【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明の第一の態様は、
液体を吐出するための流路を有する第一の管部と、前記流路の液体吐出側に連通した流路を有する、第一の管部とほぼ等しい外径を有した第二の管部とを設けた、液体を吐出するためのノズルであって、
前記第二の管部が有する流路は前記第一の管部が有する流路の軸方向に対して一定の角度で傾斜し、かつ当該流路の吐出側開口部を前記第二の管部の下端から離れた側面に設けた、前記ノズルである。
【0009】
また本発明の第二の態様は、
少なくとも、液体を吐出するためのノズルと、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記液体を吐出するためのノズルが前記第一の態様に記載のノズルである、前記集合ノズルである。
【0010】
また本発明の第三の態様は、
液体を吐出するための第一および第二の吐出ノズルと、液体を吸引するための吸引ノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記第一の吐出ノズルが前記第一の態様に記載のノズルであり、前記第二の吐出ノズルが液体を垂直方向に吐出するノズルであり、前記吸引ノズルが液体を垂直方向に吸引するノズルであり、かつ、
前記第二の吐出ノズルの吐出側開口部を前記第一の吐出ノズルの吐出側開口部よりも上側に設け、前記吸引ノズルの吸引側開口部を前記第一の吐出ノズルの吐出側開口部よりも下側に設けた、
液体を吸引/吐出するための集合ノズルである。
【0011】
また本発明の第四の態様は、
少なくとも、液体を吐出するためのノズルと、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、液体を吸引/吐出するための集合ノズルであって、
前記集合ノズルを構成する各ノズルは固定部により固定されており、
前記集合ノズルを構成する各ノズルは前記固定部の下端から突出しており、
前記下端から突出した集合ノズルを構成する各ノズルの上部は、前記各ノズルの吸引/吐出側開口部以外の部分が露出せず、かつ前記各ノズル周辺の空隙を減らすように、前記固定部よりも細い外径からなる覆いで覆われており、
前記液体を吐出するためのノズルが前記第一の態様に記載のノズルである、
前記集合ノズルである。
【0012】
さらに本発明の第五の態様は、前記第一の態様に記載のノズルと、前記ノズルを上下方向および水平方向に移動可能なノズル移動手段と、前記ノズルで吐出した液体を受け入れる容器を保持する容器保持手段とを備えた、洗浄装置である。
【0013】
また本発明の第六の態様は、前記第一の態様に記載のノズルにより、容器側面へ液体を吐出する、前記第五の態様に記載の洗浄装置である。
【0014】
また本発明の第七の態様は、容器中に分析対象成分に結合する捕捉分子を磁性粒子に固定した固定化相が入っており、前記固定化相を容器内壁に集めるための集磁部を容器保持手段にさらに設けた、前記第五または第六の態様に記載の洗浄装置である。
【0015】
また本発明の第八の態様は、集磁部により容器内壁に集められた固定化相を、前記第一の態様に記載のノズルで前記固定化相へ液体を吐出することで洗浄する、前記第七の態様に記載の洗浄装置である。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明のノズルは、液体を吐出するための流路を有する第一の管部と前記流路の液体吐出側に連通した流路を有する第一の管部とほぼ等しい外径を有した第二の管部とを設けた液体を吐出するためのノズルであって、前記第二の管部が有する流路は前記第一の管部が有する流路の軸方向に対して一定の角度で傾斜し、かつ当該流路の吐出側開口部を前記第二の管部の下端から離れた側面に設けていることを特徴としている。つまり本発明のノズルは、管全体(第一の管部および第二の管部)の外径や形状の変化はほぼないものの、本発明のノズルの液体吐出側に設けた第二の管部が有する流路は、第一の管部が有する流路の軸方向に対し一定の角度で傾斜した(折れ曲がった)構造となっている。前記一定の角度は0度よりも大きくかつ90度以下の範囲から適宜選択することができるが、角度が0度に近いと本発明の課題である容器側面への正確な吐出が困難となること、また角度が90度に近いと流路が折れ曲がる箇所の抵抗が大きくなることから、30度から60度までの範囲とすると好ましく、40度から50度までの範囲とするとさらに好ましい。
【0018】
本発明のノズルにおいて、第二の管部の外径は、第一の管部とほぼ等しい外径を有していればよい。なお本明細書において、ほぼ等しい外径とは、第一の管部および第二の管部を水平方向に切断した際の断面の外径(断面形状)が互いにほぼ等しいことを意味する。具体的には、管全体(第一の管部および第二の管部)の形状として、ほぼ等しい外径を有した直円柱状、直楕円柱状、直四角柱状、直三角柱状、直六角柱状の形状が例示できる。
【0019】
本発明のノズルは、本発明の特徴である流路構造を維持しやすく、かつ液体中の成分や液体そのものが付着しにくい材料で作製すると好ましく、前記好ましい材料の一つとしてステンレス等の金属があげられる。
【0020】
本発明のノズルは、液体を吸引するためのノズルとを束ねた構造からなる、集合ノズルの態様であってもよい(以下、本発明の集合ノズルともいう)。本発明の集合ノズルは、少なくとも本発明のノズルと、液体を吸引するためのノズルとを含んでいればよく、さらに液体を吐出および/または吸引するためのノズルを1本以上含んでもよい。本発明の集合ノズルは、上部から別の液体の吐出があったり、液体が付着しやすい、他のノズルと接近した位置に備えたとしても、第二の管部の吐出側開口部は液体が付着したままの状態にはならず、液体を吐出するノズルによる洗浄液の吐出方向が定まらなくなるおそれを低減することができる。
【0021】
本発明の集合ノズルの一態様として、本発明のノズル(第一の吐出ノズル)と、液体を垂直方向に吸引するためのノズル(吸引ノズル)と、液体を第一の吐出ノズルの上側から垂直方向に吐出するためのノズル(第二の吐出ノズル)とを束ねた構造からなる集合ノズルがあげられる。なお前記態様において、吸引ノズルの吸引側開口部を前記第一の吐出ノズルの吐出側開口部よりも下側に設けると、第一の吐出ノズルで容器に吐出した液体によって前記ノズルが浸ることなく、かつ容器の底に衝突することなく、容器内の液体を残液少なく吸引できるため、好ましい。
【0022】
本発明のノズルが集合ノズルの態様をなしている場合、当該集合ノズルの洗浄時に、各ノズルが扱った液体が、集合ノズルを構成する各ノズル間の隙間や溝となった外面の部分を伝わって上昇する現象が発生し、ノズル外面を洗浄するためのノズル洗浄液を噴射できない高さまで上昇する場合がある。前記ノズル外面を上昇した液体は乾燥することで当該液体に含まれる塩類などが析出し、析出物が次第に蓄積される可能性がある。この場合は、集合ノズルの洗浄が十分に行なえないだけではなく、当該析出物が洗浄した容器の中に落下したり、ノズルの移動中に分析装置の中に析出物が落下することで、分析装置内への汚染の原因となるおそれがある。前記問題を解決する方法の一例として、集合ノズルを構成する各ノズルを固定部により下端から突出するよう固定し、前記下端から突出した各ノズルの上部に前記各ノズルの吸引/吐出側開口部以外の部分が露出せず、かつ前記各ノズル周辺の空隙を減らすように、前記固定部よりも細い外径からなる覆いで前記各ノズルを覆う方法があり、この方法は本発明のノズルの好ましい態様といえる(特願2014−115038号)。