特許第6494067号(P6494067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494067
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】距離測定装置、及び距離測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20190325BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20190325BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20190325BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G01B11/00 G
   G01B11/24 D
   G01N21/17 630
   A61B1/00 526
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-148873(P2014-148873)
(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公開番号】特開2016-24086(P2016-24086A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】青戸 智浩
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−516083(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02662661(EP,A1)
【文献】 特開昭63−259439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − G01B 11/30
G01N 21/00 − G01N 21/01
G01N 21/17 − G01N 21/61
A61B 1/00
A61B 3/10
G01B 9/02
G01J 3/00 − G01J 4/04
G01J 7/00 − G01J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長を変化させながら光を入射光として射出する波長掃引光源と、
前記波長掃引光源から射出された入射光を、複数に分岐された光として、第1参照光と第2参照光と測定光に分岐させ、前記測定光を照射し、前記測定光の反射光と前記第1参照光とを干渉光として合波させる干渉計と、
前記干渉計により前記反射光と前記第1参照光が合波された干渉光を検出する干渉光検出部と、
光の一部を吸収する気体に基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する波長検出部と、
前記干渉光検出部により検出された干渉光の信号をフーリエ変換し、フーリエ変換された前記干渉光の信号に基づく周波数スペクトルに応じたピーク周波数を検出し、検出された前記ピーク周波数と、前記波長検出部により検出された前記入射光の波長に応じた周波数とに基づいて、前記干渉計からの距離を導出する導出部と、
を備える距離測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の距離測定装置であって、
前記波長検出部は、前記第2参照光を前記気体に照射し、前記気体に照射された前記第2参照光に基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する、
距離測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の距離測定装置であって、
前記波長検出部は、前記気体に照射された前記第2参照光の吸収スペクトルを検出し、検出された前記吸収スペクトルに基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する、
距離測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の距離測定装置であって、
前記波長検出部は、検出された前記吸収スペクトルと、予め記憶された参照用スペクトルであって前記光の波長と、前記気体による前記光の吸収率とが対応付けられた前記参照用スペクトルとのパターンマッチングに基づいて、前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する、
距離測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の距離測定装置であって、
前記気体は、波長基準となるガスである、
距離測定装置。
【請求項6】
波長を変化させながら光を入射光として射出し、
射出された前記入射光を、複数に分岐された光として、第1参照光と第2参照光と測定光に分岐させ、前記測定光を照射し、前記測定光の反射光と前記第1参照光とを干渉計により干渉光として合波させ、
合波された前記干渉光を検出し、
光の一部を吸収する気体に基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出し、
検出された前記干渉光の信号をフーリエ変換し、フーリエ変換された前記干渉光の信号に基づく周波数スペクトルに応じたピーク周波数を検出し、検出された前記ピーク周波数と、検出された前記入射光の波長とに基づいて、前記干渉計からの距離を導出する、
距離測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、距離測定装置、及び距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の干渉を利用し、材料表面及び内部の断層画像を取得する技術が研究・開発されている。これに関連し、光源として波長掃引光源を利用した波長走査型光コヒーレントトモグラフィー(Swept Source Optical Coherence Tomography : SS-OCT)による計測対象の表面形状及び内部の測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−101249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置は、あくまでも測定対象の表面形状及び内部の画像化を目的としており、表面形状の精密測定を行う場合、測定精度が十分ではない場合があった。これは、測定装置から測定対象までの間の距離測定において、誤差が大きいことが原因の一つであった。また、この誤差の主要因の一つは、光源からの光の波長を精度よく測定することができないことであった。
【0005】
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、高い精度で距離測定を行うことができる距離測定装置、及び距離測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、波長を変化させながら光を入射光として射出する波長掃引光源と、前記波長掃引光源から射出された入射光を、複数に分岐された光として、第1参照光と第2参照光と測定光に分岐させ、前記測定光を照射し、前記測定光の反射光と前記第1参照光とを干渉光として合波させる干渉計と、前記干渉計により前記反射光と前記第1参照光が合波された干渉光を検出する干渉光検出部と、光の一部を吸収する気体に基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する波長検出部と、前記干渉光検出部により検出された干渉光の信号をフーリエ変換し、フーリエ変換された前記干渉光の信号に基づく周波数スペクトルに応じたピーク周波数を検出し、検出された前記ピーク周波数と、前記波長検出部により検出された前記入射光の波長に応じた周波数とに基づいて、前記干渉計からの距離を導出する導出部と、を備える距離測定装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の距離測定装置であって、前記波長検出部は、前記第2参照光を前記気体に照射し、前記気体に照射された前記第2参照光に基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する、距離測定装置である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の距離測定装置であって、前記波長検出部は、前記気体に照射された前記第2参照光の吸収スペクトルを検出し、検出された前記吸収スペクトルに基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する、距離測定装置である。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の距離測定装置であって、前記波長検出部は、検出された前記吸収スペクトルと、予め記憶された参照用スペクトルであって前記光の波長と、前記気体による前記光の吸収率とが対応付けられた前記参照用スペクトルとのパターンマッチングに基づいて、前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出する、距離測定装置である。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の距離測定装置であって、前記気体は、波長基準となるガスである、距離測定装置である。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、波長を変化させながら光を入射光として射出し、射出された前記入射光を、複数に分岐された光として、第1参照光と第2参照光と測定光に分岐させ、前記測定光を照射し、前記測定光の反射光と前記第1参照光とを干渉計により干渉光として合波させ、合波された前記干渉光を検出し、光の一部を吸収する気体に基づいて前記第2参照光の波長を前記入射光の波長として検出し、検出された前記干渉光の信号をフーリエ変換し、フーリエ変換された前記干渉光の信号に基づく周波数スペクトルに応じたピーク周波数を検出し、検出された前記ピーク周波数と、検出された前記入射光の波長とに基づいて、前記干渉計からの距離を導出する、距離測定方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い精度で距離測定を行うことができる距離測定装置、及び距離測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】距離測定装置1の一例を示す構成図である。
図2】波長掃引光源2から射出される入射光の波長の時間変化の様子の一例を示すグラフである。
図3】制御部43により検出される第2参照光の検出感度と、経過時間との関係の一例を示す図である。
図4】光が波長基準となるガスを透過する割合と、その光の波長との対応関係の一例を示す図である。
図5】制御装置6の機能構成の一例を示す図である。
図6】制御装置6により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】干渉光検出部5により検出される干渉信号の一部を例示する図である。
図8図7に示した干渉信号のうち、予め決められた基準となる時刻から所定の時間長Tだけ経過した時刻の範囲内における干渉信号をフーリエ変換した周波数スペクトルを示す図である。
図9】距離測定装置1との比較対象となる距離測定装置Xの一例を示す構成図である。
図10】距離測定装置X及び距離測定装置1における干渉信号をフーリエ変換したピーク周波数と距離L1−L2との相関関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<概要>
まず、以下に示す実施形態に係る距離測定装置1の概要を説明し、その後により詳細な実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る距離測定装置1の一例を示す構成図である。距離測定装置1は、波長掃引光源2から射出された入射光を干渉計3に入射する。そして、干渉計3は、入射された入射光を測定光と参照光に分波する。干渉計3は、分波された入射光のうち、測定光を測定対象Wに向けて照射する。測定対象Wに照射された測定光であって、測定対象Wで反射された測定光は、再び干渉計3に入射する。
【0016】
一方、干渉計3は、参照光を、さらに、第1参照光と第2参照光に分波する。干渉計3は、第1参照光を反射鏡36に向けて照射する。反射鏡36に照射された第1参照光であって、反射鏡36で反射された第1参照光は、再び干渉計3に入射する。干渉計3は、測定対象Wで反射された測定光と反射鏡36で反射された第1参照光とを干渉光として合波する。その後、干渉計3は、干渉光を、光ファイバーを介して干渉光検出部5に導光する。干渉光検出部5は、導光された干渉光を検出(受光)し、検出した干渉光を電気信号に変換する。干渉光検出部5は、この電気信号を干渉信号として制御装置6に出力する。一方、干渉計3は、第2参照光を、光ファイバーを介して波長検出部4に導光する。
【0017】
波長検出部4は、導光された第2参照光の波長を検出し、検出された第2参照光の波長を制御装置6に出力する。第2参照光の波長は、波長掃引光源2が射出した入射光の波長であるとともに、測定光の波長である。制御装置6は、取得した干渉信号及び測定光の波長に基づいて、干渉計3と測定対象Wとの間の距離L1を算出(導出)する。
【0018】
測定対象Wは、例えば、シリコンウェハーや多層膜等の工業製品や生体等であり、図1に示したように、ユーザによりコリメーター33から距離L1だけ離れた位置に設置される。この距離L1は、ユーザが設置する段階で未知である。前述したように、距離測定装置1は、この距離L1を測定(算出又は導出)する。
【0019】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示したように、距離測定装置1は、例えば、波長掃引光源2と、干渉計3と、波長検出部4と、干渉光検出部5と、制御装置6と、光ファイバーF1と、光ファイバーF6と、光ファイバーF7とを備える。距離測定装置1では、波長掃引光源2と干渉計3とが光ファイバーF1により接続されており、干渉計3と干渉光検出部5とが光ファイバーF6により接続されており、干渉計3と波長検出部4とが光ファイバーF7により接続されている。また、波長掃引光源2と制御装置6、波長検出部4と制御装置6、干渉光検出部5と制御装置6はそれぞれ、電気ケーブル等によって通信可能に接続されている。
【0020】
波長掃引光源2は、時間の経過とともに一定周期で波長を変化させながら干渉計3への入射光を射出する。波長掃引光源2から射出される入射光は、例えば、1[kHz]周期毎に1550±100[nm]の波長帯で波長が変化する。また、この波長は、例えば、正弦波状に変化する。ここで、図2を参照することで、波長掃引光源2から射出される入射光の波長の時間変化の様子について説明する。図2は、波長掃引光源2から射出される入射光の波長の時間変化の様子の一例を示すグラフである。
【0021】
グラフG1の横軸は、経過時間Time(単位は[msec])を表す。また、グラフG1の縦軸は、経過時間毎の波長掃引光源2から射出される入射光の波長λ(単位は[nm])を表す。図2に示したように、波長掃引光源2は、1[msec]毎(1[kHz]周期あたり)に、1550±100[nm]の波長帯で波長が正弦波として変化する入射光を射出する。
【0022】
干渉計3は、例えば、光ファイバーF2〜F5と、分岐部31、34と、接続部32と、コリメーター33、35と、反射鏡36とを備える。干渉計3では、図1に示したように、光ファイバーF2〜F5によって接続部32と、分岐部31、34と、コリメーター33、35と、反射鏡36とがそれぞれ接続されている。なお、反射鏡36は、反射部の一例である。また、干渉計3は、光ファイバーF1によって波長掃引光源2と接続されている。また、干渉計3の分岐部31は、光ファイバーF6によって干渉光検出部5と接続されている。また、干渉計3の分岐部34は、光ファイバーF7によって波長検出部4に接続されている。
【0023】
光ファイバーF1〜F7は、例えば、シングルモード・光ファイバーである。なお、光ファイバーF1〜F7は、光経路部の一例である。接続部32は、例えば、ファイバーコネクタであり、光ファイバー同士を、光損失を低く抑えながら接続する。分岐部31、34は、光を分波又は合波する。分岐部31、34は、例えば、ファイバーカプラーである。
【0024】
分岐部31は、光ファイバーF1から入射した光を測定光と参照光に分波し、分波した測定光を、光ファイバーF2を介して接続部32に導光するとともに、分波した参照光を、光ファイバーF4を介して分岐部34に導光する。また、分岐部31は、光ファイバーF2及びF4からそれぞれ導光された光を1つの光(干渉光)に合波して、合波した干渉光を、光ファイバーF6を介して干渉光検出部5に導光する。分岐部34は、光ファイバーF4から導光された光を第1参照光と第2参照光に分波し、分波した第1参照光を、光ファイバーF5を介してコリメーター35へ導光するとともに、分波した第2参照光を、光ファイバーF7を介して波長検出部4へ導光する。
【0025】
コリメーター33、35は、例えば、コリメーターレンズであり、入射した光を平行光へ変化させるか、又はある焦点に集光させる。光ファイバーF3から導光された測定光を測定対象Wへ集光するように照射するとともに、測定対象Wによって反射された反射光を光ファイバーF43へ入射する。また、コリメーター35は、参照光を平行光に変化させ、平行光を反射鏡36へ照射するとともに、反射鏡36によって反射された反射光を光ファイバーF5へ入射する。反射鏡36は、コリメーター35から所定の距離L2だけ離れた場所に設置されており、コリメーター35から入射した光を、コリメーター35へ向けて反射する。
【0026】
上記に説明した干渉計3には、波長掃引光源2から射出された入射光が、光ファイバーF1を介して導光される。この導光された入射光は、まず干渉計3の分岐部31に入射する。分岐部31は、入射光を測定光と参照光に分波する。分岐部31は、測定光を光ファイバーF2と、接続部32と、光ファイバーF3とを順に介してコリメーター33へ入射する。そして、コリメーター33は、測定光を測定対象Wに集光するように照射する。測定対象Wに照射された測定光の一部又は全部は、測定対象Wでコリメーター33へ向けて反射される。コリメーター33へ入射した測定光であって、測定対象Wで反射された測定光は、その後、光ファイバーF3と、接続部32と、光ファイバーF2とを順に介して分岐部31へ導光される。
【0027】
一方、分岐部31は、参照光を、光ファイバーF4を介して分岐部34へ導光する。そして、分岐部34は、参照光を第1参照光と第2参照光に分波する。分岐部31は、第1参照光を、光ファイバーF5を介してコリメーター35へ入射する。そして、コリメーター35は、第1参照光を平行光に変化させて反射鏡36に照射する。反射鏡36に照射された第1参照光の一部又は全部は、反射鏡36でコリメーター35へ向けて反射される。コリメーター35へ入射した参照光であって、反射鏡36で反射された第1参照光は、その後、光ファイバーF5と、分岐部34と、光ファイバーF4とを順に介して分岐部31へ導光される。
【0028】
分岐部31は、測定対象Wで反射された測定光と反射鏡36で反射された第1参照光とを干渉光として合波する。そして、分岐部31は、この干渉光を、光ファイバーF6を介して干渉光検出部5に導光する。一方、分岐部34は、第2参照光を、光ファイバーF7を介して波長検出部4に導光する。なお、距離測定装置1では、測定対象Wで反射された測定光と反射鏡36で反射された第1参照光とを干渉させるため、波長掃引光源2から射出される入射光の可干渉距離は、図1に示した距離L1と距離L2との差よりも長くなければならない。なお、距離L1は、コリメーター33と測定対象Wとの間の距離である。また、距離L2は、コリメーター35と反射鏡36との間の距離である。また、本実施形態において、干渉計3の好ましい一例として、分岐部31からコリメーター33までの光路長と、分岐部31からコリメーター35までの光路長とは、同じであるとするが、これに限られず、例えば、測定対象Wまでの距離L1と、光源の可干渉距離に応じて、前記光路長差をF3及びF5の長さを変えることで調整しても良い。
【0029】
波長検出部4は、光ファイバーF7を介して干渉計3の分岐部34から導光された第2参照光の波長を検出する。そして、波長検出部4は、検出された波長を示す情報を制御装置6に出力する。波長検出部4は、波長検出装置の一例である。波長検出部4は、例えば、筐体41と、光検出器42と、制御部43を備える。
【0030】
筐体41は、光検出器42と、制御部43の全体を囲うように設置され、外気の流入を防ぎ、且つ内部から外部への気体の流出を防ぎ、さらに、光を透過せず外乱光の侵入を排除する。また、筐体41は、光の一部を吸収する気体が封入されている。この気体は、光の波長毎に、光の一部を吸収する割合が異なる気体である。特に、この気体は、波長検出部4に導光される第2参照光の波長帯において、第2参照光の一部を吸収する割合と、光の波長とが一対一に対応するものでなければならない。
【0031】
また、この気体は、光の一部を吸収する割合と、光の波長との対応関係とについてトレーサビリティを有するものであることが好ましい。トレーサビリティを有する気体の場合、ユーザは、前記の対応関係に関して予備実験等によって較正を行う必要が無く、時間的なコストや金銭的なコストが増大してしまうことを抑制することができる。このようなトレーサビリティを有する気体の一例は、波長基準となるガス(13やH1314N等)である。以下では、説明の便宜上、筐体41に封入された気体が波長基準となるガスであるとして説明する。また、筐体41は、光ファイバーF7や通信ケーブル等の接続による間隙を、オーリング等でパッキングされることで、外気の流入や、内部のガスの流出が抑制されている。
【0032】
光検出器42は、光ファイバーF7を介して導光された第2参照光であってガスによりその一部が吸収された光を検出(受光)する。そして光検出器42は、検出された光を電気信号に変換する。光検出器42は、この電気信号を制御部43に出力する。
制御部43は、波長検出部4の全体を制御する。また、制御部43は、光検出器42から取得された電気信号に基づいて、波長検出部4に導光された第2参照光(すなわち、入射光の一部)の検出感度を検出する。そして、制御部43は、検出された検出感度に基づいて第2参照光の波長を検出する。制御部43は、検出された波長を示す情報を制御装置6に出力する。
【0033】
図3は、制御部43により検出される第2参照光の検出感度と、経過時間との関係の一例を示す図である。図3に示したグラフの横軸は、経過した時間(単位は[msec])である。また、図3に示したグラフの縦軸は、光検出器42による第2参照光の検出感度(例えば、単位は[mA]等)を示す。図3に示したように、光ファイバーF7を介して筐体41内に照射された第2参照光の検出感度は、時間の経過とともに変化する。これは、筐体41に封入されたガスが第2参照光を吸収する割合が、第2参照光の波長によって変化することに起因する現象である。また、この第2参照光の一部を吸収する割合は、波長基準となるガスを使用しているため、第2参照光の波長と一対一に対応している。そして、第2参照光が吸収された割合は、光検出器42により第2参照光が検出される検出感度に反映される。従って、検出感度と波長の対応関係を利用することで、制御部43は、第2参照光の波長を検出することができる。
【0034】
ここで、図4を参照して、制御部43による第2参照光の波長の検出処理について説明する。図4は、光が波長基準となるガスを透過する割合と、その光の波長との対応関係の一例を示す図である。図4に示したグラフの横軸は、光の波長(単位は[nm])である。また、図4に示したグラフの縦軸は、規格化された透過率(吸収率に対応している)である。この規格化された透過率と、光の波長との対応関係は、波長基準となるガスがトレーサビリティを有しているため、国際的に認証されており、高い信用を有するとともに新たな較正を行う必要が無い。
【0035】
換言すると、ある波長帯において波長が変化する光をガスに照射した場合、波長毎の光の吸収割合を示すグラフ(例えば、図3に示したグラフ)の形状は、図4に示したグラフの形状と必ず一致する。これを利用し、制御部43は、例えば、波長が周期的に変化する第2参照光(すなわち、入射光の一部)の1周期分の検出感度の変化を示すグラフ(図3に示したようなグラフ)と、図4に示したグラフとを画像処理の手法(例えば、パターンマッチング)等によってマッチングし、経過時間毎の検出感度に基づいてその経過時間における第2参照光(すなわち、入射光の一部)の波長を検出する。なお、図3に示したグラフは、吸収スペクトルの一例である。また、図4に示したグラフは、参照用スペクトルの一例である。
【0036】
干渉光検出部5は、光ファイバーF6を介して導光された干渉光を検出(受光)し、検出した干渉光を電気信号に変換する。干渉光検出部5は、この電気信号を干渉信号として制御装置6に出力する。制御装置6は、干渉光検出部5から取得した干渉信号と、波長検出部4から取得した測定光の波長を示す情報とに基づいて、コリメーター33から測定対象Wまでの距離L1を導出する。
【0037】
なお、上記の説明において、干渉計3が、光ファイバーF2〜F5と、分岐部31、34と、接続部32と、コリメーター33、35と、反射鏡36とを備えているものとして説明したが、これに限られるものではなく、干渉計3が、さらに、光ファイバーF1、F6、F7とともに、波長掃引光源2と干渉光検出部5とのうちいずれか一方又は両方を備えていてもよい。
【0038】
次に、図5を参照することで、制御装置6の機能構成について説明する。図5は、制御装置6の機能構成の一例を示す図である。制御装置6は、例えば、制御部60と、記憶部70とを備える。また、制御部60は、例えば、装置制御部61と、干渉信号取得部62と、波長情報取得部64と、距離導出部68とを備える。
【0039】
装置制御部61は、波長掃引光源2が入射光を射出するように波長掃引光源2を制御する。また、装置制御部61は、波長検出部4が第2参照光(すなわち、入射光の一部)の波長を検出し、測定光の波長を示す情報を出力するように波長検出部4の制御部43を制御する。また、装置制御部61は、干渉光検出部5が干渉光を検出し、干渉信号を出力するように干渉光検出部5を制御する。装置制御部61は、図示しない計時部を備えており、波長検出部4による波長の検出と、干渉光検出部5による干渉信号の検出とを同期させる(すなわち、同じタイミングで波長を示す情報と干渉信号とを取得する)。
【0040】
干渉信号取得部62は、干渉光検出部5から干渉信号を取得する。波長情報取得部64は、波長検出部4から測定光の波長を示す情報を取得する。なお、干渉信号取得部62と波長情報取得部64とは、図示しない計時部により計時されるタイミングに応じて、干渉信号と測定光の波長を示す情報とを取得し、取得した干渉信号と測定光の波長を示す情報とを対応付けて記憶部70に順に記憶していく。
【0041】
距離導出部68は、干渉信号取得部62が取得した干渉信号と、波長情報取得部64が取得した測定光の波長を示す情報とに基づいて上述した距離L1を算出する。一例としては、距離導出部68は、取得した測定光の波長を、測定光の周波数(以下、光源周波数と称する)に変換する。そして、距離導出部68は、記憶部70から距離L1を導出するための各種情報を読み込む。各種情報とは、例えば、コリメーター35と反射鏡36との間の距離L2や光速度等のパラメータである。そして、距離導出部68は、読み込んだ各種情報と、変換した光源周波数と、取得した干渉信号とに基づいて上述した距離L1を導出する。距離導出部68は、導出部の一例である。
【0042】
記憶部70は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含み、制御装置6が距離L1を導出するための各種情報を格納する。なお、記憶部70は、制御装置6に内蔵されるものに代えて、外付け型の記憶装置でもよい。
【0043】
以下、図6を参照することにより、制御装置6の各機能部が行う処理について説明する。図6は、制御装置6により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、装置制御部61は、波長掃引光源2に干渉計3へ入射光を射出させる(ステップS100)。次に、干渉信号取得部62は、干渉光検出部5により検出された干渉信号を取得する。また、波長情報取得部64は、波長検出部4により検出された測定光の波長を示す情報を取得する(ステップS110)。制御装置6は、干渉信号取得部62により取得された干渉信号と、波長情報取得部64により取得された測定光の波長を示す情報とを対応付けて記憶部70に記憶する。
【0044】
一例としては、制御装置6は、干渉信号取得部62により取得された干渉信号と、波長情報取得部64により取得された測定光の波長を示す情報とを、計時部により計測された時刻と関連付けて記憶部70に記憶する。なお、他の例として、制御装置6は、干渉信号取得部62により取得された干渉信号と、波長情報取得部64により取得された測定光の波長を示す情報とを、干渉信号取得時間間隔あるいは波長を示す情報を取得する時間間隔と対応付けて記憶部70に記憶するとしてもよい。
【0045】
ここで、図7を参照することで、干渉光検出部5により検出される干渉信号について説明する。図7は、干渉光検出部5により検出される干渉信号の一部を例示する図である。グラフG2の横軸は、経過時間Time(単位は[msec])を表す。また、グラフG2の縦軸は、干渉光検出部5により検出される干渉光の振幅(単位は、例えば、電流値[mA]等である)を表す。信号LNは、図1に示したコリメーター33と測定対象Wとの間の距離L1と、コリメーター35と反射鏡36との間の距離L2との差が1[mm]の場合に得られた干渉信号を表す。
【0046】
次に、距離導出部68は、予め決められた基準となる時刻から所定の時間長Tだけ経過した時刻の範囲内における干渉信号と、時刻Tに対応付けられた測定光の波長を示す情報とを記憶部70から読み込む。所定の時間長Tとは、例えば、入射光の波長を1周期分走査する時間である1[msec]程度である。距離導出部68は、読み込んだ測定光の波長を光源周波数に変換する(ステップS120)。そして、距離導出部68は、所定の時間長Tと、光源周波数と、干渉信号とに基づいて、コリメーター33と測定対象Wとの間の距離L1とコリメーター35と反射鏡36との間の距離L2との差(L1−L2)を導出する(ステップS130)。
【0047】
ここで、距離導出部68が距離L1を導出するための処理について説明する。図1に示したコリメーター33と測定対象Wとの間を伝播する測定光の波動関数は、以下の式(1)によって表される。
【0048】
【数1】
【0049】
ここで、Eは、測定光の振幅を表す。また、ω(t)は、時刻tにおける光源周波数を表す。iは虚数単位である。また、k(t)は、時刻tにおける波長掃引光源2から射出された光の波数を表す。同様に、図1に示したコリメーター35と反射鏡36との間を伝播する第1参照光の波動関数は、以下の式(2)によって表される。
【0050】
【数2】
【0051】
ここで、Eは、第1参照光の振幅を表す。干渉光検出部5により検出される干渉光は、測定光と第1参照光とが合波された光である。従って、図7に示した干渉信号は、以下の式(3)によって表される。
【0052】
【数3】
【0053】
ここで、cは、光速度である。また、「*」は、複素共役を表す。図6に示した干渉信号を生み出す主因は、式(3)の右辺第3項に示した干渉項である。また、この干渉信号をフーリエ変換した周波数スペクトルを、図8に示した。図8は、図7に示した干渉信号のうち、予め決められた基準となる時刻から所定の時間長Tだけ経過した時刻の範囲内における干渉信号をフーリエ変換した周波数スペクトルを示す図である。図8に示したグラフの横軸は、フーリエモードの周波数Ωを表す。周波数Ωの単位は、[kHz]である。また、グラフの縦軸は、周波数Ωに対応する周波数スペクトルのスペクトル成分F(Ω)を表す。スペクトル成分F(Ω)の単位は、例えば、[W/Hz]である。この周波数スペクトルは、以下の式(4)によって表される。
【0054】
【数4】
【0055】
ここで、式(4)におけるTは、前述した時間長Tのことである。式(4)に基づいて、最大となるピークスペクトル成分F(Ω)MAXを与えるピーク周波数ΩMAXは、以下の式(5)のように表すことができる。
【0056】
【数5】
【0057】
距離導出部68は、上述の式(5)により距離L1と距離L2との差を導出する。すなわち、距離導出部68は、予め決められた基準となる時刻から所定の時間長Tだけ経過した時刻の範囲内における干渉信号と、予め決められた基準となる時刻から所定の時間長Tだけ経過した時刻における測定光の波長とを記憶部70から読み込む。また、距離導出部68は、記憶部70から、距離L2と光速度とを読み込む。距離導出部68は、読み込んだ測定光の波長を、光源周波数ω(T)に変換する。距離導出部68は、取得した干渉信号をフーリエ変換し、ピーク周波数ΩMAXと、ピークスペクトル成分F(Ω)MAXとを検出する。距離導出部68は、検出されたピーク周波数ΩMAX及びピークスペクトル成分F(Ω)MAXと、変換した光源周波数ω(T)と、読み込んだ距離L2及び光速度とに基づいて、上記の式(5)から、コリメーター33と測定対象Wとの間の距離L1を算出する。
【0058】
以下、図9及び図10を参照することで、上記に説明した本実施形態における距離測定装置1と、波長検出部4を備えていない他の距離測定装置Xとを比較する。図9は、距離測定装置1との比較対象となる距離測定装置Xの一例を示す構成図である。距離測定装置Xには、図1に示した距離測定装置1と比べて、波長検出部4が備えられていない。距離測定装置Xは、例えば、波長掃引光源2Xと、干渉計3と、干渉光検出部5と、制御装置6Xとを備える。
【0059】
波長掃引光源2Xは、波長掃引を行うためのグレーティング角から、射出する入射光の周波数を推定し、その推定値を制御装置6に出力する。そして、制御装置6Xは、取得した推定値を、上記の式(5)における光源周波数ω(T)として用いて距離L1を算出する。しかし、波長掃引光源2Xが出力する光源周波数の推定値は、グレーティング角を変更する機構等の誤差によって、実際に射出された入射光(すなわち、測定光)の光源周波数とは誤差が生じることがある。
【0060】
図10は、距離測定装置X及び距離測定装置1において実際に検出された周波数スペクトルのピーク周波数と、既知の距離L1と距離L2との差との相関関係の一例を示す図である。距離測定装置Xでは、波長掃引光源2Xから取得した光源周波数の推定値が、実際に射出された入射光の光源周波数から誤差が生じるため、既知の距離L1に対応する周波数スペクトルのピーク周波数の値が測定する毎にバラつく場合がある。このため、距離測定装置Xにおいて実際に検出された周波数スペクトルのピーク周波数と、既知の距離L1との相関関係は、完全な線形関係とはならない。
【0061】
それに対して、距離測定装置1では、既知の距離L1に対応する周波数スペクトルのピーク周波数の値が、距離測定装置Xの場合に比べて、測定する毎にバラつく度合いが小さい。そのため、距離測定装置1において実際に検出された周波数スペクトルのピーク周波数と、既知の距離L1−L2との相関関係は、距離測定装置Xの場合に比べて、高い線形性を有している。これらのことは、距離測定装置1が、距離測定装置Xと比べて、より高い精度で距離測定を行っていることを示している。すなわち、距離測定装置1は、波長検出部4により分波された第2参照光に基づいて、入射光の波長を検出するため、波長掃引光源2Xから測定光の波長の推定値を取得する場合と比べて、より高い精度で測定を行うことができる。さらに、距離測定装置1では、光源周波数が確定するため、測定毎のキャリブレーションの必要がない。
【0062】
このように、本実施形態における距離測定装置1は、入射光として波長を変化させながら光を射出し、射出された入射光を、干渉計3が複数に分岐された光として、第1参照光と第2参照光と測定光に分岐させ、測定光を測定対象Wに照射し、測定対象Wからの測定光の反射光と第1参照光とを干渉光として合波させ、合波された干渉光を検出し、光の一部を吸収する気体(例えば、アセチレンガス等)に基づいて第2参照光の波長を入射光の波長として検出し、検出された干渉光と、検出された入射光の波長とに基づいて、干渉計3から測定対象Wまでの距離(すなわちL1−L2)を導出するため、高い精度で距離測定を行うことができる。
【0063】
また、距離測定装置1は、干渉光の信号をフーリエ変換し、フーリエ変換された干渉光の信号に基づいてピーク周波数を検出し、検出されたピーク周波数と、検出器42により検出された周波数とに基づいて、干渉計3から測定対象Wまでの距離(すなわちL1−L2)を導出するため、光源周波数の測定誤差を抑制することができる。
【0064】
また、距離測定装置1は、上記の式(5)に基づいて距離L1を算出するのに代えて、既知の光源周波数と、既知の周波数スペクトルのピーク周波数と、コリメーター33と測定対象Wとの間の既知の距離との対応関係を示す情報とに基づいて、距離L1を算出するものとしてもよい。この場合、距離測定装置1は、距離L1を測定する毎に、当該対応関係を示す情報を取得するためのキャリブレーションを行う必要がある。一例としては、制御装置6は、取得した干渉信号に基づいてピーク周波数を検出し、取得した測定光の波長を示す情報に基づいて光源周波数を検出する。そして、制御装置6は、記憶部70から前記の対応関係を示す情報を読み込み、読み込んだ対応関係を示す情報から、検出されたピーク周波数及び光源周波数に対応付けられた距離を、距離L1として検出する。
【0065】
なお、波長掃引光源2と制御装置6、波長検出部4と制御装置6、干渉光検出部5と制御装置6のうち一部又は全部は、無線によって通信可能に接続されてもよい。また、分岐部31、34は、ファイバーカプラーに代えて、ハーフミラー等の光を分波、合波できるものであれば他のものでもよい。また、コリメーター33、35のそれぞれは、コリメーターレンズに代えて、光を平行光にする他の何らかの手段であってもよい。また、干渉計3では、分岐部34ではなく分岐部31や、他の箇所(例えば、波長掃引光源2と分岐部31との間等)で参照光を、第1参照光と第2参照光とに分波してもよい。
【0066】
また、距離測定装置1は、波長検出部4に代えて、光スペクトルアナライザー等を用いて光源周波数を検出してもよいが、光スペクトルアナライザー等に比べて波長検出部4を用いた方が、光が入射した時に波長を出力する応答速度が速いため、解析においてリアルタイム性を保持したい場合に好適である。
【0067】
また、測定対象Wにおいて、距離L1を測定したい点が複数ある場合は、図6に示したステップS100からステップS130を、測定したい点の数だけ繰り返すとしてもよい。その場合、距離測定装置1は、測定光の照射方向を測定したい点に向けて変更可能であるとし、測定方向を示す情報も対応付けて記憶部70に記憶するようにする。また、分岐部31は、入射した光を測定光、第2参照光、第3参照光の3つの光に分波してもよい。なお、コリメーター33、35は、複数のレンズの一例である。また、分岐部31は、合波部の一例であり、分岐部の一例でもある。
【0068】
また、干渉計3は、反射鏡36で反射された第1参照光と、測定対象Wで反射された測定光との干渉光を干渉光検出部5へ入射させる構成に代えて、コリメーター33で反射した反射光と、コリメーター33を透過して測定対象Wで反射された反射光とが干渉した干渉光を干渉光検出部5へ入射させる構成であってもよい。この場合、干渉計3は、例えば、分岐部31によって入射光を分波した時の参照光を、上述した第2参照光に対応する光として波長検出部4へ入射するとする。また、干渉計3は、測定対象Wで反射された測定光と、反射鏡36で反射された第1参照光とを干渉させることで干渉光を発生させる構成に代えて、例えば、光ファイバーF5がループ状の経路となるように分岐部31に接続され、そのループ状の経路を通過して分岐部31に戻ってきた参照光と、測定対象Wで反射された測定光とを干渉させることで干渉光を発生させる構成等としてもよい。
【0069】
なお、以上に説明した装置(例えば、距離測定装置1)における干渉光検出部5、制御装置6、制御部43の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0070】
また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0071】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 距離測定装置、2 波長掃引光源、3 干渉計、4 波長検出部、5 干渉光検出部、6 制御装置、31、34 分岐部 32 接続部、33、35 レンズ、36 反射鏡、41 筐体、42 光検出器、43、60 制御部、61 装置制御部、62 干渉信号取得部、64 波長情報取得部、68 距離導出部、70 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10