特許第6494314号(P6494314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6494314配信方法最適化装置、配信システム、配信方法及び配信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494314
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】配信方法最適化装置、配信システム、配信方法及び配信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/262 20110101AFI20190325BHJP
   H04N 21/24 20110101ALI20190325BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20190325BHJP
   H04L 12/725 20130101ALI20190325BHJP
   H04L 12/851 20130101ALI20190325BHJP
【FI】
   H04N21/262
   H04N21/24
   G06F13/00 540A
   H04L12/725
   H04L12/851
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-25088(P2015-25088)
(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-149626(P2016-149626A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月4日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大礎
(72)【発明者】
【氏名】大亦 寿之
(72)【発明者】
【氏名】松村 欣司
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和也
(72)【発明者】
【氏名】加井 謙二郎
【審査官】 冨田 高史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−074360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
G06F 13/00
H04L 12/00 − 12/26
H04L 12/50 − 12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツを配信装置が配信するための配信方法に関する配信情報を取得する配信情報取得部と、
前記複数のコンテンツそれぞれの受信装置で決定された受信方法を含む受信情報を取得する受信情報取得部と、
前記受信情報に基づく前記複数のコンテンツそれぞれの利用ユーザ数、及び前記配信方法それぞれを順位付ける評価情報を用いた、前記複数のコンテンツそれぞれと前記配信方法それぞれとの組み合わせを最適化するための所定の判定基準に従って、前記複数のコンテンツそれぞれに対して、前記配信方法のいずれかを割り当てた最適化情報を生成する生成部と、を備え、
前記最適化情報を前記複数のコンテンツそれぞれの前記配信装置へ送信する配信方法最適化装置。
【請求項2】
前記複数のコンテンツの配信経路における電波・通信環境情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記生成部は、前記電波・通信環境情報に基づいて前記評価情報を調整する請求項1に記載の配信方法最適化装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の配信方法最適化装置、前記配信装置及び前記受信装置を有する配信システムにおいて、
前記配信装置は、前記生成部により生成された最適化情報に基づいて、前記複数のコンテンツそれぞれについて、1又は複数の配信方法の優先順位情報を決定し、当該優先順位情報を前記受信装置へ通知し、
前記受信装置は、前記優先順位情報に基づいて、要求されたコンテンツを取得する方法を決定する配信システム。
【請求項4】
前記配信装置から、前記優先順位情報を受信し、データベースに登録する配信状況管理装置を備え、
前記受信装置は、前記配信状況管理装置を介して前記優先順位情報を受信する請求項3に記載の配信システム。
【請求項5】
前記受信装置は、前記優先順位情報を前記配信状況管理装置から定期的に受信する請求項4に記載の配信システム。
【請求項6】
前記配信状況管理装置は、前記優先順位情報が更新されたことに応じて、当該更新後の優先順位情報を前記受信装置へ通知する請求項4に記載の配信システム。
【請求項7】
コンピュータの制御部が、
複数のコンテンツを配信装置が配信するための配信方法に関する配信情報を取得する配信情報取得ステップと、
前記複数のコンテンツそれぞれの受信装置で決定された受信方法を含む受信情報を取得する受信情報取得ステップと、
前記受信情報に基づく前記複数のコンテンツそれぞれの利用ユーザ数、及び前記配信方法それぞれを順位付ける評価情報を用いた、前記複数のコンテンツそれぞれと前記配信方法それぞれとの組み合わせを最適化するための所定の判定基準に従って、前記複数のコンテンツそれぞれに対して、前記配信方法のいずれかを割り当てた最適化情報を生成する生成ステップと、
前記最適化情報を前記複数のコンテンツそれぞれの前記配信装置へ送信する送信ステップと、を実行する配信方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の配信方法最適化装置としてコンピュータを機能させるための配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを配信するための配信方法最適化装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツの配信者は、ユーザの端末へコンテンツを配信する際、端末数等に基づいて、効率的な配信方法を選択する場合がある。
例えば、ピーク時の配信サーバの負荷とネットワークの負荷とを低減させるために、配信要求の多いコンテンツを事前に端末へ配信する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、配信を希望する端末数が閾値を超えるか否かによって通信方式を選択する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5314605号公報
【特許文献2】特表2013−545322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配信者は、複数のコンテンツを配信する場合、各コンテンツを放送波又は通信ネットワーク等、様々な配信方法からそれぞれ選択して配信する。このとき、各配信方法によるコンテンツの実際の利用状況は、配信方法の特性に適したものとは限らず、複数のコンテンツ全体として、効率の良い配信方法を組み合わせることは難しかった。
【0005】
本発明は、配信される複数のコンテンツに対して、効率の良い配信方法を割り当てられる配信方法最適化装置、配信システム、配信方法及び配信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配信方法最適化装置は、複数のコンテンツを配信装置が配信するための配信方法の種類に関する情報を取得する配信情報取得部と、前記複数のコンテンツそれぞれの受信装置での受信状況の情報を取得する受信情報取得部と、前記受信状況に基づく判定基準に従って、前記複数のコンテンツそれぞれに対して、前記配信方法の種類に対する評価が上位の配信方法から順に割り当てた最適化情報を生成する生成部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、配信方法最適化装置は、複数のコンテンツそれぞれに対して、受信情報に基づく判定基準により配信方法を割り当てた最適化情報を生成する。これにより、配信システムは、配信される複数のコンテンツに対して、効率の良い配信方法を割り当てられる。
【0008】
前記配信方法最適化装置は、前記複数のコンテンツの配信経路における電波・通信環境情報を取得する環境情報取得部を備え、前記生成部は、前記電波・通信環境情報に基づいて前記評価を調整してもよい。
【0009】
この構成によれば、配信方法最適化装置は、コンテンツの配信経路における電波・通信環境情報を取得することにより、配信方法毎の評価を調整して、現在の通信状況に応じたより効率的な配信方法を割り当てることができる。
【0010】
本発明に係る配信システムは、前記配信方法最適化装置、前記配信装置及び前記受信装置を有し、前記配信装置は、前記生成部により生成された最適化情報に基づいて、前記複数のコンテンツそれぞれについて、1又は複数の配信方法の優先順位情報を前記受信装置へ通知し、前記受信装置は、前記優先順位情報に基づいて、要求されたコンテンツを取得する方法を決定してもよい。
【0011】
この構成によれば、配信システムは、最適化情報に基づいて配信装置が配信方法の優先順位を設定し受信装置へ通知する。したがって、受信装置は、特定の配信方法に限定されず、自身の状況に応じて取得方法を選択する自由度を確保できる。
【0012】
前記配信システムは、前記配信装置から、前記優先順位情報を受信し、データベースに登録する配信状況管理装置を備えてもよい。
【0013】
この構成によれば、配信システムは、配信状況管理装置において配信方法を一元管理し、要求に応じて受信装置へ配信方法の優先順位情報を提供する。受信装置は、優先順位情報を用いた所定の判断基準に基づいて取得方法を決定するので、配信者及びユーザの双方において、配信方法に依存する手続きが自動化される。この結果、複数の配信方法で提供されるコンテンツを、受信装置が現在状況に適した方法で容易に取得でき、ユーザは、配信方法の種類によらず、同一の操作でコンテンツを取得できる。
【0014】
前記受信装置は、前記優先順位情報を前記配信状況管理装置から定期的に受信してもよい。
【0015】
この構成によれば、受信装置は、配信状況管理装置から定期的に配信方法の優先順位情報を受信することにより、コンテンツの取得方法を動的に変更できる。これにより、ユーザは、特別な操作をすることなく、取得方法が変更されたコンテンツを途切れなく、さらには、変更されたことを知ることもなく利用することができる。
【0016】
前記配信状況管理装置は、前記優先順位情報が更新されたことに応じて、当該更新後の優先順位情報を前記受信装置へ通知してもよい。
【0017】
この構成によれば、受信装置は、配信状況管理装置10から優先順位情報の更新通知を受信することにより、コンテンツの取得方法を動的に変更できる。これにより、ユーザは、特別な操作をすることなく、取得方法が変更されたコンテンツを途切れなく、さらには、変更されたことを知ることもなく利用することができる。
【0018】
本発明に係る配信方法は、コンピュータの制御部が、複数のコンテンツを配信装置が配信するための配信方法の種類に関する情報を取得する配信情報取得ステップと、前記複数のコンテンツそれぞれの受信装置での受信状況の情報を取得する受信情報取得ステップと、前記受信状況に基づく判定基準に従って、前記複数のコンテンツそれぞれに対して、前記配信方法の種類に対する評価が上位の配信方法から順に割り当てた最適化情報を生成する生成ステップと、を実行する。
【0019】
本発明に係る配信プログラムは、コンピュータの制御部に、複数のコンテンツを配信装置が配信するための配信方法の種類に関する情報を取得する配信情報取得ステップと、前記複数のコンテンツそれぞれの受信装置での受信状況の情報を取得する受信情報取得ステップと、前記受信状況に基づく判定基準に従って、前記複数のコンテンツそれぞれに対して、前記配信方法の種類に対する評価が上位の配信方法から順に割り当てた最適化情報を生成する生成ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配信される複数のコンテンツに対して、効率の良い配信方法を割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る配信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る配信状況管理装置の機能構成を示す図である。
図3】実施形態に係る配信方法リストの一例を示す図である。
図4】実施形態に係る配信装置の機能構成を示す図である。
図5】実施形態に係る受信装置の機能構成を示す図である。
図6】実施形態に係る配信方法最適化装置の機能構成を示す図である。
図7】実施形態に係る配信方法の決定処理を示すシーケンス図である。
図8】実施形態に係るコンテンツの受信処理を示すシーケンス図である。
図9】実施形態に係る最適化情報の決定方法の第1の例を示す図である。
図10】実施形態に係る最適化情報の決定方法の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る配信システム1の構成を示す図である。
【0023】
配信システム1は、コンテンツの配信状況を管理する配信状況管理装置10と、コンテンツを配信する配信装置20と、コンテンツを受信してユーザに提示する受信装置30と、配信装置20に対して配信方法の最適化情報を提供する配信方法最適化装置50とを備える。
【0024】
配信システム1は、配信装置20からコンテンツが放送波や通信ネットワーク等の複数の方法で配信されている際に、配信状況管理装置10においてこれらの配信方法を一元管理する。ユーザからコンテンツの要求を受けた受信装置30は、配信状況管理装置10からコンテンツ毎の複数の配信方法を取得し、所定の判定基準に基づいて配信装置20からの取得方法を選択する。
このとき、配信方法最適化装置50は、配信装置20から得た配信情報に対して、配信状況管理装置10を経由して受信装置30から得られる受信情報、及び電波・通信環境情報に基づく最適化情報を生成する。配信装置20は、配信方法最適化装置50により提供される最適化情報に基づいて、コンテンツ毎の配信方法に優先順位を設定する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る配信状況管理装置10の機能構成を示す図である。
配信状況管理装置10は、配信方法入力部11と、配信状況格納部12と、配信方法提供部13と、受信情報管理部14とを備える。
【0026】
配信方法入力部11は、配信装置20からコンテンツを配信する配信方法の登録入力を受け付ける。配信方法が複数ある場合、これらには配信装置20により設定された優先順位が付与されて入力される。
配信状況格納部12は、配信方法入力部11によって配信装置20から受信した、コンテンツを配信するための1又は複数の方法を、優先順位付きでデータベースに登録する。
配信方法提供部13は、受信装置30からの要求に応じて、配信状況格納部12によって登録された複数の方法を抽出し、配信方法リストとして受信装置30に提供する。
【0027】
受信情報管理部14は、受信装置30から、現在受信中のコンテンツと、このコンテンツの取得方法とを含む受信情報を取得して記憶する。また、受信情報管理部14は、記憶している受信情報又はその集計情報を、配信方法最適化装置50に提供する。
【0028】
配信状況管理装置10は、これらの各機能部の組み合わせにより、受信装置30から取得した受信情報を配信方法最適化装置50へ提供することで、この受信情報に基づいて設定された優先順位が付与された配信方法リストを管理する。そして、配信状況管理装置10は、受信装置30からの要求に応じて、指定されたコンテンツに対する優先順位付きの配信方法リストを提供する。
【0029】
図3は、本実施形態に係る配信方法リストの一例を示す図である。
この例では、コンテンツ「A001」は、4種類の配信方法が登録されており、地上波デジタル(フルセグ)、地上波デジタル(ワンセグ)及びBSデジタルの各放送波の所定のチャンネルで放送され、所定のURLにおいてIPライブストリーミングで配信されている。これらの配信方法には、それぞれ優先順位が付与されている。
【0030】
図4は、本実施形態に係る配信装置20の機能構成を示す図である。
配信装置20は、配信条件入力部21と、配信方法決定部22と、配信方法登録部23と、コンテンツ格納部24と、配信制御部25と、放送配信部26と、通信配信部27と、最適化情報取得部28とを備える。
【0031】
配信条件入力部21は、コンテンツ制作者又は権利保持者等による配信条件の入力を受け付ける。
配信方法決定部22は、入力された配信条件に基づいて、コンテンツを配信するための1又は複数の方法を決定する。また、配信方法決定部22は、決定した配信方法を、配信方法最適化装置50へ送信する。
さらに、配信方法決定部22は、配信方法最適化装置50により生成された最適化情報を受け取ると、配信方法に優先順位付けを行う。
配信方法登録部23は、配信方法決定部22により決定された優先順位が付与された配信方法を、配信状況管理装置10に登録する。
【0032】
コンテンツ格納部24は、配信するコンテンツを受信して格納する。
配信制御部25は、放送配信部26又は通信配信部27を制御し、格納されているコンテンツを、配信方法決定部22により決定された方法によって受信装置30へ配信させる。
放送配信部26は、放送波によってコンテンツを配信する。
通信配信部27は、通信ネットワークによって受信装置30にコンテンツを配信する。
【0033】
最適化情報取得部28は、コンテンツ毎に、配信方法最適化装置50によって最適と判断された配信方法が示された最適化情報を受信し、配信方法決定部22へ提供する。
【0034】
配信装置20は、これらの各機能部の組み合わせにより、自身が配信するコンテンツについて、配信条件に基づく複数の配信方法を決定した後、配信方法最適化装置50から最適化情報を取得することで、優先順位を付与した配信方法リストを生成する。配信装置20は、この配信方法リストを配信状況管理装置10に登録するが、コンテンツの配信中であっても、最適化情報を取得することにより配信方法リストを動的に更新する。
【0035】
図5は、本実施形態に係る受信装置30の機能構成を示す図である。
受信装置30は、要求受信部31と、配信方法取得部32と、端末情報取得部33と、ユーザ情報取得部34と、取得方法決定部35と、取得制御部36と、放送受信部37と、通信受信部38と、コンテンツ提示部39とを備える。
【0036】
要求受信部31は、ユーザからコンテンツを利用するための要求を受信する。
配信方法取得部32は、受信した要求で指定されたコンテンツが配信装置20から配信される1又は複数の方法を、優先順位付きの配信方法リストとして配信状況管理装置10から取得する。
【0037】
また、配信方法取得部32は、定期的に配信状況管理装置10に対して配信方法リストの更新の有無を問い合わせ、更新された配信方法リストを取得する。あるいは、配信方法リストが更新された際に、配信状況管理装置10が受信装置30に対して更新された旨を、又は更新情報そのものをプッシュ通知しもよい。
【0038】
端末情報取得部33は、受信装置30が有している機能に関する端末情報を取得する。
端末情報は、コンテンツを受信するための、いずれの取得方法に対応しているかを識別する機能情報を含む。また、端末情報は、送受信レート、又はコンテンツを提示するためのディスプレイのサイズ及び解像度等の仕様情報を含んでもよい。さらに、端末情報は、放送又は無線通信の電波状況、有線通信の品質、加速度情報に基づく移動手段の識別情報、位置情報に基づく通信エリアの情報等、ユーザが使用する受信装置30の電波・通信環境情報を含んでもよい。
【0039】
ユーザ情報取得部34は、受信装置30を利用するユーザに関するユーザ情報を取得する。
ユーザ情報は、例えば、ユーザ自身が設定する、又は予め設定されている優先順位情報を含んでもよい。優先順位情報とは、配信方法を順位付けした情報であってよく、例えば、遅延等の少ない安定性、又は解像度若しくはフレームレートの高さ等によって順位付けられる。
【0040】
取得方法決定部35は、配信方法取得部32により取得された配信方法リストの中から、上述の端末情報及びユーザ情報等に関する所定の判定基準に基づいて配信装置20からコンテンツを受信する方法を決定する。このとき、取得方法決定部35は、配信方法リストに付与されている優先順位を考慮し、例えば、優先順位の上位から優先的に、受信装置30が取得可能な配信方法を選択してもよい。
【0041】
また、取得方法決定部35は、受信するコンテンツの識別情報と、決定した受信方法とを示す受信情報を、自動的に又はユーザの確認入力を経て、配信状況管理装置10へ送信する。
【0042】
取得制御部36は、取得方法決定部35により決定された取得方法に応じて、放送受信部37又は通信受信部38を制御し、配信装置20から配信されるコンテンツにアクセスさせる。
【0043】
放送受信部37は、配信装置20から放送波によって配信されるコンテンツを受信する。
通信受信部38は、通信ネットワークによって配信装置20から配信されたコンテンツを受信する。
【0044】
コンテンツ提示部39は、ディスプレイ又はスピーカ等を制御して、画像又は音声等を出力することにより、ユーザにコンテンツを提示する。
【0045】
受信装置30は、これらの各機能部の組み合わせにより、ユーザから要求されたコンテンツに対する配信方法リストを配信状況管理装置10から取得し、配信方法リストに付与されている優先順位と、ユーザ情報及び端末情報とに基づいて決定した受信方法でコンテンツを受信してユーザに提示する。
【0046】
図6は、本実施形態に係る配信方法最適化装置50の機能構成を示す図である。
配信方法最適化装置50は、配信情報取得部51と、受信情報取得部52と、環境情報取得部53と、最適化情報生成部54とを備える。
【0047】
配信情報取得部51は、配信装置20から、コンテンツを配信するための配信方法の種類に関する配信情報を取得する。
【0048】
受信情報取得部52は、配信装置20から配信されるコンテンツそれぞれについて、受信装置30から、コンテンツの識別情報と受信方法とを含む受信状況に関する受信情報を取得する。
【0049】
環境情報取得部53は、配信装置20からコンテンツが配信される経路(例えば、通信ネットワーク)における電波・通信環境情報を取得する。電波・通信環境情報は、例えば、ネットワークの輻輳状況、電波伝搬状況等、コンテンツ配信の品質に関する情報を含む。
【0050】
最適化情報生成部54は、受信情報に基づく判定基準に従って、配信装置20から配信される複数のコンテンツそれぞれに対して、配信方法の種類に対する評価が上位の配信方法から順に割り当てた最適化情報を生成する。
このとき、最適化情報生成部54は、電波・通信環境情報により判断される通信品質に基づいて、対応する配信方法毎の評価を調整する。
【0051】
配信方法最適化装置50は、これらの各機能部の組み合わせにより、配信装置20から登録される配信情報に対して、受信装置30から登録される受信情報、及び電波・通信環境情報等の情報に基づいて、複数のコンテンツを配信するための、それぞれの配信方法の最適化情報を生成し、配信装置20へ提供する。
【0052】
図7は、本実施形態に係る配信システム1における配信方法の決定処理を示すシーケンス図である。
ステップS1において、配信装置20は、配信方法最適化装置50へ配信情報を送信する。
ステップS2において、配信状況管理装置10は、受信装置30から取得した受信情報を、配信方法最適化装置50へ送信する。
【0053】
ステップS3において、配信方法最適化装置50は、ステップS2の受信情報及び電波・通信環境情報に基づいて、ステップS1の配信情報に対する最適化情報を生成する。
ステップS4において、配信方法最適化装置50は、生成した最適化情報を配信装置20へ送信する。
【0054】
ステップS5において、配信装置20は、受信した最適化情報に基づいて、複数のコンテンツを配信するための、それぞれの配信方法の優先順位を決定する。
ステップS6において、配信装置20は、決定した優先順位に関する配信方法リストを配信状況管理装置10へ送信する。
ステップS7において、配信状況管理装置10は、受信した配信方法リストを登録する。
【0055】
なお、配信方法最適化装置50は、ステップS1の配信情報とステップS2の受信情報とを、それぞれ随時受け付け、更新された情報に基づいて、その都度ステップS3の最適化情報の生成を行う。
【0056】
図8は、本実施形態に係る配信システム1におけるコンテンツの受信処理を示すシーケンス図である。
ステップS11において、ユーザは、受信装置30に対して所定の操作入力を行い、コンテンツの識別子を指定した上で、このコンテンツの再生を要求する。
【0057】
ステップS12において、受信装置30は、ユーザから指定されたコンテンツに関する配信方法リストを配信状況管理装置10へ要求する。
【0058】
ステップS13において、配信状況管理装置10は、ステップS12の要求に応答して、コンテンツの配信方法リストを受信装置30へ提供する。
【0059】
ステップS14において、受信装置30は、ユーザ情報及び端末情報を取得した上で、配信方法リストに含まれる複数の配信方法の中から、優先順位に基づいて取得方法を決定する。
【0060】
ステップS15において、受信装置30は、視聴するコンテンツに対して決定した取得方法を示す受信情報を、配信状況管理装置10へ送信する。
【0061】
ステップS16において、受信装置30は、放送でない通信ネットワークを介した配信方法が決定された場合に、URLを指定する等の手順により必要に応じて配信装置20へコンテンツの配信要求を行う。
【0062】
ステップS17において、受信装置30は、配信装置20から配信されたコンテンツを、決定した取得方法によって受信する。
【0063】
ステップS18において、受信装置30は、受信したコンテンツをディスプレイ及びスピーカ等に提示する。これにより、ユーザは、要求したコンテンツを視聴する。
【0064】
ここで、ステップS12における配信方法リストの要求は定期的に行われ、配信方法リストが更新される度に、受信装置30は、ステップS14においてコンテンツの取得方法を新たに決定し直す。すなわち、一連の処理P(ステップS12〜S18)が繰り返されることにより、受信装置30は、コンテンツの再生中においても、取得方法を動的に変更する。
なお、受信装置30は、配信状況管理装置10から、更新された配信方法リストをプッシュ通知によって受信してもよいし、プッシュ通知に応じて配信方法リストの要求を行ってもよい。
【0065】
図9は、本実施形態に係る最適化情報の決定方法の第1の例を示す図である。
この例では、判定基準として、コンテンツの利用ユーザ数が用いられ、ユーザ数の多いコンテンツに対して優先的に評価の高い配信方法が割り当てられる。
【0066】
ここでは、配信方法の評価が「放送>IPライブストリーミング(高画質)>IPライブストリーミング(低画質)」である場合に、配信装置20がコンテンツA、B、Cの配信を行っているものとする。
【0067】
まず、受信情報に基づいて利用ユーザ数が「コンテンツA>コンテンツB>コンテンツC」と集計される。このとき、最適化情報生成部54は、各コンテンツの配信優先度をユーザ数に相関させ、図9(a)のように、コンテンツAを放送で、コンテンツBをIPライブストリーミング(高画質)で、コンテンツCをIPライブストリーミング(低画質)で配信するよう最適化情報を生成する。
【0068】
その後、利用ユーザ数が「コンテンツC>コンテンツA>コンテンツB」と変化する。すると、最適化情報生成部54は、利用ユーザ数の変化に合わせて図9(b)のように、コンテンツCを放送で、コンテンツAをIPライブストリーミング(高画質)で、コンテンツBをIPライブストリーミング(低画質)で配信するよう最適化情報を生成する。
【0069】
さらに、利用ユーザ数が多いコンテンツDの配信が新たに始まる。すると、最適化情報生成部54は、利用ユーザ数の変化に合わせて図9(c)のように、コンテンツDを放送で、コンテンツCをIPライブストリーミング(高画質)で、コンテンツA及びBをIPライブストリーミング(低画質)で配信するよう最適化情報を生成する。
【0070】
なお、この例では、リアルタイムの利用ユーザ数に基づいて最適化情報が生成されたが、これには限られず、最適化情報生成部54は、予約数も含めたユーザ数又はユーザ数の変化の割合等を用いたり、コンテンツに関心を示した傾向を関連情報へのアクセス履歴等から取得して順位付けしたりしてもよい。
【0071】
図10は、本実施形態に係る最適化情報の決定方法の第2の例を示す図である。
この例では、配信されたコンテンツの解像度の合計に基づくポイントによって、配信方法が割り当てられる。
【0072】
コンテンツA、B、Cが、フルセグ放送、IPライブストリーミング(高画質)及びIPライブストリーミング(低画質)によって配信される。ここで、フルセグ放送は1波まで、IPライブストリーミング(高画質)は2ストリームまでの制限があるものとする。
【0073】
ユーザ情報により、コンテンツA、B、Cを受信する受信装置30の種類(テレビ、スマートフォン等)毎のユーザ数がコンテンツ毎に集計される。割り当て可能な配信方法の組み合わせ毎に、解像度×ユーザ数をポイントとして合計し、例えば図10の例では、最大ポイントとなるパターン1が最適化情報として採用される。
【0074】
例えば、一定時間毎にユーザ数が集計されると、コンテンツが配信されている最中にも、算出されるポイントに応じて動的に配信方法の割り当てが変化していく。
【0075】
なお、最適化情報生成部54は、解像度の合計の他、例えばユーザ当たりの解像度、又は遅延時間の平均値若しくは中央値等を用いた判定基準によって、あるいは、平均視聴時間等の指標により推定されるユーザのコンテンツ視聴への集中度又は熱心度等を用いた判定基準によって、配信方法の割り当てパターンを評価し、最適化情報を生成してもよい。
【0076】
ここまで、配信方法最適化装置50により最適化情報を生成する機能について説明したが、この最適化情報に基づいて設定される優先順位付きの配信方法リストに基づいて、受信装置30は、それぞれの判定基準に従ってコンテンツの取得方法を決定できる。
【0077】
例えば、受信装置30は、利用可能な配信方法のうち解像度の高い配信方法、又は通信品質が安定している配信方法を優先してもよい。
また、例えば、荒天時にはBS等の放送よりもネット配信を、放送エリア又は無線通信エリアの外縁付近に位置していれば別の放送又は通信を、電車等で移動中は通信よりも放送を選択する等、受信装置30は、より安定した取得方法を決定できる。
また、例えば、受信装置30が有するディスプレイの解像度や受信レートによっては、必要以上に高精細な配信方法よりも通信レートを抑え、効率的な安定した受信方法が選択されてもよい。
さらに、例えば、通信ネットワークの種類(WiFi、携帯網等)によって、課金額に差がある場合、よりコストの低い通信が選択されてもよい。
【0078】
本実施形態によれば、配信方法最適化装置50は、複数のコンテンツそれぞれに対して、受信情報に基づく判定基準により配信方法を割り当てた最適化情報を生成する。これにより、配信システム1は、配信される複数のコンテンツに対して、効率の良い配信方法を割り当てられる。
したがって、配信方法最適化装置50は、例えば、効率の良い放送波を受信するユーザが少ない一方、ネットワークストリームで多くのユーザが特定のコンテンツを利用しているような電波帯域の非効率な利用状況を改善することができる。
【0079】
さらに、配信方法最適化装置50は、コンテンツの配信経路における電波・通信環境情報を取得することにより、配信方法毎の評価を調整して、現在の通信状況に応じたより効率的な配信方法を割り当てることができる。
【0080】
また、配信システム1は、最適化情報に基づいて配信装置20が配信方法の優先順位を設定し受信装置30へ通知する。したがって、受信装置30は、特定の配信方法に限定されず、自身の状況に応じて取得方法を選択する自由度を確保できる。
【0081】
また、配信システム1は、配信状況管理装置10において配信方法を一元管理し、要求に応じて受信装置30へ配信方法リストを提供する。受信装置30は、配信方法リストの中から所定の判断基準に基づいて取得方法を決定するので、配信者及びユーザの双方において、配信方法に依存する手続きが自動化される。この結果、複数の配信方法で提供されるコンテンツを、受信装置が現在状況に適した方法で容易に取得でき、ユーザは、配信方法の種類によらず、同一の操作でコンテンツを取得できる。
【0082】
また、受信装置30は、配信状況管理装置10から定期的に配信方法リストを受信することにより、又は配信状況管理装置10から更新通知を受信することにより、コンテンツの取得方法を動的に変更できる。これにより、ユーザは、特別な操作をすることなく、取得方法が変更されたコンテンツを途切れなく、さらには、変更されたことを知ることもなく利用することができる。
【0083】
このように、配信者としては、配信方法の効率的な選択が可能になることで、配信コストの低下が期待できる。一方、ユーザとしては、コンテンツの利用者全体における最適化が図られることにより、自らの利用コンテンツの取得方法が効率化することが期待できる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0085】
本実施形態における各装置(配信方法最適化装置50、配信状況管理装置10等)の機能は、複数の装置に分散されてもよいし、他の装置と統合されてもよい。例えば、配信方法最適化装置50及び配信状況管理装置10は、一体化されてもよい。
【0086】
本実施形態では、ライブ配信される動画コンテンツを例示したが、コンテンツの種類はこれには限られない。配信システム1の構成は、VODコンテンツ、音楽、ゲーム、書籍、アプリケーション等、様々なコンテンツの配信サービスに適用できる。
また、配信方法も特定の形態に限定されず、有線又は無線を問わず様々な経路での配信方法が対象となり得る。
【0087】
本実施形態では、主に配信システムの構成と動作について説明したが、本発明はこれに限られず、各構成要素を備え、コンテンツを配信するための方法、又はプログラムとして構成されてもよい。
【0088】
さらに、配信システムの機能を実現するためのプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
【0089】
ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0090】
さらに「コンピュータで読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 配信システム
10 配信状況管理装置
20 配信装置
30 受信装置
50 配信方法最適化装置
51 配信情報取得部
52 受信情報取得部
53 環境情報取得部
54 最適化情報生成部(生成部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10