特許第6494955号(P6494955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6494955
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】高周波増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/193 20060101AFI20190325BHJP
   H03F 1/22 20060101ALI20190325BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   H03F3/193
   H03F1/22
   H03F3/68
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-174235(P2014-174235)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-51906(P2016-51906A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】四辻 哲章
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02685630(EP,A1)
【文献】 国際公開第2011/027387(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02037572(EP,A1)
【文献】 国際公開第99/031797(WO,A1)
【文献】 実開平02−047820(JP,U)
【文献】 特表2012−521670(JP,A)
【文献】 特開2006−340266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/22
H03F 3/193
H03F 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子から入力された高周波信号を増幅して高周波増幅信号を生成する第1増幅部と、前記高周波増幅信号をさらに増幅して出力信号を生成し、出力端子から出力する第2増幅部と、が第1電位の供給端と第2電位の供給端との間に直列に接続された高周波増幅回路であって、
自身の動作電流に応じた第1バイアス電圧を生成し前記第1増幅部に前記第1バイアス電圧を供給する第1バイアス部と、
自身の動作電流に応じた第2バイアス電圧を生成し前記第2増幅部に前記第2バイアス電圧を供給する第2バイアス部と、
前記第1電位と前記第2電位との間の中間電位を、前記第1増幅部及び前記第2増幅部の直列接続部に供給する中間電位ラインと、
前記第1バイアス部の動作電流を生成する電流生成部と、
前記中間電位ラインに接続され、前記中間電位と予め設定された直流電圧との電位差に基づいて前記第2バイアス部の動作電流を制御する電流制御部と、
を有し、
前記第1増幅部は、ソース端子に前記第1電位の供給端が接続された第1導電型の第1トランジスタと、前記第1トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第1インダクタと、一端に前記第1バイアス電圧を受け他端が前記第1トランジスタのゲート端子に接続された第1抵抗とを含み、
前記第2増幅部は、ソース端子に前記第2電位の供給端が接続された前記第1導電型とは反対導電型の第2導電型の第2トランジスタと、前記第2トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第2インダクタと、一端に前記第2バイアス電圧を受け他端が前記第2トランジスタのゲート端子に接続された第2抵抗とを含むことを特徴とする高周波増幅回路。
【請求項2】
前記第1増幅部は、直列接続された一対の前記第1導電型のトランジスタと、前記第1インダクタに並列に接続され前記第1インダクタとともに第1並列共振回路を構成する第1コンデンサとを含み、
前記第2増幅部は、直列接続された一対の前記第2導電型のトランジスタと、前記第2インダクタに並列に接続され前記第2インダクタとともに第2並列共振回路を構成する第2コンデンサとを含むことを特徴とする請求項1に記載の高周波増幅回路。
【請求項3】
前記第1バイアス部は、ソース端子に前記第1電位が供給される前記第1導電型のトランジスタを含み、
前記第2バイアス部は、ソース端子に前記第2電位が供給される前記第2導電型のトランジスタを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波増幅回路。
【請求項4】
前記電流制御部は、前記中間電位ラインに接続された反転入力端子と前記直流電圧の印加を受ける非反転入力端子とを有する演算増幅器を含み、前記中間電位と前記直流電圧との電位差に応じて、前記第2バイアス部の動作電流を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の高周波増幅回路。
【請求項5】
入力端子から入力された高周波信号を増幅して高周波増幅信号を生成する第1増幅部と、前記高周波増幅信号をさらに増幅して出力信号を生成し、出力端子から出力する第2増幅部と、が第1電位の供給端と第2電位の供給端との間に直列に接続された高周波増幅回路であって、
自身の動作電流に応じた第1バイアス電圧を生成し前記第1増幅部に前記第1バイアス電圧を供給する第1バイアス部と、
自身の動作電流に応じた第2バイアス電圧を生成し前記第2増幅部に前記第2バイアス電圧を供給する第2バイアス部と、
前記第1電位と前記第2電位との間の中間電位を、前記第1増幅部及び前記第2増幅部の直列接続部に供給する中間電位ラインと、
前記中間電位ラインに接続され、前記中間電位と予め設定された直流電圧との電位差に基づいて前記第1バイアス部の動作電流を制御する電流制御部と、
前記第2バイアス部の動作電流を生成する電流生成部と、
を有し、
前記第1増幅部は、ソース端子に前記第1電位の供給端が接続された第1導電型の第1トランジスタと、前記第1トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第1インダクタと、一端に前記第1バイアス電圧を受け他端が前記第1トランジスタのゲート端子に接続された第1抵抗とを含み、
前記第2増幅部は、ソース端子に前記第2電位の供給端が接続された前記第1導電型とは反対導電型の第2導電型の第2トランジスタと、前記第2トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第2インダクタと、一端に前記第2バイアス電圧を受け他端が前記第2トランジスタのゲート端子に接続された第2抵抗とを含むことを特徴とする高周波増幅回路。
【請求項6】
前記第1増幅部は、直列接続された一対の前記第1導電型のトランジスタと、前記第1インダクタに並列に接続され前記第1インダクタとともに第1並列共振回路を構成する第1コンデンサとを含み、
前記第2増幅部は、直列接続された一対の前記第2導電型のトランジスタと、前記第2インダクタに並列に接続され前記第2インダクタとともに第2並列共振回路を構成する第2コンデンサとを含むことを特徴とする請求項5に記載の高周波増幅回路。
【請求項7】
前記第1バイアス部は、ソース端子に前記第1電位が供給される前記第1導電型のトランジスタを含み、
前記第2バイアス部は、ソース端子に前記第2電位が供給される前記第2導電型のトランジスタを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の高周波増幅回路。
【請求項8】
前記電流制御部は、前記中間電位ラインに接続された反転入力端子と前記直流電圧の印加を受ける非反転入力端子とを有する演算増幅器を含み、前記中間電位と前記直流電圧との電位差に応じて、前記第1バイアス部の動作電流を制御することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1に記載の高周波増幅回路。
【請求項9】
前記中間電位ラインに接続され、前記第1増幅部を流れる電流と前記第2増幅部を流れる電流との電流差に応じた調整電流を生成する電流調整部をさらに有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の高周波増幅回路。
【請求項10】
前記電流調整部は、前記第1導電型のトランジスタを含み、前記第1増幅部を流れる電流と前記調整電流との和が前記第2増幅部を流れる電流と等しくなるよう前記調整電流を生成することを特徴とする請求項9に記載の高周波増幅回路。
【請求項11】
前記電流調整部は、前記第2導電型のトランジスタを含み、前記第2増幅部を流れる電流と前記調整電流との和が前記第1増幅部を流れる電流と等しくなるよう前記調整電流を生成することを特徴とする請求項9に記載の高周波増幅回路。
【請求項12】
前記第1増幅部は、直列接続された一対の前記第1導電型のトランジスタからなるトランジスタ対が並列に複数接続された第1のトランジスタ群を含み、
前記第2増幅部は、直列接続された一対の前記第2導電型のトランジスタからなるトランジスタ対が並列に複数接続された第2のトランジスタ群を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1に記載の高周波増幅回路。
【請求項13】
前記第1電位は接地電位であり、
前記第1導電型はN型であり、
前記第2電位は電源電位であり、
前記第2導電型はP型であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1に記載の高周波増幅回路。
【請求項14】
前記第1電位は電源電位であり、
前記第1導電型はP型であり、 前記第2電位は接地電位であり、
前記第2導電型はN型であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1に記載の高周波増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信等に用いられる受信機の高周波増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信等に用いられる受信機においては、電池の寿命を保つため、高周波増幅回路の省電力化が要求される。かかる高周波増幅回路として、2つのトランジスタをカスコード接続した2段増幅回路が提案されている(例えば、特許文献1)。2段増幅回路では、2段目のトランジスタに流れた電流を1段目で再利用するため、回路全体としての電力消費量を低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような受信機において、アンテナから入力された信号は高周波増幅回路で増幅され、周波数変換回路に供給される。周波数変換回路は、高周波増幅回路から供給された信号を、局部発振回路から供給されたローカル信号と混合して中間周波数に変換し、復調処理部に供給する。その際、局部発振回路から周波数変換回路に印加されたローカル信号の一部が、復調処理部の方向ではなく高周波増幅回路からアンテナに向かう方向、すなわち逆方向に流れる現象が生じる。このような逆方向に流れる信号がアンテナまで達すると、不要輻射が生じて電波障害の原因となるため、可能な限り高周波増幅回路において遮断する必要がある。
【0005】
このような逆方向に流れる信号を遮断する特性(逆方向アイソレーション)を向上させるためには、複数のトランジスタをカスコード構成等により接続し、出力から入力への寄生容量を小さくすることが好ましい。しかし、カスコード構成等により接続されるトランジスタの数を多くすると、電源電圧を高く設定しなければならないため、電力消費量が増加してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高周波増幅回路は、入力端子から入力された高周波信号を増幅して高周波増幅信号を生成する第1増幅部と、前記高周波増幅信号をさらに増幅して出力信号を生成し、出力端子から出力する第2増幅部と、が第1電位の供給端と第2電位の供給端との間に直列に接続された高周波増幅回路であって、自身の動作電流に応じた第1バイアス電圧を生成し前記第1増幅部に前記第1バイアス電圧を供給する第1バイアス部と、自身の動作電流に応じた第2バイアス電圧を生成し前記第2増幅部に前記第2バイアス電圧を供給する第2バイアス部と、前記第1電位と前記第2電位との間の中間電位を、前記第1増幅部及び前記第2増幅部の直列接続部に供給する中間電位ラインと、前記第1バイアス部の動作電流を生成する電流生成部と、前記中間電位ラインに接続され、前記中間電位と予め設定された直流電圧との電位差に基づいて前記第2バイアス部の動作電流を制御する電流制御部と、を有し、前記第1増幅部は、ソース端子に前記第1電位の供給端が接続された第1導電型の第1トランジスタと、前記第1トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第1インダクタと、一端に前記第1バイアス電圧を受け他端が前記第1トランジスタのゲート端子に接続された第1抵抗とを含み、前記第2増幅部は、ソース端子に前記第2電位の供給端が接続された前記第1導電型とは反対導電型の第2導電型の第2トランジスタと、前記第2トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第2インダクタと、一端に前記第2バイアス電圧を受け他端が前記第2トランジスタのゲート端子に接続された第2抵抗とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る高周波増幅回路は、入力端子から入力された高周波信号を増幅して高周波増幅信号を生成する第1増幅部と、前記高周波増幅信号をさらに増幅して出力信号を生成し、出力端子から出力する第2増幅部と、が第1電位の供給端と第2電位の供給端との間に直列に接続された高周波増幅回路であって、自身の動作電流に応じた第1バイアス電圧を生成し前記第1増幅部に前記第1バイアス電圧を供給する第1バイアス部と、自身の動作電流に応じた第2バイアス電圧を生成し前記第2増幅部に前記第2バイアス電圧を供給する第2バイアス部と、前記第1電位と前記第2電位との間の中間電位を、前記第1増幅部及び前記第2増幅部の直列接続部に供給する中間電位ラインと、前記中間電位ラインに接続され、前記中間電位と予め設定された直流電圧との電位差に基づいて前記第1バイアス部の動作電流を制御する電流制御部と、前記第2バイアス部の動作電流を生成する電流生成部と、を有し、前記第1増幅部は、ソース端子に前記第1電位の供給端が接続された第1導電型の第1トランジスタと、前記第1トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第1インダクタと、一端に前記第1バイアス電圧を受け他端が前記第1トランジスタのゲート端子に接続された第1抵抗とを含み、前記第2増幅部は、ソース端子に前記第2電位の供給端が接続された前記第1導電型とは反対導電型の第2導電型の第2トランジスタと、前記第2トランジスタのドレイン端子と前記中間電位ラインとの間に接続された第2インダクタと、一端に前記第2バイアス電圧を受け他端が前記第2トランジスタのゲート端子に接続された第2抵抗とを含むことを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、逆方向(入力方向)に流れる信号の遮断特性を向上させ、電源電圧を低くして省電力化が可能な高周波増幅回路を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る高周波増幅回路を含む受信機の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1における高周波増幅回路の構成を示す回路図である。
図3】本発明の実施例1における高周波増幅回路の他の構成を示す回路図である。
図4】本発明の実施例2における高周波増幅回路の構成を示す回路図である。
図5】本発明の実施例2における高周波増幅回路の他の構成を示す回路図である。
図6】本発明の実施例2における高周波増幅回路の他の構成を示す回路図である。
図7】本発明の実施例2における高周波増幅回路の他の構成を示す回路図である。
図8】本発明の実施例3における高周波増幅回路の構成を示す回路図である。
図9図8の回路図におけるコア部及び電流調整部を詳細に示す回路図である。
図10】本発明の実施例3における高周波増幅回路の他の構成を示す回路図である。
図11図10の回路図におけるコア部及び電流調整部を詳細に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係る高周波増幅回路10を用いた受信機11の構成を示すブロック図である。高周波増幅回路10は、アンテナ12から入力された高周波信号を増幅して、混合器13に供給する。混合器13は、高周波増幅回路10から供給された信号を、局部発振回路14から供給されたローカル信号と混合して中間周波数に変換して得られた中間周波信号を、復調処理部15に供給する。復調処理部15は、中間周波信号に対して所定の復調処理を施すことにより情報データ信号を得る。
【0012】
図2は、本発明の実施例1による高周波増幅回路10の構成を示す回路図である。入力端子INは、入力信号の直流成分をカットするコンデンサC0の一端に接続されている。コンデンサC0の他端は、抵抗R1の一端及びNチャネル(第1導電型)MOS(metal-oxide-semiconductor)トランジスタ(以下、NMOSトランジスタと称する)Q1のゲート端子に接続されている。NMOSトランジスタQ1のソース端子は接地され、接地電位(第1電位)が供給される。NMOSトランジスタQ1のドレイン端子はNMOSトランジスタQ2のソース端子に接続されている。
【0013】
NMOSトランジスタQ2のゲート端子は、抵抗R2の一端に接続されている。NMOSトランジスタQ2のドレイン端子は、第1並列共振回路PR1を構成するインダクタL1及びコンデンサC1の各々の一端に接続されている。
【0014】
インダクタL1及びコンデンサC1の各々の一端は、コンデンサC3の一端に接続されている。また、インダクタL1及びコンデンサC1の各々の他端は、中間電位ラインLCEに接続されている。
【0015】
NMOSトランジスタQ1、NMOSトランジスタQ2、抵抗R1、抵抗R2、コンデンサC0及び第1並列共振回路PR1(L1、C1)は、1段目の増幅部である第1増幅部A1を構成している。
【0016】
NMOSトランジスタQ3のソース端子は接地され、ドレイン端子はNMOSトランジスタQ4のソース端子に接続され、ゲート端子はNMOSトランジスタQ4のドレイン端子、抵抗R3の一端及び抵抗R1の他端に接続されている。NMOSトランジスタQ4のゲート端子はPチャネル(第2導電型)MOSトランジスタ(以下、PMOSトランジスタと称する)Q5のドレイン端子、抵抗R3の他端及び抵抗R2の他端に接続されている。NMOSトランジスタQ3、NMOSトランジスタQ4及び抵抗R3は、第1バイアス部B1を構成している。
【0017】
PMOSトランジスタQ5のソース端子には電源電位(第2電位)Vddが供給され、ゲート端子はPMOSトランジスタQ6のゲート端子に接続されている。PMOSトランジスタQ6のソース端子には電源電位Vddが供給され、ゲート端子及びドレイン端子は電流源IBに接続されている。PMOSトランジスタQ5及びQ6は、カレントミラー回路CMNを構成している。
【0018】
PMOSトランジスタQ7のソース端子には電源電位Vddが供給され、ドレイン端子はPMOSトランジスタQ8のソース端子に接続されている。PMOSトランジスタQ7のゲート端子は、抵抗R4の一端及びコンデンサC3の他端に接続されている。
【0019】
PMOSトランジスタQ8のゲート端子は抵抗R5の一端に接続され、ドレイン端子は、出力ラインLTを介してインダクタL2及びコンデンサC2の各々の一端に接続されている。出力ラインLTには、出力端子OUTが接続されている。
【0020】
インダクタL2及びコンデンサC2は並列接続され、第2並列共振回路PR2を構成している。インダクタL2及びコンデンサC2の各々の他端は、中間電位ラインLCEに接続されている。
【0021】
PMOSトランジスタQ7、PMOSトランジスタQ8、抵抗R4、抵抗R5、コンデンサC3及び第2並列共振回路PR2(L2、C2)は、2段目の増幅部である第2増幅部A2を構成している。
【0022】
PMOSトランジスタQ9のソース端子には電源電位Vddが供給され、ドレイン端子はPMOSトランジスタQ10のソース端子に接続され、ゲート端子はPMOSトランジスタQ10のドレイン端子、抵抗R6の一端及び抵抗R4の他端に接続されている。PMOSトランジスタQ10のゲート端子は、NMOSトランジスタQ0のドレイン端子、抵抗R6の他端及び抵抗R5の他端に接続されている。PMOSトランジスタQ9、Q10及び抵抗R6は、第2バイアス部B2を構成している。
【0023】
NMOSトランジスタQ0のソース端子は接地され、ゲート端子は演算増幅器AOの出力端子に接続されている。
【0024】
演算増幅器AOの非反転入力端子には、中間電位Vdmとして設定する直流電圧、例えばVdd/2が印加される。演算増幅器AOの反転入力端子は中間電位ラインLCEに接続されている。中間電位ラインLCEには、コンデンサC4の一端が接続されている。コンデンサC4の他端は接地されている。
【0025】
NMOSトランジスタQ0及び演算増幅器AOは、第2バイアス部B2の動作電流を制御する電流制御部CCを構成している。
【0026】
上記構成を有する高周波増幅回路10においては、直流動作点に応じて第1増幅部A1と第2増幅部A2の小信号利得が定まる。以下、高周波増幅回路10の直流動作について説明する。なお、以下の説明では、第1増幅部A1、第1バイアス部B1、カレントミラー回路CMN及び電流源IBを1段目、第2増幅部A2、第2バイアス部B2及び電流制御部CCを2段目として説明する。
【0027】
[1段目]
まず、電流源IBにより、PMOSトランジスタQ6に電流Ibが流れると、カレントミラー回路CMNにより、電流Ibを等倍又は所定の比率で増大させた電流In1が、抵抗R3、NMOSトランジスタQ4及びQ3に流れる。
【0028】
各トランジスタのゲート直流電圧は、ドレイン電流によって定まる。したがって、NMOSトランジスタQ3及びQ4のゲート直流電圧は、電流In1によって定まる。
【0029】
NMOSトランジスタQ3のゲート直流電圧は、抵抗R1を経由してNMOSトランジスタQ1にバイアス電圧として印加される。同様に、NMOSトランジスタQ4のゲート直流電圧は、抵抗R2を経由してNMOSトランジスタQ2にバイアス電圧として印加される。
【0030】
NMOSトランジスタQ1及びQ2のドレイン電流In2は、それぞれのゲート端子に印加されるバイアス電圧によって定まる。
【0031】
[2段目]
第2バイアス部B2のPMOSトランジスタQ9、Q10及びR6には、演算増幅器AOから供給されたゲート電圧Vcpに対応した電流Ip1が流れる。この際、ゲート電圧Vcpは、中間電位ラインLCEの電位と、中間電位Vdmとの電位差に対応した電圧である。すなわち、電流制御部CCは、中間電位ラインLCEの電位と、中間電位Vdmとして設定する直流電圧の電位差に基づいて第2バイアス部B2の動作電流Ip1を制御する。
【0032】
PMOSトランジスタQ9及びQ10のゲート直流電圧は、電流Ip1によって定まる。PMOSトランジスタQ9のゲート直流電圧は、抵抗R4を経由してPMOSトランジスタQ7にバイアス電圧として印加される。同様に、PMOSトランジスタQ10のゲート直流電圧は、抵抗R5を経由してPMOSトランジスタQ8にバイアス電圧として印加される。
【0033】
PMOSトランジスタQ7及びQ8のドレイン電流Ip2は、それぞれのゲート端子に印加されるバイアス電圧によって定まる。
【0034】
なお、電流Ip2は、電源電位Vddから、PMOSトランジスタQ7、Q8、インダクタL2及び中間電位ラインLCEを通って、1段目のインダクタL1、NMOSトランジスタQ2及びQ1に流れこむ。この際、Q1及びQ2の電流はIn2であったため、Ip2はIn2と等しくなる。かかる電流Ip2が流れることにより、中間電位ラインLCEの電位は、この電流Ip2に対応した電位となる。なお、電流Ip2は、演算増幅器AOから供給されたゲート電圧Vcp、つまり中間電位ラインLCEの電位と中間電位Vdmとの電位差に対応したものである。この際、電流制御部CC、第2バイアス部B2、第2増幅部A2及び中間電位ラインLCEからなるループにて、演算増幅器AOは、中間電位ラインLCEの電位が中間電位Vdmと等しくなるような電圧値を有するゲート電圧Vcpを生成する。これにより、中間電位ラインLCEは、強制的に中間電位Vdmと等しい電位に設定される。なお、本実施例では、中間電位VdmとしてVdd/2が設定され、第2増幅部A2を流れる電流Ip2は、第1増幅部A1を流れる電流In2と等しくなる。
【0035】
以上により、高周波増幅回路10の直流動作点が定まる。この直流動作点に応じて、高周波増幅回路10の第1増幅部A1の相互コンダクタンスgmnと第2増幅部A2の相互コンダクタンスgmpが定まる。インダクタL1とコンデンサC1からなる第1並列共振回路PR1の共振負荷をZ1、インダクタL2とコンデンサC2からなる第2並列共振回路PR2の共振負荷をZ2とすると、第1増幅部A1の小信号利得はgmn・Z1、第2増幅部A2の小信号利得はgmp・Z2となる。なお、インダクタL1のインダクタンス(L1)、コンデンサC1の容量(C1)、インダクタL2のインダクタンス(L2)及びコンデンサC2の容量(C2)は、増幅させたい周波数fsに対して、次式を満たすように定める。
【0036】
【数1】
【0037】
第1増幅部A1は、入力端子INからコンデンサC0を経由してNMOSトランジスタQ1のゲート端子に入力された高周波信号をgmn・Z1倍に増幅して高周波増幅信号を生成し、コンデンサC3を経由して第2増幅部A2に供給する。第2増幅部A2は、この高周波増幅信号をさらにgmp・Z2倍に増幅して出力信号を生成し、出力端子OUTから出力する。
【0038】
本発明の高周波増幅回路10は、2つのトランジスタがカスコード接続された第1増幅部A1及び2つのトランジスタがカスコード接続された第2増幅部A2をカスコード接続して構成されているため、出力端子OUTから入力端子INに到る経路における寄生容量が小さい。したがって、出力端子OUTから入力端子INに向かって流れる信号を遮断する特性、すなわち逆方向アイソレーションの特性が高い。
【0039】
また、本発明の高周波増幅回路10では、第1増幅部A1及び第1バイアス部B1をNMOSトランジスタによって構成する一方、第2増幅部A2及び第2バイアス部B2をPMOSトランジスタによって構成している。さらに、高周波増幅回路10では、第2増幅部A2に流れる電流を第1増幅部A1で再利用させるため、つまり第1増幅部A1に流れる電流In2と、第2増幅部A2に流れる電流Ip2とを等しくするために、中間電位ラインLCEの電位を任意の電位に設定できるようにしている。すなわち、演算増幅器AOの非反転入力端子に中間電位Vdm(例えば、Vddの1/2)を供給することにより、中間電位ラインLCEの電位を、この中間電位Vdmと等しい電位に設定できるのである。
【0040】
このような構成を有する高周波増幅回路10において、第1増幅部A1には接地電位と中間電位Vdmとが供給される。また、第2増幅部A2には電源電位Vddと中間電位Vdmとが供給される。
【0041】
上記構成によれば、第1バイアス部B1は一端に電源電位が印加され他端に接地電位が印加される第1の電流経路(Q5、R3、Q4、Q3)に接続され、第2バイアス部B2は一端に電源電位が印加され他端に接地電位が印加される第1の電流経路とは別の第2の電流経路(Q9、Q10、R6、Q0)に接続され、夫々バイアス電圧を生成して第1増幅部A1及び第2増幅部A2を動作させる。このため、2つのバイアス部が同一の電流経路に接続されてバイアス電圧を生成する場合と比べて、動作に必要な電源電位Vddを低く抑えることができる。
【0042】
この際、電源電位Vddとして最低限必要となる値は、
【0043】
【数2】
Vdsn:Q1のドレイン・ソース間電圧
Vgsnc:Q2のゲート・ソース間電圧
Vpi:Q5のソース・ドレイン間電圧
Vdsp:Q7のソース・ドレイン間電圧
Vgspc:Q8のソース・ゲート間電圧
Vni:Q0のソース・ドレイン間電圧
となる。
【0044】
一般的に、カスコード接続等により複数のトランジスタが接続された構成においては、増幅部によって電圧降下が生じるトランジスタの段数と同じ段数分だけ電源電位を電圧降下させてバイアス電圧を生成する必要がある。これに対し、上記のように、本発明の高周波増幅回路10では、第1増幅部A1及び第2増幅部A2のカスコード接続による電圧降下分がMOSトランジスタ(Q1、Q2、Q7、Q8)の4段分あるものの、電源電位Vddの値としては、MOSトランジスタ3段分の電圧降下分で良いことになる。
【0045】
すなわち、本発明では、第1増幅部A1及び第1バイアス部B1と、第2増幅部A2及び第2バイアス部B2とを、反対導電型のトランジスタ(NMOSトランジスタとPMOSトランジスタ)によって構成している。これにより、異なる電流経路でバイアス電圧を生成することが可能であるため、電源電位Vddの値を増幅部における電圧降下よりも低い値とすることができ、MOSトランジスタ4段分の電圧降下分の電源電位が必要となる従来の高周波増幅回路に比して、電源電位Vddを低い値に設定することが可能となる。よって、高周波増幅回路10においては、第2増幅部A2に流れる電流を第1増幅部A1で再利用できるとともに、電源電位を低くすることが可能となるので電力消費を大幅に抑えることが可能となる。
【0046】
なお、上記構成とは異なり、例えば図3に示すように、電流源IB及びカレントミラー回路CMNを2段目に設け、電流制御部CCを1段目に設けた構成も可能である。図3に示す高周波増幅回路10において、まず、電流源IBによってNMOSトランジスタQ6に電流Ibが流れると、カレントミラー回路CMNにより、電流Ibを等倍又は所定の比率で増大させた電流Ip1が、PMOSトランジスタQ9、Q10及び抵抗R6に流れる。この電流Ip1によって、PMOSトランジスタQ9及びQ10のゲート直流電圧が定まる。
【0047】
PMOSトランジスタQ9のゲート直流電圧は、抵抗R4を経由してPMOSトランジスタQ7にバイアス電圧として印加される。同様に、PMOSトランジスタQ10のゲート直流電圧は、抵抗R5を経由してPMOSトランジスタQ8にバイアス電圧として印加される。PMOSトランジスタQ7及びQ8のドレイン電流Ip2は、ゲートに印加されるバイアス電圧によって定まる。
【0048】
第1バイアス部B1の抵抗R3、NMOSトランジスタQ4及びQ3には、演算増幅器AOから供給されたゲート電圧Vcpに対応した電流In1が流れる。この際、ゲート電圧Vcpは、中間電位ラインLCEの電位と中間電位Vdmとの電位差に対応した電圧である。すなわち、電流制御部CCは、中間電位ラインLCEの電位と、中間電位Vdmとして設定する直流電圧の電位差に基づいて第1バイアス部B1の動作電流In1を制御する。
【0049】
NMOSトランジスタQ4及びQ3のゲート直流電圧は、電流In1によって定まる。NMOSトランジスタQ3のゲート直流電圧は、抵抗R1を経由してNMOSトランジスタQ1にバイアス電圧として印加される。NMOSトランジスタQ4のゲート直流電圧は、抵抗R2を経由してNMOSトランジスタQ2にバイアス電圧として印加される。NMOSトランジスタQ1及びQ2のドレイン電流In2は、それぞれのゲート端子に印加されるバイアス電圧によって定まる。以上により、直流動作点が定まる。
【0050】
図3に示す高周波増幅回路10においては、カスコード接続された2つのトランジスタからなる第1増幅部A1と第2増幅部A2とがカスコード接続されて構成されているため、出力端子OUTから入力端子INに到る経路における寄生容量が小さく、逆方向アイソレーションの特性が高い。また、第2増幅部A2に流れる電流を第1増幅部A1で再利用することができ、図2に示す回路と同様、第1バイアス部B1及び第2バイアス部B2を、夫々両端に電源電位Vddと接地電位とが供給される別々の電流経路に接続して動作させることで、電源電位Vddを低く抑えることが可能である。したがって、電力消費を大幅に抑えることが可能となる。
【実施例2】
【0051】
図4は、本発明の実施例2に係る高周波増幅回路20の構成を示す図である。高周波増幅回路20は、電流調整部DPを有する点で実施例1の高周波増幅回路10と異なり、その他の各部については実施例1の高周波増幅回路10と同様の構成を有している。
【0052】
電流調整部DPは、PMOSトランジスタQa及びQbから構成されている。PMOSトランジスタQaのソース端子には電源電位Vddが供給され、ドレイン端子はPMOSトランジスタQbのソース端子に接続され、ゲート端子はPMOSトランジスタQ9のゲート端子に接続されている。PMOSトランジスタQbのドレイン端子は中間電位ラインLCEに接続され、ゲート端子はPMOSトランジスタQ10のゲート端子に接続されている。
【0053】
PMOSトランジスタQ9のゲート直流電圧は、PMOSトランジスタQaのゲートにバイアス電圧として印加される。PMOSトランジスタQ10のゲート直流電圧は、PMOSトランジスタQbのゲートにバイアス電圧として印加される。PMOSトランジスタQa及びQbのゲートに印加されるバイアス電圧により、電流調整部DPを流れる電流Idpaが定まる。
【0054】
第2増幅部A2を流れる電流Ip2と電流調整部DPを流れる電流Idpaは、第1増幅部A1に流れ込む。したがって、第1増幅部A1を流れる電流In2は、In2=Ip2+Idpaとなる。
【0055】
上記構成によれば、第1増幅部A1の動作電流と第2増幅部A2の動作電流とを別々に設定することができる。また、直流動作点を別々に設定できるため、第1増幅部A1の小信号利得と第2増幅部A2の小信号利得とを独立に設定することができる。すなわち、自由度の高い小信号利得の設計が可能となる。
【0056】
なお、図5に示すように、1段目に電流制御部CC、2段目に電流源IB及びカレントミラー回路CMNが設けられた構成(図3の構成)に、電流調整部DPを付加した構成も可能である。当該構成において、第1増幅部A1を流れる電流In2は、In2=Ip2+Idpaとなる。したがって、第1増幅部A1の動作電流と第2増幅部A2の動作電流とを別々に設定することができる。また、直流動作点を別々に設定できるため、第1増幅部A1の小信号利得と第2増幅部A2の小信号利得とを独立に設定することができる。
【0057】
また、図4の構成とは異なり、図6に示すように、1段目に電流調整部DNを設けた構成も可能である。電流調整部DNは、NMOSトランジスタQc及びQdから構成されている。NMOSトランジスタQcのドレイン端子は中間電位ラインLCEに接続され、ソース端子はNMOSトランジスタQdのドレイン端子に接続され、ゲート端子はNMOSトランジスタQ4のゲート端子に接続されている。NMOSトランジスタQdのソース端子は接地され、ゲート端子はNMOSトランジスタQ3のゲート端子に接続されている。
【0058】
NMOSトランジスタQ3のゲート直流電圧は、NMOSトランジスタQdのゲートにバイアス電圧として印加される。NMOSトランジスタQ4のゲート直流電圧は、NMOSトランジスタQcのゲートにバイアス電圧として印加される。NMOSトランジスタQc及びQdのゲートに印加されるバイアス電圧により、電流調整部DNを流れる電流Idnaが定まる。
【0059】
第2増幅部A2を流れる電流Ip2は、第1増幅部A1及び電流調整部DNに流れ込む。したがって、第2増幅部A2を流れる電流Ip2は、Ip2=In2+Idnaとなり、第1増幅部A1の動作電流と第2増幅部A2の動作電流とを別々に設定することができる。また、直流動作点を別々に設定できるため、第1増幅部A1の小信号利得と第2増幅部A2の小信号利得とを独立に設定することができる。
【0060】
なお、図7に示すように、1段目に電流制御部CC、2段目に電流源IB及びカレントミラー回路CMNが設けられた構成(図3の構成)に、電流調整部DNを付加した構成も可能である。当該構成においても、図6に示す構成と同様、第2増幅部A2を流れる電流Ip2は、Ip2=In2+Idnaとなる。
【0061】
図4図7のいずれの構成によっても、電流調整部DN又はDPを設けることにより、第1増幅部A1を流れる電流In2と第2増幅部A2を流れる電流Ip2との差を調整電流によって調整することができる。したがって、1段目に流れる電流2段目に流れる電流を等しくして、電流の再利用を図ることができるため、回路全体としての電力消費量を低く抑えることが可能となる。
【0062】
また、上記構成によれば、第1増幅部A1の動作電流と第2増幅部A2の動作電流とを別々に設定することができるため、直流動作点を別々に設定することができる。したがって、自由度の高い小信号利得の設計が可能となる。
【実施例3】
【0063】
図8は、本発明の実施例3における高周波増幅回路30の構成を示す図である。高周波増幅回路30は、1段目の電流調整部DNと2段目の電流調整部DPの両方を有する点で、図4及び図6の高周波増幅回路20と異なる。
【0064】
第2増幅部A2を流れる電流Ip2と電流調整部DPを流れる電流Idpaは、第1増幅部A1及び電流調整部DNに流れ込む。したがって、第1増幅部A1を流れる電流In2及び電流調整部DNを流れる電流Idnaと、第2増幅部A2を流れる電流Ip2及び電流調整部DPを流れる電流Idpaとの関係は、In2+Idna=Ip2+Idpaとなる。
【0065】
このような構成によれば、第1増幅部A1を流れる電流In2が第2増幅部A2を流れる電流Ip2よりも大きい場合と、第2増幅部A2を流れる電流Ip2が第1増幅部A1を流れる電流In2よりも大きい場合と、いずれの場合においても電流の調整を行うことができる。したがって、状況に応じて柔軟に電流の調整を行い、電流の再利用による電力消費の低減を図ることが可能となる。
【0066】
また、本実施例の高周波増幅回路30において、NMOSトランジスタQ1及びQ2にさらに複数のトランジスタ対を並列接続して第1増幅部A1を構成し、PMOSトランジスタQ7及びQ8にさらに複数のトランジスタ対を並列接続して第2増幅部A2を構成することが可能である。また、NMOSトランジスタQc及びQdにさらに複数のトランジスタ対を並列接続して1段目の電流調整部DNを構成し、PMOSトランジスタQa及びQbにさらに複数のトランジスタ対を並列接続して2段目の電流調整部DPを構成することが可能である。
【0067】
図9は、第1増幅部A1、第2増幅部A2、電流調整部DN及び電流調整部DPの夫々において、複数のカスコード接続されたトランジスタ対が並列接続された高周波増幅回路30を示す図である。
【0068】
第1増幅部A1は、カスコード接続された一対のNMOSトランジスタと抵抗とスイッチからなるn個のユニットU1〜Unが、NMOSトランジスタQ1及びQ2に並列接続された構成を有する。ユニットU1は、NMOSトランジスタQ11、Q12、抵抗R11、スイッチS11及びS12を含む。ユニットUnは、NMOSトランジスタQn1、Qn2、抵抗Rn1、スイッチSn1及びSn2を含む。
【0069】
ユニットU1において、スイッチS11とスイッチS12を、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチS11をオンにし且つスイッチS12をオフにした場合、NMOSトランジスタQ11のゲート端子は抵抗R11を介してNMOSトランジスタQ4のゲート端子に接続される。したがって、NMOSトランジスタQ4のゲート電圧が、バイアス電圧としてNMOSトランジスタQ11に印加される。すなわち、ユニットU1は動作する状態となる。これに対し、スイッチS11をオフにし且つスイッチS12をオンにした場合、NMOSトランジスタQ11のゲート端子は接地され、ユニットU1は動作しない状態となる。
【0070】
同様に、ユニットUnについても、スイッチSn1とスイッチSn2を、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチSn1をオンにし且つスイッチSn2をオフにした場合、NMOSトランジスタQn1のゲート端子は抵抗Rn1を介してNMOSトランジスタQ4のゲート端子に接続され、NMOSトランジスタQ4のゲート電圧が、バイアス電圧としてNMOSトランジスタQn1に印加される。すなわち、ユニットUnは動作する状態となる。これに対し、スイッチSn1をオフにし且つスイッチSn2をオンにした場合、NMOSトランジスタQn1のゲート端子は接地され、ユニットUnは動作しない状態となる。
【0071】
第2増幅部A2は、カスコード接続された一対のPMOSトランジスタと抵抗とスイッチからなるn個のユニットW1〜Wnが、PMOSトランジスタQ7及びQ8に並列接続された構成を有する。ユニットW1は、PMOSトランジスタQ13、Q14、抵抗R14、スイッチS13及びS14を含む。ユニットWnは、PMOSトランジスタQn3、Qn4、抵抗Rn4、スイッチSn3及びSn4を含む。
【0072】
ユニットW1において、スイッチS13とスイッチS14を、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチS13をオンにし且つスイッチS14をオフにした場合、PMOSトランジスタQ14のゲート端子には電源電位Vddが供給される。したがって、ユニットW1は動作しない状態となる。これに対し、スイッチS13をオフにし且つスイッチS14をオンにした場合、PMOSトランジスタQ14のゲート端子は抵抗R14を介してPMOSトランジスタQ10のゲート端子に接続される。したがって、PMOSトランジスタQ10のゲート電圧が、バイアス電圧としてPMOSトランジスタQ14に印加され、ユニットW1は動作する状態となる。
【0073】
同様に、ユニットWnについても、スイッチSn3とスイッチSn4を、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチSn3をオンにし且つスイッチSn4をオフにした場合、PMOSトランジスタQn4のゲート端子には電源電位Vddが供給され、ユニットWnは動作しない状態となる。これに対し、スイッチSn3をオフにし且つスイッチSn4をオンにした場合、PMOSトランジスタQn4のゲート端子は抵抗Rn4を介してPMOSトランジスタQ10のゲート端子に接続される。したがって、PMOSトランジスタQ10のゲート電圧が、バイアス電圧としてPMOSトランジスタQn4に印加され、ユニットWnは動作する状態となる。
【0074】
1段目の電流調整部DNは、カスコード接続された一対のNMOSトランジスタと抵抗とスイッチからなるm個のユニットX1〜Xmが並列接続された構成を有する。ユニットX1は、NMOSトランジスタQc1、Qd1、抵抗Rc1、スイッチSc1及びSd1を含む。ユニットXmは、NMOSトランジスタQcm、Qdm、抵抗Rcm、スイッチScm及びSdmを含む。
【0075】
ユニットX1において、スイッチSc1とスイッチSd1を、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチSc1をオンにし且つスイッチSd1をオフにした場合、NMOSトランジスタQc1のゲート端子は抵抗Rc1を介してNMOSトランジスタQ4のゲート端子に接続される。したがって、NMOSトランジスタQ4のゲート電圧が、バイアス電圧としてNMOSトランジスタQc1に印加される。すなわち、ユニットX1は動作する状態となる。これに対し、スイッチSc1をオフにし且つスイッチSd1をオンにした場合、NMOSトランジスタQc1のゲート端子は接地され、ユニットX1は動作しない状態となる。
【0076】
同様に、ユニットXmについても、スイッチScmとスイッチSdmを、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチScmをオンにし且つスイッチSdmをオフにした場合、NMOSトランジスタQcmのゲート端子は抵抗Rcmを介してNMOSトランジスタQ4のゲート端子に接続される。したがって、NMOSトランジスタQ4のゲート電圧が、バイアス電圧としてNMOSトランジスタQcmに印加され、ユニットXmは動作する状態となる。これに対し、スイッチScmをオフにし且つスイッチSdmをオンにした場合、NMOSトランジスタQcmのゲート端子は接地され、ユニットXmは動作しない状態となる。
【0077】
2段目の電流調整部DPは、カスコード接続された一対のPMOSトランジスタと抵抗とスイッチからなるm個のユニットY1〜Ymが並列接続された構成を有する。ユニットY1は、PMOSトランジスタQa1、Qb1、抵抗Rb1、スイッチSa1及びSb1を含む。ユニットYmは、PMOSトランジスタQam、Qbm、抵抗Rbm、スイッチSam及びSbmを含む。
【0078】
ユニットY1において、スイッチSa1とスイッチSb1を、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチSa1をオンにし且つスイッチSb1をオフにした場合、PMOSトランジスタQb1のゲート端子には電源電位Vddが供給される。したがって、ユニットY1は動作しない状態となる。これに対し、スイッチSa1をオフにし且つスイッチSb1をオンにした場合、PMOSトランジスタQb1のゲート端子は抵抗Rb1を介してPMOSトランジスタQ10のゲート端子に接続される。したがって、PMOSトランジスタQ10のゲート電圧が、バイアス電圧としてPMOSトランジスタQb1に印加され、ユニットY1は動作する状態となる。
【0079】
同様に、ユニットYmについても、スイッチSamとスイッチSbmを、一方がオンのとき他方がオフとなるように切替える。例えばスイッチSamをオンにし且つスイッチSbmをオフにした場合、PMOSトランジスタQbmのゲート端子には電源電位Vddが供給される。したがって、ユニットYmは動作しない状態となる。これに対し、スイッチSamをオフにし且つスイッチSbmをオンにした場合、PMOSトランジスタQbmのゲート端子は抵抗Rbmを介してPMOSトランジスタQ10のゲート端子に接続される。したがって、PMOSトランジスタQ10のゲート電圧が、バイアス電圧としてPMOSトランジスタQbmに印加され、ユニットYmは動作する状態となる。
【0080】
以上説明したように、図9の高周波増幅回路30では、第1増幅部A1及び第2増幅部A2において、複数のカスコード接続されたトランジスタ対が並列接続され、これらを動作させるか否かをスイッチングにより切替え可能に構成されている。したがって、第1増幅部A1の利得及び第2増幅部A2の利得が可変であるため、自由度の高い小信号利得の設計が可能となる。
【0081】
また、1段目の電流調整部DN及び2段目の電流調整部DPにおいて、複数のカスコード接続されたトランジスタ対が並列接続され、これらを動作させるか否かをスイッチングにより切替え可能に構成されている。したがって、1段目の電流調整部DN及び2段目の電流調整部DPにおける調整電流の値が可変であるため、第1増幅部A1を流れる電流In2と第2増幅部A2を流れる電流Ip2との差を状況に応じて適切に調整することが可能となる。
【0082】
なお、図10に示すように、1段目に電流制御部CC、2段目に電流源IB及びカレントミラー回路CMNが設けられた構成(図3の構成)に、1段目の電流調整部DNと2段目の電流調整部DPの両方を付加した構成も可能である。図8の構成と同様、第1増幅部A1を流れる電流In2及び電流調整部DNを流れる電流Idnaと、第2増幅部A2を流れる電流Ip2及び電流調整部DPを流れる電流Idpaとの関係は、In2+Idna=Ip2+Idpaとなる。
【0083】
また、図11に示すように、1段目に電流制御部CC、2段目に電流源IB及びカレントミラー回路CMNが設けられた構成において、第1増幅部A1、第2増幅部A2、電流調整部DN及び電流調整部DPの夫々に、複数のカスコード接続されたトランジスタ対が並列接続された構成も可能である。このような構成においても、第1増幅部A1及び第2増幅部A2において複数のカスコード接続されたトランジスタ対が並列接続され、トランジスタ対の各々を動作させるか否かをスイッチングにより切替可能に構成されているため、第1増幅部A1の利得及び第2増幅部A2の利得が可変である。したがって、自由度の高い小信号利得の設計が可能である。
【0084】
また、図11に示す高周波増幅回路30においても、1段目の電流調整部DN及び2段目の電流調整部DPにおいて複数のカスコード接続されたトランジスタ対が並列接続され、トランジスタ対の各々を動作させるか否かをスイッチングにより切替可能に構成されているため、調整電流の値が可変である。したがって、第1増幅部A1を流れる電流In2と第2増幅部A2を流れる電流Ip2との差を状況に応じて適切に調整することが可能である。
【0085】
以上説明したように、本発明の高周波増幅回路は、2つのトランジスタがカスコード接続された第1増幅部と、2つのトランジスタがカスコード接続された第2増幅部とをカスコード接続して構成されている。したがって、出力端子から入力端子に到る経路における寄生容量が小さい。このため、出力端子から入力端子に向かって流れる信号を遮断する特性、すなわち逆方向アイソレーションの特性が高い。
【0086】
また、本発明の高周波増幅回路では、第1増幅部及び第1バイアス部を第1導電型であるNMOSトランジスタによって構成する一方、第2増幅部及び第2バイアス部を第2導電型であるPMOSトランジスタによって構成している。そして、第1増幅部に接地電位と中間電位とを供給し、第2増幅部に電源電位と中間電位とを供給するのに対し、第1バイアス部及び第2バイアス部は、夫々両端に電源電位と接地電位とを供給される別々の電流経路に接続されてバイアス電圧を生成し、第1増幅部及び第2増幅部を動作させる。
【0087】
このため、第1増幅部及び第2増幅部のカスコード接続による電圧降下分がMOSトランジスタの4段分あるのに対し、電源電位の値としては、MOSトランジスタ3段分の電圧降下分で良いことになる。したがって、MOSトランジスタ4段分の電圧降下分の電源電位が必要となる従来の高周波増幅回路に比して、電源電位を低い値に設定することが可能となる。よって、第2増幅部に流れる電流を第1増幅部で再利用できるとともに、電源電位を低くすることが可能となるので電力消費を大幅に抑えることが可能となる。
【0088】
なお、本発明の実施形態は上記実施例のものに限られない。例えば、上記実施例では第1増幅部A1、第2増幅部A2、第1バイアス部B1、第2バイアス部B2、1段目の電流調整部DN及び2段目の電流調整部DPが、それぞれカスコード接続された2つのトランジスタ(トランジスタ対)を有するとして説明した。しかし、各部に含まれるトランジスタの数はこれに限られず、例えば3つ以上のカスコード接続されたトランジスタ群を含んでいてもよい。また、第1増幅部A1及び第2増幅部A2のうちの一方を1つのトランジスタにより構成してもよい。
【0089】
また、上記実施例では、第1導電型がN型の場合、第2導電型が第1導電型(N型)とは反対導電型であるP型の場合について説明したが、これに限られない。例えば、第1導電型をP型、第2導電型をN型とし、第1増幅部に電源電位と中間電位、第2増幅部に中間電位と接地電位をそれぞれ供給することによって、高周波増幅器を構成してもよい。すなわち、第1増幅部A1及びバイアス部B1をPMOSトランジスタ、第2増幅部A2及びバイアス部B2をNMOSトランジスタによって構成し、第1増幅部A1に電源電位Vddと中間電位Vdm、第2増幅部A2に中間電位Vdmと接地電位を夫々供給するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0090】
10,20,30 高周波増幅器
11 受信機
12 アンテナ
13 混合器
14 局部発振器
15 復調部
Q0〜Q4 NMOSトランジスタ
Q5〜Q10 PMOSトランジスタ
C0〜C4 コンデンサ
R1〜R6 抵抗
L1,L2 インダクタ
AO 演算増幅器
IB 電流源
A1 第1増幅部
A2 第2増幅部
B1 第1バイアス部
B2 第2バイアス部
CC 電流制御部
CMN カレントミラー回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11