特許第6494517号(P6494517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494517
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】分析装置及び分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/12 20060101AFI20190325BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20190325BHJP
   F27B 5/04 20060101ALI20190325BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20190325BHJP
   G01N 31/00 20060101ALN20190325BHJP
【FI】
   G01N31/12 A
   F27D17/00 104A
   F27B5/04
   H05B6/10 331
   !G01N31/00 D
   !G01N31/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-539089(P2015-539089)
(86)(22)【出願日】2014年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2014073903
(87)【国際公開番号】WO2015045869
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年8月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-198729(P2013-198729)
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】平田 泰士
【審査官】 多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−321265(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/102137(WO,A1)
【文献】 特開2000−028580(JP,A)
【文献】 特開平10−203812(JP,A)
【文献】 特開2012−047737(JP,A)
【文献】 特開2008−151590(JP,A)
【文献】 特開2008−008793(JP,A)
【文献】 特開平02−264861(JP,A)
【文献】 特開2001−305122(JP,A)
【文献】 PALANCO S,Analytical control of liquid steel in an induction melting furnace using a remote laser induction plasma spectrometer,J Anal At Spectrom,2004年 4月,Vol.19 No.4,Page.462-467
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/00 − 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析装置において、
前記試料に電磁誘導による誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構と、
前記試料にレーザ光を照射するレーザ照射機構とを具備し、
前記誘導電流生成機構と前記レーザ照射機構とが、部分的に溶解している前記試料に同時に作用することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析装置において、
前記試料に電磁誘導による誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構と、
前記試料にレーザ光を照射するレーザ照射機構とを具備し、
前記誘導電流生成機構と前記レーザ照射機構とが、前記試料に同時に作用し、
前記試料収容部内に酸素を供給する供給流路が形成された流路形成部材をさらに具備し、
前記流路形成部材に前記レーザ光を透過する透過窓が形成されており、前記透過窓を通過したレーザ光の光路が、前記供給流路の流路方向に沿って当該供給流路内に形成されていることを特徴とする分析装置。
【請求項3】
前記供給流路が、一端が前記試料に向かって開口するとともに、他端に前記透過窓が形成された直線状流路を有することを特徴とする請求項2記載の分析装置。
【請求項4】
試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析方法において、
前記試料に電磁誘導による誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構と、前記試料にレーザ光を照射するレーザ照射機構とを同時に作用させて、部分的に溶解している前記試料を加熱することを特徴とする分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄鋼や非鉄金属、セラミックスなどの試料に含まれる炭素(C)、硫黄(S)等の元素を分析する元素分析装置等の分析装置及び分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の元素分析装置は、試料を収容したるつぼを加熱炉内に設置し、るつぼの周囲に設けたコイルに高周波交流電圧を印加して、高周波誘導加熱によりるつぼ内の試料を加熱して燃焼させ、それによって生じたガスから当該試料に含まれる元素を分析するものがある。
【0003】
従来、特許文献1に示すように、上述した元素分析装置において、試料の燃焼を促進させるために、助燃剤を用いるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−266741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、助燃剤を用いると、助燃剤の燃焼により多量のダストが生じるので、例えば、ダストを吸引するダスト吸引機構を設ける必要があり、装置が大掛かりになる。仮にダスト吸引機構を設けたとしても、吸引力が足りない場合は、加熱炉内にダストが残り、このダストにガスが付着すると測定誤差が生じるという問題がある。
【0006】
また、助燃剤には、レアメタルであるタングステンが含まれており、助燃剤を用いることで、分析にかかるランニングコストが高額になるという問題も生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、助燃剤を使用することなく、試料を効率良く加熱して燃焼させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る分析装置は、試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析装置において、前記試料に電磁誘導による誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構と、前記試料にレーザ光を照射するレーザ照射機構とを具備し、前記誘導電流生成機構と前記レーザ照射機構とが前記試料に同時に作用することを特徴とする。
また、本発明に係る分析方法は、試料収容部内で試料を加熱し、それにより生じるガスを分析する分析方法において、前記試料に電磁誘導による誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構と、前記試料にレーザ光を照射するレーザ照射機構とを同時に作用させて、前記試料を加熱することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、誘導電流生成機構とレーザ照射機構とを同時に作用させて試料を加熱するので、従来のように高周波誘導加熱のみにより試料を加熱する場合に比べて、試料を効率良く加熱して燃焼を促進させることができ、助燃剤を使用する必要がない。助燃剤を使用しなければ、助燃剤起因のダストが生じないので、ダスト吸引機構を設ける必要もなく、また、ダストにガスが付着することによる測定誤差も生じない。
このように誘導電流生成機構とレーザ照射機構とを同時に作用させることで効率良く試料を加熱することができる理由としては、レーザが照射された部分が局所的に溶解し、この溶解した部分が電磁誘導により撹拌されて、その他の部分の溶解を助長することにより、試料全体が溶けやすくなるからであると考えられる。
【0010】
また、分析装置が、前記試料収容部内に酸素を供給する供給流路が形成された流路形成部材をさらに具備し、前記流路形成部材に前記レーザ光を透過する透過窓が形成されており、前記透過窓を通過したレーザ光の光路が、前記供給流路の流路方向に沿って当該供給流路内に形成されているものが好ましい。
【0011】
これならば、透過窓を通過したレーザ光の光路が、供給流路内に形成されているので、既存の供給流路をレーザ光の光路として兼用することができ、装置の構成が複雑になることはない。
また、供給流路から試料収容部内に酸素を供給しているので、試料収容部内に生じたダストや高温ガス等は、供給流路内に進入しにくく、透過窓の汚れや破損を防ぐことができる。
【0012】
前記供給流路が、一端が前記試料に向かって開口するとともに、他端に前記透過窓が形成された直線状流路を有するものが好ましい。
【0013】
これならば、直線状流路の一端が試料に向かって開口しているので、他端に形成された透過窓を通ったレーザ光が試料へ確実に照射されるうえ、酸素を試料に向かって吹き付けることができ、試料の燃焼がより促進されて、助燃剤をより不要にすることができる。
また、レーザ光が直線状流路を通って試料に照射されるので、ミラー等の光学部品を使用することなく透過窓を通ったレーザ光を直接試料へ導くことができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、助燃剤を使用することなく、試料を効率良く加熱して燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の元素分析装置の構成を模式的に示す図。
図2】同実施形態の制御装置の機能を示す機能ブロック図。
図3】変形実施形態の元素分析装置の構成を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0016】
100・・・元素分析装置
X ・・・試料
1 ・・・るつぼ
2 ・・・加熱炉
3 ・・・ガス分析計
41 ・・・流路形成部材
411・・・透過窓
L ・・・供給流路
L1 ・・・第1流路(直線状流路)
L2 ・・・第2流路
5 ・・・誘導加熱機構(誘導電流生成機構)
51 ・・・コイル
6 ・・・レーザ加熱機構(レーザ照射機構)
61 ・・・レーザ光源
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る分析装置の一例である元素分析装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る元素分析装置100は、例えば、金属等の試料Xを加熱して燃焼させ、それによって生じたガスから当該試料Xに含まれる炭素(C)、硫黄(S)等の元素を分析するものである。
【0019】
具体的にこの元素分析装置100は、図1に示すように、試料Xが収容されたるつぼ1が設置される試料収容部である加熱炉2と、試料Xの燃焼により生じるガスを分析するガス分析計3と、加熱炉2内に酸素を供給する酸素供給機構4と、るつぼ1内の試料Xに電磁誘導による誘導電流を生じさせて誘導加熱する誘導電流生成機構(誘導加熱機構)5と、試料Xにレーザ光を照射して当該試料Xを加熱するレーザ照射機構(レーザ加熱機構)6と、酸素供給機構4、誘導加熱機構5、及びレーザ加熱機構6の動作を制御する制御装置7とを具備するものである。
【0020】
以下、各部について説明する。
【0021】
るつぼ1は、内部に試料Xを収容して設置台8に取り付けられるものであり、本実施形態では、例えば、電導性発熱体を有するセラミック等の磁性体からなるものである。
なお、設置台8は、図示しないシリンダー機構により、るつぼ1内の試料Xが加熱炉2内で加熱される加熱位置と、るつぼ1を設置台8から着脱する着脱位置との間で昇降移動するように構成されている。
【0022】
加熱炉2は、内部で試料Xを燃焼させ、それにより生じるガスをガス分析計3へ導くように構成されており、略筒状をなす炉本体21と、炉本体21の側壁211に形成されて前記ガスをガス分析計3へ導くガス流出路22と、炉本体21内で側壁211の内周に沿って設けられたフィルタ23とを有している。
なお、本実施形態のフィルタ23は、前記ガス流出路22の流入口221から炉本体21の管軸に向かって僅かに離間して設けられており、るつぼ1内で試料Xが燃焼することにより生じたガスが、このフィルタ23を介してガス流出路22に流れるように構成されている。
【0023】
ガス分析計3は、前記ガス流出路22を経て当該ガス分析計3に導かれたガスを分析して試料Xに含まれる各成分の含有量を求めるものであり、本実施形態では、例えば、非分散型赤外線吸収法(NDIR法)を用いて分析するものである。具体的にこのガス分析計3は、図示しない非分散型赤外線検出器を有しており、ガスに含まれるCO、CO、SO等を検出することで、試料Xに含まれる炭素(C)や硫黄(S)等の含有量を求めるものである。
【0024】
酸素供給機構4は、加熱炉2内に酸素を供給するものであり、具体的には、酸素を加熱炉2内に供給する供給流路Lが形成された流路形成部材41と、前記供給流路Lへ酸素を送り込むための酸素供給源42たる酸素ボンベとを具備するものである。
【0025】
流路形成部材41は、略ブロック形状をなすものであり、供給流路Lを流れる酸素を加熱炉2内に供給すべく、加熱炉2の上面212に貫通して取り付けられている。さらに、本実施形態の流路形成部材41には、レーザ光を透過する透過窓411が形成されており、この透過窓411は、本実施形態では透明平板状をなすものである。
【0026】
供給流路Lは、一端がるつぼ1内の試料Xに向かって開口するとともに、他端に前記透過窓411が形成された直線状をなす第1流路L1と、一端が第1流路L1の他端側に接続されるとともに、他端に酸素供給源42からの酸素を導入する導入口41bが形成された例えば直線状をなす第2流路L2とを有している。この構成により、透過窓411は、第1流路L1に対して開口41aと反対側に形成され、透過窓411、開口41a、及びるつぼ1内の試料Xが直線上に配置されることになる。
【0027】
第2流路L2は、本実施形態では、第1流路L1と垂直に形成されており、酸素供給源42から供給された酸素は、この第2流路L2を経て第1流路L1を流れ、第1流路L1の開口41aを介して試料Xに向かって直接吹き付けられる。
【0028】
上述の流路形成部材41は、図示しない駆動部により、第1流路L1の流路方向と平行な方向に移動可能に構成されており、加熱炉2内における第1流路L1の開口41aの高さを調整できるようにしている。
【0029】
なお、流路形成部材41の外側面には、図示しないブラシ等の清掃体が設けられており、前記駆動部により流路形成部材41が移動することで、フィルタ23や加熱炉2の内面を清掃できるように構成されている。
【0030】
誘導加熱機構5は、るつぼ1内に収容された試料Xに高周波誘導加熱によって誘導電流を生じさせる誘導電流生成機構であり、具体的には、コイル51と、このコイル51に高周波交流電圧を印加する電源52とを具備するものである。本実施形態では、コイル51は、炉本体21の外周に沿って設けられており、このコイル51に高周波交流電圧が印加される際に、コイル51の内側にるつぼ1が位置するように設置台8の高さが設定されている。そして、コイル51に高周波交流電圧が印加されると、るつぼ1に含まれる電導性発熱体が高周波誘導加熱により発熱し、るつぼ1内の試料Xが加熱される。
【0031】
レーザ加熱機構6は、レーザ光を試料Xに照射するレーザ照射機構であり、本実施形態では、レーザ光を射出するレーザ光源61を具備するものである。本実施形態のレーザ光源61は、炉本体21の上方に配置され、前述した流路形成部材41の透過窓411に向かって垂直にレーザ光を射出するものである。ここで、前述しように、透過窓411、開口41a、及びるつぼ1内の試料Xが直線上に配置されているので、透過窓411を通過したレーザ光の光路Bは、供給流路Lの流路方向に沿って当該供給流路L内に形成される。詳細には、透過窓411を通ったレーザ光は、第1流路L1を流路方向に沿って通過して、開口41aから試料Xに向かって加熱炉2内を通り、試料Xに直接照射されることになる。
なお、本実施形態では、レーザ光源61に45W〜200Wの出力を得られる半導体レーザを用いている。
【0032】
制御装置7は、物理的に言えば、例えばCPU、内部メモリ、ADコンバータなどから構成された電気回路であり、機能的に言えば、メモリに記憶されたプログラムにしたがって前記CPUやその周辺機器が共働することにより、図2に示すように、酸素供給制御部71と、誘導加熱制御部72と、レーザ加熱制御部73としての機能を発揮するものである。
【0033】
酸素供給制御部71は、酸素供給源42に信号を送信して、酸素供給源42から供給流路Lを経て加熱炉2内に供給される酸素の圧力又は流量を調整するものである。
【0034】
誘導加熱制御部72は、電源52に信号を送信して、電源52がコイル51に印加する高周波交流電圧の出力を調整するものである。
【0035】
レーザ加熱制御部73は、レーザ光源61に信号を送信して、レーザ光源61が射出するレーザ光の出力を調整するものである。
【0036】
しかして、本実施形態では、誘導加熱制御部72及びレーザ加熱制御部73は、誘導加熱機構5とレーザ加熱機構6とが試料Xに同時に作用して加熱するように各加熱機構5、6を制御するものである。つまり、誘導加熱機構5が試料Xに誘導電流を流す状態と、レーザ加熱機構6が試料Xにレーザを照射する状態とが同時に生じるように制御する。より詳細には、誘導加熱制御部72及びレーザ加熱制御部73は、各加熱機構5、6を制御して、試料Xが誘導加熱機構5とレーザ加熱機構6とによって同時に加熱されている状態を所定時間継続するように構成されている。
【0037】
より具体的には、誘導加熱制御部72は電源52に対して、レーザ加熱制御部73はレーザ光源61に対して、それぞれ同時に信号を送信する。そして、誘導加熱制御部72は、電源52からコイル51に高周波交流電圧を例えば30秒間印加し続けるように制御し、レーザ加熱制御部73は、レーザ光源61から試料Xにレーザ光を30秒間照射し続けるように制御する。
これにより、試料Xは、30秒間に亘って、誘導加熱機構5とレーザ加熱機構6とによって同時に加熱されることになる。なお、加熱する時間は30秒に限られず、試料Xによって所望の時間に設定することができる。
【0038】
このように構成された本実施形態に係る元素分析装置100によれば、誘導加熱機構5とレーザ加熱機構6とが試料Xを同時に加熱するので、試料Xを効率よく加熱して燃焼を促進させることができ、助燃剤を使用する必要がない。また、助燃剤を使用する必要がないので、助燃剤起因のダストが生じることはなく、ダスト吸引機構が不要になるとともに、ダストにガスが付着することによる測定誤差も生じなくなる。
【0039】
また、透過窓411を通過したレーザ光の光路Bが、第1流路L1内に形成されているので、既存の供給流路Lをレーザ光の光路Bとして兼用することができ、レーザ光を試料Xに照射するための構成が複雑にならない。
【0040】
さらに、透過窓411が、第1流路L1に対して開口41aと反対側に形成されるとともに、この開口41aから加熱炉2内に酸素が供給されるので、加熱炉2内のスス等のダストが第1流路L1を逆流して透過窓411に付着することを防ぐことができる。
【0041】
加えて、加熱炉2内で生じたガスが、フィルタ23を介してガス流出路22に流れるので、ガス分析計3にスス等のダストが入り込むことを防ぐことができる。
【0042】
また、図示しない駆動部が、流路形成部材41を移動させて加熱炉2内における第1流路L1の開口41aの高さを調整することができるので、酸素を試料Xに供給する供給速度を制御することで、試料Xの燃焼状態を最適にすることができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0044】
例えば、前記実施形態では、誘導加熱機構とレーザ加熱機構とが、それぞれ電源とレーザ光源とに対して同時に信号を送信していたが、必ずしも同時である必要はなく、ある程度の時間差を有して信号を送信するように設定されていても構わない。つまり、誘導加熱機構による加熱とレーザ加熱機構により加熱とが同時に行われる期間があれば、それら各機構による加熱開始時が一致していなくても良いし、加熱終了時が一致していなくても良い。
【0045】
また、前記実施形態では、透過窓を第1流路に対して開口と反対側に形成していたが、例えば、図3に示すように、透過窓411を第2流路L2に対して酸素供給源42と反対側に形成して、透過窓411を通ったレーザ光を、例えば、反射ミラー62等の光学部材を用いて反射させて試料Xに照射するようにしても良い。
【0046】
また、前記実施形態では、コイルが炉本体の外周に沿って設けられていたが、コイルは、例えば、るつぼの底部や設置台の上面に設けられていても良い。
【0047】
また、るつぼ内で燃焼したガスをガス流出路の効率良く流すべく、加熱炉の下方から加熱炉内にキャリアガスを流入するようにしても良い。このキャリアガスとしては、酸素を含むものが挙げられる。
【0048】
さらに、前記実施形態では、るつぼ内に試料のみを収容していたが、試料に加えて助燃剤をるつぼ内に入れて、試料の燃焼をより促進するようにしても構わない。
【0049】
その上、前記実施形態の供給流路Lは、試料収容部内に酸素を供給するものであったが、供給流路Lが、その他のガス(酸素を含有するガスを含む。)を試料収容部内に供給するものであり、当該供給流路Lをレーザが通過して試料に照射される構成としても良いし、また、酸素を試料収容部内に供給する供給流路Lに加えて、他のガス(酸素を含有するガスを含む。)を試料収容部内に供給する第2の供給流路を有し、当該第2の供給流路をレーザが通過して試料に照射される構成としても良い。
【0050】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、校正時の作業容易性を担保しつつ、助燃剤を使用することなく、試料を効率良く加熱して燃焼させることができる。
図1
図2
図3