特許第6497527号(P6497527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497527
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】レジストパターン被覆用塗布液
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20190401BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20190401BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20190401BHJP
   C09D 201/04 20060101ALI20190401BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G03F7/40 511
   C09D201/06
   C09D7/12
   C09D201/04
   C09D133/00
【請求項の数】12
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2016-548967(P2016-548967)
(86)(22)【出願日】2015年9月18日
(86)【国際出願番号】JP2015076715
(87)【国際公開番号】WO2016043317
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-190849(P2014-190849)
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-201382(P2014-201382)
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 登喜雄
(72)【発明者】
【氏名】志垣 修平
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 徳昌
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
【審査官】 川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−156629(JP,A)
【文献】 特開2014−142634(JP,A)
【文献】 特開2011−197628(JP,A)
【文献】 特開2001−281886(JP,A)
【文献】 特開2016−048373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/40
C09D 133/00
C09D 201/04
C09D 201/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A成分:少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有するポリマー、
B成分:A−SOH(式中、Aは炭素原子数1乃至16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有する芳香族基、又は置換基を有してもよい炭素原子数4乃至16の脂環式基を表す。)で表されるスルホン酸、並びに
C成分:R−O−R及び/又はR−C(=O)−R(式中、Rは炭素原子数3乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表す。)で表される化合物からなる、前記ポリマーを溶解可能な有機溶媒、
を含むレジストパターン被覆用塗布液であって、
前記A成分であるポリマーが、下記式(A)で表される構造単位を少なくとも2種有するコポリマーであり、
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、
Lは少なくとも1つの置換基を有してもよい二価の芳香族基、−C(=O)−O−基又は−C(=O)−NH−基を表し、該−C(=O)−O−基又は−C(=O)−NH−基の炭素原子はポリマーの主鎖と結合するものであり、
Xは水素原子、又は炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、該アルキル基は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)
該コポリマーは、
Lが少なくとも1つの置換基を有してもよい二価の芳香族基を表す構造単位と、
Lが−C(=O)−O−基を表す構造単位及び/又は−C(=O)−NH−基を表す構造単位とを有し、
但し前記式(A)で表される構造単位を有するコポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基、あるいは少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基と少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を含有する、
レジストパターン被覆用塗布液。
【請求項2】
前記Lにおける二価の芳香族基はフェニレン基又はナフチレン基である、請求項1に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【請求項3】
A成分:少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有するポリマー、
B成分:A−SOH(式中、Aは炭素原子数1乃至16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有する芳香族基、又は置換基を有してもよい炭素原子数4乃至16の脂環式基を表す。)で表されるスルホン酸、並びに
C成分:R−O−R及び/又はR−C(=O)−R(式中、Rは炭素原子数3乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表す。)で表される化合物からなる、前記ポリマーを溶解可能な有機溶媒、
を含むレジストパターン被覆用塗布液であって、
前記A成分であるポリマーが、下記式(1−1)乃至式(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマー、あるいは下記式(1−1)〜式(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーであって少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を含有するポリマーであるレジストパターン被覆用塗布液。
【化2】
(式中、Arは炭素原子数6乃至18の芳香族環を少なくとも1つ含む二価、四価、六
価又は八価の有機基を表し、Arはメチレン基又は第3級炭素原子を介してArと結合している炭素原子数6乃至18の芳香族環を含む二価の有機基を表し、前記芳香族環のうち少なくとも1つは置換基としてヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する。)
【請求項4】
前記Arで表される二価、四価、六価又は八価の有機基は下記式(2−1)乃至式(2−5)のいずれかで表される化合物の芳香族環上の任意の2個所、4個所、6個所又は8個所からの結合端を有する基であり、
該Arは下記式(3−1)で表される二価の有機基又は下記式(3−2)で表される二価の有機基を表す、請求項に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【化3】
【化4】
〔式中、R乃至R14、R16及びR17は各々独立して炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、炭素原子数1乃至9の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アセトキシ基、メチルチオ基、又はアミノ
基を表し、該アルキル基は少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アミノ基は少なくとも1つの水素原子が炭素原子数1乃至3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよく、T乃至T14、T16及びT17は各々独立してヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、T15は水素原子又はメチル基を表し、Q及びQは各々独立して単結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、イミノ基、炭素原子数6乃至40のアリーレン基、又は炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基を表し、該アルキレン基は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、m1乃至m4は各々独立して0乃至2の整数を表し、r4、r5及びr8乃至r14は各々独立して0乃至2の整数を表し、t4、t5及びt8乃至t14は各々独立して0乃至2の整数を表し、r3、r6、r7及びr17は各々独立して0乃至8の整数を表し、t3、t6、t7及びt17は各々独立して0乃至8の整数を表し、r16は0乃至9の整数を表し、t16は0乃至9の整数を表し、r3とt3の合計、r4とt4の合計、r5とt5の合計、r6とt6の合計、r7とt7の合計、r8とt8の合計、r9とt9の合計、r10とt10の合計、r11とt11の合計、r12とt12の合計、r13とt13の合計、r14とt14の合計、r16とt16の合計、及びr17とt17の合計は各々独立して1乃至10の整数である。〕
【請求項5】
前記A成分であるポリマーが、1000乃至20000の重量平均分子量を有する、請求項又は請求項に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【請求項6】
前記A成分であるポリマーが、1000乃至2000の重量平均分子量を有する、請求項1又は請求項に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【請求項7】
前記スルホン酸を表す式中、Aにおける芳香族基はフェニル基又はナフチル基である、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【請求項8】
前記スルホン酸を表す式中、Aで表される基は、炭素原子数4乃至12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、又は該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有するフェニル基を表し、
該スルホン酸の含有割合は前記A成分であるポリマーに対して0.5質量%乃至60質量%である、
請求項に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【請求項9】
1質量ppm乃至1質量%の水を含む、請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載のレジストパターン被覆用塗布液。
【請求項10】
下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、
前記レジストパターンを被覆するように請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、
前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、
前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、及び
前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンを、リンス液でリンス処理する工程
を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項11】
下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、
前記レジストパターンを被覆するように請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、
前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前
記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、
前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、
前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンのパターン間を充填するように、ポリシロキサンと水及び/又はアルコール類を含有する溶媒とを含む第2の塗布液を塗布する工程、
前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分及び前記現像液を除去し又は減少させて塗膜を形成する工程、
前記塗膜をエッチバックして前記現像液で現像後のレジストパターンの上面を露出させる工程、及び上面が露出した前記レジストパターンを除去する工程、を含む、反転パターンの形成方法。
【請求項12】
下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、
前記レジストパターンを被覆するように請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、
前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、
前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、
前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンを、リンス液でリンス処理する工程、
前記リンス液でリンス処理後のレジストパターンのパターン間を充填するように、ポリシロキサンと水及び/又はアルコール類を含有する溶媒とを含む第2の塗布液を塗布する工程、
前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分及び前記リンス液を除去し又は減少させて塗膜を形成する工程、
前記塗膜をエッチバックして前記リンス液でリンス処理後のレジストパターンの上面を露出させる工程、及び
上面が露出した前記レジストパターンを除去する工程、を含む、反転パターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの幅又は径を縮小させることが可能な、レジストパターン被覆用塗布液に関するものである。さらに、該塗布液を用いた、レジストパターンの形成方法、及び反転パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造において、レジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工は、シリコンウェハー等の半導体基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もi線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)からArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化されている。
【0003】
そして現在、さらなる微細加工技術である、EUV(極端紫外線の略称、波長13.5nm)露光を採用したリソグラフィーが検討されている。しかしながら、高出力のEUV光源の開発遅れ等の理由により、EUV露光を採用したリソグラフィーは未だ実用化(量産化)に至っていない。
【0004】
一方、レジストパターン縮小化のための材料をレジストパターン上に塗布し、当該レジストパターンを微細化(縮小化)させる方法、及びそのために使用される前記塗布材料が知られている(例えば、特許文献1乃至特許文献4)。この方法を採用することによって、既に実用化されているArFエキシマレーザーによる露光を採用したリソグラフィーによって作製したレジストパターンを、更に微細化することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−281886号公報
【特許文献2】特開2010−49247号公報
【特許文献3】特開2011−257499号公報
【特許文献4】特開2013−145290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている水溶性樹脂を含有する水溶液(レジストパターン縮小化材料)は、有機溶媒と比較して表面張力の高い水を溶媒として使用することから、レジストパターンに対する塗布性に難がある。そのため、界面活性剤を添加するか、又は水溶性のアルコール類を水と混合して使用する必要がある。特許文献2に記載されているレジストパターン微細化組成物は、ポリマーを含まない溶液であることから、微細化対象のレジストパターンの形状に依存して、微細化される割合にバラツキが起こり易い。特許文献3に記載されているパターン微細化処理剤は、酸発生剤成分を含有するものであり、該パターン微細化処理剤の塗布後に行うベーク処理を130℃以上の高い温度で行うか、又は該パターン微細化処理剤の塗布後に露光する工程を追加することが求められる。特許文献4に記載されている微細パターンの形成方法は、ネガ型現像プロセスにより形成されたレジストパターンを狭小化する、すなわち該レジストパターン上に被覆膜を形成した後、加熱することによりレジストパターン間の間隔であるスペース幅を小さくすることを目的とする。したがって、同文献に開示される前記微細パターンの形成方法は、レジストパターンの幅又は径を縮小させることを目的としていない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、レジストパターンの幅を縮小させることが可能な、レジストパターン被覆用塗布液、該塗布液を用いたレジストパターンの形成方法、及び該塗布液を用いた反転パターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
A成分:少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有するポリマー、
B成分:A−SOH(式中、Aは炭素原子数1乃至16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有する芳香族基、又は置換基を有してもよい炭素原子数4乃至16の脂環式基を表す。)で表されるスルホン酸、並びに
C成分:R−O−R及び/又はR−C(=O)−R(式中、Rは炭素原子数3乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表す。)で表される化合物からなる、前記ポリマーを溶解可能な有機溶媒、
を含むレジストパターン被覆用塗布液である。
前記A成分であるポリマーは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基をさらに含有することができる。
【0009】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる前記A成分であるポリマーは、下記式(A)で表される構造単位を有するポリマーとすることができる。
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、
Lは少なくとも1つの置換基を有してもよい二価の芳香族基、−C(=O)−O−基又は−C(=O)−NH−基を表し、該−C(=O)−O−基又は−C(=O)−NH−基の炭素原子はポリマーの主鎖と結合するものであり、
Xは水素原子、又は炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基を表し、該アルキル基は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよい。)
但し上記式(A)で表される構造単位を有するポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有するものであり、さらに、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を含有することができる。
【0010】
前記A成分であるポリマーは、好ましくは前記式(A)で表される構造単位を少なくとも2種有するコポリマー、例えば、Lが少なくとも1つの置換基を有してもよい二価の芳香族基を表す構造単位と、Lが−C(=O)−O−基を表す構造単位及び/又は−C(=O)−NH−基を表す構造単位とを有するコポリマーとすることができる。
また、前記式(A)において、前記Lにおける二価の芳香族基はフェニレン基又はナフチレン基とすることができる。
【0011】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる前記A成分であるポリマーはまた、下記式(1−1)乃至式(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーとすることができる。
【化2】
(式中、Arは炭素原子数6乃至18の芳香族環を少なくとも1つ含む二価、四価、六価又は八価の有機基を表し、Arはメチレン基又は第3級炭素原子を介してArと結合している炭素原子数6乃至18の芳香族環を含む二価の有機基を表し、前記芳香族環のうち少なくとも1つは置換基としてヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する。)
上記式(1−1)〜(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基をさらに含有することができる。
【0012】
前記Arで表される二価、四価、六価又は八価の有機基は、例えば、下記式(2−1)乃至式(2−5)のいずれかで表される化合物の芳香族環上の任意の2個所、4個所、6個所又は8個所からの結合端を有する基であり、該結合端と前記Arで表される二価の有機基が結合するものであり、該Arは下記式(3−1)で表される二価の有機基又は下記式(3−2)で表される二価の有機基を表すものとすることができる。
【化3】
【化4】
〔式中、R乃至R14、R16及びR17は各々独立して炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、炭素原子数1乃至9の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アセトキシ基、メチルチオ基、又はアミノ基を表し、該アルキル基は少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アミノ基は少なくとも1つの水素原子が炭素原子数1乃至3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよく、T乃至T14、T16及びT17は各々独立してヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、T15は水素原子又はメチル基を表し、Q及びQは各々独立して単結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、イミノ基、炭素原子数6乃至40のアリーレン基、又は炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基を表し、該アルキレン基は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、m1乃至m4は各々独立して0乃至2の整数を表し、r4、r5及びr8乃至r14は各々独立して0乃至2の整数を表し、t4、t5及びt8乃至t14は各々独立して0乃至2の整数を表し、r3、r6、r7及びr17は各々独立して0乃至8の整数を表し、t3、t6、t7及びt17は各々独立して0乃至8の整数を表し、r16は0乃至9の整数を表し、t16は0乃至9の整数を表し、r3とt3の合計、r4とt4の合計、r5とt5の合計、r6とt6の合計、r7とt7の合計、r8とt8の合計、r9とt9の合計、r10とt10の合計、r11とt11の合計、r12とt12の合計、r13とt13の合計、r14とt14の合計、r16とt16の合計、及びr17とt17の合計は各々独立して1乃至10の整数である。〕
【0013】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる前記A成分であるポリマーの重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で1000以上である。
前記A成分であるポリマーが、前記式(A)で表される構造単位を有するポリマーであるとき、その重量平均分子量は例えば1000乃至2000である。
また、A成分であるポリマーが、前記式(1−1)乃至式(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーであるとき、その重量平均分子量は例えば1000乃至20000、又は1000乃至4000である。
【0014】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる前記B成分であるスルホン酸は、その式中、Aにおける芳香族基は例えばフェニル基又はナフチル基であり、好ましくはフェニル基である。
また前記スルホン酸を表す式中、Aで表される基は、好ましくは、炭素原子数4乃至12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、又は該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有するフェニル基を表し、そして該スルホン酸の含有割合は前記A成分であるポリマーに対して0.5質量%乃至60質量%であることが好ましい。
【0015】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液は、1質量ppm乃至1質量%、好ましくは1質量ppm乃至0.5質量%の水を含有してもよい。本発明のレジストパターン被覆用塗布液が1質量%を超えて水を含有する場合、該塗布液に含まれる有機溶媒は水に溶けにくいため、均一な溶液を調製することが困難となる。一方、本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる水の濃度の下限値は、水分濃度を測定するために一般的に使用される装置、例えばカールフィッシャー水分計の測定限界値である。本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる水は、意図的に添加されてもよく、不純物として意図せず含まれるものでもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は、下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンを被覆するように本発明のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、及び前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンを、リンス液でリンス処理する工程を含む、レジストパターンの形成方法である。本発明において、リンス処理する工程とは、前記基板上に残留する現像液をリンス液に置換することによって、前記現像液を除去する工程を意味する。
【0017】
本発明の第3の態様は、下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンを被覆するように本発明のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンのパターン間を充填するように、ポリシロキサンと水及び/又はアルコール類を含有する溶媒とを含む第2の塗布液を塗布する工程、前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分及び前記現像液を除去し又は減少させて塗膜を形成する工程、前記塗膜をエッチバックして前記現像液で現像後のレジストパターンの上面を露出させる工程、及び上面が露出した前記レジストパターンを除去する工程、を含む、反転パターンの形成方法である。
【0018】
本発明の反転パターンの形成方法において、前記現像液で現像する工程の後、リンス液でリンス処理する工程を設けてもよい。すなわち、下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンを被覆するように本発明のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンを、リンス液でリンス処理する工程、前記リンス液でリンス処理後のレジストパターンのパターン間を充填するように、ポリシロキサンと水及び/又はアルコール類を含有する溶媒とを含む第2の塗布液を塗布する工程、前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分及び前記リンス液を除去し又は減少させて塗膜を形成する工程、前記塗膜をエッチバックして前記リンス液でリンス処理後のレジストパターンの上面を露出させる工程、及び上面が露出した前記レジストパターンを除去する工程、を含む、反転パターンの形成方法である。
【0019】
前記反転パターンの形成方法において、前記リンス液でリンス処理する工程を含む場合、該リンス液が前記基板上に残留した状態で(該リンス液を除去せずに)前記第2の塗布液を塗布する工程を実施する。一方、リンス処理する工程を含まない場合、前記現像液が前記基板上に残留した状態で(前記現像液を除去せずに)前記第2の塗布液を塗布する工程を実施する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液は、界面活性剤を必要とせず、基板上に形成されたライン状及び/又はピラー状のレジストパターンに均一に塗布することができる。本発明のレジストパターン被覆用塗布液を用いることで、ラインパターンの幅とスペースパターンの幅の比率が異なるラインアンドスペースパターンにおいても、ラインパターンの幅を均一に縮小させることができる。また本発明のレジストパターン被覆用塗布液は、含有するポリマーを選択することで、レジストパターンの幅又は径の縮小率を変えることができる。また、今後EUV露光が実用化される際には、EUV露光を用いて作製したレジストパターンをさらに微細化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施例6において、シリコンウェハー上の縮小レジストパターンを第2の塗布液により埋め込んだ際の断面形状を示す断面SEM像である。
図2図2は、実施例7において、縮小レジストパターンを第2の塗布液により埋め込んだ後、ドライエッチングにより反転パターンを形成した際のパターン形状を示す断面SEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<A成分:ポリマー>
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれるポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有するポリマーである。前記ポリマーがヒドロキシ基又はカルボキシ基を含有することで、レジストパターンの表面に形成される被覆膜の現像液に対する溶解性が発現する。また前記ポリマーは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基をさらに含有することができる。前記アルキル基のうち、例えばtert−ブチル基及びトリフルオロメチル基は、後述するC成分の有機溶媒に対する前記ポリマーの溶解性の観点から好ましい。
【0023】
[式(A)で表される構造単位を有するポリマー(ポリマー1)]
上記A成分のポリマーとしては、前記式(A)で表される構造単位を有するポリマー(以下、ポリマー1と称する)を好適に用いることができる(但し前記式(A)で表される構造単位を有するポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基又はカルボキシ基とを含有するものであり、さらに少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を含有することができる)。
ポリマー1は、式(A)で表される構造単位1種を単独で含むポリマーであってもよく、また該構造単位を2種以上含むポリマー(すなわちコポリマー)であってもよい。
【0024】
前記式(A)において、Xが炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す場合、該アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基及びデシル基が挙げられ、該アルキル基の少なくとも1つの水素原子が置換されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。前記Xが炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキコキシ基を表す場合、該アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基及びデシルオキシ基が挙げられる。
【0025】
前記ポリマー1がコポリマーである場合、前記式(A)で表される少なくとも2種の構造単位は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれの構造を形成してもよい。そのような共重合体として、例えば、下記式(a−1)乃至式(a−122)に示す2種以上の構造単位を有する共重合体(コポリマー)が挙げられる。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
前記式(A)で表される構造単位を有するポリマー1としては、tert−ブチルスチレン由来の構造単位、tert−ブトキシスチレン由来の構造単位、及び2−ビニルナフタレン由来の構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位と、(メタ)アクリル酸由来の構造単位、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル由来の構造単位、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル由来の構造単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造単位とを含むポリマーであることが好ましい。
【0038】
[式(1−1)乃至式(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマー(ポリマー2)]
上記A成分のポリマーとしては、前記式(1−1)乃至式(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマー(以下、ポリマー2と称する)を好適に用いることができる。前記式(1−1)〜(1−4)のいずれかで表される構造単位を有するポリマーは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基をさらに含有するポリマーとすることができる。
ポリマー2は、前記式(1−1)乃至式(1−4)で表される構造単位のいずれか1つのみを(1種単独で)含むポリマーであってもよく、また、式(1−1)乃至式(1−4)で表される構造単位のいずれか1つ又は2つ以上を複数種含むポリマーであってもよい。
ポリマー2に含まれる前記式(1−1)乃至式(1−4)で表される構造単位のうち、式(1−1)で表される構造単位が特に好ましいまた。前記ポリマー2が有する構造単位の種類は、好ましくは2種乃至5種であり、さらに好ましくは2種乃至4種であり、最も好ましくは2種又は3種である。
【0039】
上記式(1−1)乃至式(1−4)中、Arで表される二価、四価、六価又は八価の有機基又はArで表される二価の有機基に含まれる炭素原子数6乃至18の芳香族環は、例えば、芳香族炭化水素環又は複素芳香族環である。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、トリフェニレン、ピレン及びクリセンが挙げられ、好ましくはベンゼン、ナフタレン、アントラセン及びピレンである。複素芳香族環としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、クロメン、チアントレン、フェノチアジン、フェノキサジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン及びカルバゾールが挙げられ、好ましくはカルバゾールである。
【0040】
前記式(2−1)乃至式(2−5)、式(3−1)及び式(3−2)中、R乃至R14、R16及びR17は各々独立して炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、炭素原子数1乃至9の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アセトキシ基、メチルチオ基、又はアミノ基を表す。ここで、炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデカニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基及びトリシクロ[3.2.1.02,7]オクチル基が挙げられる。
【0041】
上記炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。上記少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基として、好ましくは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基及びt−ブチル基であり、最も好ましいのはトリフルオロメチル基である。
【0042】
上記炭素原子数1乃至9の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2,−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基及びn−ノニルオキシ基が挙げられる。
【0043】
前記式(2−1)乃至式(2−5)、式(3−1)及び式(3−2)中、r3乃至r14、r16及びr17、並びにt3乃至t14、t16及びt17は置換基の数を表し、m1乃至m4が0を表す場合ベンゼン環を表し、1を表す場合ナフタレン環を表し、3を表す場合アントラセン環を表し、m1乃至m4として0又は1が好ましい。上記置換基の数は、Arで表される二価の有機基又はArで表される二価の有機基が含む芳香族環の種類に応じて、最大数が変化する。上記置換基の数は、r3、r6、r7、r16、r17、t3、t6、t7、t16及びt17は好ましくは1乃至4の整数である。r3とt3の合計、r4とt4の合計、r5とt5の合計、r6とt6の合計、r7とt7の合計、r8とt8の合計、r9とt9の合計、r10とt10の合計、r11とt11の合計、r12とt12の合計、r13とt13の合計、r14とt14の合計、r16とt16の合計、及びr17とt17の合計は、好ましくは1乃至5の整数である。
【0044】
前記式(2−3)及び式(2−4)中、Q及びQは各々独立して単結合、酸素原子、硫黄原子、スルホニル基、カルボニル基、イミノ基、炭素原子数6乃至40のアリーレン基、又は炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基を表し、上記Q及びQとして好ましくは単結合である。
【0045】
上記炭素原子数6乃至40のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、o−メチルフェニレン基、m−メチルフェニレン基、p−メチルフェニレン基、o−クロルフェニレン基、m−クロルフェニレン基、p−クロルフェニレン基、o−フルオロフェニレン基、p−フルオロフェニレン基、o−メトキシフェニレン基、p−メトキシフェニレン基、p−ニトロフェニレン基、p−シアノフェニレン基、α−ナフチレン基、β−ナフチレン基、o−ビフェニリレン基、m−ビフェニリレン基、p−ビフェニリレン基、1−アントリレン基、2−アントリレン基、9−アントリレン基、1−フェナントリレン基、2−フェナントリレン基、3−フェナントリレン基、4−フェナントリレン基及び9−フェナントリレン基が挙げられる。
【0046】
上記炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、シクロブチレン基、1−メチル−シクロプロピレン基、2−メチル−シクロプロピレン基、n−ペンチレン基、1−メチル−n−ブチレン基、2−メチル−n−ブチレン基、3−メチル−n−ブチレン基、1,1−ジメチル−n−プロピレン基、1,2−ジメチル−n−プロピレン基、2,2−ジメチル−n−プロピレン、1−エチル−n−プロピレン基、シクロペンチレン基、1−メチル−シクロブチレン基、2−メチル−シクロブチレン基、3−メチル−シクロブチレン基、1,2−ジメチル−シクロプロピレン基、2,3−ジメチル−シクロプロピレン基、1−エチル−シクロプロピレン基、2−エチル−シクロプロピレン基、n−ヘキシレン基、1−メチル−n−ペンチレン基、2−メチル−n−ペンチレン基、3−メチル−n−ペンチレン基、4−メチル−n−ペンチレン基、1,1−ジメチル−n−ブチレン基、1,2−ジメチル−n−ブチレン基、1,3−ジメチル−n−ブチレン基、2,2−ジメチル−n−ブチレン基、2,3−ジメチル−n−ブチレン基、3,3−ジメチル−n−ブチレン基、1−エチル−n−ブチレン基、2−エチル−n−ブチレン基、1,1,2−トリメチル−n−プロピレン基、1,2,2−トリメチル−n−プロピレン基、1−エチル−1−メチル−n−プロピレン基、1−エチル−2−メチル−n−プロピレン基、シクロヘキシレン基、1−メチル−シクロペンチレン基、2−メチル−シクロペンチレン基、3−メチル−シクロペンチレン基、1−エチル−シクロブチレン基、2−エチル−シクロブチレン基、3−エチル−シクロブチレン基、1,2−ジメチル−シクロブチレン基、1,3−ジメチル−シクロブチレン基、2,2−ジメチル−シクロブチレン基、2,3−ジメチル−シクロブチレン基、2,4−ジメチル−シクロブチレン基、3,3−ジメチル−シクロブチレン基、1−n−プロピル−シクロプロピレン基、2−n−プロピル−シクロプロピレン基、1−イソプロピル−シクロプロピレン基、2−イソプロピル−シクロプロピレン基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピレン基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピレン基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピレン基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピレン基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピレン基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピレン基、2−エチル−3−メチル−シクロプロピレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デカニレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0047】
上記炭素原子数1乃至10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基の少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0048】
前記式(3−1)において芳香族環と結合している3級炭素原子、及び前記式(3−2)において芳香族環と結合している2個のメチレン基は、各々上記Arで表される二価、四価、六価又は八価の有機基との結合に関わる部分である。
【0049】
前記ポリマー2は、前記Arで表される二価、四価、六価又は八価の有機基を構成するためのモノマーと前記Arで表される二価の有機基を構成するためのモノマーとの反応により好適に得られる。
【0050】
前記Arで表される二価、四価、六価又は八価の有機基を構成するためのモノマーの具体例としては、以下に示す(式3−1−1)乃至(式3−1−26)、(式4−1−1)乃至(式4−1−10)、(式4−13)乃至(式4−39)及び(式5−1)乃至(式5−19)で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】
【化22】
【0058】
【化23】
【0059】
前記Arで表される二価の有機基を構成するためのモノマーの具体例としては、以下に示す、アルデヒド基を有する(式6−1)乃至(式6−37)で表される化合物、メチロール基を有する(式7−1)乃至(式7−15)で表される化合物が挙げられる。
【0060】
【化24】
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0063】
【化27】
【0064】
【化28】
【0065】
中でも、前記Arで表される二価の有機基を構成するためのモノマーがフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーであり、前記Arで表される二価の有機基を構成するためのモノマーがアルデヒド基を有するモノマーであることが好ましい。
【0066】
前記ポリマー2に含まれる前記式(1−1)乃至式(1−4)のいずれかで表される構造単位の具体例としては、例えば、以下に示す(式10−1)乃至(式10−36)で表される構造単位が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
【化34】
【0073】
【化35】
【0074】
【化36】
【0075】
【化37】
【0076】
【化38】
【0077】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる上記ポリマー2の合成方法としては、上記Arを構成するモノマー群である「モノマーA群」と、上記Arを構成するモノマー群である「モノマーB群」とを酸触媒下にて縮合重合するのが一般的である。モノマーA群又はモノマーB群は各々1種又は2種以上であるが、好ましくは各々3種以内、より好ましくは各々2種以内である。また、ポリマー2合成時における、モノマーA群の、モノマーB群に対する仕込みモル比(モノマーA群/モノマーB群)は、例えば20/100乃至80/20、より好ましくは20/80乃至70/30にすることができる。
【0078】
また、該モノマーA群又はモノマーB群中に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基又はアルキレン基を含むモノマーが含まれることが好ましい。
モノマーA群又はモノマーB群が2種以上のモノマーからなる場合、該モノマーA群又はモノマーB群中に含まれる、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基又はアルキレン基を含むモノマーの仕込みモル比は、例えば1/10乃至1であり、より好ましくは1/5乃至1である。
さらに、モノマーA群又はモノマーB群が2種以上のモノマーからなる場合、モノマーA群全体又はモノマーB群全体に対して、2種以上から成るモノマーの各モノマーの仕込みモル比は、1/20以上であり、より好ましくは1/10以上にすることができる。
【0079】
上記モノマーA群とモノマーB群との反応は、窒素雰囲気下で行われるのが望ましい。反応温度は50℃乃至200℃、好ましくは80℃乃至180℃の任意の温度を選択することができ、1時間乃至48時間の反応時間で高分子量の重合体を得ることができる。低分子量で保存安定性の高い重合体を得るには、80℃乃至150℃の反応温度で1時間乃至24時間の反応時間がより好ましい。
【0080】
<B成分:スルホン酸>
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれるスルホン酸は、A−SOH(式中、Aは炭素原子数1乃至16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有する芳香族基、又はメチル基、エチル基のような置換基を有してもよい炭素原子数4乃至16の脂環式基を表す。)で表される化合物である。そのようなスルホン酸として、例えば、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸(別名:ラウリルベンゼンスルホン酸)、(1,3,5,7−テトラメチルオクチル)ベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸が挙げられる。
これらのスルホン酸のうち、本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる成分として、前記スルホン酸を表す式中、Aで表される基が、炭素原子数4乃至12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基、又は該アルキル基もしくはフッ化アルキル基を置換基として少なくとも1つ有するフェニル基を表すスルホン酸が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸及びノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸が好ましく用いられる。
上記スルホン酸の含有割合は、前記(A)成分のポリマーに対して、例えば0.5質量%乃至80質量%、好ましくは0.5質量%乃至60質量%、又は20質量%乃至60質量%である。
【0081】
<C成分:有機溶媒>
本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる有機溶媒は、R−O−R及び/又はR−C(=O)−R(式中、Rは炭素原子数3乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表し、Rは炭素原子数1乃至16の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基もしくはフッ化アルキル基を表す。)で表される化合物からなり、前記A成分のポリマー(ポリマー1、ポリマー2)を溶解可能であることが必要である。そのような有機溶媒として、例えば、イソプロピルエーテル(別名:ジイソプロピルエーテル)、プロピルエーテル(別名:ジプロピルエーテル)、イソアミルエーテル(別名:ジイソアミルエーテル)、アミルエーテル(別名:ジアミルエーテル)、ジブチルエーテル(別名:ブチルエーテル)、ジイソブチルエーテル(別名:イソブチルエーテル)、sec−ブチルエーテル(別名:ジ−sec−ブチルエーテル)、ヘキシルエーテル(別名:ジヘキシルエーテル)、ビス(2−エチルヘキシル)エーテル、デシルエーテル(別名:ジデシルエーテル)、ウンデシルエーテル(別名:ジウンデシルエーテル)、ドデシルエーテル(別名:ジドデシルエーテル)、テトラデシルエーテル(別名:ジテトラデシルエーテル)、ヘキサデシルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル、2−オクタノン及び4−ヘプタノンが挙げられる。これらの有機溶媒のうち、本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれる成分として、イソアミルエーテル及び2−オクタノンが好ましく用いられる。
【0082】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液から、上記有機溶媒及び任意で含有する水を除いた固形分の含有割合は、該塗布液に対して、例えば0.5質量%乃至30質量%、好ましくは2質量%乃至15質量%である。
【0083】
[レジストパターンの形成方法]
本発明は、上記レジストパターン被覆液を用いたレジストパターンの形成方法もその対象とする。
本発明のレジストパターンの形成方法は、下層膜が形成された基板上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンを被覆するように本発明のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を50℃乃至130℃で加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、前記加熱された基板を冷却後、前記被覆膜を現像液で現像する工程、及び前記被覆膜を現像液で現像後のレジストパターンを、リンス液でリンス処理する工程を含み、この方法により、基板上に当初形成されたレジストパターンよりも微細化(縮小化)したレジストパターンを形成できる。
ここで、前記基板として、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコン基板等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、無アルカリガラス基板、低アルカリガラス基板、結晶化ガラス基板、ITO膜が形成されたガラス基板)を挙げることができる。そして、前記基板には、下層膜として、反射防止能を有する有機膜及び/又は無機膜が形成されている。
【0084】
前記レジストパターンの形状として、例えば、ライン状及びピラー状(柱状)が挙げられ、孤立ラインパターン、ラインアンドスペースパターン、孤立ドットパターン、密集ドットパターンいずれを形成してもよい。ライン状のレジストパターンの形状は直線に限定されず折れ曲がった形状でもよく、前記ピラー状のレジストパターンの形状は、柱状であれば角柱及び円柱いずれでもよい。このような形状のレジストパターンは、公知のポジ型レジスト溶液(例えば、住友化学(株)製PAR710、同PAR855、及びJSR(株)製AR2772JN)を用い、公知のリソグラフィープロセスにより形成することができる。使用する露光装置の光源として、例えば、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー及びEUVを採用することができる。
【0085】
本発明のレジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程において、該塗布液は、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により、前記レジストパターンを形成後の基板上に塗布される。
【0086】
前記レジストパターン被覆用塗布液が塗布された基板を加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程において、基板を加熱する工程は、本発明のレジストパターン被覆用塗布液に含まれるスルホン酸を、前記レジストパターンの表面へ拡散させるために行われる。したがって、上記加熱温度は、スルホン酸が拡散するのに必要な温度であればよく、但し、レジストパターンの形状を著しく変形(例えばメルトフロー)させない温度でなければならない。よって、上記加熱温度は、130℃よりも低い温度、例えば100℃を超えない温度がより好ましい。なお上記加熱温度における加熱によっては、本発明のレジストパターン被覆用塗布液は硬化しない。
【0087】
前記加熱・被覆膜の形成工程の後、前記被覆膜を現像する工程で用いる前記現像液として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液が挙げられる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩の水溶液、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液である。
また前記現像工程の後、リンス処理する工程で用いる前記リンス液として、例えば、純水、及び界面活性剤の水溶液が挙げられる。
【0088】
[反転パターンの形成方法]
本発明は、上記レジストパターン被覆液を用いた反転パターンの形成方法もその対象とする。
本発明の反転パターンの形成方法は、レジストパターンを形成する工程、レジストパターン被覆用塗布液を塗布する工程、該塗布液が塗布された基板を加熱して前記レジストパターンの表面に被覆膜を形成する工程、該加熱後に前記被覆膜を現像液で現像する工程まで、あるいはさらに、リンス液でリンス処理する工程までは、前記[レジストパターンの形成方法]における各工程に従い実施し、その後、レジストパターンのパターン間を充填するように、ポリシロキサンと水及び/又はアルコール類を含有する溶媒とを含む第2の塗布液を塗布する工程、前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分及び前記現像液あるいは前記リンス液を除去し又は減少させて塗膜を形成する工程、前記塗膜をエッチバックして前記現像液で現像後又はリンス液でリンス処理後のレジストパターンの上面を露出させる工程、及び上面が露出した前記レジストパターンを除去する工程を含み、反転パターンが形成される。
ここで、前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサンは、特に限定されないが、例えば、下記式(11)で表される化合物及び下記式(12)で表される化合物の共加水分解縮合物に下記式(13)で表される化合物を混合し、得られた生成物が挙げられる。
【化39】
(式中、R18は炭素原子数1乃至12の有機基を表し、Y及びZはそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表し、R19及びR20はそれぞれ独立に直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1乃至3のアルキレン基を表し、R21は炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、アリルオキシ基又はヒドロキシ基を表し、pは0、1又は2を表す。)
【0089】
また、前記第2の塗布液に含まれるアルコール類は、例えば、前記式(13)で表される化合物であり、該式(13)で表される化合物として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジイソプロピレングリコール及びトリエチレングリコールが挙げられる。
【0090】
前述の塗膜を形成する工程において、前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分及び前記現像液(あるいはリンス液)を除去し又は減少させるとは、例えば、前記第2の塗布液が塗布された前記下層膜が形成された基板を、スピンドライする、又はスピンドライ後加熱することにより実施される。ここで、スピンドライとは、基板を回転させながら乾燥させることである。また、前記第2の塗布液に含まれるポリシロキサン以外の成分とは、水及び/又はアルコール類を含有する溶媒、及び必要に応じて添加される添加剤である。
【0091】
前記レジストパターンの上面を露出される工程において行う前記塗膜に対するエッチバックは、例えば、CFなどのフッ素系ガスを用いるドライエッチング、有機酸もしくは有機塩基の水溶液を用いるウェットエッチング、有機溶剤を用いるウェットエッチング、又はCMP法により行われ、処理条件は適宜調整可能である。
【0092】
前記上面が露出した前記レジストパターンを除去する工程は、例えば、OとNの混合ガスもしくはOガスを用いたドライエッチング、又はアッシングにより行われる。アッシングにより行われる場合、前記レジストパターンのみが選択的に除去される条件で実施する必要がある。
【実施例】
【0093】
本明細書の下記合成例1乃至合成例4で得られるポリマー、合成例5で得られる共加水分解縮合物、並びに合成例6乃至合成例8で得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、以下GPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー株式会社製GPC装置を用い、測定条件は下記のとおりである。
測定装置:HLC−8020GPC〔商品名〕(東ソー(株)製)
GPCカラム:TSKgel〔登録商標〕G2000HXL;2本、TSKgel G3000HXL;1本、及びTSKgel G4000HXL;1本(以上、東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0mL/分
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0094】
<合成例1>
tert−ブチルスチレン11.0g(東京化成工業(株)製)、メタクリル酸4.0g(東京化成工業(株)製)及びアゾビスイソブチロニトリル1.71g(東京化成工業(株)製)を乳酸エチル43.0gに溶解させた。その溶液を加熱還流した乳酸エチル100.4gにゆっくり滴下し、滴下後、160℃にて加熱還流して24時間反応させ、ポリマーを含有する溶液を得た。この反応溶液を水/メタノール混合溶媒2,000gに沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で一晩減圧乾燥し、白色のポリマーを得た。このポリマーに対しGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1,965であった。得られたポリマーは下記式で表される構造単位を有するコポリマー(共重合体)であると推定される。
【化40】
【0095】
<合成例2>
tert−ブチルスチレン9.5g(東京化成工業(株)製)、メタクリル酸4.1g(東京化成工業(株)製)、N−イソプロピルアクリルアミド1.3g(東京化成工業(株)製)及びアゾビスイソブチロニトリル0.98g(東京化成工業(株)製)を乳酸エチル43.1gに溶解させた。その溶液を加熱還流した乳酸エチル100.7gにゆっくり滴下し、滴下後、160℃にて加熱還流して24時間反応させ、ポリマーを含有する溶液を得た。この反応溶液を水/メタノール混合溶媒2,000gに沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で一晩減圧乾燥し、白色のポリマーを得た。このポリマーに対しGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1,809であった。得られたポリマーは下記式で表される構造単位を有するコポリマー(共重合体)であると推定される。
【化41】
【0096】
<合成例3>
tert−ブチルスチレン9.1g(東京化成工業(株)製)、メタクリル酸3.9g(東京化成工業(株)製)、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート1.9g(東京化成工業(株)製)及びアゾビスイソブチロニトリル1.71g(東京化成工業(株)製)を乳酸エチル43.0gに溶解させた。その溶液を加熱還流した乳酸エチル100.4gにゆっくり滴下し、滴下後、160℃にて加熱還流して24時間反応させ、ポリマーを含有する溶液を得た。この反応溶液を水/メタノール混合溶媒2,000gに沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で一晩減圧乾燥し、白色のポリマーを得た。このポリマーに対しGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1,550であった。得られたポリマーは下記式で表される構造単位を有するコポリマー(共重合体)であると推定される。
【化42】
【0097】
<合成例4>
tert−ブチルスチレン8.7g(東京化成工業(株)製)、メタクリル酸3.7g(東京化成工業(株)製)及びメタクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル2.6g(東京化成工業(株)製)及びアゾビスイソブチロニトリル0.98g(東京化成工業(株)製)を乳酸エチル43.1gに溶解させた。その溶液を加熱還流した乳酸エチル100.11gにゆっくり滴下し、滴下後、160℃にて加熱還流して24時間反応させ、ポリマーを含有する溶液を得た。この反応溶液を水/メタノール混合溶媒2,000gに沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で一晩減圧乾燥し、白色のポリマーを得た。このポリマーに対しGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1,847であった。得られたポリマーは下記式で表される構造単位を有するコポリマー(共重合体)であると推定される。
【化43】
【0098】
<合成例5>
テトラエトキシシラン5.8g(30mol%)、メチルトリエトキシシラン6.7g(40mol%)、下記式で表される化合物である5−(トリエトキシシリル)ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物9.2g(30mol%)、アセトン43g及び超純水43gを200mlのフラスコに入れ、そのフラスコ内の混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01mol/Lの塩酸1.7gをその混合溶液に滴下した。滴下後、40℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、加温還流下で240分反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却し、その反応溶液にプロピレングリコールモノメチルエーテル24.0gを加え、アセトン、水及び塩酸、並びに反応副生物であるエタノールを反応溶液から減圧留去し濃縮して、共加水分解縮合物(ポリシロキサン)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。固形分濃度は140℃における固形残物換算で15質量%となるように調整した。GPCによる重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で1,000であった。
【化44】
【0099】
<合成例6>
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成工業(株)製)45.00g、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)53.35g及びメタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)2.12gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル150.70gを加え、窒素雰囲気下、6時間還流撹拌した。反応終了後、反応液を水中に滴下して再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ポリマー66.06gを得た。このポリマーの、GPCにより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は2100であった。得られたポリマーは、下記式で表される構造単位を有するノボラック樹脂と推定される。
【化45】
【0100】
<合成例7>
フロログルシノール(東京化成工業(株)製)50.00g、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)16.43g、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)67.20g及びメタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)3.81gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル206.15gを加え、窒素雰囲気下、4時間還流撹拌した。反応終了後、反応液を水中に滴下して再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ポリマー102.83gを得た。このポリマーの、GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は2400であった。得られたポリマーは、下記式で表される2種の構造単位を有するノボラック樹脂と推定される。
【化46】
【0101】
<合成例8>
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成工業(株)製)40.00g、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)3.61g、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(東京化成工業(株)製)56.90g及びメタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)2.51gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル154.53gを加え、窒素雰囲気下、6時間還流撹拌した。反応終了後、反応液を水中に滴下して再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ポリマー63.01gを得た。このポリマーの、GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は2600であった。得られたポリマーは、下記式で表される2種の構造単位を有するノボラック樹脂と推定される。
【化47】
【0102】
<実施例1>
上記合成例1で得られたポリマー1.33gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)製)0.67g及びイソアミルエーテル18.0gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0103】
<実施例2>
上記合成例2で得られたポリマー1.33gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)製)0.67g及びイソアミルエーテル18.0gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0104】
<実施例3>
上記合成例3で得られたポリマー1.33gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)製)0.67g及びイソアミルエーテル18.0gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0105】
<実施例4>
上記合成例4で得られたポリマー1.00gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)製)0.50g及びイソアミルエーテル13.50g及びを加え溶解した。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0106】
<比較例1>
上記合成例4で得られたポリマー1.5gにイソアミルエーテル13.5gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0107】
<実施例8>
上記合成例6で得られたポリマー1.0gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)製)0.50g及びイソアミルエーテル13.5g及びを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0108】
<実施例9>
上記合成例7で得られたポリマー1.0gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)製)0.50g及びイソアミルエーテル13.5g及びを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0109】
<実施例10>
上記合成例8で得られたポリマー1.0gにドデシルベンゼンスルホン酸(純正化学(株)(製))0.50g及びイソアミルエーテル13.5g及びを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0110】
<比較例2>
上記合成例8で得られたポリマー1.5gにイソアミルエーテル13.5gを加え溶解させた。その後孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジストパターン被覆用塗布液を調製した。
【0111】
〔ポジ型レジストプロセスへの適用試験〕
本発明の実施例1乃至実施例4、実施例8乃至実施例10、及び比較例1及び比較例2で調製したレジストパターン被覆用塗布液を、スピナーを用いてシリコンウェハー上に塗布し、ホットプレート上で、75℃で1分間加熱した塗膜の膜厚測定を行なった(膜厚A:塗膜の膜厚)。前記塗膜上に市販のアルカリ性現像液(東京応化工業(株)製、製品名:NMD−3)を液盛りして60秒放置し、3000rpmで回転させながら30秒間純水でリンスを行った。リンス後、100℃で60秒間ベークし、膜厚測定を行なった(膜厚B)。その結果を表1(表1−1及び表1−2)に示す。膜厚Bが0nmの場合、現像液によって塗膜は除去されたと言える。これは、本発明のレジストパターン被覆用塗布液が、ポジ型レジストプロセスに適用可能であることを示す。
【表1】
【0112】
〔フォトレジストパターンの形成〕
ARC29A(日産化学工業(株)製)をスピナーによりシリコンウェハー上に塗布した。そのシリコンウェハーをホットプレート上に配置し、205℃で1分間加熱し、膜厚80nmのレジスト下層膜を形成した。このレジスト下層膜の上に、市販のフォトレジスト溶液(住友化学(株)製、商品名:PAR855)をスピナーにより塗布し、ホットプレート上で105℃にて60秒間加熱してフォトレジスト膜(膜厚0.10μm)を形成した。
【0113】
次いで、スキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E(波長193nm、NA:0.85、σ:0.65/0.93))を用い、フォトマスクを通して露光を行った。フォトマスクは形成すべきレジストパターンに応じて選ばれる。露光後、ホットプレート上、105℃で60秒間露光後加熱(PEB)を行い、冷却後、工業規格の60秒シングルパドル式工程にて、現像液として0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像した。以上の工程を経て、目的とするレジストパターンを形成した。形成されたラインアンドスペースパターンについて、ラインパターンの幅を測定した。
【0114】
〔レジストパターン縮小プロセス〕
シリコンウェハー上に形成されたレジストパターン(1:1のラインアンドスペースパターン)上に、本発明の実施例1乃至実施例4、実施例8乃至実施例10、及び比較例1及び比較例2で調製したレジストパターン被覆用塗布液を、スピナーを用いてそれぞれ塗布し、75℃でベーク後、現像液として0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像した。現像後のラインアンドスペースパターンについて、ラインパターンの幅を測定した。その結果を表2(表2−1及び表2−2)に示す。
【表2】
【0115】
次に、シリコンウェハー上に形成した4種のレジストパターン(孤立ラインパターン、1:3、1:2及び1:1.25のラインアンドスペースパターン)上に、本発明の実施例4又は実施例10で調製したレジストパターン被覆用塗布液を、スピナーを用いてそれぞれ塗布し、75℃でベーク後、現像液として0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像した。現像後の孤立ラインパターン及びラインアンドスペースパターンについて、ラインパターンの幅を測定した。その結果を表3に示す。
【表3】
【0116】
<実施例5>
〔レジストパターン縮小プロセス〕
シリコンウェハー上に形成されたレジストパターン(1:1のラインアンドスペースパターン)上に、本発明の実施例1で調製したレジストパターン被覆用塗布液を、スピナーを用いて塗布し、85℃でベーク後、現像液として0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像し、ラインパターンの幅が縮小したレジストパターン(以下、本明細書では縮小レジストパターンと称する。)を得た。得られた縮小レジストパターンの形状を断面SEMにより観察した。
【0117】
<実施例6>
〔縮小レジストパターンの埋め込みプロセス〕
シリコンウェハー上に形成されたレジストパターン(1:1のラインアンドスペースパターン)上に、本発明の実施例1で調製したレジストパターン被覆用塗布液を、スピナーを用いて塗布し、85℃でベーク後、現像液として0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像し、縮小レジストパターンを得た。続いて、このシリコンウェハー上に、前記合成例5で得られたポリシロキサン溶液に超純水及びプロピレングリコールモノメチルエーテルをそれぞれ7対3(質量比)の割合で加えて調製した第2の塗布液を塗布し、0.26規定のテトラメチルアンモニウム水溶液をこの第2の塗布液に置き換えた。その後、上記シリコンウェハーを1500rpmで60秒間スピンして塗布液中の溶剤を乾燥させた後、100℃で60秒間加熱して塗膜を形成し、上記縮小レジストパターンの埋め込みを行った。埋め込み後の様子を断面SEMにより観察した。その結果を図1に示す。
【0118】
<実施例7>
〔反転パターンの形成プロセス〕
前記第2の塗布液を用いて形成した塗膜を、CF(流量50sccm)とAr(流量200sccm)の混合ガスを用いたドライエッチングによりエッチバックし、レジストパターンの上部を露出させた。その後、O(流量10sccm)とN(流量20sccm)の混合ガスを用いたドライエッチングにより上記レジストパターンを除去し、反転パターンを得た。反転パターンの形状を断面SEMにより観察した。その結果を図2に示す。
【0119】
下記表4に、パターンの埋め込み性及びパターン形状の評価結果をまとめた。表4において、「良好」とは、パターン埋め込み性に関してはボイド(空洞)が発生することなくレジストパターンを埋め込めたことを表し、パターン形状に関してはパターン倒れ、及びスカム(scum)が生じることなくパターンが形成されたことを表す。
【表4】
図1
図2