(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  縦方向及びそれに交差する横方向を有し、前後ウエスト域の一方である第1ウエスト域と他方である第2ウエスト域と、前記第1及び第2ウエスト域の側縁部どうしが接合された側部シーム域と、前記第1ウエスト域の外面に折り畳まれた状態で伸展可能に取り付けられたテープタブとを含む使い捨て着用物品において、
  前記第1及び第2ウエスト域は、前記横方向へ弾性的に伸縮可能であって、
  前記テープタブは、厚さ方向と、前記第1ウエスト域の前記外面に固定された近位部と、前記近位部と前記厚さ方向において対向する遠位部とを有し、
  前記近位部と前記遠位部とは、前記側部シーム域よりも前記横方向の内側に位置する仮止め部を介して互いに仮止めされており、
  前記遠位部は、止着域と、前記仮止め部から前記側部シーム域側へ延びる摘持部を有し、
  前記第1及び第2ウエスト域の収縮状態において、前記側部シーム域が前記第1ウエスト域を外側にして前記横方向において湾曲することによって前記近位部の一部も湾曲し、前記摘持部が前記近位部の前記湾曲した部分と離間して前記横方向の外側へ延出していて、
  前記テープタブは、前記近位部と前記遠位部との間に位置する中間部をさらに有し、前記近位部は、前記側部シーム域に固定された第1近位部と、前記第1近位部の前記横方向の内側においてそれと離間して位置する第2近位部とを有し、前記中間部において、前記第1近位部と前記第2近位部との間に位置する、前記第1ウエスト域の側縁部に非固定の離間部分は、前記第1及び第2ウエスト域の収縮状態において、前記厚さ方向の外側へ凸曲した形状を有し、
  前記摘持部は前記仮止め部によって固定された基端を有し、前記基端が前記離間部分上に位置することを特徴とする前記着用物品。
  前後方向をさらに有し、前記第1ウエスト域における前記テープタブの前記近位部が位置する部分の収縮力が、前記前後方向において前記テープタブの前記近位部が位置する部分と対向する前記第2ウエスト域の部分の収縮力よりも低い請求項1に記載の着用物品。
  前記テープタブのテープ基材は、前記第2近位部を形成する第1テープ基材と、前記第1近位部、前記中間部及び前記遠位部を形成する、2つ折りにされた第2テープ基材とから構成されており、前記第1及び第2近位部は、それぞれ、第1及び第2接合部を介して前記第1ウエスト域に固定されており、前記第1テープ基材と前記第2テープ基材とは、前記第1テープ基材の折曲された一方端部に位置する接合部を介して互いに接合されており、前記接合部及び前記一方端部に位置する仮止め部を介して前記第2近位部、前記中間部及び前記遠位部が互いに仮止めされている請求項1に記載の着用物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
  
図1〜3を参照すると、本発明の使い捨て着用物品の一例として示す使い捨ておむつ10は、縦方向Y及びそれに交差(直交)する横方向Xとを有し、肌対向面及びそれに対向する非肌対向面と、ウエスト周り方向へ延びる環状の弾性ウエストパネル11と、弾性ウエストパネル11と接合される吸液構造体12と、前ウエスト域(第1又は第2ウエスト域)13と、後ウエスト域(第1又は第2ウエスト域)14と、前後ウエスト域13,14間に位置するクロッチ域15とを含む。おむつ10は、縦方向Yに沿って延びて横方向Xの寸法を二等分する縦軸に関して対称に形成されており、弾性ウエストパネル11は、前ウエスト域13に位置する前ウエストパネル16と、後ウエスト域14に位置する後ウエストパネル17とから構成される。なお、本明細書における「使い捨て着用物品」は、ウエスト開口と一対のレッグ開口とを有する、いわゆるプルオン型(パンツ型)の着用物品であって、例えば、着用者の脚をレッグ開口に挿入してその物品を着用者のウエストに引き上げることにより身体に着用させるものを意味する。
 
【0013】
  後ウエストパネル17の両側縁部18の外面には、それぞれ、テープタブ20の近位部(固定部)21が固定される。テープタブ20は、横方向Xの外側へ伸展可能に折り畳まれており、おむつ10を丸めて廃棄するときに使用する廃棄テープとして使用することができる。また、廃棄テープのほかに、比較的に胴回り寸法の小さい着用者に前後ウエスト域13,14をフィットさせるためのサイズ調整用テープとして使用することもできる。本明細書において、「テープタブ20が伸展可能に折り畳まれている」とは、単数又は複数のテープ基材から形成されたテープタブ20が、二つ折り、三つ折りさらにそれ以上に複数折り畳まれて伸展可能に後ウエスト域14に取り付けられることを意味する。
 
【0014】
  前後ウエスト域13,14は、それぞれ、横方向Xへ延びる内端縁13a,14aと、縦方向Yにおいて内端縁13a,14aと離間対向して横方向Xへ延びる外端縁13b,14bと、内外端縁13a,13b,14a,14b間において縦方向Yへ延びる両側縁13c,13d,14c,14dとによって画定された横長矩形状を有する。
 
【0015】
  前ウエスト域13の両側縁13c,13dのそれぞれと後ウエスト域14の両側縁14c,14dとは、互いに重ね合わされて、縦方向Yへ間欠的に位置する側部シーム域23によって連結され、ウエスト開口24及び一対のレッグ開口とが画成される。側部シーム域23は、公知の接合手段、例えば、熱エンボス加工、ソニック加工等の各種の熱溶着手段によってなされる。テープタブ20は、その長さ方向において互いに対向する第1端(自由端)及び第2端(固定端)と、後ウエスト域14の両側縁部18に固定された近位部21と、近位部21と連続的に延びる遠位部(自由部)22とを有する。
 
【0016】
  本実施形態において、テープタブ20は、後ウエスト域14の両側縁部18における縦方向Yの中央部近傍に配置されている。テープタブ20がかかる配置態様を有することによって、おむつ10を丸めて廃棄するときに、テープタブ20を掛け回してクロッチ域15の外面に遠位部22を止着して、運搬するとき等にウエスト開口24が開いて排泄物が露出しないようにバランス良く丸めた形態を維持することができる。ただし、本発明の効果を奏する限りにおいて、テープタブ20は、後ウエスト域14の両側縁部18において縦方向Yの中央部以外の部分に配置されていてもよいし、一方の側縁部18にのみ取り付けられていてもよいし、後ウエスト域14の側縁部18ではなく前ウエスト域13の少なくとも一方の側縁部に取り付けられていてもよい。
 
【0017】
  図3を参照すると、前後ウエストパネル16,17は、それぞれ、前後ウエスト域13,14を形成する略横長矩形状の前後ウエストシート25,26を有する。前後ウエストシート25,26は、それぞれ、肌対向面側に位置する内面シート27,29と、非肌対向面側に位置する外面シート28,30とを有する。前ウエストシート25の内外面シート27,28間には、横方向へ延びる複数条のストリング状又はストランド状の前ウエスト弾性体31が伸長状態で収縮可能に取り付けられている。また、後ウエストシート26の内外面シート29,30間には、横方向へ延びる複数条のストリング状又はストランド状の後ウエスト弾性体32が伸長状態で収縮可能に取り付けられている。前後ウエスト域13,14は、それぞれ、前後ウエスト弾性体31,32の収縮力によって横方向Xへ伸縮可能な前後ウエスト弾性域を有する。
 
【0018】
  前後ウエストシート25,26としては、質量が約10〜40g/m
2であり、繊維密度が約0.03〜0.1g/cm
3である、例えば、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)不織布、エアスルー不織布、プラスチックシート、またはそれらのラミネートシート等を用いることができる。前後ウエスト弾性体31,32には、例えば、繊度が約300〜500dtex、伸長倍率が1.5〜3.5倍のストリング状又はストランド状の弾性材料を用いることができる。前後ウエスト弾性体31,32は、その太さや伸長倍率は適宜変更することができる。
 
【0019】
  吸液構造体12は、長方形状であって、前端部12Aと、後端部12Bと、前後端部12A,12B間に位置する中央部12Cとを有する。吸液構造体12は、肌対向面側に位置し、透液性を有する繊維不織布製の身体側ライナ40と、曲状の両側縁を有する吸液性の吸収体41と、吸収体41の底面全体を覆う不透液性の防漏シート42と、吸液構造体12の非肌対向面全体を形成する疎水性の被覆シート43とを有する。吸収体41は、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合物から形成された芯材と、芯材全体を被包するティッシュペーパ等の液吸収拡散性のコアラップシートとを含む。
 
【0020】
  被覆シート43は、防漏シート42の両側縁から横方向Xの外側に位置する両側部44を有する。両側部44は、防漏シート42の両側縁に沿って内側に折曲され、防漏シート42の内面と身体側ライナ40の内面とに固定される。両側部44の外側縁には、身体側ライナ40の内面に固定されていない、スリーブ状の自由縁部43aが位置し、自由縁部43aの内部には縦方向Yへ延びる複数条のストリング状又はストランド状のカフ弾性体45が伸長状態で収縮可能に配設される。カフ弾性体45が収縮することによって、自由縁部43aが身体側ライナ40から着用者の身体側へ離間し、着用者の大腿部にフィットして排泄物の漏れを防止する。また、被覆シート43の両側部44と防漏シート42との間には、複数条のストリング状又はストランド状のレッグ弾性体46が配設される。
 
【0021】
  図4は、おむつ10の側面図、
図5は、
図4のV−V線に沿う断面図、
図6は、前後ウエスト域13,14がその外面に皺が形成されない程度に縦方向Y及び横方向Xに伸長された状態における、
図5と同様の断面図である。なお、
図4〜6及び以下の説明は、おむつ10の一方側部について示しているが、他方側部においても同様の構成を有する。
 
【0022】
  図4〜6を参照すると、テープタブ20は、厚さ方向Zを有し、後ウエスト域14の側縁部18の外面に第1接合部71を介して固定された近位部21と厚さ方向Zにおいて近位部21と間接的又は直接的に対向する遠位部22とを有する。近位部21は、側部シーム域23に固定された第1近位部21Aと、第1近位部21Aの横方向Xの内側においてそれと離間して位置する第2近位部21Bとを有する。本明細書において、「近位部」とは、テープタブ20のうちの後ウエスト域14の外面に固定された単数又は複数の部分を意味し、それらが同一又は別のテープ基材から形成されたものを意味する。
 
【0023】
  テープタブ20は、近位部21と遠位部22との間に位置してそれらと厚さ方向Zにおいて対向する中間部61をさらに有する。本実施形態に係るテープタブ20は、断面Z字型に折り畳まれた複数のテープ基材(テープ片)から形成されており、具体的には、第2近位部21Bを形成する第1テープ基材51と、第1近位部21A,中間部61及び遠位部22を形成する第2テープ基材52とを有する。
 
【0024】
  第1テープ基材51は、一方端部(折曲部56a)が第1折曲ライン56に沿って厚さ方向の外側へ折り曲げられており、該折曲部56aと第2テープ基材52とが接合部(第3接合部73)で接合されている。第2テープ基材52は、その長さ方向の略中央部に位置する第2折曲ライン57に沿って2つ折りにされた状態で側縁部18及び第1テープ基材51に固定されている。第1近位部21Aは、第2テープ基材52の一方端部が接合部(第2接合部72)を介して側縁部18に固定されることによって形成され、中間部61は第1近位部21Aから横方向Xの内側へ向かって延びる部分から形成され、遠位部22は、中間部61の厚さ方向Zの外側において第2折曲ライン57から横方向Xの外側へ向かって延びる部分から形成される。
 
【0025】
  近位部21、中間部61及び遠位部22は、互いに積層された状態において、第1及び第2折曲ライン56,57の間に位置し、複数のドット状を有する仮止め部65,66によって仮止めされる。遠位部22は、折曲部56aに位置する仮止め部65から横方向Xの外側に延びる摘持部63をさらに有する。仮止め部65,66間における遠位部22の内面には、フックシート68aとメカニカルファスナのフック要素68bから形成された止着域68が配置される。止着域68は、おむつ10の外面がプラスチックフィルムから形成されている場合には、感圧性の粘着剤等であってもよい。
 
【0026】
  テープタブ20を形成するテープ基材は、繊維不織布、少なくともその一部に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱融着性の合成繊維を含むものであって、例えば、質量が約30〜100g/m
2、好ましくは質量が約40g/m
2以上のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。
 
【0027】
  第1〜第3接合部71,72,73には、接着又はソニックシールやヒートシール等の溶着による各種公知の接合手段を用いることができ、例えば、接着手段を用いる場合には、質量約5〜20g/m
2のホットメルト接着剤を使用することができる。仮止め部65,66は、公知の加圧処理や加圧加熱処理を施すことによって形成することができ、例えば、エンボス処理またはソニック処理によって形成することができる。加圧加熱処理をする場合には、テープタブ20自体が熱可塑性の合成繊維を有する場合には、熱融着によってより安定的に仮止めすることができる。また、
図4を参照すると、仮止め部65,66は、縦方向Y及び横方向Xにおいて互いに離間するように配置された複数のドット状を有する。このように、仮止め部65,66が積層された状態におけるテープタブ20の外面に局所的に配置されることによって、それが外面全体に配置される場合に比して、テープタブ20の柔軟性が損なわれるおそれはない。
 
【0028】
  図6を参照すると、このように折り畳まれた状態で後ウエスト域14の側縁部18に取り付けられたテープタブ20は、操作者が摘持部63を摘持してそれを引っ張り方向Pへ引っ張ることによって、仮止め部65,66による仮止めが解除される。本実施形態に係るテープタブ20は、後ウエスト域14に固定された近位部21が横方向Xにおいて互いに離間する第1近位部21Aと第2近位部21Bとからなる、いわゆるY形のテープタブであるから、引っ張り方向Pへ引っ張ったときに、第1近位部21Aに作用する剥離力を低減することができる。また、かかるテープタブ20が接合態様を有することによって、引っ張り方向Pではなく横方向Xの内側へ向かって摘持部63を引っ張って展開するときにも、第1近位部21Aに作用する剥離力を低減することができる。また、テープタブ20が所要の剥離強度を有する限りにおいて、1つのテープ基材のみから形成されていてもよいし、2つ以上の複数のテープ基材から形成されていてもよい。
 
【0029】
  図5を参照すると、おむつ10の着用状態及び非着用状態において、後ウエスト域14全体は後ウエスト弾性体32によって横方向Xに収縮されて複数のギャザー80が形成される。後ウエスト域14における、テープタブ20の近位部21の配置領域には、少なくとも1条の後ウエスト弾性体32が位置しており、該弾性体32の収縮力によって、近位部21はウエスト周り方向へ連続する起伏形状を有する。本実施形態においては、テープタブ20がおむつ10の外面に取り付けられていない状態において、前後ウエスト弾性域の収縮力はほぼ同等となるように、前後ウエスト弾性体31,32の本数、繊度、ピッチ等が適宜設定されている。
 
【0030】
  通常、前後ウエスト弾性域において互いの収縮力がほぼ同等である場合には、
図5において仮想線で示すように、側部シーム域23は前側又は後側へ傾くことなく横方向Xの外方へ突出するように延びる。しかし、本実施形態においては、後ウエスト域14の側縁部18にテープタブ20の近位部21が位置することによって、後ウエスト弾性域における近位部21の存在する弾性域の収縮力が低減されて、前後方向において対向する前ウエスト域13の弾性域よりもその収縮力が低くなる。そのため、側部シーム域23においては、内側に位置する前ウエスト域13の側縁部からなる前方部分23aの収縮量が外側に位置する後ウエスト域14の側縁部18からなる後方部分23bの収縮量よりも大きくなり、前方部分23aの横方向Xの寸法が後方部分23bのそれよりも小さくなって、側部シーム域23は後方部分23bを外側として横方向Xの内側へ湾曲した形状となる。
 
【0031】
  このように、側部シーム域23が湾曲した形状を有することによって、側部シーム域23及びそれの横方向Xの外側及び内側に隣接する部分も同様に湾曲した形状となるとともに、側部シーム域23とその横方向Xの外側に隣接する部分81とに固定された第1近位部21Aも湾曲した形状となる。仮止め部65よりも側部シーム域23側に位置する摘持部63は、それと対向する中間部61と接合されていないので、中間部61と離間して厚さ方向Zの外側へ延びる。
 
【0032】
  図1及び
図2を参照すると、前後ウエスト域13,14の収縮状態された、すなわち、おむつ10の着用状態において、テープタブ20がかかる態様を有することから、摘持部63がおむつ10の両側縁部10bから横方向Xの外側へ突出した状態となる。そのため、おむつ10の廃棄時やサイズ調整時においてテープタブ20を展開するときに、摘持部63が湾曲した中間部61と重なって摘持し難くなるおそれはなく、中間部61から離間して厚さ方向Zへ延出した摘持部63を容易に摘持することができるので、操作性に優れる。
 
【0033】
  再び、
図5を参照すると、後ウエスト域14が複数のギャザー80のよる起伏形状を有し、それに固定された第2近位部21Bも横方向Xへ収縮して起伏形状を有する一方、第2近位部21Bと対向する中間部61及び遠位部22とは、第2近位部21Bに固定されておらず、かつ、遠位部22の内面には止着域68が形成されて局所的に剛性が高くなっていることから起伏してない。第1近位部21Aと第2近位部21Bとが横方向Xにおいて互いに離間する離間部分77は、それと対向する側縁部18が収縮することから厚さ方向Zの外側へ凸曲した形状を有する。仮止め部65が折曲部56aに位置していることから、離間部分77は摘持部63の基端近傍と対向しており、そのために摘持部63の基端近傍が離間部分77上に位置して摘持部63はより安定的に横方向Xの外側へ延出した態様を呈する。また、摘持部63が凸曲した離間部分77上に位置するので、引っ張り方向Pへスライドさせるように摘持部63を引っ張ることによって仮止め部66,65の仮止めを解除することができる。このように、主としてせん断力で仮止めを解除することができるので、より小さい引っ張り力でテープタブ20を展開することができる。
 
【0034】
  テープタブ20がかかる態様を有するために、すなわち、側部シーム域23を確実に湾曲した形状とするために、テープタブ20がおむつ10に取り付けられていない状態において、前ウエスト弾性域の収縮力を後ウエスト弾性域の収縮力よりも高く設定することが好ましい。具体的には、前ウエスト弾性域の収縮力を後ウエスト弾性域の収縮力の約1.1〜2.8倍となるように、前後ウエスト弾性体31,32の繊度、伸長倍率及びピッチを適宜調整することが好ましい。このように、前ウエスト弾性域の収縮力を後ウエスト域のそれよりも高くすることによって、テープタブ20の近位部21が固定されることによる後ウエスト弾性域の収縮力の低減作用と相俟って、側部シーム域23においてより確実に前方部分23aの収縮量が後方部分23bの収縮量よりも大きくなって、側部シーム域23が湾曲状を呈することができる。かかる技術的効果を有するために、後ウエスト弾性域のうちの近位部21が位置する部分の収縮量が、該弾性域と前後方向において対向する前ウエスト弾性域の部分の収縮量よりも低くなっていればよく、前後ウエスト弾性域におけるその他の部分の収縮力は、かかる相関関係でなくてもよい。
 
【0035】
  再び、
図1及び
図2を参照すると、側部シーム域23とその隣接する部分が湾曲することによって、摘持部63が横方向Xの外側へ延出し、おむつ10の正面視においてもその外形輪郭を視認することができる。それにより、着用者は、テープタブ20の使用前及び使用時において容易に摘持して展開することができるという安心感を得ることができる。また、テープタブ20の摘持部63の外面には、縦方向Yへ延びる複数のライン模様からなる装飾要素82が配置されている。おむつ10は、前後ウエスト域13,14を構成するパネル部材が同大同形であるので、外観において瞬時におむつ10の前後を判別することは困難であるところ、このように、テープタブ20の外面に装飾要素82を配置することによって、着用者/着用補助者はおむつ10の前後を判別することができる。したがって、前後ウエスト域13,14に前後を区別するための表示がなくても、着用する前に前後の判別を容易にしてスムーズに着用操作を行うことができる。
 
【0036】
  本実施形態においては、摘持部63の外面にのみ装飾要素82を配置することによって、摘持部63がおむつ10の正面視において無模様かつ白色、おむつ10の背面視において装飾要素82及びそれによる着色されたものとしてそれぞれ視認されて、前後ウエスト域13,14の判別が容易となる。かかる技術的効果を奏する限りにおいて、摘持部63の内面に外面に施された装飾要素とは異なる形態の装飾要素を配置したり、外面を無模様かつ白色として内面にのみ装飾要素を配置してもよい。摘持部63に配される装飾要素82としては、ライン模様(縞模様)のほかに、ドット状、波状、幾何学形状、文字、絵柄、商標やキャラクター等の各種公知の装飾要素を用いることができる。また、テープタブ20のテープ基材を不織布から形成することによって、多種多様の着色やデザインによる装飾を容易に印刷することができる。
 
【0037】
  また、摘持部63を容易に摘持するために、摘持部63の大きさは比較的に大きいことが好ましく、具体的には、横方向Xの寸法L2が約10mm以上、遠位部22の横方向Xの寸法L1の約20%以上であることが好ましい。このように、摘持部63の長さ寸法が比較的に大きいことによって、横方向Xの外方へ延びる摘持部63を摘持し易くなるとともに、おむつ10に背面視において装飾要素82を容易に視認することができる。また、側部シーム域23と仮止め部65との横方向Xにおける離間寸法Rは、約5mm以上であることが好ましい。このように、離間寸法Rが比較的に大きく形成されることによって、摘持部63の基端近傍が離間部分77によって横方向Xの外側へ向かって起立されて、摘持部63が正面視及び背面視において横方向Xの外側へ突出するような態様となる。
 
【0038】
  以上のとおり、おむつ10の非着用状態及び着用状態において、テープタブ20の摘持部63は、テープタブ20を展開するときに摘持する操作部としての機能と、おむつ10の前後側を判別するためのインジケータ機能とを備える。摘持部63は、両機能を発揮する限りにおいて、複数に分割されていてもよいし、不織布とプラスチックフィルムとが複数積層された複合シートから形成されていてもよい。
 
【0039】
<第2実施形態>
  
図7は、第2実施形態に係る
図5と同様のテープタブ20の断面図である。
図7を参照すると、本実施形態においては、テープタブ20は側部シーム域23と重なる部分から横方向Xの内側へ延びる近位部21において後ウエスト域14の側縁部18に固定されている。本実施形態に係るテープタブ20においては、側部シーム域23及びそれに隣接した部分が湾曲した形状を有することから、それらに固定された近位部21の位置も湾曲した形状を有する。
 
【0040】
  遠位部22の摘持部63は、湾曲した側部シーム域23及びそれに隣接する部分には固定されておらず、仮止め部65が側部シーム域23から離間していることから、摘持部63の基端近傍が湾曲した部分によって横方向Xの外側に向かって延出する。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、摘持部63はおむつ10の正面視及び背面視において横方向Xの外側に延出して容易に視認することができる。
 
【0041】
<第3実施形態>
  
図8は、第3実施形態に係るおむつにおける
図5と同様のテープタブ20の断面図である。
図8を参照すると、本実施形態に係るおむつ10においては、テープタブ90が1つのテープ基材90aから形成されている。テープ基材90aは、その長さ寸法の略中央部に位置する折曲ライン95に沿って2つ折りにされており、接合部94を介して後ウエスト域14の側縁部18に固定された近位部(固定部)91とそれと厚さ方向Zにおいて対向する遠位部(自由部)92と、遠位部92の先端側に位置する摘持部93とを有する。近位部91と遠位部92とは横方向Xにおいて離間する一対の仮止め部65,66を介して互いに仮止めされている。
 
【0042】
  本実施形態においても、他の実施形態と同様に、側部シーム域23及びそれに隣接する部分が側縁部18が外側となるように湾曲した形状をなし、かつ、側部シーム域23よりも横方向Xの内側に仮止め部65が位置することによって、摘持部93が該湾曲した部分から離間して厚さ方向Zの外側へ延出する。したがって、本実施形態においても、他の実施形態と同様に、摘持部93はおむつ10の正面視及び背面視において容易に視認することができる。このように、1つのテープ基材90aから形成されたテープタブ90を二つ折りにして固定した場合、すなわち、いわゆるC形のテープタブ90を後ウエスト域14に取り付けた場合であっても、湾曲した側部シーム域23と仮止め部65との離間寸法や摘持部93の長さ寸法等を適宜調整することによって、摘持部93を厚さ方向Zの外側へ延出させることができる。さらに、前後ウエスト域13,14の収縮作用によって側部シーム域23を湾曲させることのほかに、側部シーム域23を湾曲状を有するように加圧加熱処理によって賦型したり、テープタブ90が各実施形態に示したような形態をなすように成形してもよい。
 
【0043】
  おむつ10を構成する各構成部材には、特に限定されている場合を除き、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく使用することができる。また、おむつは、本実施形態と異なり、前ウエスト域と、後ウエスト域と、クロッチ域とが一連に延びるパネル部材(シャーシ)から形成された態様であってもよい。本明細書及び特許請求の範囲において、用語「第1」、「第2」及び「第3」は、同種の要素、位置等を単に区別するために用いられている。
 
【0044】
  以上
に記載した
本発明は、少なくとも下記事項に整理することができる。
 
【0045】
  縦方向及びそれに交差する横方向を有し、前後ウエスト域の一方である第1ウエスト域と他方である第2ウエスト域と、前記第1及び第2ウエスト域の側縁部どうしが接合された側部シーム域と、前記第1ウエスト域の外面に折り畳まれた状態で伸展可能に取り付けられたテープタブとを含む使い捨て着用物品において、前記第1及び第2ウエスト域は、前記横方向へ弾性的に伸縮可能であって、前記テープタブは、厚さ方向と、前記第1ウエスト域の前記外面に固定された近位部と、前記近位部と前記厚さ方向において対向する遠位部とを有し、前記近位部と前記遠位部とは、前記側部シーム域よりも前記横方向の内側に位置する仮止め部を介して互いに仮止めされており、前記遠位部は、止着域と、前記仮止め部から前記側部シーム域側へ延びる摘持部を有し、前記第1及び第2ウエスト域の収縮状態において、前記側部シーム域が前記第1ウエスト域を外側にして前記横方向において湾曲することによって前記近位部の一部も湾曲し、前記摘持部が前記近位部の前記湾曲した部分と離間して前記横方向の外側へ延出して
いて、前記テープタブは、前記近位部と前記遠位部との間に位置する中間部をさらに有し、前記近位部は、前記側部シーム域に固定された第1近位部と、前記第1近位部の前記横方向の内側においてそれと離間して位置する第2近位部とを有し、前記中間部において、前記第1近位部と前記第2近位部との間に位置する、前記第1ウエスト域の側縁部に非固定の離間部分は、前記第1及び第2ウエスト域の収縮状態において、前記厚さ方向の外側へ凸曲した形状を有し、前記摘持部は前記仮止め部によって固定された基端を有し、前記基端が前記離間部分上に位置する。
 
【0047】
  上記段落0045に開示した第1発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。下記の実施の形態は、単独又はそれらの組み合わせであってもよい。
(1)前後方向をさらに有し、前記第1ウエスト域における前記テープタブの前記近位部が位置する部分の収縮力が、前記前後方向において前記テープタブの前記近位部が位置する部分と対向する前記第2ウエスト域の部分の収縮力よりも低い。
(
2)前記テープタブのテープ基材は、前記第2近位部を形成する第1テープ基材と、前記第1近位部、前記中間部及び前記遠位部を形成する、2つ折りにされた第2テープ基材とから構成されており、前記第1及び第2近位部は、それぞれ、第1及び第2接合部を介して前記第1ウエスト域に固定されており、前記第1テープ基材と前記第2テープ基材とは、前記第1テープ基材の折曲された一方端部に位置する接合部を介して互いに接合されており、前記接合部及び前記一方端部に位置する仮止め部を介して前記第2近位部、前記中間部及び前記遠位部が互いに仮止めされている。
(
3)前記摘持部は、内外面を有し、前記内面と前記外面とは互いに異なる外観を有する。
(
4)前記摘持部の前記内外面の少なくともいずれか一方には、装飾要素が施されている。
(
5)前記テープタブのテープ基材が、繊維不織布から形成される。