(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される1種、又は2種以上の組み合わせである請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布しベークしてレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジスト溶液を用いてレジスト膜を形成する工程、フォトマスクを介して前記レジスト下層膜と前記レジスト膜で被覆された半導体基板をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、極端紫外線及び電子線からなる群から選択される放射線により露光する工程、及び露光後に現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[ポリマー]
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーは、前記式(1)又は式(2)で表される構造をポリマー鎖の末端に有する。
【0016】
前記ポリマーは、下記式(1a)で表される化合物、下記式(2a)で表される化合物、或いは下記式(1b)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物の両方、を含む原料モノマーの反応生成物である。
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、X、A、t及びuは、前記式(1)又は式(2)で表される構造のR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、X、A、t及びuの定義と同義である。)
上記及び本明細書で後述する炭素原子数1ないし6のアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基を挙げることができる。上記及び本明細書で後述する芳香族環として、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンを挙げることができる。上記芳香族複素環として、例えば、トリアジン、ピリミジン、イミダゾール及びピリジンを挙げることができる。
【0017】
前記ポリマーは、例えば下記式(4)で表される構造単位及び下記式(5)で表される構造単位を有する。
【化3】
(式中、Q
1及びQ
2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素原子数1乃至13の炭化水素基を有する二価の有機基、芳香族環を有する二価の有機基、又は窒素原子を1乃至3つ含む複素環を有する二価の有機基を表す。)
【0018】
上記炭素原子数1乃至13の炭化水素基は例えば、炭素原子数1乃至13の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、tert−ブチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基及びドデシル基等を挙げることができる。
上記炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基として、例えばハロゲノ基が挙げられる。上記炭化水素基は、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基と脂環式炭化水素基との組み合わせである。該脂環式炭化水素基として、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基を挙げることができる。
上記窒素原子を1乃至3つ含む複素環として、例えばトリアジントリオン、ピリミジントリオン、イミダゾリジンジオン、イミダゾリドン及びピリドンを挙げることができる。
【0019】
前記式(4)で表される構造単位は、例えば下記式(4a)、式(4b)又は式(4c)で表される構造単位である。
【化4】
(式中、R
6は水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、又はアリル基を表し、R
7及びR
8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Q
3は置換基を有してもよい炭素原子数1乃至13の炭化水素基、又は置換基を有してもよい芳香族環を表し、2つのvはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
【0020】
上記炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基として、例えばハロゲノ基が挙げられる。上記炭化水素基は、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基と脂環式炭化水素基との組み合わせである。上記芳香族環が置換基を有する場合、その置換基として、例えば炭素原子数1乃至6のアルキル基が挙げられる。
前記Q
3は例えば、下記式で表される基を表す。
【化5】
【0021】
前記式(5)で表される構造単位は、例えば下記式(5a)、式(5b)、式(5c)又は式(5d)で表される構造単位である。
【化6】
(式中、R
9及びR
10それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基又は芳香族環を表し、R
11は炭素原子数1乃至6のアルキル基、又はアリル基を表し、R
12及びR
13はそれぞれ独立に炭素原子数1乃至3のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基を表し、Q
4は置換基を有してもよい炭素原子数1乃至13の炭化水素基、又は置換基を有してもよい芳香族環を表し、2つのwはそれぞれ独立に0又は1を表す。)
【0022】
上記炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基として、例えばヒドロキシ基及びハロゲノ基が挙げられる。上記炭化水素基は、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基と脂環式炭化水素基との組み合わせである。前記直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基は、2つの炭素原子間に二重結合を有してもよい。上記芳香族環が置換基を有する場合、その置換基として、例えば炭素原子数1乃至6のアルキル基及びヒドロキシ基が挙げられる。前記Q
4は例えば、下記式で表される基を表す。
【化7】
【0023】
前記式(1a)で表される化合物として、例えば、下記式(1a−1)乃至式(1a−89)で表される化合物を挙げることができる。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0024】
前記式(2a)で表される化合物として、例えば、下記式(2a−1)乃至式(2a−18)で表される化合物を挙げることができる。
【化13】
【0025】
前記式(1b)で表される化合物としては、例えば、下記式(1b−1)乃至式(1b−20)で表される化合物を挙げることができる。前記式(3)で表される化合物としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、4−メチル−2−ペンタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【化14】
【0026】
前記式(4)で表される構造単位を形成するモノマーとしては、例えば、下記式(4−1)乃至式(4−16)で表される、エポキシ基を2つ有する化合物を挙げることができる。
【化15】
【化16】
【0027】
前記式(5)で表される構造単位を形成するモノマーとして、例えば、下記式(5−1)乃至式(5−12)で表される化合物が挙げられる。
【化17】
【0028】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーは、例えば下記式(6)又は式(7)で表されるポリマーである。
【化18】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、A、t及びuは前記式(1)又は式(2)で表される構造のR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、X、A、t及びuの定義と同義であり、Yは前記式(4)で表される構造単位及び前記式(5)で表される構造単位を有するポリマー鎖を表す。)
【0029】
上記式(6)又は式(7)で表されるポリマーを得るために必要な原料モノマーのうち、前記式(1a)で表される化合物、式(2a)で表される化合物、或いは式(1b)で表される化合物と前記式(3)で表される化合物の両方は、前記式(4)で表される構造単位を形成するモノマー及び前記式(5)で表される構造単位を形成するモノマーの総計を100質量%とすると、例えば1質量%乃至30質量%(モノマーの仕込み比換算)であり、好ましくは2質量%乃至20質量%である。
【0030】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。ポリマーの重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など種々の方法が可能であり、適宜重合触媒等を用いてもよい。
【0031】
重合方法の一例として、有機溶媒中で、前記式(4)で表される構造単位を形成するモノマー及び式(5)で表される構造単位を形成するモノマーに、前記式(1a)で表される化合物又は式(2a)で表される化合物と重合触媒とを加えて加熱重合を行い合成することができる。ここで使用する有機溶媒は、後述する本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれる有機溶媒として好ましい例示の中より適宜選択できる。前記重合触媒として、例えば、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミドを挙げることができ、例えば50℃乃至160℃、好ましくは70℃乃至130℃に加熱して重合できる。反応時間としては、例えば1時間乃至50時間、好ましくは2時間乃至12時間である。
【0032】
上記ポリマーの重量平均分子量は、例えば800乃至100000、好ましくは800乃至10000である。この重量平均分子量の値が高すぎると、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物の塗布性が悪化する。本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を100質量%とすると、当該組成物に含まれる上記ポリマーは、例えば0.01質量%乃至3質量%、好ましくは0.1質量%乃至2質量%である。
【0033】
[架橋剤]
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、さらに架橋剤を含む。その架橋剤として、特に制限はないが、少なくとも二つの架橋形成置換基(例えば、メチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基)を有する含窒素化合物が好ましく用いられる。
【0034】
上記架橋剤としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベングアナミン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれる上記架橋剤は、当該組成物中のポリマーを100質量%とすると、例えば1質量%乃至100質量%、好ましくは10質量%乃至50質量%である。これら架橋剤は、前記ポリマー、特に架橋剤と反応して架橋を形成する式(4)で表される構造単位及び式(5)で表される構造単位中の架橋官能基(ヒドロキシ基)と架橋反応を起こすことができる。
【0035】
[架橋反応を促進させる化合物]
架橋反応を促進させるために、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、さらに架橋反応を促進させる化合物を含む。そのような化合物としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホナート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5−スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等のスルホン酸化合物及びカルボン酸化合物を使用できる。これら架橋反応を促進させる化合物は、一種のみを使用することができ、また、二種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれる上記架橋反応を促進させる化合物は、当該組成物中のポリマーを100質量%とすると、例えば0.1質量%乃至25質量%、好ましくは1質量%乃至10質量%である。
【0036】
[有機溶媒]
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物はさらに有機溶媒を含む。本発明において使用される有機溶媒としては、前述のポリマーを溶解することができれば特に制限されず、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチルを用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、又は2種以上の組合せで使用される。
【0037】
上記有機溶媒の中で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンが好ましい。本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれる上記有機溶媒は、当該組成物を100質量%とすると、例えば90質量%乃至99.99質量%、好ましくは98質量%乃至99.9質量%である。本明細書では、レジスト下層膜形成組成物から有機溶媒を除いた成分を固形分と表現する。
【0038】
[酸発生剤]
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物はさらに酸発生剤を含んでいてもよい。そのような酸発生剤としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンが挙げられる。本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物が上記酸発生剤を含む場合、当該組成物中のポリマーを100質量%とすると、例えば0.1質量%乃至5質量%、好ましくは0.2質量%乃至3質量%含む。
【0039】
[その他の添加剤]
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物には、必要に応じて界面活性剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない限りにおいてさらに含んでもよい。界面活性剤は、基板に対する当該組成物の塗布性を向上させるための添加物である。ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のような公知の界面活性剤を用いることができる。
【0040】
上記界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352〔三菱マテリアル電子化成(株)製〕、メガファック〔登録商標〕F171、同F173、同R−30、同R−40、同R−40−LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0041】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物が上記界面活性剤を含む場合、当該組成物中のポリマーを100質量%とすると、例えば0.1質量%乃至5質量%であり、好ましくは0.2質量%乃至3質量%含む。
【0042】
次に本発明のレジストパターン形成方法について説明する。まず、精密集積回路素子の製造に使用される基板〔例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコンウェハー等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む。)、ITO膜が形成されたガラス基板〕上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークして硬化させレジスト下層膜を作製する。
【0043】
塗布後、ベークする条件としては、例えばベーク温度80℃乃至250℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の範囲から適宜選択され、好ましくは、150℃乃至250℃、0.5分乃至5分間である。このような条件でベークすることにより、ポリマーの構造単位中のヒドロキシ基等の架橋部位と架橋剤が反応して架橋構造が形成される。特に、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーを架橋させることで、架橋ポリマーの架橋密度を高くすることができる。また、レジスト下層膜の膜厚としては、例えば0.001μm(1nm)乃至0.2μm(200nm)であり、好ましくは0.003μm(3nm)乃至0.1μm(100nm)である。
【0044】
次に、作製したレジスト下層膜上にレジスト膜を形成する。レジスト膜の形成は一般的な方法、すなわち、レジスト溶液をレジスト下層膜上への塗布及びベークによって行うことができる。塗布されるレジスト溶液としては、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV、電子線に感光するものであれば、特に限定はなく、ネガ型、ポジ型いずれも使用できる。使用可能なレジスト溶液としては、例えば、住友化学(株)製;商品名PAR710,同PAR855、JSR(株)製;商品名AR2772JN、信越化学工業(株)製;商品名SEPR430、ダウケミカル社(旧ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社)製;商品名APEX−Xが挙げられる。
【0045】
続いて、レジスト下層膜の上層に形成されたレジスト膜に対して、所定のマスク(レチクル)を通して露光する。露光には、例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUVを使用することができる。但し、電子線露光の場合、マスク(レチクル)を必要としない。また露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。露光後加熱の条件としては、加熱温度80℃乃至150℃、加熱時間0.3分乃至60分間の範囲から適宜選択される。
【0046】
露光後、現像、リンス及び乾燥することにより良好なレジストパターンが得られる。レジスト膜の現像液としては、アルカリ類の水溶液又は有機溶媒を使用することができる。アルカリ類の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類の水溶液、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1級アミン類の水溶液、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第2級アミン類の水溶液、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3級アミン類の水溶液、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類の水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩の水溶液、及びピロール、ピペリジン等の環状アミン類の水溶液が挙げられる。さらに、前記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第4級アンモニウム塩の水溶液、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液である。現像液として使用される有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート及びプロピル−3−メトキシプロピオネートが挙げられる。これらの中で好ましくは酢酸ブチルである。現像の条件としては、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒の範囲から適宜選択される。
【0047】
そして、レジスト膜が前記工程により現像除去されたことにより露出した部分のレジスト下層膜を、ドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明について合成例及び実施例を挙げて詳述するが、本発明は下記記載に何ら限定されるものではない。
【0049】
下記合成例1乃至合成例10、比較合成例1及び比較合成例2に示す重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、本明細書ではGPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置を用い、測定条件は下記のとおりである。また、本明細書の下記合成例に示す分散度は、測定された重量平均分子量、及び数平均分子量から算出される。
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕・Asahipak〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
流量:0.6ml/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株)製)
ディテクター:RIディテクター(東ソー(株)製、RI−8020)
【0050】
<合成例1>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製)7.00g、5,5−ジエチルバルビツール酸(八代製薬(株)製)3.93g、4−(メチルスルホニル)安息香酸(東京化成工業(株)製)1.51g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(Sigma−Aldrich社製)0.47gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル73.14gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後、135℃で4時間反応させ、ポリマー溶液を得た。当該ポリマー溶液は、室温に冷却しても白濁等を生じることはなく、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対する溶解性は良好である。GPC分析を行ったところ、得られた溶液中のポリマーは、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量2600、分散度3.448はであった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−1)及び式(5a−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−1)で表される構造を末端に有する。
【化19】
【0051】
<合成例2>
ヒダントインジグリシジル(四国化成工業(株)製)7.42g、5,5−ジエチルバルビツール酸(八代製薬(株)製)4.83g、4−(メチルスルホニル)安息香酸(東京化成工業(株)製)1.85g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(Sigma−Aldrich社製)0.57gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル83.21gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後、135℃で4時間反応させ、ポリマー溶液を得た。当該ポリマー溶液は、室温に冷却しても白濁等を生じることはなく、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対する溶解性は良好である。GPC分析を行ったところ、得られた溶液中のポリマーは、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量2590、分散度2.77はであった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4b−1)及び式(5a−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−1)で表される構造を末端に有する。
【化20】
【0052】
<合成例3>
ヒダントインジグリシジル(四国化成工業(株)製)10.06g、モノアリルシアヌル酸(四国化成工業(株)製)6.01g、4−(メチルスルホニル)安息香酸(東京化成工業(株)製)2.51g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(Sigma−Aldrich社製)0.78gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル109.73gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後、135℃で4時間反応させ、ポリマー溶液を得た。当該ポリマー溶液は、室温に冷却しても白濁等を生じることはなく、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対する溶解性は良好である。GPC分析を行ったところ、得られた溶液中のポリマーは、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量3240、分散度2.265はであった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4b−1)及び式(5b−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−1)で表される構造を末端に有する。
【化21】
【0053】
<合成例4>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分48.7質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)、4.18g、5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.65g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル35gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1100であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−2)で表される構造を末端に有する。モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸のエポキシ基は、5−スルホサリチル酸のヒドロキシ基よりもカルボキシル基と優先的に反応すると考えられる。
【化22】
【0054】
<合成例5>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分48.7質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g、5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.87g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル36gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量910であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−2)で表される構造を末端に有する。
【化23】
【0055】
<合成例6>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分50質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g、5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)1.3g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル38.4gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量890であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−2)で表される構造を末端に有する。
【化24】
【0056】
<合成例7>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分50質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g、4−(メチルスルホニル)安息香酸(東京化成工業(株)製)0.80g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル36.38gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量2500であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−1)で表される構造を末端に有する。
【化25】
【0057】
<合成例8>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分50質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g、4−(メチルスルホニル)安息香酸(東京化成工業(株)製)1.19g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル37.98gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1650であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(1−1)で表される構造を末端に有する。
【化26】
【0058】
<合成例9>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分50質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g、2−(p−トルエンスルホニル)酢酸(東京化成工業(株)製)0.85g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル36.61gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量3300であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(2−1)で表される構造を末端に有する。
【化27】
【0059】
<合成例10>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分50質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g、2−(p−トルエンスルホニル)酢酸(東京化成工業(株)製)1.28g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.37gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル38.31gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量2600であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有すると共に、下記式(2−1)で表される構造を末端に有する。
【化28】
【0060】
<比較合成例1>
テレフタル酸ジグリシジルエステル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコール〔登録商標〕EX711)5.00g、5−ヒドロキシイソフタル酸(東京化成工業(株)製)3.15g及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(東京化成工業(株)製)0.20gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル35.60gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後、135℃で4時間反応させ、ポリマー溶液を得た。当該ポリマー溶液は、室温に冷却しても白濁等を生じることはなく、プロピレングリコールモノメチルエーテルに対する溶解性は良好である。GPC分析を行ったところ、得られた溶液中のポリマーは、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量15700、分散度は3.39であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4c−1)及び式(5d−1)で表される構造単位を有するが、そのポリマーは上記式(1)又は式(2)で表される構造を末端に有さない。
【化29】
【0061】
<比較合成例2>
モノメチルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)製、固形分50質量%)10g、3,3’−ジチオジプロピオン酸(堺化学工業(株)製)4.18g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.36gを、反応容器中のプロピレングリコールモノメチルエーテル33gに加え溶解させた。その反応容器を窒素置換後105℃で24時間反応させポリマー溶液を得た。GPC分析を行ったところ標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量2500であった。本合成例で得られたポリマーは、下記式(4a−2)及び式(5c−1)で表される構造単位を有するが、そのポリマーは上記式(1)又は式(2)で表される構造を末端に有さない。
【化30】
【0062】
<実施例1>
上記合成例1で得られた、ポリマー0.63gを含むポリマー溶液4.82gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.1563gとp−フェノールスルホン酸(東京化成工業(株)製)0.0016g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:メガファック〔登録商標〕R−40)0.0031gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル67.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.92gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0063】
<実施例2>
上記合成例2で得られた、ポリマー0.63gを含むポリマー溶液4.91gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.1563gとp−フェノールスルホン酸(東京化成工業(株)製)0.0016g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:メガファック〔登録商標〕R−40)0.0031gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル67.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート7.92gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0064】
<実施例3>
上記合成例3で得られた、ポリマー0.23gを含むポリマー溶液1.73gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gとp−フェノールスルホン酸(東京化成工業(株)製)0.0059g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:メガファック〔登録商標〕R−40)0.0011gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル25.29g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2.97gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0065】
<実施例4>
上記合成例4で得られたポリマー溶液1.14gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0059gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.68gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0066】
<実施例5>
上記合成例5で得られたポリマー溶液1.10gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0059gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.73gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0067】
<実施例6>
上記合成例6で得られたポリマー溶液1.32gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.071gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0071gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.27gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0068】
<実施例7>
上記合成例7で得られたポリマー溶液1.47gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0059gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.35gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0069】
<実施例8>
上記合成例8で得られたポリマー溶液1.58gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0059gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.24gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0070】
<実施例9>
上記合成例9で得られたポリマー溶液1.46gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0059gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル22.07gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0071】
<実施例10>
上記合成例10で得られたポリマー溶液1.49gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0059gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル22.04gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0072】
<比較例1>
上記比較合成例1で得られた、ポリマー0.23gを含むポリマー溶液1.31gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.059g及び5−スルホサリチル酸0.0058gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル21.27g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.91gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0073】
<比較例2>
前記特許文献1に記載の合成例1により得られた、下記式(4a−1)及び式(5a−1)で表される構造単位を有するポリマー0.94gを含むポリマー溶液5.16gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.23gとp−フェノールスルホン酸(東京化成工業(株)製)0.023g、及び界面活性剤(DIC(株)製、商品名:メガファック〔登録商標〕R−40)0.0046gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル50.93g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.64gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【化31】
【0074】
<比較例3>
上記比較合成例2で得られたポリマー溶液1.38gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.055gと5−スルホサリチル酸(東京化成工業(株)製)0.0055gを混合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.52gを加え溶解させ、リソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物とした。
【0075】
〔フォトレジスト溶剤への溶出試験〕
実施例1乃至実施例10、及び比較例1乃至比較例3のレジスト下層膜形成組成物を、それぞれ、スピナーにより、半導体基板であるシリコンウェハー上に塗布した。そのシリコンウェハーをホットプレート上に配置し、205℃で1分間ベークし、レジスト下層膜(膜厚0.05μm)を形成した。これらのレジスト下層膜をフォトレジストに使用する溶剤である乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルに浸漬し、それらの溶剤に不溶であることを確認した。
【0076】
〔薄膜での塗布性試験〕
実施例1乃至実施例3、及び比較例1のレジスト下層膜形成組成物を、それぞれ、
図1に上面及び断面を示す構造の、縦13μm、横13μm、高さ230nmの正方形のパターン、及び縦14μm、横14μm、高さ230nmの十字形のパターンが形成されたシリコンウェハー上に5nmの膜厚で塗布し、光学顕微鏡(オリンパス(株)製、MX61L)のダークフィールドで塗布性を確認した。実施例1乃至実施例3のレジスト下層膜形成組成物を塗布した場合のみ、良好な塗布性を確認できた。一方、比較例1のレジスト下層膜形成組成物を塗布した場合は、塗布ムラが見られるため、塗布性が不良であることが確認された。
【0077】
〔ArF露光によるレジストパターンの形成〕
実施例4乃至実施例10及び比較例3のレジスト下層膜形成組成物を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布した。そのシリコンウェハーを、ホットプレート上で、205℃で60秒間ベークし、膜厚28nmのレジスト下層膜を得た。そのレジスト下層膜上に、ArFエキシマレーザー用ポジ型レジスト溶液をスピンコートし、80℃で60秒間加熱し、ArFレジスト膜を形成した。そのレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー用露光装置((株)ニコン製、NSR S307R)を用い、所定の条件で露光した。露光後、95℃で60秒間ベーク(PEB)を行い、クーリングプレート上で室温まで冷却し、酢酸ブチルで現像した後、酢酸ブチルでリンス処理をし、62nmライン/124nmピッチのレジストパターンを形成した。レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−9380)を用いた。上記レジストパターンの形成において、62nmライン/124nmピッチ(ラインアンドスペース(L/S=1/1)を形成した露光量を最適露光量とした。この最適露光量よりも段階的に露光量を小さくすると、得られるパターンの線幅は次第に細くなり最終的にレジストパターンの倒壊が観察される。そこで、レジストパターンの倒壊が認められない最小の線幅を最小倒壊前寸法(nm)と定義してパターン倒れ耐性の指標とした。表1にこの最小倒壊前寸法の値を示す。パターン倒れ耐性は、最小倒壊前寸法が50nm以下の場合は「良好」、50nmを超える場合は「不良」と判断した。
【0078】
【表1】
【0079】
〔EUV露光試験〕
シリコンウェハー上に、本発明の実施例1、実施例2及び比較例1のレジスト下層膜形成組成物をスピンコートし、205℃で1分間加熱することにより、レジスト下層膜を形成した。そのレジスト下層膜上に、EUV用レジスト溶液をスピンコートし加熱を行い、EUV露光装置(ASML社製、NXE3100)を用い、NA=0.25Dipoleの条件で露光した。露光後、PEB(露光後加熱)を行い、クーリングプレート上で室温まで冷却し、現像及びリンス処理を行い、シリコンウェハー上にレジストパターンを形成した。評価は、25nmのラインアンドスペース(L/S)の形成可否、形成されたラインパターン上面からの観察による当該ラインパターンのライン幅のラフネス(LWR)の大小、及びレジストパターンの倒壊が認められない最小の線幅である最小倒壊前寸法により行った。表2に評価の結果を示す。ラインアンドスペースが形成された場合を「良好」とした。また、LWRについて、形成されたラインパターンの線幅のバラツキの大きさをnmで示した。最小倒壊前寸法及びLWRは小さい値ほど好ましいことから、実施例1及び実施例2は比較例1と比べて、良好な最小倒壊前寸法及びLWRを示した。
【表2】