(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器によって凝縮された冷媒の圧力を減圧する減圧器と、前記減圧器によって減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、により構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の温度制御装置。
前記凝縮器は、圧縮された冷媒の熱を外気に放出させるためのファンを有し、前記ファンは、前記室温化手段において温調媒体の熱を外気に放出させるためのファンとしても用いられる請求項4に記載の温度制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本発明において、値の範囲を"〜"を用いて表した場合は、その両境界の値は、範囲内に含まれるものとする。
【0024】
<第1実施形態>
(1)第1実施形態の構成
本発明の温度制御装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の温度制御装置のブロック図である。
図1に示すように、温度制御装置100は、温度制御対象物5に温調された温調媒体を送出するための送出部10と、温度制御対象物5から戻ってきた温調媒体を受け取るための受取部12と、受取部12で受け取られた温調媒体の温度を室温に近づけるための室温化手段14と、室温化手段14で室温に近づけられた温調媒体を冷却するための冷却装置16と、温調媒体を加熱するためのヒータ18と、温調媒体を循環させるためのポンプ19と、を主に備えて構成される。
【0025】
温調媒体としては、幅広い温度範囲で安定な物質が望ましく、例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、ハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)を好適に用いることができるが、具体的にはガルデン(ソルベイ・ソレクシス製)を用いることより好ましい。これを用いることにより、100℃を超える高温域から0℃を下回る低温域までの温度範囲で温度制御対象物の温度制御を行うことが可能になる。
【0026】
送出部10は、温調された温調媒体を温度制御対象物5に送出するための部分であり、例えば、温度制御対象物5に温調媒体を送るための配管の接続コネクタであっても良い。
【0027】
温度制御対象物5としては、温度制御が必要な物ならば何でも良いが、例えば、半導体ウエハの温度特性試験装置の載置台などがある。この載置台に温調された温調媒体を流して温度調整することにより、載置台に載置された半導体ウエハも温度調整される。これにより、温度調整された所望の温度での半導体ウエハの温度特性試験を行うことができる。
【0028】
受取部12は、温度制御対象物5の温調を行って戻ってきた温調媒体を受け取るための部分であり、例えば、温度制御対象物5から温調媒体が送られるための配管の接続コネクタであっても良い。
【0029】
受取部で受け取られた温調媒体は、ポンプ19によって室温化手段14に送られる。ここで、
図1においてポンプ19は受取部12と室温化手段14との間に設置されているが、この位置に限定されるものでは無い。ポンプ19は、受取部12、室温化手段14、冷却装置16、ヒータ18、送出部10、温度制御対象物5で構成される回路の中の温調媒体を循環させるためのものであり、この目的を達することができるならば、どの位置に配置しても良い。
【0030】
室温化手段14は、熱交換を行うことにより温調媒体の温度を室温に近づけるための装置である。室温化手段14に送られる温調媒体の温度は、温度制御対象物5の設定温度により、あるいは、温度制御対象物5の発熱量、吸熱量により変化し、室温よりも高い場合もあれば、室温よりも低い場合もありうる。いずれの場合においても、室温化手段14により温調媒体を室温に近づけることにより、この後の冷却装置16、またはヒータ18による温調媒体の冷却または加熱による温調媒体の温度変更をより効率的に行うことが可能となる。
【0031】
ここで、温調媒体の設定温度と、室温化手段14に流入する温調媒体の温度によっては、室温化手段14は、動作を停止し温調媒体の温度を室温に近づけることを停止することもできる。例えば、そのようなケースとしては、室温よりも高い温度で室温化手段14に流入してきた温調媒体の温度を更に高く調整する場合や、室温よりも低い温度で室温化手段14に流入して来た温調媒体の温度を更に低く調整する場合などがある。
【0032】
このような場合には、室温化手段14に流入する温調媒体の温度を測定する温度測定手段と、温調媒体の温度と温調媒体の設定温度とから室温化手段14の作動のオンオフを制御する制御手段とを設けることにより、状況に応じて室温化手段14の作動状態を切り替えることができる。これにより、不要なエネルギーの消費を抑えると共に、温調媒体温度を所望の温度まで短時間で到達させることができる。
【0033】
室温化手段は、温調媒体の温度を室温(例えば25℃)に近づけることができる装置ならばどのようなものでも採用することができるが、省エネルギー、コスト等の観点から、熱伝導性の良い材料で形成された温調媒体の流路と、流路の外側であって大気と接触する部分に大気と熱交換するためのフィンを取り付けたフィンチューブ式熱交換器を用いることが好ましい。このフィンチューブ式熱交換器には、大気との熱交換を効率的に行うために送風機を取り付けて、強制的に大気をフィンチューブ式熱交換器のフィンに吹き付ける構成にすることができる。
【0034】
しかしながら、室温化手段は、このようなフィンチューブ式熱交換器に限定されるものでは無く、水冷方式などの液冷を採用し、液体を介して温調媒体の熱と大気の熱とを熱交換する構成の装置であっても良い。
【0035】
このように、本発明の温度制御装置100は、受取部12において、温調媒体の温度が大気温度よりもかなり高い状態で受け取られても、或いは、温調媒体の温度が大気温度よりもかなり低い状態で受け取られても、室温化手段14により温調媒体の温度を室温(大気温度)に近づけるので、冷却装置16やヒータ18での温度調整が容易になる。
【0036】
冷却装置16は、温調媒体を冷却するための装置である。冷却装置16としては、温調媒体を冷却できる装置ならばどのような装置でも使用可能であるが、例えば、フロン冷媒を用いた圧縮式冷凍機が一般的であるが、ペルチェ素子を用いた冷却装置、水−臭化リチウムやアンモニア−水等を用いた吸収式冷凍機、ゼオライトやシリカゲル等を用いた吸着式冷凍機なども好適に用いることができる。
【0037】
ヒータ18は、温調媒体を加熱するための加熱装置であり、温調媒体を加熱可能ならばどのようなヒータを用いても良いが、例えば、電熱線を用いた抵抗加熱ヒータ、フロン冷媒を用いた圧縮式ヒータ、高周波誘導加熱式ヒータ、高周波誘電加熱式ヒータ等を好適に用いることができる。コスト、サイズ等の観点から電熱線を用いた抵抗加熱ヒータがより好ましい。
【0038】
(2)第1実施形態の作動
次に、第1実施形態の作動について
図1を参照して説明する。温度制御対象物5から戻ってきた温調媒体は、受取部12で受け取られ室温化手段14に送られる。ここで、温度制御対象物が高温の温度設定(例えば150℃)になっているときは、送出部10から送る温調媒体(循環液)も高温にする必要があり、更に温度制御対象物で熱の受取があった場合、受取部12に戻ってくる温調媒体(循環液)は更に高温になる。
【0039】
この場合、冷却装置16がフロン冷媒を用いた圧縮式冷凍機の場合は、許容量以上の高温温調媒体が流れ込むと、フロン冷媒を用いた圧縮式冷凍機の冷媒の温度および圧力が上がりすぎて圧縮機過負荷となり、冷凍機の安全装置の働きにより冷凍機は運転を停止していた。
しかしながら、本発明においては、高温の温調媒体は、室温化手段14によって室温に近づけられるので、冷却装置16を連続的に運転することが可能になる。
【0040】
次に、温度制御対象物5の設定温度を高温から低温に変更する場合について説明する。今まで高温に設定されていたので、受取部12で受け取られる温調媒体の温度は高い。室温化手段14を有さない従来の温度制御装置では、高温の温調媒体が直接冷却装置に流入していたので、冷却装置16がフロン冷媒を用いた一般的な圧縮式冷凍機の場合、上述の理由から、冷却装置16を連続的に動作させることは困難であった。
【0041】
本発明の温度制御装置では、高温の温調媒体は、室温化手段14に流入し、ここで室温近くまで温度を下げられるので、冷却装置16を連続的に動作させることができる。
【0042】
後述する本発明のプロトタイプでは(
図3参照)、この課題を解決するために2回路としており、冷却側の回路に高温の温調媒体(循環液)が戻ってきても冷却側の回路内の温調媒体が高温にならないように、リザーブタンク24に大量の温調媒体を必要としている。この回路ではリザーブタンク24の温調媒体を低温にしておき、冷却が必要な時に排出することで冷却時間を早めつつ、温調媒体が高温の設定でも運転を可能にしているが、温度制御対象物を高温の状態から低温に温度変更(例えば150℃から25℃に変更)するときは、リザーブタンク24の液と戻りの温調媒体が混ざって平衡状態となった後は、リザーブタンク24内の液を含む温調媒体の全てを冷却して温度を下げる必要があるため、平衡状態後の温調媒体の冷却には時間が掛かる。
【0043】
設定温度を低温から高温に変化させる場合では、受取部12に流入する温調媒体温度は低温であるので、室温化手段14を有さない従来の温度制御装置では、低温の温調媒体がヒータ18に直接流れ込む。ヒータ18は、低温の温調媒体を設定された高温まで照応させる必要があり、時間もかかるし、エネルギーも多く必要になる。
【0044】
本発明の温度制御装置100では、低温の温調媒体は、室温化手段14で室温近くまで昇温される。これにより、ヒータ18に流入する温調媒体は、室温に近い温度なので、これを所定の高温にすることは、短時間で可能となる。よって、エネルギーも多くは必要とされない。
【0045】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第2実施形態の温度制御装置のブロック図である。第2実施形態の説明においては、第1実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。また、本発明のプロトタイプの温度制御装置と比較しながら本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明のプロトタイプの温度制御装置のブロック図である。
【0046】
図2に示すように、本発明の第2実施形態の温度制御装置200は、第1実施形態の温度制御装置100の構成に、温調媒体の温度を測定する温度センサ22と、温調媒体の補充や配管中の空気抜きのためのリザーブタンク24と、を更に備えて構成されている。
【0047】
温度センサ22は、送出部10から送出される温調媒体の温度を測定するためのセンサであり、このセンサで測定された温調媒体温度に基づいて、温調媒体が所定温度になるように、ヒータ18、冷却装置16、室温化手段14の動作を制御することができる。
【0048】
また、温度センサ22は、温度制御対象物5に温調媒体を送出する一番手前である送出部10近辺に1箇所設置して温調媒体の温度制御をすることが好ましいが、制御を行うヒータ18、冷却装置16、室温化手段14それぞれの排出部の付近に個別に設置することもできる。
【0049】
リザーブタンク24は、予備の温調媒体が貯蔵されたタンクであり、温調媒体を循環させる温度制御装置200の回路に対して並列に接続されている。これにより、温調媒体のうちの不足分だけが温度制御装置200の回路に補給され、通常は、温調媒体の回路内での移動では温調媒体はリザーブタンク内を経由することが無いので、リザーブタンク24内の温調媒体(循環液)は温度制御の対象外となり、温度制御において必要となるエネルギーも少なくてすむと共に、温調媒体の温度変更を迅速に行うことができる。
【0050】
また、
図2に示すように第2実施形態においては、冷却装置16は、冷媒を圧縮する圧縮機26と、前記圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器27と、前記凝縮器によって凝縮された冷媒の圧力を減圧する減圧器28と、前記減圧器によって減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器29とから構成される冷凍サイクルを用いた圧縮式冷凍機である。
【0051】
室温化手段14によって室温に近づけられた温調媒体は、冷却装置16の蒸発器29において冷却装置16の冷媒と熱交換を行う。蒸発器29では、冷媒は温調媒体から熱を奪って蒸発し、温調媒体は冷媒に熱を奪われることによって冷却される。蒸発器29で蒸発した冷媒は、圧縮機26によって圧縮され、高温高圧状態の気体になる。圧縮機26で高温高圧の気体にされた冷媒は凝縮器27において冷却され液化された冷媒は、減圧器28において減圧され蒸発器29で蒸発することで温調媒体から熱を奪うことを繰り返す。
【0052】
ここで
図4において、冷却装置16の凝縮器27には、ファンが描かれており空冷の凝縮器として記載されているが、凝縮器27は空冷タイプのものに限定されるものではなく、水冷であっても良い。
【0053】
室温化手段14は、熱伝導性の良い材料で形成された温調媒体の流路と、流路の外側であって大気と接触する部分に大気と熱交換するためのフィンを取り付けたフィンチューブ式熱交換器と、フィンに大気を吹き付けるための送風機と、から構成された熱交換器である。これにより、温調媒体の熱は、流路とフィンとを介して大気と熱交換を行うので、簡易な構成で効率的に温調媒体の温度を室温に近づけることができる。
【0054】
ここで、本発明のプロトタイプについて説明する。
図3は、本発明のプロトタイプの温度制御装置のブロック図である。本発明のプロトタイプの温度制御装置は、上述したような特許文献1に記載されたような従来の温度制御装置の問題点を解決するために、温調媒体(循環液)が高温にならないようにするための冷却回路と、温度制御対象物への循環回路との2回路を設けている。
【0055】
しかしながら、このプロトタイプの温度制御装置ではリザーブタンク24内には一定量以上の温調媒体(循環液)が必要であり、温調媒体(循環液)が多く必要となっていた。またそれにより高温から低温への温度変更に時間が掛かっていた。本発明の温度制御装置は、従来の温度制御装置の問題点だけで無く、このプロトタイプの温度制御装置の問題点も解決している。
【0056】
ここで、本発明のプロトタイプの温度制御装置300と、本発明の第2実施形態とで大きく異なる部分は、(1)プロトタイプは、温調媒体(循環液)を冷却する副回路と温調媒体を温度制御対象物5へ循環させる主回路との2回路があるのに対して、第2実施形態は1回路であること、(2)プロトタイプは、室温化手段14を備えないのに対して、第2実施形態は室温化手段14を備えること、(3)プロトタイプは、リザーブタンク24が副回路内の流路において直列に接続されており、リザーブタンク24内の温調媒体(循環液)が温度制御の対象となっているのに対して、第2実施形態はリザーブタンク24が回路に並列に接続され、リザーブタンク24内の温調媒体が温度制御の対象になっていないことである。
【0057】
本発明のプロトタイプの温度制御装置300は、温度制御対象物5から戻ってきた温調媒体を受取部で受け取り、冷却装置16で冷却された温調媒体とミキシングタンク34で混合して温度調整し、必要ならばヒータ18で加熱温調して送出部10から温度制御対象物5に送り出すことによって、温度制御対象物5の温度を制御する。
【0058】
ここで、ミキシングタンク34に送出される冷却された温調媒体は、リザーブタンク24からポンプ31によってフロン冷媒を用いた圧縮式冷凍機である冷却装置16に送られて冷却された温調媒体である。更に説明すると、リザーブタンク24の温調媒体は、冷却装置16で冷却されて、またリザーブタンク24に戻る回路構成になっており、冷却された温調媒体が必要なときは、三方制御弁36によって、冷却装置16で冷却された温調媒体の全部または一部がミキシングタンク34に送られる。
【0059】
温度制御対象物5を高温の状態から低温の状態に温度変更するときについて説明する。このとき、温度制御対象物5を低温にするために三方制御弁36によって、冷却された温調媒体がミキシングタンク34に送られる。そのとき、より早く温度制御対象物5の温度下げるためには三方制御弁36に流れる温調媒体全てをミキシングタンク34に流れるように三方制御弁36を制御する必要がある。
【0060】
温度制御対象物5を高温の状態から低温の状態により早く変化させるには、リザーブタンク24の温度をより低く保っておいた方が有利である。また、上述したように、温度変更をより早くするためには三方制御弁36に流れる温調媒体全てをミキシングタンク34に流れるようにするが、そのときリザーブタンク24へは温度制御対象物5からの高温の液がより多く流れこむことになる。そうするとミキシングタンク34内の温調媒体の温度は急激に上昇し、主回路内の高温の温調媒体が一巡してリザーブタンク24に戻ってきたときのリザーブタンク24の温度が最大となる。
【0061】
リザーブタンク24内の液量が少ない場合、リザーブタンク24の温度が最大となるとき、即ち、主回路内の高温の温調媒体が一巡してリザーブタンク24に戻ってきたとき、のリザーブタンク24の温度がより高温になる。
【0062】
このように、蒸発器29に流れ込む温調媒体(循環液)の温度が高温になりすぎた場合は、圧縮式冷凍機の冷媒の温度および圧力が上がりすぎて圧縮機過負荷となり、冷凍機の安全装置の働きにより冷却装置16は停止する。よって冷却装置16を連続運転させたい場合はリザーブタンク24内の液は一定量以上の量が必要となる。
【0063】
またリザーブタンク24内の初期温度が高温だった場合においても、リザーブタンク24内の液量が少ない場合と同様に、リザーブタンク24の温度が最大となったときの温度がより高温になる。
【0064】
このように、蒸発器29に流れ込む温調媒体(循環液)の温度が高温になりすぎた場合は圧縮式冷凍機の冷媒の温度および圧力が上がりすぎて圧縮機過負荷となり、冷凍機の安全装置の働きにより冷却装置16は停止する。よって冷却装置16を連続運転させたい場合は、リザーブタンク24内は常に一定温度以下とする必要がある。
【0065】
これに対して、本発明の実施形態2の温度制御装置200は、室温化手段14を備えているので、高温の温調媒体が受取部から入ってきても、室温化手段14により室温に近づけて冷却装置16に送るので、冷却装置16の許容温度を超えた温調媒体が冷却装置16に流れ込むことが無いように制御可能である。
【0066】
温度制御対象物5が高温の状態から低温の状態に温度変更するときについて説明する。リザーブタンク24はプロトタイプと異なり流路の回路内で並列に接続されているので、少ない液量でも冷却装置16は運転が可能である。また蒸発器29に流れ込む温調媒体(循環液)は室温化手段14により冷却装置16が運転可能な温度まで下げられているため連続運転が可能である。
【0067】
このとき、リザーブタンク24は、流路の回路内で並列に接続されているので、プロトタイプと異なり、リザーブタンク24内の温調媒体全ての温度を下げる必要が無いので、更に、短時間に目標の温度まで温調媒体の温度を下げることができる。
【0068】
図3に示すプロトタイプの温度制御装置300では、温度センサ37により、ミキシングタンク34の温度を測定して、冷却装置16とヒータ18の制御にフィードバックをかけるようになっている。また、プロトタイプの温度制御装置300は、受取部12→ミキシングタンク34→ヒータ18→送出部10という回路内で温調媒体を移動させるためのポンプ32と、リザーブタンク24→冷却装置16→三方制御弁36という回路で温調媒体を移動させるためのポンプ31と、の2つのポンプを必要とするが、本発明の温度制御装置200では、必要なポンプは1台のみである。
【0069】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の第3実施形態の温度制御装置のブロック図である。第3実施形態の説明においては、第1実施形態及び第2実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0070】
図4に示すように、本発明の第3実施形態に係る温度制御装置400は、第2実施形態の温度制御装置200に、ミキシングタンク42と、三方制御弁43とを更に備えたものである。ミキシングタンク42は、室温化手段14及び冷却装置16を通ってきた温調媒体と、受取部12で受け取られたばかりの温調媒体と、を混合するためのものである。
【0071】
三方制御弁43は、受取部12で受け取られた温調媒体のうち、室温化手段14に流入する温調媒体量と、ミキシングタンク42に流入する温調媒体量とを制御するための制御弁である。
【0072】
本発明の第3実施形態に係る温度制御装置400は、ミキシングタンク42を備え、温度制御対象物5から戻ってきた温調媒体と、室温化手段14及び冷却装置16を通ってきた温調媒体とをこのミキシングタンク42で混合して温度調整するので、必要以上に冷却してヒータで加熱するような無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0073】
冷却装置16がフロン冷媒を用いた一般的な圧縮式冷凍機において分岐回路がない場合、冷却液は必ず冷凍機を通るので、温度制御対象物を150℃に制御したい場合でも一旦液温を80℃程度にして再度ヒータで150℃にして送出する必要がある。
【0074】
分岐回路がある場合は150℃以上で戻ってきた冷却液と80℃程度の冷却液の流量を調整することで150℃に調節できるためヒータでの加熱がほとんど不要になるようにミキシングタンクタンク42の温度を調整することができる。第1および第2実施形態ではこのような制御をすることができないが、第3実施形態では可能である。
【0075】
ミキシングタンク42には、混合された温調媒体の温度を測定するための温度センサ44を設置しても良い。この温度センサ44で測定されたミキシングタンク42内の温調媒体温度に応じて、三方制御弁43を制御してミキシングタンク42に向かう温調媒体の量と、室温化手段14に向かい温調媒体の量とを制御することにより、精度良くきめ細やかな温度制御が可能になる。また温度センサ44はミキシングタンク42の排出部付近、または、ミキシングタンク42とヒータ18の間に設置されても良い。コスト的には温度センサ22の1個のみで制御した方がよいが、温調媒体の温度制御が難しくなる。
【0076】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第4実施形態の温度制御装置のブロック図である。第4実施形態の説明においては、第3実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0077】
図5に示すように、本発明の第4実施形態に係る温度制御装置500は、
図4の第3実施形態の三方制御弁43の代わりに、弁54または弁55のうちいずれか一方または両方を設置したものである。弁54、弁55とも二方制御弁であっても良いし、電磁弁であっても良いが、二方制御弁の方が流量の細かい制御ができるので、温度調整もきめ細かく行うことが可能になる。
【0078】
弁54は、室温化手段14に流入する温調媒体量を制御するための弁であり、弁55は、ミキシングタンク42に流入する温調媒体量を制御するための弁である。
【0079】
弁54と弁55は、どちらか一方を備えるだけでも良いが、両方備える方が好ましい。どちらか一方を備えるよりも両方を備えた方が、温調媒体の温度制御性能が向上するからである。
【0080】
第3実施形態のように三方制御弁を1つ用いて一つの弁で室温化手段14への温調媒体の流入量と、ミキシングタンク42への温調媒体の流入量の両方を制御したほうが、一つの弁の制御で温調媒体の温度制御を行うことができるので制御は容易であるが、コスト的には、第4実施形態のように、弁54と弁55とを備えた方が有利な場合もある。三方制御弁は、高価だからである。
【0081】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の第5実施形態の温度制御装置のブロック図である。第5実施形態の説明においては、第4実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0082】
図6に示すように、本発明の第5実施形態に係る温度制御装置600は、
図5の第4実施形態において、室温化手段14と凝縮器27とが同じファン62で冷却されるように構成されたものである。これにより、ファンが1台ですむので装置コストを低減できると共に、ファンの稼働電力も低減可能になる。
【0083】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第6実施形態の温度制御装置のブロック図である。第6実施形態の説明においては、第3実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0084】
図7に示すように、本発明の第6実施形態に係る温度制御装置700は、
図4の第3実施形態において、ヒータ18の位置を三方制御弁43とミキシングタンク42との間に変更したものである。つまり、第3実施形態においては、ミキシングタンク42から流出した温調媒体は、ヒータ18を通って送出部10に送られる構成になっていたが、第6実施形態においては、三方制御弁43から来た温調媒体は、ヒータ18を通ってミキシングタンク42に流入し、ミキシングタンク42から送出部10に送られる構成になっている。
【0085】
第3実施形態においては、ミキシングタンク42で混合された温調媒体が、ヒータ18を通り、加熱が必要な場合はヒータ18で最終的な温調をされるが、第6実施形態では、ミキシングタンク42において最終的な温調をされるので、ミキシングタンク42内で混合されて所定の温度になるように、温度センサ44、または温度センサ22での測定値に基づいてヒータ18と、室温化手段14及び冷却装置16とが制御される。温度センサ22と、温度センサ44とは、どちらか一方があれば良い。
【0086】
また、ヒータ18は、これ以外にも、受取部12と三方制御弁43との間、三方制御弁43と室温化手段14との間、室温化手段14と冷却装置16との間に設置することが可能であり、設置場所がどこであっても送出部10での温調媒体の温度が所定温度になるように、室温化手段14、ヒータ18、冷却装置16を制御すれば良い。
【0087】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第7実施形態の温度制御装置のブロック図である。第7実施形態の説明においては、第3実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0088】
図8に示すように、本発明の第7実施形態に係る温度制御装置800は、
図4の第3実施形態において、ヒータ18とミキシングタンク42との代わりに、これら2つを兼用したミキシングタンク兼用ヒータ82をミキシングタンク42の位置に設置したものである。それ以外は、第3実施形態と同じなので説明は省略する。
【0089】
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態について
図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第8実施形態の温度制御装置のブロック図である。第8実施形態の説明においては、第3実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0090】
図9に示すように、本発明の第8実施形態に係る温度制御装置900は、
図4の第3実施形態において、室温化手段14の熱交換器と凝縮器27とを空冷から水冷に変更したものである。それ以外は第3実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0091】
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第9実施形態の温度制御装置804のブロック図である。第9実施形態の説明においては、第3実施形態と重複している部分の説明は省略し、異なる部分のみを説明する。第9実施形態は、第3実施形態に流路開閉弁84と流路開閉弁85とを取り付けたものである。
【0092】
なお、以下に説明する第9実施形態において得られる有利な効果は、プロトタイプ以外の本発明の実施形態(第1実施形態から第8実施形態)に流路開閉弁84および流路開閉弁85を追加で取り付けることによっても同様に得られるものである。以下において、流路開閉弁84および流路開閉弁85を取り付けることによる効果を説明する。
【0093】
冷却装置16がフロン系冷媒を使用した圧縮式冷凍機の場合、蒸発器29を通る温調媒体(循環液)の温度は一般的に120℃以上にすることはできない。それは、冷凍機内で循環する圧縮機の潤滑油(冷凍機油と呼ばれ、冷凍機の回路を冷媒と共に循環している)が120℃程度で熱分解を始める為である。
【0094】
しかしながら温度制御対象物が150℃程度と高温の場合、冷却装置16を通る側の回路を流れる温調媒体(循環液)を120℃程度にした方がミキシングタンク42での温度制御が容易な場合がある(きめ細かな温度制御が可能となる)。そのときは流路開閉弁84を閉じて、流路開閉弁85を開くことで蒸発器29をバイパスすることができる。また冷凍機の保護機構として上記2つの電磁弁を用いることもできる。これにより、冷凍機油の熱分解を防ぐことができる。
【0095】
この制御および機構を有効にするためには、室温化手段14の出口付近に温度センサ802を追加する必要がある。温度センサ802を室温化手段14の出口付近に設置することにより、室温化手段14から出てきた温調媒体の温度をモニタすることができるので、温調媒体の温度が冷却装置16にダメージを与える温度のときは、流路開閉弁84を閉じ、流路開閉弁85を開くことにより、温調媒体の冷却装置16への流入を阻止し、冷却装置16へのダメージを防ぐことができる。
【0096】
<動作比較>
本発明の第3実施形態に係る温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置との動作を比較して説明する。
【0097】
(1)温調媒体温度150℃一定のとき
温調媒体温度を150℃一定に保つときの第3実施形態に係る温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置の動作について
図11を参照して説明する。
図11は、温調媒体温度が150℃一定の時と温調媒体温度を150℃から80℃に温度変更したときの動作比較表である。
図4と
図11(A)とを参照して、温調媒体温度を150℃で一定に保つ場合、本発明の第3実施形態に係る温度制御装置は、冷却装置16をオフにし、室温化手段14のファンを低回転数動作にし、三方制御弁43を、室温化手段14側流量を小、ミキシングタンク42側流量を大にし、ヒータ18出力を小にして動作する。
【0098】
150℃のように温調媒体温度が室温よりもかなり高温で、且つ温度制御対象物5からの入熱が小さい場合は、その高温150℃を一定に保つには室温化手段14の冷却のみで十分可能である。このとき、室温化手段14のファンの回転数は低回転で良い。それは、温度を一定に保つ場合は室温化手段14側流量が少量であり、且つ温調媒体温度と室温の差が大きい程、室温化手段14の効率が良くなるからである。
【0099】
よって、150℃の温調媒体を温度制御対象物5に供給し、温度制御対象物5からの発熱で温調媒体温度が150℃以上になって受取部12に戻ってきても、室温化手段14側流量を増やし、且つ、ファンの回転数も大きくすることで対応できる。これらの対応において十分な冷却が可能な場合は、冷却装置16は動作を必要としない。このように、温調媒体温度を150℃一定に保つには、冷却装置16をオフにして、即ち消費電力の大きい冷却装置16の圧縮機を停止して、空冷の室温化手段14のみの稼働で可能なので、極めて少ない消費エネルギーで温度調整をすることができる。
【0100】
次に、
図3と
図11(A)を参照して、プロトタイプの温度制御装置が温調媒体温度を150℃一定に保つ場合の動作について説明する。プロトタイプの温度制御装置では、冷却装置16しか温調媒体を冷却するための手段を持たないので、冷却装置は、オン状態である。三方制御弁36は、リザーブタンク24側流量が大で、ミキシングタンク34側流量が小に設定される。ヒータ18は、出力小である。
【0101】
このように、プロトタイプの温度制御装置では、冷却装置16を稼動させなければリザーブタンク24内の温調媒体温度が徐々に上昇し最終的には冷却ができなくなる為、冷却装置16を常に稼働させなければならず、本発明の第3実施形態の温度制御装置と比較すると、温度調整のための消費エネルギーが大きくなる。
【0102】
(2)温調媒体温度を150℃から80℃に変更
温調媒体温度を150℃から80℃に変更するときの第3実施形態に係る温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置の動作について
図11を参照して説明する。
図4と
図11(B)とを参照して、温調媒体温度を150℃から80℃に変更する場合、本発明の第3実施形態に係る温度制御装置は、冷却装置16をオフにし、室温化手段14のファンを高回転数動作にし、三方制御弁43を、室温化手段14側流量を全量、ミキシングタンク42側流量を0にし、ヒータ18出力を0にして動作する。
【0103】
この場合、温調媒体の温度(150℃)が、室温即ち大気温度と比較してかなり高温であり、変更後の温調媒体温度も80℃と大気温度と比較して高温なので、冷却装置16を停止し、空冷により大気と熱交換する室温化手段14のみで温調媒体の温度を十分下げることができる。よって、消費電力が大きい冷却装置16の圧縮機を停止することができるので、低消費電力で温調媒体温度の調整することができる。
【0104】
これに対して、プロトタイプの温度制御装置では、冷却装置16をオン状態にして、冷却装置のみで温調媒体温度を150℃から80℃まで冷却する必要がある。よって、消費電力の大きい冷却装置16の圧縮機を常に稼働させるので、温調媒体の温度調整に大きな電力が必要となる。
【0105】
(3)温調媒体温度を150℃から25℃に変更
温調媒体温度を150℃から25℃に変更するときの第3実施形態に係る温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置の動作について
図12を参照して説明する。
図12は、150℃から25℃に温度変更、25℃一定、25℃から150℃に温度変更したときの動作比較表である。
図4と
図12(C)とを参照して、温調媒体温度を150℃から25℃に変更する場合、本発明の第3実施形態に係る温度制御装置は、冷却装置16を途中からオンにし、室温化手段14のファンを高回転数動作にし、三方制御弁43を、室温化手段14側流量を全量、ミキシングタンク42側流量を0にし、ヒータ18出力を0にして動作する。
【0106】
冷却装置16は、冷却装置16の蒸発器29に流入する温調媒体温度が80℃以下になったとき稼働される。このように、本発明の第3実施形態の温度制御装置は、温調媒体温度が大気温度より高い150℃から80℃までの範囲では、冷却効率が高く消費電力が小さい室温化手段14のみで温調媒体の冷却を行うので低消費電力で温調媒体の温度調整を行うことができる。
【0107】
また、温調媒体温度が80℃以下と十分低い温度になってから冷却装置16を稼働させるので、圧縮機26が過負荷で停止することを防ぐことができる。ここで、室温化手段14のサイズを大きくし、ファンの性能を良くすることで、どのような状態においても冷却装置16の流入温度を80℃以下にすることも可能である。その場合最初から冷却装置16を動作することができるのでより早く目標の温度に到達させることができる。
【0108】
更に、リザーブタンク24は、温調媒体の流れる回路に対して並列に接続されているので、冷却すべき温調媒体の量は少ない。このように、冷却すべき温調媒体の量が少ないので、温調媒体温度を25℃に到達させるまでの時間が短くなる。
【0109】
これに対して、プロトタイプの温度制御装置(
図3、
図12(C)参照)では、リザーブタンク24の液(温調媒体)の温度を例えば0℃などに冷却して保ち、温度変更時に一気にミキシングタンク34に放出して温調媒体の温度を下げようとする。
【0110】
しかしながら、リザーブタンクには、高温の温調媒体が入ってくるので、そのうちリザーブタンク24内の温調媒体温度は上昇する。リザーブタンク24内の温調媒体温度が上昇した後は、リザーブタンク24内の温調媒体全てを冷却する必要があり、しかも冷却は冷却装置のみで行うので、結局、温調媒体温度が25℃に達するまでの時間は、本発明の第3実施形態の温度制御装置と比較してかなり長いものになる。
【0111】
本発明の第3実施形態の温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置の温調媒体温度を150℃から25℃に変更するときの温調媒体温度の評価及びシミュレーション結果を
図13に示す。
【0112】
図13において、縦軸は温調媒体温度、横軸は経過時間を表す。また、一点鎖線はプロトタイプの温度制御装置のヒータ18出口の温調媒体温度(実測値)を表し、破線はプロトタイプの温度制御装置のリザーブタンク24内の温調媒体温度(実測値)を表し、実線は本発明の第3実施形態の温度制御装置のヒータ18出口の温調媒体温度(計算値)を表す。
【0113】
図13に示すように、150℃から80℃の到達時間で比較するとプロトタイプの方がわずかに有利となっている。これはプロトタイプではリザーブタンク24の低温の液を一気に放出することで可能となっている。温調媒体の温度を150℃から50℃以下まで低下させる温度変更では第3実施形態の方が有利となり、25℃までの温度変更の場合は第3実施形態の方が大いに有利となっている。
【0114】
具体的には、ヒータ18出口の温調媒体温度が25℃に到達するまでの時間は、プロトタイプの温度制御装置では12分かかるのに対して、本発明の第3実施形態の温度制御装置では、わずか7分しか必要としない。このように、本発明の第3実施形態の温度制御装置は、プロトタイプと比較して素早く所定温度に達することが分かる。
【0115】
(4)温調媒体温度25℃一定の場合
温調媒体温度を25℃一定に保つ場合の第3実施形態に係る温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置の動作について
図12を参照して説明する。
【0116】
図4と
図12(D)とを参照して、温調媒体温度を25℃一定に保つ場合、本発明の第3実施形態に係る温度制御装置は、冷却装置16をオンにし、室温化手段14のファンを停止し、三方制御弁43を、室温化手段14側流量を小量、ミキシングタンク42側流量を大にし、ヒータ18出力を小にして動作する。
【0117】
このように、温調媒体温度を室温に近い温度で保つ場合は、室温化手段14はオフにしても良い。また、三方制御弁43により、室温化手段14側の流量とミキシングタンク34側の流量とを調整して、ミキシングタンク34で温調媒体の温度を調整することにより、室温近辺の温度である25℃でも精度良く、安定して温度調整をすることができる。
【0118】
プロトタイプの温度制御装置においても、三方制御弁36により、リザーブタンク24側流量とミキシングタンク34側流量を調整することにより、25℃の温度を調整する。
【0119】
(5)温調媒体温度を25℃から150℃に変更
温調媒体温度を25℃から150℃に変更するときの第3実施形態に係る温度制御装置とプロトタイプの温度制御装置の動作について
図12を参照して説明する。
【0120】
図4と
図12(E)とを参照して、温調媒体温度を25℃から150℃に変更する場合、本発明の第3実施形態に係る温度制御装置は、冷却装置16をオフにし、室温化手段14のファンを停止し、三方制御弁43を、室温化手段14側流量を0、ミキシングタンク42側流量を全量にし、ヒータ18出力を大にして動作する。
【0121】
温調媒体温度を昇温させるだけなので冷却装置16は稼働させる必要は無く、室温化手段14のファンも稼働させる必要は無い。そのため、冷却装置16も室温化手段14のファンも停止させるので、それらについて電力消費はない。
【0122】
これに対して、プロトタイプの温度制御装置(
図3参照)は、温調媒体温度を昇温させるだけの場合であっても、リザーブタンク24内の温調媒体温度を低温に保ってないと、温調媒体温度を低く調整する必要が生じたときに迅速な対応ができなくなる。そのため、冷却装置16を常に稼働させる必要があるので、この場合においても大きな電力を消費することになる。
【0123】
以上説明したように、本発明の第3実施形態の温度制御装置は、プロトタイプの温度制御装置と比較すると、全ての面について同等以上の性能を有することが分かる。また、上述した本発明の温度制御装置のプロトタイプに対する有利な点は、従来の温度制御装置に対する有利な点でもある。