(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スクリュープランジャ機の前記第1ステージが、タンデム押出機の第1の押出機であり、前記スクリュープランジャ機の前記第2ステージが、前記タンデム押出機の第2の押出機である、請求項2に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
発泡熱可塑性エラストマーの使用には、例えば、体操用マット、人体保護具、自動車組立での内装部品、音および振動の吸収材、包装材、または靴底用などの、例えば、全ての種類の固体発泡材料製品の製造が挙げられる。好ましい手順は、金型を発泡エラストマーのペレットで満たし、加熱して、個々のペレットの表面を初めに溶融させ、それによってペレットを互いに融合させることである。このようにして、単純なものだけでなく、アンダーカットを有する複雑な形状の中間成形品または完成成形品を製造することができる。
【0003】
特にビーズ発泡体を含む発泡材料が周知されており、文献において、例えば、Ullmannの「Enzyklopaedie der technischen Chemie」、第4版、20巻、416ffページにおいて大々的に記載されている。
【0004】
WO−A2007/082838では、発泡剤を含む発泡熱可塑性ポリウレタンを製造する方法が開示されている。方法の第1の工程は、熱可塑性ポリウレタンをペレットに押出すことを含む。第2の工程において、加圧下、水性懸濁液中の発泡剤をペレットに含浸させ、第3の工程において発泡させる。方法のさらなる実施形態において、熱可塑性ポリウレタンを、押出機で発泡剤と共に溶融させ、装置を用いずに溶融物をペレット化して発泡を妨げる。同じ機械における、熱可塑性ポリウレタンの製造および発泡熱可塑性ポリウレタンへのさらなる加工は、記載されていない。
【0005】
熱可塑性で、加工可能なポリウレタンエラストマーの製造は、例えば、EP−A1213307により既知である。そこで記載された方法によって得られたポリウレタンは密なものであり、発泡エラストマーの製造には使用されない。
【0006】
WO−A2011/005705には、押出機で発泡ポリウレタンを製造する方法が記載されている。ポリウレタンを製造するのに用いられるモノマーを、押出機の第1の部分に導入し、第2の位置で発泡剤を混合し、次いで真空圧下で脱揮発を介入させる。次いで、ポリマーメルトを押出機内で、または押出機の下流端で発泡させ、発泡材料を押出成形する。ここで、製造方法においてたとえ些細な変化であっても、発泡体構造に変化をもたらす可能性があり、均一な発泡体を得たいのであれば、方法の制御は非常に正確でなければならない。得られた中間品および完成品は、架橋結合されたポリウレタンで構成されており、その後、熱成形または他の熱処理によってさらに加工することは不可能である。したがって、所望される中間品または完成品は、極限の最終形状で成形されなくてはならない。アンダーカットを有する複雑な形状の外形を実現することはできない。
【0007】
発泡可能な熱可塑性ポリウレタンペレット材料の製造は、DE−A1300282により既知である。しかし、さらに加工するには、例えば押出機で、再び溶融させることを必要とし、その場合、一般に、押出機で既に発泡が生じる。このように、特に発泡ペレット材料の製造は不可能である。
【0008】
WO−A96/20966には、ポリウレタン製造の成分を押出機で混合し、ベルトに塗布し、発泡させ、ベルト上で硬化させる方法が記載されている。DE−A10056251には、モノマーを硬化させてポリウレタンを形成する工程が押出機から出てくると直ちに行われる、ポリウレタン発泡体を製造する、さらなる方法が記載されている。WO−A96/20966およびDE−A10056251は共に、熱硬化性ポリウレタンで構成された発泡体を記載している。これらは、熱可塑性エラストマーのように、金型に入れてさらに加工することは原則不可能である。とりわけ、ベルトプロセスでは、画定された外形をもたないスラブストック発泡体を製造することしかできないため、WO−A96/20966で得られたポリウレタン発泡体は、形状に関して非常に制限される。これらの材料を成形品へ直接成形することはできないが、例えば、機械加工または切断によって、中間品または最終品へさらに加工する必要があり、その場合、大量の屑を生じる恐れがある。2つの文献に記載されたそうした材料は、架橋結合され、したがってもはや軟化することができないため、その後熱成形することもできない。結果として、複雑な形状の完成品を直接成形することは不可能であり、それらの材料から複雑な形状の完成品を、高い費用と手間をかけて、切削屑を生じて、後で製造することのみが可能である。特にビーズは、どちらの場合でも実現することはできない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態において、工程(b)および工程(c)を1つの機械で実施する。この場合、第1ステージは、スクリュープランジャ機の第1の部分(sector)であり、さらなる原料の有無に関わらず、モノマーおよび/またはオリゴマーからポリマーへの転化が起こるセクターであり、第2ステージは、スクリュープランジャ機の第2の部分であり、第1の部分の直ぐ下流側にあり、物理発泡剤が供給される部分である。この装置は、ペレット製造用の押出機の使用に特に適している。
【0019】
あるいは、工程(b)でポリマーを製造する、第1のスクリュープランジャ機、および工程(c)で物理発泡剤を供給する、第2のスクリュープランジャ機を用いることも可能であり、その場合、第1のスクリュープランジャ機で得られたポリマーメルトを第2のスクリュープランジャ機へ直接移すように、第1および第2のスクリュープランジャ機の間に連結がある。したがって、工程(c)を実施するために第2のスクリュープランジャ機に供給されるのは、ポリマーメルトであり、ポリマーを溶融させる、他の方法では必要な工程を不要にする。ここで使用するのに適切な装置の一例として、タンデム押出機があり、スクリュープランジャ機の第1ステージは、タンデム押出機の第1の押出機であり、スクリュープランジャ機の第2ステージは、タンデム押出機の第2の押出機である。
【0020】
特に好ましい一実施形態において、二軸押出機をスクリュープランジャ機の第1ステージとして用いる。熱可塑性エラストマーを製造するために用いられるモノマーおよび/またはオリゴマーと、また任意にさらなる原料とを供給するのは、この二軸押出機である。モノマーおよび/またはオリゴマーが反応して熱可塑性エラストマーを生成するのは、二軸押出機内である。この場合、スクリュープランジャ機の第1ステージの構成は、滞留時間が、用いられるモノマーおよび/またはオリゴマーが熱可塑性エラストマーへ転化するのに十分であるようになされる。これは、例えば、第1ステージの長さ、スクリュープランジャ機の少なくとも1つのスクリューの回転速度、およびスクリューのネジ山の高さを変えることによって、成し遂げられる。第1ステージの幾何学的データおよび少なくとも1つのスクリューの回転速度によって、滞留時間が決まる。
【0021】
スクリュープランジャ機の第2ステージは、物理発泡剤がその後添加されるところである。ポリマーメルトでの物理発泡剤の均一分布を確実なものにするため、スクリュープランジャ機の第2ステージは、例えば、スクリューに適切な混合器を備えることになる。この場合、さらに静的混合器も使用することができる。
【0022】
メルトポンプもまた、押出機の代わりとして用いることができる。ポリマーでの物理発泡剤の均一分布を達するために、メルトポンプに続いて、ペレット化システムへの入口の上流側に静的混合器があるのが好ましい。
【0023】
ペレット材料は、典型的には、ポリマーメルトをストランドに押出し、ストランドをその後ペレット材料に切断することによって、製造される。ポリマーメルトを物理発泡剤と混合させた結果、押出機から出てくるポリマーメルトは圧力の低下により発泡されて、発泡製品を製造し、したがってペレット化により発泡ペレット材料が製造される。
【0024】
好ましい一実施形態において、ペレット材料は、工程(d)でポリマーメルトを、温度調節ペレット化用ダイの中に押込み通すことと、切断装置を用いて、温度調節ペレット化用ダイの中に押込み通されたポリマーメルトを個々の発泡ペレットへ切断することと、流体(stream)を用いて、ペレットをペレット化チャンバから移出することとによって得られる。この実施形態における温度調節ペレット化用ダイの温度は、好ましくは150〜280℃の間である。
【0025】
ペレット化チャンバでの、ポリマーメルトの無制御な発泡を妨げ、均一に発泡したペレット材料を得るために、周囲圧力より高い圧力をペレット化チャンバへ適用することが有利である。さらに特に好ましいことには、ペレット化チャンバを液体で溢れさせ、発泡剤を含む熱可塑性ポリマーメルトを直接液体中に圧入する。ペレット化チャンバで用いられる液体は、好ましくは水である。
【0026】
連続的な表皮を有する発泡ペレットを製造するために、好ましい一実施形態では、ペレット化チャンバを液流として貫流する温度調節液は、10〜60℃の範囲の温度と、周囲圧力より高い、0.7〜20バールの範囲の圧力を有し、一方で、ペレット化チャンバ内の液体の圧力および温度、同様にペレット化用ダイの温度は、加圧された液体中で、ペレットが物理発泡剤によって発泡するように選択され、物理発泡剤は、連続的な表皮を有する発泡ペレットを製造するように含有される。
【0027】
ポリマー加工機のペレット化装置での必要なペレット化圧力と、また溶融するために必要な温度は、加工されるエラストマー、また用いられる補助材料、および用いられる物理発泡剤によって決まる。さらに、必要な圧力および必要な温度は、エラストマーの成分間の混合比によって決まる。
【0028】
ペレット化チャンバにおいて、温度調節ペレット化用ダイの中に押込み通されたポリマーをストランドに成形し、ストランドを切断装置によって個々の発泡ペレットへ細かくする。切断装置は、例えば高速回転刃として体現することができる。得られるペレットの形状は、ペレット化用ダイの穴の形状および大きさ、またペレット化用ダイの穴の中に溶融物が押込み通される圧力、および切断装置の速度によって決まる。押込み圧力、切断装置の速度、およびペレット化用ダイの穴の大きさは、ペレットの形状が実質的に球状であるように選択されることが好ましい。刃の数、穴の数、および回転刃速度間の関係は、当分野の技術者に既知である。
【0029】
例えば、ペレット化チャンバを貫流する温度調節液を用いて、ペレット化チャンバからペレットを移出する。温度調節液の圧力および温度は、ポリマーのストランド/ペレットが物理発泡剤によって、制御されて発泡するように選択され、物理発泡剤は、ペレットの表面に連続的な表皮を形成するように含有される。
【0030】
ペレットは、温度調節液と共に、例えば、ペレットが液体から分離される乾燥機の中へ流れる。製造済みの発泡性ペレットは容器に収集され、一方で液体は濾過され、ポンプを介してペレット化チャンバへ戻される。
【0031】
液体の温度が制御されている、加圧された液体中でのペレット化は、発泡剤を含むポリマーメルトが、連続的な表皮が形成されない可能性のある、無制御な発泡をするのを妨げる。こうしたビーズは、初めに低いかさ密度を有するが、急速に再びそれぞれ崩壊することになる。その結果、高いかさ密度および低い弾性の不均一なビーズとなるであろう。本発明の方法は、制御してペレットの発泡を緩やかにして、連続的な表皮および内部にセル構造を有する均一な構造の粒子を製造するものであり、セルの大きさは、表面で小さくなり、中心に向かって増大する。中心でのセルの大きさは、250μm未満、好ましくは100μm未満である。発泡ペレットのかさ密度は、典型的には、30g/l〜250g/lの範囲、好ましくは80g/l〜140g/lの範囲である。
【0032】
ペレットの発泡は、ペレット化チャンバ内の温度調節液の、圧力および温度を制御することによって、またペレット化用ダイの温度を制御することによって管理される。ペレットがあまりにも急速に、および/または無制御に発泡した場合、連続的な表皮が形成されないことを意味し、ペレット化チャンバの液体の圧力が上昇し、および/またはペレット化チャンバの温度調節液の温度が低下する。ペレット周辺の温度調節液の圧力が上昇すると、物理発泡剤の発泡効果を妨げ、ペレットの発泡にブレーキをかける。ペレット化チャンバの温度調節液の温度を下げると、ビーズの表皮がより厚くなり、したがって発泡に対してより大きな抵抗をもたらす。温度調節液が、用いられる物理発泡剤に対して、高すぎる圧力または低すぎる温度である場合、ペレットの発泡は、過度に妨げられ、完全に停止さえし、かさ密度が高すぎるペレットを製造する恐れがある。この場合、ペレット化チャンバの温度調節液の圧力は低下し、および/または温度調節液の温度は上昇する。
【0033】
ペレット化チャンバを貫流する温度調節液の圧力が0.7バール〜20バールの間である場合、発泡ペレットは、発泡剤を含むポリマーメルトから製造されることが好ましい。液体の圧力は、より好ましくは5〜15バールの間、さらにより好ましくは10〜15バールの間である。
【0034】
ペレット化チャンバの温度調節液の圧力および/または温度の調整の追加または代替として、ペレットの発泡は、温度調節ペレット化用ダイの温度によっても影響され得る。温度調節ペレット化用ダイの温度を低下すると、ポリマーメルトから周囲へより急速に放熱する効果がある。これは、安定な発泡ペレットの前提条件である、連続的な表皮の形成を促す。温度調節ペレット化用ダイおよび/またはペレット化チャンバの液体の温度が過度に低くされる場合、ポリマーメルトは非常に急速に冷却し、適切な発泡が開始できる前に固化することになる。ペレットに含有される物理発泡剤によるペレットの発泡は、過度に高いかさ密度のペレットを形成するほど激しく妨げられる。したがって、こうした場合、ペレット化チャンバの温度調節液の温度、および/または温度調節ペレット化用ダイの温度は上げられる。
【0035】
ペレットに、連続的な発泡表皮が形成される、制御された発泡がもたらされるために、ペレット化チャンバの液体の温度は、10℃〜60℃の間であることが好ましい。液体の温度は、好ましくは25℃〜45℃の間である。温度調節ペレット化用ダイの温度は、好ましくは150℃〜280℃の間、より好ましくは220℃〜260℃の間、さらにより好ましくは245℃〜255℃の範囲である。
【0036】
ペレット化用ダイ側の過度な温度により、ビーズ表面に薄い表皮がもたらされ、表面が後で崩壊することになる。ペレット化用ダイ側の過度に低い温度により、発泡の程度が減少し、ビーズに厚い、未発泡の表面がもたらされる。
【0037】
本発明の方法を用いて得られたペレット材料は、好ましくは1〜40mgの範囲のビーズ質量を有する。発泡熱可塑性エラストマーの密度は、好ましくは30〜350g/lの範囲である。
【0038】
本発明によれば、用語、物理発泡剤は、その化学構造が発泡過程の間に依然として変わらず、その凝集状態が発泡過程の間に変わることができ、発泡過程で気体状である、発泡剤を示す。発泡剤は、例えば、「Thermoplastic Foam Processing Principles and Development」Richard Gendron編、CRC Press、2005に記載されている。
【0039】
好ましい一実施形態の物理発泡剤は、二酸化炭素、窒素、または二酸化炭素と窒素の混合物を含む。この場合、窒素と二酸化炭素の任意の所望される混合物を用いることができる。しかし、二酸化炭素50質量%〜100質量%、および窒素0質量%〜50質量%を含む、二酸化炭素と窒素の混合物を、発泡剤として用いることが好ましい。代替的にまたは追加的に、発泡剤はまた、例えば、アルカン、ハロゲン化炭化水素、またはそれらの混合物などの有機発泡剤を含むこともできる。これに有用なアルカンには、例えば、エタン、プロパン、ブタン、およびペンタンが挙げられる。CO
2およびN
2は不燃性の不活性ガスであり、そのため、製造中に、潜在的に爆発性の雰囲気が生ずる可能性がないため、さらなる発泡剤を添加することなく、CO
2および/またはN
2、またそれらの組合せを発泡剤として単独で使用することが特に有利である。これにより、費用がかかる安全予防措置が不要になり、製造中の潜在的な危険性が大いに低下する。製品を送り出す前に、製品を保管して、可燃性揮発性物質を排出させる必要がないことは同様に有利である。
【0040】
1つまたは複数の造核剤を、発泡剤を含むポリマーメルトにさらに添加すると、さらなる利点が生ずる。有用な造核剤は、特に、滑石、フッ化カルシウム、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、カーボンブラック、グラファイト、顔料、およびポリテトラフルオロエチレン微粉末を、それぞれ単独で、そうでない場合任意の混合物で含む。滑石は、造核剤として用いるのに特に好ましい。熱可塑性成形組成物、または造核剤に帰する、ポリマーメルトの全質量の割合は、好ましくは0〜4質量%の範囲であり、特に、0.1〜2質量%の範囲である。造核剤を、第1ステージまたは第2ステージのいずれかで添加することができる。
【0041】
物理発泡剤は、例えば、物理発泡剤の物理的状態に応じて、ガス供給装置または液体供給装置を用いて、注入バルブを介して、ポリマー加工機へ添加することができる。
【0042】
発泡ペレット材料を製造するのに用いられる熱可塑性エラストマーは、例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えば、ポリエーテルエステルもしくはポリエステルエステル、熱可塑性コポリアミド、例えば、ポリエーテルコポリアミド、またはスチレンブロックコポリマー、例えば、スチレンブタジエンブロックコポリマーから選択される。熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンであることが特に好ましい。
【0043】
反応して熱可塑性エラストマーをもたらす、モノマーおよび/またはオリゴマーに加えて、さらなる原料を添加することができる。さらなる原料の混合物は、エラストマーの、物理的性質および/または化学的性質を調整するのに用いることができる。さらに、触媒もまた、モノマーおよび/またはオリゴマーの反応を触媒してポリマーをもたらすように、さらなる原料として任意に添加することができる。
【0044】
さらなる添加剤は、例えば、造核剤、界面活性物質、充填剤、難燃剤、例えば、リン含有系、核生成剤、酸化安定剤、例えば、加水分解、光、熱、または変色に対する、追加のさらなる安定剤、強化剤および可塑剤、スリップ助剤および離型助剤、染料および顔料、また任意の所望されるそれらの混合物から選択することができる。充填剤が用いられる場合、充填剤は、有機および/もしくは無機の、粉末または繊維状材料、同様にそれらの混合物であることができる。平均粒径、または、繊維状充填剤の場合、充填剤の長さは、ほぼセルの大きさ以下であるべきである。平均粒径または平均繊維長さは、0.1〜100μmの範囲、好ましくは1〜50μmの範囲であることが好ましい。
【0045】
熱可塑性ポリウレタンが用いられる場合、熱可塑性ポリウレタンは、当分野の技術者に既知である、任意の所望される熱可塑性ポリウレタンであってもよい。熱可塑性ポリウレタンおよびそれらの製造方法は、例えば、Gerhard W. BeckerおよびDietrich Braun、Kunststoffhandbuch、7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、Munich、Vienna、1993に大々的に記載されている。
【0046】
好ましい一実施形態において、熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネートの混合物を、モノマーまたはオリゴマーである、好ましくは0.5kg/モル〜10kg/モルの分子量を有するイソシアネート反応性化合物と、任意に、好ましくは0.05kg/モル〜0.5kg/モルの分子量を有する連鎖延長剤と反応させることによって製造される。さらに好ましい一実施形態では、熱可塑性ポリウレタンは、少なくとも1つの連鎖移動剤、触媒、ならびに任意に少なくとも1つの充填剤、補助剤、および/または混合剤を混合物へさらに添加することによって製造される。
【0047】
熱可塑性ポリウレタンの製造には、とにかくイソシアネートとイソシアネート反応性化合物の混合物が必要である。連鎖延長剤、連鎖移動剤、触媒、ならびに充填剤、補助剤、および/または混合剤をさらに添加することは任意であり、単独で、または全ての可能な組合せで行うことができる。
【0048】
好ましい実施形態では、有機イソシアネートとして、脂肪族、脂環式、および/または芳香族のイソシアネートが用いられる。芳香族、脂肪族、および/または脂環式のジイソシアネートを用いることが特に好ましい。好ましいジイソシアネートの例は、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2−エチル−1,4−ブチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート、およびフェニレンジイソシアネートである。
【0049】
イソシアネートに加えて、熱可塑性成形組成物は、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物で構成される。イソシアネート反応性水素含有基は、好ましくはヒドロキシル基である。少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物がポリエーテルオール、ポリエステルオール、およびポリカーボネートジオールから選択されることが特に好ましい。この文脈において、ポリエステルオール、ポリエーテルオール、および/またはポリカーボネートジオールはまた、通常、用語「ポリオール」に含まれる。
【0050】
熱可塑性ポリウレタンは、好ましくはポリエーテルアルコールから製造される。この場合、ポリエーテルジオールを用いることが特に好ましい。ポリテトラヒドロフランは、特に好ましいポリエーテルジオールである。例えば、0.6kg/モル〜2.5kg/モルの間の分子量を有するポリテトラヒドロフランなどのポリエーテルアルコールを用いることが好ましい。ポリエーテルアルコールは、単独で、そうでない場合様々なポリエーテルアルコールの混合物として用いられる。
【0051】
代替の実施形態において、熱可塑性ポリウレタンを製造するのに、ポリエステルアルコールが用いられる。好ましい一実施形態で、ポリエステルジオールが、熱可塑性ポリウレタンの製造用に用いられる。好ましいポリエステルジオールは、アジピン酸および1,4−ブタンジオールから製造される。好ましい実施形態では、ポリエステルアルコールは0.6kg/モル〜2.5kg/モルの間の分子量を有する。
【0052】
さらに好ましい実施形態において、熱可塑性ポリウレタンを製造するのに用いられるポリオールは、0.5kg/モル〜8kg/モル、より好ましくは0.6kg/モル〜6kg/モル、特には0.8kg/モル〜4kg/モルの分子量を有する。さらに好ましい実施形態において、ポリオールは、1.8〜2.3、より好ましくは1.9〜2.2、特には2の平均官能基数を有する。特に好ましい一実施形態において、ポリオールは、ポリエステルアルコールであり、好ましくはポリテトラヒドロフランから合成され、さらに好ましい一実施形態において、0.6kg/モル〜2.5kg/モルの間の分子量を有する。
【0053】
熱可塑性ポリウレタンが連鎖延長剤を用いて製造される場合、連鎖延長剤は、好ましくは、脂肪族、芳香族、および/または脂環式の化合物であり、さらに好ましい実施形態において、0.05kg/モル〜0.5kg/モルの分子量を有する。連鎖延長剤は、例えば2つの官能基を有する化合物であり、例えば、アルキレン部分に2〜10個の炭素原子を有する、ジアミンおよび/またはアルカンジオール、特に、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ならびに/または3〜8個の炭素原子を有する、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−、および/もしくはデカアルキレングリコール、ならびに対応するオリゴ−、および/もしくはポリプロピレングリコールである。熱可塑性ポリウレタンを製造するさらなる実施形態では、連鎖延長剤の混合物が用いられる。
【0054】
連鎖移動剤が用いられる場合、連鎖移動剤は、典型的には、0.03kg/モル〜0.5kg/モルの分子量を有する。連鎖移動剤は、イソシアネートに対し1つの官能基のみを有する化合物である。連鎖移動剤の例は、単官能アルコール、単官能アミン、好ましくはメチルアミンおよび/または、単官能ポリオールである。連鎖移動剤は、個々の成分の混合物の流動特性を特に制御するために用いることができる。好ましい実施形態における連鎖移動剤は、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物100質量部に対して、0質量部〜5質量部の量で、より好ましくは、0.1質量部〜1質量部の範囲で用いられる。連鎖移動剤は、連鎖延長剤に加えてまたは連鎖延長剤の代わりに用いられる。
【0055】
さらなる実施形態では、ジイソシアネートのイソシアネート基と、イソシアネート反応性化合物、好ましくは、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基、連鎖移動剤および連鎖延長剤を有する化合物のヒドロキシル基との反応を特に触媒するように、熱可塑性ポリウレタンを製造するための、少なくとも1つの触媒が用いられる。好ましい実施形態において、触媒は、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、および同様の物質などの、第三級アミンの群から選択される。さらに好ましい実施形態において、少なくとも1つの触媒は、有機金属化合物の群から選択され、例として挙げれば、チタン酸エステル、例えば、鉄(III)アセチルアセトネートなどの鉄化合物、例えば、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレートなどのスズ化合物、またはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどの、脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩等である。
【0056】
いくつかの実施形態では、触媒は単独で用いられるが、他の実施形態では、触媒の混合物が用いられる。好ましい一実施形態で用いられる触媒は、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物、好ましくはポリヒドロキシ化合物に対して、0.0001質量%〜0.1質量%の量の、触媒の混合物である。
【0057】
有用な補助剤および/または混合剤には、例えば、加水分解調整剤および難燃剤が挙げられる。さらなる混合剤および補助剤は、例えば上記の、Gerhard W. BeckerおよびDietrich Braun、Kunststoffhandbuch、7巻「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、Munich、Vienna、1993などの、標準的な参照文献から確認できる。
【0058】
触媒に加えて、また触媒を使用しない場合にも、熱可塑性ポリウレタンを製造するために、例えば、ポリマーおよび低分子量カルボジイミドなどの加水分解調整剤もまた、イソシアネート、および少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物に添加することができる。
【0059】
さらなる一実施形態において、熱可塑性ポリウレタンは、リン化合物を含むことができる。
【0060】
熱可塑性ポリウレタンのショア硬さを設定するために、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基および連鎖延長剤を有する化合物を、比較的広範囲のモル比で変化させることができる。好ましい実施形態において、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物対用いられた全ての連鎖延長剤のモル比は、10:1〜1:10の範囲、好ましくは、5:1〜1:8の範囲、より好ましくは1:1〜1:4の範囲であり、連鎖延長剤含有量が増加すると、熱可塑性ポリウレタンの硬さは増す。ショア硬さは、好ましくはA44〜D30の範囲、より好ましくはA62〜A95の範囲、最も好ましくはA62〜A85の範囲である。ショア硬さは、密な、すなわち未発泡の、熱可塑性ポリウレタン用のDIN53505に従って決定される。
【0061】
さらに好ましい実施形態において、熱可塑性ポリウレタンを生成する反応は、慣習的指数で実施される。指数は、反応で用いられる、芳香族、脂肪族、および/または脂環式のジイソシアネートのイソシアネート基の総数対イソシアネート反応性基の総数、すなわち、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物および連鎖延長剤の活性水素の数の比として定められる。指数100は、芳香族、脂肪族、および/または脂環式のジイソシアネートのイソシアネート基につき、1つの活性水素原子、すなわち、少なくとも2つのイソシアネート反応性水素含有基を有する化合物および連鎖延長剤の1つのイソシアネート反応性官能基があることを意味する。100を超える指数は、イソシアネート反応性基、例えばヒドロキシル基があるよりも、より多くのイソシアネート基があることを意味する。
【0062】
特に好ましい実施形態において、熱可塑性ポリウレタンを生成する反応は、指数60〜120の間で起こり、より好ましくは指数80〜110の間で起こる。
【0063】
さらに、熱可塑性成形組成物は、任意に、少なくとも1つの添加剤を含むことができる。用語、添加剤には、充填剤、補助剤、および混合剤、また上記の、連鎖移動剤、連鎖延長剤、ならびに触媒が含まれる。添加剤は、任意の所望される混合物で用いることができる。添加剤に帰する、熱可塑性成形組成物の全質量の割合は、好ましくは0〜80質量%の範囲である。
【0064】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンを製造するために用いられる材料を、ポリマー加工機の第1ステージに添加する。材料を、ポリマー加工機の注入口で連結供給ポートを介して、またはポリマー加工機、特にスクリュープランジャ機の長さに沿って配置された、2つ以上の供給ポートを介して添加することができる。モノマーおよび/またはオリゴマー、同様に任意に必要な触媒を初めに添加し、モノマーおよび/またはオリゴマーの少なくとも一部分が既に反応して、ポリマーを生成した後で、ポリマーの特性を設定するための、さらなる添加剤を後のポートで添加するのが好ましい。
【0065】
二軸押出機は、発泡ペレット材料の製造に適したポリマー加工機の一例である。二軸押出機の長さは、モノマーおよび/またはオリゴマーが反応してポリマーを生成する領域の後に、圧力確定領域が続くことができるように選択される。この目的のためには、第2ステージの下流端の上流側へ、少なくとも15L/D(L/Dは、長さ対直径の比を表す)の長さに沿って、圧力を確定できるように長さを選択することが特に有利である。少なくとも1つの、制限的輸送要素または混練要素、好ましくは、2つまたは3つの、制限的輸送要素または混練要素を用いて、反応領域と圧力確定領域を互いに分離することができる。モノマーおよび/またはオリゴマー間の反応の下流側での圧力確定は、例えば、スクリュー要素の構成、スクリュー速度などのプロセスパラメーター、および/または押出機の下流側でのギアポンプの使用によって、確実なものにすることができる。これにより、二軸押出機の圧力を、周囲圧力より高い、50バール以上で、好ましくは、60〜100バールでもたらされる。例えば、ガス計量装置を用いて、注入バルブを介して、物理発泡剤が添加されるのは、この圧力が行き渡る領域である。添加後、5L/D以上、好ましくは10L/D以上の長さに沿って、混合要素によって、物理発泡剤がポリマーメルトと均一に混合される。発泡剤を含むメルトを輸送するために、輸送要素を、二軸押出機の少なくとも1つのスクリューにさらに提供することができる。
【0066】
代替の一実施形態において、ポリマー加工機の第1ステージに続いて、第2ステージとして、物理発泡剤用の供給ポートを備えるメルトチャネル(melt channel)がある。この場合、第2ステージは、メルトポンプおよび静的混合器をさらに備える。メルトチャネルは、例えば、ポリマーメルトが貫流し、物理発泡剤を取り込むことができる、加熱可能なチューブである。注入バルブを、メルトチャネルおよび発泡剤の添加に用いるガス計量装置に同様に提供することができる。メルトポンプは、添加された物理発泡剤を含むポリマーメルトを静的混合器およびペレット化装置の中に押込み通すのに要する、必要な圧力を決める。メルトポンプは、メルトチャネルと静的混合器の間、または代替的に第1ステージとメルトチャネルの間のいずれかに配置することができる。メルトポンプがメルトチャネルと静的混合器の間に配置される場合、ポリマーを生成する、モノマーおよび/またはオリゴマーの反応過程で第1ステージの圧力を蓄積するように、さらに、圧力が、ポリマーメルトを、メルトチャネルを介して輸送するのにも十分であるように、第1ステージを構成する必要がある。このためには、メルトチャネルを第1ステージに、直接または配管ラインを介して、連結することがさらに必要である。
【0067】
静的混合器を用いて、物理発泡剤をポリマーメルトに均一に分布させる。静的混合器は、ポリマーメルトの凝固を防ぐために、加熱されるのが好ましく、例えば、ポリマーメルトの滞留時間が0.5秒より長く、好ましくは3秒より長くなるように構成された、少なくとも1L/Dの工程長さ、好ましくは少なくとも5L/Dの長さを有する混合要素で構成される。
【0068】
次いで、二軸押出機または静的混合器に続いて、ペレット材料を製造するのに適したシステム、特にペレット化装置がある。
【実施例】
【0069】
[実施例1]
熱可塑性ポリウレタンを混合し合成するための反応押出機として用いられる、Coperion GmbH ZSK43二軸押出機の加工部分の上流端から6L/Dの位置で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート2モル、モル質量1000g/モルであるポリテトラメチレングリコール1モル、1,4−ブタンジオール1モル、また滑石造核剤0.2質量部、およびスズ(II)ジオクトエート触媒30ppmを添加し、180〜220℃の間の温度で混合し、反応させた。6L/Dの距離は、モノマーが駆動装置へ逆流して入るのを止めるために選択される。逆流するモノマーを、スクリューによって輸送方向へ移すように再び運ぶ。
【0070】
反応混合物を、反応押出機から、主要な押出機として用いられている、Coperion GmbH ZSK92二軸押出機へ移す。主要な押出機の供給ホッパーは、加工部分の上流端から6L/Dに配置される。主要な押出機において、反応は、200〜240℃の範囲の温度で、さらに進められる。主要な押出機の下流端から15L/Dの位置で、物理発泡剤として用いられている、窒素0.2質量部および二酸化炭素1.5質量部は、ガス計量装置を用いてポリマーメルトへ注入される。メルトポンプは、発泡剤を含むポリマーメルトを、200℃の温度調節ペレット化用ダイの中に押入れて、水流が貫流するペレット化チャンバへと向ける。ペレット化用ダイの穴は、直径1.8mmである。ペレット化チャンバの回転刃によって、ポリマーメルトは、ペレット化用ダイの面で、ビーズ質量20mgであるペレットへ細断される。圧力が10バール、温度が30℃である水によって、ペレットは、ペレット化チャンバから移出され、遠心式乾燥機へ運ばれる。遠心式乾燥機において、ペレットは水から分離され、乾燥される。こうして得られた発泡ペレット材料のかさ密度は、140g/lである。
【0071】
[実施例2]
用いられた物理発泡剤が、窒素0.2質量部および二酸化炭素2質量部であったことを除いては、実施例1を繰り返した。ペレット化用ダイの穴は、直径2.4mmであった。ペレット化チャンバを貫流する水は、圧力5バール、温度20℃である。このように得られたペレットは、ビーズ質量32mg、かさ密度120g/lである。
【0072】
[実施例3]
用いられた物理発泡剤が、窒素0.3質量部および二酸化炭素2.5質量部であったことを除いては、実施例1を繰り返した。主要な押出機に続いて、物理発泡剤が注入されたメルトチャネルがある。メルトチャネルに続いて、メルトポンプがあり、それによって物理発泡剤を含むポリマーメルトが、分散器として用いられる240℃の温度調節静的混合器の中に押込み通される。静的混合器に続いて、直径1mmの穴を有する、ペレット化用ダイがあり、それを介して、ポリマーメルトをペレット化チャンバへ圧入する。こうして得られたペレット材料は、ビーズ質量5mgに調整された。ペレット化チャンバを貫流する水は、圧力20バール、温度35℃である。こうして得られたペレット材料のかさ密度は、100g/lである。