【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0041】
また、本実施例における原料の転化率、生成物の収率は、ガスクロマトグラフ分析で確認した。ガスクロマトグラフ分析は、ガスクロマトグラフGC−2014(島津製作所製)を用い、カラムにはDB−5(アジレント・テクノロジー社製)、検出器にはFIDを用いた。尚、ピペラジン及びトリエチレンジアミンの収率は、原料であるジエチレントリアミンとアミン類からの収率として下式に従って算出し、ピペラジンの選択率は、ピペラジンとトリエチレンジアミン中のピペラジンの割合(重量%)として算出した。
【0042】
【数1】
(触媒調製方法)
以下の方法で実施例及び比較例で使用する触媒層を調製した。
【0043】
市販のZSM−5型ゼオライト(東ソー社製、SiO
2/Al
2O
3=70)を用いて、公知の方法(例えば、触媒、23、(1981年)232頁)に従って、水素イオンをNaイオンにイオン交換を行い、Naイオン交換率の異なるZSM−5型ゼオライトを得た。
【0044】
また、その際に得られたNa及び他の金属イオンの含有量は、元素分析により確認した。
【0045】
次いで、性能を比較するため、それらを加圧成型器で成型後、乳鉢で破砕、篩で分級し、3.5メッシュの成型体として、直径15mmのガラス反応管に20ml充填し、その上下部にそれぞれセラミックス製ラシヒリング(直径3mm×長さ3mm×厚さ1mm)を詰め、触媒層として反応に使用した。
【0046】
(反応条件)
実施例及び比較例において、以下の方法で、ピペラジン及びトリエチレンジアミンを同時に合成した。
【0047】
上記の触媒層の温度を290℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。
【0048】
最初に、アルカリ金属としてNaイオンでの交換率による影響を検討した。
【0049】
実施例1
Na交換率が100%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が55モル%、トリエチレンジアミンの収率が45モル%から、ピペラジンの選択率は65重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。結果をまとめて表1に示した。
【0050】
実施例2
Na交換率が92%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が55モル%、トリエチレンジアミンの収率が42モル%から、ピペラジンの選択率は67重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0051】
実施例3
Na交換率が89%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が53モル%、トリエチレンジアミンの収率が42モル%から、ピペラジンの選択率は66重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は1%であった。
【0052】
実施例4
Na交換率が74%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が54モル%、トリエチレンジアミンの収率が43モル%から、ピペラジンの選択率は64重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は21%であった。
【0053】
実施例5
Na交換率が69%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が53モル%、トリエチレンジアミンの収率が43モル%から、ピペラジンの選択率は62重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は32%であった。
【0054】
実施例6
Na交換率が62%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が56モル%、トリエチレンジアミンの収率が44モル%から、ピペラジンの選択率は64重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は31%であった。
【0055】
実施例7
Na交換率が50%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が52モル%、トリエチレンジアミンの収率が47モル%から、ピペラジンの選択率は60重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は35%であった。
【0056】
比較例1
Na交換率が40%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が51モル%、トリエチレンジアミンの収率が47モル%から、ピペラジンの選択率は59重量%と60重量%以下であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は41%であった。
【0057】
比較例2
Na交換率が1%のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液の反応を行った。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が47モル%、トリエチレンジアミンの収率が43モル%から、ピペラジンの選択率は59重量%と60重量%以下であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は60%であった。
【0058】
実施例1〜7及び比較例1〜2の結果を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】
上記表1から、ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した系で反応した場合、触媒であるZSM−5型ゼオライトのNaイオン交換率が50%以上であれば、ピペラジンとトリエチレンジアミンの合計収率が95モル%以上、選択率が60重量%以上となり、交換率の低い場合に比べて明らかに収率と選択性が向上することが判明した。
【0060】
次に、アルカリ金属として、Naイオン以外であるLiイオン、Kイオン、Rbイオン、及びCsイオンでの交換率による影響を検討した。
【0061】
実施例8
公知の方法で水素イオンを20%の交換率でNaイオンに交換したZSM−5型ゼオライトと、50%の交換率でLiイオン交換した市販のZSM−5型ゼオライト(東ソー社製、SiO
2/Al
2O
3=70)とを触媒に用いたこと以外は実施例1と同様の操作により反応を行った。
【0062】
得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が56モル%、トリエチレンジアミンの収率が36モル%、ピペラジンの選択率が69重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は15%であった。
【0063】
実施例9
公知の方法で水素イオンを76%の交換率でKイオン交換した市販のZSM−5型ゼオライト(東ソー社製、SiO
2/Al
2O
3=70)を触媒に用いたこと以外は実施例1と同様の操作により反応を行った。
【0064】
得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が63モル%、トリエチレンジアミンの収率が36モル%、ピペラジンの選択率が72重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は15%であった。
【0065】
実施例10
公知の方法で水素イオンを66%の交換率でRbイオン交換した市販のZSM型ゼオライト(東ソー社製、SiO
2/Al
2O
3=70)を触媒に用いたこと以外は実施例1と同様の操作により反応を行った。
【0066】
得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が60モル%、トリエチレンジアミンの収率が40モル%、ピペラジンの選択率が67重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は16%であった。
【0067】
実施例11
公知の方法で水素イオンを87%の交換率でCsイオン交換した市販のZSM−5型ゼオライト(東ソー社製、SiO
2/Al
2O
3=70)を触媒に用いたこと以外は実施例1と同様の操作により反応を行った。
【0068】
得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が99%、ピペラジンの収率が60モル%、トリエチレンジアミンの収率が40モル%、ピペラジンの選択率が65重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は3%であった。
【0069】
【表2】
この結果から、同程度のイオン交換率であるNaイオンと比較して、Liイオン、Kイオン、Rbイオンで交換するとPIP選択率が向上し、また、Csイオンで交換してもPIP+TEDAの収率が向上することが明らかとなった。
【0070】
さらに、Na交換率が60%以上のZSM−5型ゼオライトを用いて、ジエチレントリアミン1モルに対して添加するエチレンジアミンのモル比、反応温度、ZSM−5型ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3のモル比、及び、ジエチレントリアミンの濃度を変えた実施例及び比較例を以下に示す。
【0071】
実施例12
ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン2モルとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。充填した触媒層の温度を290℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン2モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が50モル%、トリエチレンジアミンの収率が46モル%、ピペラジンの選択率が62重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0072】
実施例13
ジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン6モルとしたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。充填した触媒層の温度を290℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン6モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%であり、ピペラジンの収率が57モル%、トリエチレンジアミンの収率が35モル%、ピペラジンの選択率が69重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0073】
実施例14
公知の方法で水素イオンをNaイオン交換した市販のZSM−5型ゼオライト(東ソー社製、SiO
2/Al
2O
3=28)を触媒とし、反応温度を320℃にしたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が98%、ピペラジンの収率が48モル%、トリエチレンジアミンの収率が34モル%、ピペラジンの選択率が65重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は47%であった。
【0074】
実施例15
実施例1で使用したZSM−5型ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3比を40の触媒としたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が59モル%、トリエチレンジアミンの収率が41モル%、ピペラジンの選択率が66重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は9%であった。
【0075】
実施例16
実施例1で使用したZSM−5型ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3比を52の触媒としたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が55モル%、トリエチレンジアミンの収率が45モル%、ピペラジンの選択率が64重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は9%であった。
【0076】
実施例17
実施例1で使用したZSM−5型ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3比を200の触媒としたこと以外は実施例1に記載の方法と同様の操作により反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が98%、ピペラジンの収率が47モル%、トリエチレンジアミンの収率が36モル%、ピペラジンの選択率が67重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0077】
実施例18
実施例1で使用したZSM−5型ゼオライトのSiO
2/Al
2O
3比を50の触媒とし、反応温度を350℃としたこと以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が50モル%、トリエチレンジアミンの収率が38モル%、ピペラジンの選択率が62重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は94%であった。
【0078】
比較例3
反応温度を410℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が27モル%、トリエチレンジアミンの収率が73モル%、ピペラジンの選択率が31重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は100%であった。
【0079】
比較例4
原料のジエチレントリアミンにエチレンジアミンを添加しなかった以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が99%、ピペラジンの収率が22モル%、トリエチレンジアミンの収率が25モル%、ピペラジンの選択率が47重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0080】
比較例5
原料のジエチレントリアミンにエチレンジアミンを添加せず、反応温度を320℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が30モル%、トリエチレンジアミンの収率が61モル%、ピペラジンの選択率が27重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0081】
比較例6
原料のジエチレントリアミンにエチレンジアミンを添加せず、反応温度を350℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が20モル%、トリエチレンジアミンの収率が74モル%、ピペラジンの選択率が17重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は0%であった。
【0082】
以下の表3に実施例12〜18及び比較例3〜6の結果を纏めて示す。
【0083】
【表3】
以上の通り、エチレンジアミンをジエチレントリアミンに対して添加しなかった場合は、添加した場合と比べると、ピペラジンの選択率も60重量%を大きく下回り、明らかに低下した。
【0084】
さらに、原料のアミン水溶液の滴下速度を変えて、反応を検討した。
【0085】
実施例19
原料のアミン水溶液の滴下速度を半分に減速し、反応温度を300℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。即ち、充填した触媒層の温度を300℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.17ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が52モル%、トリエチレンジアミンの収率が48モル%、ピペラジンの選択率が60重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は54%であった。
【0086】
実施例20
原料のアミン水溶液の滴下速度を倍に加速し、反応温度を300℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。即ち、充填した触媒層の温度を300℃に保ち、上部よりジエチレントリアミン1モルに対してエチレンジアミン4モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.68ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が56モル%、トリエチレンジアミンの収率が44モル%、ピペラジンの選択率が68重量%であった。尚、添加したエチレンジアミンの転化率は13%であった。
【0087】
【表4】
この表4から、原料のアミン水溶液の滴下速度を変化させても、ピペラジンの収率、トリエチレンジアミンの収率、及び、ピペラジンの選択率は余り変化しないことが分かった。
【0088】
次いで、前記のようにして得られたアルカリ金属イオン交換率60%以上のZSM−5型ゼオライトを触媒として、原料のアミン類の種類をエチレンジアミンからトリエチレンテトラミンに代えた影響を検討した。
【0089】
実施例21
原料のアミン類の種類をエチレンジアミンからトリエチレンテトラミンに代えた以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。即ち、充填した触媒層の温度を290℃に保ち、上部よりNa交換率が100%のZSM−5型ゼオライトを用いて、トリエチレンテトラミン1モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が97%、ピペラジンの収率が50モル%、トリエチレンジアミンの収率が25モル%、ピペラジンの選択率が74重量%であった。尚、添加したトリエチレンテトラミンの転化率は3%であった。
【0090】
実施例22
原料のアミン類の種類をエチレンジアミンからトリエチレンテトラミンに代え、反応温度を300℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。即ち、Na交換率が100%のZSM−5型ゼオライトを用いて、トリエチレンテトラミン1モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が60モル%、トリエチレンジアミンの収率が33モル%、ピペラジンの選択率が71重量%であった。尚、添加したトリエチレンテトラミンの転化率は12%であった。
【0091】
実施例23
原料のアミン類の種類をエチレンジアミンからトリエチレンテトラミンに代え、反応温度を310℃とした以外は、実施例1に記載の方法と同様に反応した。即ち、充填した触媒層の温度を310℃に保ち、上部よりNa交換率が100%のZSM型ゼオライトを用いて、トリエチレンテトラミン1モルを添加した10%ジエチレントリアミン水溶液を0.34ml/分の速度で滴下した。得られた反応混合ガスをコンデンサーで冷却し、反応混合液を得た。生成物を分析した結果、ジエチレントリアミンの転化率が100%、ピペラジンの収率が60モル%、トリエチレンジアミンの収率が40モル%、ピペラジンの選択率が67重量%であった。尚、添加したトリエチレンテトラミンの転化率は23%であった。
【0092】
【表5】
以上から、本触媒を用いた反応方法は、原料がジエチレントリアミンとトリエチレンテトラミンの場合にも、ピペラジンを主とするトリエチレンジアミンの併産方法として有効であることが示された。