(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記散乱反射部は、上面視において、各光源の出射面を含んでおり前記出射面よりも大きい領域に位置しており、前記領域の前記上面視における前記粒子の密度は、各光源の出射面の直上の第1部分よりもその周辺に位置する第2部分における密度のほうが小さい請求項4に記載の発光装置。
前記波長変換層と前記ハーフミラーの間に位置し、前記光源の発光波長よりも前記波長変換層が発する光の波長における反射率が高いダイクロイック層をさらに備える、請求項1から14のいずれかに記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明者の検討によれば、特許文献1および2に開示された発光装置に用いるハーフミラーでは、表示パネルの大きさおよび仕様などに応じて部分的に反射率を制御する必要がある。このため、使用するハーフミラーは、特殊な専用部材として用意しなければならず、その結果、特に、大画面液晶テレビ用の発光装置に用いるハーフミラーは非常に高価な部品となってしまうと考えられる。
【0009】
また特許文献2に開示された発光装置では、反射材としてアルミニウムを用いてハーフミラーを構成している。しかし、アルミニウムは可視光の一部を吸収するため、ハーフミラーと反射板との間で、光源から出射する光が反射を繰り返すことによって、ハーフミラーに吸収され、外部への取り出し効率が低下してしまう。また、ハーフミラーにおける反射率が部分的に異なることにより、反射率が異なる境界で輝度むらが発生し得る。このような課題に鑑み、本願発明者は新規な構造を有する発光装置を想到した。
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の発光装置の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示の発光装置は、以下の実施形態に限られない。以下の説明では、特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向や位置を、分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向や位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。また、図面が示す構成要素の大きさや位置関係等は、分かり易さのため、誇張されている場合があり、実際の面発光装置における大きさあるいは、実際の面発光装置における構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、本開示において「平行」および「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺あるいは面等がそれぞれ0°から±5°程度および90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
(発光装置101の構造)
図1は、第1実施形態の発光装置101の一例を示す断面図である。発光装置101は、基板11および基板11に配置された複数の光源20を含む光源ユニット10と、ハーフミラー31、光拡散板33および散乱反射部32を含み、光源ユニット10の光源20から出射する光が透過する透光積層体30とを備える。以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0012】
[基板11]
基板11は上面11aおよび下面11bを有し、上面11a側に複数の光源20が配置され、支持される。基板11の上面11aおよび下面11bには、以下において詳述する導体配線層13および金属層12が設けられる。また、上面11aには複数の光源20をそれぞれ取り囲む区分部材15が設けられる。
【0013】
基板11の材料としては、例えば、セラミックス、および、樹脂を用いることができる。低コストおよび成形容易性の点から、樹脂を基板11の材料として選択してもよい。樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。基板の厚さは適宜選択することができ、基板11は、ロール・ツー・ロール方式で製造可能なフレキシブル基板、あるいは、リジット基板のいずれであってもよい。リジット基板は湾曲可能な薄型リジット基板であってもよい。
【0014】
また、耐熱性及び耐光性に優れるという観点で、セラミックスを基板11の材料として選択してもよい。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、むらイト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)、炭化物系(例えば、SiC)、LTCC等が挙げられる。
【0015】
基板11は複合材料によって形成されていてもよい。具体的には、上述した樹脂に、ガラス繊維、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の無機フィラーを混合してもよい。例えば、ガラス繊維強化樹脂(ガラスエポキシ樹脂)などが挙げられる。これにより、基板11の機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることができる。
【0016】
また、基板11は、少なくとも上面11aが電気的絶縁性を有していればよく、積層構造を有していてもよい。例えば、基板11は、表面に絶縁層が設けられた金属板を用いてもよい。
【0017】
[導体配線層13]
導体配線層13は、基板11の上面11aに設けられている。導体配線層13は、外部から複数の光源20に電力を供給するため配線パターンを有している。導体配線層13の材料は、基板11として用いられる材料や製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、基板11の材料としてセラミックスを用いる場合は、導体配線層13の材料は、例えば、基板11のセラミックスと同時焼成が可能な高融点金属によって形成されている。例えば、導体配線層13は、タングステン、モリブデン等の高融点金属によって形成されている。導体配線層13は多層構造を有していてもよい。例えば導体配線層13は、上述した方法で形成される高融点金属のパターンと、このパターン上にメッキ、スパッタリング、蒸着などにより形成されたニッケル、金、銀などの他の金属を含む金属層とを備えていてもよい。
【0018】
基板11の材料としてガラスエポキシ樹脂を用いる場合は、導体配線層13の材料には、加工し易い材料を選択することが好ましい。例えば、メッキ、スパッタリング、蒸着、プレスによる貼り付けによって形成された銅、ニッケル等の金属層を用いることができる。金属層は、印刷、フォトリソグラフィー等によってマスキングし、エッチングすることによって、所定の配線パターンに加工することができる。
【0019】
[金属層12]
光源ユニット10は、基板11の下面11bに金属層12をさらに備えていてもよい。金属層12は、放熱のため下面11bの全体に設けられていてもよいし、配線パターンを有していてもよい。例えば、金属層12は、光源20を駆動するための駆動回路の回路パターンを有していてもよい。さらに、金属層12の回路パターン上に駆動回路を構成する部品が実装されていてもよい。
【0020】
[光源20]
複数の光源20は、基板11の上面11a側に配置される。
図2は、光源ユニット10の上面図である。複数の光源20は基板11の上面11aにおいて、1次元または2次元に配列されている。本実施形態では、複数の光源20は直交する2方向、つまり、x方向およびy方向に沿って2次元に配列されており、x方向の配列ピッチpxとy方向の配列ピッチpyは等しい。しかし、配列方向はこれに限られない。x方向とy方向のピッチは異なっていてもよいし、配列の2方向は直交していなくてもよい。また、配列ピッチも等間隔に限られず、不等間隔であってもよい。例えば、基板11の中央から周辺に向かって間隔が広くなるように光源20が配列されていてもよい。
【0021】
各光源20は、出射面21aを有する発光素子21を少なくとも含む。光源20は、出射面21aを覆う被覆部材22を含んでいてもよい。光源20が被覆部材22を含む場合には、被覆部材22の表面22aが、光源20の出射面である。光源20が被覆部材22を含まない場合には、発光素子21の出射面21aが、光源20の出射面でもある。各光源20は、1つまたは1種類の発光素子21を含んでいてもよい。この場合、発光素子21が白色光を出射してもよいし、発光素子21が出射する光が被覆部材22を透過することにより、光源20全体として白色光を出射してもよい。また、光源20は、例えば、赤、青、緑の光を出射する3つの発光部分を含む発光素子、あるいは、赤、青、緑の光をそれぞれ出射する3つ発光素子を含んでおり、赤、青、緑の光が混合することにより白色光を出射してもよい。あるいは、光源20から出射する光の演色性を高めるため、光源20は、白色光を出射する発光素子と、他の色を出射する発光素子とを含んでいてもよい。
【0022】
発光素子21は、半導体発光素子であり、半導体レーザ、発光ダイオード等、公知の発光素子を利用することができる。本実施形態においては、発光素子21として発光ダイオードを例示する。発光素子21は、任意の波長の光を出射する素子を選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(In
xAl
yGa
1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いた素子を用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどの半導体を含む素子を用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。被覆部材22が、波長変換部材を備える場合、発光素子21は、波長変換部材を効率良く励起できる短波長の光を出射することが可能な窒化物半導体(In
xAl
yGa
1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を含むことが好ましい。
【0023】
半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。同一面側に正負の電極を有するものであってもよいし、異なる面に正負の電極を有するものであってもよい。
【0024】
発光素子21は、例えば、透光性の基板と、基板の上に積層された半導体積層構造を有する。半導体積層構造は、活性層と活性層を挟むn型半導体層およびp型半導体層とを含み、n型半導体層およびp型半導体層にn側電極およびp側電極がそれぞれ電気的に接続されている。本実施形態では、n側電極およびp側電極は出射面と反対側の面に位置している。
【0025】
発光素子21のn側電極およびp側電極は後述する接合部材23によって、基板11の上面11aに設けられた導体配線層13に電気的に接続され、かつ、固定されている。つまり、発光素子21は、フリップチップボンディングにより基板11に実装されている。
【0026】
発光素子21は、ベアチップであってもよいし、側面側にリフレクタを備えたパッケージを備えていてもよい。また、出射面21aから出射する光の出射角度を広くするためのレンズ等を備えていてもよい。
【0027】
被覆部材22は、少なくとも発光素子21の出射面21aを覆い、基板11の上面11aに支持されている。被覆部材22は、出射面21aが外部環境に露出し、損傷するのを抑制する。被覆部材22の材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。被覆部材22の耐光性および成形容易性の観点からは、被覆部材22としてシリコーン樹脂を選択することが好ましい。
【0028】
被覆部材22は、拡散部材、波長変換部材、着色剤などを含んでいてもよい。例えば、光源20は、青色光を出射する発光素子21と青色光を黄色光に変換する波長変換部材とを含み、青色光と黄色光との組み合わせによって白色光を出射してもよい。あるいは、青色光を出射する発光素子21と、青色光を緑色光に変換する波長変換部材と、青色光を赤色光に変換する波長変換部材とを含み、青色光と緑色光と赤色光との組み合わせによって白色光を出射してもよい。例えば、青色光を緑色光に変換する波長変換部材としてβサイアロン蛍光体が挙げられ、青色光を赤色光に変換する波長変換部材としてはKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体が挙げられる。波長変換部材としてβサイアロン蛍光体とKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体とを含むことで発光装置の色再現範囲を広げることができる。また、青色光を出射する半導体発光素子と、緑色光を出射する半導体発光素子と、青色光または緑色光を赤色光に変換する波長変換部材とを含む光源を用いてもよい。
【0029】
被覆部材22は、発光素子21の出射面21aを被覆するように圧縮成形や射出成形によって形成することができる。その他、被覆部材22の材料の粘度を最適化して、発光素子21の上に滴下もしくは描画して、材料自体の表面張力によって、形状を制御することも可能である。後者の形成方法による場合には、金型を必要とすることなく、より簡便な方法で被覆部材を形成することができる。また、このような形成方法による被覆部材22の材料の粘度を調整する手段として、その材料本来の粘度の他、上述したような光拡散材、波長変換部材、着色剤を利用して所望の粘度に調整することもできる。
【0030】
図3は、光源20から出射する光の配光特性の一例を示す図である。光源20は、バットウイング型の配光特性を有していることが好ましい。これにより光源20の真上方向に出射される光量を抑制して、各々の光源の配光を広げることで、より輝度むらを改善することができる。バットウイング型の配光特性とは、広義には、光源20の光軸Lを0°として、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度において発光強度が強い発光強度分布で定義される。特に、狭義では、45°〜90°付近において、発光強度が最も強くなる発光強度分布で定義される。つまり、バットウイング型の配光特性では、中心部が外周部よりも暗い。
【0031】
バットウイング型の配光特性を実現するために光源20は、発光素子21の出射面21aに、光反射層24を有していてもよい。光反射層24は、金属膜であってもよく、誘電体多層膜であってもよい。これにより、発光素子21の上方向への光は光反射層で反射され、発光素子21の直上の光量が抑制され、バットウイング型の配光特性を実現することができる。あるいは、被覆部材22の外形を調整することによって、バットウイング型の配光特性を有する光源としてもよい。
【0032】
[接合部材23]
接合部材23は、発光素子21を導体配線層13に電気的に接続し、かつ、固定する。例えば、接合部材23は、Au含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb−Pd含有合金、Au−Ga含有合金、Au−Sn含有合金、Sn含有合金、Sn−Cu含有合金、Sn−Cu−Ag含有合金、Au−Ge含有合金、Au−Si含有合金、Al含有合金、Cu−In含有合金、金属とフラックスの混合物等である。
【0033】
接合部材23としては、液状、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状、ワイヤ状)のものを用いることができ、組成や基板の形状等に応じて、適宜選択することができる。また、これらの接合部材23は、単一部材で形成してもよく、あるいは、数種のものを組み合わせて用いてもよい。
【0034】
接合部材23は、発光素子21と導体配線層13とを電気的に接続しなくてもよい。この場合には、接合部材23は、発光素子21の、p側電極およびn側電極以外の領域と基板11の上面11aとを接続し、p側電極およびn側電極と導体配線層13とはワイヤ等によって電気的に接続される。
【0035】
[絶縁部材14]
光源ユニット10は、導体配線層13の発光素子21および他の素子等と電気的に接続される領域以外を覆う絶縁部材14をさらに備えていてもよい。
図1に示すように、基板11の上面11a側において、導体配線層13の一部上に絶縁部材14が設けられている。絶縁部材14は、導体配線層13の発光素子21および他の素子等と電気的に接続される領域以外領域に絶縁性を付与するレジストとして機能する。絶縁部材14は、発光素子21からの光を反射可能とするため、例えば、樹脂、および、樹脂に分散した、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物粒子からなる反射材を含んでいてもよい。光反射性を有する絶縁部材14は、発光素子21から出射した光を基板11の上面11a側において反射し、基板11側での光の漏れや吸収を防いで、発光装置の光取り出し効率を向上させる。
【0036】
[区分部材15]
区分部材15は、壁部15ax、15ayおよび底部15bを含む。
図2に示すように、x方向に隣接する2つの光源20の間にy方向に延びる壁部15ayが配置され、y方向に隣接する2つの光源20の間にx方向に延びる壁部15axが配置されている。このため、各光源20は、x方向に延びる2つの壁部15axと、y方向に延びる2つの壁部15ayとによって囲まれている。2つの壁部15axおよび2つの壁部15ayによって囲まれた領域15rに底部15bが位置している。本実施形態では、光源20のx方向およびy方向の配列ピッチが等しいため、底部15bの外形は正方形である。
底部15bの中央には貫通孔15eが設けられ、貫通孔15e内に、光源20が位置するように、底部15bが絶縁部材14上に位置している。貫通孔15eの形状及び大きさに特に制限はなく、光源20が内部に位置し得る形状および大きさであればよい。光源20からの光を底部15bでも反射可能なように、貫通孔15eの外縁が、光源20の近傍に位置していること、つまり、上面視において、貫通孔15eと光源20との間に生じる間隙は狭いほうが好ましい。
【0037】
図1に示すように、yz断面では、壁部15axは、x方向に延びる一対の傾斜面15sを含む。一対の傾斜面15sのそれぞれは、x方向に延びる2つの辺の一方で互いに接続しており、頂部15cを構成している。他方は、隣接する2つの領域15rに位置する底部15bとそれぞれ接続されている。同様に、y方向に延びる壁部15ayはy方向に延びる一対の傾斜面15tを含む。一対の傾斜面15tのそれぞれは、y方向に延びる2つの辺の一方で互いに接続しており、頂部15cを構成している。他方は、隣接する2つの領域15rに位置する底部15bとそれぞれ接続されている。
【0038】
底部15b、2つの壁部15axおよび2つの壁部15ayによって開口17aを有する発光空間17が形成される。
図2では、3行3列に配列された発光空間17が示されている。一対の傾斜面15sおよび一対の傾斜面15tは、発光空間17の開口17aに面している。
【0039】
区分部材15は光反射性を有しており、光源20から出射する光を壁部15ax、15ayの傾斜面15s、15tによって、発光空間17の開口17aに向けて反射させる。また、底部15bに入射する光も発光空間17の開口17a側へ反射させる。これにより、光源20から出射される光を効率よく透光積層体30へ入射させることができる。
【0040】
区分部材15によって区画される発光空間17は、複数の光源20をそれぞれ独立して駆動させた場合における、発光空間の最小単位となる。また、面発光源として発光装置101を透光積層体30の上面30aを見た場合における、ローカルディミングの最小単位領域となる。複数の光源20を独立して駆動する場合、最も小さな発光空間単位でローカルディミングで駆動が可能な発光装置が実現する。隣接する複数の光源20を同時に駆動し、ON/OFFのタイミングを同期させるように駆動すれば、より大きな単位でローカルディミングによる駆動が可能となる。
【0041】
区分部材15は、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の金属酸化物粒子からなる反射材を含有する樹脂を用いて成形してもよいし、反射材を含有しない樹脂を用いて成形した後、表面に反射材を設けてもよい。区分部材15の光源20からの出射光に対する反射率は、例えば、70%以上であることが好ましい。
【0042】
区分部材15は、金型を用いた成形や光造形によって形成することができる。金型を用いた成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等の成形方法を用いることができる。例えば、PET等で形成された反射シートを用いて真空成形することで、底部15bと壁部15ax、15ayが一体的に形成された区分部材15を得ることができる。反射シートの厚さは、例えば100〜500μmである。
【0043】
区分部材15の底部15bの下面と絶縁部材14の上面とは、接着部材等で固定される。貫通孔15eから露出される絶縁部材14は、光反射性を有していることが好ましい。光源20からの出射光が、絶縁部材14と区分部材15との間に入射しないように、貫通孔15eの周囲に接着部材を配置することが好ましい。例えば、貫通孔15eの外縁に沿ってリング状に接着部材を配置することが好ましい。接着部材は両面テープであってもよいし、ホットメルト型の接着シートであってもよいし、熱硬化樹脂や熱可塑樹脂の接着液であってもよい。これらの接着部材は、高い難燃性を有することが好ましい。また、接着部材ではなく、ネジ、ピン等他の結合部材で固定されていてもよい。
【0044】
[ハーフミラー31]
透光積層体30のハーフミラー31は、光源ユニット10に位置する発光空間17の開口17aを覆うように、光源20の上方に配置される。
【0045】
ハーフミラー31は、入射する光の一部を反射し、残りの光を透過させる透過特性および反射特性を有する。ハーフミラー31は、垂直入射時において、光源の発光波長帯域に対して30%程度以上75%程度以下の反射率を有する。ハーフミラー31の反射率は、ハーフミラー31の全領域において実質的に等しい。ここで、実質的に等しいとは、例えば、主面(上面31aおよび下面31b)に垂直に入射する光の反射率が、任意の測定箇所において、平均値±5%以内の値であることをいう。
【0046】
ハーフミラー31は、透光性の基材に屈折率の異なる2以上の誘電体膜が積層された誘電体多層膜構造を備えていることが好ましい。誘電体膜の具体的な材料としては、金属酸化膜、金属窒化膜、金属フッ化膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂など、光源20および後述する波長変換層34から放射される光に対して吸収が少ない材料であることが好ましい。誘電体多層膜は、積層した誘電体膜の屈折率差によって、界面で入射光の一部を反射させる。誘電体膜の厚さによって、入射光と反射光との位相を変化させ、2つの光の干渉の程度を調整することにより、反射率を調整することができる。誘電体膜の厚さによる位相の調整は、透過する光の波長に依存するので、誘電体膜を複数積層し、誘電体膜ごとに反射させる光の波長を異ならせれば、反射率の波長依存性も調整することができる。したがって、誘電体多層膜を用いることで、光の吸収が少なく、反射率特性を任意に調整することが可能なハーフミラー31を実現することができる。
【0047】
また、誘電体多層膜構造を用いれば、均一な厚さを有する誘電体膜であっても、垂直に入射する光と、斜めに入射する光とで、光路長は異なる。このため、ハーフミラー31に入射する光の入射角度によって反射率を制御することも可能となる。特に、垂直入射よりも斜め入射の方が、反射率が低くなるように設定することで、後述するように、光源20の光軸L方向、つまり、ハーフミラー31の主面に垂直な方向の反射率を上げ、光軸Lに対して大きな角度φで入射する光に対する反射率を下げることができる。すなわち光軸に対して角度が大きくなるところで透過率を上げることで外部から発光装置を観測したときに、面上の輝度むらをより小さくすることが可能となる。
【0048】
図4は、ハーフミラー31の反射率および透過率の角度依存特性の一例を示す。光軸Lを0°として、配光角(
図1のφ)の絶対値が約40°以下の範囲において、反射率が60%であり、絶対値が40°以上の配光角において、反射率が低下し、透過率が高くなっている。このような反射率特性を有することによって上述した輝度むらをより効果的に抑制することができる。
【0049】
図5は、光源20から出射する光の発光スペクトルと、ハーフミラー31の反射率特性との一例を示す図である。横軸は波長を示し、縦軸は、反射率または相対発光強度を示す。反射率は、ハーフミラー31の主面に垂直な方向における値を示す。ハーフミラー31の垂直方向における反射率特性において、光源20の発光ピーク波長より長波長側の帯域は、短波長側の帯域よりも広くなっていることが好ましい。
図5に示す例では、光源20の発光ピーク波長は約450nmである。ハーフミラー31の、例えば、40%以上の反射率を有する帯域は、450nmよりも短波長側では、400〜450nmの50nmの帯域であるのに対し、450nmよりも長波長側では、450〜570nmの120nmの帯域である。
【0050】
一般に、ハーフミラーの反射波長帯域は、光が垂直に入射する場合に比べ、斜め入射する場合に光路長が長くなることにより、短波長側へシフトする。例えば、ある波長λの光が垂直方向からハーフミラーに入射した場合に、所定の反射率で光を反射させる特性を有していても、ハーフミラーに対して斜めから入射させると、反射波長帯域が短波長側へδだけシフトする。このため、反射波長帯域のシフト量δに対応した分だけ波長λよりも短い波長の光は同じ反射率で反射するが、波長λの光に対する反射率は低下する。
【0051】
このような場合に、上述したように、ハーフミラー31の垂直方向の反射率特性において、光源20の発光ピーク波長より長波長側の帯域が、短波長側の帯域よりも広くなるように、反射率特性を設計することにより、斜めに入射する光にして反射波長帯域が短波長側へδだけシフトしたとしても、長波長側の帯域が広いことによって、同じ反射率を維持し得る。例えば、上述した配光角(
図1のφ)の絶対値が約40°以下の範囲において、ハーフミラー31に斜めに光が入射しても、反射率が低下し、光源20の光軸Lに対して少し斜めに入射する光が多く透過することにより、輝度むらが強調されるのを抑制することができる。
【0052】
[光拡散板33]
光拡散板33は、ハーフミラー31の上面31a側に位置している。光拡散板33は、入射する光を拡散させて透過する。光拡散板33は、たとえば、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して光吸収の少ない材料によって構成されている。光を拡散させる構造は、光拡散板33の表面に凹凸を設けたり、光拡散板33中に屈折率の異なる材料を分散させたりすることによって、光拡散板33に設けられている。光拡散板は、光拡散シート、ディフューザーフィルム等の名称で市販されているものを利用してもよい。
【0053】
[散乱反射部32]
散乱反射部32はハーフミラー31と光拡散板33との間またはハーフミラー31の下面31bに位置している。本実施形態では、散乱反射部32は、光拡散板33の下面33bに設けられている。後述する、光拡散板33がポリスチレン樹脂によって構成されている場合には、散乱反射部32はハーフミラー31に設けられていることが好ましい。ハーフミラー31を構成する材料はポリスチレン樹脂よりも小さい線膨張係数を有するため、熱膨張によって光源20と散乱反射部32との位置ずれを生じるのを抑制することができる。
【0054】
図6は、発光装置101の上面視における、散乱反射部32と光源20の出射面(被覆部材22の表面22aまたは出射面21a)との位置関係を示している。
図1および
図6に示すように、散乱反射部32は、少なくとも各光源20の出射面の上方、つまり、光源20の光軸上に位置している。散乱反射部32は入射する光を散乱反射させる。光源20から出射する光は光軸L上において発光強度が強いため、散乱反射部32を設けることにより、各光源20からの光における輝度むらを抑制する。各光源20の光軸Lを0°として、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度では、相対的に発光強度が弱くなる。このため、発光空間17の境界である区分部材15の頂部15cの上方においては、光を散乱させる必要はないため、散乱反射部32は設けられていなくてもよい。
【0055】
図6では、散乱反射部32は上面視において、各光源20の光軸を中心とする円形を有しているが、散乱反射部32の形状は円に限られない。光源20の配光特性に応じて、より光が均一に散乱し得るように、楕円、矩形等散、乱反射部32の形状を決定し得る。また、光源20がバットウイング型の配光特性を有する等の理由により、光源20の光軸上での発光強度が光軸の周囲よりも弱くなっている場合には、散乱反射部32は例えば、上面視において、リング形状を有していてもよい。つまり、散乱反射部32は各光源20の出射面の少なくとも一部の上方に位置していればよい。
【0056】
頂部15cと、光拡散板33又はハーフミラー31とが接している場合は、光拡散板33又はハーフミラー31で反射された光が、壁部15ax、15ayを照射する光量が増えることで、頂部15c近傍の領域が明るくなるので、壁部15ax、15ayの直上方向に散乱反射部32が設けられていることが好ましい。これにより、頂部15c近傍の領域が明るくなって輝度むらが生じることを抑制することができる。
【0057】
散乱反射部32は、樹脂と、樹脂に分散した反射材の粒子である、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物の粒子とを含む。酸化物の粒子の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下程度である。散乱反射部32は、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。樹脂に、アクリレートやエポキシ等を主成分とした光硬化性樹脂を用いれば、光拡散板33の下面33bに、反射材を含む硬化前の樹脂を塗布後、例えば紫外線を照射することによって散乱反射部32を形成することができる。光源20からの出射光で樹脂を光硬化させてもよい。反射材が分散した未硬化の樹脂は、例えば版を使った印刷法や、インクジェット法によって配置することができる。
【0058】
散乱反射部32における光を散乱させる反射材の粒子は、均一に分布していてもよいし、光源20の配光角の絶対値が小さい領域において、配光角の絶対値が大きい領域よりも高密度で配置されていてもよい。
図7Aに示す散乱反射部32’は、第1部分32aおよび第2部分32bを含む。第1部分32aは、出射面21aの直上に位置しており、第2部分32bは、第1部分の周囲に位置している。
【0059】
第2部分32bにおける反射材の粒子の密度は、第1部分32aにおける反射材の粒子の密度よりも小さい。ここで粒子の密度とはたとえば、上面視における平面、つまり、xy平面における単位面積当たりの粒子の個数で示される数密度で表される。
【0060】
散乱反射部32’は、例えば、
図7Bに示すように、印刷法や、インクジェット法によって、反射材の粒子が分散した未硬化の樹脂による微小領域32cを、第1部分32aにおいて密に配置し、第2部分32bにおいて、第1部分32aよりも低い密度で配置することにより形成することができる。また、
図7Cに示すように、第1部分32aおよび第2部分32bに、反射材の粒子が分散した未硬化の樹脂による第1の層32dを形成し、第1部分32aにのみ第1の層32d上に第2の層32eを形成してもよい。
図7Bまたは
図7Cに示す構造を備えた散乱反射部32’は、xy平面における、散乱反射部32’における反射材の粒子の密度が上述した関係を満たしている。
【0061】
散乱反射部32は
図8および
図9に示すように、ハーフミラー31の上面31aまたは下面31bに設けてもよい。また、
図10に示すように、散乱反射部32は、光拡散板33の上面33a に設けられていてもよい。
【0062】
[波長変換層34]
発光装置101は、透光積層体30において、波長変換層34をさらに備えていてもよい。波長変換層34は、光拡散板33の、ハーフミラー31が位置する側と反対側、つまり、上面33a側に位置している。波長変換層34は、光源20から出射する光の一部を吸収し、光源20からの出射光の波長とは異なる波長の光を発する。
【0063】
波長変換層34は、光源20の発光素子21から離れているため、発光素子21の近傍では使用するのが困難な、熱や光強度に耐性の劣る光変換物質も使用することが可能である。これにより、発光装置101のバックライトとしての性能を向上させることが可能となる。波長変換層34はシート形状あるいは層形状を有しており、上述した波長変換物質を含む。
【0064】
波長変換層34を用いる場合、
図11に示すように、波長変換層34とハーフミラー31との間に位置し、光源20の発光波長よりも波長変換層34が発する光の波長における反射率が高いダイクロイック層38をさらに設けてもよい。
【0065】
[プリズムアレイ層35、36、反射型偏光層37]
発光装置101は、透光積層体30において、プリズムアレイ層35、36および反射型偏光層37をさらに備えていてもよい。プリズムアレイ層35、36は所定の方向に延びる複数のプリズムが配列された形状を有する。例えば、プリズムアレイ層35は、
図1において、y方向に延びる複数のプリズムを有し、プリズムアレイ層36はx方向に延びる複数のプリズムを有する。プリズムアレイ層35、36は、種々の方向から入射する光を発光装置に対向する表示パネルへ向かう方向(z方向)に屈折させる。これにより、発光装置101の発光面である透光積層体30の上面30aから出射する光は主として上面30aに垂直(z軸に平行)な成分が多くなり、発光装置101を正面(z軸方向)から見た場合の輝度を高めることができる。
【0066】
反射型偏光層37は、表示パネル、例えば液晶表示パネルのバックライト側に配置された偏光板の偏光方向に一致する偏光方向の光を選択的に透過し、その偏光方向に垂直な方向の偏光をプリズムアレイ層35、36側へ反射させる。反射型偏光層37から戻ってきた偏光の一部はプリズムアレイ層35、36および波長変換層34、光拡散板33で再度反射する際に偏光方向が変化し、液晶表示パネルの偏光板の偏光方向を有する偏光に変換され、再び反射型偏光層37に入射し、表示パネルへ出射する。これにより、発光装置101から出射する光の偏光方向を揃え、表示パネルの輝度向上に有効な偏光方向の光を高効率で出射する。
【0067】
プリズムアレイ層35、36および反射型偏光層37は、バックライト用の光学部材として市販されているものを用いることができる。
【0068】
[透光積層体30]
透光積層体30は、上述したハーフミラー31、散乱反射部32、光拡散板33、波長変換層34、プリズムアレイ層35、36および反射型偏光層37を互いに積層することによって構成されている。これらの層の少なくとも1つの界面は、互いに接触しておらず空間が形成されていてもよい。ただし、発光装置101の厚さをできるだけ小さくするためには、空間を設けずに互い隣接する2つの層が接するように積層されていることが好ましい。
【0069】
透光積層体30は、例えば、支持体によって光源ユニット10に対して所定の間隔で支持される。透光積層体30の下面30bは、区分部材15の頂部15cと接していることが好ましい。例えば、頂部15cとハーフミラー31の下面31bと接続部材によって接合されていてもよいし、ピン、ねじ等によって、ハーフミラー31等と接合されていてもよい。頂部15cが透光積層体30の下面30bと接していることによって、1つの発光空間17内の光源20から出射した光が隣接する発光空間17へ入射するのを抑制することができる。
【0070】
ハーフミラー31と基板11との間隔ODは光源20の配列ピッチPの0.2倍以下(OD/P≦0.2)に設定することが好ましい。より好ましくは、間隔ODは光源20の配列ピッチPの0.05倍以上0.2倍以下(0.05≦OD/P≦0.2)である。従来の構成によればこのように透光積層体30と、光源20を実装した基板との間隔を短く設定した場合、発光装置の輝度むらが大きく生じていた。しかし、本開示の発光装置101によれば、ハーフミラー31および散乱反射部32を用いることによって輝度分布を均一にすることが可能である。
【0071】
発光装置101は、光源ユニット10および透光積層体30をそれぞれ作製し、上述した支持体で光源ユニット10に対して透光積層体30を支持することによって組み立てることができる。
【0072】
(発光装置101の動作、効果)
発光装置101の動作、特に、光源20から出射する光の輝度むらが抑制される理由を説明する。発光装置101をバックライトのように面発光装置として使用する場合、発光装置101からの出射面である透光積層体30の上面30aにおける輝度むらはできるだけ小さいほうが好ましい。
【0073】
しかし、光源20は点光源であり、光源20から出射する光が照らす面の照度は距離の2乗に反比例する。このため、透光積層体30の下面30bに入射する光の照度は、上面視における、光源20の直上近傍の領域R1のほうが、R1の周囲に位置する領域R2よりも高い。これは、領域R1における光源20と上面30aとの距離の方が領域R2における光源20と上面30aとの距離よりも短いからである。
【0074】
一方、発光装置101をバックライトとして使用する場合、表示装置の意匠、美観あるいは、機能的な観点から、表示装置の厚さが小さいことが求められ、発光装置101の厚さ(高さ)も小さいことが求められている。このため、光源ユニット10と透光積層体30との間隔ODは小さいほうが好ましい。ODが小さくなると、光源20から直接透光積層体30へ入射する光が多くなるため、光源20間の間隔ODをできるだけ短くしない限り、上述した上面30aにおける輝度むらは大きくなる。
【0075】
本実施形態の発光装置101は、ハーフミラー31および散乱反射部32を備える。ハーフミラー31は、散乱反射部32よりも光源20に近接しており、光源20から出射する光の一部を反射する。ハーフミラー31で反射した光は、光源20を支持する基板11へ入射し、基板11側で反射することによって、再度ハーフミラー31へ入射する。再度入射する光は、ハーフミラー31および基板11側での反射によって、光源20から直接ハーフミラー31へ入射する光よりも拡散している。このため、光源20から出射した光の一部をハーフミラー31と基板11との間で1回以上反射させ、光源20の出射面よりも広い面積で、つまり、面として光源20からの光をハーフミラー31から出射させることができる。
【0076】
ハーフミラー31から出射した光は、光源20の少なくとも出射面21aの上方に位置する散乱反射部32に入射し、散乱される。このため、光源20の光軸L近傍の光束密度の高い光が選択的に拡散し、輝度むらを低減することができる。
【0077】
特に、ハーフミラー31を誘電体多層膜によって構成する場合、ハーフミラー31における光の吸収を抑制することができ、光の利用効率を高めることができる。また、ハーフミラー31は、垂直方向における反射率が実質的に均一である。この特性は、誘電体膜を積層することによって実現することができ、例えば、表示パネルの製造技術を用いれば、比較的容易にかつ安価で大面積のハーフミラー31を作製することができる。よって、特性の優れたハーフミラー31を安価で製造することが可能であり、発光装置の製造コストを低減することが可能である。
【0078】
また、ハーフミラー31において、垂直入射よりも斜め入射において、反射率が低くなるように設定することによって、特に光源20の光軸L方向においてハーフミラーへ直接入射する光を多く反射し、光源20から光軸Lに対して大きな角度でハーフミラー31へ直接入射する光の反射を少なくすることができる。このため、光源20の直接光による輝度むらの低減に特に効果を奏する。
【0079】
また、散乱反射部32は樹脂および樹脂に分散している粒子を含み、上面視における粒子の密度が、各光源の出射面の直上の第1部分32aよりもその周辺に位置する第2部分32bのほうが小さくなるように、散乱反射部32を配置してもよい。これにより、散乱の程度を散乱反射部32内で異ならせ、より光束密度の高い領域において散乱を高めることによって輝度むらをさらに低減することができる。
【0080】
散乱反射部32は、ハーフミラー31の上面31aおよび光拡散板33の下面33bのいずれに設けてもよい。ハーフミラー31の線膨張率が光拡散板33の線膨張率より小さく、基板11と光拡散板33との線膨張率差よりも、基板11とハーフミラー31との線膨張率差のほうが小さい場合、散乱反射部32は、ハーフミラー31に設けてもよい。この場合、熱による膨張収縮による、光源20に対する散乱反射部32の位置ずれを小さくすることができる。したがって、動作中の熱による光学特性の変化が小さい発光装置101を実現することができる。
【0081】
また、一般に、ハーフミラーの反射波長帯域は、ハーフミラーに垂直に入射する光に比べ、斜め入射する光に対して短波長側へシフトする。このため、ハーフミラー31の垂直方向の反射率特性において、光源20の発光ピーク波長より長波長側の帯域が、短波長側の帯域よりも広くなるように、反射率特性を設計することにより、光軸から少し斜めに入射する光に対して、反射波長帯域が短波長側へシフトしても、反射率が低下し、輝度むらが強調されるのを抑制することができる。
【0082】
さらに、光源20がバットウイング型の配光特性を有することにより、
図1の領域R1における照度を低減することができるため、発光装置101からの出射面である透光積層体30の上面30aにおける輝度むらを抑制することができる。特に、光源20が水平な方向に対して仰角20°未満の光量が全体の光量の30%以上である配光特性を有することにより、より一層輝度むらを抑制することができる。このように、本開示の発光装置101によれば、発光装置101からの出射面である透光積層体30の上面30aにおける輝度むらを効果的に抑制することができる。
【0083】
(実施例)
発光装置101を作製し、発光装置101の輝度分布を調べた結果を説明する。光源20には、窒化物系青色発光素子21と、被覆部材22とを含み、バットウイング型の配光特性を有する光源を用いた。
【0084】
ハーフミラー31には、50%の透過率を有する東レ製ピカサス100GH10を用いた。光拡散板33には、光拡散シートを用いた。波長変換層34には、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を含有する蛍光体シートを用いた。プリズムアレイ層35、36としてプリズムシートを用い、プリズムの延びる方向を直交させて配置した。反射型偏光層37として反射型の偏光性フィルムを用いた。散乱反射部32には、樹脂に酸化チタン粒子が分散した白色インクをインクジェットプリンタで光拡散板33の下面33bに印刷した。光源20を18.8mmのピッチPで5行5列に配置した。基板11とハーフミラー31との間隔ODを1.8mmに設定した。OD/P=0.096であった。
【0085】
比較のために、ハーフミラー31を用いずに、基板11とハーフミラー31との間隔ODを3.8mmに設定した発光装置(以下、参考例の発光装置とよぶ)を作製した。OD/P=0.20であった。
【0086】
実施例および参考例の発光装置を点灯させ、発光面を撮影した結果を
図12に示す。
図12から分かるように、ハーフミラー31および散乱反射部32を用いることによって、ハーフミラー31を用いないでOD=3.8mmに設定した参考例と同等以上に輝度むらが抑制された輝度分布特性が得られることが分かった。つまり、参考例に比べ、基板11とハーフミラー31との間隔ODを1/2以下にしても、同等以上に輝度の分布が均一な発光装置が実現できることが分かった。
【0087】
相対輝度を測定したところ、実施例の発光装置の輝度は参考例の約85%であった。これは、ハーフミラー31を挿入することによって光の取り出し効率が少し低下しているからと考えられる。
【0088】
これらの結果から、本開示の発光装置によれば、ハーフミラーと基板との間隔が隣接する2つの光源の間隔の0.2倍以下であっても、輝度分布が均一であり、輝度むらの少ない発光装置を実現できることが分かった。