特許第6500381号(P6500381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6500381
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】液体吐出ノズル
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
   G01N35/02 E
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-202966(P2014-202966)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-70864(P2016-70864A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水船 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】大沢 正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 実
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−514732(JP,A)
【文献】 特開2008−246446(JP,A)
【文献】 特開2014−070915(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/096776(WO,A1)
【文献】 特開2015−230181(JP,A)
【文献】 特開2009−031174(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/132632(WO,A1)
【文献】 特開昭60−050433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
G01N 1/00−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、液体を吐出するためのノズルと、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記集合ノズルを構成する各ノズルは固定部により固定されており、
前記集合ノズルを構成する各ノズルは前記固定部の下端から突出しており、
前記下端から突出した集合ノズルを構成する各ノズルの上部は、前記各ノズルの吸引/吐出側開口部以外の部分が露出せず、かつ前記各ノズル周辺の空隙を減らすように、前記固定部よりも細い外径からなる覆いで覆われており、
前記液体を吐出するためのノズルが、液体を吐出するための流路を有する第一の管部と、前記流路の液体吐出側に連通した流路を有する、第一の管部とほぼ等しい外径を有した第二の管部とを設けた、前記第二の管部が有する流路は前記第一の管部が有する流路の軸方向に対して一定の角度で傾斜し、かつ当該流路の吐出側開口部を前記第二の管部の下端から離れた側面に設けたノズルである、前記集合ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の集合ノズルと、前記ノズルを上下方向および水平方向に移動可能なノズル移動手段と、前記ノズルで吐出した液体を受け入れる容器を保持する容器保持手段とを備えた、洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載の集合ノズルにより、容器側面へ液体を吐出する、請求項に記載の洗浄装置。
【請求項4】
容器中に分析対象成分に結合する捕捉分子を磁性粒子に固定した固定化相が入っており、前記固定化相を容器内壁に集めるための集磁部を容器保持手段にさらに設けた、請求項またはに記載の洗浄装置。
【請求項5】
集磁部により容器内壁に集められた固定化相を、請求項1に記載の集合ノズルで前記固定化相へ液体を吐出することで洗浄する、請求項に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に備える、液体を吐出するためのノズルに関するものである。特に本発明は、液体を容器側面に正確に吐出するためのノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫化学検査や生化学検査の分野で用いられる自動分析装置では、試薬や洗浄水等の液体を吐出するために多様なノズルが使用される。また免疫化学検査では、反応容器の内壁面や反応容器に入れた磁性粒子等を固定化相とし、分析対象成分に結合する捕捉分子(分析対象成分が抗原の場合は当該抗原に対する抗体、分析対象成分が抗体の場合は当該抗体に対する抗原または抗体)を前記固定化相に固定して、分析対象成分と捕捉分子とを結合させた後、不要な成分を除去するために、反応容器内の反応液を吸引除去し、洗浄液を供給した後、不要成分とともに洗浄液を吸引除去するB/F(Bound/Free)分離またはB/F洗浄と呼ばれる工程がある。これらの洗浄工程においては、液体を吐出するノズルと液体を吸引するノズルが使用される。
【0003】
特に反応容器に入れた磁性粒子等を固定化相としてB/F洗浄する際は、磁石で磁性粒子を反応容器の内壁面や底面に集め、吸引ノズルで当該集めた磁性粒子の塊を崩さないように不要な成分を含んだ反応液を除去後、液体を吐出するノズルで反応容器内に洗浄液を供給することで前記磁性粒子を洗浄する(特許文献1)。洗浄液を供給後、一旦磁性粒子を洗浄液内に分散させると洗浄効率が高くなるため、液体を吐出するノズルで前記磁性粒子の塊が十分に浸る量の洗浄液を反応容器に供給した後、当該容器を撹拌させたり、磁性粒子の塊に直接洗浄液を吐出することで、反応容器の内壁面や底面に集めた磁性粒子の塊を崩して分散させたりすることがある。後者の方法である、磁性粒子の塊に直接洗浄液を吐出して分散させる方法は、反応容器全体を撹拌させる必要がなく、時間の短縮が図れる点で自動分析装置におけるB/F洗浄法として好ましい方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−151738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した磁性粒子の塊に直接洗浄液を吐出して分散させる方法は、洗浄液を前記磁性粒子の塊がある反応容器の内壁面へ、液体を吐出するノズルの開口部から正確に吐出しなければならない。しかしながら、液体を吐出するノズルから吐出される洗浄液の吐出速度が小さい場合または吐出量が少ない場合は、当該ノズル開口部の下側付近に洗浄液が付着したままになることがある。また液体を吐出するノズルそのものを洗浄した際、ノズル洗浄液が付着したままになることや、液体を吐出するノズルが吸引ノズル等を束ねた構造からなる集合ノズルの態様であり液体を吐出するノズルの上方向からも液体が吐出されるような場合は、液体を吐出するノズルの吐出側開口部の下側付近に前記液体が付着したままになることがある。液体を吐出するノズルの吐出側開口部の下側付近に液体が付着すると、付着した前記液体と、当該ノズルから吐出されるべき洗浄液とが接触してしまい、液体を吐出するノズルによる洗浄液の吐出方向が定まらなくなる。そうなると、液体を吐出するノズルの開口部から磁性粒子の塊へ洗浄液を正確に吐出できなくなり、磁性粒子の分散が不十分となる。当該不十分な洗浄を解消するには液体を吐出するノズルによる洗浄液の吐出量を増加させる必要があり、洗浄液の無駄な消費につながる。
【0006】
そこで本発明の課題は、分析装置で使用する、液体を吐出するためのノズルであって、ノズルに付着した液体の影響を受けることなく容器側面に液体を正確に吐出可能なノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明の第一の態様は、
液体を吐出するための流路を有する第一の管部と、前記流路の液体吐出側に連通した流路を有する、第一の管部とほぼ等しい外径を有した第二の管部とを設けた、液体を吐出するためのノズルであって、
前記第二の管部が有する流路は前記第一の管部が有する流路の軸方向に対して一定の角度で傾斜し、かつ当該流路の吐出側開口部を前記第二の管部の下端から離れた側面に設けた、前記ノズルである。
【0009】
また本発明の第二の態様は、
少なくとも、液体を吐出するためのノズルと、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記液体を吐出するためのノズルが前記第一の態様に記載のノズルである、前記集合ノズルである。
【0010】
また本発明の第三の態様は、
液体を吐出するための第一および第二の吐出ノズルと、液体を吸引するための吸引ノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記第一の吐出ノズルが前記第一の態様に記載のノズルであり、前記第二の吐出ノズルが液体を垂直方向に吐出するノズルであり、前記吸引ノズルが液体を垂直方向に吸引するノズルであり、かつ、
前記第二の吐出ノズルの吐出側開口部を前記第一の吐出ノズルの吐出側開口部よりも上側に設け、前記吸引ノズルの吸引側開口部を前記第一の吐出ノズルの吐出側開口部よりも下側に設けた、
液体を吸引/吐出するための集合ノズルである。
【0011】
また本発明の第四の態様は、
少なくとも、液体を吐出するためのノズルと、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記集合ノズルを構成する各ノズルは固定部により固定されており、
前記集合ノズルを構成する各ノズルは前記固定部の下端から突出しており、
前記下端から突出した集合ノズルを構成する各ノズルの上部は、前記各ノズルの吸引/吐出側開口部以外の部分が露出せず、かつ前記各ノズル周辺の空隙を減らすように、前記固定部よりも細い外径からなる覆いで覆われており、
前記液体を吐出するためのノズルが前記第一の態様に記載のノズルである、
前記集合ノズルである。
【0012】
さらに本発明の第五の態様は、前記第一の態様に記載のノズルと、前記ノズルを上下方向および水平方向に移動可能なノズル移動手段と、前記ノズルで吐出した液体を受け入れる容器を保持する容器保持手段とを備えた、洗浄装置である。
【0013】
また本発明の第六の態様は、前記第一の態様に記載のノズルにより、容器側面へ液体を吐出する、前記第五の態様に記載の洗浄装置である。
【0014】
また本発明の第七の態様は、容器中に分析対象成分に結合する捕捉分子を磁性粒子に固定した固定化相が入っており、前記固定化相を容器内壁に集めるための集磁部を容器保持手段にさらに設けた、前記第五または第六の態様に記載の洗浄装置である。
【0015】
また本発明の第八の態様は、集磁部により容器内壁に集められた固定化相を、前記第一の態様に記載のノズルで前記固定化相へ液体を吐出することで洗浄する、前記第七の態様に記載の洗浄装置である。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明のノズルは、液体を吐出するための流路を有する第一の管部と前記流路の液体吐出側に連通した流路を有する第一の管部とほぼ等しい外径を有した第二の管部とを設けた液体を吐出するためのノズルであって、前記第二の管部が有する流路は前記第一の管部が有する流路の軸方向に対して一定の角度で傾斜し、かつ当該流路の吐出側開口部を前記第二の管部の下端から離れた側面に設けていることを特徴としている。つまり本発明のノズルは、管全体(第一の管部および第二の管部)の外径や形状の変化はほぼないものの、本発明のノズルの液体吐出側に設けた第二の管部が有する流路は、第一の管部が有する流路の軸方向に対し一定の角度で傾斜した(折れ曲がった)構造となっている。前記一定の角度は0度よりも大きくかつ90度以下の範囲から適宜選択することができるが、角度が0度に近いと本発明の課題である容器側面への正確な吐出が困難となること、また角度が90度に近いと流路が折れ曲がる箇所の抵抗が大きくなることから、30度から60度までの範囲とすると好ましく、40度から50度までの範囲とするとさらに好ましい。
【0018】
本発明のノズルにおいて、第二の管部の外径は、第一の管部とほぼ等しい外径を有していればよい。なお本明細書において、ほぼ等しい外径とは、第一の管部および第二の管部を水平方向に切断した際の断面の外径(断面形状)が互いにほぼ等しいことを意味する。具体的には、管全体(第一の管部および第二の管部)の形状として、ほぼ等しい外径を有した直円柱状、直楕円柱状、直四角柱状、直三角柱状、直六角柱状の形状が例示できる。
【0019】
本発明のノズルは、本発明の特徴である流路構造を維持しやすく、かつ液体中の成分や液体そのものが付着しにくい材料で作製すると好ましく、前記好ましい材料の一つとしてステンレス等の金属があげられる。
【0020】
本発明のノズルは、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、集合ノズルの態様であってもよい(以下、本発明の集合ノズルともいう)。本発明の集合ノズルは、少なくとも本発明のノズルと、液体を吸引するためのノズルとを含んでいればよく、さらに液体を吐出および/または吸引するためのノズルを1本以上含んでもよい。本発明の集合ノズルは、上部から別の液体の吐出があったり、液体が付着しやすい、他のノズルと接近した位置に備えたとしても、第二の管部の吐出側開口部は液体が付着したままの状態にはならず、液体を吐出するノズルによる洗浄液の吐出方向が定まらなくなるおそれを低減することができる。
【0021】
本発明の集合ノズルの一態様として、本発明のノズル(第一の吐出ノズル)と、液体を垂直方向に吸引するためのノズル(吸引ノズル)と、液体を第一の吐出ノズルの上側から垂直方向に吐出するためのノズル(第二の吐出ノズル)とを束ねた構造からなる集合ノズルがあげられる。なお前記態様において、吸引ノズルの吸引側開口部を前記第一の吐出ノズルの吐出側開口部よりも下側に設けると、第一の吐出ノズルで容器に吐出した液体によって前記ノズルが浸ることなく、かつ容器の底に衝突することなく、容器内の液体を残液少なく吸引できるため、好ましい。
【0022】
本発明のノズルが集合ノズルの態様をなしている場合、当該集合ノズルの洗浄時に、各ノズルが扱った液体が、集合ノズルを構成する各ノズル間の隙間や溝となった外面の部分を伝わって上昇する現象が発生し、ノズル外面を洗浄するためのノズル洗浄液を噴射できない高さまで上昇する場合がある。前記ノズル外面を上昇した液体は乾燥することで当該液体に含まれる塩類などが析出し、析出物が次第に蓄積される可能性がある。この場合は、集合ノズルの洗浄が十分に行なえないだけではなく、当該析出物が洗浄した容器の中に落下したり、ノズルの移動中に分析装置の中に析出物が落下することで、分析装置内への汚染の原因となるおそれがある。前記問題を解決する方法の一例として、集合ノズルを構成する各ノズルを固定部により下端から突出するよう固定し、前記下端から突出した各ノズルの上部に前記各ノズルの吸引/吐出側開口部以外の部分が露出せず、かつ前記各ノズル周辺の空隙を減らすように、前記固定部よりも細い外径からなる覆いで前記各ノズルを覆う方法があり、この方法は本発明のノズルの好ましい態様といえる(特願2014−115038号)。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、液体を吐出するための流路を有する第一の管部と前記流路の液体吐出側に連通した流路を有する第一の管部とほぼ等しい外径を有した第二の管部とを設けた液体を吐出するためのノズルにおいて、前記第二の管部が有する流路が前記第一の管部が有する流路の軸方向に対して一定の角度で傾斜しており、かつ当該流路の吐出側開口部を前記第二の管部の下端から離れた側面に設けていることを特徴としている。これにより、たとえ吐出した液体がノズル先端部(第二の管部)の下端に付着したままになっても、吐出側開口部からは離れているため、吐出される液体の方向に影響を与えず、液体は意図した方向に吐出される。
【0024】
液体を吐出するノズルと、前記ノズルを上下方向および水平方向に移動可能なノズル移動手段と、前記ノズルで吐出した液体を受け入れる容器を保持するための容器保持手段とを備えた洗浄装置において、前記液体を吐出するノズルが本発明のノズルであり、前記容器が分析対象成分に結合する捕捉分子を磁性粒子に固定した固定化相を含んでおり、前記容器保持手段が前記固定化相を容器内壁に集めるための集磁部をさらに設けた場合、本発明のノズルにより、前記集磁部により集められた固定化相の塊へ直接かつ正確に液体(洗浄水)を吐出することができ、前記固定化相を効率よく分散させることができる。そのためB/F(Bound/Free)洗浄を効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のノズルの一態様を示した図である。
図2】従来の吐出ノズルの態様を例示した図である。
図3】本発明のノズルの別の態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0027】
本発明のノズルの一態様を図1に示す。図1に示すノズル100は、液体供給配管(不図示)と連通した、液体を吐出するための流路11を有した第一の管部10と、流路11の液体吐出側に連通した流路21を有する、第一の管部10とほぼ等しい外径を有した第二の管部20とを設けており、流路21は流路11の軸12方向(垂直方向)に対して45度で傾斜しており、かつ流路21の吐出側開口部22は第二の管部20の下端23から離れた側面24に設けている。本発明のノズルでは、吐出した液体が第二の管部20の下端23に垂れて付着したままになるおそれがある。しかしながら、吐出側開口部22は下端23から離れた位置に設けているため、前記現象が発生したとしても、意図する方向に液体を吐出することができる。そのため図1に示すノズルを、自動分析装置で用いるB/F(Bound/Free)洗浄装置に備える液体(洗浄液)吐出ノズルとして用いた場合、集磁部により容器内壁に集められた、分析対象成分に結合する捕捉分子を磁性粒子に固定した固定化相の塊に対して、正確に液体(洗浄液)を吐出することができ、当該固定化相の分散を効率よく分散させることができるため、B/F洗浄を効率よく行なうことができる。
【0028】
一方従来のノズルを図2に示す。図2aに示す従来のノズル200は、第二の管部20が有する流路21が第一の管部10が有する流路11の軸12方向(垂直方向)に対して一定の角度で傾斜している点では、本発明のノズル(図1)と一致しているが、第二の管部20の外径は流路21に沿う形で傾斜しており、第一の管部10の外径とは異なる点、および流路21の吐出側開口部22を第二の管部20の下端23に設けている点で、本発明のノズル(図1)とは異なる。図2bに示す従来のノズル210は、第二の管部20が有する流路21が第一の管部10が有する流路11の軸12方向(垂直方向)に対して一定の角度で傾斜している点、および第一の管部10と第二の管部20とがほぼ等しい外径を有している点では、本発明のノズル(図1)と一致しているが、流路21の吐出側開口部22は第二の管部20の下端23に接した側面24に設けている点で、本発明のノズル(図1)とは異なる。従来のノズルは、いずれも、吐出した液体が流路21の吐出側開口部22に付着するおそれがあり、当該付着した液体にノズルで吐出されるべき液体が接触すると、意図する方向に液体を吐出できないおそれがある。そのため図2に示すノズルを、自動分析装置で用いるB/F洗浄装置に備える液体(洗浄液)吐出ノズルとして用いた場合、集磁部により容器内壁に集められた、分析対象成分に結合する捕捉分子を磁性粒子に固定した固定化相の塊に対して、正確に液体(洗浄液)を吐出できないおそれがあり、当該固定化相の分散が不良、つまりB/F洗浄不良のおそれがある。
【0029】
本発明のノズルの別の態様を図3に示す。図3に示すノズルは、図1に示す液体を容器30に吐出するノズル100と、液体を容器30に吐出する別のノズル150と、液体を吸引するノズル160とを束ねた構造からなる集合ノズル300の態様となっている。ノズル100は、吐出側開口部22から、容器保持手段に設けた集磁部(不図示)により容器内壁31に集められた、分析対象成分に結合する捕捉分子を固定した磁性粒子(固定化相)40へ正確に吐出されるよう位置が制御される。液体を吐出するノズル150はノズル100の上側に設けており、垂直方向に液体を吐出する。液体を吸引するノズル160はノズル100の下側に吸引開口部を設けており、垂直方向に液体を吸引する。
【0030】
ノズル100による吐出側開口部22からの液体の吐出、ノズル150からの液体の吐出、または集合ノズル300そのものの洗浄により、これら吐出した液体がノズル100の下端23に付着したままになることがあっても、吐出側開口部22は下端23から離れた位置に設けているため、ノズル100で吐出されるべき液体が付着した液体に接触することはなく、意図する方向に液体を吐出することができる。またノズル160は容器30内の液体を吸引するため、その下端は液体が付着しやすいが、ノズル100はノズル160の上側に設けているため、磁性粒子(固定化相)40への液体吐出には影響しない。
【符号の説明】
【0031】
100、150、200、210:吐出ノズル
160:吸引ノズル
300:集合ノズル
10:第一の管部
11:第一の管部が有する流路
12:第一の流路の軸
20:第二の管部
21:第一の管部が有する流路
22:吐出側開口部
23:第二の管部の下端
24:第二の管部の側面
30:容器
31:容器の内壁
40:捕捉分子を固定した磁性粒子(固定化相)
図1
図2
図3