(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも95%同一であり、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを、アミノ酸置換S3T、V4I、およびV199Iと組み合わせて含む、アミノ酸配列を含む、プロテアーゼ。
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも95%同一である出発プロテアーゼへの、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換S3T、V4I、およびV199Iとの組合せにおける、アミノ酸置換R99Eの導入を含む、請求項1に記載のプロテアーゼの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の主題は、SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むプロテアーゼであって、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む、プロテアーゼである。
【0009】
本発明のさらなる主題は、SEQ ID NO.1に従い数えて、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換との組合せにおいて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dの初期プロテアーゼへの導入を含む、プロテアーゼの製造方法であり、初期プロテアーゼは、SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも70%同一である。
【0010】
したがって、本特許出願の目的において「プロテアーゼ」は、プロテアーゼそれ自体、および、本発明の方法で製造されたプロテアーゼの両方を包含する。したがって、プロテアーゼに関する全ての記載は、物質としてのプロテアーゼと、対応する方法(特に該プロテアーゼの製造方法)のいずれもに関する。
【0011】
本発明のプロテアーゼまたは本発明のプロテアーゼの製造方法に関連して、本発明のさらなる主題は、前記プロテアーゼをコードする核酸、非ヒト宿主細胞を含有する本発明のプロテアーゼまたは核酸、ならびに剤、特に洗浄および清浄剤、洗浄および清浄方法、および、本発明のプロテアーゼを含む、本発明のプロテアーゼを用いて定義される使用である。
【0012】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むプロテアーゼにおける、位置99の本発明による組換え、すなわちR99EまたはR99D組換えは、位置3、4および199、すなわちS3T、V4IまたはV199Iの少なくとも2つの組換えとの組合せにおいて、好ましくは、洗浄および清浄剤中、少なくとも1種のプロテアーゼ感受性の汚れにおける、組換えプロテアーゼの改善された性能をもたらす。したがって、本発明のプロテアーゼは、繊維製品および/または硬質表面(例えば食器)における、少なくとも1種の、好ましくはいくつかの、プロテアーゼ感受性の汚れの改善された除去を可能にする。本発明のプロテアーゼの好ましい態様は、血液含有汚れ、例えば以下の汚れにおける、特に有利な洗浄性能を示す:
綿上の血液:Eidgenoessische Material- und Pruefanstalt(EMPA)Testmaterialen AG [スイス連邦政府材料および試験期間試験材料]より入手可能なプロダクト番号111、St. Gallen、スイス;
綿上の牛乳/カーボンブラック:(wfk-Cleaning Technology Institute(清浄技術学会)e.V.、Krefeld、Germany);
綿上の血液-牛乳/インク:CFT (Center For Testmaterials) B.V.、Vlaardingen、Netherlandsより入手可能なプロダクト番号C-05。
【0013】
したがって、本発明の好ましい態様は、その洗浄性能が1つの汚れまたは複数の汚れに対して特に有利である、汚れ特異的プロテアーゼを提供する。したがって、血液含有汚れに関する本発明のプロテアーゼの好ましい態様の汚れフォーカスが改善される。
【0014】
本発明のプロテアーゼの好ましい態様は、10℃〜60℃、15℃〜50℃、および20℃〜40℃の間の低温でさえ、このような有利な洗浄性能作用を既に達成する。本発明のプロテアーゼのさらなる好ましい態様は、例えば15℃〜90℃、好ましくは20℃〜60℃の幅広い温度範囲にわたり、この種の改善された洗浄性能を達成する。
【0015】
さらに、本発明のプロテアーゼの好ましい態様は、洗浄または清浄剤において、例えば、界面活性剤および/または漂白剤に関して、および/または、温度影響に関して、特に高温または低温、例えば50〜65℃、特に60℃に関して、および/または、酸性またはアルカリ性条件に関して、および/または、pH変化に関して、および/または、修飾剤または酸化剤に関して、および/または、タンパク質分解性破壊に関して、および/または、酸化還元条件の変化に関して、特別の安定性を有する。したがって、本発明の特に好ましい態様により、改善された性能を有する、および/または、より温度安定な改善された性能を有するプロテアーゼ変異体を提供することができる。本発明のさらなるきわめて好ましい態様により、改善された性能を有し、かつ、より温度安定な改善された性能を有するプロテアーゼ変異体を提供することができる。したがって、本発明のプロテアーゼのこれらの有利な態様は、広い温度範囲において、プロテアーゼ感受性の汚れの、改善された洗浄結果を可能にする。
【0016】
したがって、最初に述べた国際特許出願公開第95/23221号、第92/21760号、および第2011/032988号に関し、本発明は配列組換えの組合せの特に有利な選択であり、その結果、特に高性能であり、および/または、温度安定性である洗浄または清浄剤用のプロテアーゼ変異体が得られる。
【0017】
「洗浄性能」は、本発明に関して、1種以上の汚れ、特に洗濯物または食器における明色化性能として理解される。本発明に関して、プロテアーゼを含む洗浄または清浄剤、または、該剤により構成される洗浄または清浄浴、および、プロテアーゼ自体が、それぞれの洗浄性能を有する。したがって、酵素の洗浄性能は、剤または該剤により構成される洗浄または清浄浴の洗浄性能に影響を及ぼす。洗浄性能は、好ましくは、以下に示すように確認される。
【0018】
本発明のプロテアーゼは、特に洗浄または清浄剤において、タンパク質分解活性を示し、すなわち、ポリペプチドまたはタンパク質のペプチド結合を加水分解することができる。したがって、本発明のプロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、それによって、ペプチドまたはタンパク質を切断することができる。本発明のプロテアーゼは、さらに、好ましくは成熟プロテアーゼであり、すなわちシグナルペプチドおよび/またはプロペプチドを有さない触媒的に活性な分子である。特記しない限り、示された配列は、それぞれの場合において、成熟酵素をも言及する。
【0019】
本発明のさらなる態様において、プロテアーゼは、SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む。
【0020】
本発明のさらなる態様において、プロテアーゼは、SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む。
【0021】
特に好ましい本発明のプロテアーゼは以下である:
【0022】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを、アミノ酸置換S3TおよびV4Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特に、アミノ酸置換S3T、V4IおよびR99Eを有するSEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。
【0023】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを、アミノ酸置換S3TおよびV199Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特にアミノ酸置換S3T、R99E、およびV199Iを有する、SEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。
【0024】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを、アミノ酸置換V4IおよびV199Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特にアミノ酸置換V4I、R99E、およびV199Iを有する、SEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。
【0025】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Dを、アミノ酸置換S3TおよびV4Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特にアミノ酸置換S3T、V4I、およびR99Dを有する、SEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。
【0026】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Dを、アミノ酸置換S3TおよびV199Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特にアミノ酸置換S3T、R99DおよびV199Iを有するSEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。
【0027】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Dを、アミノ酸置換V4IおよびV199Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特に、アミノ酸置換V4I、R99D、およびV199Iを有するSEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。
【0028】
本発明のプロテアーゼのさらなる特に好ましい態様は、それらが、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、3つのさらなるアミノ酸置換S3T、V4I、およびV199Iと組み合わせて含むことに注目すべきである。以下のプロテアーゼは、特に、これに関してきわめて好ましい:
【0029】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを、アミノ酸置換S3T、V4I、およびV199Iと組み合わせて含む、プロテアーゼ、特にアミノ酸置換S3T、V4I、R99E、およびV199Iを有するSEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。この種のプロテアーゼは、SEQ ID NO. 2に示されている。
【0030】
SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、および98.8%同一であるアミノ酸配列を含み、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Dを、アミノ酸置換S3T、V4I、およびV199Iと組み合わせて含むプロテアーゼ、特に、アミノ酸置換S3T、V4I、R99D、およびV199Iを有するSEQ ID NO.1に従うプロテアーゼ。この種のプロテアーゼは、SEQ ID NO. 3に示されている。
【0031】
さらなる特に好ましいプロテアーゼは、アミノ酸ロイシン(L)を、SEQ ID NO.1に従い数えて位置211にさらに含む、上記に示したプロテアーゼである。
【0032】
核酸配列またはアミノ酸配列の同一性は配列比較を用いて決定される。この配列比較は、従来技術において確立され、通常使用されるBLASTアルゴリズムに基づき(例えば Altschul、S.F., Gish、W., Miller、W., Myers、E.W., & Lipman, D.J. (1990)「Basic local alignment search tool.」、J. Mol. Biol. 215:403-410、および、Altschul、Stephan F.、Thomas L. Madden、Alejandro A. Schaffer、Jinghui Zhang、Hheng Zhang、Webb Miller、およびDavid J. Lipman (1997):Gapped BLAST and PSI-BLAST:「a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res.、25、第3389〜3402頁)、そして原則的に、核酸配列またはアミノ酸配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の類似する連続に相互に割り当てることにより行われる。関連する位置の表で示した割り当ては、「アラインメント」と称される。従来技術において入手可能なさらなるアルゴリズムは、FASTAアルゴリズムである。配列比較(アラインメント)、特にマルチプル配列比較は、コンピュータープログラムによって作成される。Clustalシリーズ(例えば Chenna et al. (2003):Clustalシリーズのプログラムを用いるマルチプル配列アラインメント、Nucleic Acid Research 31、3497-3500参照)、T-Coffee(例えば Notredameら(2000):T-Coffee:マルチプル配列アラインメントのための新規方法、J. Mol. Biol. 302、205-217参照)、またはこれらのプログラムまたはアルゴリズムに基づくプログラムが使用されることが多い。本特許出願において、全ての配列比較(アラインメント)は、コンピュータープログラム Vector NTI(登録商標)Suite 10.3 (Invitrogen Corporation、1600 Faraday Avenue、Carlsbad、California、USA) を、事前に定められたデフォルトパラメータと共に用いて作られ、配列比較のための、そのAlignXモジュールは、ClustalWに基づく。
【0033】
この種の比較は、比較される配列の互いの類似性に関する提示をも可能にする。これは通常、パーセント単位として、すなわち、同じ位置での、または、アラインメントにおける互いに対応する位置での、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合として示される。また、より広く解釈される用語「ホモロジー」は、アミノ酸配列に関して、保存されたアミノ酸交換、すなわち類似の化学活性を有するアミノ酸を考慮に加え、これらは、通常、タンパク質内で類似の化学活性を示すためである。したがって、比較される配列の類似性は、「パーセントホモロジー」または「パーセント類似性」としても称され得る。同一性および/またはホモロジーの表示は、ポリペプチドまたは遺伝子全体について見ることができ、あるいは、個々の領域についてのみ見ることができる。したがって、種々の核酸配列またはアミノ酸配列の対応するまたは同一の領域は、配列における一致により定められる。このような領域は、同一の機能を有することが多い。それらは小さくてよく、少しのヌクレオチドまたはアミノ酸のみを含み得る。この種の小さい領域は、タンパク質の活性全体に必須の機能を行う場合が多い。したがって、場合により小さい、個々の領域についてのみ配列一致を参照することが有利であり得る。しかしながら、特記しない限り、本願における同一性またはホモロジーの表示は、示された核酸配列またはアミノ酸配列それぞれの全長に言及する。
【0034】
本発明のさらに好ましい態様において、プロテアーゼは、その洗浄性能が、少なくともSEQ ID NO. 2に示されるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含むプロテアーゼの洗浄性能、および/または、少なくともSEQ ID NO. 3に示されるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含むプロテアーゼの洗浄性能に相当することを特徴とする。該洗浄性能は、洗浄浴1リットルあたり4.5〜7.0グラムの投与割合での洗浄剤、ならびに、プロテアーゼを含有する洗浄系において決定され、比較されるプロテアーゼは、(活性タンパク質に基づいて)同一濃度で使用され、洗浄性能は、綿上の血液汚れに関して、特に綿上血液汚れ、Eidgenoessische Material-und Pruefanstalt (EMPA) Testmaterialien AG、St. Gallen、Switzerlandより入手可能なプロダクト番号111に関して、洗浄された繊維製品の白色度を測定することにより決定され、該洗浄工程は、40℃の温度で少なくとも70分間行われ、水は、15.5〜16.5°の水の硬度を有する(ドイツ硬度)。この洗浄系に規定される洗浄剤中のプロテアーゼの濃度は、活性タンパク質に基づいて0.001〜0.1重量%、好ましくは0.01〜0.06重量%である。
【0035】
この種の洗浄系に好ましい液状の洗浄剤は、次の組成を有する(全て、重量パーセント表示である):0.3〜0.5% キサンタン、0.2〜0.4% 消泡剤、6〜7% グリセロール、0.3〜0.5% エタノール、4〜7% FAEOS(脂肪アルコールエーテルスルフェート)、24〜28% 非イオン性界面活性剤、1% ホウ酸、1〜2% クエン酸ナトリウム(二水和物)、2〜4% 重曹、14〜16% ヤシ脂肪酸、0.5% HEDP(1-ヒドロキシエタン-(1,1-ジホスホン酸))、0〜0.4% PVP (ポリビニルピロリドン)、0〜0.05% 光学的光沢剤、0〜0.001% 染料、残部 脱イオン水。液状洗浄剤の投与割合は、好ましくは、洗浄浴1リットルあたり4.5〜6.0グラム、例えば洗浄浴1リットルあたり4.7、4.9または5.9グラムであることが好ましい。洗浄は、好ましくは、pH8〜pH10.5、好ましくはpH8〜pH9の範囲のpHで生じる。
【0036】
この種の洗浄系に好ましい粉末状洗浄剤は、次の組成を有する(全て、重量パーセント表示である):10% 直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(ナトリウム塩)、1.5% C12〜C18脂肪アルコールスルフェート(ナトリウム塩)、2.0% 7EOを有するC12〜C18脂肪アルコール、20% 炭酸ナトリウム、6.5% 炭酸水素ナトリウム、4.0% 非晶質二ケイ酸ナトリウム、17% 炭酸ナトリウム過酸化水素化物、4.0% TAED、3.0% ポリアクリレート、1.0% カルボキシメチルセルロース、1.0% ホスホネート、27% 硫酸ナトリウム;残部:発泡防止剤、光学的光沢剤、香料。粉末状洗浄剤の投与割合は、好ましくは、洗浄浴1リットルあたり4.5〜7.0グラム、例えば、特に好ましくは、洗浄浴1リットルあたり4.7グラム、または、洗浄浴1リットルあたり5.5、5.9、または6.7グラムである。洗浄は、好ましくは、pH9〜pH11のpH範囲で生じる。
【0037】
40℃での洗浄性能の決定は、本発明に関して、上記に示した固形洗浄剤を用いて行われ、洗浄操作は好ましくは70分間行われる。
【0038】
白色度、すなわち汚れの明色化度は、洗浄性能の指標として、好ましくは光学的測定法、好ましくは測光法を用いて測定される。このために適当な装置は、例えば、Minolta CM508d分光計である。測定に使用される装置は、通常、白色標準を用いて、好ましくは装置に備えられた白色標準を用いて、あらかじめ較正される。
【0039】
プロテアーゼ活性を測定する方法は酵素技術の当業者によく知られており、当業者の日常的基礎に基づき適用される。このような方法は、例えばTenside、第7巻(1970)、第125〜132頁に開示されている。あるいは、プロテアーゼ活性を、suc-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド基質(AAPF)からのパラ-ニトロアニリン(pNA)発色団の放出を用いて定量的に測定することができる。プロテアーゼは該基質を開裂し、pNAを放出する。pNAの放出は、410nmにおける消失の増加を引き起こし、時間を超える該変化は、酵素活性の兆候である(Del Marら、1979参照)。測定は、25℃の温度、pH8.6、410nmの波長で行われる。測定時間は5分であり、測定間隔は20秒〜60秒である。プロテアーゼ活性は、通常、プロテアーゼ単位(PU)において示される。適当なプロテアーゼ活性は、例えば、洗浄浴1mlあたり2.25、5または10PUである。しかし、プロテアーゼ活性はゼロではない。
【0040】
タンパク質濃度は、既知の方法、例えばBCA法(ビシンコニン酸;2,2'-ビキノリル-4,4'-ジカルボン酸)またはビウレット法(A.G. Gornall、C.S. Bardawill および M.M. David、J. Biol. Chem.、177(1948)、第751〜766頁)を用いて測定することができる。これに関して、活性タンパク質濃度は、適当な不可逆阻害剤(プロテアーゼに対する、例えば、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF))を用いて活性中心を滴定することにより測定し、残効性を測定することにより、測定することができる(M. Benderら、J. Am. Chem. Soc. 88、24 (1966)、第5890〜5913頁参照)。
【0041】
抗血清または特定の抗体との反応により、タンパク質を免疫学的に関連したタンパク質の群に結び付けることができる。このような群の要素は、抗体によって認識される同一の抗原決定基を含むことに注目される。したがって、これらは構造的に互いに非常に類似であり、抗血清または特定の抗体によって検出される。したがって、本発明のさらなる主題は、本発明のプロテアーゼに合致する、少なくとも1個、次第に好ましくは2個、3個または4個の抗原決定基を含むことを特徴とするプロテアーゼにより構成される。それらの免疫学的一致のために、このようなプロテアーゼは本発明のプロテアーゼに構造的に非常に類似し、同様の機能も想定される。
【0042】
上記に説明したアミノ酸組換えに加えて、本発明のプロテアーゼはさらなるアミノ酸組換え、特にアミノ酸置換、挿入または欠失を含み得る。このようなプロテアーゼは、例えば、標的遺伝子組換えにより、すなわち突然変異法を用いることによりさらに展開され、特定の目的に対して、または、特別の特性(例えば、その触媒活性、安定性等)に関して、最適化される。さらに、本発明による核酸は、組換え組成物中に導入することができるため、完全に新規なプロテアーゼまたは他のポリペプチドを生じるのに使用される。
【0043】
その目的は、例えば、本発明による酵素の洗浄性能を改善するために、置換、挿入または欠失などの標的突然変異を既知の分子中に導入することである。特に、この目的のために、分子の表面電荷および/または等電点、およびそれによって分子と基質との相互作用を修飾することができる。例えば、特に洗浄および清浄剤における使用に対して、酵素の正味荷電を、それによって基質結合に影響させるために、変えることができる。それに代えて、または、追加的に、プロテアーゼの安定性を、1以上の対応する組換えを用いて高めることができ、それによって、その洗浄性能が改善される。個々の組換え、例えば個々の置換の有利な特性は、互いに補うことができる。したがって、特定の特性について、例えば、界面活性剤および/または漂白剤および/または他の成分に関する安定性に関して、既に最適化されたプロテアーゼを、本発明に関して、追加的に改良することができる。
【0044】
以下の表現法は、ちょうど1つのアミノ酸位置に関する置換を記載するのに使用される(アミノ酸交換):まず初めに、天然に存在するアミノ酸を国際的に通例の1文字表記の形態で指定する;これに、関連する配列位置が続き、最後に挿入されたアミノ酸が続く。同一ポリペプチド鎖内での多
数交換は、スラッシュにより互いに分けられる。挿入に対し、追加のアミノ酸は配列位置の後に指定される。欠失に対し、失われたアミノ酸は記号(例えばアスタリスクまたはダッシュ)で置き換えられる。例えば、「A95G」は、位置95でのアラニンのグリシンによる置換を記載し;「A95AG」は、位置95でのアミノ酸アラニンの後でのグリシンの挿入を記載し、「A95
*」は、位置95でのアラニンの欠失を記載する。この用語体系は酵素技術の分野の当業者に既知である。
【0045】
したがって、本発明のさらなる主題は、初期分子としての上記のプロテアーゼから、単一または多
数の保存的アミノ酸置換により得られることを特徴とするプロテアーゼであり、該プロテアーゼは、上記のように、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせてなお含む。用語「保存的アミノ酸置換」は、別のアミノ酸残基に対する1つのアミノ酸残基の交換(置換)であり、ここで、このような交換が、交換されたアミノ酸の位置における極性または電荷において変化をもたらさないこと、例えば、非極性アミノ酸残基を別の非極性アミノ酸残基に変換することを意味する。本発明に関する保存的アミノ酸置換は、例えば以下を包含する、G=A=S、I=V=L=M、D=E、N=Q、K=R、Y=F、S=T、G=A=I=V=L=M=Y=F=W=P=S=T。
【0046】
代替的または追加的に、本発明のプロテアーゼは、断片化による、または、欠失突然変異、挿入突然変異、または置換突然変異により、初期分子としての本発明のプロテアーゼから得られることを特徴とし、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、265または266の連続的に結合したアミノ酸の長さにわたり初期分子に合致するアミノ酸配列を含み、上記のように、初期分子中に含有されるアミノ酸置換R99EまたはR99Dは、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換との組合せにおいてなお存在する。
【0047】
したがって、例えば、結果としてタンパク質分解活性を消失または減少することなく、酵素の末端またはループにおいて個々のアミノ酸を消去することが可能である。さらに、例えば、関連する酵素のアレルギー誘発性を、このような断片化または欠失突然変異、挿入突然変異、あるいは置換突然変異により減少させることもできるため、その総合的な利用性を改善することができる。有利には、酵素は、そのタンパク質分解活性を突然変異の後でさえ維持し、すなわち、それらのタンパク質分解活性は、少なくとも初期酵素の活性に相当する。置換も同様に有利な効果を示し得る。個々のアミノ酸、および、連続的に結合したアミノ酸のいずれもを、別のアミノ酸で交換することができる。
【0048】
代替的または追加的に、プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従う、バチルスレンタス由来のプロテアーゼの位置36、42、47、56、61、69、87、96、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、205、211、224、229、236、237、242、243、255および268を有するアラインメントに関連する位置における1つ以上のアミノ酸置換を用いる、初期分子としての本発明のプロテアーゼから得られることを特徴とし、ここで、上記に述べたように、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、本発明によるアミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせてなお含む。ここで、さらなるアミノ酸位置は、SEQ ID NO.1に示されるようなバチルスレンタス由来のプロテアーゼのアミノ酸配列を有する本発明のプロテアーゼのアミノ酸配列のアラインメントにより定義される。位置の関連性は、さらに、成熟タンパク質に向けられる。この関連性は、特に、本発明のプロテアーゼのアミノ酸配列が、SEQ ID NO.1に従うバチルスレンタス由来のプロテアーゼよりも多くのアミノ酸残基を含む場合も用いられる。バチルスレンタス由来のプロテアーゼのアミノ酸配列における前記位置から進み、本発明のプロテアーゼにおける組換え位置は、実際には、アラインメントにおけるこれらの位置に関連する。
【0049】
本発明のプロテアーゼの相同位置へと移された、バチルスレンタス由来のプロテアーゼの配列組換え(特に置換)に有利な位置は、好ましくは重要であり、プロテアーゼに有利な機能特性を与え、したがって、SEQ ID NO.1を有するアラインメントにおける位置36、42、47、56、61、69、87、96、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268に関連し、そのため、SEQ ID NO.1に従い数えて、バチルスレンタス由来のプロテアーゼの野生型分子における上記位置に位置するアミノ酸残基は、以下である:S36、N42、A47、T56、G61、T69、E87、A96、A101、I102、S104、N114、H118、A120、S130、S139、T141、S142、S154、S157、A188、V193、G205、L211、A224、K229、S236、N237、N242、H243、N255、またはT268。
【0050】
置換61A、154D、154E、A188P、またはV193Mは、例えば、本発明のプロテアーゼにおける対応する相同位置が、これらの好ましいアミノ酸の1種で既に天然に占有されている限り、特に有利である。
【0051】
組み換えるアミノ酸の正確な関連性、すなわち、特にそれらの機能的一致のさらなる確認は、アラインメントに基づいて互いに関連付けられる2つの位置を、互いに比較されるプロテアーゼの両方において同様に組み替える比較実験および2つの高活性が同様に修飾されたかどうかを観察することにより与えられる。例えば、SEQ ID NO.1に従うバチルスレンタス由来のプロテアーゼの特定の位置におけるアミノ酸交換が、酵素的パラメーターの組換え(例えばKM値の向上)を伴う場合、そして、酵素的パラメーターの対応する組換え、例えばしたがって同様のKM値の向上が、そのアミノ酸交換が同様に組み込まれたアミノ酸により達成された本発明のプロテアーゼ変異体にも見られる場合、これは、この正確な関連性の確認として見なされる。
【0052】
上記の事実の全ては、プロテアーゼを製造するための本発明の方法にあてはめることもできる。したがって、本発明の方法は、1つ以上の次の方法ステップをさらに含む:
(a)1つまたは多
数の保存的アミノ酸置換を導入するステップ、ここで、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む;
(b)プロテアーゼが、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、265、または266の連続的に結合したアミノ酸の長さにわたり初期分子に合致するアミノ酸配列を含むように、断片化によって、または、欠失突然変異、挿入突然変異、もしくは置換突然変異によって、アミノ酸配列を組換えるステップ、ここで、初期分子に含有されるアミノ酸置換R99EまたはR99Dは、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換との組合せにおいて、なお存在する;
(c)SEQ ID NO.1に従うバチルスレンタス由来のプロテアーゼの位置36、42、47、56、61、69、87、96、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268を有するアラインメントに関連する位置の1つ以上に、1つまたは多
数のアミノ酸置換を導入するステップ、ここで、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む。
【0053】
全ての記載は、本発明の方法にもあてはまる。
【0054】
本発明のさらなる態様において、プロテアーゼまたは本発明の方法を用いて製造されたプロテアーゼは、SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、または98.8%、なお同一である。プロテアーゼまたは本発明の方法で製造されたプロテアーゼは、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む。
【0055】
本発明のさらなる主題は、特に、1つ以上の突然変異(例えば置換)を用いて、または、ポリマーへの連結によって、追加的に安定化された上記プロテアーゼである。貯蔵に関して、および/または、使用中、例えば洗浄工程中における安定性が高まるために、酵素活性がより長く持続し、そのため、洗浄性能が改善されるからである。従来技術において記載された、および/または、適切な、あらゆる安定化可能性が、原則として適する。酵素自体の突然変異により達成されるこれらの安定化結果は、かかる安定化がさらなる処理ステップおよび続く酵素の回収を必要としないため、好ましい。このために適当な配列組換えの例は、上記に述べられている、。さらなる適当な配列組換えは、従来技術より既知である。例えば、1個以上のチロシン残基を別のアミノ酸と交換することにより、プロテアーゼを安定化することもできる。
【0056】
さらなる考えられる安定化は、例えば:
・金属イオンの結合、特にカルシウム結合サイトを、例えば、カルシウム結合に関与する1個以上のアミノ酸を、1個以上の負電荷を有するアミノ酸と交換することにより、および/または、2個のアミノ酸アルギニンおよびグリシンの少なくとも1つの配列に、配列組換えを導入することにより、組み換えること;
・タンパク質上またはタンパク質の表面上でアミノ酸配列の変化を生じる突然変異により、変性剤(例えば界面活性剤)の影響に対して保護すること;
・おそらく分子の残部と非共有性の相互作用により接触し、そのため、球状構造の維持に寄与する、N末端付近に配置されるアミノ酸を交換すること。
【0057】
多
数的な安定化突然変異は追加的または相乗的な効果を有するため、酵素が複数の方法で安定化された態様は、好ましい態様である。
【0058】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの化学的組換えを含むことを特徴とする、上記に記載のプロテアーゼである。このような組換えを有するプロテアーゼは、誘導体と称され、すなわち該プロテアーゼは誘導体化されている。
【0059】
したがって、本出願の目的に対し「誘導体」は、その純粋なアミノ酸鎖が化学的に修飾されたタンパク質として理解される。このような誘導体化操作は、例えば、生体内で、タンパク質を発現する宿主細胞により行うことができる。これに関して、脂質またはオリゴ糖などの低分子量化合物の架橋が特に重視される。しかしながら、誘導体化をインビトロで、例えばアミノ酸側鎖の化学的変換、または、異なる化合物のタンパク質への共有結合により行うこともできる。例えば、等電点を変えるために、酵素のカルボキシル基へのアミンの架橋が可能である。このような他の化合物の1つは、例えば、二官能性化合物を介して本発明のタンパク質に結合するさらなるタンパク質であってもよい。「誘導体化」は、同様に、高分子担体への共有結合化として理解されるか、または、適当高分子かご構造中への非共有的封入としても理解される。誘導体化は、例えば、基質特異性または基質への結合の強さに影響し得り、結合した基質が阻害剤である場合、酵素活性の一時的な阻害をもたらし得る。これは、例えば貯蔵期間に対して有利であり得る。この種の修飾は、さらに、安定性または酵素活性に影響し得る。これはさらに、タンパク質のアレルゲン性および/または抗原性の低減をも、もたらし得るため、例えば、その皮膚適合性を高める。例えば、高分子化合物(例えばポリエチレングリコール)への架橋は、安定性および/または皮膚適合性に関してタンパク質を改善し得る。
【0060】
本発明のタンパク質の「誘導体」は、該タンパク質の調製物として最も広い観念でも理解され得る。回収、加工または調製に応じて、タンパク質は、例えば生産性微生物の培養からの、あらゆる他の物質との関連がもたらされ得る。また、タンパク質は、例えばその貯蔵安定性を高めるために、意図的にそこに添加された他の物質を有し得る。したがって、本発明のタンパク質の全ての調製物も、本発明に関する。これは、また、特定の調製物中で実際にこの酵素活性を示すか否かに関わらずである。なぜなら、貯蔵中に活性をほとんどまたは全く有さず、その酵素的機能を使用時にのみ発揮することが望ましくあり得るためである。これは、例えば対応する添加物質を用いて制御することができる。これに関して、プロテアーゼ阻害剤を伴うプロテアーゼの調製物が特に考えられる。
【0061】
全てのプロテアーゼまたは上記のプロテアーゼ変異体および/または誘導体に関して、その活性が、少なくともSEQ ID NO.2および/またはSEQ ID NO.3に従うプロテアーゼの活性の相当するもの、および/または、その洗浄性能が少なくともSEQ ID NO.2および/またはSEQ ID NO.3に従うプロテアーゼの洗浄性能に相当するものは、本発明に関して特に好ましく、その洗浄性能は上記の洗浄系において測定される。
【0062】
本発明のさらなる主題は、本発明のプロテアーゼをコードする核酸、ならびに該核酸を含有するベクター、特にクローニングベクターまたは発現ベクターである。
【0063】
これらは、DNA分子またはRNA分子であり得る。これは、単一ストランドとして、該単一ストランドにに相補的な単一ストランドとして、または2重ストランドとして存在し得る。DNA分子について、特に全3つの考えられるリーディングフレームにおける両方の相補的なストランドの配列が、それぞれの場合において考えられる。異なるコドン、すなわち3つの塩基は、同一のアミノ酸をコードし得るため、特定のアミノ酸配列は複数の異なる核酸からコードされ得るということも考慮される。この遺伝子コードの縮重の結果として、上記に述べたプロテアーゼの1種をエンコード化し得るあらゆる核酸配列が、本発明の主題に含まれる。遺伝子コードの縮重に関わらず、定義されたアミノ酸は個々の個ドンと関連しているため、当業者は、かかる核酸配列を明確に決定することができる。したがって、当業者は、アミノ酸配列から進めて、該アミノ酸配列をコード化する核酸を容易に突き止めることができる。さらに、本発明の核酸に関して、1種以上のコドンを同義語コドンで置き換えることができる。この態様は、特に、本発明の酵素の異種発現に関する。例えば、それぞれの生命体、例えば生産菌株の宿主細胞は、特定のコドン使用を有している。「コドン使用」は、それぞれの生命体による、アミノ酸への遺伝子コードの翻訳として理解される。タンパク質生合成におけるボトルネックは、核酸に配置されたコドンが、生体内で、比較的少ない数の添加されたtRNA分子に直面する場合に生じうる。これは同一のアミノ酸をコードするが、この結果は、同一のアミノ酸をコードする同義語コドンよりも効果的でなく、生体中でコドンが翻訳される同義語コドンに対するtRNA分子の数がより多く存在するために、生体中で後者がより効率的に翻訳される。
【0064】
今日、一般に知られている方法、例えば化学合成またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を分子生物学および/またはタンパク質化学の標準方法と組み合わせて用いて、当業者は、既知のDNA配列および/またはアミノ酸配列に基づいて、対応する核酸を遺伝子が完成するまで製造する能力を有している。このような方法は、例えば、Sambrook、J., Fritsch, E.F., および Maniatis、T、2001、Molecular cloning: a laboratory manual、第3版、Cold Spring Laboratory Pressより既知である。
【0065】
「ベクター」は、本発明の目的に対し、核酸で構成されている要素として理解され、本発明による核酸を特徴的な核酸領域として含有する。これらは該核酸が、複数世代にわたる種または細胞株、または、細胞分裂において、安定な遺伝要素として確立されるのを可能にする。特に、細菌中で使用される場合、ベクターは特別のプラスミド、すなわち循環遺伝的要素である。本発明に関して、本発明の核酸は、ベクターへと複製される。ベクターに含まれるものは、例えば、細菌プラスミド、ウィルス、またはバクテリオファージに由来するもの、あるいは、非常に異なる由来の要素を有する主に合成のベクターまたはプラスミドである。それぞれの場合に存在するさらなる遺伝的要素を用いて、ベクターは、複数世代にわたり、関連する宿主細胞中の安定ユニットとして、それ自体を確立することができる。それらは、染色体外に、別のユニットとして存在し得るか、または、染色体中または染色体DNA中に統合され得る。
【0066】
発現ベクターは、それを含有する宿主細胞、好ましくは微生物、特に好ましくは細菌中で、複製を可能にし、含有される核酸の発現を可能にする、核酸配列を含む。発現は、特に、プロモーターまたは転写調整プロモーターにより影響される。発現は、原則として、発現される核酸の前に本来位置する天然プロモーターを用いて生じ得るが、発現ベクターに備えられたホスト-セルプロモーターを用いても、または、修飾された、もしくは、完全に異なる別の生命体または別の宿主細胞のプロモーターを用いても、生じ得る。この場合において、本発明の核酸を発現するために、少なくとも1種のプロモーターが提供され、その発現に使用される。さらに、発現ベクターは、例えば培養条件を変えることにより、または、それを含有する宿主細胞を特定の密度に達することにより、または、特定の物質、特に遺伝子発現の活性化剤の添加により、調整可能であり得る。このような物質の一例は、ガラクトース誘導体イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)であり、これは、細菌性ラクトースオペロン(lac operon)の活性化物質として使用される。発現ベクターに対して、クローニングベクター中で、該含有される核酸は発現されない。
【0067】
本発明のさらなる主題は、本発明の核酸または本発明のベクターを含有する非ヒト宿主細胞、または、本発明のプロテアーゼを含有する非ヒト宿主細胞、特に宿主細胞の周囲の媒地中に該プロテアーゼを分泌するものである。本発明の核酸または本発明のベクターは、好ましくは微生物へと転換され、これは、本発明の宿主細胞を表す。あるいは、個々の成分、すなわち核酸部分または本発明の核酸の断片を、その結果生じる宿主細胞が本発明の核酸または本発明のベクターを含有するような方法で、宿主細胞中に導入することもできる。この工程は、特に、該宿主細胞が本発明の核酸または本発明のベクターの1つ以上の構成要素を既に含有し、さらなる構成要素がそれに応じて補完される場合に適当である。細胞の形質転換方法は従来技術において確立され、当業者に十分に知られている。全ての細胞が、原則として、宿主細胞として適当である(すなわち原核細胞または真核細胞)。例えば核酸またはベクターを用いる形質転換に関して、および、その安定な確立に関して、遺伝子学的に有利な方法で操作してよい、これら宿主細胞は好ましく、例えば単細胞は菌類または細菌類である。さらに、好ましい宿主細胞は、微生物学的および生物工学的用語において易操作性であることに注意する。これは、例えば、易培養能、高成長速度、発酵培地に関する低要求性、および、異種タンパク質に対する良好な生産速度および分泌速度を表す。本発明の好ましい宿主細胞は、(遺伝子導入で)発現されたタンパク質を、宿主細胞の周囲の培地中に分泌する。該プロテアーゼは、さらに、その生産後に、それらを作り出す細胞によって、例えば糖分子の添加、ホルミル化、アミノ化等により修飾され得る。この種の翻訳後組換えは、該プロテアーゼに機能的に影響し得る。
【0068】
さらなる好ましい態様は、遺伝子的調節要素に基づきその活性が調整され得る宿主細胞により表され、これは、例えばベクターにおいて提供されるが、これらのセル中に先天的に存在してもよい。これらは、例えば活性化物質として働く化合物の制御された添加によって、培養条件の変更によって、または、特定の細胞密度に達する際に、発現が促進され得る。このため、本発明のタンパク質の経済的な製造が可能となる。このような化合物の一例は、上記に記載したようなIPTGである。
【0069】
好ましい宿主細胞は、原核細胞または細菌性細胞である。細菌は短い世代時間であり、培養条件に関する要求がほとんどないことに注目される。その結果、経済的な培養法および製造法が達成され得る。さらに、当業者は、発酵技術における細菌類について、非常に豊富な経験を有している。グラム陰性細菌またはグラム陽性細菌は、特定の製造例について、個々の場合に実験的に確認される種々の理由(例えば栄養源、生成物形成速度、時間的要求など)について、適当であり得る。
【0070】
例えば大腸菌などのグラム陰性細菌において、多数のタンパク質がペリプラスム間隙中、すなわち、細胞を取り囲む2つの膜の間の区画中に分泌される。これは特定の用途に対して有利であり得る。グラム陰性細菌は、さらにまた、発現されたタンパク質を、ペリプラスム間隙中だけでなく、細菌の周囲の培地中へも排出するように作られ得る。他方で、例えば桿菌または放線菌または放射菌の他の例などのグラム陽性細菌は、外膜を有さないため、分泌されたタンパク質はすぐに培地(原則として細菌の周囲の栄養物培地)中に運ばれ、該培地から発現されたタンパク質を精製することができる。それらは培地から直接に単離され得るか、または、さらに処理され得る。さらに、グラム陽性細菌は、技術的に需要な酵素について由来となる生命体のほとんどに関連し、または、同一であり、通常、それら自体が相当する酵素を形成するため、これらは類似のコドン使用を備え、それらのタンパク質合成機構が当然同様に向けられる。
【0071】
本発明による宿主細胞は、培養条件に対するそれらの要求に関して組み換えられていてよく、他のまたは追加の選択マーカーを含んでよく、または、他のまたは追加のタンパク質を発現してもよい。それらは特に、遺伝子組換え的に複数のタンパク質または酵素を発現する宿主細胞であってよい。
【0072】
本発明は、原則的に全ての微生物、特に全ての発酵可能な微生物、特に好ましくはバチルス種の微生物に適用可能であり、その結果、かかる微生物を用いることにより本発明のタンパク質が製造され得る。かかる微生物は、そのため、本発明の目的の宿主細胞を表す。
【0073】
本発明のさらなる態様において、宿主細胞は細菌であることを特徴とし、好ましくはエシェリキア属、クレブシエラ、バチルス、ブドウ球菌、コリネバクテリア、アルスロバクター、ストレプトミセス、ステノトロフォモナス、およびシュードモナスからなる群から選択される1種であり、より好ましくは大腸菌、クレブシエラプランチコラ、バチルスリケニフォルミス、バチルスレンタス、バチルスアミロリケファシエンス、バチルススブチリス、バチルスアルカロフィルス、バチルスグロビギ(Bacillus globigii)、バチルスギブソニー(Bacillus gibsonii)、バチルスクラウジー(Bacillus clausii)、バチルスハロデュランス、バチルスプミルス、スタフィロコッカスカルノーサス、コリネバクテリアグルタミクム、アルスロバクターオキシダンス、ストレプトミセスリビダンス、ストレプトミセスセリカラーおよびステノトロフォモナスマルトフィリアの群から選択される1種である。
【0074】
しかしながら、宿主細胞は、細胞核を有することを特徴とする真核細胞であってもよい。したがって、本発明のさらなる主題は、細胞核を有するという特徴を有する宿主細胞により表される。原核細胞に対して真核細胞は、形成されたタンパク質の翻訳後修飾が可能である。その例は、放線菌などの菌類、または、サッカロミセスまたはクルイベロミセスなどの酵母である。これは、例えば、タンパク質が、その合成に関連して、このような系により可能となる特定の組換えを経験することが意図される場合、特に有利である。特にタンパク質合成との組合せにおいて真核性の系が行う組換えは、例えば、膜アンカーまたはオリゴ糖などの低分子量化合物の結合である。この種のオリゴ糖組換えは、例えば、発現されたタンパク質のアレルゲン性を低下するために望ましくあり得る。このような細胞により自然に形成された酵素(例えばセルラーゼまたはリパーゼ)との相互発現も有利であり得る。例えばさらに、好熱性菌発現系は、耐熱性タンパク質または変異体の発現に特に適当であり得る。
【0075】
本発明の宿主細胞は、通常の方法で、例えば不連続系または連続系において培養させ、発酵させる。不連続系の場合、宿主細胞を適当な培養液中に接種し、実験的に確認された時間の後に、培地から生成物を採取する。連続的発酵は、比較的長い時間をかけて、細胞が部分的に死に絶えるが、また部分的に再生される流動均衡の達成に注目され、形成されたタンパク質を培地から同時に取り除くことができる。
【0076】
本発明の宿主細胞は、好ましくは、本発明のプロテアーゼの製造に使用される。したがって、本発明のさらなる主題は、以下を含むプロテアーゼの製造方法である:
a)本発明の宿主細胞を培養すること、
b)培地または宿主細胞から、該プロテアーゼを単離すること。
【0077】
本発明のこの主題は、好ましくは、発酵法を含む。発酵法は従来技術より既知であり、製造された生成物、例えば本発明のプロテアーゼの適当な精製方法が通常続く、実際の工業スケール製造ステップを表す。したがって、本発明のプロテアーゼを製造するための対応する方法に基づくあらゆる発酵法が、本発明のこの主題の態様を表す。
【0078】
発酵がインフロー法により行われることを特徴とする発酵法は、特に適当である。これに関して、培地の構成要素は連続的培養中に消費され、補給される。それによって、細胞密度、および、細胞塊または乾燥塊の両方における、および/または、主に興味深いプロテアーゼの活性における、顕著な増大が達成され得る。さらに、発酵操作は、望ましくない代謝生成物がろ過により除去されるように、または、緩衝液またはそれぞれに適当な対イオンの添加により中和されるように、構成されてもよい。
【0079】
製造されたプロテアーゼは、発酵培地から採取され得る。この種の発酵法は、宿主細胞からのプロテアーゼの単離、すなわち細胞塊(乾燥塊)からの生成物調製よりも好ましいが、宿主細胞が発酵培地中にプロテアーゼを分泌するように供される、適当な宿主細胞、または、1種以上の適当な分泌マーカー、または、機構および/または輸送系を必要とする。あるいは、分泌を伴わず、宿主細胞からのプロテアーゼの単離、すなわち細胞塊からのその精製が、例えば、硫酸アンモニウムまたはエタノールを用いる沈殿法により、または、クロマトグラフ的精製により、行うことができる。
【0080】
上記の全ての事実を、本発明のプロテアーゼの製造方法において組み合わせることができる。
【0081】
本発明のさらなる主題は、上記の本発明のプロテアーゼを含有することを特徴とする剤である。剤は、好ましくは洗浄または清浄剤である。本発明のプロテアーゼは、特に血液含有汚れにおいて、有利な洗浄性能効果を示すため、該剤は特にこのような汚れの除去に対して適当であり、有利である。
【0082】
考えられる全タイプの洗浄または清浄剤が、洗濯機、または手洗いまたは清浄における、濃縮物、不希釈で使用される剤、工業規模での使のいずれもが、本発明のこの主題に含まれる。例えば繊維製品、カーペットまたは天然繊維用の洗浄剤が含まれ、それに対し、用語「洗浄剤」が使用される。例えば、自動食洗機用または手動食器洗い用の洗浄剤、または、例えば金属、ガラス、磁器、セラミック、タイル、石、塗装表面、プラスチック、木または皮などの硬質表面用の清浄剤もこれに含まれ、これについて用語「清浄剤」が使用され、すなわち、手動および自動の食器洗浄剤に加えて、例えば研磨剤、ガラス用清浄剤、トイレ用清浄剤等である。本発明に関して洗浄および清浄剤にさらに含まれるものは、実際の洗浄剤中に投与される洗浄助剤であり、これは、さらなる効果を達成するために、手動または自動の布地洗浄に関して処方される。また、本発明に関して、洗浄および清浄剤の中に含まれるのは、繊維製品前処理剤および後処理剤、すなわち、例えば頑固な汚れをゆるめるために、実際の洗濯の前に洗濯物と接触させる剤、ならびに、実際の繊維洗濯に続くステップにおいて、洗浄された物に、心地良い感触、しわをなくす、または静電気低下などのさらなる所望の特性を付与するための剤である。特に繊維柔軟剤は、後者の剤に分類される。
【0083】
特に、再圧縮された粒子形態で粉末化固体として存在してよく、均一な溶液または懸濁液として存在してよい、本発明の洗浄または清浄剤は、本発明のプロテアーゼの他に、このような剤に通常の任意の既知原料を含有してよく、少なくとも1種のさらなる原料が剤中に存在することが好ましい。本発明の剤は、特に界面活性剤、ビルダー(洗浄性ビルダー)、過酸化化合物またはブリーチアクチベーターを含有し得る。それらは、水混和性有機溶媒、さらなる酵素、金属イオン封鎖剤s、電解質、pH調整剤、および/またはさらなる助剤、例えば光学的光沢剤、抗灰色化剤、発泡調整剤ならびに染料および香料、ならびにそれらの組合せをさらに含有してよい。
【0084】
本発明のプロテアーゼと、剤の1種以上のさらなる原料との組合せは、これがもたらす相乗効果のために、本発明の好ましい形態におけるこのような剤が改善された洗浄性能を示すため、特に有利である。このような相乗効果は、特に、本発明のプロテアーゼと界面活性剤および/またはビルダー(洗浄性ビルダー)および/または過酸化化合物および/またはブリーチアクチベーターとを組み合わせることにより達成され得る。
【0085】
本発明の剤の有利な原料は、国際特許出願第2009/121725号に開示されており、その第5頁の初めから、隣の最後のパラグラフ、および、第2パラグラフの後の第13頁の終わりまでに開示されている。この開示について明示的に参照を記載したものとし、その開示を本出願中に組み込む。
【0086】
本発明の剤は、剤1gあたり、2μg〜20mg、好ましくは5μg〜17.5mg、特に好ましくは20μg〜15mg、きわめて好ましくは50μg〜10mgの量でプロテアーゼを有利に含有する。さらに、剤中に含有されるプロテアーゼ、および/または、剤のさらなる原料は、室温または水不存在下で酵素に対して不浸透性の物質に封入されていてもよく、この物質は、剤の使用条件下で酵素に対して浸透性になる。したがって、本発明のこのような態様は、プロテアーゼが、室温または水不存在下でプロテアーゼに対して不浸透性の物質に封入されているという特徴を有する。さらに、洗浄または清浄剤自体は、容器中、好ましくは空気透過性の容器中に充填されてよく、使用直前に、または、洗浄操作中に、そこから放出される。
【0087】
本発明のさらなる態様において、剤は、それが以下であるという特徴を有する:
(a)300g/l〜1200g/l、特に500g/l〜900g/lの体積重量を有する固体形態、特に注入可能粉末として存在する、または
(b)ペーストまたは液状形態で存在する、および/または
(c)1成分系として存在する、または、
(d)複数成分に細分される。
【0088】
本発明のこれらの態様は、本発明の剤の全ての固体、粉末化形態、液状形態、ゲル化形態またはペースト状投与形態を包含し、これは任意に複数の相で構成されてもよく、圧縮形態、または、非圧縮形態で存在し得る。剤は、特に、300g/l〜1200g/l、特に500g/l〜900g/l、または600g/l〜850g/lの体積重量を有する注入可能な粉末として存在してよい。本発明の固形状投与形態にさらに含まれるものは、押出物、顆粒、タブレットまたはパウチである。あるいは、本発明の剤は、液状、ゲル化状、またはペースト状であってもよく、例えば、非水系液状洗浄剤または非水系ペーストの形態で、または、水系液状洗浄剤または含水ペーストの形態であってもよい。本発明の剤は、さらに、1成分系として存在してよい。このような剤は、1つの相で構成される。あるいは、剤は複数の相で構成されてもよい。したがって、この種の剤は複数の成分に細分される。
【0089】
本発明の洗浄または清浄剤は、プロテアーゼのみを含有してもよい。あるいは、それらは、さらなる加水分解性酵素または他の酵素を、剤の効果に有利な濃度で含有してもよい。したがって、本発明のさらなる態様は、1種以上のさらなる酵素をさらに含む剤で表される。本発明の剤中で触媒活性を示し得る全ての酵素、特にプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、タンナーゼ、キシラナーゼ、キサンタナーゼ、キシログルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、カラギナーゼ、ペルヒドロラーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクダーゼまたはリパーゼ、ならびにそれらの混合物は、好ましくはさらなる酵素として使用可能である。さらなる酵素は、本発明の剤中に、それぞれの場合において、活性タンパク質に基づいて1x10
-8〜5重量%の量で有利に含有される。次第に好ましくは、それぞれのさらなる酵素は、本発明の剤中に、活性タンパク質に基づいて、1x10
-7〜3重量%、0.00001〜1重量%、0.00005〜0.5重量%、0.0001〜0.1重量%、特に好ましくは0.0001〜0.05重量%の量で含有される。特に好ましくは、該酵素は、特定の汚れまたはシミに関して、相乗的な洗浄性能効果を示す、すなわち、剤組成物中に含有される酵素が、その洗浄性能において、互いに相互に助け合う。きわめて好ましくは、この種の相乗性は、本発明に従い含有されるプロテアーゼと、本発明の剤のさらなる酵素との間、その中で特に、前記プロテアーゼと、アミラーゼおよび/またはリパーゼおよび/またはマンナナーゼおよび/またはセルラーゼおよび/またはペクチナーゼとの間に存在する。相乗効果は、異なる酵素間に生じ得るだけでなく、1種以上の酵素と、本発明の剤のさらなる原料との間にも生じ得る。
【0090】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの方法ステップにおいて、本発明の剤を使用することを特徴とする、または、少なくとも1つの方法ステップにおいて、本発明のプロテアーゼが触媒活性になる、使用あたりに、特にプロテアーゼが40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、特に好ましくは100μg〜2g、きわめて好ましくは200μg〜1gの量で使用されるような、繊維製品または硬質表面の清浄方法である。
【0091】
手動および自動の方法の両方が含まれ、自動の方法が好ましい。繊維製品の清浄方法は、複数の方法ステップにおいて洗浄活性を有する種々の物質を洗浄する生地上に適用し、接触時間の後で洗い流す、または、洗浄する生地を、洗浄剤または該剤の溶液または希釈物で、別の方法で処理するという事実において一般に注目される。これは、繊維製品以外の全ての材料、特に硬質表面を清浄化する方法に同様に当てはまる。考えられるすべての洗浄または清浄方法が、本発明の洗浄または清浄剤、または、本発明のプロテアーゼを用いることによる少なくとも1つの方法ステップにおいて追加されてよく、そして、本発明の態様を表す。本発明のプロテアーゼまたはそれを含有する剤について記載した全ての事実、主題および態様が、また、本発明のこの主題に適用可能である。したがって、この時点で、対応する時点の開示について、本発明による本発明の方法にも有効であるという指摘とともに、明示的に参照したものとする。
【0092】
本発明のプロテアーゼは既に自然に加水分解活性を有し、例えば純粋緩衝液中などの他の洗浄力を有さない媒体中でさえ加水分解活性を示すため、このような方法の単一および/または唯一のステップが、本発明のプロテアーゼを、洗浄活性を有する唯一の成分として所望される場合、好ましくは緩衝液中または水中で、汚れと接触させることからなってよい。これは、本発明のこの主題のさらなる態様を表す。
【0093】
本発明のこの主題の他の態様は、繊維製品原料を処理するための、または、繊維製品ケアのための方法によっても表され、ここで、本発明のプロテアーゼは少なくとも1つの方法ステップにおいて活性になる。その中で好ましいのは、繊維製品原料、繊維、または天然構成物質を有する繊維製品に対する、非常に具体的には、羊毛または絹を有するものに対する方法である。
【0094】
本発明のさらなる主題は、特にプロテアーゼが、40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、特に好ましくは100μg〜2g、きわめて好ましくは200μg〜1gの量で使用されるような方法における、本発明の剤の、繊維製品または硬質表面を洗浄するための使用、または、本発明のプロテアーゼの、繊維製品または硬質表面の洗浄するための使用である。
【0095】
本発明のプロテアーゼおよびそれらを含有する剤について記載した全ての事実、主題および態様が、本発明のこの主題にも当てはまる。したがって、この時点で、対応する時点での開示について、この開示が本発明による本発明の使用にも有効であるという指摘と共に、明示的に参照したものとする。
【実施例】
【0096】
全ての分子生物学的操作ステップは、標準的方法、例えば、 Fritsch、Sambrook and Maniatis "Molecular Cloning: a laboratory Manual"、Cold Spring Harbour Laboratory Press、New York、1989 というハンドバックまたは相当する関連する研究に記載のものにしたがう。酵素およびキットは、それぞれの製造業者の指示書にしたがって使用した。
【0097】
実施例1
SEQ ID NO.1に従うアミノ酸配列を含有させたプロテアーゼから進み、本発明によるプロテアーゼ変異体を、プロテアーゼをコードする核酸における、PHUSION 部位特異的突然変異生成キット(Finnzyme、F541)を用いる、部位特異的突然変異により製造した。これにおいて、示されたアミノ酸位置に対するコドンは、アミノ酸配列を参照して、示されるようなアミノ酸の交換が生じるように組み換えた。プロテアーゼ変異体の発現は、当分野で通常の方法で、バチルススブチリス DB 104(Kawamura and Doi (1984)、J. Bacteriol.、第160(1)巻、第442-444頁)を対応する発現ベクターで形質転換し、続いて該プロテアーゼ変異体を発現する形質転換物を培養することにより、生じた。
【0098】
プロテアーゼ変異体1:SEQ ID NO.1に従い数えてアミノ酸置換S3T、V4I、R99E、V199Iを有する、SEQ ID NO.1に従うアミノ酸配列を有するプロテアーゼ(SEQ ID NO.2);
【0099】
プロテアーゼ変異体2:SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換S3T、V4I、R99D、V199Iを有する、SEQ ID NO.1に従うアミノ酸配列を有するプロテアーゼ(SEQ ID NO.3)。
【0100】
実施例2:市販の通常の液状洗浄剤において使用する際の、本発明のプロテアーゼの洗浄性能の確認
本実施例において標準化汚れ繊維製品を使用した。次の汚れを使用した:
A.綿上の血液:Eidgenoessische Material- und Pruefanstalt (EMPA) Testmaterialen AG、St. Gallen、Switzerlandから入手可能なプロダクト番号111、
B.綿上の牛乳/カーボンブラック(wfk - Cleaning Technology Institute e.V., Krefeld、Germany)、
C.綿上の血液-牛乳/インク:CFT (Center For Testmaterials) B.V., Vlaardingen、Netherlandから入手可能なプロダクト番号C-05。
【0101】
この試験材料を用い、種々の洗浄剤製剤を、その洗浄性能に関して評価した。このために、バッチを20℃または40℃の温度で70分間洗浄した。投与割合は、洗浄浴1リットルあたり、洗浄剤4.7gであった。洗浄を16度の硬度(ドイツ硬度)を有する水道水で行った。
【0102】
次の組成物のベースライン洗浄剤製剤を、コントロール洗浄剤として用いた(全ての表示は重量パーセントである):0.3〜0.5% キサンタン、0.2〜0.4% 消泡剤、6〜7% グリセロール、0.3〜0.5% エタノール、4〜7% FAEOS (脂肪アルコールエーテルスルフェート)、24〜28% 非イオン性界面活性剤s、1% ホウ酸、1〜2% クエン酸ナトリウム (二水和物)、2〜4% 重曹、14〜16% ヤシ脂肪酸、0.5% HEDP (1-ヒドロキシエタン-(1,1-ジホスホン酸))、0〜0.4% PVP (ポリビニルピロリドン)、0〜0.05% 光学的光沢剤、0〜0.001% 染料、残部 脱イオン水。
【0103】
ベースライン洗浄剤製剤は、実験例の種々のシリーズに対して、同一の活性タンパク質基準(0.03重量%活性物質)で添加された次のプロテアーゼを有する。実施例1からのプロテアーゼ変異体1(バッチ1)を、本発明のプロテアーゼとして使用した。使用した参考例は、国際特許出願WO 03/057713の
図2またはSEQ ID NO.3に開示されているプロテアーゼである(バッチ2)。この参考プロテアーゼは、液状の洗浄および清浄剤において、非常に良好な洗浄性能を示す。
【0104】
洗浄後、洗浄された繊維製品の白色度を測定した。該測定は、Minolta CM508d分光計(D65照度、10°)において行った。この装置は、該装置に備え付けの白色標準を用いてあらかじめ較正した。得られた結果は、本発明のプロテアーゼに対して得られた緩解単位と、参考のプロテアーゼに対して得られた緩解単位との差である(ΔREM=バッチ1緩解単位−バッチ2緩解単位)。したがって、正の値は、参考プロテアーゼとの比較としての、本発明のプロテアーゼについての改善された白色度を示す。この結果を次の表1に示す。
【0105】
表1:20℃および40℃で液状洗浄剤を用いる洗浄結果
【表1】
【0106】
本発明のプロテアーゼは、特に血液含有汚れにおいて、改善された洗浄性能を示すことが明らかである。
【0107】
実施例3:本発明のプロテアーゼの温度安定性の確認
以下に示すプロテアーゼを、10〜20μg/mlの濃度で、0.1Mグリシン/NaOH緩衝液中、60℃およびpH10.0でインキュベートした。60分間にわたる一定間隔でサンプルを取り、氷上に固定し、基質からのパラ-ニトロアニリン(pNA)発色団の放出を介する残留タンパク質分解活性の測定を用いる活性試験により測定した。該基質は、suc-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド基質(suc-AAPF-pNA)である。該プロテアーゼは該基質を開裂し、pNAを放出する。pNAの放出は、410nmでの消光の増加を引き起こし、その時間的経過は、酵素活性の指標である(Del Mar et al., 1979参照)。その半減期を測定された残効性値に基づいて算出した。次の半減期(t 1/2)が得られた:
【0108】
測定された半減期
【0109】
本発明のプロテアーゼはかなり改善された温度安定性を示すことが明らかである。
【0110】
その結果、本発明のプロテアーゼは改善された洗浄性能を示し、有利に温度安定である。
【0111】
実施例4:市販の通常の液状洗浄剤中、洗浄温度60℃で使用する際の本発明のプロテアーゼの洗浄性能の確認
【0112】
本実施例において標準化汚れ繊維製品を使用した。次の汚れを使用した:
a)Eidgenoessische Material- und Pruefanstalt (EMPA) Testmaterialen AG、St. Gallen、Switzerland製の汚れ:EMPA 117(ポリエステル/綿上の血液/牛乳/インク)、EMPA 112(綿上のココア)
b)wfk - Cleaning Technology Institute e.V.、Krefeld、Germany製の汚れ:10EG(綿上の卵黄)、10N(綿上の全卵/顔料)
c)CFT(Center For Testmaterials) B.V.、Vlaardingen、Netherlands製の汚れ:CS-01(綿上の血液)、C-05(綿上の血液/牛乳/インク)、CS-44(綿上のチョコレートドリンク)、CS-37(綿上の、顔料を伴う全卵)、C-10(綿上の顔料/油/牛乳)、CS-06(綿上の天然黒色を有するサラダドレッシング)、CS-08(綿上の草)。
【0113】
この試験材料を用いて、種々の洗浄剤製剤を、その洗浄性能に関して評価した。実験は、洗浄をより高温で、特に60℃で行ったこと以外は、実施例2に記載のようにして行った。実施例1からのプロテアーゼ変異体1(以下においてバッチ1)を、本発明のプロテアーゼとして使用した。液状の洗浄および清浄剤中で非常に良好な洗浄性能をすでに示す次のプロテアーゼを参考として用いた:
バッチ2:WO 95/23221に従うアルカリバチルスレンタス由来のプロテアーゼ DSM 5483の変異体F49;
バッチ3:WO 92/21760に従うアルカリバチルスレンタス由来のプロテアーゼ DSM 5483の変異体(位置3、4および199での組換え);
バッチ4:SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99Eを有する、SEQ ID NO.1に従うアミノ酸配列を有するプロテアーゼ。
【0114】
バッチ4を標準とした。次の表3に示す値は、全ての汚れにおける、バッチ4に従う標準からの差としての洗浄性能値の合計である。したがって、負の値は、全ての汚れについての、標準と比較した乏しい洗浄性能を示し、正の値は、全ての汚れについての、標準と比較した改善された洗浄性能を示す。
【0115】
【表3】
【0116】
本発明のプロテアーゼは60℃でなお、かなり改善された洗浄性能を示すことが明らかである。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
〔1〕SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも70%同一であり、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む、アミノ酸配列を含む、プロテアーゼ。
〔2〕出発分子としての前記〔1〕に記載のプロテアーゼから、単一または多重の保存的アミノ酸置換により得られることを特徴とするプロテアーゼであって、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む、
および/または
出発分子としての前記〔1〕に記載のプロテアーゼから、断片化、欠失突然変異、挿入突然変異、または置換突然変異によって得ることができ、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、265、または266の連続的に結合したアミノ酸の長さにわたり出発分子に対応するアミノ酸配列を含む、ここで、出発分子に含有されるアミノ酸置換R99EまたはR99Dは、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換との組合せにおいて、なお存在する、
および/または
出発分子としての前記〔1〕に記載のプロテアーゼから、SEQ ID NO.1に従うバチルスレンタス由来のプロテアーゼの位置36、42、47、56、61、69、87、96、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268を有するアラインメントに関連する位置における、1つ以上のアミノ酸置換を用いて得ることができ、ここで、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む、
プロテアーゼ。
〔3〕SEQ ID NO.1で示されるアミノ酸配列に、その全長にわたり、少なくとも70%同一である出発プロテアーゼへの、SEQ ID NO.1に従い数えて、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換との組合せにおける、アミノ酸置換R99EまたはR99Dの導入を含む、プロテアーゼの製造方法。
〔4〕以下の方法ステップの1つ以上をさらに含む、前記〔3〕に記載の方法:
(a)単一または多重の保存的アミノ酸置換を導入するステップ、ここで、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む;
(b)プロテアーゼが、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、265、または266の連続的に結合したアミノ酸の長さにわたり出発分子に相当するアミノ酸配列を含むように、断片化、欠失突然変異、挿入突然変異、または置換突然変異によってアミノ酸配列を修飾するステップ、ここで、該アミノ酸置換R99EまたはR99Dは、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換との組合せにおいて、なお存在する;
(c)SEQ ID NO.1に従うバチルスレンタス由来のプロテアーゼの位置36、42、47、56、61、69、87、96、101、102、104、114、118、120、130、139、141、142、154、157、188、193、205、211、224、229、236、237、242、243、255、および268を有するアラインメントに関連する1つ以上の位置へ、単一または多重のアミノ酸置換を導入するステップ、ここで、該プロテアーゼは、SEQ ID NO.1に従い数えて、アミノ酸置換R99EまたはR99Dを、S3T、V4I、およびV199Iからなる群から選択される少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換と組み合わせて含む。
〔5〕前記〔1〕または〔2〕に記載のプロテアーゼをコードする、または、前記〔3〕または〔4〕に記載の方法によって得たプロテアーゼをコードする、核酸。
〔6〕前記〔5〕に記載の核酸を含有するベクター、特にクローニングベクターまたは発現ベクター。
〔7〕前記〔5〕に記載の核酸または前記〔6〕に記載のベクターを含有する、または、前記〔1〕または〔2〕に記載のプロテアーゼを含有する、または、前記〔3〕または〔4〕に記載の方法により得たプロテアーゼを含有する、非ヒト宿主細胞であって、特に該宿主細胞の周囲の媒地中に該プロテアーゼを分泌する、非ヒト宿主細胞。
〔8〕a)前記〔7〕に記載の宿主細胞を培養すること、
b)培地または宿主細胞からプロテアーゼを単離すること
を含む、プロテアーゼの製造方法。
〔9〕前記〔1〕または〔2〕に記載の少なくとも1種のプロテアーゼ、または、前記〔3〕または〔4〕に記載の方法によって得たプロテアーゼを、特に剤1gあたり2μg〜20mgの量で含有することを特徴とする剤、特に洗浄または清浄剤、
および/または
前記〔1〕または〔2〕に記載の少なくとも1種のプロテアーゼ、または、前記〔3〕または〔4〕に記載の方法によって得たプロテアーゼを含有し、剤中の該プロテアーゼは、室温または水不存在下でプロテアーゼに対して不浸透性の物質で包み込まれている剤、特に洗浄または清浄剤。
〔10〕少なくとも1つの方法ステップにおいて、前記〔9〕に記載の剤を使用することを特徴とするか;または、少なくとも1つの方法ステップにおいて、前記〔1〕または〔2〕に記載のプロテアーゼまたは前記〔3〕または〔4〕に記載の方法によって得たプロテアーゼが触媒的に活性になることを特徴とする、特に使用あたり40μg〜4gの量でプロテアーゼが用いられるようにする、繊維製品または硬質表面の清浄方法。