(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記相関関係を決定することは、
前記第1の上底データにおける補正量データに基づいて第1の仮補正関数を決定し、
前記下底データにおける補正量データに基づいて第2の仮補正関数を決定し、
前記第1の仮補正関数から得られる補正量と当該補正量に対応する第2の仮補正関数から得られる補正量との差分に基づいて補正量差分関数を作成する、
ことを含み、
前記補正関数を決定することは、
前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて第3の仮補正関数を決定し、
前記補正量差分関数に基づいて前記第3の仮補正関数を修正して補正関数を決定する、
ことを含む、請求項1に記載の露光データ補正装置。
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記相関関係を決定することは、前記第1の上底データにおける補正量データにおいて示される補正量と当該補正量に対応する前記下底データにおける補正量データにおいて示される補正量との補正量相関関数を決定することを含み、
前記補正関数を決定することは、
前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定し、
前記補正量相関関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する、
ことを含む、請求項1に記載の露光データ補正装置。
前記第1及び第2の上底データに含まれる仕上がり値は、光学式外観検査装置により得られるデータに基づくものであり、前記下底データは、顕微鏡により得られるデータに基づくものである、請求項1から5の何れか一項に記載の露光データ補正装置。
目標とする配線パターンのための設計データに基づく露光データを用いた回路加工により得られた上底及び下底を有する凸状の第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを取得する工程と、
前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを取得する工程と、
前記第1の上底データと前記下底データとの相関関係を決定する工程と、
前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得する工程と、
前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、前記第2の上底データ及び前記相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定する工程と、
前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを前記補正関数に基づいて補正する工程と、
前記露光データに基づいて配線パターンを形成する工程と、
を含む配線基板製造方法。
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記相関関係を決定する工程は、
前記第1の上底データにおける補正量データに基づいて第1の仮補正関数を決定する工程と、
前記下底データにおける補正量データに基づいて第2の仮補正関数を決定する工程と、
前記第1の仮補正関数から得られる補正量と当該補正量に対応する第2の仮補正関数から得られる補正量との差分に基づいて補正量差分関数を作成する工程と、
を含み、
前記補正関数を決定する工程は、
前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて第3の仮補正関数を決定する工程と、
前記補正量差分分関数に基づいて前記第3の仮補正関数を修正して補正関数を決定する工程と、
を含む、請求項13に記載の配線基板製造方法。
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、
前記相関関係を決定する工程は、前記第1の上底データにおける補正量データにおいて示される補正量と当該補正量に対応する前記下底データにおける補正量データにおいて示される補正量との補正量相関関数を決定する工程を含み、
前記補正関数を決定する工程は、
前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定する工程と、
前記補正量相関関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する工程と、
を含む、請求項13に記載の配線基板製造方法。
前記第1及び第2の上底データに含まれる仕上がり値は、光学式外観検査装置により得られるデータに基づくものであり、前記下底データは、顕微鏡により得られるデータに基づくものである、請求項13から17の何れか一項に記載の配線基板製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図17に示すとおり、実パターンは、上底(トップ)と下底(ボトム)を有する凸状の形状を有するものであり、仕上がり値、例えば、配線パターン(以下、単に「パターン」ということがある。)の回路幅はトップ幅1702とボトム幅1704で異なる。配線パターンの高密度化にあたっては、設計値とボトム幅との誤差を小さくすることが重要である。光学式外観検査装置(AOI)を用いれば、仕上がり値測定を比較的容易に行うことができるが、AOIによって測定される仕上がり値はトップ幅であり、ボトム幅のデータは得られない。このためAOIの測定値を用いてDIにフィードバックして露光データの補正を行っても、トップ幅とボトム幅の差分による誤差が生じる問題がある。
【0006】
顕微鏡を用いることによりボトム幅を測定することは可能であるが、手動で行う必要があるため膨大な測定時間が必要となる。測定負担を軽減するために測定箇所を減らして測定を行った場合には、十分なサンプルをとることができないため、正確なフィードバックを行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明は、下底(ボトム)データの手動測定による手間を低減させつつ、露光データ補正量の誤差を抑制し、微細回路形成時の回路幅精度を向上させることが可能な露光データ補正装置、配線パターン形成システム及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、以下のような特徴を有している。すなわち本発明の一実施態様の露光データ補正装置は、目標とする配線パターンのための設計データに基づく露光データを用いた回路加工により得られた上底及び下底を有する凸状の第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを取得し、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを取得し、前記第1の上底データと前記下底データとの相関関係を決定し、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得し、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、前記第2の上底データ及び前記相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定し、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを前記補正関数に基づいて補正する。
【0009】
本発明における前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記相関関係を決定することは、前記第1の上底データにおける補正量データに基づいて第1の仮補正関数を決定し、前記下底データにおける補正量データに基づいて第2の仮補正関数を決定し、前記第1の仮補正関数から得られる補正量と当該補正量に対応する第2の仮補正関数から得られる補正量との差分に基づいて補正量差分関数を作成する、ことを含み、前記補正関数を決定することは、前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて第3の仮補正関数を決定し、前記補正量差分関数に基づいて前記第3の仮補正関数を修正して補正関数を決定する、ことを含んでもよい。
【0010】
また、前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの上底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの下底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記相関関係を決定することは、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と前記第1の上底データにおける仕上がり値との関係を示す第1の仕上がり値関数を決定し、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と前記下底データにおける仕上がり値との関係を示す第2の仕上がり値関数を決定し、前記第1の仕上がり値関数と第2の仕上がり値関数との差分に基づく仕上がり値差分関数を決定する、ことを含み、前記補正関数を決定することは、前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定し、前記仕上がり値差分関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する、ことを含んでもよい。
【0011】
さらに、前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記相関関係を決定することは、前記第1の上底データにおける補正量データにおいて示される補正量と当該補正量に対応する前記下底データにおける補正量データにおいて示される補正量との補正量相関関数を決定することを含み、前記補正関数を決定することは、前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定し、前記補正量相関関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する、ことを含んでもよい。
【0012】
さらにまた、前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの上底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの下底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値を含み、前記相関関係を決定することは、前記第1の上底データにおいて測定された仕上がり値と下底データにおいて測定された仕上がり値との仕上がり値相関関数を決定することを含み、前記補正関数を決定することは、前記決定された仕上がり値相関関数に基づいて、前記第2の上底データにおける仕上がり値に基づいて当該仕上がり値に対応する下底における仕上がり値の推定値を計算し、前記第2の上底データを得るために使用した実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記推定された下底における仕上がり値との差分に基づいて補正関数を決定する、ことを含んでもよい。
【0013】
前記第1及び第2の上底データに含まれる仕上がり値は、光学式外観検査装置により得られるデータに基づくものであり、前記下底データは、顕微鏡により得られるデータに基づくものであってもよい。
【0014】
前記補正関数が、配線パターンが配置された同一基板面の領域毎に決定されてもよい。
【0015】
前記補正関数が、配線パターンが配置された同一基板の上面及び下面毎に決定されてもよい。
【0016】
前記補正関数が、配線パターンにおける縦ライン及び横ラインのそれぞれに対して決定されてもよい。
【0017】
また本発明の配線パターン形成システムは、目標とする配線パターンの設計データに基づく露光データを作成する露光データ作成手段と、露光データに基づいて、基板上に配置された感光性レジストに、露光パターンを露光するパターン露光手段と、前記露光パターンが露光された感光性レジストを現像して現像パターンを形成する現像パターン形成手段と、前記現像パターンを形成した基板に対して回路加工を行ない実パターンを形成する実パターン形成手段と、前記実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく上底データを作成する上底データ作成手段と、前記実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを作成する下底データ作成手段と、前記上底データ、下底データ及び設計データに基づいて露光データを補正する前述の露光データ補正装置と、を備える。
【0018】
また、本発明の一実施態様における露光データを補正するためのプログラムは、コンピュータに、目標とする配線パターンのための設計データに基づく露光データを用いた回路加工により得られた上底及び下底を有する凸状の第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを取得する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを取得する工程と、前記第1の上底データと前記下底データとの相関関係を決定する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、前記第2の上底データ及び前記相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを前記補正関数に基づいて補正する工程と、を実行させる。
【0019】
また、本発明の一実施態様における露光データを補正するための方法であって、目標とする配線パターンのための設計データに基づく露光データを用いた回路加工により得られた上底及び下底を有する凸状の第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを取得する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを取得する工程と、前記第1の上底データと前記下底データとの相関関係を決定する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、前記第2の上底データ及び前記相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを前記補正関数に基づいて補正する工程と、を含む。
【0020】
さらに、本発明の一実施態様における配線基板製造方法は、目標とする配線パターンのための設計データに基づく露光データを用いた回路加工により得られた上底及び下底を有する凸状の第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを取得する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを取得する工程と、前記第1の上底データと前記下底データとの相関関係を決定する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、前記第2の上底データ及び前記相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを前記補正関数に基づいて補正する工程と、前記露光データに基づいて配線パターンを形成する工程と、を含む配線基板製造方法。
【0021】
また、前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記相関関係を決定する工程は、前記第1の上底データにおける補正量データに基づいて第1の仮補正関数を決定する工程と、前記下底データにおける補正量データに基づいて第2の仮補正関数を決定する工程と、前記第1の仮補正関数から得られる補正量と当該補正量に対応する第2の仮補正関数から得られる補正量との差分に基づいて補正量差分関数を作成する工程と、を含み、前記補正関数を決定する工程は、前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて第3の仮補正関数を決定する工程と、前記補正量差分関数に基づいて前記第3の仮補正関数を修正して補正関数を決定する工程と、を含んでもよい。
【0022】
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの上底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの下底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記相関関係を決定する工程は、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と前記第1の上底データにおける仕上がり値との関係を示す第1の仕上がり値関数を決定する工程と、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と前記下底データにおける仕上がり値との関係を示す第2の仕上がり値関数を決定する工程と、前記第1の仕上がり値関数と第2の仕上がり値関数との差分に基づく仕上がり値差分関数を決定する工程と、を含み、前記補正関数を決定する工程は、前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定する工程と、前記仕上がり値差分関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する工程と、を含んでもよい。
【0023】
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、前記相関関係を決定する工程は、前記第1の上底データにおける補正量データにおいて示される補正量と当該補正量に対応する前記下底データにおける補正量データにおいて示される補正量との補正量相関関数を決定する工程を含み、前記補正関数を決定する工程は、前記第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び前記第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定する工程と、前記補正量相関関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する工程と、を含んでもよい。
【0024】
前記第1の上底データは、前記第1の実パターンの上底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記下底データは、前記第1の実パターンの下底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、前記第2の上底データは、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値を含み、前記相関関係を決定する工程は、前記第1の上底データにおいて測定された仕上がり値と下底データにおいて測定された仕上がり値との仕上がり値相関関数を決定する工程を含み、前記補正関数を決定する工程は、前記決定された仕上がり値相関関数に基づいて、前記第2の上底データにおける仕上がり値に基づいて当該仕上がり値に対応する下底における仕上がり値の推定値を計算する工程と、前記第2の上底データを得るために使用した実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値と当該仕上がり値に対応する前記推定された下底における仕上がり値との差分に基づいて補正関数を決定する工程と、を含んでもよい。
【0025】
前記第1及び第2の上底データに含まれる仕上がり値は、光学式外観検査装置により得られるデータに基づくものであり、前記下底データは、顕微鏡により得られるデータに基づくものであってもよい。
【0026】
前記補正関数が、配線パターンが配置された同一基板面の領域毎に決定されてもよい。
【0027】
前記補正関数が、配線パターンが配置された同一基板の上面及び下面毎に決定されてもよい。
【0028】
前記補正関数が、配線パターンにおける縦ライン及び横ラインのそれぞれに対して決定されてもよい。
【0029】
本発明の一実施態様における配線基板製造方法は、目標とする配線パターンの設計データに基づく露光データを作成する工程と、露光データに基づいて、基板上に配置された感光性レジストに、露光パターンを露光する工程と、前記露光パターンが露光された感光性レジストを現像して現像パターンを形成する工程と、前記現像パターンを形成した基板に対して回路加工を行ない第1の実パターンを形成する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを作成する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを作成する工程と、前記第1の上底データと前記下底データとの相関関係を決定する工程と、前記第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は前記第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを作成する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、前記第2の上底データ及び前記相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定する工程と、前記第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを前記補正関数に基づいて補正する工程と、前記補正された露光データに基づいて配線パターンを形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、下底データの手動測定による手間を低減させつつ、上底データ(AOI測定データ)と実パターンの下底データとの相関関係に基づいて、露光データ補正量の誤差分を抑制し、微細回路形成時の回路幅精度を向上させることが可能な露光データ補正装置、配線パターン形成システム及び配線基板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1の実施形態]
図1に本発明の一実施形態に係る配線パターン形成システム100の構成図を示す。配線パターン形成システム100は、設計データ作成装置101、露光データ作成装置102、露光装置104、現像パターン作成装置106、実パターン作成装置108、上底及び下底データ作成装置110及び露光データ補正装置112を備える。
【0033】
設計データ作成装置101は、設計データを作成する装置であり、本実施形態においてはCAD(Computer Aided Design)を用いる。配線パターンの設計データ(元データ)は、形成しようとする目標の配線パターンをデータ化したものであり、例えば、座標と回路幅で表すものである。露光に必要な情報を付加されたデータを有していてもよい。本発明においては、任意の配線パターンを用いることができる。
【0034】
露光データ作成装置102は、設計データから露光データを作成する装置であり、ここではCAM(Computer Aided Manufacturing)を用いる。露光装置104は、露光データ作成装置102によって作成された露光データに基づいて、基板上に配置された感光性レジストに、露光パターンを露光する装置である。例えば、レーザ光又はUV−LED光を用いて、直接感光性レジストに露光パターンを露光させる直接描画装置(DI:Direct Imaging)を用いることができる。露光データは、配線パターンに対応する露光パターンを、レーザ光又はUV光等を用いた直線描画装置等の露光装置によって、感光性レジストを感光させて形成するためのデータである。
【0035】
感光性レジストとは、フォトリソ法によって、銅箔等の金属箔をエッチングすることにより、配線パターンを形成する際に用いるエッチングレジストのことをいう。露光パターンとは、露光データに基づいて、感光性レジストに露光されたパターンをいい、その後の現像によって形成される現像パターンに対応するものである。現像パターン作成装置106は露光パターンが露光された感光性レジストを現像して現像パターンを形成する装置である。
【0036】
実パターン作成装置108は、現像パターンを形成した基板に対して回路加工を行ない、実パターンを形成する装置である。例えば、エッチング装置を用いることができる。回路加工とは、実パターンを形成することをいい、例えば、サブトラクト法により金属箔をエッチングして配線パターンを形成することが挙げられる。実パターンは実パターン形成手段によって形成することができる。実パターンとは、回路形成を行って実際に形成される配線パターンをいい、例えば、サブトラクト法により金属箔をエッチングして得られた配線パターンが挙げられる。
【0037】
上底及び下底データ作成装置110は、実パターンの上底(トップ)及び下底(ボトム)の座標と回路幅や間隙幅等の仕上がり値で表されたデータを作成する装置である。本実施形態においては、上底データの作成のために光学式外観検査装置(AOI:Automatic Optical Inspection)を用いる。AOIは、実パターンの上底(トップ)から反射する光を検出してそのパターンを数値化し、座標と回路幅や間隙幅等の仕上がり値で表されたデータとするのに用いることができる。また、下底データの作成のために、測定機能を有する金属顕微鏡(単に、「顕微鏡」ということがある。)を用いることができる。ここでは、上底及び下底データ作成装置110は、顕微鏡を用いて測定された下底仕上がり値の入力を受け付け、これに基づいて下底データを作成する。
【0038】
露光データ補正装置112は、上底及び下底データ作成装置110によって作成された第1の上底データ及び下底データを取得し、第1の上底データ及び下底データの相関関係を決定する。さらに、上底及び下底データ作成装置110によって作成された、第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得する。そして、第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、第2の上底データ及び決定された相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定し、第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを補正関数に基づいて補正する。
【0039】
設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子とは、設計データの配線パターン仕様の中で、それが変動することによって、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分に変化を生じさせる因子をいう。このような因子として、例えば、実パターンの設計データのパターン間隙、パターンサイズ、パターン厚さ、パターン位置、パターン粗密、パターン形状等の何れか又は何れか2以上の組み合せが挙げられる。本実施の形態においては、実パターンデータと元データとの差分を生じさせる因子として、配線パターンのパターン間隙(ここでは、ラインとラインの間隙)を用いる。補正関数とは、差分を生じさせる因子と差分を抑制するための露光データの補正量との関係を規定したものである。
【0040】
露光データ補正装置112として、本実施形態においては、
図2に示すハードウェア構成を備えるコンピュータ200を用いる。コンピュータ200は、処理部(プロセッサ)201、表示部202、入力部203、記憶部204、通信部205、及び、これらの各構成部品を接続するバス210を備える。表示部202はコンピュータ200において実行されるプログラムによって出力される画像を表示する。入力部203はユーザからの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボードやマウスである。記憶部204は不揮発性メモリや揮発性メモリ、ハードディスク等の情報を格納できるものであればいかなるものであってもよい。露光データ補正のための工程を実行するためのプログラム206が記憶部204に格納される。通信部205は、無線通信やイーサネット(登録商標)ケーブル、USBケーブル等を用いた有線通信を行う。通信部205を介して、上底及び下底データ作成装置110によって作成された上底データ及び下底データを取得してもよい。プログラム206が実行されると、処理部(プロセッサ)201は露光データ補正のための工程を実行する。露光データ補正装置112は、汎用コンピュータである必要はなく、各工程のすべて又は一部を実行するためのハードウェアとこれと協働して動作するソフトウェアによって実現されてもよい。
【0041】
本実施形態におけるシステムの動作フローを
図3に示す。まず、設計データ作成装置101が第1の実パターンのための設計データを作成し(工程301)、この設計データに基づいて、露光データ作成装置102が露光データを作成する(工程302)。露光装置104が、露光データ作成装置102によって作成された露光データに基づいて、基板上に配置された感光性レジストに露光パターンを露光する(工程304)。現像パターン作成装置106が、露光パターンが露光された感光性レジストを現像して現像パターンを形成し(工程306)、実パターン作成装置108が、現像パターンを形成した基板に対して回路加工を行ない、第1の実パターンを形成する(工程308)。上底及び下底データ作成装置110が第1の上底及び下底データを作成する(工程310)。第2の上底データが第1の実パターンの上底から作成される場合には、ここで第2の上底データも作成する。また、第1の実パターンから得られる全体のデータを第2の上底データとし、その一部を第1の上底データとすることもできる。
【0042】
次に、露光データ補正のために第2の実パターンを作成する必要があるか否かを判定する(工程312)。例えば、第2の上底データが第1の実パターンの上底から得られる場合には、第2の実パターンを作成する必要はない。必要であれば、設計データ作成工程301に戻り、同様の工程を行って第2の実パターンを形成し、工程310において第2の実パターンの上底データを作成する。第2の実パターンの下底データは作成しない。第2の実パターンの上底データを作成しない場合、又は、第2の実パターンを作成した後は、露光データ補正工程314を行って、露光データ補正のための動作フローを終了する。その後、補正された露光データに基づいて、例えば、露光装置104、現像パターン作成装置106、実パターン作成装置108を用いて、配線パターンを形成して、配線基板を製造する。
【0043】
図4において、露光データ補正工程314をより具体的に説明する。まず、露光データ補正装置112が、上底及び下底データ作成装置110によって作成された第1の実パターンの少なくとも一部の領域における上底から得られたデータに基づく第1の上底データを取得し(工程401)、第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底から得られたデータに基づく下底データを取得し(工程402)、第1の上底データと下底データとの相関関係を決定する(工程404)。さらに、露光データ補正装置112は、上底及び下底データ作成装置110によって作成された、第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底から得られたデータ又は第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底から得られたデータに基づく第2の上底データを取得する(工程406)。そして、第2の上底データを得るために使用された実パターンのための設計データ、第2の上底データ及び工程404において作成された相関関係に基づいて、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と当該差分を抑制するための補正量との関係を示す補正関数を決定し(工程408)、第2の上底データを得るために使用された実パターンのための露光データを補正関数に基づいて補正する(工程410)。
【0044】
下底から得られた下底データと上底から得られた上底データとの相関関係は、パターン間隙、パターンサイズ、パターンの厚さ、パターン位置、パターン粗密、パターン形状等に依存するものであると考えられる。したがって、一度、相関関係を決定した後は、同様のパターン間隙等については、その相関関係をAOIデータによって得られた他の上底データに適用することにより、当該他の上底データに対応する新たな下底の仕上がり値を手動で測定することなく、下底データを正確に推定することが可能となる。そして、この推定された下底データに基づいて、補正関数を作成することにより、露光データ補正量の誤差を抑制し、微細回路形成時の回路幅精度を向上させることが可能となる。
【0045】
補正関数はデータを取得する基板上の領域によって変化するものと考えられる。一方、上底データと下底データとの相関関係は、データを取得する基板上の領域によっては比較的変化しないと考えられる。このため、例えば、相関関係を決定するための第1の上底データ及び下底データのための測定は第1の実パターンの限定された領域のみで行うことで少ない手間で相関関係を決定し、決定された相関関係をこの第1の実パターン全体からAOIを用いて取得された第2の上底データに適用することで、第1の実パターンそれ自体に対しても、手間を軽減しつつ、基板全体の傾向を考慮したより正確な補正関数を得ることができる。
【0046】
相関関係及び補正関数が、基板上の領域によって変化する場合があるため、相関関係及び補正関数を配線パターンが配置された同一基板面の領域毎に決定してもよい。設計データと仕上がり値との関係は、同一基板上であっても領域によっては特異な関係となる場合がある。例えば、基板の中央付近においてはエッチング液が溜まりやすくエッチング速度が遅いため、パターン間隙が狭くなる傾向にあり、基板周辺においてはエッチング速度が速いため、パターン間隙が広くなる傾向がある。また、基板角においては、電気めっきによる銅膜形成時において電流が集中するため、銅膜が厚くなる傾向があり、上底データと下底データとの相関関係が他の領域と異なると考えられる。このため、同一基板面の領域毎に、本実施形態に従って、相関関係及び補正関数を決定することにより、より精度の高い回路形成を行うことが可能となる。
【0047】
また、補正関数を配線パターンが配置された同一基板の上面及び下面毎に決定してもよい。基板面の領域と同様に、相関関係及び補正関数が異なる場合がある。例えば、上面の方がエッチング液が溜まりやすくエッチング速度が遅いため、パターン間隙が狭くなる傾向にあり、下面においてはエッチング速度が速いため、パターン間隙が広くなる傾向がある。このため、同一基板面の上面及び下面毎に、本実施形態に従って相関関係及び補正関数を決定することにより、より精度の高い回路形成を行うことが可能となる。
【0048】
また、配線パターンにおける設計データと仕上がり値との関係が異なる場合があるため、補正関数を配線パターンにおける縦ライン及び横ラインのそれぞれに対して決定してもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は第1の実施形態の工程314(
図3、4)に代えて、工程500(
図5)を採用した点で第1の実施形態と異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様である。以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、同様の部分は省略する。
【0050】
発明の理解のため、基板として、絶縁層上に5μmの銅箔を有した厚さ0.22mmのMCL−E−700G(日立化成株式会社製 商品名)の銅張積層板を準備し、電気銅めっきで約19μmのめっきを施し、ハーフエッチング(基板全体の銅厚を薄くするための全面エッチング処理)により銅厚を約18μmにし、第1の実パターンとしてのテストパターンを露光し、回路形成を行い、相関関係抽出用基板を作成した場合を例にとって説明する。
【0051】
本実施形態において、工程310において作成される第1の上底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、下底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含む。
【0052】
本実施形態においては、仕上がり値として配線パターンの間隙幅を用いるが、例えば、回路幅等他の仕上がり値を用いた場合であっても同様に本発明を実施可能であることは当業者には明らかである。以下に説明する他の実施形態においても同様とする。
【0053】
ここでは、第1の実パターンの四隅及び中央の所定の領域において上底における間隙幅をAOIを用いて測定し、それぞれの間隙幅を測定した座標における設計データで定められた間隙幅との差分を補正量データとして算出する。同様に、下底データの補正量として、顕微鏡を用いて第1の実パターンの四隅及び中央の所定の領域の下底における間隙幅を測定し、それぞれの間隙幅を測定した座標における設計データの間隙幅との差分を補正量データとして算出する。ここでは、上底及び下底データのための測定を行う領域を同じ領域とする。同じ領域から得られたデータ間で比較することでより正確な上底データと下底データの相関関係を取得できる。
【0054】
前述の条件に基づいて得られた相関関係抽出用基板から作成された第1の上底データ及び下底データにおける補正量データは以下のとおりである。
【表1】
【0055】
表1におけるCADデータは設計データにおいて定められた間隙(ギャップ)幅(μm)を示す。AOI測定の仕上値は、設計データにおいて定められた間隙幅に対応するAOI測定によって得られたテストパターンの四隅及び中央領域における上底の間隙幅(μm)を示すものであり、補正量はCADデータの間隙幅(μm)とAOI測定の間隙幅との差分を1/2にしたものである。1/2とするのは、間隙の両端に対して適用する補正量という意味である。顕微鏡測定についても同様である。顕微鏡測定の仕上値は、顕微鏡測定によって得られたテストパターンの四隅及び中央領域における下底の間隙幅を示すものであり、補正量はCADデータの間隙幅と顕微鏡測定の間隙幅との差分を1/2にしたものである。例えば、CADデータ=20、AOI測定仕上値=44.1、顕微鏡測定仕上値=28.4は、設計としては20μmの間隙となるべきところが、AOIによって測定された上底における間隙幅は44.1μmであり、顕微鏡によって測定された間隙幅は28.4μmであったことを意味する。そして、AOI測定仕上値に基づけば、CADデータのこの間隙は両端で12.0μm補正するべきであり、顕微鏡測定に基づけば、4.2μm補正すべきであることになる。
【0056】
次に、露光データ補正装置112は、上底データ及び下底データ作成装置110によって工程310において作成された第1の上底データ及び下底データを取得し(工程501、502)、第1の上底データにおける補正量データに基づいて第1の仮補正関数を決定し(工程504)、下底データにおける補正量データに基づいて第2の仮補正関数を決定し(工程506)、第1の仮補正関数から得られる補正量と当該補正量に対応する第2の仮補正関数から得られる補正量との差分(シフト量)に基づいて補正量差分関数を作成する(工程508)。
【0057】
本実施形態において第1の仮補正関数は、表1及び
図6に示された設計データにおける間隙幅に対するAOI測定間隙幅のための補正量を表す関数(AOI測定補正関数(エッチングカーブ))であり、第2の仮補正関数は、設計データにおける間隙幅に対する顕微鏡測定間隙幅のための補正量を表す関数(顕微鏡測定補正関数)である。ここでは、表1及び
図6に示された各設計データにおける間隙と補正量の関係をそれぞれの仮補正関数とするが、測定データに基づく近似式によって仮補正関数を決定してもよい。そして、補正量差分関数は、表1及び
図6に示される設計データにおける間隙幅に対する第1の仮補正関数から得られる補正量と当該補正量に対応する第2の仮補正関数から得られる補正量との差分(シフト量)を表す関数である。仮補正関数と同様に、表1及び
図6に示された各設計データにおける間隙とシフト量の関係を補正量差分関数とするが、測定データに基づく近似式によって補正量差分関数を決定してもよい。
【0058】
次に、工程510において第2の上底データを取得する。本実施形態において第2の上底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含む。
【0059】
そして、第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び第2の上底データに基づいて第3の仮補正関数を決定し(工程512)、補正量差分関数に基づいて第3の仮補正関数を修正して補正関数を決定し(工程514)、この補正関数に基づいて露光データを補正する(工程516)。
【0060】
ここでは、第2の上底データは、第1の実パターンの四隅及び中央を含む実パターン全体における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含むものとする。したがって、第2の上底データを取得するために使用した実パターンは、第1の実パターンである。
【0061】
前述の条件に基づいて得られた相関関係抽出用基板から作成された第2の上底データにおける補正量データは以下のとおりである。
【表2】
【0062】
表2におけるCADデータは設計データにおいて定められた間隙幅(μm)を示す。AOI測定の補正量は、AOI測定によって得られたテストパターンの上底における間隙幅(μm)とCADデータの間隙幅(μm)との差分を1/2にしたものである。シフト量は表1のシフト量(AOI測定のための補正量と顕微鏡測定のための補正量の差分)である。本実施形態において補正量差分関数は、表2及び
図7に示された設計データにおける間隙幅に対するシフト量を表わす関数である。
【0063】
本実施形態において第3の仮補正関数は、表2及び
図7に示された設計データにおける間隙幅に対するAOI測定間隙幅のための補正量を表す関数(AOI測定補正関数(エッチングカーブ))である。そして、第3の仮補正関数を補正量差分関数(シフト量)によってシフトすることによって修正する。ここでは、各設計データの間隙値に対するAOI測定のための補正量からシフト量を減算することにより、補正関数を得る。補正関数は、設計データにおける間隙幅に対する修正された補正量(表2のシフト後の補正量)を表す関数である。ここでは、表2及び
図7に示された設計データにおける間隙幅に対するシフト後補正量の関係を補正関数とするが、測定データに基づく近似式によって補正関数を決定してもよい。
【0064】
本実施形態においては、第2の上底データは、第1の実パターンの四隅及び中央を含む実パターン全体における上底で測定された仕上がり値に基づいて得られたが、第1の上底データを得るために使用された第1の実パターンの四隅及び中央を含まない部分のみとしてもよいし、第1の実パターンとは異なる第2の実パターンにおける上底で測定された仕上がり値に基づいてもよい。他の実施形態においても同様とする。
【0065】
[実施形態3]
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。本実施形態は第1の実施形態の工程314(
図3、4)に代えて、工程800(
図8)を採用した点で第1の実施形態と異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様である。以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、同様の部分は省略する。また、第2の実施形態において説明された条件と同じ条件によって作成した相関関係抽出用基板を例にとって説明する。
【0066】
本実施形態において、工程310において作成される第1の上底データは、第1の実パターンの上底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、下底データは、第1の実パターンの下底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含む。第1の実パターンの四隅及び中央の所定の領域において上底における間隙幅をAOIを用いて上底データを測定し、下底データとして顕微鏡を用いて同様に第1の実パターンの四隅及び中央の所定の領域の下底における間隙幅を測定する。
【0067】
露光データ補正装置112は、上底データ及び下底データ作成装置110によって工程310において作成された第1の上底データ及び下底データを取得し(工程801、802)、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と第1の上底データにおける仕上がり値との関係を示す第1の仕上がり値関数を決定し(工程804)、設計データにおいて定められた仕上がり値と実パターンにおける仕上がり値との差分を生じさせる因子と下底データにおける仕上がり値との関係を示す第2の仕上がり値関数を決定し(工程806)、第1の仕上がり値関数と第2の仕上がり値関数との差分に基づく仕上がり値差分関数を決定する(工程808)。これにより、上底データと下底データとの相関関係を決定する。
【0068】
前述の条件に基づいて得られた相関関係抽出用基板から作成された第1の上底データ及び下底データにおける仕上がり値データは以下のとおりである。
【表3】
【0069】
表1と同様に、表3におけるCADデータは設計データにおいて定められた間隙幅(μm)を示し、AOI測定及び顕微鏡の仕上値は設計データにおいて定められた間隙幅に対応する測定によって得られたテストパターンの四隅及び中央領域における上底及び下底の間隙幅(μm)を示す。表3における測定された仕上がり値は、表1に示されたものと同じものを使用する。差分は各CADデータの間隙幅に対応するAOI測定の間隙幅と顕微鏡測定の間隙幅の差分を1/2にしたものである。例えば、CADデータ=20、AOI測定仕上値=44.1、顕微鏡測定仕上値=28.4は、設計としては20μmの間隙となるべきところが、AOIによって測定された上底における間隙幅は44.1μmであり、顕微鏡によって測定された間隙幅は28.4μmであったことを意味する。そして、AOI測定仕上値と顕微鏡測定仕上値との差分は15.7であり、その1/2の値を四捨五入した値として、仕上値差分=7・8μmが得られた。
【0070】
本実施形態において第1の仕上がり値関数は、表3及び
図9に示された設計データにおける間隙幅に対するAOI測定間隙幅の仕上がり値を表す関数(AOI測定仕上値関数)であり、第2の仕上がり値関数は、設計データにおける間隙幅に対する顕微鏡測定間隙幅の仕上がり値を表す関数(顕微鏡測定仕上値関数)である。ここでは、表3及び
図9に示された各設計データにおける間隙と仕上がり値の関係をそれぞれの仕上がり値関数とするが、測定データに基づく近似式によって仕上がり値関数を決定してもよい。そして、仕上がり値差分関数は、表3及び
図9に示される各設計データにおける間隙に対するAOI測定仕上値と顕微鏡測定仕上値との差分を表す関数である。仕上がり値関数と同様に、表3及び
図9に示された各設計データにおける間隙に対するAOI測定仕上値と顕微鏡測定仕上値との差分の関係を仕上がり値差分関数とするが、測定データに基づく近似式によって仕上がり値差分関数を決定してもよい。
【0071】
次に、工程810において、第2の上底データを取得する。本実施形態において、第2の上底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含む。
【0072】
そして、第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定し(工程812)、仕上がり値差分関数に基づいて前記仮補正関数を修正して補正関数を決定する(工程814)。
【0073】
ここでは、第2の上底データは、第2の実施形態と同じものを使用する。前述の条件に基づいて得られた相関関係抽出用基板から作成された第2の上底データにおける補正量データ(AOI測定)は表4に示すとおりであり、これは表2に示したものと同じである。
【表4】
【0074】
本実施形態において仮補正関数は、表4及び
図10に示された設計データにおける間隙幅に対するAOI測定間隙幅のための補正量を表す関数(AOI測定補正関数(エッチングカーブ))である。そして、この仮補正関数を仕上がり値差分関数によってシフトすることによって修正する。ここでは、各設計データの間隙値に対するAOI測定のための補正量から仕上値差分(シフト量)を減算することにより補正関数を得る。補正関数は、設計データにおける間隙幅に対する修正された補正量を表す関数である。ここでは、表4及び
図10に示された設計データにおける間隙幅に対するシフト後補正量の関係を補正関数とするが、測定データに基づく近似式によって補正関数を決定してもよい。
【0075】
[実施形態4]
本発明の第4の実施形態について以下に説明する。本実施形態は第1の実施形態の工程314(
図3、4)に代えて、工程1100(
図11)を採用した点で第1の実施形態と異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様である。以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、同様の部分は省略する。また、第2の実施形態において説明された条件と同じ条件によって作成した相関関係抽出用基板を例にとって説明する。
【0076】
本実施形態において、工程310において作成される第1の上底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域において上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含み、下底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域における下底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含む。
【0077】
第2の上底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第1の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データ又は第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値と当該仕上がり値に対応する第2の実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値との差分に基づく補正量データを含む。
【0078】
露光データ補正装置112は、上底データ及び下底データ作成装置110によって工程310において作成された第1の上底データ及び下底データを取得し(工程1101、1102)、第1の上底データにおける補正量データにおいて示される補正量と当該補正量に対応する下底データにおける補正量データにおいて示される補正量との補正量相関関数を決定する(工程1104)。これにより、上底データと下底データとの相関関係を決定する。
【0079】
そして、第2の上底データを取得した後(工程1106)、第2の上底データを取得するために使用した実パターンのための設計データ及び第2の上底データに基づいて仮補正関数を決定し(工程1108)、補正量相関関数に基づいて仮補正関数を修正して補正関数を決定し(工程1110)、この補正関数に基づいて露光データを補正する(工程1112)。
【0080】
前述の条件に基づいて得られた相関関係抽出用基板から作成された第1の上底データ及び下底データにおける補正量データは実施形態2に関連して表1に示したとおりである。表1におけるAOI測定に基づく補正量に対する顕微鏡測定に基づく補正量の関係をグラフに示したものが
図12である。例えば、CADデータ=20の行をみると、AOI測定に基づく補正量=12.1であり、これに対して顕微鏡測定に基づく補正量=4.2である。この場合、(x、y)=(12.1、4.2)の座標をプロットする。これをすべてのデータについて行った後、近似式により相関関係式を決定する。ここでは線形近似により相関関係式を決定し、補正量相関関数としてy = 1.2861x - 10.563を得た。
【0081】
相関関係抽出用基板から作成された第2の上底データにおける補正量データは以下に示すとおりである。AOI測定に基づく補正量をxとして、前述の補正量相関関数(y = 1.2861x - 10.563)に代入することにより、修正された補正量yを算出する。
【表5】
【0082】
本実施形態において仮補正関数は、表5及び
図13に示された設計データにおける間隙幅に対するAOI測定間隙幅のための補正量を表す関数(AOI測定補正関数(エッチングカーブ))である。そして、仮補正関数を補正量相関関数によって修正することによって補正関数を得る。補正関数は、設計データにおける間隙幅に対する修正された補正量を表す関数である。ここでは、表5及び
図13に示された設計データにおける間隙幅に対する修正後補正量の関係を補正関数とするが、測定データに基づく近似式によって補正関数を決定してもよい。
【0083】
[実施形態5]
本発明の第5の実施形態について以下に説明する。本実施形態は第1の実施形態の工程314(
図3、4)に代えて、工程1400(
図14)を採用した点で第1の実施形態と異なるが、その他の点は第1の実施形態と同様である。以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分のみを説明し、同様の部分は省略する。また、第2の実施形態において説明された条件と同じ条件によって作成した相関関係抽出用基板を例にとって説明する。
【0084】
本実施形態において、工程310において作成される第1の上底データは、第1の実パターンの上底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含み、下底データは、第1の実パターンの下底の少なくとも一部の領域において測定された仕上がり値を含む。
【0085】
露光データ補正装置112は、上底データ及び下底データ作成装置110によって作成された第1の上底データ及び下底データを取得し(工程1401、1402)、第1の上底データにおいて測定された仕上がり値と下底データにおいて測定された仕上がり値との仕上がり値相関関数を決定する(工程1404)。これにより、上底データと下底データとの相関関係を決定する。
【0086】
工程1406において、第2の上底データを取得する。第2の上底データは、第1の実パターンの少なくとも一部の領域とは異なる領域を含む領域における上底で測定された仕上がり値又は第1の実パターンとは異なる第2の実パターンの上底で測定された仕上がり値を含む。
【0087】
決定された仕上がり値相関関数に基づいて、第2の上底データにおける仕上がり値から対応する下底における仕上がり値の推定値を計算し(工程1408)、第2の上底データを得るために使用した実パターンのための設計データにおいて定められた仕上がり値と当該仕上がり値に対応する推定された下底における仕上がり値との差分に基づいて補正関数を決定する(工程1410)。この補正関数に基づいて露光データを補正する(工程1412)。
【0088】
前述の条件に基づいて得られた相関関係抽出用基板から作成された第1の上底データ及び下底データにおける仕上値は第3の実施形態に関連して表3に示したとおりである。表3におけるAOI測定に基づく仕上値に対する顕微鏡測定に基づく仕上値の関係をグラフに示したものが
図15である。例えば、CADデータ=20の行をみると、AOI測定における仕上がり値=44.1であり、これに対して顕微鏡測定に基づく仕上がり値=28.4である。この場合、(x、y)=(44.1、28.4)の座標をプロットする。これをすべてのデータについて行った後、近似式により相関関係式を決定する。ここでは線形近似により相関関係式を決定し、仕上がり値相関関数としてy = 1.0177x - 13.389を得た。
【0089】
相関関係抽出用基板から作成された第2の上底データにおける仕上がり値データは以下に示すとおりである。AOI測定に基づく仕上がり値をxとして、前述の補正量相関関数(y = 1.0177x - 13.389)に代入することにより、推定される下底仕上がり値(間隙幅)を算出する。そして、その算出された推定仕上がり値(間隙幅)とCADデータにおける設計上の仕上がり値との差分を1/2にしたものを補正量とする。
【0091】
この表に示された設計データにおける間隙幅に対する補正量を補正関数(エッチングカーブ)として示すと
図16のとおりとなる。ここで補正関数は、設計データにおける間隙幅に対する推定された仕上がり値に基づく補正量を表す関数である。ここでは、表6及び
図16に示された設計データにおける間隙幅に対する補正量の関係を補正関数とするが、算出されたデータに基づく近似式によって補正関数を決定してもよい。
【実施例】
【0092】
本実施形態の効果を確認するために、5μmの銅箔を有した厚さ0.22mmのMCL−E−700G(日立化成株式会社製 商品名)の銅張積層板を準備し、電気銅めっきで約19μmのめっきを施し、ハーフエッチングにより銅厚を約18μmにし、上述の実施形態2〜5によって得られた補正関数で露光データを補正し、実パターンの露光・現像・回路形成を行い、回路形成基板を作成した。実施形態2〜5の工程によって作成された補正関数を用いて形成された回路形成基板をそれぞれ実施例1〜4とする。
【0093】
[比較例1]
比較例1として、5μmの銅箔を有した厚さ0.22mmのMCL−E−700G(日立化成株式会社製 商品名)の銅張積層板を準備し、電気銅めっきで約19μmのめっきを施し、ハーフエッチングにより銅厚を約18μmにし、テストパターンを露光し、回路形成を行い、補正関数抽出用基板を作成した。そして、この補正関数抽出用基板を顕微鏡にて回路幅及び間隙幅を測定し、この測定値より補正関数(エッチングカーブ)を作成した。
【0094】
5μmの銅箔を有した厚さ0.22mmのMCL−E−700G(日立化成株式会社製 商品名)の銅張積層板を準備し、電気銅めっきで約19μmのめっきを施し、ハーフエッチングにより銅厚を約18μmにし、前記補正関数(ボトム幅)で露光データを補正し、実パターンの露光・現像・回路形成を行い、回路形成基板を作成した。
【0095】
[比較例2]
5μmの銅箔を有した厚さ0.22mmのMCL−E−700G(日立化成株式会社製 商品名)の銅張積層板を準備し、電気銅めっきで約19μmのめっきを施し、ハーフエッチングにより銅厚を約18μmにし、テストパターンを露光し、回路形成を行い、補正関数抽出用基板を作成する。補正関数抽出用基板を光学式自動外観検査装置にて回路幅及び間隙幅を測定し、前記測定値より補正関数(エッチングカーブ)を作成した。
【0096】
5μmの銅箔を有した厚さ0.22mmのMCL−E−700G(日立化成株式会社製 商品名)の銅張積層板を準備し、電気銅めっきで約19μmのめっきを施し、ハーフエッチングにより銅厚を約18μmにし、補正関数(トップ幅)で露光データを補正し、実パターンの露光・現像・回路形成を行い、回路形成基板を作成した。
【0097】
[比較]
表7及び8に実施例1〜4、比較例1及び比較例2の測定結果を示す。表7及び8の各項目は、ライン(回路幅)についての設計値及び顕微鏡測定値を示す。また、表7の「L/S=50/40」は、L(ライン:回路幅)が50μm、S(スペース:間隙幅)が40μmの設計仕様であることを示し、表8の「L/S=50/50」は、L(ライン:回路幅)が50μm、S(スペース:間隙幅)が50μmの設計仕様であることを示す。実施例1及び2は上底データと下底データの相関関係を決定するに際して、上底及び仕上がり値に基づく補正量の差分に基づくか、仕上がり値そのものの差分に基づくかの違いだけであるため、最終的に得られる補正関数は同じとなる。そのため、実施例1及び2によって得られる結果も同じとなる。
【表7】
【0098】
【表8】
【0099】
表7に示すとおり、L/S=50/40の設計仕様については、実施例1及び2における回路幅の寸法精度(ばらつき:3σ)は、上面6.7、下面8.8μmであり、実施例3においては上面6.5、下面8.4μm、実施例4においては上面6.7、下面9.0μmであった。これに対して、比較例1においては上面7.1、下面9.7μmであり、比較例2においては、上面7.6、下面20.5μmであった。
【0100】
また、表8に示すとおり、L/S=50/50の設計仕様については、実施例1及び2における回路幅の寸法精度(ばらつき:3σ)は、上面6.0、下面7.7μmであり、実施例3においては上面5.8、下面7.4μm、実施例4においては上面6.0、下面8.3μmであった。これに対して、比較例1においては上面6.4、下面9.2μmであり、比較例2においては、上面6.0、下面8.8μmであった。
【0101】
この結果から、上面及び下面におけるばらつきにおいて本発明の実施例1〜4はいずれも比較例と比べて良い特性を示し、本発明を用いることにより回路幅精度が向上することがわかった。
【0102】
以上に説明してきた各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。