(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のディップ成形品は、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを含むディップ成形用組成物を、ディップ成形してなるディップ成形品であって、少なくとも一方の面に表面処理が施されてなり、膜厚が0.02〜0.2mmであり、前記表面処理が施された面の動摩擦係数が0.5以下であり、表面処理後における引張強度が30MPa以上であることを特徴とする。
【0013】
まず、本発明のディップ成形品を得るために用いられるディップ成形用組成物について説明する。
【0014】
ディップ成形用組成物
本発明で用いるディップ成形用組成物は、少なくともカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを含有する。
【0015】
カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスは、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、および必要に応じて用いられる、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合してなるニトリルゴムのラテックスである。
【0016】
共役ジエン単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびクロロプレンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。共役ジエン単量体の使用量は、重合に用いる全単量体100重量部に対して、好ましくは30〜89重量部、より好ましくは40〜84重量部、さらに好ましくは50〜78重量部である。共役ジエン単量体の使用量が少なすぎると、得られるディップ成形品が風合いに劣るものとなる傾向にあり、逆に多すぎると引張強度に劣るものとなる傾向にある。
【0017】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリルなどが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。エチレン性不飽和ニトリル単量体の使用量は、重合に用いる全単量体100重量部に対して、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜45重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。エチレン性不飽和ニトリル単量体の使用量が少なすぎると、得られるディップ成形品が引張強度に劣るものとなる傾向にあり、逆に多すぎると風合いに劣るものとなる傾向にある。
【0018】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル単量体;の他、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸無水物などの加水分解によりカルボキシル基を生成する単量体;などが挙げられる。これらのなかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、炭素数3〜10のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、重合に用いる全単量体100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量が少なすぎると、得られるディップ成形品が引張強度に劣るものとなる傾向にあり、逆に多すぎると風合いに劣るものとなる傾向にある。
【0019】
共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、スチレン、アルキルスチレン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族単量体;フルオロエチルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸−2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸−1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸−2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸−3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の架橋性単量体;などを挙げることができる。これらの共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、重合に用いる全単量体100重量部に対して、20重量部以下、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量以下である。共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体の使用量が多すぎると、得られるディップ成形品が風合いに劣るものとなる傾向にある。
【0021】
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスは、上述した単量体を含有してなる単量体混合物を共重合することにより得られるが、乳化重合により共重合する方法が好ましい。乳化重合方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
【0022】
上述した単量体を含有してなる単量体混合物を乳化重合する際には、通常用いられる、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の重合副資材を使用することができる。これら重合副資材の添加方法は特に限定されず、初期一括添加法、分割添加法、連続添加法などいずれの方法でもよい。
【0023】
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤などを挙げることができる。なかでも、アニオン性乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。これらの乳化剤は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。乳化剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0024】
重合開始剤としては、特に限定されないが、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
なお、過酸化物開始剤は、ラテックスを安定して製造することができ、しかも、機械的強度が高く、風合いが柔らかなディップ成形物が得られるので好ましく用いられる。重合開始剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜2重量部である。
【0025】
また、過酸化物開始剤は還元剤との組み合わせで、レドックス系重合開始剤として使用することができる。この還元剤としては、特に限定されないが、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸化合物;ジメチルアニリン等のアミン化合物;などが挙げられる。これらの還元剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。還元剤の使用量は、過酸化物100重量部に対して3〜1000重量部であることが好ましい。
【0026】
乳化重合する際に使用する水の量は、使用する全単量体100重量部に対して、80〜600重量部が好ましく、100〜200重量部が特に好ましい。
【0027】
単量体の添加方法としては、たとえば、反応容器に使用する単量体を一括して添加する方法、重合の進行に従って連続的または断続的に添加する方法、単量体の一部を添加して特定の転化率まで反応させ、その後、残りの単量体を連続的または断続的に添加して重合する方法等が挙げられ、いずれの方法を採用してもよい。単量体を混合して連続的または断続的に添加する場合、混合物の組成は、一定としても、あるいは変化させてもよい。また、各単量体は、使用する各種単量体を予め混合してから反応容器に添加しても、あるいは別々に反応容器に添加してもよい。
【0028】
さらに、必要に応じて、キレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができ、これらは種類、使用量とも特に限定されない。
【0029】
乳化重合を行う際の重合温度は、特に限定されないが、通常、5〜95℃、好ましくは30〜70℃である。重合時間は5〜40時間程度である。
【0030】
以上のように単量体混合物を乳化重合し、所定の重合転化率に達した時点で、重合系を冷却したり、重合停止剤を添加したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは93重量%以上である。
【0031】
重合停止剤としては、特に限定されないが、たとえば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ハイドロキノン誘導体、カテコール誘導体、ならびに、ヒドロキシジメチルベンゼンチオカルボン酸、ヒドロキシジエチルベンゼンジチオカルボン酸、ヒドロキシジブチルベンゼンジチオカルボン酸などの芳香族ヒドロキシジチオカルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。重合停止剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.05〜2重量部である。
【0032】
重合反応を停止した後、所望により、未反応の単量体を除去し、固形分濃度やpHを調整することで、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスを得ることができる。
【0033】
また、本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスには、必要に応じて、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、分散剤などを適宜添加してもよい。
【0034】
本発明で用いるカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの数平均粒子径は、好ましくは60〜300nm、より好ましくは80〜150nmである。粒子径は、乳化剤および重合開始剤の使用量を調節するなどの方法により、所望の値に調整することができる。
【0035】
架橋剤
また、本発明で用いるディップ成形用組成物は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスに加えて、架橋剤を含有していることが好ましい。
【0036】
架橋剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、たとえば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン類;などが挙げられる。これらのなかでも、硫黄が好ましい。本発明のディップ成形用組成物中における、架橋剤の配合量は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0037】
その他の配合剤等
また、本発明で用いるディップ成形用組成物には、上述したカルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックス、および必要に応じて用いられる架橋剤に加えて、所望により、架橋助剤、架橋促進剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、老化防止剤、分散剤、顔料、充填剤、軟化剤等を配合してもよい。
【0038】
架橋助剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、たとえば、酸化亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸の亜鉛塩などが挙げられる。これらのなかでも、酸化亜鉛が好ましい。これらの架橋助剤は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。架橋助剤の配合量は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましく0.5〜5重量部である。
【0039】
架橋促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられる。これらのなかでも、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましく、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛が特に好ましい。これらの加硫促進剤は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。架橋促進剤の配合量は、カルボキシル基含有ニトリルゴムのラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。
【0040】
本発明で用いるディップ成形用組成物の固形分濃度は、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%である。また、本発明で用いるディップ成形用組成物のpHは、好ましくは8.5〜12、より好ましくは9〜11である。
【0041】
ディップ成形品
本発明のディップ成形品は、上述したディップ成形用組成物を、ディップ成形し、次いで、少なくとも一方の面に表面処理を施すことにより得られる。
【0042】
本発明のディップ成形品は、膜厚が0.02〜0.2mmであり、好ましくは0.03〜0.15mm、より好ましくは0.04〜0.1mmである、膜厚が、薄すぎると、手袋とした場合の強度や装着耐久性に劣るものとなり、また、厚すぎると、手袋とした場合の装着時の作業性や風合いに劣るものとなる。
【0043】
また、本発明のディップ成形品は、表面処理が施された面の動摩擦係数、および表面処理後における引張強度が以下の範囲にあるものであり、これらを以下の範囲とすることにより、表面処理による動摩擦係数の低下により着脱性に優れ、かつ、表面処理による引張強度の低下が低く抑えられたものとすることができる。
【0044】
すなわち、本発明のディップ成形品は、表面処理が施された面の動摩擦係数が0.5以下であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下である。なお、動摩擦係数の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.02以上である。表面処理が施された面の動摩擦係数が高すぎると、着脱性に劣るものとなってしまう。
【0045】
また、本発明のディップ成形品は、表面処理後における引張強度が30MPa以上であり、好ましくは32MPa以上である。なお、表面処理後における引張強度の上限は、特に限定されないが、好ましくは200MPa以下である。表面処理後における引張強度が低すぎると、破断し易くなってしまうため、好ましくない。なお、引張強度は、たとえば、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行った際における、破断時の引張強度を測定することにより求めることができる。
【0046】
さらに、本発明のディップ成形品は、表面処理前と表面処理後における引張強度の変化率が好ましくは20%未満であり、より好ましくは15%未満、さらに好ましくは10%未満である。なお、引張強度の変化率の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.5%以上である。表面処理前と表面処理後における引張強度の変化率が大きすぎると、表面処理による強度の低下が大きく、耐久性に劣るものとなってしまう。なお、引張強度の変化率は、表面処理後のディップ成形品の引張強度と、表面処理を行っていないディップ成形品の引張強度とを測定し、これらに基づいて、下記式により測定することができる。なお、引張強度は、たとえば、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行った際における、破断時の引張強度を測定することにより求めることができる。
引張強度の変化率(%)={(表面処理を行っていないディップ成形品の引張強度)−(表面処理後のディップ成形品の引張強度)}/(表面処理を行っていないディップ成形品の引張強度)×100
【0047】
また、本発明のディップ成形品は、表面処理が施された面の動摩擦係数、表面処理後における引張強度、および表面処理前と表面処理後における引張強度の変化率が上記範囲にあることに加えて、表面処理後における破断時伸びが500%以上であることが好ましく、より好ましくは550%以上、さらに好ましくは580%以上である。なお、破断時伸びの上限は、特に限定されないが、好ましくは、1300%以下である。破断時伸びを上記範囲とすることにより、手袋とした場合の着脱性と風合いをさらに向上させることができる。なお、破断時伸びは、たとえば、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行った際における、破断時の伸び率を測定することにより求めることができる。
【0048】
本発明のディップ成形品を得るためのディップ成形法としては、通常の方法を採用すればよく、たとえば、直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ凝着浸漬法等が挙げられる。なかでも、均一な厚みを有するディップ成形品が得られやすい点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
【0049】
アノード凝着浸漬法の場合、たとえば、ディップ成形用型を凝固剤溶液に浸漬して、該型表面に凝固剤を付着させた後、それをディップ成形用組成物に浸漬して、該型表面にディップ成形層を形成する。
【0050】
凝固剤としては、特に限定されないが、本発明では、多価金属塩を用いることが好ましい。多価金属塩としては、特に限定されないが、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの多価金属ハロゲン化物;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの多価金属硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛などの多価金属酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの多価金属硫酸塩;などが挙げられる。これらのなかでも、本発明の効果がより一層顕著になることから、多価金属がカルシウムである多価金属塩が好ましく、塩化カルシウムおよび硝酸カルシウムがより好ましく、硝酸カルシウムが特に好ましい。
【0051】
凝固剤は、好ましくは水溶液の状態で使用する。この水溶液は、さらにメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有していてもよい。凝固剤濃度は、通常、5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%である。
【0052】
得られたディップ成形層は、通常、加熱処理を施し架橋する。加熱処理を施す前に、水、好ましくは30〜70℃の温水に、1〜60分程度浸漬し、水溶性不純物(たとえば、余剰の乳化剤や凝固剤等)を除去してもよい。水溶性不純物の除去操作は、ディップ成形層を加熱処理した後に行なってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、加熱処理前に行なうことが好ましい。
【0053】
ディップ成形層の架橋は、通常、100〜150℃の温度で、好ましくは10〜120分の加熱処理を施すことにより行われる。加熱の方法としては、赤外線や加熱空気による外部加熱または高周波による内部加熱による方法が採用できる。なかでも、加熱空気による外部加熱が好ましい。
【0054】
次いで、得られたディップ成形層の少なくとも一方の面、好適には、表面に位置する面(ディップ成形用型に接している面と反対の面)について、表面処理を施す。この際における、表面処理方法としては、特に限定されないが、得られたディップ成形層を、表面処理液に浸漬させる方法が好適である。表面処理液としては、得られるディップ成形品の引張強度の低下を抑制しながら、表面処理が施された面の動摩擦係数を低下させることができ、これにより得られるディップ成形品を着脱性に優れたものとすることができるという点より、表面処理剤として有機ハロゲン化剤を用いることが好ましく、これを溶媒に溶解させた溶液(表面処理液)を用いることがより好ましい。
【0055】
表面処理剤として用いる有機ハロゲン化剤としては、特に限定されないが、ハロゲン化剤として作用する有機化合物であればよいが、たとえば、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸などのハロゲン化イソシアヌル酸;N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドなどのハロゲン化スクシンイミド;1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインなどのハロゲン化ヒダントイン;N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミドなどのハロゲン化コハク酸イミド;5,5−ジクロロメルドラム酸、5,5−ジブロモメルドラム酸などのハロゲン化メルドラム酸;ヘキサクロロアセトン;などが挙げられる。これらのなかでも、得られるディップ成形品の引張強度の低下抑制効果が高いという点より、ハロゲン化イソシアヌル酸が好ましく、トリクロロイソシアヌル酸がより好ましい。これらの有機ハロゲン化剤は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
表面処理剤を溶解するための溶媒としては、表面処理剤を溶解可能な溶媒であればよく、特に限定されないが、たとえば、水;アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、シクロペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノンなどの直鎖のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。これらのなかでも、表面処理剤の溶解性が良好であり、かつ表面処理後における除去が容易であるという点より、直鎖のケトン類が好ましく、アセトンがより好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
表面処理液中の表面処理剤の濃度は、ハロゲン元素濃度(表面処理液中のハロゲン原子の濃度)で、好ましくは500〜5000重量ppm、より好ましくは800〜4000重量ppmである。また、得られたディップ成形層を、表面処理液に浸漬させる際における浸漬時間は、好ましくは20〜300秒、より好ましくは30〜240秒、さらに好ましくは60〜180秒である。
なお、表面処理時の表面処理液の温度は、5〜60℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
【0058】
ディップ成形層を、表面処理液に浸漬させた後、溶媒を除去するために乾燥させる。乾燥温度は、好ましくは、20〜80℃であり、乾燥時間は、好ましくは10秒〜60分、より好ましくは1〜20分である。また、溶媒を除去するために乾燥させた後、必要に応じて水洗を行ってもよく、たとえば、流水を用いて1〜20分間水洗すればよい。さらに、水洗を行った後には、40〜100℃で、1〜30分間乾燥することが好ましい。
【0059】
そして、表面処理したディップ成形層をディップ成形用型から脱着することによって、ディップ成形品が得られる。脱着方法としては、手で成形用型から剥したり、水圧や圧縮空気の圧力により剥したりする方法を採用することができる。なお、脱着後、更に60〜120℃の温度で、10〜120分の加熱処理を行なってもよい。また、ディップ成形用型から脱着した後、さらに、他方の面(ディップ成形用型と接していた面)についても、上記と同様にして、表面処理を行ってもよい。
【0060】
このような本発明のディップ成形品は、表面処理による動摩擦係数の低下により着脱性に優れ、かつ、表面処理による引張強度の低下が低く抑えられたものであるため、着脱が求められる用途、具体的には、手袋用途、とりわけ、薄手の手術用手袋に好適である。あるいは、本発明のディップ成形品は、手袋の他にも、哺乳瓶用乳首、スポイト、チューブ、水枕、バルーンサック、カテーテル、コンドームなどの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具;加圧成形用バック、ガス貯蔵用バックなどの工業用品;指サックなどにも用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。
【0062】
動摩擦係数
動摩擦係数は、表面性測定装置(商品名「HEIDON−14D」、新東科学社製)を用いて、ASTM D−1894に基づいて測定した。具体的には、表面処理ディップ成形品(手袋)(比較例1は、表面未処理ディップ成形品)の掌部分から切り取った試験片を、表面処理を施した面を表面とした状態にて移動重錘に取り付け、試験片を取り付けた移動重錘をステンレス板上にて、150mm/minの速度で、移動距離130mmの条件にて走行させ、試験片の摩擦によって生じる走行抵抗(動摩擦係数)を測定した。以下に、測定条件等を示す。
・試験片の接触面積:63.5mm×63.5mm
・移動重錘の重量:200g
・動摩擦係数μ’の算出式:μ’=C/D(C=均斉な走行になってからの平均荷重量(g)、D=移動重錘の重量(g))
【0063】
引張強度、破断時伸び
得られた表面処理ディップ成形品(手袋)(比較例1は、表面未処理ディップ成形品)から、ASTM D−412に準じてダンベル(Die−C)を用いて、ダンベル形状の試験片を作製した。次いで、この試験片を、商品名「3343型引張試験機」(インストロン社製)を用いて引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の引張強度(MPa)および破断時の伸び(%)を測定した。
【0064】
引張強度の変化率
得られた表面処理ディップ成形品(手袋)(比較例1は、表面未処理ディップ成形品)について、上記と同様にして測定した破断時の引張強度と、比較例1にて得られた表面未処理ディップ成形品について、上記と同様にして測定した破断時の引張強度とに基づいて、下記式にしたがって、引張強度の変化率を求めた。引張強度の変化率が小さいほど、表面処理による劣化が小さく、耐久性に優れるものと判断できる。
引張強度の変化率(%)={(比較例1の表面未処理ディップ成形品の引張強度)−(表面処理ディップ成形品の引張強度)}/(比較例1の表面未処理ディップ成形品の引張強度)×100
【0065】
着脱性
表面処理ディップ成形品(手袋)(比較例1は、表面未処理ディップ成形品)の内部を水で満たした後、水を排出して水に濡れた状態で手袋を装着し、その後脱着するときの難易度を、以下の基準で評価した。
◎:極めて容易に装着、脱着が可能だった。
○:容易に装着、脱着が可能だった。
×:装着・脱着が困難であった。
【0066】
製造例1
カルボキシル基含有ニトリルゴム(a)のラテックスの製造
耐圧重合反応器に、アクリロニトリル29部、メタクリル酸5.5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.5部、脱イオン水150部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部を仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン65.5部を仕込んだ。次いで、過硫酸カリウム0.2部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部を仕込んだ後、系内温度を39℃にして重合反応を開始した。重合転化率が97%になるまで重合反応を継続し、その後、ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止した。そして、得られた共重合体ラテックスから、未反応単量体を減圧にして留去した後、固形分濃度とpHを調整し、固形分濃度43%、pH8.5のカルボキシル基含有ニトリルゴム(a)のラテックスを得た。
【0067】
実施例1
ディップ成形用組成物の調製
製造例1で得られたカルボキシル基含有ニトリルゴム(a)のラテックス232.5部(カルボキシル基含有ニトリルゴム(a)換算で100部)に、固形分換算で、硫黄(架橋剤)1部、オレイン酸カリウム(脂肪酸石鹸および/または樹脂酸石鹸)1部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(架橋促進剤)0.5部、酸化亜鉛(架橋助剤)1.5部、酸化チタン(顔料)1.5部となるように、各配合剤の水分散液を添加した後、水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを9.8に調整したディップ成形用組成物(固形分濃度:25重量%)を得た。
【0068】
表面処理ディップ成形品の製造
表面がすり加工されたセラミック製の手袋型を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、13重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン109P」、花王株式会社製)からなる25℃の凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、取り出した。
【0069】
次いで、凝固剤で被覆された手袋型を70℃のオーブン内で乾燥した。その後、凝固剤で被覆された手袋型をオーブンから取り出し、上記にて得られたディップ成形用組成物(25℃に調整)に10秒間浸漬してから取り出し、室温で60分間乾燥することで、ディップ成形層で被覆された手袋型を得た。そして、このディップ成形層で被覆された手袋型を60℃の温水中に2分間浸漬した後、室温で30分間風乾した。その後、このディップ成形層で被覆された手袋型を120℃のオーブン内に置き、20分間架橋を行うことで、架橋ディップ成形層で被覆された手袋型を得た。
【0070】
そして、架橋ディップ成形層を塩素濃度1000重量ppmに調整したトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液に、25℃で90秒間浸漬させることにより表面処理を行った。その後、室温で5分間風乾した後、引き続き流水で5分間洗浄し、温度70℃のオーブンに置き、10分間乾燥した。次いで、表面処理されたディップ成形層で被覆された手袋型を室温まで冷却し、手袋型から剥離することで、表面処理ディップ成形品(手袋)を得た。得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。
【0071】
そして、得られた表面処理ディップ成形品を用いて、動摩擦係数、引張強度、破断時伸び、引張強度の変化率、および着脱性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0072】
実施例2
表面処理液として、塩素濃度が1000重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液に代えて、塩素濃度が1500重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
表面処理液として、塩素濃度が1000重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液に代えて、塩素濃度が3000重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0074】
実施例4
表面処理における、表面処理液への浸漬時間を90秒から60秒に変更した以外は、実施例2と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0075】
実施例5
表面処理における、表面処理液への浸漬時間を90秒から120秒に変更した以外は、実施例2と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0076】
比較例1
表面処理をしなかった以外は、実施例1と同様にして、表面未処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面未処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0077】
比較例2
表面処理液として、塩素濃度が1000重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液に代えて、塩素濃度が100重量ppmである次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0078】
比較例3
表面処理液として、塩素濃度が1000重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液に代えて、塩素濃度が1500重量ppmである次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0079】
比較例4
表面処理液として、塩素濃度が1000重量ppmであるトリクロロイソシアヌル酸のアセトン溶液に代えて、塩素濃度が3000重量ppmである次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面処理ディップ成形品を得て、同様に評価を行った。なお、得られた表面処理ディップ成形品の膜厚は0.06mmであった。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すように、有機ハロゲン化剤(トリクロロイソシアヌル酸)を用いて表面処理をすることにより得られる表面処理ディップ成形品は、膜厚、表面処理が施された面の動摩擦係数、および表面処理後における引張強度が本発明所定の範囲にあり、着脱性に優れ、また、引張強度の変化率も低く抑えられており、良好であった(実施例1〜5)。
【0082】
一方、表面処理を行わなかった場合には、得られるディップ成形品は、動摩擦係数が大きく、着脱性に劣るものであった(比較例1)。
また、表面処理液として、塩素濃度が100重量ppmである次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を用いた場合には、得られる表面処理ディップ成形品は表面処理が不十分であり、動摩擦係数が大きく、着脱性に劣るものであった(比較例2)。
さらに、表面処理液として、塩素濃度が、それぞれ1500重量ppm、3000重量ppmである次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を用いた場合には、得られる表面処理ディップ成形品は、表面処理による引張強度の低下が大きく、耐久性に劣るものであった(比較例3,4)。