(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中空シリカ粒子及び前記中実シリカ粒子は、それぞれ光重合性官能基を含み、光重合性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも1種以上である、請求項5に記載の樹脂膜形成用組成物。
前記中空シリカ粒子及び前記中実シリカ粒子は、それぞれ光重合性官能基を含み、光重合性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも1種以上である、請求項13に記載の樹脂膜の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的とするところは、防汚性及び滑り性を向上させ、かつ、膜強度を向上させることが可能な、新規かつ改良された樹脂膜及び樹脂膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一具現例は、最外表面の凹部及び凸部の高低差が約10nm〜約65nmであり、下記の式1で表示される接触角の差(ΔCA)が約10°未満である樹脂膜に関する。
【0013】
[式1]
ΔCA=|CA2−CA1|
【0014】
前記式1において、CA1は、樹脂膜がコートされた基板のコートされた表面に500g/cm
2の荷重をかけながら消しゴムにて500往復の摩耗試験を行った後の水滴の接触角で、CA2は、往復摩耗試験以前の初期の水滴の接触角である。
【0015】
前記樹脂膜は、平均粒径が約20nm超〜約100nm以下である中空シリカ粒子と、平均粒径が約20nm以下である中実シリカ粒子とを含有してもよい。
【0016】
前記樹脂膜は、前記中空シリカ粒子を約5重量%超〜約50重量%未満の含有率で含み、前記中実シリカ粒子を約0重量%超〜約10重量%未満の含有率で含んでもよい。
【0017】
前記樹脂膜は、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーを含有してもよい。
【0018】
前記樹脂膜は、前記光重合性フッ素ポリマー及び前記熱重合性フッ素ポリマーを合計約1.5質量%以上約7質量%以下の含有率で含んでもよい。
【0019】
前記樹脂膜の前記熱重合性フッ素ポリマーと前記光重合性フッ素ポリマーは、下記の式2を満足することができる。
【0020】
[式2]
P2/P1<0.43
【0021】
前記式2において、P2は、熱重合性フッ素ポリマーの含有率であり、P1は、光重合性フッ素ポリマーの含有率である。
【0022】
本発明の他の具現例は、平均粒径が約20nm超〜約100nm以下である中空シリカ粒子と、平均粒径が約20nm以下である中実シリカ粒子と、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーを含む添加剤と、バインダ用モノマーとを含む樹脂膜形成用組成物に関する。
【0023】
前記組成物は、前記中空シリカ粒子約5重量%超約50重量%未満と、前記中実シリカ粒子約0重量%超約10重量%未満と、前記光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマー約1.5重量%以上約7重量%以下と、バインダ用モノマーとを含んでもよい。
【0024】
前記バインダ用モノマーは、他の官能基と水素結合を形成可能な水素結合形成基を有してもよい。
【0025】
前記水素結合形成基は水酸基を含んでもよい。
【0026】
前記バインダ用モノマーの表面張力は、約36dyne/cm〜約45dyne/cmであってもよい。
【0027】
前記組成物において、中空シリカ粒子及び中実シリカ粒子は、それぞれ光重合性官能基を含み、光重合性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも1種以上であってもよい。
【0028】
前記組成物において、前記中空シリカ粒子及び前記中実シリカ粒子は、それぞれ熱重合性官能基をさらに含んでもよい。
【0029】
前記組成物において、前記熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は、前記光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量より大きくてもよい。
【0030】
前記組成物において、前記熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は約10000以上であり、前記光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は約10000未満であってもよい。
【0031】
本発明の更に他の具現例は、バインダ用モノマーと、平均粒径が約20nm超〜約100nm以下である中空シリカ粒子と、平均粒径が約20nm以下である中実シリカ粒子と、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーとを含む樹脂膜形成用コート液を製造するステップ;前記樹脂膜形成用コート液を基板に塗布することで塗布層を形成するステップ;前記塗布層の表面にブリードアウトした前記光重合性フッ素ポリマーと熱重合性フッ素ポリマーによる保護層を形成するステップ;及び重合反応を開始させるステップ;を含む樹脂膜の製造方法に関する。
【0032】
前記製造方法において、前記中空シリカ粒子の含有率は約5質量%超約50質量%未満であり、前記中実シリカ粒子の含有率は約0質量%超約10質量%未満であってもよい。
【0033】
前記製造方法において、前記光重合性フッ素ポリマー及び前記熱重合性フッ素ポリマーの含有率の合計は、約1.5質量%以上約7質量%以下であってもよい。
【0034】
前記製造方法において、前記熱重合性フッ素ポリマーと前記光重合性フッ素ポリマーは、下記の式2を満足することができる。
【0035】
[式2]
P2/P1<0.43
【0036】
前記式2において、P2は、熱重合性フッ素ポリマーの含有率であり、P1は、光重合性フッ素ポリマーの含有率である。
【0037】
前記製造方法において、前記中空シリカ粒子及び前記中実シリカ粒子は、それぞれ光重合性官能基を含み、光重合性官能基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも1種以上であってもよい。
【0038】
前記製造方法において、前記中空シリカ粒子及び前記中実シリカ粒子は、それぞれ熱重合性官能基をさらに含んでもよい。
【0039】
前記製造方法において、前記バインダ用モノマーは水素結合形成基を含み、前記水素結合形成基は水酸基を含んでもよい。
【0040】
前記製造方法において、前記熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は、前記光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量より大きくてもよい。
【0041】
前記製造方法において、前記熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は約10000以上であり、前記光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は約10000未満であってもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明の各実施例によれば、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーがバインダ樹脂による反発力によって効果的にブリードアウト及び偏在し、かつ、低屈折率層の表面に海島構造が形成される。したがって、本発明の各実施例によれば、樹脂膜の防汚性、滑り性、耐擦傷性、及び膜強度を向上させることができる。さらに、中空シリカ粒子と中実シリカ粒子との含有比を制御することで、海島構造の高低差も制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書で使用する「中空シリカ粒子」という用語は、粒子の内部に意図的に気孔を含んでいる形態のシリカ粒子を意味する。このような中空シリカ粒子は、例えば、気孔率が約10%以上、約15%以上又は約20%以上であるシリカ粒子を意味することができる。
【0045】
本明細書で使用する「中実シリカ粒子」という用語は、粒子の内部に意図的に気孔を含んでいない形態のシリカ粒子を意味する。例えば、中実シリカ粒子は、気孔率が0%に近いほど優れた効果を有し得るが、製造工程上、約5%以下、約3%以下、約1%以下又は約0%〜約1%の気孔を含んでいてもよい。
【0046】
また、本明細書において、気孔率は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)にて測定することができる。TEMは、中空部分と中実部分のコントラストを鮮明に映像化することができる。したがって、TEMの撮像画像を用いて中空部分と中実部分とを特定し、この結果に基づいて、粒子の体積と中空部分の体積を算出する。そして、これらの体積と、気孔率=(中空部分の体積/粒子の総体積)×100の数式により気孔率を算出することができる。
【0047】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0048】
<1.樹脂膜の構成>
一具現例の樹脂膜は、最外表面の凹部及び凸部の高低差が約10nm〜約65nmであり、下記の式1で表示される接触角の差(ΔCA)が約10°未満である。
【0049】
[式1]
ΔCA=|CA2−CA1|
【0050】
前記式1において、CA1は、樹脂膜がコートされた基板のコートされた表面に500g/cm
2の荷重をかけながら消しゴムにて500往復の摩耗試験を行った後の水滴の接触角であり、CA2は、往復摩耗試験以前の初期の水滴の接触角である。
【0051】
前記水滴の接触角の差(ΔCA)は、具体的に5.4°以下、より具体的には5°以下であってもよい。
【0052】
前記摩耗試験前後の接触角は、全自動接触角計を使用して測定することができる。例えば、樹脂膜をコートした基板上に2μlの純水を滴下し、全自動接触角計DM700(協和界面科学株式会社製)を使用して測定することができる。
【0053】
以下、
図1を参照して、本実施形態に係る樹脂膜10の構成について説明する。樹脂膜10は、低屈折率層10aと、添加剤40とを含んでもよい。このとき、前記添加剤は、前記低屈折率層10aの表面にブリードアウト及び偏在して保護層50を形成することができる。低屈折率層10aは、中空シリカ粒子(中空シリカ微粒子)20aと、中実シリカ粒子(中実シリカ微粒子)20bと、バインダ樹脂30とを含んでもよい。前記中空シリカ粒子20aは、平均粒径が約20nm超〜約100nm以下であり、中実シリカ粒子20bは、平均粒径が約20nm以下であってもよい。添加剤40は、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーを含んでもよい。
【0054】
一具体例の樹脂膜は、前記中空シリカ粒子を約5重量%超約50重量%未満の含有率で含み、前記中実シリカ粒子を約0重量%超約10重量%未満の含有率で含み、前記光重合性フッ素ポリマー及び前記熱重合性フッ素ポリマーの合計を約1.5質量%以上約7質量%以下の含有率で含んでもよい。このとき、前記熱重合性フッ素ポリマーの含有率を前記光重合性フッ素ポリマーの含有率で割った値(P2/P1)は約0.43未満であってもよい。前記範囲内で、最外表面の凹部及び凸部の高低差が約10nm〜約65nmであり、消しゴム往復摩耗試験前後の接触角の差(ΔCA)が約10°未満である樹脂膜の形成に有利である。また、特に、接触角の差(ΔCA)が約5.4°以下又は約5°以下である樹脂膜の形成に有利であり得る。
【0055】
本実施形態の樹脂膜10は、例えば、光学フィルムの最外層、反射防止フィルムに使用されてもよく、又は、偏光子の保護層上にコートされて使用されてもよい。また、本実施形態の樹脂膜10は、低屈折率の膜を使用する分野等に好適に適用され得る。
【0056】
本発明の他の具現例は、平均粒径が約20nm超〜約100nm以下である中空シリカ粒子20aと、平均粒径が約20nm以下である中実シリカ粒子20bと、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーと、バインダ用モノマーとを含む樹脂膜形成用組成物に関する。
【0057】
以下では、本発明の各具現例に含まれる樹脂膜及び樹脂膜形成用組成物について具体的に説明する。
【0059】
中空シリカ粒子20aは、低屈折率層10a内に分散していてもよい。中空シリカ粒子20aは、外殻層を有し、外殻層の内部は中空又は多孔質体となっている。外殻層及び多孔質体は、主に酸化ケイ素で構成される。また、中空シリカ粒子の外殻層には、後述する光重合性官能基が多数結合していてもよい。
【0060】
中空シリカ粒子20aは、光重合性官能基を有するナノスケールの粒子(微粒子)であってもよい。この場合、光重合性官能基と外殻層とは、Si−O−Si結合及び水素結合のうち、少なくとも一方の結合を介して結合されていてもよい。
【0061】
一具体例において、中空シリカ粒子20aは、光重合性官能基として、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも1種以上を含んでもよい。光重合性官能基は、電離放射線硬化性基とも称される。中空シリカ粒子20aは少なくとも1種以上の光重合性官能基を有していればよく、これらの官能基の数及び種類は特に限定されない。他の具体例において、中空シリカ粒子20aは、他の官能基、例えば、熱重合性官能基をさらに有していてもよい。熱重合性官能基としては、水酸基、シラノール基、アルコキシ基、ハロゲン、水素、イソシアネート基等を例示することができる。熱重合性官能基は、光重合性官能基と同様の形態で中空シリカ粒子20aの外殻層に、Si−O−Si結合及び水素結合のうち、少なくとも一方の結合を介して結合されていてもよい。
【0062】
中空シリカ粒子20aの平均粒径は、中実シリカ粒子20bの平均粒径よりも大きければ特に限定されない。例えば、中空シリカ粒子20aの平均粒径は、約20nm超〜約100nm以下又は約40nm〜約60nmであってもよい。前記範囲内で、中空シリカ粒子20aが過度に凝集することを防止することができる。また、前記範囲内で、低屈折率層10aの均一性、分散性及び透明性を高めることができる。
【0063】
本明細書において、中空シリカ粒子20aの平均粒径は、中空シリカ粒子20aの粒径(中空シリカ粒子20aを球と仮定したときの直径)の算術平均値である。中空シリカ粒子20aの粒径は、例えば、レーザ回折・散乱粒度分布計(例えば、HORIBA LA−920)によって測定される。なお、レーザ回折・散乱粒度分布計は、HORIBA LA−920に限られない。
【0064】
中空シリカ粒子20aの屈折率は、低屈折率層10aに要求される屈折率に応じて変動するが、例えば、1.10〜1.40又は1.15〜1.25であってもよい。中空シリカ粒子20aの屈折率は、例えば、シミュレーションソフトウェア(Simulation software)(Lambda Reserch社、TracePro)によって測定される。
【0065】
中空シリカ粒子20aの含有率(中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤の総質量に対する質量%)は、約5質量%超約50質量%未満であってもよい。前記範囲で、約10nm〜約65nmの高低差hを有する海島構造の形成に有利であり得る。また、前記範囲で、中空シリカ粒子20aが低屈折率層10aの屈折率を十分に下げ、樹脂膜の特性が良好になり得る。さらに具体的に、中空シリカ粒子20aの含有率は、例えば、約6質量%〜約49質量%又は約20質量%〜約40質量%以下であってもよい。中空シリカ粒子の含有率がこの範囲となる場合、樹脂膜10の特性がさらに良好になり得る。なお、中空シリカ粒子20aの含有率が大きいほど、高低差hが大きくなりやすい傾向がある。
【0067】
中実シリカ粒子20bは、低屈折率層10a内に分散していてもよい。中実シリカ粒子20bは、中実粒子であること、中空シリカ粒子20aよりも粒径が小さいことを除き、中空シリカ粒子20aと同様の構成を有することができる。
【0068】
具体的に、中実シリカ粒子20bは中実(内部が充填された形態)の粒子となっている。その気孔率(中実シリカ粒子の総体積に対する中空部分の割合)は、実質的にゼロ又は約0%〜約1%であってもよい。
【0069】
また、中実シリカ粒子20bは、中空シリカ粒子20aよりも平均粒径が小さい。具体的に、中実シリカ粒子20bは約20nm以下であってもよい。さらに具体的に、中実シリカ粒子20bの平均粒径は、約0nm超約20nm以下、約0nm超約15nm以下又は約0.1nm以上約15nm以下であってもよい。前記範囲内で、後述する海島構造の形成に有利であり、中実シリカ粒子のサイズによって低屈折率層10aがもろくなることを防止することができる。
【0070】
本明細書において、中実シリカ粒子20bの平均粒径は、中実シリカ粒子20bの粒径(中実シリカ粒子20bを球と仮定したときの直径)の算術平均値である。中実シリカ粒子20bの粒径は、例えば、レーザ回折・散乱粒度分布計(例えば、HORIBA LA−920)によって測定される。なお、レーザ回折・散乱粒度分布計は、HORIBA LA−920に限られない。
【0071】
中実シリカ粒子20bは、光重合性官能基を有するナノスケールの粒子(微粒子)であってもよい。この場合、中実シリカ粒子20bの表面には、光重合性官能基が多数結合していてもよい。光重合性官能基と中実シリカ粒子20bの表面とは、Si−O−Si結合及び水素結合のうち、少なくとも一方の結合を介して結合されてもよい。中実シリカ粒子20bの表面の光重合性官能基は、上述した中空シリカ粒子20aの表面の光重合性官能基に対する説明を準用することができる。
【0072】
一具体例において、中実シリカ粒子20bは、光重合性官能基として、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも一方を含む。さらに具体的に、中実シリカ粒子20bは少なくとも1種以上の光重合性官能基を有していればよく、これらの官能基の数及び種類は特に限定されない。他の具体例において、中実シリカ粒子20bは、他の官能基、例えば、熱重合性官能基をさらに有してもよい。熱重合性官能基としては、水酸基、シラノール基、アルコキシ基、ハロゲン、水素、イソシアネート基等を例示することができる。熱重合性官能基は、光重合性官能基と同様の形態で、中空シリカ粒子20aとSi−O−Si結合及び水素結合のうち、少なくとも一方の結合を介して結合されていてもよい。
【0073】
中実シリカ粒子20bの含有率(中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤の総質量に対する質量%)は、約0質量%超約10質量%未満であってもよく、具体的に、約1質量%〜約10質量%であってもよい。前記範囲で、約10nm〜約65nmの高低差hを有する海島構造の形成に有利であり得る。また、前記含有率の範囲で、樹脂膜の特性が良好になり得る。
【0074】
上記の構成を有する中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bを低屈折率層10aに含めることで、海島構造の凹凸の高低差hを中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bの含有比で制御することができる。具体的には、中実シリカ粒子20bの含有比を下げると、海島構造の高低差が大きくなり、また、中実シリカ粒子20bの含有比を上げると、海島構造がなだらかになり得る。この場合、低屈折率層10aが中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bを含むことで、表面に凹凸形態の高低差hが存在する海島構造を形成することができる。
【0075】
樹脂膜に含有される中空シリカ粒子20a同士が直接結合する場合もある。例えば、中空シリカ粒子20aの熱重合性官能基は、他の中空シリカ粒子20aの熱重合性官能基と結合し、中空シリカ粒子20aの光重合性官能基は、他の中空シリカ粒子20aの光重合性官能基と結合してもよい。このような結合が可能になるのは、樹脂膜10の製造時に中空シリカ粒子20aを事前に網目修飾(network modification)処理しないからである。同様に、中実シリカ粒子20b同士が直接結合する場合もあり、中空シリカ粒子20aと中実シリカ粒子20bとが直接結合する場合もある。
【0077】
バインダ樹脂30は、網目構造(網状構造、network structure)となっており、中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20b同士を連結する役割をする。バインダ樹脂30は、少なくとも1種以上のバインダ用モノマーを重合した状態で含んでもよい。
【0078】
バインダ用モノマーは、例えば、水素結合形成基と、2以上の光重合性官能基とを含んでもよい。水素結合形成基は、他の官能基と水素結合を形成可能な官能基であり、例えば水酸基であってもよい。なお、水素結合形成基は、この例に限られず、水素結合(すなわち、共有結合で他の原子と結びついた水素原子が、水素原子の近傍に位置する窒素、酸素、硫黄、フッ素、π電子系等の孤立電子対とつくる非共有結合性の引力的相互作用)を形成するものであれば、制限なく使用可能である。光重合性官能基としては、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうち少なくとも1種以上を例として挙げることができる。
【0079】
例えば、バインダ用モノマーは、水酸基を含む多官能性(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。具体的に、水酸基を含む多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソシアヌレートアクリレート等のジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート誘導体、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。もちろん、バインダ用モノマーは、前記例示以外のものであってもよい。すなわち、バインダ用モノマーは、水素結合形成基と、2以上の光重合性官能基とを有するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0080】
バインダ樹脂30は、水素結合形成基を有する多官能性(メタ)アクリレートモノマー、具体的には水素結合形成基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むことで、後述する添加剤40を効果的にブリードアウトさせることができる。具体的に、バインダ樹脂30は水素結合形成基を有するため、表面張力が大きくなる。一方、添加剤40は、フッ素ポリマーであるので、表面張力が低い。したがって、添加剤40は、バインダ樹脂30と反発することで、効果的にブリードアウトし得る。具体的に、バインダ用モノマーの表面張力は、例えば、約36dyne/cm以上約45dyne/cm以下であってもよい。前記範囲で、添加剤40がさらに効果的にブリードアウトする。本明細書において、表面張力は、例えば、自動表面張力計によって測定される。なお、自動表面張力計は、協和界面科学 DY−300に限られない。具体的に、表面張力は、25℃の温度で測定した値であってもよい。
【0081】
なお、バインダ樹脂30は、水素結合形成基を含むことで、低屈折率層10aへの海島構造の形成をさらに有利にすることができる。したがって、水素結合形成基は、低屈折率層10aに海島構造を形成するという点でも重要な構成となる。
【0082】
バインダ用モノマーは、少なくとも3つ以上の官能基(水素結合形成基及び2つ以上の光重合性官能基)を有するので、互いに重合することで複雑な3次元構造(網目構造)のバインダ樹脂30を形成することができる。この場合、バインダ用モノマーの水素結合形成基は、中空シリカ粒子20aの熱重合性官能基又は他のバインダ用モノマーの水素結合形成基と熱重合(縮重合)することができる。また、バインダ用モノマーの光重合性官能基は、中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bの光重合性官能基又は他のバインダ用モノマーの光重合性官能基と光重合することができる。これにより、複雑な3次元構造(網目構造)のバインダ樹脂30を形成することができる。また、バインダ用モノマーは添加剤40をブリードアウトするので、低屈折率層10a内に残留する添加剤40の量を少なくすることで、添加剤40を低屈折率層10aの表面に偏在させることができる。したがって、バインダ樹脂30の架橋密度が向上し、ひいては、低屈折率層10aの機械強度が向上し得る。
【0083】
バインダ樹脂30の含有率(中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤の総質量に対する質量%)は、例えば、中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤を除いた残りの残量であってもよく、具体的に、約45質量%〜約85質量%、約48質量%〜約85質量%、約50質量%〜約85質量%又は約50質量%〜約80質量%になってもよい。前記範囲で、添加剤を表面にブリードアウトさせる効果が優秀になり得る。
【0085】
添加剤40は、低屈折率層10aに防汚性、滑り性及び耐擦傷性を付与するために添加されるものである。添加剤40は、少なくとも光重合性フッ素ポリマー41で構成される。添加剤40には、熱重合性フッ素ポリマー42がさらに含まれてもよい。
【0086】
光重合性フッ素ポリマー41は、光重合性官能基を有するフッ素ポリマーであり、具体的には、以下の化学式(1)で表される。
【0087】
[化1]
(Rf1)−[(W1)−(RA1)
n]
m
【0088】
化学式(1)中、Rf1は(パー)フルオロアルキル基又は(パー)フルオロポリエーテル基を表し、W1は連結基を表し、RA1は重合性不飽和基を有する官能基、すなわち、光重合性官能基を表す。nは1〜3、mは1〜3の整数を表す。
【0089】
(パー)フルオロアルキル基の構造は、特に限定されない。すなわち、(パー)フルオロアルキル基は、直鎖構造(例えば、−CF
2CF
3,−CH
2(CF
2)
4H,−CH
2(CF
2)
8CF
3,−CH
2CH
2(CF
2)
4H等)であっても、分岐構造(例えば、CH(CF
3)
2,CH
2CF(CF
3)
2,CH(CH
3)CF
2CF
3,CH(CH
3)(CF
2)
5CF
2H等)であっても、脂環式構造(具体的には、5員環又は6員環構造、さらに具体的に、パーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であっても良い。
【0090】
(パー)フルオロポリエーテル基は、エーテル結合を有する(パー)フルオロアルキル基であり、その構造は特に限定されない。すなわち、(パー)フルオロポリエーテル基としては、例えば、−CH
2OCH
2CF
2CF
3、−CH
2CH
2OCH
2C
4F
8H、−CH
2CH
2OCH
2CH
2C
8F
17、−CH
2CH
2OCF
2CF
2OCF
2CF
2H、フッ素原子を5個以上有する炭素数4〜20のフルオロシクロアルキル基等が挙げられる。また、パーフルオロポリエーテル基としては、例えば、−(CF
2)
xO(CF
2CF
2O)
y、−[CF(CF
3)CF
2O]
x―[CF
2(CF
3)]、(CF
2CF
2CF
2O)
x、(CF
2CF
2O)
x等が挙げられる。ここで、x及びyは、それぞれ任意の自然数である。
【0091】
連結基は特に限定されるものではないが、例えば、メチレン基、フェニレン基、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアルキレン基、又はこれらの組み合わさった連結基が挙げられる。これらの連結基は、カルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルイミノ基、スルホンアミド基等、又はこれらの組み合わさった官能基を有しても良い。光重合性官能基としては、アクリロイル基及びメタクリロイル基等が挙げられる。
【0092】
添加剤40は、バインダ樹脂30に比べて表面張力が低いので、低屈折率層の表面に容易にブリードアウトし得る。すなわち、光重合性フッ素ポリマー及び/又は熱重合性フッ素ポリマーは、例えば、表面張力が約6dyne/cm〜約20dyne/cmになってもよい。前記範囲内で、低屈折率層の表面にさらに容易にブリードアウトし得る。
【0093】
光重合性フッ素ポリマー41の重量平均分子量Mwは、後述する熱重合性フッ素ポリマー42の重量平均分子量Mwよりも小さく、具体的には約10000未満であってもよい。なお、光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量Mwの下限値は、例えば3000以上であってもよい。また、光重合性フッ素ポリマー41のオレイン酸転落角は、樹脂膜10に要求される防汚性、滑り性に応じて選択されるが、例えば10度以下であってもよい。オレイン酸転落角は、例えば、全自動接触角計DM700(協和界面科学株式会社製)によって測定される。
【0094】
熱重合性フッ素ポリマー42は、熱重合性官能基を有するフッ素ポリマーであり、具体的には、以下の化学式(2)で表される。
【0095】
[化2]
[(Rf2)−(W2)]
n−SiX
(4−n)
【0096】
化学式(2)中、Rf2は(パー)フルオロアルキル基又は(パー)フルオロポリエーテル基、W2は連結基、Xは熱重合性官能基であり、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン又は水素である。nは1〜3を表す。熱重合性官能基は、上述した水素結合形成基を含む概念である。
【0097】
(パー)フルオロアルキル基、(パー)フルオロポリエーテル基、及び連結基の構造は光重合性フッ素ポリマーと同様である。熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量Mwは、光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量Mwよりも大きく、具体的には10000以上であってもよい。なお、熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量Mwの上限値は特に限定されないが、例えば約50000以下であってもよい。また、光重合性フッ素ポリマー41のオレイン酸転落角は、樹脂膜10に要求される防汚性、滑り性に応じて選択されるが、例えば10°以下であってもよい。
【0098】
このように、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42は、基本骨格としてフッ素ポリマー部分を有するので、このフッ素ポリマー部分とバインダ樹脂30の水素結合形成基とが反発しあう。これにより、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42は、効果的にブリードアウトし得る。これにより、低屈折率層10aの表面に添加剤がブリードアウトして偏在し得る。また、これにより、低屈折率層10aの表面にブリードアウトしたフッ素ポリマーからなる保護層50を形成することができる。
【0099】
光重合性フッ素ポリマー41は、低屈折率層10aの表面に分布した中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b及び/又はバインダ樹脂30の光重合性官能基と結合し、熱重合性フッ素ポリマー42は、低屈折率層10aの表面に分布した中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b及び/又はバインダ樹脂30の熱重合性官能基と結合することができる。この場合、本実施形態では、低屈折率層10aの表面に配置された中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b及び/又はバインダ樹脂30は、偏在したフッ素ポリマー41で保護することができる。
【0100】
一方、従来は、添加剤として光重合性ポリマーのみが使用されていた。したがって、従来の低屈折率層では、表面に配置された中空シリカ粒子の水酸基部分が露出していた。このため、低屈折率層の防汚性、滑り性が顕著に低下するという問題があった。
【0101】
これに対し、本実施形態では、低屈折率層10aの表面に配置された中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bは、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42で保護することができる。すなわち、中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bの水酸基も熱重合性フッ素ポリマー42で保護することができる。したがって、本実施形態では、低屈折率層10aの表面を光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42で均一に保護することができるので、防汚性、滑り性が向上する。
【0102】
また、熱重合性フッ素ポリマー42の重量平均分子量Mwは、光重合性フッ素ポリマー41の重量平均分子量Mwより大きくてもよい。光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42の重量平均分子量Mwがこのように設定されるのは以下の理由による。すなわち、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42は、重量平均分子量Mwが大きいほど表面張力が小さくなり得る。この場合、ブリードアウトが容易であり、防汚性、滑り性、ブリードアウト性が向上し得る。
【0103】
しかし、アクリロイル基及びメタクリロイル基は極性が大きいので、フッ素ポリマーの重量平均分子量Mwが大きすぎると、フッ素ポリマーにこれらの官能基を導入しにくくなる。すなわち、光重合性フッ素ポリマー41が製造されにくくなり得る。したがって、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42の重量平均分子量Mwを上記の範囲内に調節する場合、樹脂膜10の製造時に溶媒に溶解されることが有利になり得る(詳細には、バインダ用モノマーと添加剤の相溶性が向上し得る。)。
【0104】
したがって、光重合性フッ素ポリマー41の重量平均分子量Mwを上記の範囲内に設定する場合、これにより、アクリロイル基及びメタクリロイル基が導入されるフッ素ポリマーの重量平均分子量Mwを小さくすることができるので、アクリロイル基及びメタクリロイル基をフッ素ポリマーに容易に導入することができる。
【0105】
また、光重合性フッ素ポリマー41は、熱重合性フッ素ポリマー42に対して相溶化剤の役割を果たすようになる。すなわち、熱重合性フッ素ポリマー42は、重量平均分子量Mwの小さい光重合性フッ素ポリマー41と共に溶媒に投入されることで、溶媒に容易に溶解されるようになる。すなわち、本実施形態では、熱重合性フッ素ポリマー42の重量平均分子量Mwを大きくすることで、添加剤40全体の重量平均分子量Mwを大きくする一方、光重合性フッ素ポリマー41の重量平均分子量Mwを小さくすることで、添加剤40を溶媒に溶かしやすくすることができる。
【0106】
なお、添加剤40の含有率(中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤の総質量に対する質量%)は約1.5質量%以上約7質量%以下、具体的には約2.0質量%以上約5.0質量%以下であってもよい。ここで、添加剤40の含有率は、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42の含有率の合計値であってもよい。
【0107】
また、光重合性フッ素ポリマー41の含有率(中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤の総質量に対する質量%)は、約1.5質量%以上、具体的には約1.8質量%以上約4.0質量%以下であってもよい。一方、光重合性フッ素ポリマー41は、添加剤40の必須の構成となる。本発明者が添加剤40について検討したところ、光重合性フッ素ポリマー41が添加剤40に含まれない場合、約10nm〜約65nm又は約30nm〜約65nmの高低差を有する海島構造が形成されないことが判明した。したがって、光重合性フッ素ポリマー41は、添加剤40の必須の構成となる。
【0108】
また、熱重合性フッ素ポリマー42の含有率を光重合性フッ素ポリマー41の含有率で割った値は、約0.43未満、さらに具体的には約0.25未満であってもよい。すなわち、前記熱重合性フッ素ポリマーと前記光重合性フッ素ポリマーは、下記の式2を満足することができる。
【0110】
前記式2において、P2は、熱重合性フッ素ポリマーの含有率であり、P1は、光重合性フッ素ポリマーの含有率である。
【0111】
各具体例において、P2/P1は、約0.43未満又は約0.25未満であってもよい。
【0112】
後述するように、これら条件が充足される場合、約10nm〜約65nm又は約30nm〜約65nmの高低差を有する海島構造が形成され、ひいては、樹脂膜10の特性が良好となる。
【0113】
また、本発明者が添加剤40について検討したところ、添加剤40がフッ素ポリマーではない場合(例えばシリコン系のポリマーとなる場合)、低屈折率層10aに海島構造が形成されないことが判明した。したがって、添加剤40がフッ素ポリマーであることは、低屈折率層10aに海島構造を形成するという点でも重要な構成となる。
【0115】
光開始剤は、光重合を開始させるための材料であり、その種類は問われない。すなわち、本実施形態では、あらゆる光開始剤を使用することができる。ただし、光開始剤は、酸素阻害を受けにくく、表面硬化性が良好であるものを使用することができる。具体的に、光開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ペルオキソ二硫酸カリウム、tert−ブチルヒドロペルオキシド及びジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドのうち一つ以上を含むラジカル開始剤を使用することができ、これに制限されることはない。
【0116】
光開始剤の含有率(中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、バインダ樹脂30、添加剤40、及び光開始剤の総質量に対する質量%)は、約0.5質量%〜約5質量%であってもよく、具体的には約2質量%〜約4質量%であってもよい。前記範囲内で、樹脂膜の物性を向上させることができる。
【0118】
本実施形態では、樹脂膜10の材料が上述した各材料となり、かつ、各材料の含有比が上述した範囲となることで、低屈折率層10aの表面に海島構造が形成される。具体的に、低屈折率層10aには、層厚が互いに異なる凸部10b及び凹部10cが形成されている。凸部10bの層厚は、凹部10cの層厚よりも大きい。ここで、凸部10bの層厚は、凸部10bの表面(海島構造が形成される面)から裏面(樹脂膜10がコートされる基板等に接する面)までの距離である。同様に、凹部10cの層厚は、凹部10cの表面(海島構造が形成される面)から裏面(樹脂膜10がコートされる基板等に接する面)までの距離である。
【0119】
例えば、凸部10bが島部分、凹部10cが海部分となる。もちろん、凸部10bが海部分、凹部10cが島部分であってもよい。したがって、本実施形態では、低屈折率層10aがコートされる基板が水平であっても、低屈折率層10aの表面には海島構造が形成される。凸部10b及び凹部10cの層厚の違いによって、低屈折率層10aの表面に凹凸、すなわち海島構造が形成されるからである。
【0120】
凸部10bと凹部10cとの高低差h、すなわち、凸部10bの上端部10b’から凹部10cの下端部10c’までの距離は、約10nm〜約65nm又は約30nm〜約65nmになってもよい。前記範囲内で、海島形状の高低が急峻になることを防止し、樹脂膜10の表面に付着した他の物体を拭き取りやすくする効果を具現することができる。すなわち、防汚性を向上させることができる。
【0121】
さらに、低屈折率層10aの表面上の各点の傾きと、面方向(低屈折率層10aの厚さ方向に垂直な方向)とのなす角度は、所定範囲内(例えば±30度以内)の値となる。ここで、面方向から低屈折率層10aの表面に向かう方向を正方向とする。したがって、低屈折率層10aの凹凸形状はなだらかな形状となっている。
【0122】
また、添加剤40は、凸部10b及び凹部10cの表面に偏在している。前記範囲内で、凸部10bと凹部10cとの高低差hは、一実施例の樹脂膜をディスプレイの反射防止フィルムとして使用する場合、光の散乱率を調節し、反射防止能を向上させることができる。
【0123】
なお、低屈折率層10aの表面に海島構造が形成されていることは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)又は形状測定レーザマイクロスコープ(laser micro scope)による観察により確認することができる。
図2は、本実施形態に係る樹脂膜10の形状測定レーザマイクロスコープによる表面写真である(倍率×50)。ここで、形状測定レーザマイクロスコープは、レーザを用いて対象物の非接触3次元測定を行うことで、観察視野全域の3次元データを取得するものである。形状測定レーザマイクロスコープとしては、KEYENCE JAPAN社製のVK−9500が挙げられる。もちろん、形状測定レーザマイクロスコープはこの例に限られない。
【0124】
また、高低差hは、形状測定レーザマイクロスコープによって測定することができる。具体的には、互いに隣接する凸部10bと凹部10cを単位(測定ポイント)と定め、3次元データから所定数(例えば5単位)で取得し、これらの高低差を算出する。そして、算出された高低差の算術平均を低屈折率層10aの高低差hとする。なお、低屈折率層10aの表面には添加剤40である光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42がブリードアウトしているので、形状測定レーザマイクロスコープは、実質的には、添加剤40からなる層(以下、「保護層」とも称する)50の凹凸形状を測定することになる。すなわち、形状測定レーザマイクロスコープは、保護層50の凸部51と凹部52との高低差を測定することとなる。ここで、保護層50の凸部51は、低屈折率層10aの凸部10b上に形成され、保護層50の凹部52は、低屈折率層10aの凹部10c上に形成される。
【0125】
しかし、保護層50は、低屈折率層10aの凹凸形状に沿って形成されるので、保護層50の凹凸形状は低屈折率層10aの凹凸形状と略同一となる。すなわち、保護層50の高低差は、低屈折率層10aの高低差hと略同一となる。したがって、形状測定マイクロスコープは、低屈折率層10aの高低差hを測定することができる。
【0126】
また、低屈折率層10aの表面上の各点の傾きと、面方向とのなす角度も、同様に形状測定マイクロスコープによって測定することができる。具体的には、上述した3次元データから当該角度を測定することができる。
【0127】
樹脂膜10は、上記の構成、特に海島構造を有することにより、以下の特徴を有する。
【0128】
第1に、他の物体(例えば、指紋等の油汚れ、布、鋭利な物体等)は、保護層50の凸部51にしか接触することができないので、他の物体と保護層50との接触面積が低下する。さらに、保護層50はフッ素ポリマーで形成されている。したがって、他の物体と保護層50との間の摩擦力が顕著に低下する。これにより、樹脂膜10に他の物体が付着しにくくなる。さらに、樹脂膜10に他の物体が付着しても、他の物体を容易に拭き取ることができる。さらに、他の物体が保護層50の表面で滑りやすくなるので、他の物体が保護層50に傷をつけにくくなる。したがって、樹脂膜10の滑り性、防汚性、及び耐擦傷性が向上する。なお、摩擦力が低下すると、接触角が増大するので、接触角を測定することで、実質的に摩擦力を測定することができる。
【0129】
第2に、海島構造によって低屈折率層10aの表面積が増大するので、ブリードアウトする添加剤40の量も多くなる。この結果、樹脂膜10の摩擦力が低下するので、樹脂膜10の防汚性、滑り性、耐擦傷性が向上する。
【0130】
第3に、他の物体と保護層50の凹部52との間には空隙が形成される。すなわち、他の物体は、凹部52上で浮いた状態となる。そして、この空隙には空気が存在し、空気の表面張力は理論上0となる。したがって、この点でも、他の物体と樹脂膜10との間の摩擦力が低下する。
【0131】
さらに、保護層50の凹凸形状はなだらかな形状となっているので、他の物体を容易かつ確実に拭き取ることができる。すなわち、保護層50の凸部51に付着した他の物体(例えば指紋)を拭き取った際に、他の物体が凹部52に入り込む可能性がある。しかし、保護層50の凹凸形状はなだらかなので、拭き取り用の布の繊毛が容易に凹部52内に入り込むことができ、ひいては、凹部52内の他の物体も容易に拭き取ることができる。
【0132】
これに対し、光レジスト等の分野では、例えばモスアイ(moth eye)型フィルムのように、凹凸形状が急峻な形状となっているフィルムが知られている。モスアイ型フィルムでは、接触角を向上させるために、凸部が面方向に対してほぼ垂直に切り立っており、かつ、凸部と凹部との高低差も大きくなっている(例えば数百nm)。このため、他の物体が一旦凹部に入り込んでしまうと、拭き取り用の布の繊毛は凹部に入りにくいので、凹部内の他の物体を拭き取ることができない。
【0133】
<2.樹脂膜10の製造方法>
次に、本発明の更に他の具現例に係る樹脂膜10の製造方法について説明する。まず、粒径が約20nm超〜約100nm以下である中空シリカ粒子20aと、平均粒径が約20nm以下である中実シリカ粒子20bと、光開始剤と、バインダ用モノマーと、添加剤40とを溶媒に投入、攪拌することで、コート液を生成するステップを含むことができる。前記添加剤40は、光重合性フッ素ポリマー及び熱重合性フッ素ポリマーを含む。前記コート液の組成は上述した通りである。溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、沸点約110℃以上のケトン系溶媒を好適に使用することができる。この溶媒は、各材料を安定して溶解することができ、かつ、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42を容易にブリードアウトさせることができるからである。ついで、コート液を任意の基板に塗布、乾燥することで、塗布層を形成するステップを含むことができる。なお、塗布の方法は特に問われず、公知の方法が任意に適用される。このとき、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42は、バインダ用モノマーからの反発力によってブリードアウトし、塗布層の表面に偏在する。これにより、前記塗布層の表面にブリードアウトした前記光重合性フッ素ポリマーと熱重合性フッ素ポリマーによる保護層50を形成することができる。ついで、各重合反応を開始させる。これにより、バインダ樹脂30が形成される一方、光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42は、塗布層の表面に配置された中空シリカ粒子20a、中実シリカ粒子20b、及びバインダ樹脂30に結合する。これにより、樹脂膜10が形成される。
【0134】
このように、バインダ用モノマーが光重合性フッ素ポリマー41及び熱重合性フッ素ポリマー42を効果的にブリードアウトさせることができるので、本実施形態に係る樹脂膜10は、非常に簡単なプロセスで製造される。また、低屈折率層10aの表面に添加剤40が偏在するため、低屈折率層10aの表面に別途の防汚シート等を貼り付ける必要がない。
【0135】
一実施例において、樹脂膜は、厚さが約60nm〜約150nmになるように形成することができる。前記範囲で、反射防止フィルムの用途で使用されるのに有利であり得る。
【0136】
前記のように製造された樹脂膜は、例えば、反射防止フィルムの用途で使用することができる。具体的に、樹脂膜は、偏光子と、偏光子の上部に形成された第1光学フィルムと、偏光子の下部に形成された第2光学フィルムとを含む偏光板において、第1光学フィルムの上部、すなわち偏光板の最上部にコートされ、反射防止フィルムの役割をすることができる。この場合、前記樹脂膜形成用コート液が塗布される基板、例えば第1光学フィルム及び第2光学フィルムは、保護フィルム又は位相差フィルムになってもよい。さらに具体的に、前記基板は透明フィルムになってもよく、透明フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を含むポリエステル系、環状ポリオレフィン系(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)等を含むセルロース系、アクリル系、ポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリアリレート系、ポリビニルアルコール系フィルム等になってもよいが、これに制限されない。
【0137】
一実施例において、前記第1光学フィルムを除いて、偏光子の上部に前記樹脂膜をコートすることもできる。
【実施例】
【0138】
(実施例1)
次に、本実施形態の実施例について説明する。実施例1では、以下の製法により樹脂膜10を製造した。
【0139】
バインダ用モノマーとして50質量%のペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社 A−TMM−3LMN)、40質量%の中空シリカ粒子(日揮触媒化成 スルーリア4320)、5質量%の中実シリカ粒子(日揮触媒化成社製:V8802)、添加剤として1.8質量%の光重合性パーフルオロポリエーテル(PFPE)(信越化学工業 KY−1203)及び0.2質量%の熱重合性PFPE(信越化学工業 KY−108)、3質量%の光開始剤(BASF JAPAN イルガキュア184)を用意した。そして、これらの材料を8000質量%のメチルイソブチルケトン(MIBK)に投入し、攪拌することで、コート液を作成した。
【0140】
ここで、中空シリカ粒子の粒径は50nm〜60nmの範囲内の値であった。したがって、平均粒径も当該範囲内の値となる。また、中空シリカ粒子の屈折率は1.25であった。また、中実シリカ粒子の粒径は0より大きく15nm以下であった。したがって、平均粒径も当該範囲内の値となる。また、中実シリカ粒子の気孔率はほぼゼロであり、中空シリカ粒子の気孔率は22%程度であった。気孔率の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて測定した。具体的には、撮像画像に基づいて中空部分と中実部分とを特定し、TEMの撮像画像を用いて中空部分と中実部分とを特定し、この結果に基づいて、粒子の体積と中空部分の体積を算出した。そして、これらの体積と、気孔率=(中空部分の体積/粒子の総体積)×100の数式により気孔率を概算した。また、ペンタエリスリトールトリアクリレートの表面張力は39.8であった。また、光重合性PFPEの重量平均分子量Mwは8000であり、表面張力は16.7であった。また、熱重合性PFPEの重量平均分子量Mwは17000であり、表面張力は16.5であった。なお、測定は上述した装置又はシミュレーションソフトウェアにより行われた。
【0141】
ついで、コート液をPMMAからなる基板上に塗布し、90℃で約1分間乾燥処理することで、塗布層を形成した。ついで、窒素雰囲気(酸素濃度1000ppm以下)下で塗布層に紫外線を5秒間照射(メタルハライドランプ:光量1000mJ/cm
2)することにより塗布層を硬化させた。これにより、樹脂膜を作成した。樹脂膜の平均厚さは約110nmとなった。膜厚の測定は、HORIBA社の可視分光エリプソメータSMART SEを用いて行い、平均厚さは、測定値の最大値と最小値との算術平均値とした。
【0142】
(実施例2〜16、比較例1〜7)
各材料の含有率、及び中実シリカ粒子の平均粒径を変更したほかは、実施例1と同様の処理を行うことで、実施例2〜16、及び比較例1〜7に係る樹脂膜を作成した。
【0143】
各材料の含有率、及び中実シリカ粒子の平均粒径を表1にまとめて示す。
【0144】
【表1】
【0145】
表1中、※1は平均粒径40nmの中実シリカ粒子(日産化学工業社製:オルガノシリカゾルLタイプ)、※2は平均粒径80nmの中実シリカ粒子(日産化学工業社製:オルガノシリカゾルZLタイプ)を使用したことを示す。
【0146】
(試験)
つぎに、各実施例及び比較例に係る樹脂膜について、以下の試験を行った。
【0147】
(消しゴム擦り試験)
樹脂膜がコートされた基板に対して樹脂膜がコートされた表面を垂直方向(上下方向)に500g/cm
2の荷重をかけながら消しゴムにて500往復の摩耗を行った。消しゴムは、株式会社トンボ鉛筆社製のMONOPE−04Aを使用した。
【0148】
(評価)
各樹脂膜について、以下の評価を行った。
【0149】
(海島構造の有無評価)
初期(消しゴム擦り試験を行う前)の樹脂膜に海島構造が形成されているかを、上述した形状測定マイクロスコープを用いて判定した。なお、本評価では、測定ポイントの数を5として高低差hを測定し、高低差hが20nm以上となる場合に、海島構造が形成されていると判定した。
【0150】
(高低差評価)
海島構造が確認された樹脂膜について、高低差h(凸部の上端部10b’−凹部の下端部10c’)を測定した。測定には、上述した形状測定マイクロスコープを用いた。また、測定ポイントの数は5とした。
【0151】
(なだらかさ評価)
樹脂膜の表面上の各点の傾きと、面方向とがなす角度を測定した。測定には、上述した形状測定マイクロスコープを用いた。すなわち、樹脂膜の表面から任意の領域を観察視野として選択し、観察視野全域の3次元データを取得した。そして、3次元データに基づいて、樹脂膜の表面上の各点の傾きと、面方向とがなす角度を測定した。
【0152】
(接触角評価、contact angle、CA、単位:°)
全自動接触角計DM700(協和界面科学株式会社製)を使用し、樹脂膜をコートした基板上に2μlの純水を滴下し接触角(CA)を測定した。その後、前記樹脂膜がコートされた基板のコートされた表面に500g/cm
2の荷重をかけながら消しゴムにて500往復の摩耗試験を行った後、往復摩耗試験後の接触角(CA1)を測定した。このような方法で得られたCA1及びCA2の値を下記の式1に代入し、接触角の差(ΔCA)を計算した。
【0153】
[式1]
ΔCA=|CA2−CA1|
【0154】
(マジック拭き取り評価)
樹脂膜をコートした基板の表面(すなわち、樹脂膜の表面)にマジックペンにて約3cm線を描き、1分間放置した。その後、キムワイプにて円を描くように拭き取った。マジックペンは、ZEBRA社製マッキー黒の細を使用し、キムワイプは、日本製紙クレシア社製のキムワイプワイパーS−200を使用した。その後、目視にて拭き残りの有無を確認した。拭き残りなしの場合を「O」と表示し、拭き残りありの場合を「X」と表示した。
【0155】
(指紋付着性及び拭き取り評価)
樹脂膜をコートした基板の表面(すなわち、樹脂膜の表面)に指先の指紋を約200g荷重になるように押しつけた。その後、キムワイプにて円を20回描くように拭き取った。キムワイプは、日本製紙クレシア社製のキムワイプワイパーS−200を使用した。その後、指紋の有無を目視で確認した。その後、目視にて拭き残りの有無を確認した。拭き残りなしの場合を「O」と表示し、拭き残りありの場合を「X」と表示した。
【0156】
評価結果を表2に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
なお、実施例1〜16の樹脂膜では、凹凸形状がなだらかであることが確認された。すなわち、上述した角度が形状測定マイクロスコープの観察視野全域で約±30度以下であった。
【0159】
実施例と比較例とを比較すると、比較例は、一部の比較例を除き、そもそも海島構造が確認されなかった。さらに、実施例は、初期特性のみならず、消しゴム擦り試験後の特性も良好な結果が得られた。一方、比較例では、接触角の初期特性は良好であるものの、消しゴム擦り試験後の結果は良好でなかった。したがって、少なくとも光重合性フッ素ポリマーを添加剤とし、光重合性フッ素ポリマー等と反発するバインダ用モノマーを用いてバインダ樹脂を形成し、かつ、各材料の含有率を上述した範囲とすることで、良好な特性が得られることがわかった。また、実施例を見ると、中空シリカ粒子と中実シリカ粒子との含有比を制御することで、海島構造の高低差を制御できることもわかった。
【0160】
以上により、本実施形態によれば、樹脂膜10は、低屈折率層10aの表面に分布した中空シリカ粒子20a及び中実シリカ粒子20bに結合し、かつ、バインダ樹脂30と反発する添加剤40を備える。したがって、添加剤40がバインダ樹脂30による反発力により効果的にブリードアウトするので、樹脂膜10は、添加剤40を低屈折率層10aの表面に偏在させることができる。これにより、本実施形態では、樹脂膜10の防汚性、滑り性、耐擦傷性、及び膜強度を向上させることができる。
【0161】
さらに、本実施形態では、低屈折率層10aの表面に海島構造が形成されるので、この海島構造によって樹脂膜10の表面と他の物体との摩擦力を低減させることができ、ひいては、樹脂膜10の防汚性、滑り性、及び耐擦傷性を向上させることができる。さらに、中空シリカ粒子20aと中実シリカ粒子20bとの含有比を制御することで、海島構造の高低差を制御できる。
【0162】
さらに、本実施形態では、各材料の含有率を所定範囲内の値としているので、低屈折率層に高低差が約10nm〜約65nmとなる凹部及び凸部をより確実に形成することができる。
【0163】
さらに、バインダ樹脂30は、水素結合形成基を有するので、添加剤40を効果的にブリードアウトさせることができる。
【0164】
また、バインダ樹脂30は、水素結合形成基として水酸基を有するので、添加剤40を効果的にブリードアウトさせることができる。
【0165】
さらに、熱重合性フッ素ポリマー42の重量平均分子量は、光重合性フッ素ポリマー41の重量平均分子量よりも大きい。したがって、添加剤40は、効果的にブリードアウトすることができる。また、光重合性フッ素ポリマー41が相溶化剤として機能するので、添加剤40の溶媒への溶解性が向上する。
【0166】
さらに、熱重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は約10000以上であり、光重合性フッ素ポリマーの重量平均分子量は約10000未満であるので、添加剤40は、効果的にブリードアウトすることができる。また、光重合性フッ素ポリマー41が相溶化剤として機能するので、添加剤40の溶媒への溶解性が向上する。
【0167】
また、樹脂膜10は、各材料が溶解したコート液を塗布し、重合反応を開始させるだけで作成可能であるので、容易に作成される。
【0168】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。