特許第6491804号(P6491804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6491804
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】共重合体及び共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/08 20060101AFI20190318BHJP
   C08F 4/76 20060101ALI20190318BHJP
   C08F 232/08 20060101ALI20190318BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   C08F8/08
   C08F4/76
   C08F232/08
   C08F4/6592
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-567310(P2018-567310)
(86)(22)【出願日】2018年7月30日
(86)【国際出願番号】JP2018028431
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2017-149052(P2017-149052)
(32)【優先日】2017年8月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】山田 真司
(72)【発明者】
【氏名】喜来 直裕
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 肇
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/015585(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/178143(WO,A1)
【文献】 特開2013−064114(JP,A)
【文献】 特開2001−098035(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/178145(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 232/00 − 232/08
C08F 4/00 − 4/58
C08F 4/72 − 4/82
C08F 8/00 − 8/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、
C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、
環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーと、
をそれぞれ少なくとも1種以上含み、かつ、
前記第1の環状オレフィンモノマーと前記第2の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーであり、
前記第2の環状オレフィンモノマーは、前記二重結合の少なくとも一部にエポキシ基が導入された環状オレフィンモノマーである、共重合体。
【請求項2】
チタノセン触媒の存在下で、
非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、
C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、
環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーと、
をそれぞれ少なくとも1種以上重合させて共重合体を得る重合工程を含み、
前記第1の環状オレフィンモノマーと前記第2の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーである、共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記重合工程において、前記第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量は、前記第1の環状オレフィンモノマーの仕込み量及び前記第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の合計量に対して30mol%以下である、請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記重合工程は、前記チタノセン触媒とともに、アルキルアルミノキサンからなる助触媒と連鎖移動剤との存在下で行われる、請求項又はに記載の製造方法。
【請求項5】
前記共重合体は、前記第1の環状オレフィンモノマーと、前記α−オレフィンモノマーと、前記第2の環状オレフィンモノマーと、をそれぞれ1種含む三元共重合体である、請求項からのいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記第2の環状オレフィンモノマーの二重結合を酸化することによってエポキシ基を導入する導入工程をさらに含む、請求項からのいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体及び共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状オレフィン共重合体(以下、「COC」ともいう。)は、低吸湿性及び高透明性を有し、光ディスク基板、光学フィルム、光学ファイバー等の光学材料の分野をはじめ、様々な用途に使用されている。代表的なCOCとして環状オレフィンとエチレンとの共重合体が挙げられる。環状オレフィンとエチレンとの共重合組成を変えることで、得られるCOCのガラス転移温度を調整できる。このような調整により、例えば、ガラス転移温度が高い共重合体(高Tg重合体)を得ることができる。
【0003】
高Tg重合体は種々存在するが、これらは、極性基を持っているため、吸湿性及び誘電特性に限界がある。そのため、極性基を有さず、オレフィン系骨格からなり、光学特性、誘電特性、及び機械的強度に優れた高Tg重合体が求められている。
【0004】
高TgCOCの機械的強度を改善する方法の1つとして、環状オレフィンとエチレン以外のα−オレフィン(以下、「特定α−オレフィン」という)とを共重合させる方法がある。環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合については、種々の研究がなされている。
【0005】
環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合は、環状オレフィンとエチレンとの共重合とは大きく異なる。環状オレフィンとエチレンとの共重合で高分子量体が得られる条件では、環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合において、特定α−オレフィンに起因する連鎖移動反応が生じるため、これまで高分子量体が得られにくかった。
【0006】
このような課題を解決するため、特許文献1には、より少ない量のチタノセン触媒の存在下で、少なくとも、ノルボルネンから誘導される環状オレフィンモノマーと、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーとを重合させて共重合体を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2015/178143号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、環外に二重結合を含むモノマーを用いて得られるCOCは、その構造中に二重結合を含むため、架橋することによってアロイの溶出を防止できる効果が期待される。また、二重結合やその誘導体の反応性を活かして他の樹脂や基材への親和性や接着性を改善させること等が可能となる。
【0009】
しかし、環状オレフィン共重合体の重合において、環外に二重結合を含むモノマーの重合速度は遅いことから、従来は、二重結合を含むモノマーを用いたCOCが得られにくかった。
【0010】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、環外に二重結合を含む環状オレフィンモノマーを用いた共重合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、環外に二重結合を有するノルボルネンからなり、かつ、第1の環状オレフィンモノマーとは異なる第2の環状オレフィンモノマーと、を重合させることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0012】
(1) 非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、
C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、
環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーと、
をそれぞれ少なくとも1種以上含み、かつ、
前記第1の環状オレフィンモノマーと前記第2の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーである、共重合体。
【0013】
(2) 前記共重合体において、第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量は、第1の環状オレフィンモノマーユニットの導入量及び第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の合計量に対して30mol%以下である、(1)に記載の共重合体。
【0014】
(3) 前記第2の環状オレフィンモノマーは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである、(1)又は(2)に記載の共重合体。
【0015】
(4) 前記α−オレフィンは、ヘキセン及び/又はオクテンである、(1)から(3)のいずれかに記載の共重合体。
【0016】
(5) 前記共重合体のガラス転移温度は、50℃以上350℃以下である、(1)から(4)のいずれかに記載の共重合体。
【0017】
(6) 前記共重合体の数平均分子量は5,000以上150,000以下である、(1)から(5)のいずれかに記載の共重合体。
【0018】
(7) 前記共重合体は、前記第1の環状オレフィンモノマーと、前記α−オレフィンモノマーと、前記第2の環状オレフィンモノマーと、をそれぞれ1種含む三元共重合体である、(1)から(6)のいずれかに記載の共重合体。
【0019】
(8) 前記第2の環状オレフィンモノマーは、前記二重結合の少なくとも一部にエポキシ基が導入された環状オレフィンモノマーである、(1)から(7)のいずれかに記載の共重合体。
【0020】
(9) チタノセン触媒の存在下で、
非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、
C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、
環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーと、
をそれぞれ少なくとも1種以上重合させて共重合体を得る重合工程を含み、
前記第1の環状オレフィンモノマーと前記第2の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーである、(1)から(8)のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
【0021】
(10) 前記重合工程において、前記第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量は、前記第1の環状オレフィンモノマーの仕込み量及び前記第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の合計量に対して30mol%以下である、(9)に記載の製造方法。
【0022】
(11) 前記重合工程は、前記チタノセン触媒とともに、アルキルアルミノキサンからなる助触媒と連鎖移動剤との存在下で行われる、(9)又は(10)に記載の製造方法。
【0023】
(12) 前記共重合体は、前記第1の環状オレフィンモノマーと、前記α−オレフィンモノマーと、前記第2の環状オレフィンモノマーと、をそれぞれ1種含む三元共重合体である、(9)から(11)のいずれかに記載の製造方法。
【0024】
(13) 前記第2の環状オレフィンモノマーの二重結合を酸化することによってエポキシ基を導入する導入工程をさらに含む、(9)から(12)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、環外に二重結合を含む環状オレフィンモノマーを用いた共重合体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0027】
[共重合体]
本発明の共重合体は、非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーとの共重合体であり、かつ、第1の環状オレフィンモノマーと第2の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーである。本発明の共重合体は、その構造中に、第2の環状オレフィンモノマー由来の二重結合を含む。そのため、本発明の共重合体を架橋することによってアロイの溶出を防止できる効果が期待される。また、二重結合やその誘導体の反応性を活かして他の樹脂や基材への親和性や接着性を改善させること等が可能となる。
【0028】
本発明の共重合体は、非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーとをそれぞれ少なくとも1種以上含む。したがって、本発明の共重合体は、三元以上の多元共重合体(例えば、三元共重合体、四元共重合体、五元共重合体等)である。本発明の共重合体は、非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーと、をそれぞれ1種含む三元共重合体であってもよい。
【0029】
(第1の環状オレフィンモノマー)
第1の環状オレフィンモノマーとしては、例えば、非置換のノルボルネン及び置換ノルボルネンのうちいずれか1種以上が挙げられ、非置換のノルボルネン(2−ノルボルネン)が好ましい。第1の環状オレフィンモノマーが置換ノルボルネンである場合、該モノマーは環外に二重結合を有さない。
【0030】
上記置換ノルボルネンは、環外に二重結合を有さない点以外は特に限定されず、この置換ノルボルネンが有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基が挙げられる。置換ノルボルネンの具体例としては、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
【0031】
【化1】
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R〜R及びR〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
【0032】
一般式(I)で示される置換ノルボルネンについて説明する。一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
【0033】
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1以上20以下のアルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
【0034】
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1以上20以下のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
【0035】
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、これらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
【0036】
一般式(I)で示される置換ノルボルネンの具体例としては、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
【0037】
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
【0038】
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単に「テトラシクロドデセン」ともいう。)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
【0039】
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
【0040】
(第2の環状オレフィンモノマー)
第2の環状オレフィンモノマーは、環外に二重結合を有するノルボルネンからなり、かつ、第1の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーである。
【0041】
ノルボルネン環外に二重結合を有するモノマーとしては、上記一般式(I)で示される置換ノルボルネンにおいて、R〜R12の1つ以上に二重結合を含む炭化水素鎖(例えばビニリデン基)を有するもの、RとR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基(エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等)を形成するものや、R又はR10と、R11又はR12とが、互いに二重結合を有する環(単環又は多環)を形成するものを挙げることができる。なお、かかる場合、R、R10、R11、R12以外の上記一般式(I)における定義は、第1の環状オレフィンモノマーにおける説明に準じる。
【0042】
第2の環状オレフィンモノマーの具体例としては、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:5−エチリデン−2−ノルボルネン)、5−ビニル−2−ノルボルネン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンのうちいずれか1種以上が挙げられ、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
【0043】
本発明の共重合体において、第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の上限は、第1の環状オレフィンモノマーユニットの導入量及び第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の合計量に対して好ましくは30mol%以下、より好ましくは20mol%以下、さらに好ましくは15mol%以下である。第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量を上記範囲に調整すると、共重合体の収率や収量の低下を抑制しやすい。なお、以下、「第1(又は第2)の環状オレフィンモノマーユニットの導入量」とは、第1(又は第2)の環状オレフィンモノマーを複数種類使用する場合は、使用する第1(又は第2)の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の総量を意味する。
【0044】
本発明の共重合体において、第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の下限は0mol%超であれば特に限定されないが、十分量の二重結合を共重合体に導入する観点から、第1の環状オレフィンモノマーユニットの導入量及び第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の合計量に対して好ましくは5.0mol%以上、より好ましくは10mol%以上である。
【0045】
本発明の共重合体において、第1の環状オレフィンモノマーユニットの導入量及び第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量は、重合工程における各モノマーの仕込み量を調整することによって調整できる。
【0046】
本発明の共重合体において、第1の環状オレフィンモノマーユニットの導入量及び第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量は、13C−NMRによって特定する。
【0047】
(α−オレフィンモノマー)
C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーとしては、例えば、C4〜C12のα−オレフィンや、ハロゲン原子等の少なくとも1種の置換基を有するC4〜C12のα−オレフィンが挙げられ、C4〜C12のα−オレフィンが好ましく、C6〜C10のα−オレフィンがより好ましい。
【0048】
C4〜C12のα−オレフィンは特に限定されないが、例えば、ブテン(1−ブテン)、ペンテン(1−ペンテン)、ヘキセン(1−へキセン)、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、オクテン(1−オクテン)、デセン(1−デセン)、及びドデセン(1−ドデセン)等のうちいずれか1種以上が挙げられる。これらのうち、ヘキセン(1−ヘキセン)及び/又はオクテン(1−オクテン)が好ましい。
【0049】
(各モノマーの比率)
本発明の共重合体における、第1の環状オレフィンモノマー由来の構造単位と、α−オレフィンモノマー由来の構造単位と、第2の環状オレフィンモノマー由来の構造単位とのモル比は、特に限定されず、適宜調整できる。例えば、本発明の共重合体における、第1の環状オレフィンモノマー由来の構造単位、及び、第2の環状オレフィンモノマー由来の構造単位の合計量と、α−オレフィンモノマー由来の構造単位の量とのモル比(第1の環状オレフィンモノマー由来の構造単位及び第2の環状オレフィンモノマー由来の構造単位の合計量/α−オレフィンモノマー由来の構造単位の量)が、80/20〜15/85であってもよい。
【0050】
なお、「第1(又は第2)の環状オレフィンモノマー由来の構造単位の量」及び「α−オレフィンモノマー由来の構造単位の量」とは、第1(又は第2)の環状オレフィンモノマーやα−オレフィンモノマーを複数種類使用する場合は、使用する第1(又は第2)の環状オレフィンモノマー由来の構造単位の総量やα−オレフィンモノマー由来の構造単位の総量を意味する。
【0051】
(ガラス転移温度)
本発明の共重合体のガラス転移温度(「Tg」ともいう。)の下限は、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは250℃以上である。Tgが上記範囲であると、上記共重合体から得られる成形品(透明フィルム等)に、十分な耐熱性を付与できる。
【0052】
本発明の共重合体のTgの上限は、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。Tgが上記範囲であると、共重合体中のα−オレフィン由来の構造単位が十分な量となり、α−オレフィン共重合による機械的強度の改善効果を十分に奏することができる。
【0053】
本発明の共重合体のTgは、好ましくは50℃以上350℃以下、より好ましくは150℃以上300℃以下である。
【0054】
本発明の共重合体のTgは、モノマーの比率を調整することや、触媒及び助触媒に含まれる原子(チタン原子やアルミニウム原子)の比率を調整すること等によって調整できる。
【0055】
本発明において、Tgは、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度2℃/分の条件で測定した値を採用する。
【0056】
(分子量)
本発明の共重合体の数平均分子量の下限は、好ましくは5,000以上、より好ましくは15,000以上である。数平均分子量が上記範囲であると、得られる共重合体は、ガラス転移温度が過度に低くなりにくい。
【0057】
本発明の共重合体の数平均分子量の上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは50,000以下である。数平均分子量が上記範囲であると、得られる共重合体の溶液は、粘度が過度に高くなりにくい。
【0058】
本発明の共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000以上150,000以下である。
【0059】
本発明の共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量は、モノマーの比率を調整すること、触媒及び助触媒に含まれる原子(チタン原子やアルミニウム原子)の比率を調整すること、連鎖移動剤の量を調整すること等によって調整できる。
【0060】
本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量又は重量平均分子量をいう。
【0061】
(官能基が導入された共重合体)
本発明の共重合体には任意の官能基を導入できる。本発明の共重合体に導入される好ましい官能基としてはエポキシ基が挙げられる。該官能基は、第2の環状オレフィンモノマーの二重結合の少なくとも一部(例えば、1以上の二重結合、又は全ての二重結合)に導入することができる。
【0062】
本発明の共重合体へ導入される官能基がエポキシ基である場合、導入量の下限は、第2の環状オレフィンモノマー由来の構造単位に基づき、好ましくは0モル%以上、より好ましくは5モル%以上であってもよい。導入量の上限は、重合の効率を高める観点から、第2の環状オレフィンモノマー由来の構造単位に基づき、好ましくは30モル%以下、より好ましくは12モル%以下であってもよい。
【0063】
本発明の共重合体へ導入された官能基の量はH−NMRによって特定する。
【0064】
[共重合体の製造方法]
以下に、上記の本発明の共重合体の製造方法について説明する。本発明の製造方法によれば、上記第1の環状オレフィンモノマーと、上記α−オレフィンモノマーと、上記第2の環状オレフィンモノマーと、をそれぞれ少なくとも1種以上、チタノセン触媒の存在下で重合させることにより、二重結合を含む環状オレフィンモノマーを用いた共重合体が高い収率や収量で得られる。
【0065】
本発明の製造方法において、重合工程は、チタノセン触媒とともに、アルキルアルミノキサンからなる助触媒と連鎖移動剤との存在下で行われることが好ましい。
【0066】
(チタノセン触媒)
チタノセン触媒としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。チタノセン触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
チタノセン触媒としては、例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【0067】
【化2】
【0068】
〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、ビフェニル基、上記アルキル基を置換基として有するフェニル基又はビフェニル基、ナフチル基、上記アルキル基を置換基として有するナフチル基等のアリール基を挙げることができる。
【0069】
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又はハロゲン原子であり、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、上記ハロゲン原子を置換基として有するこれらのアルキル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、上記ハロゲン原子又はアルキル基を置換基として有するこれらのアリール基を挙げることができる。
【0070】
〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜12の1価炭化水素基を置換基として有していてもよいシリル基である。炭素数1〜12のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また、炭素数6〜12のアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、上記アルキル基を置換基として有するこれらのアリール基等を挙げることができる。さらに、炭素数1〜12の1価炭化水素基を置換基として有するシリル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基を置換基として有するシリル基を挙げることができる。
【0071】
一般式(1)で示されるチタノセン触媒の具体例としては、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、(イソブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(イソブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジクロリド、(イソブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジクロリド、(イソブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジクロリド、(イソブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジクロリド、(イソブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(イソプロピルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジクロリド、(イソブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチル等を挙げることができる。好ましくは(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル((t−BuNSiMeFlu)TiMe)である。(t−BuNSiMeFlu)TiMeは、下記式(2)で表されるチタニウム錯体であり、例えば、「Macromolecules、第31巻、3184頁、1998年」の記載に基づき、容易に合成することができる。
【0072】
【化3】

(式中、Meはメチル基を、t−Buはtert−ブチル基を示す。)
【0073】
(アルキルアルミノキサンからなる助触媒)
本発明において用いられる助触媒は、アルキルアルミノキサンからなる。上記助触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アルキルアルミノキサンとしては、特に限定されず、例えば、下記式(3)又は(4)で表される化合物が挙げられる。下記式(3)又は(4)で表されるアルキルアルミノキサンは、トリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物である。
【0074】
【化4】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。)
【0075】
アルキルアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン及びメチルアルミノキサンのメチル基の一部を他のアルキル基で置換した修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとしては、例えば、置換後のアルキル基として、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素数2〜4のアルキル基を有する修飾メチルアルミノキサンが好ましく、特に、メチル基の一部をイソブチル基で置換した修飾メチルアルミノキサンがより好ましい。アルキルアルミノキサンの具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられ、中でも、メチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
【0076】
アルキルアルミノキサンは、公知の方法で調製することができる。また、アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO−3A、TMAO−200シリーズ、TMAO−340シリーズ(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。
【0077】
(連鎖移動剤)
本発明において用いられる連鎖移動剤は、連鎖移動能を有する化合物である。連鎖移動剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0078】
連鎖移動剤としては、特に限定されず、連鎖移動能を有する公知の化合物を用いることができ、例えば、アルキルアルミニウムが挙げられる。アルキルアルミニウムとしては、例えば、下記一般式(5)で示される化合物が挙げられる。
(R10AlX3−z (5)
(式中、R10は炭素数が1〜15、好ましくは1〜8のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、zは1〜3の整数である。)
【0079】
炭素数が1〜15のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
【0080】
アルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドが挙げられる。
【0081】
その他の連鎖移動剤として、メタロセン触媒での重合で知られているChain Shuttling剤も用いることができる。Chain Shuttling剤の例として、上述したアルキルアルミニウムやアルキル亜鉛が挙げられる。アルキル亜鉛としては、例えば、下記一般式(6)で示される化合物が挙げられる。
(R11ZnX2−y (6)
(式中、R11は炭素数が1〜15、好ましくは1〜8のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、yは0〜2の整数である。)
【0082】
炭素数が1〜15のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
【0083】
アルキル亜鉛の具体例としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジn−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジsec−ブチル亜鉛、ジn−オクチル亜鉛等のジアルキル亜鉛;メチル亜鉛クロリド、イソブチル亜鉛クロリド等のアルキル亜鉛ハライド;イソブチル亜鉛ハイドライド等のアルキル亜鉛ハイドライド;メチル亜鉛メトキシド等のアルキル亜鉛アルコキシド;塩化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等が挙げられる。
【0084】
アルキルアルミニウム又はアルキル亜鉛は、重合系内に直接投入しても、またアルキルアルミノキサン中に含有させた状態で投入してもよい。また、アルキルアルミノキサンを製造する際に用いられ、製造後に残存する原料のアルキルアルミニウムでもよい。また、アルキルアルミニウムとアルキル亜鉛は組み合わせて使用してもよい。
【0085】
(重合工程の条件)
重合工程の条件は、所望の共重合体が得られる限り特に限定されず、公知の条件を用いることができ、重合温度、重合圧力、重合時間等は適宜調整される。
【0086】
重合工程で用いる触媒の濃度の下限は、共重合体の収率や収量を高める観点から、好ましくは20.0μmol/L以上、より好ましくは30.0μmol/L以上、さらにより好ましくは40.0μmol/L以上である。触媒の濃度の上限は、経済性の観点から、好ましくは100μmol/L以下、より好ましくは60.0μmol/L以下である。
【0087】
重合工程で用いる触媒の溶媒は、触媒の機能を阻害しない限り特に限定されず、トルエン等を用いることができる。
【0088】
重合工程において、第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の上限は、第1の環状オレフィンモノマーの仕込み量及び第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の合計量に対して好ましくは30mol%以下、より好ましくは15mol%以下である。第2の環状オレフィンモノマーユニットの仕込み量が上記範囲であると、共重合体の収率や収量が高まりやすい。重合工程で使用する各モノマーの仕込み量において、第1の環状オレフィンモノマー及びα−オレフィンモノマーの相対量を高めると、第2の環状オレフィンモノマーの量を増やしても第2の環状オレフィンモノマーが導入されやすくなり、高い収量で共重合体が得られやすい。なお、以下、「第1(又は第2)の環状オレフィンモノマーの仕込み量」及び「α−オレフィンモノマーの仕込み量」等とは、各成分(第1(又は第2)の環状オレフィンモノマーやα−オレフィンモノマー、触媒等)を複数種類使用する場合は、使用する各成分の総量(例えば、使用する第1の環状オレフィンモノマーの仕込み量の総量)を意味する。
【0089】
重合工程において、第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量は0mol%超であれば特に限定されないが、十分量の二重結合を共重合体に導入する観点から、第1の環状オレフィンモノマーの仕込み量及び第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の合計量に対して好ましくは5.0mol%以上、より好ましくは10mol%以上である。
【0090】
第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の下限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.04mol以上、より好ましくは0.09mol以上である。第2の環状オレフィンモノマーの仕込み量の上限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.5mol以下、より好ましくは0.3mol以下である。
【0091】
α−オレフィンモノマーの仕込み量の下限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.1mol以上、より好ましくは0.5mol以上である。α−オレフィンモノマーの仕込み量の上限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは4.0mol以下、より好ましくは3.5mol以下である。
【0092】
チタノセン触媒の使用量の下限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.00001mol以上、より好ましくは0.00002mol以上である。チタノセン触媒の仕込み量の上限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.00006mol以下、より好ましくは0.00004mol以下である。
【0093】
アルキルアルミノキサンの使用量の下限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.01mol以上、より好ましくは0.03mol以上である。アルキルアルミノキサンの仕込み量の上限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.15mol以下、より好ましくは0.10mol以下である。
【0094】
連鎖移動剤の使用量の下限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.004mol以上、より好ましくは0.010mol以上である。連鎖移動剤の仕込み量の上限は、第1の環状オレフィンモノマー1molに対し、好ましくは0.070mol以下、より好ましくは0.050mol以下である。
【0095】
重合工程において用いるモノマー(第1又は第2の環状オレフィンモノマー、及びα−オレフィンモノマー)の総濃度の下限は、収量や重合速度を高めやすいという観点から、好ましくは3.0mol/L以上、より好ましくは4.5mol/L以上である。重合工程において用いるモノマーの総濃度の上限は、粘度上昇を抑制し操作性を高めやすいという観点から、好ましくは7.5mol/L以下、より好ましくは7.0mol/Lである。
【0096】
(共重合体への官能基の導入方法)
本発明の共重合体に対して官能基を導入する場合、公知の方法を採用できる。官能基の導入は、上記重合工程後に行うことが好ましい。
【0097】
例えば、導入しようとする官能基がエポキシ基である場合、第2の環状オレフィンモノマーの二重結合を酸化する導入工程を設けることで、本発明の共重合体に対してエポキシ基を導入できる。該導入工程は、上記重合工程後に行うことが好ましい。二重結合を酸化する方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、H.Liら(Polymer 49(2008)2839−2844)に記載された方法が挙げられる。
【0098】
(共重合体の用途等)
重合工程において得られた共重合体は、フィルム製造、コーティング、ポリマーアロイ等に利用できる。これらの用途における作業性を高める観点から、共重合体は、溶媒に溶解させ、重合体溶液として調製してもよい。溶媒としては特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素溶媒等が挙げられる。
【0099】
重合体溶液の溶液濃度や溶媒の種類は、重合体の分子量やモノマー組成、塗工方法、目的とするフィルム厚やコーティング膜厚、ポリマーアロイの相手材の種類や組成等に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば、フィルム製造における重合体溶液の固形分濃度は、20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましい。コーティングにおける重合体溶液の固形分濃度は、膜厚に応じて適宜設定できるが、例えば、5質量%以上30質量%が好ましく、10質量以上20質量%以下がより好ましい。ポリマーアロイにおける重合体溶液は、相手材の溶解性やポリマーアロイ組成に応じて溶媒の種類や濃度を適宜設定できる。
【実施例】
【0100】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0101】
[共重合体の作製−1]
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された各モノマー(第1の環状オレフィンモノマー、第2の環状オレフィンモノマー及びα−オレフィン)を、表2の「モノマー濃度」の項に記載された量で、助触媒A及びBとともに加え、40℃の重合温度に保ったのち、表2の「触媒濃度」の項に記載された量の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。40℃の重合温度及び5時間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール1質量部を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液に、12mol/Lの塩酸水溶液を重合反応液に含まれる金属量の10倍量となるように加えた後、蒸留水による洗浄を行って金属塩を除いた。洗浄した重合反応液を多量のアセトンに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で1日間以上減圧乾燥して共重合体を得た。5時間の重合時間で得られた共重合体の収量を表2の「収量」の項に示した。なお、表2中の「触媒濃度」及び「モノマー濃度」は、トルエン溶液としての値である。
【0102】
なお、使用した触媒、助触媒及び連鎖移動剤の種類は下記のとおりである。ここで、t−Buはtert−ブチル基を、Fluはフルオレニル基を示す。また、表1の「助触媒+連鎖移動剤(Al基準)」の項に、使用した助触媒及び連鎖移動剤の量をAl原子の含有量として示した。
触媒:(t−BuNSiMeFlu)TiMe
助触媒A:9.0質量%(Al原子の含有量として)TMAO−211トルエン溶液(メチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して26mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)
助触媒B:6.5質量%(Al原子の含有量として)MMAO−3Aトルエン溶液([(CH0.7(iso−C0.3AlO]で表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して6mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)
連鎖移動剤:助触媒A及びB中に含まれるトリメチルアルミニウム
【0103】
2−ノルボルネン(Nb)の量及び5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENb)の量について、ENb及びNbの合計量に対するENbの量の比率(単位:mol%)を、仕込み量、又は、得られた共重合体における導入量のそれぞれについて、表2の「ENb/(ENb+Nb)」の項に示した。また、2−ノルボルネン(Nb)の量及び5−ビニル−2−ノルボルネン(VNb)の量について、VNb及びNbの合計量に対するVNbの量の比率(単位:mol%)を、仕込み量、又は、得られた共重合体における導入量のそれぞれについて、表2の「VNb/(VNb+Nb)」の項に示した。2−ノルボルネンの量、5−エチリデン−2−ノルボルネンの量、及び5−ビニル−2−ノルボルネンの量は、13C−NMRを用いて、下記の条件で二重結合単位の割合を測定することによって特定した。
【0104】
(二重結合単位の割合の測定条件)
NMR装置:BrukerAVANCE600
測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2
測定核種:13C
測定温度:383K
サンプル濃度:100mg/mL
サンプルチューブ径:10mm
測定方法:Inverse gate法
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:4096回
パルス繰り返し時間:10秒
なお、ケミカルシフトのリファレンス:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2に含まれる、重水素化されていない1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを74.47ppmとした。
【0105】
使用した触媒及び助触媒に含まれる、チタン原子(Ti)の総モル量に対するアルミニウム原子(Al)の総モル量の値を、表2の「Al/Ti」の項に示した。
【0106】
各共重合体のガラス転移温度(Tg)、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を下記の条件で測定し、その結果を表2に示した。
【0107】
(ガラス転移温度(Tg)の測定条件)
DSC法(JIS K7121記載の方法)によって、下記の条件に基づき、Tgを測定した。
DSC装置:示差走査熱量計 DSC−Q1000(TA Instrument社製)
測定雰囲気:窒素
測定モード:Modurated
昇温条件:2℃/分
【0108】
(数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定条件)
装置:Viscotek TDA302検出器+Pump autosampler装置(いずれもMalvern社製)
検出器:RI
溶媒:トルエン
カラム:TSKgel GMHHR−M(300mm×7.8mmφ、東ソー社製)
流速:1mL/分
温度:75℃
試料濃度:2.5mg/mL
注入量:100μL
標準試料:単分散ポリスチレン
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
表2に示されるとおり、第1の環状オレフィンモノマーである2−ノルボルネンと、α−オレフィンモノマーである1−ヘキセン又は1−オクテンと、第2の環状オレフィンモノマーである5−エチリデン−2−ノルボルネン又は5−ビニル−2−ノルボルネンと、を用いることで、共重合体が得られた。
【0112】
表2に示されるとおり、環外に二重結合を含む環状オレフィンモノマー(5−エチリデン−2−ノルボルネン又は5−ビニル−2−ノルボルネン)を用いた三元共重合体(実施例1〜6、8〜10)及び四元共重合体(実施例7)が得られた。
【0113】
実施例1〜3、実施例4〜6から理解されるとおり、第1の環状オレフィンモノマーである2−ノルボルネン及びα−オレフィンモノマーである1−ヘキセン又は1−オクテンの相対量を高めることにより、第2の環状オレフィンモノマーである5−エチリデン−2−ノルボルネンの量を増やしても、高い収量で共重合体が得られた。該収量は、第2の環状オレフィンモノマーである5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用しない系(比較例1及び2)と同等以上だった。通常、重合工程において、5−エチリデン−2−ノルボルネンのような環外に二重結合を含む環状オレフィンモノマーを用いると、共重合体の収量は低下する傾向にあることから、上記結果は意外なものといえる。
【0114】
実施例1〜7と、実施例8との比較から理解されるとおり、共重合体において、第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量を、第1の環状オレフィンモノマーユニットの導入量及び第2の環状オレフィンモノマーユニットの導入量の合計量に対して、より低くすると(例えば30mol%以下)、収量が高まりやすい傾向にあった。
【0115】
実施例1等と、実施例9との比較から理解されるとおり、第2の環状オレフィンモノマーとしては5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いると、収量が高まりやすい傾向にあった。
【0116】
実施例1〜7と、実施例10との比較から理解されるとおり、触媒濃度をより高めると(例えば40μmol/L以上)、収量が高まりやすい傾向にあった。
【0117】
また、α−オレフィンの量が多かったり、「Al/Ti」の値が大きくなると、分子量やTgが下がる傾向にあった。
【0118】
[共重合体の作製−2]
上記で得られた共重合体を用いて、5−エチリデン−2−ノルボルネン(第2の環状オレフィンモノマー)由来の二重結合を酸化し、共重合体にエポキシ基を導入した。具体的には、得られた共重合体(0.20g)及び無水トルエン(40mL)を100mL三つ口丸底フラスコに入れて得られた混合物を、共重合体が完全に溶解するまで55℃で加熱した。0.35gのメタクロロ過安息香酸(10mLトルエン中)を滴下して4時間撹拌した後、メタノールを加えて反応を停止した。得られた反応物を濾過し、過剰量のメタノールで洗浄し、真空下で乾燥し、エポキシ基が導入された共重合体を得た。以下、エポキシ基が導入された共重合体を「エポキシ変性共重合体」ともいう。得られたエポキシ変性共重合体は、H−NMR測定によって、全ての二重結合にエポキシ基が導入されている(全ての二重結合がエポキシ化されている)ことが確認された。
【0119】
エポキシ基が導入されたエポキシ変性共重合体の特性を表3に示す。表3中、「用いた共重合体」には、種類、及び「ENb/(ENb+Nb+Oct)」を示した。「ENb/(ENb+Nb+Oct)」とは、2−ノルボルネン(Nb)の量、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENb)の量、及び1−オクテン(Oct)の量について、ENb、Nb、及びOctの合計量に対するENbの量の比率(単位:mol%)を意味する。2−ノルボルネンの量、5−エチリデン−2−ノルボルネンの量、及び1−オクテンの量は、前述の13C−NMRを用いた方法によって特定した。エポキシ変性共重合体の「エポキシ当量」とは、1グラム当量のエポキシ基を含む共重合体のグラム数を意味し、用いた共重合体の「ENb/(ENb+Nb+Oct)」から算出した。
【0120】
【表3】
【0121】
表3に示されるとおり、エポキシ変性共重合体が得られた。
【要約】
本発明の課題は、環外に二重結合を含む環状オレフィンモノマーを用いた共重合体及びその製造方法を提供することである。
本発明は、非置換又は置換ノルボルネンからなる第1の環状オレフィンモノマーと、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマーと、環外に二重結合を有するノルボルネンからなる第2の環状オレフィンモノマーと、をそれぞれ少なくとも1種以上含み、かつ、前記第1の環状オレフィンモノマーと前記第2の環状オレフィンモノマーとは異なるモノマーである、共重合体を提供する。