反射鏡250の位置合わせが完了させることができるアンテナ装置200を提供することができる。
【0083】
このため、実施の形態によれば、反射鏡250の組み付けが容易なアンテナ装置200を提供することができる。
【0084】
また、実施の形態によれば、導波管210、放射器220、プレート240、反射鏡250の位置合わせを行った状態で、導波管210、プレート240、反射鏡250、取り付け板260を固定板270で固定することができる。
【0085】
従って、実施の形態によれば、反射鏡250の組み付けが容易で、固定する作業も容易なアンテナ装置200を提供することができる。
【0086】
また、固定板270は、ロック部272を開放状態に回転させれば、アンテナ装置200から容易に取り外すことができる。
【0087】
従って、導波管210、放射器220、フランジ230、プレート240、パラボラアンテナ用の反射鏡250、取り付け板260、固定板270のいずれかを容易に交換することができる。また、固定部270のロック部272を切り欠き部271Aに引っかけるだけで固定されるので、工具を用いずにアンテナ装置200を組み立てることができる。
【0088】
アンテナ装置200で使用する一次輻射器(放射器220+導波管210)は、全体が一本の導波管構造であり、前方(X軸正方向側)に配置する放射器220の反射板を使用してパラボラの反射鏡250に電波を照射する機能を有する。ゆえに、一次輻射器前方の放射器220の反射板が大きくなる傾向がある。また、一次輻射器の後方(X軸負方向側)の偏分波器100はある程度の外径があるため、反射鏡250には広い開口部250Bが必要になる。
【0089】
従来のアンテナ装置では、パラボラの反射鏡250の中心部を放射器220の反射板より大きくくり抜き、反射鏡250を一次輻射器と一体化させ、ネジを利用して固定する構造となっている。
【0090】
ゆえに、パラボラの反射鏡250に一次輻射器を取り付ける際には(もしくは、取り外す際には)、工具を用いたネジ締め(緩め)作業が必須となる。今後、アンテナ装置200の高所への取り付けを考慮した場合、危険を伴う作業を軽減する構造が求められる。
【0091】
このような観点においても、実施の形態のアンテナ装置200は、工具を用いずに容易に組み立てることができるため、屋外への設置に適しており、高所への取り付けを非常に容易かつ安全に行うことが可能である。
【0092】
また、偏分波器100を容易に交換することも可能である。例えば、C/Dバンドの偏分波器100及びFPU送受信装置400から、E/Fバンドの偏分波器100及びFPU送受信装置400に容易に交換できるため(その逆も可能であるため)、放送の周波数が変更されるような場合においても、一つのアンテナ装置200を様々なバンドに利用することが可能であり、その際の組み立てが非常に容易である。また、アンテナ装置200又は偏分波器100が故障したような場合にも容易に交換でき、その際の組み立てが非常に容易である。
【0093】
なお、以上では、取り付け板260の開口部260Aに導波管210が通され、固定板270が導波管210を跨ぐように取り付けられる構成について説明した。しかしながら、例えば、偏分波器100の導波管本体110が
図1に示すプレート240と取り付け板260との間まで伸延し、その分短くなった導波管210にフランジ等で接続されている場合には、取り付け板260の開口部260Aに導波管本体110を通し、固定板270が導波管本体110を跨ぐように取り付ければよい。
【0094】
また、以上では、取り付け板260に開口部260Aが形成される形態について説明したが、開口部260Aの代わりに、開口部260Aの周囲の一部を切り欠いたように取り付け板260が切り欠かれる切り欠き部が形成されていてもよい。例えば、
図3で開口部260AのY軸正方向側の部分が、取り付け板260のY軸正方向側の端辺まで切り欠かれたような切り欠き部が取り付け板260に形成されていてもよい。
【0095】
また、以上では、アンテナ装置200に、水平偏波の電波と垂直偏波の電波とを分波する偏分波器100を接続する形態について説明したが、円偏波でもよく、また、水平偏波の電波と垂直偏波の電波とのいずれか一方でもよい。
【0096】
次に、アンテナ装置200に接合される偏分波器100の効果について説明する。
【0097】
実施の形態によれば、偏分波器100の壁部112の円形導波路111が位置する面(
図5(B)の右側の面)とは逆の面(
図5(B)の左側の面)側にコネクタ120、130を設けたので、コネクタ120、130の接続相手は、導波管本体110をX軸正方向側から見たときに、壁部112の反対側に伸延することになる。
【0098】
すなわち、導波管本体110の外周方向に接続相手が伸延することがなくなり、導波管本体110の延伸方向に接続相手が存在することになる。
【0099】
このため、コネクタ120、130に接続されるケーブルやコネクタに様々な方向のテンションがかかることを抑制することができ、ケーブルやコネクタの劣化、破損を抑制した偏分波器100を提供することができる。
【0100】
また、偏分波器100の導波管本体110の延伸方向に接続されるコネクタ装置300は、コネクタ120、130に接続されるコネクタ320、330を有するので、コネクタ120、130に接続されるコネクタ320、330に様々な方向のテンションがかかることを抑制することができる。また、コネクタ装置300、300A、300Bに接続される同軸ケーブル390A、390Bに様々な方向のテンションがかかることを抑制することができる。
【0101】
従って、実施の形態によれば、ケーブルやコネクタの劣化、破損を抑制したコネクタ装置300、300A、300Bを提供することができる。
【0102】
また、水平偏波の電波と垂直偏波の電波との2系統の入出力コネクタ(コネクタ120、130)を1か所へ集約することにより、送受信装置とアンテナの直結が可能となり、給電線損失を最小化し、高効率な電波発射を実現できる。
【0103】
また、ガイドピン140、サブガイドピン150を設けたことにより、コネクタ120、130とコネクタ320、330とをガイドピン140、サブガイドピン150に沿って、正対させながら接続することができ、着脱時のコネクタ劣化を軽減できる。
【0104】
また、偏分波器100にコネクタ装置300を取り付ける際に、ガイドピン140、サブガイドピン150がガイドホール340、サブガイドホール350に先行して係合した状態で、コネクタ120、130とコネクタ320、330とを固定できるので、接続時に両手を離して、2系統のコネクタ120、130とコネクタ320、330を各手で締めることができる。
【0105】
また、非対称性を実現するサブガイドピン150とサブガイドホール350を設けることにより、コネクタ120、130とコネクタ320、330の逆接続を防止できる。
【0106】
また、偏分波器100のアウターカバー170のねじ山172と、コネクタ装置300、300A、300Bの突出部371のねじ山372とをねじ止めすれば、コネクタ120、130とコネクタ320、330との間には、荷重や力が掛からないので、コネクタ120、130、320、330の劣化、破損を効果的に抑制することができる。
【0107】
また、この場合は、アウターカバー170と突出部371によって、偏分波器100に対して、導波管本体110の延伸方向にコネクタ装置300を強固かつ容易に取り付けることができる。
【0108】
また、アウターカバー170と突出部371がねじ止めされて、全体を増し締めすることで抜けにくくするほか、コネクタ120、130とコネクタ320、330の露出を防ぎ、経年劣化を抑止できる。
【0109】
また、コネクタ120とコネクタ320が接続されるとともに、コネクタ120とコネクタ320が接続された状態で、コネクタ120、130、320、330の周囲は、アウターカバー170と本体部370の突出部371とのねじ止めによって封止されるので、防塵や防水の効果も得られる。
【0110】
なお、以上では、コネクタ120、130が雄型で、コネクタ320、330が雌型である形態について説明したが、逆であってもよい。また、どちらか一方を入れ替えてもよい。
【0111】
また、以上では、ガイドピン140とサブガイドピン150が開口部171の中心に対して非対称に配設される形態について説明した。ガイドピン140とサブガイドピン150は、コネクタ120、130と、コネクタ320、330とがそれぞれ接続されるように(互い違いに接続されないように)するために非対称に配設されている。このように、非対称にするためには、ガイドピン140とサブガイドピン150の本数や位置は、上述の形態に限られるものではない。例えば、長手方向に対する断面が非対称な形状の1本のガイドピン140を用いて、サブガイドピン150を省いてもよい。また、1本のガイドピン140と1本のサブガイドピン150とで非対称性を実現してもよい。なお、ガイドホール340、サブガイドホール350は、ガイドピン140とサブガイドピン150の本数、位置、断面形状に合わせればよい。
【0112】
また、偏分波器100がアウターカバー170を含まずに、コネクタ120、130に同軸ケーブル390A、390Bを直接的に接続してもよい。
【0113】
また、以上では、偏分波器100が水平偏波・垂直偏波の電磁波を分波し、コネクタ120、130が水平偏波・垂直偏波の電磁波を伝送する形態について説明したが、例えば、右円偏波と左円偏波を分波してもよく、2チャンネルの信号を同時送受信するようにしてもよい。
【0114】
以上、本発明の例示的な実施の形態のアンテナ装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。