特許第6501134号(P6501134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6501134
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20190408BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20190408BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20190408BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/52 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/42 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20190408BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20190408BHJP
【FI】
   G02F1/13357
   G02F1/1337 520
   G02F1/1334
   G02F1/13 500
   C09K19/52
   C09K19/42
   C09K19/38
   C09K19/30
   C09K19/12
   C09K19/14
   C09K19/34
   C09K19/20
   C09K19/32
【請求項の数】20
【全頁数】115
(21)【出願番号】特願2018-550207(P2018-550207)
(86)(22)【出願日】2017年11月7日
(86)【国際出願番号】JP2017040058
(87)【国際公開番号】WO2018088386
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2018年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-219677(P2016-219677)
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】山口 英彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 真治
(72)【発明者】
【氏名】岩下 芳典
(72)【発明者】
【氏名】三木 崇之
(72)【発明者】
【氏名】田淵 穣
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/045371(WO,A1)
【文献】 特表2014−516366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/1337
G02F 1/1334
G02F 1/13
C09K 19/12
C09K 19/14
C09K 19/20
C09K 19/30
C09K 19/32
C09K 19/34
C09K 19/38
C09K 19/42
C09K 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、
前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、
ブラックマトリックスおよび赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色画素部から構成されるカラーフィルタと、
紫外または可視光を発光する発光素子と、
前記発光素子からの入射光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の内少なくとも一色の光に変換して発光する発光用ナノ結晶を含有する光変換部と、を備え、
前記液晶層が、ポリマーネットワーク(A)と、
下記一般式(i):
【化1】
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Ai1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、ni1は0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有する液晶組成物(B)を含有し、前記液晶組成物(B)に含まれる一般式(i−1−2.2)
の含有量が30重量%未満であるか、または一般式(N−2)
(式中、RN21及びRN22はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、又は炭素原子数2〜8のアルキル鎖中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−が、それぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換された化学構造を持つ構造部位を表し、
N21及びAN22は、それぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基、
(b) 1,4−シクロヘキシレン構造中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が−O−に置き換えられた構造を有する2価の有機基
及び
(c) 1,4−フェニレン基
(d) 1,4−フェニレン構造中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=が−N=に置き換えられた構造を有する2価の有機基、
(e) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
(f) ナフタレン−2,6−ジイル構造又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル構造中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられた構造を有する2価の有機基、及び
(g) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、
上記の基(a)、基(b)、基(c)、基(d)、基(e)、基(f)、及び基(g)は、それぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
N21及びZN22はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
N21及びnN22は、それぞれ独立して0〜3の整数を表すが、
N21+nN22は1、2又は3であり、AN21及びAN22が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
の含有量が10重量%未満である
ことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記光変換部は、赤色(R)及び緑色(G)域に発光スペクトルを有し、前記発光素子が青色領域に発光スペクトルをする請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記光変換部は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)域に発光スペクトルを有し、前記発光素子が紫外領域に発光スペクトルをする請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項4】
赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)域の少なくとも一つの発光スペクトルの半値幅が20から60nmである請求項2または3に記載の液晶表示素子。
【請求項5】
前記光変換部は、前記第一の基板又は第二の基板の何れかで前記発光素子側の基板と前記発光素子との間に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項6】
前記光変換部は、シート状のものであり、かつ、前記第一の基板又は第二の基板の何れかで発光素子側の基板に対して全面に配置されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項7】
前記光変換部は、前記第一の基板又は第二の基板の側面部に設置された請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項8】
前記発光素子と前記発光用ナノ結晶を含有する光変換部とが一体的に積層された光源部として配設されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項9】
前記発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、
前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含むシェルとを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項10】
前記第一の半導体材料は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体及びI−II−IV−VI族半導体からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項9に記載の液晶表示素子。
【請求項11】
前記液晶層が、ポリマーネットワーク(A)の光軸方向又は配向容易軸方向と、前記液晶組成物(B)の配向容易軸方向が同一方向となっているものである請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項12】
前記液晶層が、重合性単量体成分(a)、及び前記液晶組成物(B)を必須成分とする重合性液晶組成物を重合してなるものである請求項1又は11記載の液晶表示素子。
【請求項13】
前記液晶層が、重合性単量体成分(a)及び前記液晶組成物(B)に加え、更に重合開始剤(c)を必須成分とする重合性液晶組成物を重合してなるものである請求項12記載の液晶表示素子。
【請求項14】
重合性液晶組成物が、前記重合性液晶組成物中、重合性単量体成分(a)を0.5〜20質量%となる割合で含有するものである請求項13記載の液晶表示素子。
【請求項15】
透明基板に対して前記液晶組成物(B)を構成する液晶分子が、基板法線方向に対して、0.1〜30°のプレチルト角を成すように形成された請求項11記載の液晶表示素子。
【請求項16】
セル断面において、セル厚の0.5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されている請求項1又は11記載の液晶表示素子。
【請求項17】
前記重合性単量体成分(a)が、下記一般式(P1)
【化1】
(式中、Zp11は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Spp12−Rp12を表し、
p11およびRp12はそれぞれ独立に以下の式(RP11−1)から式(RP11−8)
【化2】

のいずれかを表し(式中、*は結合点を示す)、前記式(RP11−1)〜(RP11−8)中、RP111〜RP112はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基であり、tM11は0、1または2を表し、
Spp11およびSpp12は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基、又は、この直鎖もしくは分岐状のアルキレン構造の炭素原子は酸素原子が隣接しない条件で酸素原子もしくはカルボニル基で置換された化学構造を有する構造部位を表し、
p11及びLp12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−OCHCHO−、−CO−NRP113−、−NRP113−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CRP113−COO−、−CH=CRP113−OCO−、−COO−CRP113=CH−、−OCO−CRP113=CH−、−COO−CRP113=CH−COO−、−COO−CRP113=CH−OCO−、−OCO−CRP113=CH−COO−、−OCO−CRP113=CH−OCO−、−(CHtm12−C(=O)−O−、−(CHtm12−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CHtm12−、−(C=O)−O−(CHtm12−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−C≡C−、−N=N−、−CH=N−又は−C=N−N=C−(式中、RP113はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、tm12は1〜4の整数を表す。)を表し、
p11、Mp12およびMp13は、それぞれ独立に1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロヘキセニレン基、1,2−シクロヘキセニレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、フルオレン−2,6−ジイル基、フルオレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、アントラセン−1,4−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、
p11、Mp12およびMp13はそれぞれ独立に無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は−Spp11−Rp11同じ意味の基で置換されていても良く、mp12は1又は2を表し、mp13〜mp14はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp11及びmp15はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、Zp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp13が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよい。)で表されるものである請求項12記載の液晶表示素子。
【請求項18】
前記液晶組成物(B)が、前記一般式(i)で表される化合物に加え、下記一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(N−4)
【化3】

(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31、RN32、RN41及びRN42はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、又は炭素原子数2〜8のアルキル鎖中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−が、それぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換された化学構造を持つ構造部位を表し、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31、AN32、AN41及びAN42は、それぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基、
(b) 1,4−シクロヘキシレン構造中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が−O−に置き換えられた構造を有する2価の有機基
及び
(c) 1,4−フェニレン基
(d) 1,4−フェニレン構造中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=が−N=に置き換えられた構造を有する2価の有機基、
(e) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
(f) ナフタレン−2,6−ジイル構造又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル構造中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられた構造を有する2価の有機基、及び
(g) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、
上記の基(a)、基(b)、基(c)、基(d)、基(e)、基(f)、及び基(g)は、それぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31、ZN32、ZN41及びZN42はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
N31は−CH−又は酸素原子を表し、
N41は、酸素原子、窒素原子、又は−CH−を表し、
N41は、単結合、又は−CH−を表し、
N11、nN12、nN21、nN22、nN31、nN32、nN41、及びnN42は、それぞれ独立して0〜3の整数を表すが、
N11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11、AN12、AN21、AN22、AN31、AN32、ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31、及びZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
N41+nN42は0〜3の整数を表すが、N41及びAN42、ZN41及びZN42が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物からなる群から選択され、かつ、誘電率の異方性が負である1種以上の化合物を含むものである請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項19】
前記液晶組成物(B)が、前記一般式(i)で表される化合物に加え、下記一般式(J)
【化10】
(式中、RJ1は炭素原子数1〜8のアルキル基、又は炭素原子数2〜8のアルキル鎖中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−が、それぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換された化学構造を持つ構造部位、
J1は、0、1、2、3又は4を表し、
J1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基
(b) 1,4−シクロヘキシレン構造中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が−O−に置き換えられた化学構造を有する2価の有機基、
(c) 1,4−フェニレン基
(d) 1,4−フェニレン構造中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=が−N=に置き換えられた化学構造を有する2価の有機基、
(e) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
(f)ナフタレン−2,6−ジイル構造又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル構造中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられた構造を有する2価の有機基からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)、基(d)、基(e)、及び基(f)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
J1及びZJ2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
J1が2、3又は4であってAJ2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nJ1が2、3又は4であってZJ1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
J1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
で表される化合物であって、かつ、誘電率の異方性が正である1種以上の化合物を含むものである請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項20】
前記液晶層における液晶組成物のΔnが0.05〜0.15である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
表示品質が優れていることから、アクティブマトリクス形液晶表示装置が携帯端末、液晶テレビ、プロジェクタ、コンピューター等の市場に出されている。アクティブマトリクス表示方式は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)あるいはMIM(メタル・インシュレータ・メタル)等が使われており、高電圧保持率を有する液晶組成物との組合せにおいて、TN型(ツイストネマチック)を初めとする一般的液晶表示素子として広く用いられている。また、更に広い視角特性を得るためにVA(バーチカルアライメント:垂直配向)、IPS(In Plane Switching:インプレーンスイッチング)、IPSの改良型であるFFS(Fringe Field Switching:フリンジフィールドスイッチング)等が用いられており、この様な表示素子に対応するために、現在も新しい液晶化合物あるいは液晶組成物の提案がなされている。
【0003】
一方液晶表示素子は自己発光型では無いため、発光するための光源が必須となり、ディスプレイとして求められる色再現領域に発光スペクトルを有する白色光源が使用される。光源としては、冷陰極管や白色LED(発光ダイオード)等が用いられるが発光効率の観点から、現在では白色LEDを用いることが主流となっている。LEDは現在一つの素子で380nmから750nmにおよぶ可視光全領域のカバーすることはできず、白色光を得るためにはいくつかの形式が知られている。
1)青色LEDと黄色蛍光体の組合せ
2)3原色の各LED(赤色・緑色・青色)の組合せ
3)近紫外線または紫色LEDと赤色・緑色・青色の蛍光体との組合せ
これら3方式中、液晶表示素子の光源として最適な白色光を得る観点では3)が最も優れ、2)、1)の順となり、発光効率の観点では、1)が最も優れている。
【0004】
液晶表示素子においては、消費電力の低減が重要であり、先進各国が検討中の省電力プログラムに対応するためには、光源の発光効率が重視されている。そのため、現在では1)の青色LEDと黄色蛍光体の組合せにより白色光を得ている。
【0005】
この方式は、発光効率的には優れるものの、赤色光の不足など白色光源としての特性的には劣り、色再現性に問題を有していた。特に液晶表示素子はカラー表示を実現するために液晶素子と合わせてカラーフィルタを用いることから、光源部を改良しても色再現性を向上させることは難しく、そのため色再現性を向上させるにはカラーフィルタ中の高顔料濃度化を図るか、或いは、着色膜厚を大きくすることにより色純度を高める必要があった。然しながら、この場合、透過率が低下し、光量を増加させなければならず消費電力が増加することとなる問題があった。
【0006】
そこで、液晶表示素子の色再現性と発光効率を同時に解決するための技術として、発光用ナノ結晶の一例である量子ドット技術(特許文献1参照)が注目されている。当該量子ドットは、粒子径数nmから数十nmの半導体微結晶からなり電子正孔対の閉じ込め効果によりエネルギーレベルが離散的に存在し、粒子径が小さくなるにつれてエネルギーバンドギャップが大きくなる性質を有している。この性質を応用し、粒子径をコントロールしバンドギャップを均一化することにより、発光スペクトルの半値幅が小さい光源を得ることができる。半値幅の小さい三原色の光源を得ることにより広色域ディスプレイが実現できることから、量子ドットをバックライトの構成部材として用いることにより、色再現性を向上させた液晶表示素子を構成できることが開示されている(特許文献2及び非特許文献1参照)。更に、光源として近紫外線または青色等の短波長可視光線を用いて、三色の量子ドットを従来のカラーフィルタの替わりに用いる提案がなされている(特許文献3参照)。これらの表示素子は、原理的には高い発光効率と色再現性を両立できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2001−523758号公報
【特許文献2】国際公開2004/074739号パンフレット
【特許文献3】米国特許8648524号公報
【特許文献4】国際公開2014/045371号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】SID 2012 DIGEST,p895−896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の通り、発光用ナノ結晶の一例である量子ドットを発光素子に介在して用いることで液晶表示素子の白色光源を得る場合、図19に記載するように、発光用ナノ結晶の一例である量子ドットを発光素子に介在して用いた光源からの光は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色のそれぞれの半値幅が小さく、当該量子ドットに対応する特定の波長を備えている。そのため、一般的な白色LED(例えば、上記の1)〜3))とは発光スペクトルが大幅に異なる。これにより光シャッターとして使用される液晶材料には、発光用ナノ結晶を発光させる光や発光用ナノ結晶からの光が照射されることになり、液晶材料自体が分解しやすくなる等の問題が生じる。例えば、特許文献4には、一般的な白色光源と三原色を含むカラーフィルタを用いた液晶表示素子に使用される液晶組成物の最適化を行った技術は開示されているものの、量子ドット等の発光用ナノ結晶を光源として用いた場合に液晶材料の信頼性を維持することについては開示されていない。
【0010】
特に、量子ドット等の発光用ナノ結晶を介在して白色光源を得た場合、発光用ナノ結晶の経時的劣化や外部環境による発光用ナノ結晶の劣化が生じると、光源に用いる短波長の可視光線や紫外光等を含む高エネルギー光線が、発光用ナノ結晶に吸収されにくくなり、直接液晶層に長時間高エネルギー光線が照射されることになる。これにより、液晶層を構成する液晶材料が分解し易くなる等の問題が生じる。また、発光用ナノ結晶の局所的不存在などにより特定の領域(スポット)に高エネルギー光線が暴露される問題、または、発光用ナノ結晶を含むフィルムにより液晶パネルの面を覆う形態の場合、液晶パネルの外延部周辺からの高エネルギー光線が漏れるため、高エネルギー光線が漏れた部分から液晶の劣化が生じるという問題がある。特にスポットや画面の端では部分的に劣化部分が生じやすく、部分的な劣化は全体的な劣化とは異なり、注目されやすい。従って、本発明が解決しようとする課題は、発光用ナノ結晶を発光部として持つ液晶表示素子において該発光用ナノ結晶の劣化や部分的な高エネルギー光線の照射スポットによる液晶層の劣化を抑制または防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリマーネットワーク中に特定の液晶化合物を含有する液晶組成物を含む液晶層と、発光用ナノ結晶を介した光源とを備えた素子を用いることにより前記課題を解決できることを見出し本願発明の完成に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、
前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、
ブラックマトリックスおよび赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色画素部から構成されるカラーフィルタと、
紫外または可視光を発光する発光素子と、
前記発光素子からの入射光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の内少なくとも一色の光に変換して発光する発光用ナノ結晶を含有する光変換部と、を備え、
前記液晶層が、ポリマーネットワーク(A)と、
下記一般式(i):
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Ai1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、ni1は0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有する液晶組成物(B)を含有することを特徴とする液晶表示素子に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発光用ナノ結晶を発光部として持つ液晶表示素子において該発光用ナノ結晶の劣化や部分的な高エネルギー光線の照射スポットによる液晶層の劣化を抑制または防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の液晶表示素子の実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の液晶表示素子の他の実施形態を示す斜視図である。
図3図3は、図1のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本実施形態に用いられる液晶表示素子の構成を示すための一例の図である。
図4図4は、本発明に係る光変換部103の構成の一例を示す図である。
図5図5は、本発明に係る光変換部(特にバックライトユニット)の一例を示す模式図である。
図6図6は、本発明に係る好適なバックライトの他の一形態を示す図である。
図7図7は、図1のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本実施形態で用いられる液晶表示素子の構成を示すための一例の図である。
図8図8は、図1のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本実施形態で用いられる液晶表示素子の構成を示すための一例の図である。
図9図9は、図2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本実施形態で用いられる液晶表示素子の構成を示すための一例の図である。
図10図10は、図2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面の模式図であり、本実施形態で用いられる液晶表示素子の構成を示すための一例の図である。
図11図11は、本発明の液晶表示素子の画素部分を等価回路で示した模式図である。
図12図12は、本発明の画素電極の形状の一例を示す模式図である。
図13図13は、本発明の画素電極の形状の一例を示す模式図である。
図14図14は、本発明のIPS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。
図15図15は、図12または図13におけるIII−III線方向に図1に示す液晶表示素子を切断した断面図の例の一つである。
図16図16は、図14におけるIII−III線方向にIPS型の液晶パネルを切断した断面図である。
図17図17は、図2における基板上に形成された薄膜トランジスタを含む電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。
図18図18は、図17におけるIII−III線方向に図2に示す液晶表示素子を切断した断面図である。
図19図19は、量子ドットの発光スペクトルを示す図である。
図20図20は、実施例におけるフィッシュボーン型VA液晶セルの電極構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、前記した通り、第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、ブラックマトリックスおよび赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色画素部から構成されるカラーフィルタと、紫外または可視光を発光する発光素子と、前記発光素子からの入射光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の内少なくとも一色の光に変換して発光する発光用ナノ結晶を含有する光変換部と、を備え、
前記液晶層が、ポリマーネットワーク(A)と、一般式(i):
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、R及びRはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Aは1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、nは0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有する液晶組成物(B)を含有することを特徴とする液晶表示素子である。
【0020】
本発明では、発光用ナノ結晶を有する光変換部を備えることで色再現領域が従来の液晶表示素子より拡大され、かつ発光用ナノ結晶の劣化や部分的な高エネルギー光線の照射スポットによる表示不良を低減した液晶表示素子を提供する。
【0021】
本発明に係る好適な液晶表示素子の基本構造について図を用いて以下に説明した後、液晶表示素子の各構成要素について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態で用いられる液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図であり、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
【0023】
本発明に係る液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、液晶パネル10とを備えている。当該バックライトユニット100は、発光素子Lを有する光源部101と、導光板(図示せず)を有する導光部102と、を有している。また、発光素子Lからの入射光を変換して発光する光変換部103は、光源部101または導光部102の一部として備えている。そのため、図1では便宜上、光変換部103を光源部101の一部に備えている場合として、光源部101(103)と示し、光変換部103を導光部102の一部に備えている場合として、導光部102(103)と示している(図2も同様)。
【0024】
また、図1、2では、発光素子Lを有する光源部101からの光および液晶パネル10からの光を矢印で表している。
【0025】
図1に示すように、バックライト100の一形態は、複数の発光素子Lを含む光源部101が導光部102の一側面に配置されており、図1では、複数の発光素子Lが、液晶パネル10の一側面側に一列に並べられている。複数の発光素子Lを含む光源部101を、液晶パネル10の一側面側(導光部102の一側面)だけでなく、必要により、液晶パネル10の他方の側面側(対向する両側面)に設けてもよく、また、導光部102の周囲を囲むように、複数の発光素子Lを含む光源部101が、該導光部102の3つ側面又は該導光部102の全周囲を囲むように、4つの側面に設けられていてもよい。なお、導光部102は必要に応じて導光板の代わりに光拡散板(図示せず)を備えてもよい。
【0026】
液晶パネル10は、一対の偏光板1,8の間に第一の基板2および第二の基板7が挟持され、さらに、対向に配置された第一の(透明絶縁)基板(透明基板とも称する)2と、第二の(透明絶縁)基板7との間に挟持された液晶組成物(または液晶層5)を有し、前記第一の(透明絶縁)基板2は、液晶層5側の面に電極層3が形成されている。また、液晶層5と、第一の(透明絶縁)基板2及び第二の(透明絶縁)基板7のそれぞれの間に、配向層4が設けられている。さらに、図1及び図2では、前記第二の基板7と配向層4との間にカラーフィルタ6が設けられている。
【0027】
なお、図1では、電極層3として画素電極(図示せず)と共通電極(図示せず)とが第一の基板2側に設けられているが、別の実施形態では、画素電極を第一の基板2に設け、共通電極を第二の基板7に設けてもよい。
【0028】
また、配向層4により電圧無印加時に該液晶組成物中の液晶分子が記基板2,7に対して所定方向に配向することができる。
【0029】
図1及び図2では、一対の偏光板1、8により前記第一の基板2および前記第二の基板7を挟持した形態を記載しているが、偏光板1,8を設ける位置はこの図に限定されない。さらに、図1及び図2では、前記第二の基板7と配向層4との間にカラーフィルタ6が設けられているが、本発明に係る液晶表示素子の他の実施形態としては、いわゆるカラーフィルタオンアレイ(COA)であってもよく、電極層3と液晶層5の間にカラーフィルタ6を設けても、または当該電極層3と第一の基板2との間にカラーフィルタを設けてもよい。また、必要により、オーバコート層(図示せず)でカラーフィルタ層6を覆うことにより、カラーフィルタ層に含まれる物質が液晶層へ流出を防止してもよい。
【0030】
また、本明細書では説明のため便宜上、バックライトユニット側の基板上に形成されている層(図1では電極層3、配向層4)およびバックライトユニット側の基板(第一の基板2)を第一の表示基板SUB1と称し、前記バックライトユニット側の基板と対向する基板上に形成されている層(図1では、配向層4、カラーフィルター6)および前記バックライトユニット側の基板と対向する基板(第二の基板7)を第二の表示基板SUB2と称しており、実施形態によって、バックライトユニット側の基板上に形成されている層や前記バックライトユニット側の基板と対向する基板上に形成されている層を構成するものが異なる場合がある。例えば、図2で示す本発明に係る液晶表示素子の形態では、第二の表示基板SUB2における第二の基板側に設けられた層には、第二の電極層3’(例えば、共通電極)が設けられている。
【0031】
また、本発明では、第一の基板2または第二の基板7上の少なくとも一方に配向層4が形成されていればよいが、図1〜2に示すように、液晶層5と第一の基板2との間および液晶層5と前記第二の基板7との間にそれぞれの第一の基板および第二の基板上に配向層4が液晶層5と当接するように形成されていることが好ましい。
【0032】
すなわち、本発明に係る液晶パネル1000は、第一の偏光板1と、第一の基板2と、電極層3と、配向層4と、液晶組成物を含む液晶層5と、配向層4と、カラーフィルタ6と、第二の基板7と、第二の偏光板8と、が順次積層された構成を含むことが好ましい。
【0033】
図1において、発光素子Lからの入射光を変換して発光する光変換部103が、光源部101内に設けられている場合、光源部101から発光される光は、光変換部103により変換された光を含むものであり、当該光源部101から発光される光が導光部102(例えば、導光板)を介して液晶パネル10の面内を透過する。
【0034】
他方、前記光変換部103が、導光部102内に設けられている場合は、発光素子Lから発光された光が光変換部103により変換された後、導光部102内の導光板を変換された光が通過して液晶パネル10の面内を透過しようとする、または発光素子Lから発光された光が導光部102内の導光板を通過した後、光変換部103により変換された光が液晶パネル10の面内を透過するものである。
【0035】
この際、前記導光板の形状が、発光素子Lから発光された光が入射する側面から対向面に向かって厚さが次第に減少する側面を備えた平板体(側面がテーパー状の形態や楔状四角形板)であると、線光を面光に変換することができるため液晶パネル10内に光を入射しやすくなる。その他、公知の手段で発光素子Lから発光された線光を面光に変換してもよい。
【0036】
また、前記導光部102は、液晶パネル10と導光版との間に光拡散板を備えることが導光板からでた光を均一に散乱させることができる点から好ましい。
【0037】
図2は、複数の発光素子Lが導光部102に対して平面状に配置された形態の液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図であり、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。図2で示す実施形態は、液晶パネル10に対して背面直下に光源部101を設けた直下型バックライト構造を採用している。この構造では、液晶パネル10の背面のほぼ全体に対してほぼ均等に発光素子Lが配列されている。
【0038】
図2においても、前記導光部102は、液晶パネル10と導光版との間に光拡散板を備えることが好ましい(後述に実施形態として記載する)。
【0039】
図2における液晶パネル10は、第一の電極層3を備えた第一の基板2と、第二の電極層3’(例えば、共通電極)を具備した第二の基板7と、前記第一の基板2と第二の基板7との間に挟持された液晶組成物(または液晶層5)を有し、前記第一の基板2と前記液晶層5との間に前記液晶層5と当接するように設けられた配向層4と、前記第二の基板7と前記液晶層5との間に前記液晶層5と当接するように設けられた配向層4と、を備えている。また、前記第二の基板7と第二の電極層3’との間にカラーフィルタ6が設けられており、前記第一の基板2および前記第二の基板8は、一対の偏光板1、8により挟持されている。
【0040】
すなわち、本発明に係る液晶表示素子1000は、第一の偏光板1と、第一の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層とも称する)3と、配向層4と、液晶組成物を含む液晶層5と、配向層4と、第二の電極層3’と、カラーフィルタ6と、第一の基板7と、第一の偏光板8と、が順次積層された構成である。
【0041】
ここで、本発明で用いる光変換部、及びそれを含むバックライトユニットの構造について図3図10を用いて説明する。
【0042】
図3は、複数の発光素Lが、液晶パネル10の一側面側に一列に並べられ、かつ、光変換部103を導光部102の一部に備えたバックライトユニットを持つ液晶表示素子において、図1のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面図であり、本実施形態で用いられる液晶表示素子の構成を示すための一例の図である。
【0043】
図3におけるバックライトユニット100は、液晶パネル10の外部の一側面側に取り付けられた発光素子Lを備えた光源部101と、前記光源部101と接続した導光部102によって構成されており、該導光部102は、光変換部103および導光板104とを備えている。
【0044】
ここで、光変換部103は、発光素子Lからの入射光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の内少なくとも一色の光に変換して発光する発光用ナノ結晶NCを含有する。そのため、本発明に係る液晶表示素子は、発光素子Lを備えた光源部101と、前記光源部101に接続された光変換部103および導光板104と、前記導光板104の一方の面上に、第一の偏光板1、第一の表示基板SUB1、液晶層5、第二の表示基板SUB2及び第二の偏光板8が順に積層された構造である。このように、本実施形態では、導光部102内の一部に前記光変換部103を有するものとなる。
【0045】
図4は、本発明に係る光変換部103の一例である。図4で示すように、本発明で用いる光変換部103は、透明な長尺状の中空体の充填容器111(図4では管状の充填容器111)の内部(前記中空体の中空部)に発光用ナノ結晶NCが収容(または充填)されている。必要により、発光用ナノ結晶NCの他に蛍光物質や紫外線硬化性の樹脂を収容(または充填)してもよい。また、図4では、充填容器111の長軸方向に対して垂直に切断した面の形状は、“0”型形状であるが断面の形状は、特に限定されることは無い。
【0046】
光変換部103の具体的な製造方法については後述で詳説するが、ガラス、石英またはアクリルなどの透明な管状の充填容器111の一方の端の開口部を封止し、発光用ナノ結晶NC、例えば量子ドットと、紫外線硬化性の樹脂とを混練した混合物を、管体111の内部に注入し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、必要により前記管体の他方の開口部を封止することで、充填容器111内に発光用ナノ結晶NCを封止した光変換部103を形成することができる。
【0047】
図5は、光変換部を持つバックライトユニットの一例であり、より詳細には、光源部101と、図4で示すような透明な長尺状の中空体の内部に発光用ナノ結晶NCを収容した部材(光変換部103)と、導光板104とを必須の構成要素とするバックライトを示す図である。ここで、図5の実施態様では、光変換部103と導光板104とにより導光部102を形成している。
【0048】
光源部101の発光素子Lは点光源であり、具体的には、光源部101は、発光ダイオード105(LED)を含む発光素子Lにより構成されている。例えば、発光ダイオード105が光源基板110に実装され、導光板104の光入射面(図5では、例えば左端の側面)に対向配置されている。また、図5で示すように、発光素子Lを含む光源部101と導光板104との間には、内部に発光用ナノ結晶NCが収容されている管体(光変換部103)が配置されている。
【0049】
光源部101において、光源基板110は長尺状の直方体の形状を有し、光源基板110の長手方向に発光素子Lが一列に並べられている(図1図5参照)。また、当該光源部101と接続された光変換部103は、光源基板110と同様に長尺状の中空体であり、当該透明な長尺状の中空体の内部に発光用ナノ結晶NCが収容された構成である。さらに、導光板104は、当該光変換部103と接続されているため、光源部101からの光は、光変換部103で赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の内少なくとも一色の光に変換され、導光板104へ導かれ液晶パネル10内へ入射する。なお、ここで前記導光板104と第一の偏光板1との間には光拡散板を設けてもよい。これにより導光板104を通過する光を散乱させて面光として、液晶パネル10、例えば第一の偏光板1に光を供給する(図3図5参照)。従って、この場合、導光部102は、光変換部103、導光板104、及び光拡散版により構成されることとなる。
【0050】
本発明に係る発光素子L(または発光ダイオード105)は、波長領域については光変換部に含まれる発光用ナノ結晶に吸収される波長領域であれば特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオードを好適に使用できる。当該青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードは、例えば、サファイア基板の上に形成されるAlNからなるシード層と、シード層上に形成される下地層と、GaNを主体とする積層半導体層とを少なくとも備えたものなどが例示として挙げられる。また、積層半導体層は、基板(例えば、図5などの光源基板110側から下地層、n型半導体層、発光層およびp型半導体層の順に積層されて構成されたものが挙げられる。
【0051】
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、LED等が挙げられるが、本発明に係る発光素子Lは、上記の420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有するLED以外として、紫外光を発生するLEDが好ましい。
【0052】
なお、本発明において、420〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と称し、500〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と称し、605〜665nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と称する。また、本明細書の紫外光とは、300nm以上420nm未満の波長帯域に発光中心波長を有する光をいう。さらに本明細書において、「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
【0053】
前記光変換部103は、発光素子Lからの光を波長変換するものであり、発光素子Lからの光の波長変換する発光用ナノ結晶NCを含む。発光用ナノ結晶は、離散的エネルギー準位を有し、ナノ結晶の一次粒子の粒子径を変えることによって発光波長を自由に選択可能である。そのため、従来の白色LEDおよび蛍光物質を組み合わせた発光装置より、色再現領域が拡大される。
【0054】
図4図6に示した光変換部103は、透明な中空状の管体と、当該中空状管体の中空部に発光ダイオード105が発する光を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、当該発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とを含むことが好ましい。この場合において、発光用ナノ結晶NCは、発光ダイオード105が発する光を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、発光用ナノ結晶NCは、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることが好ましく、青色発光用ナノ結晶NC、緑色発光用ナノ結晶NCおよび赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることがより好ましい。特に、緑色発光用ナノ結晶NCと、赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含んでいることが特に好ましい
【0055】
これにより、光変換部を介して得られた赤色光および緑色光のスペクトルは、半値幅が狭く、急峻なピークを有している。そのため、赤色光および緑色光の色純度が高くなり、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)と、緑色発光用ナノ結晶NCが発する緑色光と、同じく赤色発光用ナノ結晶NCが発する赤色光とによって、青、緑、赤の3原色が揃い、これらの合成光の色域が広くなるため、従来の白色LEDおよび蛍光物質を組み合わせた発光装置より、色再現領域が拡大される。
【0056】
また、必要により、本発明に係る光変換部103は、発光用ナノ結晶NCおよび当該発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂以外に、例えば蛍光物質を含んでも良い。具体的には、光源101は、450nmにピークを持つ青色光を含む光が好ましく、青色光源がより好ましい。光変換部103は、光源部101からの青色光を赤色光または緑色光に波長変換する蛍光物質を必要により含むことが好ましい。これにより、バックライトユニットは、光変換部103により波長変換された赤色光および緑色光を合成することによりさまざまな色調の光を生成することが可能となる。
【0057】
図6は、図5のバックライトユニットの具体例であり、本発明に係る好適なバックライトの一形態を示す図である。
【0058】
発光ダイオード105が、例えば、凹部容器113(図6には図示せず)内に封止されると共に光源基板110に実装され、導光板104の光入射面(図6では、例えば左端の側面)に対向配置されている。また、図6で示すように、発光素子Lと導光板104との間に、固定部材112a,112bを介することにより内部に発光用ナノ結晶NCが収容されている管体111(光変換部103)が光源部101と接続される。
【0059】
これにより、本発明に係る液晶表示素子は、発光用ナノ結晶NCを含有する光変換部103が発光素子Lからの光を液晶パネルに供給するまでの光路において設けられているため、前記光変換部103により発光素子Lからの入射光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の内少なくとも一色の光に変換した光を放出することができる。
【0060】
図7(a)は、図1のI−I線方向に図1に示す液晶表示素子を切断した断面図であり、複数の発光素子Lが、液晶パネル10の一側面側に一列に並べられた構造を持つ実施形態を示すものである。
【0061】
ここで、発光素子Lは、発光ダイオード105を光変換部103が覆うように一体的に構成されており、バックライトユニット100は、該発光素子Lを含む光源部101と、導光板104と、必要により光拡散板(図示せず)を含む導光部(図示せず)とから構成される。また、本実施形態では、光拡散板(図示せず)を必要により導光板104と液晶パネル10(例えば偏光板1)との間に該導光板104と当接するように設けてもよい。
【0062】
また、発光素子L中に存在する光変換部103は、発光用ナノ結晶NC(例えば量子ドット)および樹脂(図示せず)を必須の構成要素とするものである。
【0063】
そのため、図7(a)の実施態様に係る液晶表示素子は、発光ダイオード105および光変換部103を備えた発光素子Lを有する光源部101と、導光板104と、前記導光板104の一方の面上に、第一の偏光板1、第一の表示基板SUB1、液晶層5、第二の表示基板SUB2及び第二の偏光板8が順に積層された構造となる。また、当該液晶表示素子において、光変換部103を備えた発光素子Lを有する光源部101と、導光板104を含む導光部とは接続されており、前記光源部101は、液晶パネル10の外部の一側面に取り付けられている。
【0064】
また、図7(a)における発光素子Lは、発光ダイオード105(LED)により構成されており、点光源となる。発光素子Lの一例として図7(b)の拡大部分を用いて説明すると、上部側に凹部が形成された発光体を収納する凹部容器113(透明充填容器)と、当該容器と一体化した光源基板110(リードフレームを含むアノード用リード部(図示せず)およびカソード用リード部(図示せず))と、前記凹部の底面に取り付けられた発光LED(発光ダイオード)105と、凹部を覆うように設けられた発光用ナノ結晶NCを含む樹脂層とを備えている。
【0065】
図7(b)における発光ダイオード105は、凹部の底面に露出するカソード用リード部上に接着、固定されている。また、当該発光ダイオード105は、n型電極およびp型電極を有しており、ボンディングワイヤを介して、p型電極がアノード用リード部に接続され、n型電極がカソード用リード部に接続されている。なお、本実施形態で用いた光源部101では、発光ダイオード105が、底面のほぼ中央部に取り付けられているが、特に制限されることは無い。また、光源基板110(アノード用リード部およびカソード用リード部、換言するとリードフレーム)は、金属板であり、表面に銀メッキ層が形成された銅合金等の金属導体であるため、透明充填容器の凹部の底面は、金属導体であるアノード用リード部の一部(導体部)およびカソード用リード部の一部(導体部)の銀メッキ層が露出している。
【0066】
図7(b)における発光ダイオード105は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオード105を好適に使用できる。該発光ダイオード105としては、例えば、サファイア基板の上に形成されるAlNからなるシード層と、シード層上に形成される下地層と、GaNを主体とする積層半導体層とを少なくとも備えたものなどが例示として挙げられる。また、積層半導体層は、基板(例えば、図5などの光源基板110側から下地層、n型半導体層、発光層およびp型半導体層の順に積層されて構成されたものが挙げられる。
【0067】
図7(a)及び図7(b)における光変換部103は、発光ダイオード105が発する光を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、発光用ナノ結晶NCは、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることが好ましく、青色発光用ナノ結晶NC、緑色発光用ナノ結晶NCおよび赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることがより好ましい。特に、緑色発光用ナノ結晶NCと、赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含んでいることが特に好ましい。なお、赤色発光用ナノ結晶NCは、緑色発光用ナノ結晶NCが発する光でも励起されるので、発光ダイオード105の発光波長、緑および赤の発光用ナノ結晶NCの比率、及び光変換部103における発光用ナノ結晶NCの含有量を適宜調節することが好ましい。
【0068】
発光ダイオード105が発する青色光と、緑色発光用ナノ結晶NCが発する緑色光と、同じく赤色発光用ナノ結晶NCが発する赤色光とによって、青、緑、赤の3原色が揃う。このため、光変換部103の光射出面からは、白色光が出射される。液晶表示素子のバックライトとしてこの白色光を使った色再現範囲は、発光ダイオード105の主発光ピークの波長および半値幅と、発光用ナノ結晶NCの発光ピークの波長および半値幅とに依存する。
【0069】
図8は、複数の発光素子Lが液晶パネル10の一側面側に一列に並べられ、かつ、シート状の光変換部103を導光部102の一部に備えたバックライトユニットを持つ液晶表示素子において、図1のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面図である。
【0070】
図8の本実施形態における液晶表示素子は、導光板104および当該導光板104の一方の面上に形成された発光用ナノ結晶NCを含む光変換部103を備えた導光部102と、第一の偏光板1と、第一の表示基板SUB1と、液晶層5と、第二の表示基板SUB2と、第二の偏光板8とが順に積層され、前記導光板104の一側面側に光源部101が取り付けられた構造である。そのため、本実施形態では、光変換部103は導光部102に含まれる。また、必要により、光拡散板を光導光板104と液晶パネル10(例えば偏光板1)との間に導光板104と当接するように設けてもよい。
【0071】
さらに、発光素子Lを有する光源部101は、導光板104と接続されている。
【0072】
図8の実施形態では、発光用ナノ結晶NCを含む光変換部103は、シート状であり、この構造では、液晶パネル10の背面のほぼ全体に対して当接するように光変換部103が配置されている。また、当該発光用ナノ結晶NCを含む光変換部103は、コロイド状の発光用ナノ結晶をフィルム中に分散させ、それを保護フィルムで挟み込んだ構造となっている。また、光変換部103としては、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、本発明に係る発光ダイオード105は、他の実施形態と同様に、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオード105を好適に使用できる。
【0073】
図8における光変換部103は、発光ダイオード105が発する光を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、発光用ナノ結晶NCは、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることが好ましく、青色発光用ナノ結晶NC、緑色発光用ナノ結晶NCおよび赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることがより好ましい。特に、緑色発光用ナノ結晶NCと、赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含んでいることが特に好ましい。
【0074】
図8に示すように、発光素子Lから導光板104を通過した面状の青色光が、発光用ナノ結晶NCを含む光変換部103において、緑色発光用ナノ結晶NCで緑色の光に変換され、赤色発光用ナノ結晶NCで赤色の光に変換され、青色の光はそのまま透過されることが好ましい。そのため、本発明に係る液晶表示素子は、赤色、緑色および青色の鋭いピークを持った面状光源になることにより色再現領域が拡大して、画像に鮮やかな色彩を与えることができる。
【0075】
次に、図9は、複数の発光素子Lが液晶パネルに対して背面直下に平面状に配置された平板状のバックライトユニット100を持ち、かつ、シート状の光変換部103を導光部102の一部に備えたバックライトユニットを持つ液晶表示素子において、図2のI−I線方向に液晶表示素子を切断した断面図の一例である。
【0076】
図9の実施態様におけるバックライトユニット100は、複数の発光素子Lが光拡散板106に対して平面状に配置された光源部101と、当該光拡散板106と、当該光拡散板106と当接するように設けられた発光用ナノ結晶NCを含む光変換部103とから構成されている。ここで、本実施形態では、光拡散板106と光変換部103とから導光部102を形成している。そのため、本実施態様における液晶表示素子は、光源部101、光拡散板106、光変換部103、第一の偏光板1、第一の表示基板SUB1、液晶層5、第二の表示基板SUB2及び第二の偏光板8が順に積層された構造となる。なお、光拡散板106は、発光素子Lからでた光を均一に散乱させる役割を備えている。
【0077】
図9で示すように、発光用ナノ結晶NCを含む光変換部103は、シート状であり、この構造は、図8と同様に液晶パネル10の背面のほぼ全体に対して当接するように光変換部103が配置されている。
【0078】
本実施形態における光変換部103としては、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、本発明に係る発光ダイオード105は、他の実施形態と同様に、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオード105を好適に使用できる。
【0079】
ここで光変換部103は、発光ダイオード105が発する光を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、発光用ナノ結晶NCは、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることが好ましく、青色発光用ナノ結晶NC、緑色発光用ナノ結晶NCおよび赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることがより好ましい。特に、緑色発光用ナノ結晶NCと、赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含んでいることが特に好ましい。
【0080】
図9に示すように、複数の発光素子Lから光拡散板106で拡散された面状の青色光が、発光用ナノ結晶NCを含むシート状の光変換部103において、緑色発光用ナノ結晶NCで緑色の光に変換され、赤色発光用ナノ結晶NCで赤色の光に変換され、青色の光はそのまま透過される。そのため、本発明に係る液晶表示素子は、赤色、緑色および青色の鋭いピークを持った面状光源になることにより色再現領域が拡大して、画像に鮮やかな色彩を与えることができる。
【0081】
図10(a)は、図2のI−I線方向に図2に示す液晶表示素子を切断した断面図であり、複数の発光素子Lが液晶パネルに対して背面直下に平面状に配置された平板状のバックライトユニット100を持ち、かつ、光源部101の一部に光変換部103を備えたバックライトユニットを持つ液晶表示素子の実施形態を示すものである。
【0082】
図10(a)の実施形態では、発光素子Lは、図10(b)に示すように発光ダイオード105を光変換部103が覆うように一体的に構成されており、該発光素子Lが、光拡散板106に対して平面状に配置された光源部101を有するものである。
【0083】
そのため、本実施態様における液晶表示素子は、光変換部103を備えた発光素子Lを複数有し、かつ当該複数の発光素子Lが平面状に配列された光源部101と、光拡散板106と、第一の偏光板1と、第一の表示基板SUB1と、液晶層5と、第二の表示基板SUB2と、第二の偏光板8と、が順に積層された構造を有するものとなる。
【0084】
本実施態様における発光ダイオード105は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオード105を好適に使用できる。
【0085】
図10(a)及び図10(b)における光変換部103は、発光ダイオード105が発する光を吸収してより長波長の光を発する一種類以上、好ましくは2種以上の発光用ナノ結晶NCと、発光用ナノ結晶NCを均一に分散させた状態で含有する透明樹脂とから構成されている。この場合において、発光用ナノ結晶NCは、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび発光ダイオード105が発する光(好ましくは青色光乃至紫外光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることが好ましく、青色発光用ナノ結晶NC、緑色発光用ナノ結晶NCおよび赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCを含んでいることがより好ましい。特に、緑色発光用ナノ結晶NCと、赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含んでいることが特に好ましい。なお、赤色発光用ナノ結晶NCは、緑色発光用ナノ結晶NCが発する光でも励起されるので、発光ダイオード105の発光波長、緑および赤の発光用ナノ結晶NCの比率、及び光変換部103における発光用ナノ結晶NCの含有量を適宜調節することが好ましい。
【0086】
発光ダイオード105が発する青色光と、緑色発光用ナノ結晶NCが発する緑色光と、同じく赤色発光用ナノ結晶NCが発する赤色光とによって、青、緑、赤の3原色が揃う。このため、光変換部103の光射出面からは、白色光が出射される。液晶表示素子のバックライトとしてこの白色光を使った色再現範囲は、発光ダイオード105の主発光ピークの波長および半値幅と、発光用ナノ結晶NCの発光ピークの波長および半値幅とに依存する。
【0087】
上述した通り、バックライトユニット側の基板上に形成されている層(図1では電極層3、配向層4)およびバックライトユニット側の基板(第一の基板2)を第一の表示基板SUB1と称し、前記バックライトユニット側の基板と対向する基板上に形成されている層(図1では、配向層4、カラーフィルター6)および前記バックライトユニット側の基板と対向する基板(第二の基板7)を第二の表示基板SUB2と称しており、実施形態によって、バックライトユニット側の基板上に形成されている層や前記バックライトユニット側の基板と対向する基板上に形成されている層を構成するものが異なる場合がある。
【0088】
次に、本発明に係る液晶表示素子の構成要素である光変換部、及び液晶層について説明する。
【0089】
本発明の液晶表示素子の各実施態様において光変換部103は、前記した通り、発光用ナノ結晶を含有する。本明細書における用語「ナノ結晶」は、好ましくは、100nm以下の少なくとも1つの長さを有する粒子を指す。ナノ結晶の形状は、任意の幾何学的形状を有してもよく、対称または不対称であってよい。当該ナノ結晶の形状の具体例としては、細長、ロッド状の形状、円形(球状)、楕円形、角錐の形状、ディスク状、枝状、網状または任意の不規則な形状等を含む。一部の実施形態では、ナノ結晶は、量子ドットまたは量子ロッドであることが好ましい。
【0090】
当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含むシェルとを有することが好ましい。
【0091】
そのため、本発明に係る発光用ナノ結晶は、少なくとも第一半導体材料を含むコアと、第二半導体材料を含むシェルからなり、前記第一半導体材料と、前記第二半導体材料とは同じでも異なっていても良い。また、コアおよび/またはシェル共に第一半導体および/または第二半導体以外の第三の半導体材料を含んでも良い。なお、ここでいうコアを被覆とは、コアの少なくとも一部を被覆していればよい。
【0092】
さらに、当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、必要により、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと同一または異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルと、を有することが好ましい。
【0093】
したがって、本発明に係る発光用ナノ結晶は、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一の第二の半導体材料を含むシェルを有する形態、すなわち1種類又は2種以上の半導体材料から構成される態様(=コアのみの構造(コア構造とも称する))と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含むシェルを有する形態等の、すなわちコア/シェル構造と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルを有する形態の、すなわちコア/シェル/シェル構造との3つの構造のうち少なくとも一つを有することが好ましい。
【0094】
また、本発明に係る発光用ナノ結晶は、上記の通り、コア構造、コア/シェル構造、コア/シェル/シェル構造の3つの形態を含むことが好ましく、この場合、コアは2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)。またさらに、シェルも同様に2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい。
【0095】
本発明に係る光変換部において、発光用ナノ結晶は、当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子が発光用ナノ結晶と接触していてもよい。
【0096】
上記親和性のある分子とは、発光用ナノ結晶に対して親和性のある官能基を有する低分子および高分子であり、親和性のある官能基としては特に限定されるものでは無いが、窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される1種の元素を含む基である事が好ましい。例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、および水酸基等を挙げる事が出来る。
【0097】
本発明に係る半導体材料は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体及びI−II−IV−VI族半導体からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。本発明に係る第一の半導体材料、第一の半導体材料および第三の半導体材料の好ましい例は、上記の半導体材料と同様である。
【0098】
本発明に係る半導体材料は、具体的には、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe2、CuGaSe2、CuInS2、CuGaS2、CuInSe2、AgInS2、AgGaSe2、AgGaS2、C、SiおよびGeからなる群から選択される少なくとも1つ以上選ばれ、これらの化合物半導体は単独で使用されても、または2つ以上が混合されていても良く、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、Si、C、GeおよびCuZnSnSからなる群から選択される少なくとも1つ以上選ばれることがより好ましく、これらの化合物半導体は単独で使用されても、または2つ以上が混合されていても良い。
【0099】
本発明に係る発光用ナノ結晶は、赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶および青色光を発光する青色発光用ナノ結晶からなる群から選択される少なくとも1種のナノ結晶を含むことが好ましい。一般に、発光用ナノ結晶の発光色は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば粒子径に依存するが、発光用ナノ結晶が有するエネルギーギャップにも依存するため、使用する発光用ナノ結晶とその粒子径を調整することにより、発光色を選択する。
【0100】
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、665nm、663nm、660nm、658nm、655nm、653nm、651nm、650nm、647nm、645nm、643nm、640nm、637nm、635nm、632nmまたは630nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、628nm、625nm、623nm、620nm、615nm、610nm、607nmまたは605nmであることが好ましい。
【0101】
本発明において緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、560nm、557nm、555nm、550nm、547nm、545nm、543nm、540nm、537nm、535nm、532nmまたは530nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、528nm、525nm、523nm、520nm、515nm、510nm、507nm、505nm、503nmまたは500nmであることが好ましい。
【0102】
本発明において青色光を発光する青色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、480nm、477nm、475nm、470nm、467nm、465nm、463nm、460nm、457nm、455nm、452nmまたは450nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、450nm、445nm、440nm、435nm、430nm、428nm、425nm、422nmまたは420nmであることが好ましい。
【0103】
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が635nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。同じく、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が530nm±30nmの範囲に入っている事が望ましく、青色光を発光する青色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が450nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。
【0104】
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光量子収率の下限値は、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上の順で好ましい。
【0105】
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの半値幅の上限値は、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下の順で好ましい。
【0106】
本発明に係る発光用ナノ結晶の粒子径(1次粒子)の上限値は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下の順で好ましい
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶の発光のピーク波長の上限値は665nm、下限値は605nmであり、このピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。同じく、緑色発光用ナノ結晶の発光のピーク波長の上限値は560nm、下限値は500nm、青色発光用ナノ結晶の発光のピーク波長の上限値は480nm、下限値は420nmであり、それぞれこのピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。
【0107】
本発明に係る光変換部は、発光用ナノ結晶を含み、当該発光用ナノ結晶は、赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶および青色光を発光する青色発光用ナノ結晶からなる群から選択される少なくとも1種のナノ結晶を含むことが好ましい。具体的には、赤色(例えば、CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPのロッド状発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)、緑色(CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)および青色(ZnSeの発光用ナノ結晶、ZnSeのロッド状発光用ナノ結晶、ZnSの発光用ナノ結晶、ZnSのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、CdSの発光用ナノ結晶、CdSのロッド状発光用ナノ結晶)で発光する異なるナノ結晶を含む。他の色(例えば、黄色についても、必要に応じて光変換部に含有してもよい。
【0108】
本明細書における本発明に係る発光用ナノ結晶の粒子径(1次粒子)はTEM観察によって測定できる。一般的に、ナノ結晶の平均粒子径の測定方法としては、光散乱法、溶媒を用いた沈降式粒度測定法、電子顕微鏡により粒子を直接観察して平均粒子径を実測する方法が挙げられる。発光用ナノ結晶は水分などにより劣化しやすいため、本発明では、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により任意の複数個の結晶を直接観察し、投影二次元映像よる長短径比からそれぞれの粒子径を算出し、その平均を求める方法が好適である。そのため、本発明では上記方法を適用して平均粒子径を算出している。発光用ナノ結晶の1次粒子とは、構成する数〜数十nmの大きさの単結晶またはそれに近い結晶子のことであり、発光用ナノ結晶の一次粒子の大きさや形は、当該一次粒子の化学組成、構造、製造方法や製造条件などによって依存すると考えられる。
【0109】
本発明に係る光変換部は、上記で示した発光用ナノ結晶と、必要により樹脂とを混合してもよい。
【0110】
本発明に係る光変換部が、図3の実施形態で示すような、光源部と接続され、第一の基板又は第二の基板の側面部に設置された場合、より詳細には、本発明に係る光変換部が、光源部と接続され、中空管体と当該中空管体の内部収容された発光用ナノ結晶を有する場合、必要により発光用ナノ結晶は透明樹脂と混合してもよい。この場合の透明樹脂は公知のものを使用することができ、例えばアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリチオエーテル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、直鎖構造および環状構造ノポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、上記透明樹脂は、可視光領域(360nm〜830nm)において全光線透過率が80%以上の透明樹脂が好ましい。
【0111】
さらに、本発明に係る光変換部において、必要により、上記透明樹脂、上記発光用ナノ結晶の他に、蛍光体、重合開始剤、触媒、アルミナ、シリカ、酸化チタンビーズ、ゼオライトまたはジルコニアなどの散乱剤といった、公知の添加剤を含んでもよい。
【0112】
本発明に係る光変換部が、光源部と接続され、中空管体と当該中空管体の内部収容された発光用ナノ結晶を有する場合における透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、20質量部であることが好ましく、17質量部であることが好ましく、15質量部であることが好ましく、13質量部であることが好ましく、12質量部であることが好ましく、10質量部であることが好ましく、8質量部であることが好ましく、6質量部であることが好ましく、5質量部であることが好ましく、4.5質量部であることが好ましく、4質量部であることが好ましく、3.5質量部であることが好ましく、3質量部であることが好ましい。前記発光用ナノ結晶の含有量の下限は、透明樹脂100質量部に対して、0.05質量部であることが好ましく、0.07質量部であることが好ましく、0.1質量部であることが好ましく、0.15質量部であることが好ましく、0.2質量部であることが好ましく、0.3質量部、0.5質量部であることが好ましく、0.7質量部であることが好ましく、1質量部であることが好ましく、1.2質量部であることが好ましく、1.5質量部であることが好ましく、1.7質量部であることが好ましく、2質量部であることが好ましく、2.5質量部であることが好ましく、2.7質量部であることが好ましく、3質量部であることが好ましい。なお、光変換部に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
【0113】
本発明に係る光変換部が、図7および図10の実施形態で示すような、発光素子と一体の場合、より詳細には、本発明に係る光変換部が、発光素子および発光用ナノ結晶を含有する光変換部を備える場合、必要により発光用ナノ結晶は透明樹脂と混合して使用してもよい。この場合の透明樹脂は公知のものを使用することができ、上記実施形態1の透明樹脂と同様の樹脂を使用することができるのでここでは省略する。また、本発明に係る光変換部において、必要により添加される添加剤も同様であるためここでは省略する。
【0114】
上記発光素子および発光用ナノ結晶を含有する光変換部を備える場合の透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、25質量部であることが好ましく、23質量部であることが好ましく、20質量部であることが好ましく、17質量部であることが好ましく、15質量部であることが好ましく、13質量部であることが好ましく、12質量部であることが好ましく、10質量部であることが好ましく、8質量部であることが好ましく、6質量部であることが好ましく、5質量部であることが好ましく、4.5質量部であることが好ましく、4質量部であることが好ましく、3.5質量部であることが好ましく、3質量部であることが好ましい。前記発光用ナノ結晶の含有量の下限は、透明樹脂100質量部に対して、0.05質量部であることが好ましく、0.07質量部であることが好ましく、0.1質量部であることが好ましく、0.15質量部であることが好ましく、0.2質量部であることが好ましく、0.3質量部であることが好ましく、0.5質量部であることが好ましく、0.7質量部であることが好ましく、1質量部であることが好ましく、1.2質量部であることが好ましく、1.5質量部であることが好ましく、1.7質量部であることが好ましく、2質量部であることが好ましく、2.5質量部であることが好ましく、2.7質量部であることが好ましく、3質量部であることが好ましく、3.5質量部であることが好ましく、4質量部であることが好ましい。光変換部に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
【0115】
本発明に係る光変換部が、図8および図9の実施形態で示すような、光源部と接続され、第一の基板又は第二の基板に対して全面に設置された場合、より詳細には、本発明に係る光変換部が、シート状であり、前記第一の基板又は第二の基板の何れかで光源部側の基板に対して全面に配置した場合、必要により発光用ナノ結晶は透明樹脂と混合して使用してもよい。この場合の透明樹脂は公知のものを使用することができ、上記実施形態1の透明樹脂と同様の樹脂を使用することができるのでここでは省略する。また、本発明に係る光変換部において、必要により添加される添加剤も同様であるためここでは省略する。
【0116】
本発明に係る光変換部が、光源部と接続され、第一の基板又は第二の基板に対して全面に設置された場合における透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、19質量部であることが好ましく、17質量部であることが好ましく、15質量部であることが好ましく、13質量部であることが好ましく、12質量部であることが好ましく、10質量部であることが好ましく、8質量部であることが好ましく、6質量部であることが好ましく、5質量部であることが好ましく、4.5質量部であることが好ましく、4質量部であることが好ましく、3.5質量部であることが好ましく、3質量部であることが好ましい。前記発光用ナノ結晶の含有量の下限は、透明樹脂100質量部に対して、0.05質量部であることが好ましく、0.07質量部であることが好ましく、0.1質量部であることが好ましく、0.15質量部、0.2質量部であることが好ましく、0.3質量部であることが好ましく、0.5質量部であることが好ましく、0.7質量部であることが好ましく、1質量部であることが好ましく、1.2質量部であることが好ましく、1.5質量部であることが好ましく、1.7質量部であることが好ましく、2質量部であることが好ましく、2.5質量部、2.7質量部であることが好ましく、3質量部であることが好ましく、3.5質量部であることが好ましい。光変換部に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
【0117】
さらに、本発明に係る光変換部において、必要により、上記透明樹脂、上記発光用ナノ結晶の他に、蛍光体、重合開始剤、触媒、アルミナ、シリカ、酸化チタンビーズ、ゼオライトまたはジルコニアなどの散乱剤といった、公知の添加剤を含んでもよい。
【0118】
次に、液晶表示素子における液晶層、例えば、前記各実施態様における液晶層5は、前記した通り、ポリマーネットワーク(A)と、下記一般式(i):
【0119】
【化3】
【0120】
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Ai1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、ni1は0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有する液晶組成物(B)を含有することを特徴としている。
【0121】
斯かる液晶層を構成するポリマーネットワークは、一軸性の光学異方性、又は一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するものであることが好ましく、該ポリマーネットワークの光学軸又は配向容易軸と、前記液晶組成物(B)を構成する低分子液晶の配向容易軸が略一致するように形成されていることがより好ましい。尚、該ポリマーネットワークには、複数のポリマーネットワークが集合することにより高分子薄膜を形成したポリマーバインダも含まれる。該ポリマーバインダは、一軸配向性を示す屈折率異方性を有しており、該薄膜に低分子液晶が分散され、該薄膜の一軸性の光学軸と低分子液晶の光学軸が略同一方向へ揃っていることが特徴である。
【0122】
従って、これにより、光散乱型液晶である高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶とは異なり光散乱が起こらず偏光を用いた液晶表示素子に於いて高コントラストな表示が得られる点と、立下り時間を短くして液晶素子の応答性を向上させる、という特徴を有するものとなる。更に、本発明の液晶表示素子を構成する液晶層では、ポリマーネットワーク層が液晶表示素子全体に形成されている為、液晶素子基板上にポリマーの薄膜層を形成させてプレチルトを誘起させるPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶組成物と区別することができる。
【0123】
斯かる液晶層は、例えば、重合性単量体成分(A)及び前記液晶組成物(B)を必須成分とする重合性液晶組成物を重合させることにより製造することができる。具体的には、前記重合性液晶組成物が液晶相を示した状態で、該重合性液晶組成物中の重合性単量体成分(A)を重合させることにより、分子量が増加して液晶組成物(B)と重合体(もしくは共重合体)に相分離させることにより前記液晶層を形成することができる。
【0124】
ここで、二相に分離する形態は、含有する液晶組成物(B)の種類やモノマーの種類に依存する。例えば、液晶組成物(B)中にモノマー相が無数に島状の核として発生して成長するバイノーダル分解で相分離構造を形成しても良く、液晶組成物(B)中にモノマー相との濃度の揺らぎから相分離するスピノーダル分解により相分離構造を形成しても良い。バイノーダル分解によるポリマーネットワークを形成させるには、モノマーの反応速度が速い化合物を用いることにより可視光の波長より小さい大きさのモノマーの核を無数に発生させて線状に連結させる構造によりナノオーダーの相分離構造が形成されるので好ましい。結果としてモノマー相に於ける重合が進むと相分離構造に依存して可視光の波長より短い空隙間隔のポリマーネットワークが形成される。一方、ポリマーネットワークの空隙は液晶組成物(B)相の相分離によるもので、この空隙の大きさが可視光の波長より小さいと、光散乱性が無く高コントラストで、且つポリマーネットワークからのアンカーリング力の影響が強まり立下り時間が短くなり高速応答の液晶表示素子が得られるようになり特に好ましい。バイノーダル分解に於けるモノマー相の核生成は、化合物の種類や組合せによる相溶性の変化や、反応速度、温度等のパラメータに影響され適宜必要に応じて調整することが好ましい。反応速度は、紫外線重合の場合は、モノマーの官能基や重合開始剤の種類及び含有量、紫外線照射強度によるもので反応性を促進するように紫外線照射条件を適宜調整すれば良く、少なくとも2mW/cm以上の紫外線照射強度が好ましい。スピノーダル分解では周期性のある二相の濃度の揺らぎによる相分離微細構造が得られるので可視光波長より小さい均一な空隙間隔を容易に形成するので好ましい。重合性単量体成分(A)の含有量を増加させると、温度の影響で液晶組成物(B)高濃度相とモノマー高濃度相との二相分離する相転移温度が存在する。二相分離転移温度より高い温度では等方相を示すが、低いと分離が起こり均一な相分離構造が得られず好ましくない。温度変化により二相分離する場合は、二相分離温度より高い温度に於いて相分離構造を形成させることが好ましい。上述した何れの場合も、液晶組成物(B)の配向状態と同様の配向状態を保持しながらポリマーネットワークを形成させることができる。
【0125】
ここで、前記した重合性液晶組成物は、重合性単量体成分(A)、前記液晶組成物(B)、及び必要に応じて重合開始剤を含むものであるが、前記重合性単量体成分(A)を重合性液晶組成物中、0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%となる割合で用いることが液晶組成物(B)相の相分離とポリマーネットが良好に形成される点から好ましい。従って、本発明では、前記液相層は、ポリマーネットワーク(A)と液晶組成物(B)との総質量に対して、ポリマーネットワーク(A)が0.5〜20質量%、特に1〜10質量%となる割合で存在していることが好ましい。
【0126】
重合性液晶組成物を重合させる際、重合相分離構造形成過程に於いては、モノマー高濃度相と液晶高濃度相の二相が形成されるが、重合開始剤は、通常、モノマー又は液晶の何れかの親和性の高い方に集まり易くなり濃度の局在化が起こる。
【0127】
ここで、重合開始剤がモノマー高濃度相に偏在化する場合には、モノマーの重合が促進される一方で、液晶高濃度相に残存するモノマーの重合が進み難くなる。この場合、光開始剤濃度が低くなった液晶高濃度相中の残存モノマーは、モノマー高濃度相へ凝集性などの作用により集まることで架橋する。
【0128】
逆に、重合開始剤が液晶高濃度相に偏在化する場合には、液晶高濃度相の残存モノマーの重合が促進されるようになり、液晶中の残存モノマーの分子量が増加すると伴に、新たに重合相分離構造を形成する場合やモノマー高濃度相へ凝集する場合などが考えられ、液晶高濃度相の残存モノマーは液晶相に溶存する光開始剤の効果で重合が進み易くなるので好ましい。又、液晶高濃度相の残存モノマーが光開始剤の効果で重合相分離が進み新たにポリマーネットワークを形成することも好ましい。
【0129】
形成されたポリマーネットワークは、液晶組成物(B)の配向に倣うように光学異方性を示す。ポリマーネットワーク中の液晶層の形態としては、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物(B)が連続層をなす構造、液晶組成物(B)のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造、更に、両基板面を起点にポリマーネットワーク層が存在し、対面基板との中心付近では液晶層のみである構造が挙げられる。何れもの構造もポリマーネットワークの作用により0〜90°のプレチルト角が液晶素子基板界面に対して誘起されていることが好ましいが、前記各構造のなかでも特にポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物(B)が連続層をなす構造のものが、液晶分子のプレチルトの安定性に優れる点から好ましい。ここで、液相層を構成するポリマーネットワークは、共存する液晶組成物(B)を液晶セルの配向膜が示す配向方向へ配向させる機能を有することが好ましく、更に、ポリマー界面方向に対して低分子液晶をプレチルトさせる機能を有していることも好ましい。ポリマー界面に対して低分子液晶をプレチルトさせるモノマーを導入すると透過率の向上や液晶素子の駆動電圧を低くさせるのに有用で好ましい。又、屈折率異方性を有しても良く、配向方向へ液晶を配向させる機能は、メソゲン基を有するモノマーを用いることが好ましい。又、電圧を印加しながら紫外線照射等によりポリマーネットワークを形成させてプレチルトを形成させても良い。
【0130】
斯かる観点から重合性単量体成分(A)は、液晶性のモノマーを使用することが好ましい。即ち、本発明の液晶表示素子は、液晶相中に液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され、液晶相が連続している構造であって、ポリマーネットワークの配向容易軸や一軸の光学軸が低分子液晶の配向容易軸と略同一方向であること、また、低分子液晶のプレチルト角を誘起するようにポリマーネットワークを形成させることが、オフ応答の速度を高めることができる点から好ましく、そのため重合性単量体成分(A)を構成する重合性モノマーは、分子構造中にメソゲン構造を持つ液晶性のモノマーであることが好ましい。なお、本発明における液晶表示素子は、前記ポリマーネットワーク層が、ポリマーネットワークの平均空隙間隔が可視光の波長より小さい大きさであること、即ち450nm未満の平均空隙間隔であることが、光散乱は起こらなくなる点から好ましい。
【0131】
斯かる液晶性のモノマーとしては、下記一般式(P1)
【0132】
【化4】
【0133】
で表されるものが挙げられる。
【0134】
ここで、Zp11は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Spp12−Rp12を表す。これらのなかでも、Zp11としては、フッ素原子、酸素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基を使用することが液晶表示素子の電圧保持率を高くすることが可能になる点から好ましく、また、チルトの安定性の点から−Spp12−Rp12であることが好ましい。
【0135】
ここで、Rp11およびRp12はそれぞれ独立に以下の式(RP11−1)から式(PP11−8)
【0136】
【化5】
【0137】
のいずれかを表し(式中、*は結合点を示す)、前記式(RP11−1)〜(RP11−8)中、RP111〜RP112はお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基であり、tM11は0、1または2を表す。これらのなかでも特に前記式(RP11−1)で表され、かつ、該式中のRP111としては水素原子又はメチル基である、(メタ)アクリロイル基であることが、液晶表示素子の製造時にモノマーを重合させる際の紫外線照射量を低くすることが可能になる、液晶材料への紫外線照射量を必要最低限に保つことができ、液晶材料及び液晶表示素子の劣化を避けることができる点から好ましい。
【0138】
前記Rp11およびRp12として挙げた式(RP11−1)から式(PP11−8)の中でも特に、下記式(RP11−1)から式(RP11−4)
【0139】
【化6】
【0140】
で表されるものが反応性に優れる点から好ましく、特に式(RP11−1)で表されるものが好ましい。
【0141】
Spp11およびSpp12は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基、又は、この直鎖もしくは分岐状のアルキレン構造の炭素原子は、酸素原子が隣接しない条件で、酸素原子もしくはカルボニル基で置換された化学構造を有する構造部位を表す。これらのなかでも、特に、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基は、液晶材料(B)との相溶性を高めるので好ましく、液晶分子が持つアルキル基と同程度の炭素原子数1〜6のものが特に好ましい。ここで、重合性単量体成分(A)と液晶材料(B)との相溶性が十分でない場合や、前記した重合開始剤(C)の液晶材料(B)への相溶性が十分でない場合には、ポリマーネットワークの密度が粗になる部分と密になる部分ができるため素子特性に影響を及ぼし面内の特性が不均一となり易いが、本発明において重合性単量体成分(A)と液晶材料(B)との相溶性が良好なる場合には、重合開始剤(C)と液晶材料(B)との相溶性が良好なものとなることと相俟って、一様な重合相分離構造が形成され、液晶中の均一なポリマーネットワークを形成されて液晶表示素子の特性が面内で一定になる、という特長を有する。ここで、炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基であるSpp11とSpp12とを有する場合、これらが同一のものであることが該モノマーの製造が容易であること、また、アルキレン鎖長の異なる複数種の化合物の使用割合を調整することによって物性調整が容易となる点から好ましい。一方、Spp11およびSpp12が単結合である場合には、モノマーが基板面に集まり易く、ポリマーネットワークを形成する傾向よりも垂直配向膜表面に薄膜を形成する傾向が強くなるため、ポリマーネットワーク形成による高速応答の効果よりも配向膜にプレチルトを付与し固定化する効果がより強くなる。
【0142】
また、重合性液晶組成物中の重合性単量体成分(A)の含有率が0.5質量%未満である場合には、前記した配向膜にプレチルト角を付与し固定化する点から、Spp11およびSpp12は単結合であることが好ましく、一方、該含有率が0.5質量%〜20質量%の範囲である場合には、Spp11およびSpp12は炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基であることがオフ応答速度を速めるポリマーネットワークを形成できる点から好ましい。特にオフ応答速度と低駆動電圧の点から1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。また、前記した直鎖もしくは分岐状アルキレン基は、炭素原子数としては、2〜8が好ましく、2〜6が更に好ましい。また、アルキレン基上の炭素原子を酸素原子が隣接しない条件で酸素原子もしくはカルボニル基で置換することは好ましい。特に酸素原子をMP11やMP13に結合する位置で導入すると、液晶材料全体としての液晶上限温度の拡大や重合時における紫外線感度を増加させることが可能になる点から好ましい。
【0143】
次に、前記一般式(P1)中、Lp11及びLp12はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−OCHCHO−、−CO−NRP113−、−NRP113−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CRP113−COO−、−CH=CRP113−OCO−、−COO−CRP113=CH−、−OCO−CRaP113=CH−、−COO−CRP113=CH−COO−、−COO−CRP113=CH−OCO−、−OCO−CRP113=CH−COO−、−OCO−CRP113=CH−OCO−、−(CHtm12−C(=O)−O−、−(CHtm12−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CHtm12−、−(C=O)−O−(CHtm12−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−C≡C−、−N=N−、−CH=N−又は−C=N−N=C−(式中、RP113はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、tm12は1〜4の整数を表す。)を表す。
【0144】
これらのなかでも重合性単量体成分(A)の液晶性が高く、液晶表示素子における配向ムラ抑止の観点から、単結合、−C−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH−、−(C=O)−O−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−C≡C−、−N=N−、又は−C=N−N=C−が好ましい。
【0145】
また、モノマーに光異性化する機能を付与することによりワイゲルト効果を用いた光による光配列機能が利用できることから、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、または−N=N−が好ましく、−CH=CH−と−N=N−を選択すること、なかでも−N=N−であることが好ましい。また、ポリマーネットワークの配向性を高くする観点から特に−N=N−であることが好ましい。
【0146】
つぎに、一般式(P1)中のMp11、Mp12およびMp13は、それぞれ独立に1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロヘキセニレン基、1,2−シクロヘキセニレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、フルオレン−2,6−ジイル基、フルオレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、アントラセン−1,4−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、或いは、これらの芳香核に炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基で置換された構造が挙げられる。
【0147】
また、前記Mp11、Mp12およびMp13は、これらの構造の芳香核に−Spp11−Rp11が置換されたものが、反応性に優れたラジカル重合性単量体となる点から好ましい。この時のRp11としては式(RP11−1)でかつ、RP111としては水素原子、もしくはメチル基である(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0148】
これらのなかでも特に 1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、フルオレン−2,6−ジイル基、フルオレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、2,3−ジフロロ−1,4−フェニレン基、2−フロロ−1,4−フェニレン基が液晶との相溶性の点から好ましい。
【0149】
また、一般式(P1)中、mp12は1又は2を表し、mp13及びmp14はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp11及びmp15はそれぞれ独立して1、2又は3を表す。ここで、Zp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp11が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp12が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp13が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよいで表される化合物であることが好ましい。また、当該材料は1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0150】
また、前記したmp12〜mp14は、それらの合計が1〜6の範囲であることが好ましく、2〜4の範囲、なかでも2であることが特に好ましい。2種以上のモノマーを使用する場合には、モノマー全体中の当該モノマーの濃度とmp12〜mp14の合計を乗じて計算する平均数が、1.6〜2.8になるように設定することが好ましく、1.7〜2.4にする事が更に好ましく、1.8〜2.2にすることが特に好ましい。
【0151】
p11及びmp15の合計は1〜6が好ましく、2〜4が更に好ましく、2が特に好ましい。2種以上のモノマーを使用する場合には、モノマー全体中の当該モノマーの濃度とmp1p15合計を乗じて計算する平均数が、1.6〜2.8になるように設定することが好ましく、1.7〜2.4にする事が更に好ましく、1.8〜2.2にすることが特に好ましい。平均数が1に近いと、液晶表示素子の駆動電圧を低減できる傾向があり、平均数が高いとオフ応答を速くできる傾向がある。
【0152】
p11、Mp12およびMp13へのフッ素原子による置換は、液晶表示素子の電圧保持率を悪化させることなく、液晶材料と重合体もしくは共重合体との相互作用の大きさや溶解性を制御できるため好ましい。好ましい置換数は、1〜4である。
【0153】
以上詳述した式(P1)の中でも、下記式(P2−1)〜(P2−11)で表される化合物を使用することは、チルト角の経時変化を抑制に有効である。
【0154】
【化7】
【0155】
(式中、RP21、RP22はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表す)
このような化合物は有用であるものの、液晶材料中への溶解性が良好でない場合ある。従って、このような化合物は使用するモノマー全体において、90質量%以下含有することが好ましく、70質量%以下含有することが更に好ましく、50質量%以下含有することが特に好ましい。
【0156】
また、式(P1)の中でも、下記式(P3−1)〜(P3−11)で表される化合物を使用することは、チルト角の経時変化の抑制と液晶材料中への溶解性確保の両立を図れることから好ましい。
【0157】
【化8】
【0158】
(式中、RP31、RP32はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP31は0または1の整数を表し、mP31が0の場合、mP32は1〜6の整数を表し、mp31が1の場合、mP32は2〜6の整数を表す)
【0159】
式(P1)の中でも、下記式(P4−1)〜(P4−11)で表される化合物を使用することは、オフ応答を効果的に改善するのに有用であることから好ましい。
【0160】
【化9】
【0161】
(式中、RP41、RP42はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP42及びmP43はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP42が0の場合、mP41は1〜6の整数を表し、mp42が1の場合、mP41は2〜6の整数を表し、mP43が0の場合、mP44は1〜6の整数を表し、mP43が1の場合、mp44は2〜6の整数を表す)
このような化合物は使用するモノマー全体において、40質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することが更に好ましく、60質量%以上含有することが特に好ましい。
【0162】
式(P1)の中でも、メソゲン中にアリールエステル構造を有する、式(P5−1)〜(P5−11)で表される化合物は紫外線照射によって重合開始できる能力を有するため、重合開始剤の添加量を低減できるので好ましい。
【0163】
【化10】
【0164】
(式中、RP51、RP52はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP52及びmP53はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP52が0の場合、mP51は1〜6の整数を表し、mp52が1の場合、mP51は2〜6の整数を表し、mP53が0の場合、mP54は1〜6の整数を表し、mP53が1の場合、mp54は2〜6の整数を表す)
このような化合物の添加量が多いと液晶表示素子の電圧保持率が悪化する傾向があるので、使用するモノマー全体においで30質量%以下含有することが好ましく、20質量%以下含有することが更に好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0165】
また、式(P1)の中でも式(P6−1)〜(P6−11)で表される化合物のようなメソゲン中に桂皮酸エステル基を導入することも好ましい。
【0166】
【化11】
【0167】
【化12】
【0168】
【化13】
【0169】
(式中、RP61、RP62はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP62及びmP63はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP62が0の場合、mP61は1〜6の整数を表し、mp62が1の場合、mP61は2〜6の整数を表し、mP63が0の場合、mP64は1〜6の整数を表し、mP63が1の場合、mp64は2〜6の整数を表す)
【0170】
また、式(P1)の中でも下記式(P7−1)〜(P7−5)で表されるような縮合環を有する化合物は、紫外線吸収域を単環化合物より可視光側にシフトさせることができるので、モノマーの感度調節の観点から好ましい。
【0171】
【化14】
【0172】
(式中、RP71、RP72はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP72及びmP73はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP72が0の場合、mP71は1〜6の整数を表し、mp72が1の場合、mP71は2〜6の整数を表し、mP73が0の場合、mP74は1〜6の整数を表し、mP73が1の場合、mp74は2〜6の整数を表す。)
上記では好ましい化合物として2官能モノマーを例示したが、式(P1)の中でも式(P5−1)〜(P5−11)で表される化合物のような3官能モノマーの使用も好ましい。重合体もしくは共重合体の機械的強度を向上させることができる。また、メソゲン中にエステル結合を有しているものは、紫外線照射によって重合開始できる能力を有するため、重合開始剤の添加量を低減できるのでより好ましい。
【0173】
【化15】
【0174】
【化16】
【0175】
(式中、RP81、およびRP83はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP72及びmP73はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP72が0の場合、mP71は1〜6の整数を表し、mp72が1の場合、mP71は2〜6の整数を表し、mP73が0の場合、mP74は1〜6の整数を表し、mP73が1の場合、mp74は2〜6の整数を表す。)
【0176】
また、式(P1)の中でも液晶表示素子の駆動電圧を調整する目的から下記式(P9−1)〜(P9−11)で表される化合物のような単官能モノマーの使用も好ましい。
【0177】
【化17】
【0178】
(式中、RP91は水素原子又はメチル基を表し、およびRP92は水素原子、または炭素原子数1〜18のアルキル基を表す)
【0179】
また、式(P1)の中でもモノマーとして光異性化する機能を付与することは、ワイゲルト効果を用いた光による光配列機能が利用できるので好ましい。このような観点からは(P10−1)〜(P10−11)で表される化合物が好ましい。
【0180】
【化18】
【0181】
(式中、RP101、RP102はそれぞれ独立的に水素原子もしくはメチル基を表し、mP102及びmP103はそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、mP102が0の場合、mP101は1〜6の整数を表し、mp102が1の場合、mP101は2〜6の整数を表し、mP103が0の場合、mP104は1〜6の整数を表し、mP103が1の場合、mp104は2〜6の整数を表す)
【0182】
以上詳述した重合性単量体成分(A)は、上記した各種具体例で表される化合物を、下記一般式(V)
【0183】
【化19】
【0184】
(式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは1〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Uは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状の多価脂肪族炭化水素基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価脂肪族炭化水素基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、kは1〜5の整数を表す。式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が−CH、−OCH、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。)
または、下記一般式(VI)
【0185】
【化20】
【0186】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表し、Spは、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Vは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン構造中の酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換された構造部位、これらの化学構造は、該構造を構成する炭素原子上の水素原子が、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよい。Wは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。なお、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が−CH、−OCH、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。)
で表すこともできる。
【0187】
ここで、前記一般式(V)におけるSp及びSpが同一となるものであることが、これらが例えば炭素原子数1〜12の直鎖もしくは分岐状アルキレン基である場合に、該化合物の合成が容易であり、また、アルキレン鎖長の異なる複数種の化合物の使用割合を調整することによって物性調整が容易となる点から好ましい。
【0188】
前記した通り、以上詳述した重合性単量体成分(A)は、重合性液晶組成物中、0.5質量%〜20質量%の範囲、特に1質量%〜10質量%の範囲となる割合で用いることが好ましいが、当該範囲内の何れの濃度に於いてもTgの異なる重合性単量体成分(A)を少なくとも二種類以上含有させて必要に応じてTgを調整することが好ましい。Tgが高いポリマーの前駆体である重合性単量体成分(A)は、架橋密度が高くなる分子構造を有する重合性単量体成分(A)であって、官能基数が2以上であることが好ましい。又、Tgが低いポリマーの前駆体は、官能基数が1であるか、又は2以上であって、官能基間にスペーサとしてアルキレン基等を有し分子長を長くした構造であることが好ましい。ポリマーネットワークの熱的安定性や耐衝撃性向上に対応することを目的にポリマーネットワークのTgを調整する場合、多官能モノマーと単官能モノマーの比率を適宜調整することが好ましい。又、Tgはポリマーネットワークの主鎖、及び側鎖に於ける分子レベルの熱的な運動性とも関連しており、電気光学特性にも影響を及ぼしている。例えば、架橋密度を高くすると主鎖の分子運動性が下がり低分子液晶とのアンカーリング力が高まり駆動電圧が高くなると共に立下り時間が短くなる。一方、Tgが下がるように架橋密度を下げるとポリマー主鎖の熱運動性が上がることにより、低分子液晶とのアンカーリング力が下がり駆動電圧が下がり立下り時間が長くなる傾向を示す。ポリマーネットワーク界面に於けるアンカーリング力は、上述のTgの他にポリマー側鎖の分子運動性にも影響され、1価もしくは2価であり、かつ炭素原子数が8〜18のアルコール化合物のアクリレートもしくはメタクリレートを重合性単量体成分(A)として用いることでポリマー界面のアンカーリング力が下げられる。又、このような重合性単量体成分(A)は、基板界面でプレチルト角を誘起させるのに有効で極角方向のアンカーリング力を下げる方向に作用する。
【0189】
次に、前記液晶層又は前記重合性液晶組成物を構成する液晶組成物(B)は、前記した通り、下記一般式(i):
【0190】
【化21】
【0191】
(式中、Ri1及びRi2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Ai1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、ni1は0又は1を表す。)で表される化合物を10〜50重量%含有するものである。
【0192】
上記一般式(i)で表される化合物は下記一般式(i−1)〜(i−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0193】
一般式(i−1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0194】
【化22】
【0195】
(式中、Ri11及びRi12はそれぞれ独立して、一般式(i)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
i11及びRi12は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0196】
一般式(i−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0197】
好ましい含有量の下限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、95質量%であり、90質量%であり、85質量%であり、80質量%であり、75質量%であり、70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
【0198】
上記好ましい範囲内であると青色LEDなどの光による劣化が起こりにくい。
【0199】
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0200】
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0201】
【化23】
【0202】
(式中Ri12は一般式(i−1)における意味と同じ意味を表す。)
一般式(i−1−1)で表される化合物は、式(i−1−1.1)から式(i−1−1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−1.2)又は式(i−1−1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(i−1−1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0203】
【化24】
【0204】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−1.3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0205】
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが、バックライトとして紫外線領域にある波長200〜400nmの光が照射された場合であっても優れた耐久性を持ち、電圧保持率を発現できる点から好ましい。
【0206】
【化25】
【0207】
(式中Ri12は一般式(i−1)における意味と同じ意味を表す。)
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。これらの中でも青色の可視光に対する液晶層の劣化防止の観点から、含有量の上限値は、15質量%、特に10質量%であることが好ましい。
【0208】
さらに、一般式(i−1−2)で表される化合物は、式(i−1−2.1)から式(i−1−2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−2.2)から式(i−1−2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(i−1−2.2)で表される化合物は本発明で用いる液晶組成物(B)の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTNIを求めるときは、式(i−1−2.3)又は式(i−1−2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(i−1−2.3)及び式(i−1−2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30質量%以上にすることは好ましくない。
【0209】
【化26】
【0210】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、38質量%であり、40質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
【0211】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−1.3)で表される化合物及び式(i−1−2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
【0212】
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0213】
【化27】
【0214】
(式中Ri13及びRi14はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
i13及びRi14は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0215】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、30質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
さらに、一般式(i−1−3)で表される化合物は、式(i−1−3.1)から式(i−1−3.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)又は式(i−1−3.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(i−1−3.1)で表される化合物は本発明で用いる液晶組成物(B)の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTNIを求めるときは、式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(i−1−3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)、式(i−1−3.11)及び式(i−1−3.12)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20質量%以上にすることは好ましくない。
【0216】
【化28】
【0217】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−3.1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
【0218】
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−4)及び/又は(i−1−5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0219】
【化29】
【0220】
(式中Ri15及びRi16はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
i15及びRi16は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
【0221】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0222】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0223】
さらに、一般式(i−1−4)及び(i−1−5)で表される化合物は、式(i−1−4.1)から式(i−1−5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(i−1−4.2)又は式(i−1−5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0224】
【化30】
【0225】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
【0226】
式(i−1−1.3)、式(i−1−2.2)、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)、式(i−1−3.11)及び式(i−1−3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、式(i−1−1.3)、式(i−1−2.2)、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)、式(i−1−3.4)及び式(i−1−4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、これら化合物の合計の含有量の好ましい含有量の下限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、80質量%であり、70質量%であり、60質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%である。組成物の信頼性を重視する場合には、式(i−1−3.1)、式(i−1−3.3)及び式(i−1−3.4))で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、組成物の応答速度を重視する場合には、式(i−1−1.3)、式(i−1−2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
一般式(i−1)で表される化合物は一般式(i−1−6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0227】
【化31】
【0228】
(式中Ri17及びRi18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−1−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%である。
【0229】
さらに、一般式(i−1−6)で表される化合物は、式(i−1−6.1)から式(i−1−6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0230】
【化32】
【0231】
一般式(i−2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0232】
【化33】
【0233】
(式中、Ri21及びRi22はそれぞれ独立して、一般式(i)におけるRi1及びRi2と同じ意味を表す。)
i21は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL22は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0234】
一般式(i−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0235】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0236】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(i−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0237】
さらに、一般式(i−2)で表される化合物は、式(i−2.1)から式(i−2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−2.1)、式(i−2.3)、式(i−2.4)及び式(i−2.6)で表される化合物であることが好ましい。
【0238】
【化34】
【0239】
本発明で用いる液晶組成物(B)は、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上さらに含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当する。
【0240】
【化35】
【0241】
[前記一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(N−4)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31、RN32、RN41及びRN42はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基、又は炭素原子数2〜8のアルキル鎖中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−が、それぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換された化学構造を持つ構造部位、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31、AN32、AN41及びAN42はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)は、その構造中の水素原子が、それぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31、ZN32、ZN41及びZN42は、それぞれ独立して、単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、TN31は−CH−又は酸素原子を表し、XN41は、酸素原子、窒素原子、又は−CH−を表し、YN41は、単結合、又は−CH−を表し、nN11、nN12、nN21、nN22、nN31、nN32、nN41、及びnN42は、それぞれ独立して0〜3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11〜AN32、ZN11〜ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nN41+nN42は0〜3の整数を表すが、AN41及びAN42、ZN41及びZN42が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。]
一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(N−4)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が2よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0242】
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0243】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0244】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0245】
【化36】
【0246】
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0247】
【化37】
【0248】
トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0249】
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して−CHO−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−CHO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−CHO−又は単結合が特に好ましい。
【0250】
N21はフッ素原子が好ましい。
【0251】
N31は酸素原子が好ましい。
【0252】
N11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0253】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(N−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
【0254】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(N−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
【0255】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(N−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
【0256】
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0257】
本発明に係る液晶組成物(B)は、一般式(N−1)〜(N−4)で表される化合物のうち、特に一般式(N−1)で表される化合物が、液晶表示素子における電圧保持率に優れ、かつ、低い回転粘度を有する点から好ましい。
【0258】
一般式(N−1)で表される化合物として、下記の一般式(N−1a)〜(N−1h)で表される化合物群を挙げることができる。
【0259】
【化38】
【0260】
(式中、RN11及びRN12は一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf11は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、ANg11はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4−シクロヘキセニレン基を表し、ZNe 11は単結合又はエチレンを表すが少なくとも1つはエチレンを表す。)
本発明で用いる液晶組成物(B)は、一般式(J)で表される化合物を1種類又は2種類以上さらに含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
【0261】
【化39】
【0262】
(式中、RJ1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
J1は、0、1、2、3又は4を表し、
J1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
J1及びZJ2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
J1が2、3又は4であってAJ2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nJ1が2、3又は4であってZJ1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
J1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(J)中、RJ1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0263】
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0264】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0265】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0266】
【化40】
【0267】
J1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、それらはフッ素原子により置換されていてもよく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0268】
【化41】
【0269】
下記の構造を表すことがより好ましい。
【0270】
【化42】
【0271】
J1及びZJ2はそれぞれ独立して−CHO−、−OCH−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−OCH−、−CFO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−OCH−、−CFO−又は単結合が特に好ましい。
【0272】
J1はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が好ましい。
【0273】
J1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、TNIを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0274】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0275】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(J)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0276】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての一般式(J)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0277】
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0278】
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0279】
一般式(J)で表される化合物としては一般式(M)で表される化合物及び一般式(K)で表される化合物が好ましい。
【0280】
【化43】
【0281】
(式中、RM1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
M1は、0、1、2、3又は4を表し、
M1及びAM2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
M1及びZM2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
M1が2、3又は4であってAM2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nM1が2、3又は4であってZM1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
M1及びXM3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
M2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
【0282】
【化44】
【0283】
(式中、RK1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
K1は、0、1、2、3又は4を表し、
K1及びAK2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
K1及びZK2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
K1が2、3又は4であってAK2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nK1が2、3又は4であってZK1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
K1及びXK3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
K2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
【0284】
一般式(M)中、RM1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0285】
信頼性を重視する場合にはRM1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0286】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0287】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0288】
【化45】
【0289】
M1及びAM2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0290】
【化46】
【0291】
下記の構造を表すことがより好ましい。
【0292】
【化47】
【0293】
M1及びZM2はそれぞれ独立して−CHO−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−CFO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−CFO−又は単結合が特に好ましい。
【0294】
M1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、TNIを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0295】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0296】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(M)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0297】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(M)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0298】
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0299】
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上さらに含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。
【0300】
【化48】
【0301】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
L1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)、(J)及び(i)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0302】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0303】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0304】
本発明で用いる液晶組成物(B)の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明で用いる液晶組成物(B)のTNIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0305】
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0306】
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
【0307】
L1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0308】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0309】
【化49】
【0310】
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0311】
L1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0312】
【化50】
【0313】
トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0314】
L1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0315】
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
【0316】
一般式(L)で表される化合物は一般式(L−3)〜(L−8)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0317】
一般式(L−3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0318】
【化51】
【0319】
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0320】
一般式(L−3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0321】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0322】
高い複屈折率を得る場合は含有量を多めに設定すると効果が高く、反対に、高いTNIを重視する場合は含有量を少なめに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0323】
一般式(L−4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0324】
【化52】
【0325】
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L41は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。)
一般式(L−4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0326】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0327】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0328】
一般式(L−5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0329】
【化53】
【0330】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L51は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0331】
一般式(L−5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0332】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0333】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である
【0334】
一般式(L−6)で表される化合物は下記の化合物である。
【0335】
【化54】
【0336】
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
L61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子他方が水素原子であることが好ましい。
【0337】
一般式(L−6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0338】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0339】
一般式(L−7)で表される化合物は下記の化合物である。
【0340】
【化55】
【0341】
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又はCOO−が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
【0342】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0343】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0344】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0345】
本発明で用いる液晶組成物(B)が高いTNIの実施形態が望まれる場合は式(L−7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0346】
一般式(L−8)で表される化合物は下記の化合物である。
【0347】
【化56】
【0348】
(式中、RL81及びRL82はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL81は一般式(L)におけるAL1と同じ意味又は単結合を表すが、AL81上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、XL81〜XL86はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL81及びRL82はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、AL81は1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、一般式(L−8)中の同一の環構造上にフッ素原子は0個又は1個が好ましく、分子内にフッ素原子は0個又は1個であることが好ましい。
【0349】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0350】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、一般式(L−8)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0351】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−8)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての式(L−8)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0352】
本発明で用いる液晶組成物(B)が高いTNIの実施形態が望まれる場合は式(L−8)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0353】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての一般式(i)、一般式(L)、(N−1)、(N−2)、(N−3)及び(J)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80質量%であり、85質量%であり、88質量%であり、90質量%であり、92質量%であり、93質量%であり、94質量%であり、95質量%であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%であり、99質量%であり、100質量%である。好ましい含有量の上限値は、100質量%であり、99質量%であり、98質量%であり、95質量%である。ただし、Δεの絶対値が大きい組成物を得る観点からは、一般式(N−1)、(N−2)、(N−3)又は(J)で表される化合物のいずれか一方は0質量%であることが好ましい。
【0354】
本発明で用いる液晶組成物(B)の総量に対しての一般式(i)、一般式(L−1)から(L−7)、一般式(M−1)から(M−8)、一般式(N−1)〜(N−4)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80質量%であり、85質量%であり、88質量%であり、90質量%であり、92質量%であり、93質量%であり、94質量%であり、95質量%であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%であり、99質量%であり、100質量%である。好ましい含有量の上限値は、100質量%であり、99質量%であり、98質量%であり、95質量%である。
【0355】
本発明で用いる液晶組成物(B)は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
【0356】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0357】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0358】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましく、95質量%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
【0359】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0360】
本発明で用いる液晶組成物(B)において、粘度の改善及びTNIの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0361】
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
【0362】
本発明の第一実施形態の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2〜5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4〜5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0363】
本発明で用いる重合性液晶組成物は、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。
【0364】
ここで、重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましく、光フリース転位によるラジカル重合、光重合開始剤によるラジカル重合がより好ましい。
【0365】
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
【0366】
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4′−フェノキシアセトフェノン、4′−エトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,5−ジメチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
【0367】
又、ラジカルの寿命や反応性を考慮して複数の重合開始剤を用いることも好ましい。
【0368】
以上詳述した重合性液晶性組成物から液晶層を形成させる際、例えば、VAモード等の垂直配向セルを適用する場合、モノマーとして、前期した重合性単量体成分(a)と共に垂直配向を誘起するメソゲン基を有さず、1価もしくは2価であり、かつ炭素原子数が8〜18のアルコール化合物のアクリレートもしくはメタクリレートをモノマーとして用いても良く、メソゲン基を有するモノマーとの併用でも好ましい。
【0369】
液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物を用いて相分離重合により垂直配向セル内にポリマーネットワーク(A)が形成された場合は、繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)が液晶セル基板に対して液晶組成物(B)の垂直方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。又、セル基板表面にある垂直配向膜に液晶が傾斜配向を誘起するようにラビング処理等を施してプレチルト角を誘起するようにした垂直配向膜が用いられた場合は、プレチルトして配向している液晶組成物(B)と同方向に繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)が傾斜して形成されていることが好ましい。ポリマーネットワーク(A)の傾斜は、基板界面で自発的に起こるようにモノマーを選定しても良い。又、電圧を印加して液晶を傾斜配向状態にして紫外線等を照射させてポリマーネットワーク(A)を形成させても良い。
【0370】
更に、電圧を印加しながらプレチルト角を誘起する方法としては、液晶表示素子製造用の液晶の閾値電圧よりも0.9V程度低い電圧から2V程度高い電圧の範囲で電圧を印加しながら重合させても良いし、閾値電圧以上の電圧をポリマーネットワーク(A)形成過程中に数秒〜数十秒の短時間印加した後、閾値電圧未満にしてポリマーネットワークを形成させても良い。
【0371】
繊維状又は柱状のポリマーネットワークは、透明基板平面に対して90度〜80度のプレチルト角を誘起するように傾斜して形成されていることが好ましく、斯かるプレチルト角は、90度〜85度の範囲、89.9度〜85度の範囲、89.9度〜87度の範囲、89.9度〜88度の範囲であることが特に好ましい。何れの方法で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、二枚のセル基板間を連結していることが特徴である。これにより、プレチルト角の熱的安定性が向上して液晶表示素子の信頼性を高めることができる。
【0372】
他に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)を傾斜配向させて形成することにより液晶組成物(B)のプレチルト角を誘起させる方法として、重合性官能基とメソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が6以上のプレチルト角の誘起角度が小さい二官能アクリレートと官能基と、メソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が5以上のプレチルト角の誘起角度が大きい二官能アクリレートを組合せ用いる方法が挙げられる。これらの化合物の配合比を調整することにより所望のプレチルト角を界面近傍で誘起させることができる。
【0373】
更に、可逆性の光配向機能を有するモノマーを少なくとも0.01質量%以上1質量%以下の範囲で添加して繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)を形成させる方法が挙げられる。この場合、トランス体に於いて低分子液晶と同様の棒状の形態になり低分子液晶の配向状態へ影響を及ぼす。液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物に含有されている該トランス体は、紫外線をセル上面から平行光として照射すると紫外線の進む方向と該棒状の分子長軸方向が平行になるように揃い、低分子液晶も同時に該トランス体の分子長軸方向へ揃うように配向する。セルに対して傾斜して紫外線を照射すると、該トランス体の分子長軸が傾斜方向に向き液晶を紫外線の傾斜方向へ配向させるようになる。即ち、プレチルト角を誘起するようになり光配向機能を示す。この段階でモノマーを架橋させると誘起したプレチルト角が重合相分離で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークにより固定化される。従って、VAモードで重要なプレチルト角の誘起は、電圧印加しながら重合相分離させる方法、誘起するプレチルト角が異なるモノマーを複数添加して重合相分離させる方法、可逆性の光配向機能を有するモノマーが示す光配向機能を用いて紫外線が進む方向へ液晶組成物(B)及びモノマーを配向させ重合相分離する方法、が挙げられ、必要に応じてこれらの中から選択して本発明の液晶素子を作製することができる。
【0374】
ここで、光配向機能を有するモノマーは、紫外線を吸収してトランス体になる光異性化合物であっても良く、紫外線を吸収してシス体になる光異性化化合物であっても良い。更に、光配向機能を有するモノマーの反応速度が光配向機能を有するモノマー以外のモノマーの反応速度より遅いことが好ましい。紫外線照射されると、直ちに光配向機能を有するモノマーはトランス体になり光の進む方向に配向すると、周囲のモノマーや非重合液晶組成物も同様の方向へ配向する。この時、重合相分離が進行して液晶組成物(B)とポリマーネットワークの配向容易軸方向が光配向機能を有するモノマーの配向容易軸と同一方向へ揃い紫外線光が進む方向へプレチルト角が誘起される。
【0375】
更に、IPSやFFSモード等の平行配向セルを適用する場合には、液晶表示素子製造用の液晶組成物を用いて相分離重合により繊維状、又は柱状のポリマーネットワーク(A)が液晶セル基板面に有る配向膜の配向方向に対して液晶組成物(B)は平行配向するが、形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークの屈折率異方性又は配向容易軸方向と液晶組成物(B)の配向方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。更に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、液晶組成物(B)が分散している空隙を除いて略セル全体に存在していることがより好ましい。ポリマー界面方向に対して該プレチルト角を誘起させることを目的に、1価もしくは2価であり、かつ炭素原子数が8〜18のアルコール化合物のアクリレートもしくはメタクリレートをモノマーとして、メソゲン基を有するモノマーと用いることが好ましい。
【0376】
更に、電気光学特性は、ポリマーネットワーク界面の表面積、及びポリマーネットワークの空隙間隔に影響されるが、光散乱を起こさないことが重要で、平均空隙間隔を可視光の波長より小さくすることが好ましい。例えば、該界面の表面積を広げて該空隙間隔を小さくさせるにはモノマー組成物含有量を増加させる方法がある。これにより、重合相分離構造が変化して該空隙間隔が微細になることにより該界面の表面積が増加するようにポリマーネットワークが形成され駆動電圧、及び立ち下がり時間が短くなる。重合相分離構造は、重合温度にも影響される。
【0377】
本発明に於いては、相分離速度を速くして重合させることで微細な空隙を有する相分離構造が得られるようにすることが好ましい。相分離速度は、低分子液晶とモノマーとの相溶性や重合速度に大きく影響される。化合物の分子構造や含有量に大きく依存するので適宜組成を調整して使用することが好ましい。該相溶性が高い場合は、該重合速度の高いモノマーを用いることが好ましく、紫外線重合の場合は、紫外線強度を高めることが好ましい。又、素子製造用の液晶組成物中のモノマーの含有量を増やすことも好ましい。相溶性が低い場合は、相分離速度は十分に速くなるので本発明の液晶素子を作製するのに好ましい。相溶性を低くする方法として、低温で重合させる方法が挙げられる。低温にすると液晶の配向秩序度が上がり、液晶組成物(B)とモノマーの相溶性が下がるため、重合相分離速度を速くすることができる。更に別の方法として、液晶表示素子製造用の液晶組成物を、過冷却状態を示す温度にして重合させる方法も挙げられる。この場合、液晶表示素子製造用の液晶組成物の融点よりも僅かに低くすれば良いので、数度温度を低くするだけで相分離を速くさせることも可能になり好ましい。これらにより、モノマー含有量数十質量%を液晶へ添加した場合に相当する重合相分離構造、即ち、立ち下がり時間が短くなるように作用する構造であるポリマーネットワーク界面の表面積が多く該空隙間隔が微細なポリマーネットワーク構造が形成される。従って、液晶表示素子製造用の液晶組成物は、立ち下がり時間が短くなるように配向機能、架橋密度、アンカーリング力、空隙間隔、を考慮して組成を適宜調整することが好ましい。
【0378】
液晶表示素子において、高いコントラストの表示を得るには光散乱が起こらないようにする必要があるが、上述した方法を考慮して目的の電圧−透過率特性、及びスイッチング特性を得られるように相分離構造を制御して適切なポリマーネットワーク層構造を形成させることが重要である。
【0379】
斯かるポリマーネットワーク層構造を有する液晶層を更に具体的に詳述すれば、該液晶層は、液晶相中に液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造であって、ポリマーネットワーク(A)の配向容易軸や一軸の光学軸が低分子液晶の配向容易軸と略同一方向であることが好ましく、低分子液晶のプレチルト角を誘起するようにポリマーネットワークを形成させることが好ましく、ポリマーネットワークの平均空隙間隔を可視光の波長より小さい大きさで少なくとも450nmより小さくすることにより光散乱は起こらなくなるので好ましい。更に、応答の立下り時間をポリマーネットワーク(A)と低分子液晶との相互作用効果(アンカーリング力)により低分子液晶単体の応答時間より短くするには、50nm〜450nmの範囲にする事が好ましい。立下り時間が液晶のセル厚の影響が少なくなりセル厚が厚くても薄厚並の立下り時間を示すようにするには、少なくとも平均空隙間隔が下限は200nm付近で且つ上限は450nm付近の範囲に入るようにすることが好ましい。平均空隙間隔を減少させると駆動電圧の増加が課題になるが、駆動電圧の増加を25V以下に抑制して立ち下がり応答時間を短くするには250nm近傍から450nmの範囲に入るようにすれば良く、立下り応答時間が約5msecから約1msecの範囲に改善ができるので好ましい。又、駆動電圧が5V程度以内の増加に抑制するには、平均空隙間隔が300nm付近から450nmの範囲にすることが好ましい。更に、ポリマーネットワーク(A)の平均空隙間隔を制御して立下り応答時間を1msec以下の高速応答にすることも可能である。
【0380】
このような高速応答にする場合、駆動電圧を30V以上に増加する場合があるが、平均空隙間隔を50nm付近から250nm付近の間にすれば良く、0.5msec以下にするには50nm近傍から200nm付近にすることが好ましい。ポリマーネットワークの平均直径は、平均空隙間隔と相反し、20nmから700nmの範囲にあることが好ましい。モノマーの含有量が増えると平均直径は増加する傾向にある。反応性を高くして重合相分離速度を高めるとポリマーネットワークの密度が増加してポリマーネットワークの平均直径が減少するので必要に応じて相分離条件を調整すれば良い。モノマー含有量が10質量%以下の場合は、平均直径が20nmから160nmにあることが好ましく、平均空隙間隔が200nmから450nm範囲に於いては、平均直径が40nmから160nmの範囲であることが好ましい。モノマー含有量が10質量%より大きくなると50nmから700nmの範囲が好ましく、50nmから400nmの範囲がより好ましい。
【0381】
液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造に対して、モノマー含有量が低くなりセル全体にポリマーネットワーク層が被うのに必要な量が不足するとポリマーネットワーク層が不連続に形成される。ポリイミド配向膜等の基板表面の極性が高いとモノマーが液晶セル基板界面付近に集まり易く、基板表面からポリマーネットワークが成長して基板界面に付着するようにポリマーネットワーク層が形成され、セル基板表面からポリマーネットワーク層、液晶層、ポリマーネットワーク層、対向基板の順で積層されるように形成される。ポリマーネットワーク層/液晶層/ポリマーネットワーク層の積層構造を示し、且つセル断面方向に対して少なくともセル厚の0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されているとポリマーネットワークと低分子液晶とのアンカーリング力の作用により立下り時間が短くなる効果が発現して好ましい傾向を示す。但し、セル厚の影響が大きくなるのでセル厚を増すと立ち下がり時間が長くなる場合は、ポリマーネットワーク層の厚さを必要に応じて増加させれば良い。ポリマーネットワーク層に於けるポリマーネットワークの構造は、低分子液晶と配向容易軸や一軸の光学軸が略同一の方向へ揃っていれば良く、低分子液晶がプレチルト角を誘起するように形成されていれば良い。平均空隙間隔は90nmから450nmの範囲が好ましい。
【0382】
例えば、モノマー含有量が6質量%未満にする場合は、アンカーリング力の高いメソゲン基を有する二官能モノマーを用いることが好ましく、官能基間の距離が短い構造で重合速度が速い二官能モノマーを用いることが好ましく、0℃以下の低温で重合相分離構造を形成させることが好ましい。モノマー含有量を6質量%から10質量%未満にする場合は、該二官能モノマーとアンカーリング力が低い単官能モノマーとの組み合わせが好ましく、必要に応じて25℃から−20℃の範囲で重合相分離構造を形成させることが好ましい。更に、該融点が室温以上であれば該融点より5℃程度低くすると低温重合と同様な効果が得られるので好ましい。液晶表示素子製造用の液晶組成物中のモノマー濃度が高いほど、液晶組成物(B)とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなり、τdは高速化する。一方、液晶組成物(B)とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなると、τrは低速化する。τdとτrの和を1.5ms未満とするためには、液晶表示素子製造用の液晶組成物中のモノマーの濃度は、1質量%以上10質量%未満であり、1.5質量%以上8質量%以下が好ましく、1.8質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0383】
TFT駆動液晶表示素子に用いる場合は、フリッカーの抑制、焼付けによる残像等の信頼性を向上させる必要があり電圧保持率が重要な特性になる。電圧保持率を低下させる原因は、液晶表示素子製造用の液晶組成物内に含有しているイオン性不純物、特に、可動イオンがにある為、少なくとも比抵抗を1014Ω・cm以上が得られるように精製処理等を施し可動イオンを取り除くことが好ましい。又、ラジカル重合でポリマーネットワークを形成させると光重合開始剤等から発生するイオン性不純物により電圧保持率が低下する場合があるが、有機酸や低分子の副生成物発生量が少ない重合開始剤を選定することが好ましい。
【0384】
更に、本発明の液晶表示素子が、配向膜を有する場合、該配向膜の配向容易軸方向とポリマーネットワーク(A)の配向容易軸方向が同一であることが好ましい。この場合、偏光板、位相差フィルムなどを具備させることにより、この配向状態を利用して表示させることができる。
【0385】
液晶層5中のポリマーネットワークの含有量は、前記した通り、該液晶組成物(B)及びポリマーネットワークの合計の質量の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましいが、下限値としては0.7質量%以上が好ましく、0.9質量%以上、特に1質量%が好ましく、他方、上限値としては10質量%以下、9質量%以下が好ましく、7質量%以下であることがオフ応答速度と駆動電圧とのバランスに優れる点から好ましい。
【0386】
PSA型液晶表示素子では、ラビング配向処理の代わりに電極に3〜5μm幅の複数のスリットを設けスリット方向へ液晶を傾斜配向させることにより配向処理が省略される。量産技術では、数十ボルトとの電圧を印加しながら紫外線照射すると、基板界面にプレチルト角(基板法線に対しての傾斜角)が得られるように液晶の配向が高分子安定化され、ポリマーの薄膜が形成される。この高分子薄膜の作用でプレチルト角が誘起されることを利用してPSVA(polymer−stabilized vertical alignment)LCD又はPSALCDの製造に用いられている。又、視野角向上を目的に、マルチドメインが形成できるように設計されたパターン電極を用い一つの画素内のプレチルト角方向を複数に分割している。
【0387】
しかしながら、セル全体にポリマーネットワーク等を形成させて応答の緩和時間を改善させることが可能な液晶表示素子にこの方法を適用させると、飽和電圧以上の数十ボルトの電圧を印加して紫外線照射するのでポリマーネットワークが液晶を水平配向状態で高分子安定してしまう。よって、該方法では、ポリマーネットワークの屈折異方性又は配向容易軸が液晶分子を水平配向状態に保持するように形成されるため、垂直配向を得ることができなくなる。
【0388】
他方、閾値電圧近傍の低い電圧を印加してポリマーネットワークの屈折異方性又は配向容易軸を形成させると液晶の傾斜配向方位が定まらないことが理由で透過率が低下する。
【0389】
そこで、本発明では、重合性液晶組成物を閾値電圧以上の高い電圧を印加し、ポリマーネットワークを一部形成させ、次いで、紫外線照射中に電圧を閾値電圧未満にし、更に、この状態で紫外線照射を継続させることが好ましい。即ち、先ず、閾値電圧以上の高い電圧を印加し、モノマーの一部を重合させて液晶の傾斜配向方位が安定化するようにポリマーネットワークを一部形成させ、次いで、紫外線照射中に電圧を閾値電圧未満にすることにより液晶は略垂直配向に戻り、更に、この状態で紫外線照射を継続させると、略垂直配向になるようにポリマーネットワークの屈折異方性又は配向容易軸が形成され傾斜配向方位が軌跡としてポリマーネットワークに残すことが可能になり電圧印加時の配向制御と電圧無印加時の垂直配向とを両立させることができる。
【0390】
よって、本発明の液晶表示素子を製造する方法は、少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に挟持した液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物に、該素子製造用の液晶の閾値電圧以上の電圧を印加しながら紫外線を照射して重合相分離させる工程、及びその後紫外線を照射したまま電圧を閾値電圧未満にして更に紫外線を照射させる工程を含有する方法が好ましい。
【0391】
ここで、パターン電極セル等を含む垂直配向モード液晶表示素子の場合、液晶表示素子製造用の液晶の閾値電圧以上の電圧を印加しながら紫外線を照射して重合相分離させる工程において、素子製造用の液晶中の液晶分子が透明基板平面に対して0度から30度の範囲で傾斜して配向しており、次いで、紫外線を照射したまま前記電圧を閾値電圧未満にして更に紫外線を照射させる工程において、前記液晶分子が透明基板平面に対して80度から90度に傾斜して配向しているのが好ましい。
【0392】
液晶分子が透明基板平面に対して0度から30度の範囲で傾斜して配向している状態は、液晶の複屈折率が電圧印加で増加した状態を示し液晶の配向状態が透明基板平面に対して0度になると複屈折率が最大になり好ましいが、基板平面に対して30度傾斜した配向であっても好ましい。特に、PVAセルでは傾斜方位が一定にすることが出来るので好ましい。何れも、電圧印加による液晶の傾斜配向方位が一定方向になるように配向が安定化させるポリマーネットワークを形成させることが好ましい。
【0393】
液晶分子が透明基板平面に対して80度から90度に傾斜して配向している状態は、電圧無印加時において透明基板平面に対して90度に液晶が配向すると複屈折率が最小になり液晶表示素子の高コントラスト化に有用で好ましいが、電圧を印加した際に一定方向へ傾斜配向させるためには基板平面に対して89.9度から85度以内に傾斜していることがより好ましい。基板平面に対して80度を超えると複屈折率が増加して透過光量が増加するため表示のコントラストが低下して好ましくなく、基板平面に対して85度以上で表示黒レベルが良好になり高コントラストが得られるので好ましい。
【0394】
また、IPS(In−plane switching)表示モード、FFSモードの液晶表示素子においては、液晶表示素子製造用の液晶組成物の閾値電圧以上の電圧を印加しながら紫外線を照射して重合相分離させる工程において、液晶表示素子製造用の液晶組成物中の液晶分子が透明基板平面に対して0度から90度の範囲で傾斜して配向しており、紫外線を照射したまま前記電圧を閾値電圧未満にして更に紫外線を照射させる工程において、前記液晶分子が透明基板平面に対して0度から30度に傾斜して配向しているのも好ましい。
【0395】
液晶分子が透明基板平面に対して0度から90度の範囲で傾斜して配向は、電圧を印加した液晶の配向状態を安定化させるようにポリマーネットワークを形成させる。IPSモードの場合は、素子に用いられる配向膜の性質の傾斜角度が大きく依存し、1度から2度程度の範囲になっても良く、プレチルト角が捩れ配向を含む液晶分子の傾斜角度が0.5度から3度が好ましく、0度から2度以内が好ましい。
【0396】
FFSモードの場合は、閾値電圧以上の電圧を印加すると液晶の配向状態は、素子内の電界分布に依存してスプレイ配向、ベンド配向、捩れ配向状態が共存するが主にスプレイ配向と捩れ配向状態を示す。この状態の液晶分子の配向状態の傾斜角は、0度から45度の範囲に入り、配向をポリマーネットワークで安定化させると同様の範囲が安定化されることが好ましい。TNモードでは、45度から90度範囲の傾斜角度になっていることが好ましい。
【0397】
一方、閾値電圧未満の電圧を印加して液晶の配向状態を安定化するようにポリマーネットワークを形成させるが、IPSモード、FFSモード、及びTNモードの場合は、ラビング配向処理により基板界面にプレチルト角が1度〜3度程度あるので、閾値電圧未満の電圧を印加した液晶の配向状態を安定化させるようにポリマーネットワークを形成させることが好ましく、液晶の配向の角度がこの範囲に傾斜しても良いく、光配向膜等の他の配向処理方法を用いてプレチルト角が捩れ配向を含む液晶分子の傾斜角度が0.5度から3度が好ましく、0度から2度以内が広視野角を得るには有用でより好ましい。
【0398】
また、印加する電圧は、交流波形であって、液晶表示素子製造用の液晶組成物(B)が誘電異方性を示す範囲の周波数を有するものであるのが好ましい。波形は、ピーク電圧が一定にした場合に実効電圧が高くできる矩形波が好ましい。周波数の上限は、液晶表示素子に用いられる駆動回路により画素に伝達される信号が減衰しない範囲の周波数であれば良く、少なくとも周波数が2kHz以下であることが好ましい。紫外線照射前の液晶表示素子製造用の液晶組成物が示す誘電率の周波数依存性において誘電異方性が示す周波数で10kHz以下であれば良い。下限値は、素子を駆動した際にフリッカーが起こる場合があり、この場合にフリッカーが最小になる周波数であれば良く、少なくとも20Hz以上が好ましい。
【0399】
本発明の液晶表示素子の製造方法は、上述のように二つの液晶配向状態を保持するようにポリマーネットワークを形成することが好ましいが、それぞれの液晶配向状態を保持するように形成されたポリマーネットワークは、ポリマーネットワークの屈折率異方性又は配向容易軸が閾値電圧以上の液晶配向方向、又は閾値電圧未満の液晶配向方向に一致するように形成される。これにより、電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークと、電圧無印加時の液晶の配向の安定化させるポリマーネットワークが共存させた状態を作ることになり、電圧無印加時の液晶配向状態から電圧印加により配向変形させる際に起こる配向歪を抑制させてコントラストの向上等の表示特性を改善させることが可能になる。一方、電圧無印加時の液晶配向状態を保持するように形成されるポリマーネットワークのみだけでは、電圧印加時の液晶配向状態へ変移する際に、閾値電圧未満の液晶配向を保持するように形成されたポリマーネットワークの影響力が強いので閾値電圧以上の液晶配向状態に変移するとき配向歪を与えて透過率を下げる原因になる。電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークをポリマーネットワークの一部に形成させることによりスイッチングで起きる配向変移の歪を抑制させ、本来必要とする液晶配向の変移が得られるようになり透過率を向上させられる。尚、電圧印加時及び電圧無印加時の各液晶の配向状態を安定化させるように形成されるポリマーネットワークは、二つの異なる液晶の配向に沿うようにポリマーネットワークの屈折率異方性又は、配向容易軸を形成させることが特徴である。
【0400】
更に、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間により、閾値電圧以上の液晶状態を安定化させるために形成されたポリマーネットワークの影響力が変化し、電気光学特性を変化させることが可能になる。例えば、電圧印加時の液晶の配向状態が基板平面に対して0度から30度の傾斜配向を含む平行配向としてポリマーネットワークを形成させた場合、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間を短くすると、平行配向を保持しようとする作用が僅かなため、垂直配向を保持しようとするポリマーネットワークの作用に従い液晶が配向しようとする。更に、二つの異なる配向を保持したポリマーネットワークからの両配向の影響力が均衡して透明基板法線方向に対してプレチルトが1度以内と小さな角度が誘起される。紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間を長くするのにともない、水平配向を保持しようとするポリマーネットワークの影響が強まるので垂直配向を保持する力と平行配向を保持する力の均衡からプレチルト角が増加し、プレチルト角が増加して透明基板法線方向に対して10度以上にすることが可能になる。又、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧の印加時間は、用いられる液晶表示素子製造用の重合性液晶組成物が持つ反応性に大きく依存するので適宜調整して所望のプレチルト角が得られるようにすることが好ましい。特に、基板平面に対し80度から90度の範囲でプレチルト角が得られるようにすることが好ましく、85度から89.9度にすることがより好ましく、87度から89.9度にすることが更に好ましい。
【0401】
閾値電圧以上の電圧を印加して得られる液晶の配向状態を保持しようと形成されたポリマーネットワークは、負の誘電異方性を用いた垂直配向モードの液晶表示素子に於いては、水平配向状態か、又は方位角が一定の傾斜配向が望ましい。閾値電圧未満で得られる配向状態は、略垂直配向であることが好ましく、特に、基板平面に対して80度から90度の略垂直の配向が好ましく、高コントラストが得られるような良好な黒レベルを示す配向状態であることが好ましい。
【0402】
負の誘電異方性、又は正の誘電異方性を用いた横電界によるIPS表示モードに於いては、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧を印加して得られる液晶の配向状態は、捩れ配向であることが好ましい。閾値電圧未満で得られる配向状態は、方位角が一定の平行配向であることが好ましい。FFSモードに於いては、紫外線照射中の閾値電圧以上の電圧を印加して得られる配向状態が少なくともベンド配向、スプレイ配向、傾斜配向の何れか、又は複数混在した配向状態であることが好ましい。閾値電圧未満に於いては略平行配向であることが好ましい。電圧印加時の液晶の配向状態を保持するようにポリマーネットワークを形成させた後、閾値電圧未満の液晶の配向状態を高分子安定化させることにより、ポリマーネットワーク形成完了後に電圧を印加した場合の液晶の配向状態へ容易に配向変形できるようになり、高透過率と高速応答を両立させることができる。
【0403】
紫外線照射時の印加電圧は、ポリマーネットワーク形成後の液晶表示素子の表示が高コントラストになるように適宜調整することが好ましく、紫外線照射前の液晶表示素子製造用の液晶組成物の電気光学効果の特性に大きく依存するので液晶表示素子製造用の液晶が示す電圧−透過率特性に合わせる必要がある。閾値電圧以上の電圧としては、液晶表示素子製造用の液晶の電圧−透過率特性電圧における透過率の全変化量に対して10%以上になる電圧V10以上であることが好ましく、透過率の全変化量が20%以上になる電圧V20以上がより好ましく、透過率の全変化量が50%以上になる電圧V50以上がより好ましい。但し、閾値電圧の6倍以下の電圧であることが好ましい。紫外線照射中に印加する閾値電圧以上の電圧は、交流電圧を印加することが好ましく、矩形波を印加することが好ましい。周波数は、フリッカーが目視で認識できない周波数にすることが好ましく、TFT基板等の電子回路がガラス基板上に形成されている場合は、重合電圧の減衰が起きない周波数であれば良く、30Hzから5kHz程度あることが好ましい。
【0404】
紫外線照射の途中で印加する電圧を閾値電圧以上から閾値電圧未満にするが、閾値電圧未満の電圧としては、液晶の配向が電圧で変化しない範囲であればよく、0V以上で閾値値電圧の90%未満の電圧が好ましく、80%未満の電圧が好ましく、70%以下であることがより好ましい。また、紫外線照射中に印加電圧を閾値電圧以下にするが、この時に液晶表示素子に於けるOFF時の液晶配向状態になるように戻すことが好ましく、例えば、上述したように垂直配向モードに於いては垂直配向に戻せば良く、FFSモードやIPSモードでは平行配向にすれば良い。液晶表示素子OFF時の液晶配向状態になるように戻す為には、電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークの影響力が僅かな状態で閾値電圧未満の電圧へ下げることが好ましい。
【0405】
閾値電圧以上の電圧を印加した後に紫外線を照射するが、紫外線照射中に電圧印加時間が長くなると、紫外線照射中に電圧印加時の液晶の配向を安定化させるポリマーネットワークの影響力が増大して必要とする液晶表示素子OFF時の液晶配向状態へ戻らなくなり好ましくなくなる。そのため、最適な紫外線照射中の電圧を適宜最適化して本発明の液晶液晶表示表示素子を製造することが好ましい。又、紫外線照射中の電圧を閾値電圧未満にする際、素子製造用の液晶組成物の液晶に於ける応答の緩和時間を調整する目的で、電圧を紫外線照射途中で徐々に低くして印加電圧の降下時間を紫外線照射中の液晶に於ける応答緩和時間よりも長くすることにより応答緩和過程で起こるバックフローの影響を最小限にするようにしても良く、印加電圧の降下時間は、10ms以上から1000ms以内であることが好ましい。又、反対に速く下げる場合も良く、少なくとも液晶表示素子製造用の液晶組成物が示す緩和時間より短くすることが好ましく、100ms以下が好ましい。
【0406】
このように閾値電圧以上の電圧が印加された状態で紫外線照射することで水平配向成分のポリマーネットワークを部分的に形成させ、紫外線照射を継続しながら電圧を閾値電圧未満にすることで液晶を垂直配向に戻すことで重合相分離を完了させる。フィッシュボーン型電極液晶セルに於いては、上述の平行配向成分と垂直配向成分の比率でプレチルト角は変化させることが可能でポリマーネットワーク形成初期過程で電圧を切ると傾斜配向方位が定まり、垂直配向を残存モノマーで形成することにより垂直配向と傾斜配向方位の両立が可能になりナノ相分離液晶に於ける配向制御技術となる。
【0407】
尚、平行配向状態とは、電圧が印加されて負の誘電異方性液晶が略平行配向状態になることを意味し、基板面に対して0.1度から30度の範囲が好ましく、0.1度から10度の範囲で傾斜配向していることが好ましい。電圧が無印加の場合の垂直配向は、垂直配向膜の作用で略垂直配向状態になることを意味し、液晶の配向が基板平面に対して80から89.9度に傾斜して配向していることが好ましく、85度から89.9度に傾斜していることがより好ましい。
【0408】
正の誘電異方性液晶の場合は、電圧が印加されると垂直配向が得られるが、液晶配向状態が基板平面に対して45度から89.9度の範囲で液晶が傾斜して配向していることも含まれる。電圧が無印加の場合の平行配向は、平行配向膜の作用で略平行配向状態になることを意味し、液晶の配向が基板平面に対して0.1から30度に傾斜して配向していることが含まれる。
【0409】
本発明の液晶表示素子における基板間の距離(d)は、2〜5μmの範囲が好ましく、3.5μm以下が更に好ましい。一般に、液晶組成物の複屈折率とセル厚の積が0.275近傍になるように複屈折率を調整するが、本発明に用いられる素子製造用の液晶組成物では重合相分離後にポリマーネットワークが形成されるため、ポリマーネットワークのアンカーリング力作用とポリマーネットワークの光学的な性質により電界印加時の液晶表示素子の複屈折率が低くなるので液晶組成物、及び重合組成物、又は液晶表示素子製造用の液晶組成物に含まれる液晶組成物の複屈折率(Δn)と基板間の距離(d)の積は、駆動電圧がポリマーネットワーク形成により5V程度以内の増加では0.3〜0.4μmの範囲が特に好ましく、3V程度以内の増加では0.30〜0.35μmの範囲が更に好ましく、駆動電圧が1V以内の増加では0.29〜0.33μmの範囲が特に好ましい。液晶表示素子の基板間の距離(d)及び液晶組成物の複屈折(Δn)と基板間の距離(d)の積をそれぞれ上記範囲内とすることにより、透過率は、低分子液晶のみに匹敵して高く、高速応答で色再現性が好ましい表示を得ることができる。液晶表示素子製造用の液晶組成物に用いる液晶組成物の複屈折率を、セル厚(d)と複屈折率(Δn)の積が0.275に対して1から1.9倍になるようにすることが好ましい。
【0410】
本発明の液晶表示素子の駆動電圧は、液晶組成物の誘電異方性や弾性定数だけで決まるものではなく、液晶組成物とポリマー界面との間で作用するアンカーリング力に大きく影響される。
【0411】
例えば高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6−222320号公報において次式の関係が示されている。
【0412】
【数1】
【0413】
(Vthはしきい値電圧を表わし、1Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、Δεは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性高分子物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶組成物に対する透明性高分子物質のアンカーリング力を表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
【0414】
これによると、光散乱型液晶表示素子の駆動電圧は、透明性高分子物質界面の平均空隙間隔、基板間の距離、液晶組成物の弾性定数・誘電率異方性、及び液晶組成物と透明性高分子物質間のアンカーリングエネルギーによって決定される。このうち本発明の液晶表示素子で制御できるパラメータは、液晶物性とポリマー間のアンカーリング力である。アンカーリング力は、該ポリマーの分子構造、及び低分子液晶の分子構造に大きく依存するため、アンカーリング力が強いモノマーを選定すれば応答時間を1.5ms以下に速くすることが可能であるが同時に、駆動電圧が30V以上に増加するので、駆動電圧が30V以下で応答速度が1.5ms以下になるように適宜液晶化合物、及びモノマーの選定を行い組成を調整することが好ましい。アンカーリング力の強いポリマー前駆体とアンカーリング力の弱いポリマー前駆体を適宜配合して駆動電圧と応答速度のバランスが取れるように組成を調整することが好ましい。一方、駆動電圧を低くするのに求められる液晶組成物の物性としては、P型液晶では誘電異方性が6以上で、N型液晶では誘電異方性が−3以下にすることが特に好ましい。又、複屈折率を0.09以上にすることが好ましい。更に、液晶組成物の複屈折率と繊維状、又は柱状ポリマーネットワークの屈折率を可能な限り近づけ光散乱を無くすとより好ましくなる。但し、ポリマー前駆体の濃度に液晶素子のリターデーションが影響されるので、適宜、必要なリターデーションが得られるように液晶組成物の複屈折率を増減させて使用することが好ましい。
【0415】
本発明の液晶表示素子は、上述した液晶組成物を−50℃から30℃としながらエネルギー線を照射して、モノマーを重合して液晶組成物中に屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するポリマーネットワーク形成して得られたものであることが好ましい。重合温度の上限は、30℃であり、20℃〜−10℃が好ましい。実施例において後述するように、本発明者は、モノマー組成に依存して低温重合、及び常温重合により、τdが更に高速化することを見出した。この理由は、1)低温により液晶分子の配向度が上昇した状態で重合すること、2)低温重合により重合したポリマーと液晶組成物との相溶性が下がることで相分離が容易になり、重合相分離速度が速まりポリマーネットワークの空隙間隔が微細になること、3)比較的アンカーリング力が低いモノマーを用いても空隙間隔が微細なため、アンカーリング力の影響力が強くなるような屈折率異方性ポリマーネットワークの形成等によるものと考えられる。
【0416】
更に、本発明の液晶表示素子は、一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を持つポリマーネットワーク又はポリマーバインダの光軸方向又は配向容易軸方向が透明基板に対してプレチルト角を成すように形成されたものであることが好ましく、電界の強さを調整して低分子液晶の配向制御行い、基板面に対して傾斜させることにより、上述した液晶層に電圧を印加しながらエネルギー線を照射することで、モノマーを高分子化せしめ、液晶組成物中の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有する重合体を得てなる構成であることが好ましい。垂直配向のVAモードに於いては、基板法線方向に対してプレチルト角が20度以内になるように電圧を印加して重合させることにより、現行のVAモードセルの用いられているポルトリュージョン等やPSA液晶の微細なポリマー突起に相当する効果があるだけではなく、PSAでは実現できない高速応答を示すので特に好ましい。又、電界方向を複数の方向から印加して高分子化させることによりマルチドメインを形成させることができ、視野角向上が可能でより好ましくなる。更に、基板界面垂直配向膜界面に於いて低分子液晶がプレチルト角を誘起するように光配向処理やラビング配向処理等を該配向膜に施すことで低分子液晶配向の傾く方向が規定されスイッチング時の配向欠陥発生が抑制され好ましく、複数の方向へ傾くようなパターン電極を用いたり、該配向処理を施すとことも好ましい。前記液晶層は、モノマーを含有した重合性液晶組成物に対し、適宜−50℃から30℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することで、屈折率異方性を有するポリマーネットワークの光軸方向が基板面に対してプレチルト角を成すように液晶中に形成される。このプレチルト角は低分子液晶の誘電異方性により電界を印加することにより誘起された配向状態で重合相分離させると、重合後のポリマーネットワークの光軸を基板面に対して傾斜させた液晶素子を得ることができ、前記モノマーを高分子化せしめた構成であることがより好ましい。更に、電圧を印加した配向状態を安定化して得られたポリマーネットワークと電圧を印加しない配向状態を安定化して得られたポリマーネットワークを複合化させてプレチルト角を誘起させることも好ましい。
【0417】
本発明の液晶表示素子に使用される2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができる。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0418】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0419】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整して表示モードにより550nmの1/2、又は1/4になるようにすることが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料などからなる柱状スペーサー等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0420】
2枚の基板間に液晶表示素子製造用の液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーンまたはフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の液晶表示素子製造用の液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本発明に用いられる素子製造用の液晶組成物は、ODF工程における液晶・モノマー複合材料の滴下が安定的に行えるため、好適に使用することができる。
【0421】
モノマーを重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、活性エネルギー線である紫外線又は電子線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶表示素子製造用の液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、モノマーを含有した液晶組成物に対し、液晶表示素子製造用の液晶組成物を−50℃から20℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数100Hzから5kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
【0422】
照射時の温度は、液晶表示素子製造用の液晶組成物が−50℃から30℃の温度範囲であることが好ましい。さらに20℃〜−10℃がより好ましい。素子製造用の液晶組成物の組成に依存して低温重合、及び常温重合により、τdが更に高速化する傾向がある。この理由は、1)低温により液晶分子の配向度が上昇した状態で重合すること、2)低温重合により重合したポリマーと液晶組成物との相溶性が下がることで相分離が容易になり、重合相分離速度が速まりポリマーネットワークの空隙間隔が微細になること、3)比較的アンカーリング力が低い重合性化合物を用いても空隙間隔が微細なため、アンカーリング力の影響力が強くなるような屈折率異方性ポリマーネットワークの形成等によるものと考えられる。
【0423】
紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、365nm未満の紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm〜100W/cmが好ましく、2mW/cm〜50W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cmから500J/cmが好ましく、100mJ/cmから200J/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
【0424】
以上詳述した光変換部と液晶層とを有する液晶表示素子における、電極構造を含む全体構造につき、更に、図11〜18を用いて説明する。図11は、液晶表示部の電極層3の構造図の模式図を表し、より詳細には図11は、画素部分を等価回路で示した模式図であり、図12および13は画素電極の形状の一例を示す模式図である。また、図12図13は、本実施形態の一例として、FFS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。また、図14は、本実施形態の一例として、IPS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。さらに、図17は、本実施形態の一例として、VA型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。図1図2に示すように、液晶パネル10に対して背面側から照明する照明手段として上記バックライトユニットを設けることで液晶表示素子として駆動する。
【0425】
当該図11において、本発明に係る電極層3は、共通電極および複数の画素電極を備えている。画素電極は、絶縁層(例えば、窒化シリコン(SiN)など)を介して共通電極上に配置されている。画素電極は表示画素毎に配置され、スリット状の開口部が形成されている。共通電極と画素電極とは、例えばITO(Indium Tin Oxide)によって形成された透明電極であり、電極層3は、表示部において、複数の表示画素が配列する行に沿って延びるゲートバスラインGBL(GBL1、GBL2・・・GBLm)と、複数の表示画素が配列する列に沿って延びるソースバスラインSBL(SBL1、SBL2・・・SBLm)と、ゲートバスラインとソースバスラインとが交差する位置近傍に画素スイッチとして薄膜トランジスタを備えている。また、当該薄膜トランジスタのゲート電極は対応するゲートバスラインGBLと電気的に接続されており、当該薄膜トランジスタのソース電極は対応する信号線SBLと電気的に接続されている。さらに、薄膜トランジスタのドレイン電極は、対応する画素電極と電気的に接続されている。
【0426】
電極層3は、複数の表示画素を駆動する駆動手段として、ゲートドライバとソースドライバとを備えており、前記ゲートドライバおよび前記ソースドライバは、液晶表示部の周囲に配置されている。また、複数のゲートバスラインはゲートドライバの出力端子と電気的に接続され、複数のソースバスラインはソースドライバの出力端子と電気的に接続されている。ゲートドライバは複数のゲートバスラインにオン電圧を順次印加して、選択されたゲートバスラインに電気的に接続された薄膜トランジスタのゲート電極にオン電圧を供給する。ゲート電極にオン電圧が供給された薄膜トランジスタのソース−ドレイン電極間が導通する。
【0427】
ソースドライバは、複数のソースバスラインのそれぞれに対応する出力信号を供給する。ソースバスラインに供給された信号は、ソース−ドレイン電極間が導通した薄膜トランジスタを介して対応する画素電極に印加される。ゲートドライバおよびソースドライバは、液晶表示素子の外部に配置された表示処理部(制御回路とも称する)により動作を制御される。
【0428】
本発明に係る表示処理部は、通常駆動のほかに駆動電力低減のために低周波駆動の機能と間欠駆動の機能とを備えてもよく、TFT液晶パネルのゲートバスラインを駆動するためのLSIであるゲートドライバの動作およびTFT液晶パネルのソースバスラインを駆動するためのLSIであるソースドライバの動作を制御するものである。また、共通電極に共通電圧VCOMを供給し、バックライトの動作も制御している。
【0429】
図12は、画素電極の形状の一例として櫛形の画素電極を示した図であり、図1における基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図12に示すように、第1の基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む電極層3は、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。当該複数のゲートバスライン26と当該複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域により、液晶表示装置の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極21及び共通電極22が形成されている。ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、画素電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、画素電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン29が設けられる。この共通ライン29は、共通電極22に共通信号を供給するために、共通電極22と連結している。
【0430】
画素電極21の背面には絶縁層18(図示せず)を介して共通電極22が一面に形成されている。そして、隣接する共通電極と画素電極との最短離間距離は配向層同士の最短離間距離(セルギャップ)より短い。前記画素電極の表面には保護絶縁膜及び配向膜層によって被覆されていることが好ましい。なお、前記複数のゲートバスライン26と複数のソースバスライン25とに囲まれた領域にはソースバスライン25を介して供給される表示信号を保存するストレイジキャパシタを設けてもよい。
【0431】
また、図13は、図12の変形例であり、画素電極の形状の一例としてスリット状の画素電極を示した図である。当該図13に示す画素電極21は、略長方形の平板体の電極を、当該平板体の中央部および両端部が三角形状の切欠き部でくり抜かれ、その他の部分は略矩形枠状の切欠き部でくり抜かれた形状である。なお、切欠き部の形状は特に制限されるものではなく、楕円、円形、長方形状、菱形、三角形、または平行四辺形など公知の形状の切欠き部を使用できる。
【0432】
なお、図12および図13には、一画素における一対のゲートバスライン26及び一対のソースバスライン25のみが示されている。
【0433】
図15は、図12または図13におけるIII−III線方向に図1に示す液晶表示素子を切断した断面図の例の一つである。配向層4および薄膜トランジスタを含む電極層3が表面に形成された第1の基板2と、配向層4が表面に形成された第2の基板7とが所定の間隔Gで配向層同士向かい合うよう離間しており、この空間に液晶組成物を含む液晶層5が充填されている。第1の基板2の表面の一部にゲート絶縁膜12、共通電極22、パッシベーション膜18、画素電極21および配向層4の順で積層されている。
【0434】
薄膜トランジスタの構造の好適な一態様は、例えば、図15で示すように、基板2表面に形成されたゲート電極11と、当該ゲート電極11を覆い、且つ前記基板2の略全面を覆うように設けられたゲート絶縁層12と、前記ゲート電極11と対向するよう前記ゲート絶縁層12の表面に形成された半導体層13と、前記半導体層13の表面の一部を覆うように設けられた保護膜14と、前記保護層14および前記半導体層13の一方の側端部を覆い、かつ前記基板2表面に形成された前記ゲート絶縁層12と接触するように設けられたドレイン電極16と、前記保護膜14および前記半導体層13の他方の側端部を覆い、かつ前記基板2表面に形成された前記ゲート絶縁層12と接触するように設けられたソース電極17と、前記ドレイン電極16および前記ソース電極17を覆うように設けられたパッシベーション膜18と、を有している。ゲート電極11の表面にゲート電極との段差を無くす等の理由により陽極酸化被膜(図示せず)を形成してもよい。
【0435】
図12及び図13に示す実施の形態では、共通電極22はゲート絶縁層12上のほぼ全面に形成された平板状の電極であり、一方、画素電極21は共通電極22を覆う絶縁保護層18上に形成された櫛形の電極である。
【0436】
すなわち、共通電極22は画素電極21よりも第1の基板2に近い位置に配置され、これらの電極は絶縁保護層18を介して互いに重なりあって配置される。画素電極21と共通電極22は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料により形成される。画素電極21と共通電極22が透明導電性材料により形成されるため、単位画素面積で開口される面積が大きくなり、開口率及び透過率が増加する。
【0437】
また、画素電極21と共通電極22とは、これらの電極間にフリンジ電界を形成するために、画素電極21と共通電極22との間の電極間距離(最小離間距離とも称する)Rが、第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層5の厚さGより小さくなるように形成される。ここで、電極間距離Rは各電極間の基板に水平方向の距離を表す。図12では、平板状の共通電極22と櫛形の画素電極21とが重なり合っているため、最小離間距離(または電極間距離):R=0となる例が示されており、最小離間距離Rが第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層の厚さ(セルギャップとも称される):Gよりも小さくなるため、フリンジの電界Eが形成される。したがって、FFS型の液晶表示素子は、画素電極21の櫛形を形成するラインに対して垂直な方向に形成される水平方向の電界と、放物線状の電界を利用することができる。画素電極21の櫛状部分の電極幅:l、及び、画素電極21の櫛状部分の間隙の幅:mは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。
【0438】
本発明に係る液晶表示素子の液晶パネルのFFS型の変形例であるIPS型の液晶表示素子の例を図1図14および図16を用いて説明する。IPS型の液晶表示素子の液晶パネル10の構成は、上記図1のFFS型と同様に片側の基板上に電極層3(共通電極と画素電極とTFTを含む)が設けられた構造であり、第1の偏光板1と、第1の基板2と、電極層3と、配向層4と、液晶組成物を含む液晶層5と、配向層4と、カラーフィルタ6と、第2の基板7と、第2の偏光板8と、が順次積層された構成である。
【0439】
図14は、IPS型の液晶表示部における図1の第1の基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域の一部を拡大した平面図である。図14に示すように、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域内(単位画素内)で、櫛歯形の第1の電極(例えば、画素電極)21と櫛歯型の第2の電極(例えば、共通電極)22とが互いに遊嵌した状態(両電極が一定距離を保った状態で離間して噛合した状態)で設けられている。該単位画素内には、ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、第1の電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、第1の電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン(Vcom)29が設けられる。この共通ライン29は、第2の電極22に共通信号を供給するために、第2の電極22と連結している。
【0440】
図16は、図14におけるIII−III線方向にIPS型の液晶パネルを切断した断面図である。第1の基板2上には、ゲートバスライン26(図示せず)を覆い、且つ第1の基板2の略全面を覆うように設けられたゲート絶縁層32と、ゲート絶縁層32の表面に形成された絶縁保護層31とが設けられ、絶縁保護膜31上に、第1の電極(画素電極)21及び第2の電極(共通電極)22が離間して設けられる。絶縁保護層31は、絶縁機能を有する層であり、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ素酸窒化膜等で形成される。
【0441】
図14及び図16に示すような実施の形態では、第1の電極21及び第2の電極22は、絶縁保護層31上に、すなわち同一の層上に形成された櫛形の電極であり、互いに離間して噛合した状態で設けられている。IPS型の液晶表示部では、第1の電極21と第2の電極22との間の電極間距離Gと、第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層の厚さ(セルギャップ):Hは、G≧Hの関係を満たす。電極間距離:Gとは、第1の電極21と第2の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離を表し、図14及び図16で示す例においては、第1の電極21と第2の電極22とが遊嵌して交互に形成されたラインに対して、水平方向の距離を表す。第1の基板2と第2の基板7との距離:Hとは、第1の基板2と第2の基板7との間の液晶層の厚さを表し、具体的には、第1の基板2及び第2の基板7のそれぞれに設けられた配向層4(最表面)間の距離(すなわちセルギャップ)、液晶層の厚みを表す。
【0442】
一方、先述のFFS型の液晶表示部では、第1の基板2と第二の基板7との間の液晶層5の厚さが、第1の電極21と第2の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離以上であり、IPS型の液晶表示部は、第1の基板2と第二の基板7との間の液晶層5の厚さが、第1の電極21と第2の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離未満である。したがって、IPSとFFSの違いは、第1の電極21及び第2の電極22の厚み方向の位置関係に依存しない。
【0443】
IPS型の液晶表示素子は、第1の電極21及び第2の電極22間に形成される基板面に対して水平方向の電界を利用して液晶分子を駆動させる。第1の電極21の電極幅:Q、及び第2の電極22の電極幅:Rは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。
【0444】
本発明の好ましい液晶パネルの他の実施形態は、垂直配向型の液晶表示素子である。図17は、前記図2における基板上に形成された薄膜トランジスタを含む電極層3(または薄膜トランジスタ層3とも称する。)のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図18は、図17におけるIII−III線方向に図2に示す液晶表示素子を切断した断面図である。以下、図2および図17〜18を参照して、本発明に係る垂直配向型の液晶表示部を説明する。
【0445】
本発明に係る液晶表示素子における液晶パネル10の構成は、図2に記載するように透明導電性材料からなる透明電極(層)3’(または共通電極3’とも称する。)を具備した第2の基板7と、画素電極および各画素に具備した前記画素電極を制御する薄膜トランジスタを形成した電極層3を含む第1の基板2と、前記第1の基板2と第2の基板7との間に挟持された液晶組成物(または液晶層5)を有し、該液晶組成物中の液晶分子の電圧無印加時の配向が前記基板2,7に対して略垂直である液晶表示素子であって、該液晶組成物として前記本発明の液晶組成物を用いたことに特徴を有するものである。また図18に示すように、前記第1の基板2および前記第2の基板7は、一対の偏光板1,8により挟持されてもよい。さらに、図18では、前記第2の基板7と共通電極3’との間にカラーフィルタ6が設けられている。またさらに、本発明に係る液晶層5と隣接し、かつ当該液晶層5を構成する液晶組成物と直接当接するよう一対の配向層4を透明電極(層)3,3’表面に形成してもよい。
【0446】
図17は、画素電極21の形状の一例として逆L字型の画素電極を示した図であり、図2における基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。前記画素電極21は、上記図12、13および14と同様に、ゲートバスライン26とソースバスライン25とに囲まれた領域の略全面に逆L字型に形成されているが、画素電極の形状は限定されるものではない。
【0447】
垂直配向型の液晶表示素子の液晶表示部は、上記のIPS型やFFS型とは異なり、共通電極22(図示せず)が画素電極21と対向離間して形成されている。換言すると、画素電極21と、共通電極22とは別の基板上に形成されている。一方、先述のFFSやIPS型の液晶表示素子は、画素電極21および共通電極22が同一基板上に形成されている。
【0448】
また、当該カラーフィルタ6は、光の漏れを防止する観点で、薄膜トランジスタおよびストレイジキャパシタに対応する部分にブラックマトリックス(図示せず)を形成することが好ましい。
【0449】
図18は、図17おけるIII−III線方向に図2に示す液晶表示素子を切断した断面図である。すなわち、本発明に係る液晶表示素子の液晶パネル10は、第1の偏光板1と、第1の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層とも称する)3と、液晶を垂直配向させる配向層4と、液晶組成物を含む層5と、該配向層4と、共通電極3’と、カラーフィルタ6と、第2の基板7と、第1の偏光板8と、が順次積層された構成である。
【0450】
以上詳述した垂直配向型の液晶表示素子は、視野角依存を改善する為に画素が2分割乃至8分割されたマルチドメインを有する分割配向させたものが好ましい。斯かる分割配向は配向膜4をマスクラビングによって作成してもよいが、
1)第1の基板2側及び第2の基板7の双方にリブを形成させる手段、
2)第1の画素電極21に電極スリットを用い、第2の基板7上にリブを形成させる手段、
3)第1の画素電極21に微細スリット電極を用い、第2の基板7上にリブを形成させる手段、
4)第1の画素電極21、及び第2の共通電極22にスリット電極を用いる手段、
5)第1の画素電極21に微細スリット電極を用い、かつ、ポリマーによって液晶にプレチルトを形成させる手段、
6)配向膜として直線偏光紫外線照射によって均一な配向方位を液晶に付与できる所謂光配向膜を用いる手段等によって液晶の配向方位が規定されたマルチドメイン型のVA素子であることが、素子の製造が容易であることから好ましい。これらのなかでも、特に、液晶層5のポリマーネットワークを形成しやすいこと、また、液相層5内でポリマーネットワーク(A)の光軸方向又は配向容易軸方向と、前記液晶組成物(B)の配向容易軸方向が同一乃至略同一方向に制御することが容易であることから、前記5)ポリマーによって液晶にプレチルトを形成させる手段、又は前記6)の光配向膜を用いる手段によって得られた液晶表示素子であることが好ましい。
【0451】
ここで、前記した画素電極22として微細スリット電極を用いる場合、図20に示す様な所謂フィッシュボーン型電極であることが配向方位の安定性の点から好ましい。該フィッシュボーン型電極を図20に基づいて詳述すれば、該電極はITOなどの透明電極から構成され、その電極材料(ITO)の一部を抜いたスリット部512cが設けられている。長方形のセルの各対向辺の中点を結ぶ十字状で幅3〜5μm程度のスリット部512cが配向規制用構造物として機能し、スリット部512cから斜め45°方向に延びて幅5μmのスリット部512cがピッチ8μmで複数形成されており、これらが傾斜時の方位角方向の乱れを抑える補助的な配向制御因子として機能する。表示用画素電極の幅は例えば3μmである。図20では、画素幹部電極512aと画素枝部電極512bは45度の角度を有しながら、画素中央を対称中心として90度ずつ異なる4方向に枝部電極が延在された構造を有している。液晶分子は電圧印加により傾斜配向するが、傾斜配向の方位がこれらの4方向と一致しするように傾斜配向するので、4分割されたドメインを一つの画素内に形成させて表示の視野角を広くすることができる。
【0452】
また、前記6)の光配向膜を用いる場合、該光配向膜は、光応答性分子又は光応答性高分子を主たる成分して構成されているものが挙げられる。斯かる光応答性分子又は光応答性高分子としては、
(1)光に応答して異性化し偏光軸に対して略垂直または平行に配向する
光応答性異性化型分子又はその重合体、
(2)光に応答して二量化により架橋構造を形成する光応答性二量化型分子、および
(3)光に応答して高分子鎖が切断する光応答性分解型高分子
が挙げられる。これらのなかでも特に光応答性異性化型分子又はその重合体(3)が、感度、配向規制力の点から特に好ましい。
【0453】
上記した光応答性異性化型分子又はその重合体としては、具体的には、
一般式(ア)表されるアゾ化合物、またはこの重合体が特に好ましい。
(一般式(ア))
【0454】
【化57】
【0455】
(一般式(ア)中、R及びRは各々独立してヒドロキシ基、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表し、式中、A及びAは各々独立して単結合又はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表し、B及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−又は−O−CO−NH−を表すが、R及びRの結合において、−O−O−結合を形成することはなく、m及びnは各々独立して0〜4の整数を表し(但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA、B、A及びBは同じであっても異なっていても良く、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAはアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表す。)、R〜Rは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基若しくはそのアルカリ金属塩、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化メトキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基若しくはそのアルカリ金属塩、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、−OR(ただしRは、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基又は−CONR(R及びRは、各々独立して水素原子又は炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表し、Xは、単結合、−CH=CH−、−NR10−(但し、R10は、水素原子又は炭素数20以下の炭化水素基を表す)、−NH−CO−NH−、−S−、又は−CH−を表し、G及びGは各々独立して1,4−フェニレン基の如きフェニレン基;2,6−ナフタレンジイル基の如きアリーレン基を表し、フェニレン基またはアリーレン基中に存在する1個または2個以上の水素原子はそれぞれ独立にヒドロキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、スルホ基のアルカリ金属塩、炭素原子1〜7個のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、により置換されてもよい。
【0456】
一般式(ア)において、RまたはRの少なくとも一つが重合性官能基であると光や熱に対する安定性が増大し好ましい。重合性官能基の中では、特に(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。又、マレイミド基は、重合開始剤が不要となるので好ましい。Rがヒドロキシ基の場合、mは0であることが好ましく、Rが重合性官能基の場合、mは1〜3の整数を表すことが好ましく、1又は2がより好ましい。Rがヒドロキシ基の場合、nは0であることが好ましく、Rが重合性官能基の場合nは1〜3の整数を表すことが好ましく、1又は2がより好ましい。
【0457】
前記一般式(ア)で表される化合物の重合体の重量平均分子量は、塗工しやすい溶液の粘度とし、塗工後の乾燥皮膜の耐熱性を保ち、配向規制力を大きくする観点から、5000〜1000000が好ましく、10000〜500000が特に好ましい。
【0458】
次に光応答性二量化型分子としては、以下の一般式(3):
【0459】
【化58】
【0460】
(上記一般式(3)中、Xは6〜12であり、Yは0〜2であり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜5個のアルコキシ基であり、R30は、式(2−a)または式(2−b):
【0461】
【化59】
【0462】
であり、式(2−a)中のR31は重合性基、炭素原子数1〜10個のアルコキシ基、シアノ基または炭素原子数1〜12個のフッ化アルキル基であり、jは0以上6以下の整数である。)で表される光応答性二量化型高分子が挙げられる。
【0463】
また、光応答性分解型高分子としては、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との縮合反応物であることが好ましい。
【0464】
以上詳述した本発明の液晶表示素子は、TN、STN、ECB、VA、VA−TN、IPS、FFS、πセル、OCB、コレステリック液晶などの動作モードに適用できる。これらの中でも、VA、IPS、FFS、VA−TN、TN、ECBが特に好ましい。尚、本発明の液晶表示素子は、液晶層中にポリマーネットワークを形成する点において配向膜上に重合体又は共重合体を有するPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示素子と区別することができる。
【実施例】
【0465】
以下、例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。また、nは自然数を表す。
【0466】
「n型化合物」
(側鎖)
−n −C2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n− C2n+1− 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
−On −OC2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO− C2n+1O− 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
−V −CH=CH
V− CH=CH−
−V1 −CH=CH−CH
1V− CH−CH=CH−
−2V −CH−CH−CH=CH
V2− CH=CH−CH−CH
−2V1 −CH−CH−CH=CH−CH
1V2− CH−CH=CH−CH−CH
(連結基)
−n− −C2n
−nO− −C2n−O−
−On− −O−C2n
−COO− −C(=O)−O−
−OCO− −O−C(=O)−
−CF2O− −CF−O−
−OCF2− −O−CF
【0467】
(環構造)
【0468】
【化60】
【0469】
(環構造)
【0470】
【化61】
【0471】
各実施例にて使用した重合性単量体は以下のとおりである。
【0472】
【化62】
【0473】
実施例19〜27にて使用した重合開始剤はイルガキュア651である。
【0474】
各実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0475】
NI :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
η :25℃における粘度(mPa・s)
γ :25℃における回転粘度(mPa・s)
VHR測定
(周波数60Hz,印加電圧1Vの条件下で333Kにおける電圧保持率(%))
450nmに主発光ピークを有するLED耐光試験:
2万cd/mの450nmに主発光ピークを有する可視光LED光源を液晶パネルに対して1週間暴露する前と後のVHRを測定した。
【0476】
385nmに主発光ピークを有するLED耐光試験:
385nmをピークにもつ単色LEDで60秒130J照射する前と後のVHRを測定した。
【0477】
(重合性液晶組成物の調整)
N型液晶組成物として下記表1〜表15の配合に従って液晶組成物を調整し、次いで、60℃に加熱し、各表に記載の重合性単量体[(P2−1M)、(P2−2M)、又は(P4−4M)]を混合し溶解させた。室温で各重合性液晶組成物が均一に溶解してネマチック液晶相を示していることを偏光顕微鏡で確認した。なお、実施例19〜27では、更にこの溶液に重合光開始剤(イルガキュア651)を混合して重合性液晶組成物を調製した。
【0478】
(液晶パネル、バックライトユニットおよび液晶表示素子の作製方法)
(1)液晶パネルの作製
(VA型液晶パネル)
第1基板に形成された透明電極の上に、配向膜溶液をスピンコート法により形成し、乾燥厚さ0.1μmの配向膜を形成した。カラーフィルタが形成された第2基板にも同様にして配向膜を形成した。櫛形透明電極および配向膜が形成された第1基板と、カラーフィルタが形成された第2電極基板を、それぞれの配向膜が対向し、かつ直線偏光を照射した、またはラビングした方向がアンチパラレル方向(180°)となるように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。次に、配向膜表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、前記した各種重合性液晶組成物(組成物1〜9)を、真空注入法により、充填し、一対の偏光板を第1基板および第2基板上に貼りあわせることでVA型の液晶パネルを作製した。
【0479】
この液晶パネルに周波数1kHzで2.43Vの矩形波の電圧を印加しながら、波長365nmの紫外線LEDの光源を用いて照射強度が15mW/cmの紫外線を12秒間照射した後、紫外線照射を継続した状態で、電圧を0Vにして垂直配向に戻し、電圧を0Vに戻した時点から紫外線を68秒間照射した。このように作製した液晶パネルを評価用素子とし、VHR測定およびUVに対する表示品位の評価を行った。
【0480】
その結果を以下の表に示す。
【0481】
【表1】
【0482】
【表2】
【0483】
【表3】
【0484】
【表4】
【0485】
【表5】
【0486】
【表6】
【0487】
【表7】
【0488】
【表8】
【0489】
【表9】
【0490】
【表10】
【0491】
【表11】
【0492】
【表12】
【0493】
【表13】
【0494】
【表14】
【0495】
【表15】
【0496】
上記表1〜15において、450nmに主発光ピークにおける変化率は、「初期(=1週間耐光試験前)のVHR値/1週間耐光試験後のVHR値」であり、385nmに主発光ピークにおける変化率は、「初期(=60秒耐光試験前)のVHR値/60秒耐光試験後のVHR値」である。したがって、変化率が1に近いほど、450nmに主発光ピークを有する光または385nmに主発光ピークを有する光に対して安定であることを示す。上記実験結果によれば上記液晶表示素子は、耐光性に優れており、発光用ナノ結晶の劣化や部分的な高エネルギー光線の照射スポットによる液晶層の劣化を抑制または防止できると考えられる。
【0497】
上記の実験結果から、450nmに主発光ピークを有する光を1週間照射した場合は、実施例2、実施例11、実施例20の液晶表示素子が最もVHR値の変化が大きい(変化率が低い)ことが確認された。また、385nmに主発光ピークを有する光を照射した場合も、実施例2、実施例11、実施例20の液晶表示素子が最もVHR値の変化率が低いことが確認された。
【0498】
一方、液晶表示素子の高速応答性に関係するγ1をみると、実施例3、実施例12、実施例21が最も高いことが確認される。前者の原因としては、縮合環(ナフタレン)を含む2環以上の液晶化合物を含むため、光を吸収しやすいことに関係すると考えられる。また、後者の原因としては、クロマン環を含む2環以上液晶化合物であるため、粘性が高くなることが考えられる。
【0499】
また、上記実施例8、実施例17、実施例26については液晶組成物100質量部に対して、以下の式(III−22)の酸化防止剤を0.05質量部添加して、VA型の液晶パネルを作製して、450nmに主発光ピークを有する光による耐光試験および385nmに主発光ピークを有する光による耐光試験の評価を行ってもよい。
【0500】
【化63】
【0501】
(2)バックライトユニットの作製
(発光用ナノ結晶フィルムの作製)
不揮発成分を100質量%にした際の発光用ナノ結晶(InP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性) いずれもオレイン酸リガンド)固形分が3質量部、光硬化性アクリル樹脂が93質量部、光開始剤が4質量部となる様、緑色および赤色の発光用ナノ結晶それぞれのトルエン分散体と光硬化性アクリル樹脂および光開始剤を混合し、エバポレータによりトルエンを抜く事で発光用ナノ結晶含有樹脂組成物を調製する。PETフィルム上に膜厚100umと成る様、この樹脂組成物を塗工した後、さらにPETフィルムを積層した。積算のUV照射量が5000mJまでUV照射を実施する事で光変換部(発光用ナノ結晶フィルム)を得た。
【0502】
(バックライトユニット1の作製)
青色LED光源を導光板の一辺の端部に設置し、反射シートで照射面を除く部分を覆い、導光板の照射面に上記発光用ナノ結晶フィルムシートを配置しさらにその照射側に拡散シートを配置してバックライトユニット1を作製した。
【0503】
(バックライトユニット2の作製)
光を散乱反射する下側反射板上に格子状に青色LEDが配置され、さらにその照射側直上には拡散板を配置し、その拡散板上に上記発光用ナノ結晶フィルムシートを配置しさらにその照射側に拡散シートを配置しバックライトユニット2を作製した。
【0504】
(発光用ナノ結晶を含む発光素子の作製)
不揮発成分を100質量%にした際の発光用ナノ結晶(InP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性) いずれもオレイン酸リガンド)固形分が8質量部、エポキシ樹脂硬化剤および硬化触媒混合物が92質量部となる様、緑色および赤色の発光用ナノ結晶それぞれのトルエン分散体とエポキシ樹脂を混合し、エバポレータによりトルエンを抜く事で発光用ナノ結晶含有樹脂組成物を調整する。これに硬化剤および硬化触媒を混合した後、LED素子上に厚さが1mm程度となる様に上記組成物を塗工した。110℃×3時間の条件で樹脂を硬化させる事で光変換部を備えたLED素子を得た。
【0505】
(バックライトユニット3の作製)
上記発光用ナノ結晶を含む青色LED素子を導光板の一辺の端部に設置し、反射シートで照射面を除く部分を覆い、導光板の照射面に上側に拡散シートを配置してバックライトユニット3を作製した。
【0506】
(バックライトユニット4の作製)
光を散乱反射する下側反射板上に格子状に上記発光用ナノ結晶を含む青色LED素子を配置し、さらにその照射側直上には拡散板と拡散板上に拡散シートを配置しバックライトユニット4を作製した。
【0507】
(発光用ナノ結晶含有透明管体の作製)
不揮発成分を100質量%にした際の発光用ナノ結晶(InP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性) いずれもオレイン酸リガンド)固形分が1質量部、エポキシ樹脂、硬化剤および硬化触媒混合物が99質量部となる様、緑色および赤色の発光用ナノ結晶それぞれのトルエン分散体とエポキシ樹脂を混合し、エバポレータによりトルエンを抜く事で発光用ナノ結晶含有樹脂組成物を調製した。その後、片方の端部を封止したガラス管に上記樹脂組成物を充填し、110℃×3時間の条件でエポキシ樹脂を硬化させて、最後に未封止の端部を封止することで発光用ナノ結晶含有透明管体を得た。
【0508】
(バックライトユニット5の作製)
青色LED光源を導光板の一辺の端部に設置し、青色LED光源と導光板間には上記ナノ結晶含有透明管体を配置する。さらに反射シートで照射面を除く部分を覆い、導光板の照射面に拡散シートを配置してバックライトユニット5を作製した。
【0509】
(3)液晶表示素子の作製と色再現領域の測定
上記得られたVA型液晶パネルに対して、上記で作製したバックライトユニット1〜5を取り付けて色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換部を備えた液晶表示素子と光変換部を備えていない従来の液晶表示素子とを比較した場合、光変換部を備えた液晶表示素子の方が、色再現領域が拡大することが確認された。
【符号の説明】
【0510】
1000:液晶表示素子
100:バックライトユニット(101:光源部、102:導光部、103:光変換部)
101:光源部(L:発光素子(105:発光ダイオード、110:光源基板)、112a、b:固定部材)
102:導光部(106:拡散板、104:導光板)
103:光変換部
110:光源基板
111:透明充填容器
112a、b:固定部材
113:凹部容器
SUB1:(透明)電極基板
SUB2:(透明)基板(電極を備えている場合も含む)
SUB3:(透明)基板
NC:発光用ナノ結晶(化合物半導体)
1、8:偏光層
2、7:透明基板
3:第一の電極層
3’:第二の電極層
4:配向膜
5:液晶層
6:カラーフィルタ(樹脂に色素が含まれて場合も含む)
11:ゲート電極
12:ゲート絶縁膜
13:半導体層
14:保護層
16:ドレイン電極
17:ソース電極
18:パッシベーション膜
21:画素電極
22:共通電極
33:平坦膜
35:絶縁膜
510:液晶表示装置
512:画素電極
512a:画素幹部電極
512b:画素枝部電極
512c:画素スリット
516:走査配線
517:信号配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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