(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による真空複層ガラスの製造方法を示すフローチャートである。
図2は、第1実施形態による組立工程における組立体を示す断面図である。
図3は、第1実施形態による接合・封止工程における組立体を示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、真空複層ガラスの製造方法は、組立工程(ステップS11)と、搬入工程(ステップS13)と、接合・封止工程(ステップS15)と、搬出工程(ステップS17)と、切断工程(ステップS19)とを有する。組立工程(ステップS11)では、
図2に示すように組立体20を組み立てる。組立体20は、第1ガラス板としての上ガラス板21と、第2ガラス板としての下ガラス板22と、シール材25と、ゲッター材26と、脱気用スペーサ27とを含む。脱気用スペーサ27は、真空複層ガラスの一部とはならなくてよい。
【0015】
上ガラス板21、下ガラス板22は、建築物用の一般的なガラス板であってよい。上ガラス板21または下ガラス板22の少なくとも一方は、熱線反射膜が形成されたものであってよい。熱線反射膜は、銀や酸化スズなどで形成される。熱線反射膜は、Low−E(Low Emissivity)膜とも呼ばれる。
【0016】
上ガラス板21と、下ガラス板22とは、同じ種類のガラスで形成されるが、異なる種類のガラスで形成されてもよい。上ガラス板21は、下ガラス板22よりも大きくてよく、上方視において下ガラス板22からはみ出してよい。
【0017】
シール材25は、枠状に形成され、上ガラス板21と下ガラス板22との間に配設される。シール材25は、例えばペーストであってよい。尚、シール材25は、ペーストを熱処理したものでもよい。
【0018】
ペーストは、例えば、ガラスフリット、溶剤、有機バインダーなどを含む。ガラスフリットは、例えば、ZnO−Bi
2O
3−B
2O
3系のガラス、ZnO−SnO−P
2O
5系のガラス、TeO
2−V
2O
5系のガラスなどで構成される。溶剤は、ペーストの粘度を調整するものであり、熱処理によって除去される。有機バインダーは、乾燥後にガラスフリットを結合するものであり、熱処理によって除去される。ペーストは、フィラーとしてセラミック粒子等をさらに含んでもよい。
【0019】
ペーストは、例えば下ガラス板22における上ガラス板21との対向面に塗布される。その後、熱処理によって溶剤や有機バインダーを除去した後で、ガラスフリットを溶融させることにより、ガラス層が得られる。
【0020】
ペーストは、本実施形態では下ガラス板22における上ガラス板21との対向面に塗布されるが、上ガラス板21における下ガラス板22との対向面に塗布されてもよい。この場合、上ガラス板21における下ガラス板22との対向面を上に向けた状態で、ペーストの塗布、熱処理が予め行われてよい。
【0021】
シール材25の溶融温度は、例えばシール材25がZnO−Bi
2O
3−B
2O
3系のガラスまたはZnO−SnO−P
2O
5系のガラスを含む場合は450〜520℃、好ましくは460〜520℃、より好ましくは460〜500℃である。シール材25の溶融温度は、シール材25がTeO
2−V
2O
5系のガラスを含む場合は350〜450℃、好ましくは360〜380℃である。シール材25の溶融温度とは、シール材25が溶融する温度である。シール材25がガラスを含む場合、シール材25の溶融温度とは、シール材25の封着時の組成物の流動性を示すもので、フローボタン径が17mm以上になる温度を言う。フローボタン径とは、シール材25を構成するペーストと同じ量かつ同じ割合でガラスフリットとフィラーとを混合した混合粉末の成形体を、設定温度で30分間保持したときの直径である。上記成形体は、上記混合粉末を直径12.7mmの円柱状に荷重50〜100kg重/cm
2で加圧成形したものである。
【0022】
尚、本実施形態のシール材25は、ガラスフリットなどで形成されるが、ロウ材または半田材で形成されてもよい。
【0023】
ゲッター材26は、ゲッター材26の製造工程において形成される不動態膜を有し、大気中でハンドリングできる。ゲッター材26が加熱されると、不動態膜が内部に拡散し、ゲッター材26が活性化される。活性化されたゲッター材26は、ガスを吸着する。ゲッター材26としては、例えば一般的な非蒸発型ゲッター材が用いられる。具体的には、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Al、Cr、Nb、Ta、W、Mo、Ni、Mn、Yの内の1種類以上の金属または合金からなる多孔質焼結体などが用いられる。
【0024】
ゲッター材26の総使用量は、減圧空間23の体積をV(cc)とすると、例えばV×4mg以上である。
【0025】
ゲッター材26は、例えば下ガラス板22の上面に形成される凹部22aにセットされる。凹部22aは、枠状のシール材25の内側に形成される。尚、ゲッター材26の位置は、特に限定されない。例えば、ゲッター材26は下ガラス板22の上面または上ガラス板21の下面に貼り付けられてもよく、凹部22aがなくてもよい。また、ゲッター材26の数、形状なども特に限定されない。
【0026】
脱気用スペーサ27は、例えば搬送台50に載置され、上ガラス板21を支持し、上ガラス板21とシール材25との間に隙間28を形成する。隙間28は、
図2に示すように、シール材25の少なくとも一部に形成されればよく、シール材25の全体に亘って形成されなくてもよい。
【0027】
脱気用スペーサ27は、上面視において上ガラス板21の下ガラス板22からはみ出す部分を支持し、上ガラス板21を下ガラス板22に対して傾斜させる。尚、脱気用スペーサ27は、上ガラス板21を下ガラス板22に対して平行に支持してもよい。
【0028】
脱気用スペーサ27は、加圧によって高さを変えるものであってよい。例えば、脱気用スペーサ27は、加圧によって潰れる断面形状(
図2では逆V字状)の金属片であってよい。金属片の断面形状は波状でもよく特に限定されない。
【0029】
尚、脱気用スペーサ27は、ガラス片であってもよい。ガラス片は、金属片よりも低い温度で溶融させられ、加圧によって潰れる。また、脱気用スペーサ27は、バネなどの弾性体であってもよい。
【0030】
搬入工程(ステップS13)では、組立体20を搬送する搬送台50を加熱炉内に搬入する。搬送台50は、加熱炉の入口から搬入され、加熱炉内の複数のゾーンを経由し、加熱炉の出口から搬出されてよい。
【0031】
搬送台50が加熱炉内を移動するにつれ、シール材25がペーストの場合ではペーストが熱処理され、溶剤や有機バインダーが除去され、ガラス層が得られる。その後、加熱炉内の減圧空間で接合・封止工程が行われる。
【0032】
接合・封止工程(ステップS15)では、
図3に示すように加熱炉60内の減圧空間61において、組立体20を加熱してシール材25を溶融させると共に、ゲッター材26を活性化させる。組立体20の加熱温度は、シール材25の溶融温度以上とされる。尚、ゲッター材26の活性化は、シール材25の温度が溶融温度に達する前に、ある程度進む。
【0033】
減圧空間61は、大気圧よりも低い気圧の空間である。減圧空間61の気圧は、例えば1×10
−5Pa〜10Paであってよく、好ましくは1×10
−5Pa〜0.1Paである。
【0034】
[機械加圧による接合・封止プロセス]
シール材25の溶融後、加熱炉60内の減圧空間61において、搬送台50の上方に配設される加圧部材62と搬送台50とが組立体20を加圧する。加圧部材62は、例えば、複数の流体圧シリンダ63と、加圧板64とで構成される。各流体圧シリンダ63の本体は加熱炉60の天井に固定され、各流体圧シリンダ63のロッドの先端は加圧板64に固定される。加圧板64は、搬送台50に対して昇降自在とされる。
【0035】
複数の流体圧シリンダ63は、加圧板64を下降させ、加圧板64と搬送台50とで組立体20を挟んで加圧する。これにより、脱気用スペーサ27の高さが縮まり、脱気用スペーサ27による隙間28の形成が解除される。そうして、上ガラス板21および下ガラス板22の両方とシール材25とが密着し、上ガラス板21と下ガラス板22との間に形成される減圧空間23がシール材25で取り囲まれる。
【0036】
続いて、加熱炉60内の減圧空間61において、加圧板64と搬送台50とで組立体20を加圧した状態のまま、加熱炉60内の温度をシール材25の溶融温度以下に下げ、シール材25の流動性を消失させる。その後、シール材25を固化させることで、上ガラス板21と下ガラス板22とを接合すると共に、上ガラス板21と下ガラス板22との間に形成される減圧空間23を封止する。
【0037】
減圧空間23内部のゲッター材26は、活性化されており、減圧空間23内のガスを吸着する。減圧空間23内のガスは、シール材25から放出されるガスや減圧空間23内部の吸着物由来のガスを含む。シール材25から放出されるガスは、シール材25の加熱時に有機物からCO、CO
2等に分解されており、ゲッター材26に吸着されやすい。
【0038】
その後、複数の流体圧シリンダ63は、加圧板64を上昇させ、組立体20の加圧を解除する。その解除タイミングは、本実施形態ではシール材25の流動性を消失させた後であるが、上ガラス板21および下ガラス板22の両方とシール材25との接触後であれば、いつでもよい。但し、脱気用スペーサ27として弾性体が用いられる場合、上記解除タイミングはシール材25の流動性消失後とされる。
【0039】
[気圧差による接合・封止プロセス]
上述した[機械加圧による接合・封止プロセス]に代わり、[気圧差による接合・封止プロセス]を用いてもよい。[気圧差による接合・封止プロセス]とは、加熱炉60内の温度をシール材25の溶融温度以下に下げ、シール材25の流動性を低下させた状態で組立体20を減圧空間23から減圧空間23よりも気圧が高い空間(例えば大気圧空間)に導入し、その気圧差により組立体20の全面を均一に加圧するプロセスである。[気圧差による接合・封止プロセス]により、[機械加圧による接合・封止プロセス]における機械加圧機構が不要になる。よって、例えば多段棚に組立体20を多数配置し、多数の組立体20を一括で接合・封止することが可能である。
【0040】
尚、減圧空間23よりも気圧が高い空間は、必ずしも大気圧空間である必要はなく、接合・封止に十分な高い気圧の空間であればよい。
【0041】
搬出工程(ステップS17)では、組立体20を搬送する搬送台50を加熱炉60内から搬出する。加熱炉60内から搬出される前に、加熱炉60内で組立体20が徐冷される。
【0042】
切断工程(ステップS19)では、加熱炉60内から搬出された各組立体20を切断して、真空複層ガラスを得る。例えば、切断工程では、上面視において上ガラス板21の下ガラス板22からはみ出す部分を切除して、真空複層ガラスを得る。
【0043】
切断工程では、1つの組立体20を切断することにより、複数の真空複層ガラスを得てもよい。この場合、各組立体20はシール材25を複数含み、シール材25同士の間で切断が行われる。
【0044】
切断工程は、任意の工程であって、行われなくてもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、加熱炉60内の減圧空間61においてシール材25を溶融させると共にゲッター材26を活性化させた後、接合と封止を行い減圧空間23を形成する。減圧空間23内にゲッター材26が閉じ込められ、ゲッター材26が減圧空間23内のガスを吸着する。ゲッター材26の活性化が接合・封止工程において行われるので、接合・封止工程の後にゲッター材26を誘導加熱やその他手段による局所加熱をする工程が省略できる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ゲッター材26の活性化が接合・封止工程において行われるので、ゲッター材26とシール材25の少なくとも一部との間の距離Dを20mm以下にすることができ、ゲッター材26を真空複層ガラスの端部に配置することができる。よって、真空複層ガラスの見栄えが良い。尚、ゲッター材26を誘導加熱やその他手段による局所加熱によって活性化させる場合、距離Dを20mm以下にすることはできない。距離Dが20mm以下の場合にゲッター材26を誘導加熱やその他手段による局所加熱によって活性化させると、シール材25が溶けて、封止が破れる。
【0047】
図4は、第1実施形態による真空複層ガラスを示す断面図である。
図4に示す真空複層ガラス10は、
図1〜
図3に示す製造方法で製造される。真空複層ガラス10は、第1ガラス板11、第2ガラス板12、減圧空間13、シール材15、および、ゲッター材16を有する。尚、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間には、その間隔を保持する間隔保持用スペーサが配設されてもよい。
【0048】
第1ガラス板11、第2ガラス板12は、建築物用の一般的なガラス板であってよい。第1ガラス板11または第2ガラス板12の少なくとも一方は、熱線反射膜が形成されたものであってよい。熱線反射膜は、銀や酸化スズなどで形成される。熱線反射膜は、Low−E(Low Emissivity)膜とも呼ばれる。
【0049】
第1ガラス板11と、第2ガラス板12とは同じ種類のガラスで形成されるが、異なる種類のガラスで形成されてもよい。第1ガラス板11と、第2ガラス板12とは同じ大きさであってよく、第1ガラス板11と、第2ガラス板12とは厚さが異なってもよい。第1ガラス板11と、第2ガラス板12との間には減圧空間13が形成される。
【0050】
シール材15は、第1ガラス板11と第2ガラス板12とを接合すると共に減圧空間13を封止する。シール材15は、第1ガラス板11の外縁、第2ガラス板12の外縁、またはその両外縁に沿って枠状に形成され、減圧空間13を取り囲む。減圧空間13は、大気圧よりも低い気圧の空間である。減圧空間13の気圧は、例えば0.001〜0.2Paである。
【0051】
シール材15は、例えばガラス層で構成される。ガラス層は、ガラスフリットを含むペーストを熱処理することにより形成される。ガラスフリットは、例えば、ZnO−Bi
2O
3−B
2O
3系のガラス、ZnO−SnO−P
2O
5系のガラス、TeO
2−V
2O
5系のガラスなどで構成される。ガラス層は、セラミック粒子を含んでもよい。尚、シール材15は、ロウ材または半田材で形成されてもよい。
【0052】
ゲッター材16は、真空複層ガラス10の製造工程において活性化されており、減圧空間13内のガスを吸着する。ゲッター材16としては、例えば一般的な非蒸発型ゲッター材が用いられる。具体的には、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Al、Cr、Nb、Ta、W、Mo、Ni、Mn、Yの内の1種類以上の金属または合金からなる多孔質焼結体などが用いられる。
【0053】
ゲッター材16は、第2ガラス板12における第1ガラス板11との対向面に形成される凹部12aにセットされる。凹部12aは、枠状のシール材15の内側に形成される。
尚、ゲッター材16の位置は、特に限定されない。例えば、ゲッター材16は、第2ガラス板12における第1ガラス板11との対向面または第1ガラス板11における第2ガラス板12との対向面に貼り付けられてもよく、凹部12aがなくてもよい。また、ゲッター材16の数、形状なども特に限定されない。
【0054】
シール材15を溶融させると共にゲッター材16を活性化させた後、接合と封止を行い減圧空間13を形成する。減圧空間13内にゲッター材16が閉じ込められ、ゲッター材16が減圧空間13内のガスを吸着する。ゲッター材16の活性化が接合・封止工程において行われるので、接合・封止工程の後にゲッター材16を誘導加熱やその他手段による局所加熱をする工程が省略できる。
【0055】
ゲッター材16の活性化が接合・封止工程において行われるので、接合・封止工程の後にゲッター材16を活性化する工程が省略できる。よって、ゲッター材16とシール材15の少なくとも一部との間の距離Eを20mm以下にすることができ、ゲッター材16を真空複層ガラス10の端部に配置することができ、真空複層ガラス10の見栄えがよい。尚、接合・封止工程の後にゲッター材16を誘導加熱によって活性化させる場合、距離Eを20mm以下にすることはできない。距離Eが20mm以下の場合にゲッター材16を誘導加熱によって活性化させると、シール材15が溶けて、封止が破れる。
【0056】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態による真空複層ガラスを示す断面図である。真空複層ガラス10Aは、第1ガラス板11A、第2ガラス板12A、減圧空間13A、第1シール材15Aa、第2シール材15Ab、金属部材15Ac、およびゲッター材16Aを有する。ゲッター材16Aは、第2ガラス板12Aにおける第1ガラス板11Aとの対向面に形成される凹部12Aaにセットされる。
【0057】
図5に示す真空複層ガラス10Aは、
図4に示す真空複層ガラス10とは、応力緩和構造を有する点で異なる。以下、主に相違点について説明する。
【0058】
第1シール材15Aa、第2シール材15Abは、例えばガラス層で構成される。ガラス層は、ガラスフリットを含むペーストを熱処理することにより形成される。ガラス層は、セラミック粒子を含んでもよい。尚、第1シール材15Aa、第2シール材15Abは、ロウ材または半田材で形成されてもよい。
【0059】
第1シール材15Aaは、第1ガラス板11Aの外縁に沿って枠状に形成され、第1ガラス板11Aと金属部材15Acとを結合する。第1シール材15Aaは、第2ガラス板12Aとは接触しておらず、第2ガラス板12Aとは結合されない。
【0060】
第2シール材15Abは、第2ガラス板12Aの外縁に沿って枠状に形成され、第2ガラス板12Aと金属部材15Acとを結合する。第2シール材15Abは、第1ガラス板11Aとは接触しておらず、第1ガラス板11Aとは結合されない。
【0061】
金属部材15Acは、第1シール材15Aaと結合される部分と、第2シール材15Abと結合される部分との間に、変形する部分を有する。よって、第1ガラス板11Aと第2ガラス板12A間で生じる応力を、金属部材15Acの変形によって吸収することができる。
【0062】
第1シール材15Aaおよび第2シール材15Abの溶融温度は、例えば第1シール材15Aaおよび第2シール材15AbがZnO−Bi
2O
3−B
2O
3系のガラスまたはZnO−SnO−P
2O
5系のガラスの場合は450〜520℃、好ましくは460〜520℃、より好ましくは460〜500℃である。第1シール材15Aaおよび第2シール材15Abの溶融温度は、第1シール材15Aaおよび第2シール材15AbがTeO
2−V
2O
5系のガラスの場合は350〜450℃、好ましくは360〜380℃である。尚、第1シール材15Aaおよび第2シール材15Abは、同じ材料で形成されてもよいが、異なる材料で形成されてもよい。
【0063】
第1シール材15Aaおよび第2シール材15Abの溶融温度以上の温度で第1シール材15Aaおよび第2シール材15Abを加熱するとき、ゲッター材16Aを活性化できる。よって、接合・封止工程の後にゲッター材16Aを誘導加熱やその他手段による局所加熱をする工程が省略できる。
【0064】
ゲッター材16Aの活性化が接合・封止工程において行われるので、第1シール材15Aaおよび第2シール材15Abのうち内側の第1シール材15Aaの少なくとも一部とゲッター材16Aとの間の距離EAを20mm以下にすることができ、ゲッター材16Aを真空複層ガラス10Aの端部に配置することができる。よって、真空複層ガラス10Aの見栄えがよい。尚、ゲッター材16Aを誘導加熱やその他手段による局所加熱によって活性化させる場合、距離EAを20mm以下にすることはできない。なぜなら、距離EAが20mm以下の場合にゲッター材16Aを誘導加熱やその他手段による局所加熱によって活性化させると、第1シール材15Aaが溶けて封止が破れるからである。
【0065】
図5に示す真空複層ガラス10Aは、
図4に示す真空複層ガラス10と同様に
図1〜
図3に示す製造方法で製造することができる。
【0066】
以上、真空複層ガラスの製造方法の実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0067】
例えば、脱気用スペーサ27の数や配置は多種多様であってよい。脱気用スペーサ27は、上ガラス板21および下ガラス板22の少なくとも一方とシール材25との間に隙間を形成するものであればよい。
【0068】
脱気用スペーサ27は、上記実施形態では加圧によって高さを変化するものであるが、高さを変化しないものでもよい。この場合、搬送台50に対する脱気用スペーサ27の位置または向きを変えることにより、脱気用スペーサ27による隙間28の形成を解除できる。
【0069】
脱気用スペーサ27は、必ずしも使用しなくても良い。脱気用スペーサ27を使用しない場合、上ガラス板と下ガラス板とは同じ大きさであってよく、切断工程はなくてもよい。
【0070】
上記実施形態の加熱炉60は、連続式であるが、バッチ式でもよい。
【0071】
本出願は、2014年7月30日に日本国特許庁に出願された特願2014−154813号に基づく優先権を主張するものであり、特願2014−154813号の全内容を本出願に援用する。