(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
【0009】
<実施の形態1>
図1(a)(b)に示す本実施の形態に係る発光装置10は、発光素子20と、発光素子20の側面23側に設けられた透光性部材30と、透光性部材30の外面33を覆う被覆部材40とを含む。発光装置10は、発光面として機能する第1の面(上面)11側に、拡散部材50と、拡散部材の第1の面(上面)51側に、波長変換部材60を備えることができる。
【0010】
図1(b)は、
図1のA−A線(発光素子20の対向する一対の側面23と直交する線)に沿った概略断面図である。
図1(b)に示すように、発光素子20は、透光性基板27と、透光性基板27の下面側に形成された半導体積層体28とを含むことができる。発光素子20は、透光性基板27側の第1の面(上面)21と、第1の面21と対向する半導体積層体28側の第2の面(下面)22と、第1の面21と第2の面22との間に複数の側面23とを有している。発光素子20で発光した光は、半導体積層体28から透光性基板27を通って、又は半導体積層体28から発光素子20の側面23および透光性部材30と拡散部材50と波長変換部材60を通って、発光装置10の第1の面11側に取り出される。
【0011】
発光素子20の第2の面22(
図1(b)では、半導体積層体28側)には、発光素子20に通電するための一対の電極251、252が設けられている。なお、本明細書において、発光素子20の「第2の面22」は、電極251、252を含まない状態における発光素子20の面を指している。本実施の形態では、第2の面22は、半導体積層体28の下面と一致する。
【0012】
一対の電極を構成する2つの電極251、252の各々は、任意の形状にすることができる。例えば、電極251、252は、発光装置10の第2の面12側から見たときに一方向に伸びた長方形とすることができる。なお、電極251、252は、同じ形状でなくてもよい。また、2つの電極251、252は、互いに離間していれば、任意に配置することができる。
【0013】
透光性部材30は、発光素子20の側面23を、少なくとも発光層を覆うように設けられており、その側面23から出射される光を発光装置10の第1の面11方向に導光する。つまり、発光素子20の側面23に到達した光がその側面23で反射されて発光素子20内で減衰する前に、その光を透光性部材30を通して発光素子20の外側に取り出すことができる。透光性部材30を設けることにより、光の損失を抑制して、発光装置10の光取出し効率を向上できる。
【0014】
特に、発光素子20の側面23が、第2の面22に対して傾斜している場合、例えば、発光素子20の側面23と第2の面22との成す角度が鋭角である場合に、透光性部材30の効果が顕著になる。例えば、発光素子20の製造工程において、劈開によって発光素子20を個片化している場合には、発光素子20の側面23が第2の面22に対して垂直にならない場合がある。一般的には、
図1のA−A線に沿った断面(
図1(b))において、発光素子20は平行四辺形になる。つまり、第1の面21と第2の面22が平行で、対向する2つの側面23が平行であり、各側面23は、第1の面21および第2の面22に対して傾斜した発光素子20になる。一方の側面23については第2の面22とのなす角度が鈍角になるので、当該一方の側面23で反射された光は、発光素子20の第1の面21に向かってそのまま発光装置10の外部に取り出され得る。しかし、他方の側面23については、第2の面22とのなす角度が鋭角になるので、当該他方の側面23で反射された光は、第2の面22に向かって、発光素子20内で減衰し得る。
【0015】
この他方の側面23を透光性部材30で覆うことにより、他方の側面23に到達した光を、透光性部材30を通して発光装置10の外側に取り出すことができる。また、発光素子の個片化を劈開する場合のほか、例えば、サファイア基板上にn型半導体層、発光層(活性層)、p型半導体層を積層させた後、p型半導体層の一部及び発光層の一部をエッチングして、n型半導体層の一部又はサファイア基板の一部が露出する場合がある。このような場合、エッチングの条件等によっては、p型半導体層、活性層、n型半導体層、サファイア基板の側面が傾斜する場合がある。このような場合も、透光性部材30で傾斜した側面を覆うことで、透光性部材30を通して発光装置の外側に光を取り出すことができる。
【0016】
発光素子20の第1の面と拡散部材50とは、接着剤35によって接着されていてもよい。接着剤35は、透光性であることが好ましく、その材料としては、透光性部材30と同じ材料、又は異なる材料が挙げられる。また、発光素子と拡散部材の間だけではなく、透光性部材と拡散部材との間にも接着部材を設けてもよい。その場合、たとえば、後述のように、シート状の拡散部材の上に接着部材を配置し、その上に発光素子20を置いた際、発光素子20の側面よりも外側へはみ出すようにして接着部材を設けることができる。この時、接着剤が発光素子の側面にも接するように設けることができる。このような接着部材を設けた後に、透光性部材30を設けることで、発光素子の側面において、接着部材が接する領域と、透光性部材とが接する領域と、が存在することになる。換言すると、発光素子の側面に、接着部材と透光性部材とが重ねて形成されていることになる。
【0017】
拡散部材50の形状はその上面が平面、凸形、凹形、あるいは、複数の凹凸を備えた形状とすることができる。また、上面視形状は、四角形、円形、楕円形等とすることができる。凸形とする場合は、その高さ、すなわち、発光素子の第1の面21から波長変換部材の第2の面62までの高さを80μm以内とすることができる。ただし、波長変換部材に使用する蛍光体の組成や量等によって、波長変換部材の厚みは異なる場合があり、例えば、拡散部材50の厚みは波長変換部材60の厚みの半分程度の厚みとすることができる。
【0018】
発光素子20の一対の電極251、252は、被覆部材40から露出して、発光装置10の第2の面(下面)12に露出している。これにより、発光素子20が実装される基板等に設けられた外部電極と、発光素子20の電極251、252とを接続することができる。なお、発光素子20は、第2の面22の電極251、252が設けられている部分以外の部分が、発光素子20を外部環境から保護するために、被覆部材40で覆われるのが好ましい。
【0019】
被覆部材40で発光素子20の第2の面22を覆うときには、発光素子20の第2の面22に形成された電極251、252が発光装置10の表面(第2の面12)に露出するようにする。例えば、電極251、252の側面は、被覆部材40で覆ってもよいが、電極251、252の表面251s、252sは、被覆部材40で覆わないように、被覆部材40の厚さを調節する。なお、電極の表面251s、252sは、被覆部材40より突出していてもよいし、略面一(
図1(b)参照)であってもよい。
【0020】
上述の通り、発光装置10は、発光素子20の第1の面21側に拡散部材50を含むことができる。拡散部材拡散部材50を備えることにより波長変換部材60から射出される発光色むらを抑えることができる。
【0021】
再び
図1(b)を参照すると、上述の通り、発光装置10は、第1の面11側に波長変換部材60を含むことができる。波長変換部材60とは、その内部を透過する光の一部を別の波長に変換するための部材である。波長変換部材60は、その内部を透過する光によって励起される蛍光体を含有している。発光装置10が波長変換部材60を備えることにより、発光素子20の発光色とは異なる発光色を有する発光装置10を得ることができる。例えば、青色光を発する発光素子20と、青色光を吸収して黄色の蛍光を発する波長変換部材60とを組み合わせることにより、白色光を発する発光装置10を得ることができる。
【0022】
拡散部材50は、発光素子20の第1の面21と、透光性部材30の第1の面31とを覆うように設けられるのが望ましい。発光素子20で発生した光は、発光素子20の第1の面21から直接取り出されるか、又は発光素子20の側面23から出射して透光性部材30を通って透光性部材30の第1の面31から間接的に取り出される。よって、発光素子20の第1の面21と、透光性部材30の第1の面31を覆うように拡散部材50を配置することにより、発光素子20で発生した光の実質的に全てを、拡散部材50に通過させることができる。拡散部材50を通過することにより発光装置10の発光の色むらを抑制することができる。
【0023】
一般的に発光素子20の点灯時に第1の面21から射出される光が波長変換部材60を通過して外へ取り出されるが、発光素子20の第1の面21からの青色波長が強いため波長変換部材から射出される光に青色光が多く含有されることが発光色むらの原因と考えられる。拡散部材50を発光素子の第1の面と波長変換部材との間に設けることにより発光素子20の第1の面21から射出される青色波長を減少させ波長変換部材60を通過して抑制された光が取り出されることになる。
【0024】
波長変換部材60は、拡散部材50の第1の面51と、透光性部材30の第1の面31とを覆うように設けられるのが望ましい。さらに、拡散部材50及び波長変換部材60は、被覆部材の上面の全面を覆うことができる。換言すると、拡散部材50の側面と、波長変換部材60の側面とが、被覆部材40の側面と面一である。
【0025】
<製造方法>
図2を参照しながら、本実施の形態に係る発光装置10の製造方法について説明する。本実施の形態に係る発光装置の製造方法では複数の発光装置10を同時に製造することができる。
【0026】
シート状の波長変換部材600(第2の面62)を、ホットメルト又は接着剤によりシート状の拡散部材500に接着する。波長変換部材の厚さは、例えば40〜80μmとすることができ、80μmが好ましい。また使用する蛍光体の種類により波長変換部材の厚みが異なるため、拡散部材の厚みの2倍程度になることが最も好ましい。
【0027】
拡散部材500と波長変換部材600が接着された積層体を、拡散部材500側を上にし、拡散部材500の第1の面52上に接着剤35を介して発光素子20の第1の面21を接着する(
図2(a))。発光素子20から出射される青色光を抑えることができるように、拡散部材の厚さは、例えば10〜50μmとすることができ、30〜40μmが好ましい。ただし、波長変換部材に使用する蛍光体の粒径により波長変換部材の厚みは異なるため、拡散部材は、波長変換部材600の半分の厚みになることが好ましい。
【0028】
拡散部材500の上に、接着剤35を用いて発光素子20を配置する(
図2(a))際に、発光素子20の第1の面21を、接着剤35に向かい合わせて配置する。発光素子20は、接着剤35により拡散部材500に固定することができる。接着剤を使用する代わりに、後で形成される透光性部材30によって拡散部材500に固定してもよい。
【0029】
発光素子20の側面23と、拡散部材500の第1の面52のうち発光素子20の近傍領域とを覆うように、透光性部材30を形成する(
図2(b))。透光性部材30が透光性樹脂材料から形成される場合には、透光性部材30の原材料となる液状樹脂材料30Lを、ディスペンサ等を用いて、発光素子20の第1の辺(
図2(b)の符号212、214と拡散部材50との境界に沿って塗布する。液状樹脂材料30Lは、拡散部材50の上に広がるとともに、表面張力によって発光素子20の側面23を這い上がる。その後に、液状樹脂材料30Lを加熱等によって硬化させて、透光性部材30を得る。ある発光素子20の周囲に形成された透光性部材30と、その発光素子20と隣接して配置された発光素子20の周囲に形成された透光性部材30とが接触しないように、透光性部材30を形成する。
【0030】
液状樹脂材料30Lから透光性部材30を形成すると、表面張力により、透光性部材30の外面33を、Z方向に向かって外向き(つまり、発光素子20の側面23から離れるよう方向)に傾斜させることができる(
図2(b))。
【0031】
透光性部材30の外面33と、拡散部材500の第1の面52のうち透光性部材30で覆われていない部分(つまり、第1の面52の露出している部分)とを、被覆部材400で覆う(
図2(c))。さらに、発光素子20の第2の面22のうち、電極251、252で覆われていない部分(つまり、第2の面22の露出している部分)も、被覆部材40で覆ってもよい。このとき、電極251、252の一部(例えば、電極251、252の表面251s、252s)が被覆部材40から露出するように、被覆部材400の厚さ(−Z方向の寸法)を調節するのが好ましい。つまり、拡散部材50の第1の面52を基準としたときに、被覆部材40の第2の面42の高さが、電極251、252の表面251s、252sの高さ以下としてもよい。
【0032】
隣接する発光素子20の中間を通る破線X1、(
図2(d))に沿って、被覆部材400とシート状の拡散部材500とシート状の波長変換部材600とをダイサー等で切断する。これにより、個々の発光装置10に個片化される(
図2(e))。このように、発光素子20を1つ含む発光装置10を、同時に複数製造することができる。
【0033】
<実施の形態2>
実施の形態2に係る発光装置15を
図3(a)(b)に示す。また、その製造方法を
図4(a)〜(f)に示す。実施の形態2では、発光素子20と、発光素子20の側面23側に設けられた透光性部材30と、透光性部材30の外面33を覆う被覆部材40とを含む。発光装置15は、発光面として機能する第1の面(上面)側に、拡散部材50と、拡散部材の第1の面(上面)側に、波長変換部材60を備えることができる。そして、発光素子20と透光性部材30の上面とを覆う拡散部材50が、被覆部材40の上面の全面に設けられていない点において実施の形態1と異なる。拡散部材50の端部34及び波長変換部材60の端部は、被覆部材40の側面から離間している。換言すると、被覆部材40の側面よりも内側に拡散部材50の側面と波長変換部材60の側面が位置する。これにより、外部接触により、拡散部材50及び波長変換部材60が、被覆部材40と剥離することを低減することができる。
【0034】
<製造方法>
図4を参照しながら、実施の形態2に係る発光装置15の製造方法について説明する。実施の形態2の製造方法では、蛍光体及び拡散材を含むシートを用いるのではなく、蛍光体及び拡散剤を含まないシート(例えば、耐熱シート)を用いて製造を行う。このシートは、最終的には除去されて、発光装置には残っていない部材である。すなわち、実施の形態1では、発光装置を構成する波長変換部材と拡散部材とを、それぞれシート状とし、工程内で複数の発光素子をまとめて支持する支持部材の一部として用いているのに対し、実施の形態2では、発光装置を構成しないシートを支持部材として各工程を行う点が特徴である。実施の形態2では、蛍光体を含む波長変換部材と、拡散部材とは、工程の後半で形成される。ここで工程の後半とは、具体的には透光性部材を形成した後の工程である。
【0035】
シート70の上面71に、接着剤35を介して発光素子20を配置する(
図4(a))。このシート70は、最終的には剥離して、発光装置内には残存しない部材である。シート70の上面71に固定された発光素子20の側面を覆うように透光性部材30を形成し(
図4(b))、次いで、被覆部材400を形成する(
図4(c))。尚各工程の詳細については、実施の形態1の製造方法と同様の手順で行う。
【0036】
図4(c)に示すように被覆部材400を形成した後、発光素子の電極面を別の耐熱シートに貼り付ける(反転させる)。そして、発光素子の上面から耐熱シート70を剥がす。これにより、
図4(d)に示すように、発光素子20の第1の面21に形成された接着剤が露出される。同時に透光性部材の上面及び被覆部材400の上面400aも露出される。次いで、
図4(e)に示すように、別途用意された拡散部材50と波長変換部材60とを、この順に、発光素子及び透光性部材の上に形成する。
【0037】
拡散部材50及び波長変換部材60の形成方法としては、個片化された拡散部材50及び波長変換部材60を、接着剤によって接着する方法があげられる。拡散部材50のシートと波長変換部材60のシートを、あらかじめ貼り合わせた後に個片化してもよく、あるいは、それぞれシートを個片化した後に貼ってもよい。また、拡散部材のシートの上に、ポッティング、スプレー法、静電塗布法、印刷法などの既知の技術により、波長変換部材を設けて、それを個片化してもよい。あるいは、波長変換部材のシートの上に、ポッティング、スプレー法、静電塗装法、印刷法などにより、拡散部材を設けて、それを個片化してもよい。
【0038】
また、
図4(d)のように、被覆部材400中に、発光素子及び透光性部材の上面を露出した状態で埋設された状態の成形物上に、拡散部材50及び波長変換部材60を、ポッティング、スプレー法、静電塗装法、印刷法などにより形成してもよい。この場合、後に切断する位置となる被覆部材の上面をマスクなどで覆うことが好ましい。
【0039】
尚、波長変換部材及び拡散部材を、工程の後半で形成する場合に、個片化されたシートではなく、複数の発光素子を連続して覆うシートを用いることで、
図1に示すような、発光装置の上面の全面に波長変換部材が設けられた発光装置とすることができる。同様に、波長変換部材のシート及び拡散部材のシートを、あらかじめ個片化するのではなく、個片化する前の状態で、工程の後半で張り付けることで、
図1に示すような、発光装置の上面の全面に波長変換部材が設けられた発光装置とすることができる。
【0040】
最後に、隣接する発光素子20の中間を通る、破線X2(
図4(e))に沿って、被覆部材400をダイサー等で切断する。これにより、個々の発光装置15に個片化される(
図4(e))。このように、発光素子20を1つ含む発光装置15を、同時に複数個製造することができる。
【0041】
以下に、実施の形態1、2の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
【0042】
(発光素子20)
発光素子20としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができる。半導体発光素子は、透光性基板27と、その上に形成された半導体積層体28とを含むことができる。
【0043】
発光素子20として、上面視形状が四角形を用いることができる。また、上面視の形状は四角形以外の多角形形状、例えば、
図5に示す六角形を用いた発光装置17とすることもできる。六角形の発光素子とすることで、透光性部材30の幅(上面側からみたときの発光素子の側面と透光性部材の端部との距離)を小さくすることができる。これにより、照射される発光部面積が小さくなり、高い輝度を保つことができるため、色むらを低減することができる。また、六角形の発光素子とすることで、発光装置から均一な照度分布が得やすく、発光部の小さい点光源状の発光装置とすることができる。
【0044】
(透光性基板27)
発光素子20の透光性基板27には、例えば、サファイア(Al
2O
3)、スピネル(MgA1
2O
4)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積層体28からの発光を透過する半導体材料(例えば、窒化物系半導体材料)を用いることができる。
【0045】
半導体積層体28は、複数の半導体層を含む。半導体積層体28の一例としては、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる(
図3参照)。半導体層には、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。
【0046】
発光素子20の電極251、252としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu等の金属が好適である。
【0047】
(透光性部材30)
透光性部材30は、透光性樹脂、ガラス等の透光性材料から形成することができる。透光性樹脂としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。透光性部材30は発光素子20の側面23と接触しているので、点灯時に発光素子20で発生する熱の影響を受けやすい。熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れているので、透光性部材30に適している。なお、透光性部材30は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、透光性部材30に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。しかし、望ましい特性を付与するために、透光性部材30に添加物を添加するのが好ましい場合もある。例えば、透光性部材30の屈折率を調整するため、または硬化前の透光性部材(液状樹脂材料300)の粘度を調整するために、各種フィラーを添加してもよい。
【0048】
(被覆部材40、403)
被覆部材40、403は、透光性部材30および発光素子20に対する熱膨張率の関係が、所定の関係となるような材料から形成される。すなわち、被覆部材40、403は、被覆部材40、403と発光素子20との熱膨張率差ΔT40が、透光性部材30と発光素子20との熱膨張率差ΔT30よりも小さくなるように、材料が選択される。例えば、発光素子20が、サファイアの透光性基板27と、GaN系半導体から成る半導体積層体28とを含む場合、発光素子20の熱膨張率はおよそ5〜7×10
−6/Kとなる。一方、透光性部材30を、シリコーン樹脂から形成した場合、透光性部材30の熱膨張率は、2〜3×10
−5/Kとなる。よって、被覆部材40、403は、シリコーン樹脂よりも熱膨張率の小さい材料から形成することにより、ΔT40<ΔT30とすることができる。
【0049】
被覆部材40に樹脂材料を使用する場合、一般的に、熱膨張率は10
−5/Kオーダーとなり、一般的な発光素子20の熱膨張率に比べて一桁大きい。しかしながら、樹脂材料にフィラー等を添加することにより、樹脂材料の熱膨張率を低減することができる。例えば、シリコーン樹脂に、シリカ等のフィラーを添加することにより、フィラーを添加する前のシリコーン樹脂に比べて、熱膨張率を低くすることができる。
【0050】
被覆部材40に使用できる樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。
【0051】
被覆部材40は、光反射性樹脂から形成することができる。光反射性樹脂とは、発光素子20からの光に対する反射率が70%以上の樹脂材料を意味する。被覆部材40に達した光が反射されて、発光装置10の第1の面11(発光面)に向かうことにより、発光装置10の光取出し効率を高めることができる。
【0052】
光反射性樹脂としては、例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものが使用できる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは被覆部材40、403の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。
【0053】
(拡散部材50)
拡散部材50は、透光性樹脂、ガラス等の透光性材料から形成することができる。透光性樹脂としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。拡散部材50は発光素子20の第1の面21と接触しているので、点灯時に発光素子20で発生する熱の影響を受けやすい。熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れているので、拡散部材50に適している。なお、拡散部材50は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、拡散部材50に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は添加されないことが好ましい。しかし、望ましい特性を付与するために、拡散部材50に添加物を添加するのが好ましい場合もある。例えば、拡散部材50の屈折率を調整するために、各種フィラーを添加してもよい。
【0054】
(波長変換部材60)
波長変換部材60は、蛍光体と透光性材料とを含んでいる。透光性材料としては、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。
【0055】
蛍光体は、発光素子20からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:YAG);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(Ce:LAG);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)
2SiO
4);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
波長変換部材60には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
【0056】
(シート70)
シート(耐熱シート)70は、高温領域でも使用可能で絶縁性に優れた材質のものが好ましい。素材としてはポリイミドなどが好ましい。
【0057】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。