特許第6493637号(P6493637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6493637
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】顔料組成物及び印刷インキ
(51)【国際特許分類】
   C09B 19/00 20060101AFI20190325BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20190325BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20190325BHJP
【FI】
   C09B19/00
   C09B67/20 F
   C09B67/20 L
   C09D11/037
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-554594(P2018-554594)
(86)(22)【出願日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】JP2018019053
【審査請求日】2018年10月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-126266(P2017-126266)
(32)【優先日】2017年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】菊池 洋匡
(72)【発明者】
【氏名】鴛海 功
(72)【発明者】
【氏名】井川 伸夫
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−146966(JP,A)
【文献】 特表2010−531251(JP,A)
【文献】 特開2015−010144(JP,A)
【文献】 特開昭58−017167(JP,A)
【文献】 特開2011−162662(JP,A)
【文献】 特開2009−292991(JP,A)
【文献】 特開2010−083997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 19/00
C09B 67/20
C09D 11/037
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントバイオレット23と、
硫酸鉄(II)、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種の多価金属無機塩と、を含有し、
かつ、質量基準で前記C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり、0.1〜5.0部の前記多価金属無機塩を含有することを特徴とする顔料組成物。
【請求項2】
さらに、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のアルキルアンモニウム塩を含有することを特徴とする請求項1記載の顔料組成物。
【請求項3】
C.I.ピグメントバイオレット23の水スラリーに、硫酸鉄(II)、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種の多価金属無機塩を加えて均一に攪拌することを特徴とする、C.I.ピグメントバイオレット23と、硫酸鉄(II)、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種の多価金属無機塩と、を含有し、
かつ、質量基準で前記C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり、0.1〜5.0部の前記多価金属無機塩と、を含有する請求項1または2に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の顔料組成物を含有する着色剤。
【請求項5】
請求項1または2に記載の顔料組成物とワニスを含有する印刷インキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷インキ、塗料、着色成形品、捺染など広範な用途に用いることができるジオキサジンバイオレット顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、着色を目的とする顔料は微細な粒子からなっている。たとえば、グラビア印刷、フレキソ印刷等の印刷インキや塗料のように、微細な一次粒子の凝集体である顔料を媒体中に分散する場合において、粒子の凝集をほぐすために長時間強い力をかけて分散したり、分散剤を添加したりするなどの工夫がなされている。
なかでも、C.I.ピグメントバイオレット23に代表されるジオキサジンバイオレット顔料を用いた場合、流動性に係る問題が顕著であり、流動性向上のためにジオキサジンバイオレット顔料の誘導体の併用が検討されてきた。ジオキサジンバイオレット顔料の誘導体としては、スルホン酸誘導体、スルホンアミド誘導体、ジアルキルアミノアルキル誘導体、フタルイミドアルキル誘導体などが知られている。
しかしながら、このような粒子の微細化や、顔料誘導体を併用する方法であっても、使用する用途によっては増粘(粘度上昇)による流動性低下が現れる場合があった。
【0003】
特に、C.I.ピグメントバイオレット23を印刷用インキに用いた場合の安定性が課題となっている。インキの増粘はインキ製造時の分散機での分散不良や、装置の停止を引き起こすこともあり、解決が希求されている課題である。
このような中、ジオキサジン化合物と特定のスルホン酸誘導体とを併用する方法(特許文献1)が提案されている。
しかしながら、これらの方法であっても実用上十分な増粘抑制が達成されない場合があった。より具体的には、従来の方法によっては、印刷インキとして要求される分散性に関する諸特性((1)ベースインキとしての経時粘度、(2)べースインキを酢酸エチルやワニス等で希釈した際の粘度、など。)の何れにおいても実用上十分な増粘抑制が達成されているとは言えない実情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−98178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような実情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、優れた分散安定性を有するジオキサジンバイオレット顔料組成物を提供することにある。より具体的には、印刷インキ用途に使用する際の(1)ベースインキとしての経時粘度、(2)べースインキを酢酸エチルやワニス等で希釈した際の粘度の何れにおいても実用上十分な増粘抑制が達成されたジオキサジンバイオレット顔料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、実用上十分な上記特性を有する顔料組成物を見出すべく、有機顔料粒子の表面状態と印刷インキを構成する成分の相互作用について鋭意検討した結果、C.I.ピグメントバイオレット23に対し、多価金属無機塩を用いることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、
『項1.ジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)と多価金属無機塩とを含有することを特徴とする顔料組成物。
項2.さらに、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のアルキルアンモニウム塩を含有することを特徴とする項1に記載の顔料組成物。
項3.C.I.ピグメントバイオレット23の水スラリーに、多価金属無機塩を加えて均一に攪拌することを特徴とする、前記項1に記載の顔料組成物の製造方法。
項4.前記項1〜3いずれか一項に記載の顔料組成物を少なくとも含有する着色剤。
項5.前記項1〜3いずれか一項に記載の顔料組成物とワニスとを含有する印刷インキ。』に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の顔料組成物によれば、優れた分散安定性を有するジオキサジンバイオレット顔料組成物が得られるという格別顕著な効果を奏するものである。より具体的には、ジオキサジンバイオレット顔料を印刷インキ用途に使用する際の(1)ベースインキとしての経時粘度、(2)べースインキを酢酸エチルやワニス等で希釈した際の粘度の何れにおいても実用上十分な増粘抑制が達成可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、C.I.ピグメントバイオレット23と、多価金属無機塩と、を含有する顔料組成物である。このような本発明の顔料組成物によれば、印刷インキや塗料として使用した際にも優れた分散安定性を奏する。
【0010】
<C.I.ピグメントバイオレット23の説明>
本発明に用いるC.I.ピグメントバイオレット23は、下記化学構造式(I)で表される有機顔料を意味する。このようなC.I.ピグメントバイオレット23は、市販品(たとえば、FASTOGEN SUPER VIOLET シリーズ(DIC株式会社製、BET法による比表面積:50〜120m/g)などが挙げられる)を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。もちろん製造後に適宜公知の処理を加えて用いても良い。C.I.ピグメントバイオレット23のBET法による比表面積は、透明性を保ちつつ過度に微細な粒子の凝集とそれに伴う増粘を防ぐ観点から、60〜80m/gの範囲にあるものが好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
<多価金属無機塩の説明>
本発明者らは、C.I.ピグメントバイオレット23を多価金属無機塩で処理することにより、ニトロセルロース(以下、NCと表記する)アルコール系インキにおいて、ベースインキ経時粘度、希釈時のインキ粘度(後述の実施例においては酢酸エチルで希釈)のいずれにおいても顕著に優れた増粘抑制が得られることを見出した。
【0013】
C.I.ピグメントバイオレット23の表面に吸着した多価金属無機塩とNC樹脂のニトロ基のそれぞれの分極が相互作用をすることにより、C.I.ピグメントバイオレット23が樹脂に吸着する。即ち、多価金属無機塩が顔料表面と樹脂との親和性を上げることで経時粘度及び酢酸エチル希釈粘度の安定性向上に寄与していると推察される。
【0014】
本発明に用いる多価金属無機塩は、2価以上の金属カチオンと無機酸アニオンの塩であれば何れも使用することができ、金属カチオンの例としては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Al3+、Cd2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Cr4+、Hg2+、Cu2+、Pb2+、Ni2+、Mn2+、などが挙げられ、無機酸アニオンの例としては、F、Cl、Br、I、NO、PO3−、HPO2−、HPO、SO2−、HSO、CO2−、HCO、などが挙げられる。
より具体的には、硫酸鉄(II)、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。
なかでも、インキ粘度の低減効果が顕著なことから、硫酸鉄(II)、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸銅(II)を用いることが好ましい。
本発明に用いる多価金属無機塩は単独で用いても良いし、必要に応じて併用することもできる。
【0015】
<C.I.ピグメントバイオレット23と多価金属無機塩との配合量の説明>
本発明の顔料組成物は、質量基準でC.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり、0.1〜5.0部の多価金属無機塩を含有することが好ましく、なかでも、インキ粘度の低減効果が顕著なことから、0.3〜3.0部の多価金属無機塩を含有することがより好ましい。
【0016】
本発明の顔料組成物の調製方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
(A)C.I.ピグメントバイオレット23のウエットケーキを水等に懸濁させた顔料スラリーに多価金属無機塩を加えて、均一に攪拌した後、常法に従って濾過、乾燥、粉砕してジオキサジンバイオレット顔料組成物とする方法。
(B)C.I.ピグメントバイオレット23のウエットケーキを乾燥する前に、多価金属無機塩の水溶液をウエットケーキに噴霧して、常法に従って乾燥、粉砕してジオキサジ
ンバイオレット顔料組成物とする方法。
(C)乾燥したC.I.ピグメントバイオレット23と、多価金属無機塩とを、磨砕することなく、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、エアーミックス混合機、ニーダー等の配合機を用いて乾式混合する方法。
(D)予め各々別個に準備した、C.I.ピグメントバイオレット23乾燥顔料と、多価金属無機塩とを、インキ、塗料等に使用するときに同時に加える方法。
(E)C.I.ピグメントバイオレット23のウエットケーキを水等に懸濁させた顔料スラリーに多価金属無機塩を加えて、均一に攪拌した後、スピンフラッシュドライヤーまたはスプレードライヤー等で噴霧、乾燥する方法。
【0017】
前記した顔料組成物の調製方法のなかでも、C.I.ピグメントバイオレット23顔料に均一に多価金属無機塩を処理できることや、通常のC.I.ピグメントバイオレット顔料の製造工程の範囲で対応できる観点から、前記(A)の調製方法が好ましい。
【0018】
また、本発明者らはさらに分散安定性能の向上を追求し、前記した本発明の顔料組成物に、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のアンモニウム塩(下記構造)を加えることで、C.I.ピグメントバイオレット23を含むバイオレットインキと、銅フタロシアニンを含むブルーインキの混色時の増粘をも解決できることを見出した。
【0019】
本発明者らの検討によれば、このような混色時の増粘は以下のような場合に起こる。すなわち、混色前においては、C.I.ピグメントバイオレット23及び銅フタロシアニンが、それぞれワニス中のNC樹脂に吸着し分散安定化している。一方、混色後の場合、NC樹脂との親和性がより強い銅フタロシアニンに、C.I.ピグメントバイオレット23に吸着していたNC樹脂が奪われ、C.I.ピグメントバイオレット23が凝集し、増粘が起こると考えられる。
そこで、C.I.ピグメントバイオレット23を、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のアンモニウム塩で処理することで立体障害が生まれ相互作用が起こりにくくなり、両インキ混合時の増粘を防いでいると推察される。
【0020】
【化2】
【0021】
式中mは0〜3の数、nは1〜4の数であり、m+n=1〜4である。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又はC〜C20アルキルである。好ましくはR〜R=H、R=C12アルキルである。
【0022】
C.I.ピグメントバイオレット23のスルホン酸誘導体アンモニウム塩の処理量としては、質量換算でC.I.ピグメントバイオレット顔料 100部当たり、0.5〜15.0部が好ましく、さらには、1.0〜8.0部であることが好ましい。
【0023】
C.I.ピグメントバイオレット23と多価金属無機塩と、さらにC.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のアンモニウム塩を含む本発明の顔料組成物の調製方法としては、例えば、前記好ましい調製法である(A)で言えば、粉砕工程時に、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のアンモニウム塩を添加することで得ることができる。あるいはC.I.ピグメントバイオレット23のウエットケーキを水等に懸濁させた顔料スラリーに多価金属無機塩とC.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体を加えて均一に撹拌し、アミン又はアンモニウム塩を加えてさらに攪拌した後、常法に従って濾過、乾燥、粉砕して、本発明の顔料組成物とする方法がある。
【0024】
なお、本発明の顔料組成物は、本発明の効果に好ましくない影響を与えない限りにおいて、さらに添加剤や分散剤などを含有させ、各用途に適するように調整可能することもできる。
【0025】
こうして得られた本発明の顔料組成物は、着色機能を必要とするような用途であれば何れにも好適に使用できる。例えば、塗料、印刷インキ、着色成形品、静電荷像現像用トナー、液晶表示装置のカラーフィルタ、インクジェット記録用水性インク等の公知慣用の各種用途に使用することができる。
【0026】
本発明のC.I.ピグメントバイオレット23の顔料組成物は、初期粘度、経時安定性にも優れた印刷インキを提供できる。印刷インキは、本発明の製造方法で得られた顔料組成物に対して、公知慣用の各種バインダー樹脂、各種溶媒、各種添加剤等を、従来の調製方法に従って混合することにより調製することができる。具体的には、顔料濃度の高いリキッドインキ用ベースインキを調整し、各種バインダー、各種溶媒、各種添加剤等を使用することにより、リキッドインキを調整することができる。
【0027】
本発明の顔料組成物は、流動性に優れた低粘度のNC樹脂系リキッドインキ用ベースインキの製造が可能であり、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ用の有機顔料組成物として好適である。NC樹脂系リキッドインキ用ベースインキは、NC樹脂(窒素分:10.7〜12.2)、溶媒、顔料からなる。このNC樹脂系リキッドインキ用ベースインキに各種バインダー樹脂、溶媒、各種添加剤を添加して、リキッドインキを製造することができる。バインダーには、例えば、NC樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、溶剤には、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−i−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−i−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−i−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−i−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−i−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−i−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−i−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル系溶剤などを使用することができる。
【0028】
本発明の顔料組成物を印刷インキとして用いる場合、上記のようにして調製された本発明の顔料組成物を使用した印刷インキを酢酸エチルやポリウレタン系ワニス、ポリアミド系ワニスに希釈して用いることができる。印刷インキの調製は公知慣用の方法を採用することができる。
【0029】
本発明の顔料組成物を着色剤としての塗料とする場合、塗料として使用される樹脂としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂など様々である。
【0030】
塗料に使用される溶媒としては、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。溶媒としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
【0031】
また、顔料添加剤及び/又は顔料組成物を、液状樹脂中で分散し又は混合し、塗料用樹脂組成物とする場合に、通常の添加剤類、例えば、分散剤類、充填剤類、塗料補助剤類、乾燥剤類、可塑剤類及び/又は補助顔料を用いることができる。これは、それぞれの成分を、単独又は幾つかを一緒にして、全ての成分を集め、又はそれらの全部を一度に加えることによって、分散又は混合して達成される。
【0032】
上記顔料組成物を分散する分散機としては、ディスパー、ホモミキサー、ペイントコンディショナー、スキャンデックス、ビーズミル、アトライター、ボールミル、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー等の公知の分散機が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の顔料組成物の分散は、これらの分散機にて分散が可能な粘度になるよう、樹脂、溶剤が添加され分散される。分散後の高濃度塗料ベースは固形分5〜20%であり、これにさらに樹脂、溶剤を混合し塗料として使用に供される。
【0033】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を表すものとする。
【0034】
本実施例において、顔料組成物中の金属含有量の測定は蛍光X線測定により行った。
詳細は以下の通りである。
Fe、Cu、Zn含有量:蛍光X線分析装置 Epsilon5(PANalytical B.V.製)により測定した。作製した顔料粉末約1000mgを用いてサンプル径19mmの錠剤を作製し、測定に使用した。
Al、Mg含有量:蛍光X線分析装置 ZSX100e(株式会社リガク製)により測定した。作製した顔料粉末約200mgを用いてサンプル径13mmの錠剤を作製し、測定に使用した。
顔料のBET法による比表面積の測定は、顔料粉末約100mgを用い、比表面積測定装置 Macsorb HM model−1220(株式会社MOUNTECH製)により測定した。
【0035】
[実施例1]
C.I.ピグメントバイオレット23(DIC株式会社製、BET法による比表面積:75m/g)のウェットケーキ(顔料分60部)に水を加え、全量で1000部とし、ステンレスカップ中でホモディスパー 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて30分解膠した。そこに硫酸鉄(II)七水和物(和光純薬工業株式会社製)1.8部を添加し、1時間撹拌した。得られたスラリーをヌッチェろ過し、ろ物を送風乾燥(98℃、18時間)、粉砕し、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−1)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は2470ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.2部であった。
【0036】
[実施例2]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物添加量を3.6部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−2)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は3480ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.7部であった。
【0037】
[実施例3]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物添加量を5.4部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−3)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は4190ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり2.1部であった。
【0038】
[実施例4]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物添加量を7.2部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−4)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は4760ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり2.4部であった。
【0039】
[実施例5]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸アルミニウム14〜18水和物(和光純薬工業株式会社製)3.6部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−5)60部を得た。この顔料組成物中のAl含有量は484ppmであった。これは硫酸アルミニウム16水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり0.6部であった。
【0040】
[実施例6]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸アルミニウム14〜18水和物(和光純薬工業株式会社製)5.4部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−6)60部を得た。この顔料組成物中のAl含有量は750ppmであった。これは硫酸アルミニウム16水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり0.9部であった。
【0041】
[実施例7]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸カリウムアルミニウム(和光純薬工業株式会社製)5.4部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−7)60部を得た。この顔料組成物中のAl含有量は981ppmであった。これは硫酸カリウムアルミニウムの量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.7部であった。
【0042】
[実施例8]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸銅(II)(和光純薬工業株式会社製)3.6部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−8)60部を得た。この顔料組成物中のCu含有量は5713ppmであった。これは硫酸銅(II)の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.4部であった。
【0043】
[実施例9]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸亜鉛七水和物(和光純薬工業株式会社製)3.6部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−9)60部を得た。この顔料組成物中のZn含有量は5923ppmであった。これは硫酸亜鉛七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり2.6部であった。
【0044】
[実施例10]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)3.6部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−10)60部を得た。この顔料組成物中のMg含有量は2298ppmであった。これは硫酸マグネシウムの量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.1部であった。
【0045】
[実施例11]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を塩化鉄(II)(和光純薬工業株式会社製)4.0部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−11)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は6359ppmであった。これは塩化鉄(II)の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.4部であった。
【0046】
[実施例12]
前記[実施例1]の硫酸鉄(II)七水和物を塩化鉄(III)(和光純薬工業株式会社製)5.4部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−12)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は6892ppmであった。これは塩化鉄(III)の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり2.0部であった。
【0047】
[調製例1]
C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体(DIC株式会社製)のウェットケーキ(染料分60部)に水を加え、全量で3600部とし、ステンレスカップ中、錨型撹拌羽を用いて80度、1時間、加熱撹拌した。その一方で、酢酸(和光純薬工業株式会社製)19部、水720部、ファーミン20D(花王株式会社製)45部をビーカー中、80度、1時間、加熱撹拌した。C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体のスラリーにファーミン20Dの溶液を全量投入し、1時間撹拌した。得られたスラリーをヌッチェろ過し、ろ物を水4800部で洗浄した。ろ物を送風乾燥(98℃、18時間)し、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸誘導体ドデシルアンモニウム塩を96部得た。
【0048】
[実施例13]
C.I.ピグメントバイオレット23(DIC株式会社製、BET法による比表面積:75m/g)のウェットケーキ(顔料分60部)に水を加え、全量で1000部とし、ステンレスカップ中でホモディスパー 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて30分解膠した。そこに硫酸鉄(II)七水和物(和光純薬工業株式会社製)3.6部を添加し、1時間撹拌した。得られたスラリーをヌッチェろ過し、ろ物を送風乾燥(98℃、18時間)した。得られた顔料の乾燥品の粉砕時に、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸ドデシルアンモニウム塩を3.0部添加、粉砕し、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−13)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は3290ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.6部であった。
【0049】
[実施例14]
前記[実施例9]の硫酸鉄(II)七水和物を硫酸アルミニウム14〜18水和物(和光純薬工業株式会社製)3.6部に変更した以外は同様の操作を行い、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−14)60部を得た。この顔料組成物中のAl含有量は472ppmであった。これは硫酸アルミニウム16水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり0.6部であった。
【0050】
[実施例15]
C.I.ピグメントバイオレット23の乾燥品60部に、硫酸鉄(II)七水和物0.9部を混合、粉砕し、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−15)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は2941ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.5部であった。
[実施例16]
C.I.ピグメントバイオレット23(DIC株式会社製、BET法による比表面積:65m/g
)のウェットケーキ(顔料分60部)に水を加え、全量で1000部とし、ステンレスカップ中でホモディスパー 2.5型(プライミクス株式会社製)を用いて30分解膠した。そこに硫酸鉄(II)七水和物(和光純薬工業株式会社製)3.6部を添加し、1時間撹拌した。得られたスラリーをヌッチェろ過し、ろ物を送風乾燥(98℃、18時間)した。得られた顔料の乾燥品の粉砕時に、C.I.ピグメントバイオレット23スルホン酸ドデシルアンモニウム塩を3.0部添加、粉砕し、C.I.ピグメントバイオレット23顔料組成物(A−16)60部を得た。この顔料組成物中のFe含有量は3101ppmであった。これは硫酸鉄(II)七水和物の量に換算すると、C.I.ピグメントバイオレット23 100部当たり1.5部であった。
【0051】
[比較例1]
C.I.ピグメントバイオレット23(DIC株式会社製、BET法による比表面積:75m/g)のウェットケーキ(顔料分60部)を、送風乾燥(98℃、18時間)、粉砕し、C.I.ピグメントバイオレット23を60部得た。
【0052】
[各種インキの作製]
(NCエタノールワニスの作製)
NC樹脂(窒素分:10.7〜12.2、不揮発分70%、揮発分エタノール)250部、エタノール(和光純薬工業株式会社製)436.5部、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)13.5部を1Lポリ瓶に入れペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)で2時間分散し、NCエタノールワニスを得た。
【0053】
(NCグリコールエーテルワニスの作製)
NC樹脂(窒素分:10.7〜12.2、不揮発分70%、揮発分イソプロパノール)164.5部、プロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)335.5部を1Lポリ瓶に入れペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)で2時間分散し、NCグリコールエーテルワニスを得た。
【0054】
(紫色NCエタノールベースインキの作製)
前記実施例1〜16で得られた顔料組成物、比較例1(C.I.ピグメントバイオレット23、無処理)のそれぞれについて、顔料組成物22部、NCエタノールワニス40部、エタノール(和光純薬工業株式会社製)36.9部、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)1.1部、SAZビーズ(ジルコニアYTZボール1.25φ、東京硝子器械株式会社製)150部を200mLガラス瓶に入れ、Shaker Skandex SK550(Fast & Fluid Management B.V.Company製)にて2時間分散し、紫色NCエタノールベースインキを得た。
【0055】
(紫色NCグリコールベースインキの作製)
前記実施例5で得られた顔料組成物、比較例1(C.I.ピグメントバイオレット23、無処理)のそれぞれについて、顔料組成物18.2部、NCグリコールエーテルワニス32.5部、プロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)40.3部、n−プロパノール(和光純薬工業株式会社製)9.0部、SAZビーズ(ジルコニアYTZボール1.25φ、東京硝子器械株式会社製)150部を200mLガラス瓶に入れ、Shaker Skandex SK550(Fast & Fluid Management B.V.Company製)にて2時間分散し、紫色NCグリコールベースインキを得た。
【0056】
(酢酸エチル希釈インキの作製)
得られた紫色NCエタノールベースインキ38.5部、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)16.5部を100mLポリ瓶に入れ、ペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)にて10秒分散し、酢酸エチル希釈インキを得た。
【0057】
(青色ベースインキの作製)
C.I.ピグメントブルー15:4(DIC株式会社製)22部、NCエタノールワニス40部、エタノール(和光純薬工業株式会社製)36.9部、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)1.1部、SAZビーズ(ジルコニアYTZボール1.25φ、東京硝子器械株式会社製)150部を200mLガラス瓶に入れ、Shaker Skandex SK550(Fast & Fluid Management B.V.Company製)にて2時間分散し、青色ベースインキを得た。
【0058】
(混色インキの作製)
紫色NCエタノールベースインキ28部、青色ベースインキ12部、エタノール(和光純薬工業株式会社製)20部を100mLポリ瓶に入れ、ペイントシェーカー(株式会社東洋精機製作所製)にて10秒分散し、混色インキを得た。
【0059】
[各種インキの粘度測定結果]
(ベースインキ経時粘度)
得られた紫色NCエタノールベースインキおよびNCグリコールベースインキを室温で24時間静置し、その後20℃恒温槽で1時間以上静置してR85形粘度計 RB85L(東機産業株式会社製)で粘度を測定した。粘度は低いほど優れる。表1、表2中では、以下のように評価した。
・ベースインキ経時粘度の評価(6rpmでの粘度(単位:mPa・s))
AA:1000未満
A:1000以上〜5000未満
B:5000以上〜10000未満
C:10000以上
【0060】
(酢酸エチル希釈粘度)
得られた酢酸エチル希釈インキを20℃恒温槽で1時間以上静置してR85形粘度計 RB85L(東機産業株式会社製)で粘度を測定した。粘度は低いほど優れる。表1中では、以下のように評価した。
・酢酸エチル希釈粘度の評価(6rpmでの粘度(単位:mPa・s))
AA:1000未満
A:1000以上〜10000未満
B:10000以上〜25000未満
C:25000以上
なお、比較例1の酢酸エチル希釈粘度は40000を大きく超えるものであった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
(混色経時粘度)
得られた混色インキの調製直後、3時間室温静置後、24時間室温静置後のそれぞれの粘度(25℃)を、ザーンカップ(番号4、株式会社離合社製)を用いて測定した。表中の粘度の値は低いほど優れる。
【0064】
【表3】
【要約】
本発明が解決しようとする課題は、優れた分散安定性を有するジオキサジンバイオレット顔料組成物を提供することにある。より具体的には、印刷インキ用途に使用する際の(1)ベースインキとしての経時粘度、(2)べースインキを酢酸エチルやワニス等で希釈した際の粘度の何れにおいても実用上十分な増粘抑制が達成されたジオキサジンバイオレット顔料組成物を提供することにある。ジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)と多価金属無機塩とを含有することを特徴とする顔料組成物を提供することによりこれを解決する。