【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、効率的で信頼性がありコスト効率良く基板を処理することを許容する基板処理の方法を提供することが、本発明の目的である。この目的は、請求項1に記載の技術的特徴を有する基板処理の方法によって達成される。本発明の好ましい実施の形態が、従属請求項に続いている。
【0011】
本発明は、複数のデバイスが内部に形成されたデバイス領域を有する第1表面と、この第1表面に対向する第2表面と、を有する基板の処理の方法を提供するものであって、前記基板内に複数の穴領域を形成するために、前記第2表面に沿った複数の位置において、当該第2表面の側から、前記基板に対してパルス状のレーザービームを適用する工程を備えている。各穴領域は、前記第2表面から前記第1表面に向かって延びている。また、各穴領域は、改変領域と、当該改変領域内にて前記第2表面に開放した空間と、を有している。本方法は、基板の厚みを調節するために、前記複数の穴領域が形成された前記基板の前記第2表面を研磨する工程を、更に備えている。
【0012】
パルス状のレーザービームは、第2表面に沿った複数の位置において、すなわち第2表面上の複数の位置において、基板に適用される。
【0013】
本発明において、パルス状のレーザービームは、第2表面に沿った複数の位置において、基板に適用される。このため、穴領域が第2表面に沿って複数の位置に形成される。
【0014】
本発明の処理方法によれば、パルス状のレーザービームは、基板内に複数の穴領域を形成するために、第2表面に沿った複数の位置において、当該第2表面の側から、基板に適用される。穴領域を形成することによって、当該穴領域が形成された領域における基板の強度が低減される。
【0015】
それゆえ、複数の穴領域が形成された領域では、基板の第2表面を研磨する工程が極めて容易になる。穴領域を形成することによって基板の強度が低減されることにより、研磨工程の安定性及び信頼性が顕著に向上され、基板の厚さが正確に制御されるという結果を許容する。更に、研磨工程がより効率的で、とりわけより高い研磨速度で、実行され得る。
【0016】
穴領域の形成によって基板の強度が低減されるため、上述したような処理の困難な材料から作られている基板が研磨される場合でさえ、当該基板を研磨するために使用される研磨手段の摩耗が非常に低減され得る。したがって、研磨設備、とりわけそれに含まれる研磨ホイール、の稼動寿命が顕著に延び、この結果、処理コストが減少する。
【0017】
更には、第2表面に沿った複数の穴領域の形成は、研磨手段、例えば研磨ホイールの、いわゆるセルフシャープニング(自生)を達成することに貢献し得る。このため、基板の第2表面を研磨する工程を実行する間に、研磨手段のコンディション調整が同時に行われる。このようにして、研磨手段の切り屑の詰まりが信頼性をもって回避され得る。これゆえ、研磨がより高い処理荷重の下で、処理速度を更に高めて、実行され得る。
【0018】
更には、穴領域の形成は、第2表面を粗くする。この表面粗さの増大によって、第2表面を研磨するために使用される研磨ホイールなどの研磨手段が、研磨工程の間に手入れされ得る。このようにして、研磨荷重が減少され、基板表面が焼けから信頼性をもって回避される。
【0019】
したがって、本発明による処理方法は、基板が効率的で信頼性をもってコスト効率が良い、という態様で処理されることを許容する。
【0020】
パルス状のレーザービームは、当該レーザービームの基板の透過を許容する波長を有していて良い。
【0021】
パルス状のレーザービームは、第2表面に沿った複数の位置において、隣接する当該位置が互いに重ならないような態様で、基板に適用されて良い。
【0022】
パルス状のレーザービームは、第2表面に沿った複数の位置において、隣接する当該位置の間の距離、つまり隣接する位置の中心間の距離が、3μmから50μmの範囲内、好ましくは5μmから40μmの範囲内、さらに好ましくは8μmから30μmの範囲内であるような態様で、基板に適用されて良い。複数の穴領域は、隣接する穴領域の間の距離が3μmから50μmの範囲内、好ましくは5μmから40μmの範囲内、さらに好ましくは8μmから30μmの範囲内であるように、基板内に形成されて良い。特に好ましくは、隣接する穴領域の中心間の距離は、8μmから10μmの範囲内である。
【0023】
穴領域は、互いに等距離で間隔が空けられていて良い。あるいは、隣接または近接する穴領域のいくつかまたはすべてが、互いに異なる距離を有していて良い。
【0024】
穴領域は、第2表面上に、1mm
2あたり400から100000個の範囲内、好ましくは1mm
2あたり600から50000個の範囲内、さらに好ましくは1mm
2あたり1000から20000個の範囲内、の面密度で形成されていて良い。
【0025】
穴領域の直径は、基板の第2表面から第1表面に向かう方向に沿って実質的に一定であって良い。
【0026】
穴領域は、1μmから30μmの範囲内、好ましくは2μmから20μm、さらに好ましくは3μmから10μmの範囲内、の直径を有していて良い。
【0027】
特に好ましくは、穴領域は、2μmから3μmの範囲内の直径を有していて良い。
【0028】
複数の穴領域は、好ましくは、隣接または近接する穴領域の改変領域が互いに重なり合わないように、形成されている。このようにして、とりわけ基板の第2表面を研磨する工程において、更なる取り扱い及び/または処理を効率的に行うことを許容しつつ、基板が十分な強度または耐久性を維持する、ということが、信頼性をもって保証され得る。
【0029】
好ましくは、隣接または近接する穴領域の外縁部間の距離は、少なくとも1μmである。
【0030】
複数の穴領域は、隣接または近接する穴領域の改変領域が少なくとも部分的に互いに重なり合うように、基板内に形成されて良い。いくつかの実施の形態では、隣接または近接する穴領域の改変領域は、基板の厚みに沿った穴領域の延びの一部に沿ってのみ、互いに重なり合っている。例えば、隣接または近接する穴領域の改変領域は、基板の第2表面の近位にて、基板の厚みに沿った穴領域の延びの一部に沿ってのみ、重なり合っていて良い。隣接または近接する穴領域の改変領域は、基板の第1表面の近位にて、基板の厚みに沿った穴領域の延びの一部に沿って、互いに重なり合わないように構成されていても良い。
【0031】
複数の穴領域は、隣接または近接する穴領域の間隔が互いに少なくとも部分的に重なり合うように、基板内に形成されていて良い。幾つかの実施の形態では、隣接または近接する穴領域の間隔は、基板の厚みに沿った穴領域の延びの一部に沿ってのみ、互いに重なり合っている。例えば、隣接または近接する穴領域の間隔は、基板の第2表面の近位にて、基板の厚みに沿った穴領域の延びの一部に沿ってのみ、互いに重なり合っていて良い。隣接または近接する穴領域の間隔は、基板の第1表面の近位にて、基板の厚みに沿った穴領域の延びの一部に沿って互いに重なり合わないように構成されていても良い。
【0032】
穴領域のいくつかまたは全ては、円筒形状または先細りの形状を有していて良い。
【0033】
穴領域のいくつかまたは全ては、基板の第2表面から第1表面に向かう方向に沿って配置された長手円筒軸を有する円筒の形状を、実質的に有していて良い。この場合、穴領域の直径は、基板の第2表面から第1表面に向かう方向に沿って、実質的に一定である。
【0034】
穴領域のいくつかまたは全ては、基板の厚みに沿ったそれらの延びに沿って先細りとなる、先細りの形状を有していて良い。穴領域は、基板の第2表面から第1表面に向かう方向に沿って、先細りとなっていて良い。この場合、穴領域の直径は、基板の第2表面から第1表面に向かう方向において、減少する。
【0035】
パルス状のレーザービームは、当該パルス状のレーザービームの焦点が第2表面上に位置する条件で、または、当該焦点が第2表面から第1表面に向かう方向において第2表面からある距離に位置する条件で、基板に適用されて良い。
【0036】
基板は、パルス状のレーザービームを透過させる材料で作られていて良い。この場合、当該レーザービームが基板を通過することを許容する波長を有するパルス状のレーザービームを適用することによって、複数の穴領域が基板内に形成される。
【0037】
パルス状のレーザービームは、当該パルス状のレーザービームの焦点が第2表面上に位置する条件で、または、当該焦点が第2表面から第1表面に向かう方向とは反対の方向において第2表面からある距離に位置する条件で、基板に適用されて良い。この場合、パルス状のレーザービームは、当該パルス状のレーザービームの焦点が第2表面上に位置する条件で、または、当該焦点が第2表面から第1表面とは離れる方向において第2表面からある距離に位置する条件で、基板に適用される。
【0038】
複数の穴領域は、基板材料によって吸収されるような波長を有するパルス状のレーザービームを適用することによって、基板内に形成されて良い。この場合、穴領域は、レーザーアブレーションによって形成される。このアプローチは、SiCウェハなどのシリコンカーバイド(SiC)基板を処理するために特に効果的である。
【0039】
穴領域のアスペクト比は、穴領域の直径を、基板の厚さに沿った穴領域の延び、すなわち基板の厚さ方向において延びる穴領域に沿った長さ、によって割ったものとして、規定される。穴領域は、1:5以下、好ましくは1::10以下、より好ましくは1:20以下、のアスペクト比を有していて良い。約1:5のアスペクト比は、使用される処理の特に簡易なセットアップを許容する。約1:20以下のアスペクト比については、穴領域が特に効果的な態様で形成され得る。
【0040】
穴領域は17.5μm以上、好ましくは35μm以上、より好ましくは70μm以上、の直径を有していて良い。この場合、基板の厚さに沿った穴領域の延びが350μm以上であれば効率的にかつ信頼性をもって、以上に特定された穴領域のアスペクト比が達成され得る。
【0041】
基板は、単結晶基板、ガラス基板、化合物半導体基板(例えばGaAs基板)などの化合物基板、または、セラミック基板などの多結晶基板、であって良い。特に好ましい実施の形態では、基板は、単結晶基板またはガラス基板である。
【0042】
改変領域は、パルス状のレーザービームの適用によって改変された基板の領域である。例えば、改変領域は、基板材料の構造がパルス状のレーザービームの適用によって改変された基板の領域であって良い。
【0043】
改変領域は、アモルファス領域であるか、クラックが形成された領域であって良い。特に好ましい実施の形態では、改変領域は、アモルファス領域である。
【0044】
改変領域が、クラックが形成された領域であれば、すなわちクラックが形成されていれば、当該クラックは、微細なクラック(マイクロクラック)であって良い。このクラックは、μmの範囲の寸法、例えば長さ及び/または幅、を有する。例えば、クラックは、5μmから100μmの範囲の幅、及び/または、100μmから1000μmの範囲の長さ、を有していて良い。
【0045】
本発明による方法の幾つかの実施の形態では、基板は単結晶基板であり、当該単結晶基板内に複数の穴領域を形成するために、第2表面に沿った複数の位置において当該第2表面の側から当該単結晶基板にパルス状のレーザービームを適用する工程を有している。各穴領域は、第2表面から第1表面に向かって延びている。各穴領域は、アモルファス領域と当該アモルファス領域内にて第2表面に開放した空間と、から構成されている。本方法は、基板の厚みを調節するために、複数の穴領域が形成された単結晶基板の第2表面を研磨する工程を備えている。アモルファス領域は、複数の穴領域が形成された領域において基板をより脆くさせ、これにより研磨工程が更に容易にされる。パルス状のレーザービームは、その焦点が第2表面上に位置付けられる条件で、または第2表面から第1表面に向かう方向において当該第2表面からある距離に位置付けられる条件で、単結晶基板に適用されて良い。
【0046】
本発明による方法の幾つかの実施の形態では、基板は化合物基板または多結晶基板であり、当該基板内に複数の穴領域を形成するために、第2表面に沿った複数の位置に当該第2表面の側から当該基板にパルス状のレーザービームを適用する工程を有している。各穴領域は、第2表面から第1表面に向かって延びている。各穴領域は、アモルファス領域と当該アモルファス領域内にて第2表面に開放した空間と、から構成されている。本方法は、基板の厚みを調節するために、複数の穴領域が形成された基板の第2表面を研磨する工程を備えている。アモルファス領域は、複数の穴領域が形成された領域において基板をより脆くさせ、これにより研磨工程が更に容易にされる。
【0047】
本発明による方法の幾つかの実施の形態では、基板はガラス基板であり、当該ガラス基板内に複数の穴領域を形成するために、第2表面に沿った複数の位置に当該第2表面の側から当該ガラス基板にパルス状のレーザービームを適用する工程を有している。各穴領域は、第2表面から第1表面に向かって延びている。各穴領域は、クラックが形成された領域と当該領域内にて第2表面に開放した空間と、から構成されている。本方法は、基板の厚みを調節するために、複数の穴領域が形成されたガラス基板の第2表面を研磨する工程を、有している。クラックは、複数の穴領域が形成された領域において基板をより脆くさせ、これにより研磨工程が更に容易にされる。クラックは、マイクロクラックであって良い。
【0048】
穴領域のいくつかまたは全ては、基板の、第2表面から第1表面に向かう方向において、厚さの一部のみに沿って延在するように形成されていても良い。この場合、穴領域の改変領域内の空間は、基板の第2表面に開いているが、第1表面には開いていない。穴領域のいくつかまたは全ては、基板の厚さの30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、一層好ましくは60%以上、さらに一層好ましくは70%以上、に沿って延在していて良い。
【0049】
特に好ましくは、基板の厚みに沿った穴領域の延びは、研磨工程において、または、研磨及び/またはエッチング工程などの、研磨工程と後続する応力除去工程とにおいて、基板材料が除去される深さと同じ深さであるように、選択される。
【0050】
このようにして穴領域の延びが選択されることによって、研磨工程において研磨される基板部分の全体、または、研磨工程と後続する応力除去工程とにおいて除去される基板部分全体が、穴領域の形成によって強度が低減される、ということが保証され得る。したがって、研磨工程、または、研磨工程と後続する応力除去工程とが、とりわけ高い効率及び信頼性で、実行され得る。
【0051】
更に、穴領域が形成された基板の部分は、研磨工程、または、研磨工程と後続する応力除去工程と、の後で穴領域が基板内に残らないように、当該研磨工程、または、研磨工程と後続する応力除去工程と、において完全に除去される。
【0052】
基板の厚みの一部のみに沿って延在するように穴領域を形成することによって、パルス状のレーザービームによって、デバイス領域内に形成されたデバイスに対して生じるあらゆる損傷が、信頼性をもって回避される。
【0053】
基板の厚みに沿った穴領域の延在量は、例えば、第2表面から第1表面に向かう方向において第2表面から適切な距離に、または、第2表面から第1表面に向かう方向とは反対の方向において第2表面から適切な距離に、パルス状のレーザービームの焦点を位置付けることによって、正確に制御され得る。
【0054】
第2表面は、第2表面から第1表面に向かう方向において、穴領域の延び全体に沿って研磨されて良い。この場合、研磨工程において研磨される基板の部分全体が、穴領域の形成によって強度が低下されている。それゆえ、研磨工程は、特に高い効率で信頼性をもって、実行され得る。
【0055】
更に、穴領域が形成された基板の部分は、研磨後に基板内に穴領域が残らないように、研磨工程において完全に除去される。
【0056】
穴領域は、第2表面の全体に亘って形成されて良い。この場合、基板の強度が、とりわけ信頼性をもって効率的に低減され得て、これによって研磨工程が更に容易になる。
【0057】
あるいは、穴領域は、第2表面の一部のみに形成されても良い。
【0058】
とりわけ、第1表面上に複数の分割線が存在して良い。分割線は、複数のデバイスを区画している。そして、穴領域は、分割線の実質的に反対側に位置する、第2表面の領域内にのみ、形成されていて良い。ここで、「実質的に」とは、分割線の反対側の、穴領域が形成された第2表面の領域が、分割線と同じ幅か、または分割線から±100μmまで外れた幅を有して良い、ということを規定している。
【0059】
基板の第1表面上に形成された分割線は、その延在方向と実質的に直交する方向において、30μmから200μmの範囲、好ましくは30μmから150μmの範囲、更に好ましくは30μmから100μmの範囲、の幅を有していて良い。
【0060】
分割線と実質的に反対側に位置する第2表面の領域のみに穴領域を形成することによって、デバイスが基板に適用されるパルス状のレーザービームによって損傷されずにデバイス領域内に形成される、ということが信頼性をもって保証され得る。
【0061】
とりわけ、穴領域のいくつかまたは全ては、パルス状のレーザービームによるデバイスに対する損傷のリスクなしで基板の厚みの全体に沿って延在するように、形成されて良い。この場合、それぞれの穴領域の改変領域内の空間は、基板の第2表面及び第1表面に開放する。
【0062】
穴領域を基板の厚みの全体に沿って延在するように形成することによって、分割線に沿って基板を切断する工程が、容易になる。具体的には、基板が効率的で信頼性のある態様で切断され得るように、分割線における穴領域の存在が、切断される基板部分において、当該基板の強度を低下させる。
【0063】
基板は、例えば、ブレードないし鋸のような機械的な切断手段を用いることによって、レーザー切断によって、プラズマ源を使用するようなプラズマ切断によって、切断されて良い。更には、これらのアプローチを組み合わせて使用されても良い。
【0064】
穴領域が基板の厚み全体に沿って延在するように形成される場合、例えば、分割線に沿った基板の機械的な切断がより効率的に、とりわけ高い処理速度で、実行され得る。例えば、ブレードないし鋸によるダイシングプロセスの場合においては、ブレードないし鋸のダイシング速度が極めて向上され得る。
【0065】
切断工程の後で、穴領域が基板の分割された部分に残っている場合、それらは、例えば結果物の基板部分、例えばチップまたはダイ、の外面または側面を研磨またはエッチングすることによって、続いて除去されて良い。
【0066】
基板の第2表面の研磨工程は、分割線に沿って基板を切断する前に実行されて良い。
【0067】
基板の第2表面の研磨工程は、分割線に沿って基板を切断した後で実行されても良い。とりわけ、基板は、分割線に沿って、穴領域を形成した後であって研磨工程の前に、または、穴領域を形成する工程及び研磨工程の前に、切断されて良い。この場合、好ましくは、切断工程は、穴領域を形成する工程の後であって研磨工程の前に、行われる。
【0068】
特には、分割線に沿って基板を切断する工程において、基板は、その厚みの一部に沿ってのみ切断されて良い。続いて、基板の第2表面を研磨する工程が、切断工程の前に行われる。
【0069】
研磨は、基板の厚みを、分割線に沿って基板が切断される深さに対応する厚みまで減少させるように、つまり切断工程において切断される深さまで減少させるように、行われて良い。この場合、分割線に沿った切断工程によって到達されなかった基板材料は、研磨工程において基板が分割線に沿って分割されるように、研磨工程において除去される。
【0070】
基板の第2表面の研磨は、このようにして、基板が研磨工程によって分割線に沿って分割されるように、切断工程において基板材料が除去されなかった基板の厚みの残りの部分に沿って実行されて良い。
【0071】
上述したようにして研磨工程において基板を分割することによって、基板は、とりわけ信頼性をもって正確で効率的に処理され得る。具体的には、分割線に沿って基板を切断する工程は、研磨前に、つまり基板の厚みが減少する前に、基板に対して実行される。それ故、少なくとも1本の分割線に沿った材料除去の間、例えば切断の間、例えば反りなどの基板のあらゆる変形が、信頼性をもって回避され得る。更に、少なくとも1本の分割線に沿った基板材料の除去の間に当該基板に作用する応力が顕著に減少され、チップまたはダイの、得られる強度の向上を許容する。できあがるチップまたはダイのあらゆる損傷、例えばクラックや裏面のチッピングが、防止され得る。
【0072】
更に、基板は、基板の厚さの一部のみに沿った少なくとも1本の分割線に沿って除去されるため、基板材料の除去工程の効率、とりわけ処理速度が、向上される。更に、基板材料の除去工程に使用される手段、例えば切断手段、の稼動寿命が、延長される。
パルス状のレーザービームは、分割線とは実質的に反対側の第2表面の領域における複数の位置にて、隣接する当該位置の間の距離、つまり隣接する位置の中心間の距離が、3μmから50μmの範囲、好ましくは5μmから40μmの範囲、より好ましくは8μmから30μmの範囲、であるように、基板に適用されて良い。複数の穴領域は、分割線の実質的に反対側の第2表面の領域において、隣接する穴領域の中心間の距離が、3μmから50μmの範囲、好ましくは5μmから40μmの範囲、より好ましくは8μmから30μmの範囲、であるように、形成されて良い。特に好ましくは、隣接する穴領域の中心間の距離は、8μmから10μmの範囲内である。
【0073】
穴領域は、互いに等距離で間隔を空けられていて良い。あるいは、隣接または近接する穴領域のいくつかまたは全ては、互いに異なる距離を有していて良い。穴領域は、分割線とは実質的に反対側の第2表面の領域において、1mm
2あたり400から100000個の範囲内、好ましくは1mm
2あたり600から50000個、さらに好ましくは1mm
2あたり1000から20000個の範囲内、の面密度で形成されていて良い。
【0074】
少なくとも1層のビームブロック層が第1表面上に存在していて良く、この少なくとも1層のビームブロック層は、第1表面から第2表面に向かう方向においてデバイスの下方に配置される。少なくとも1層のビームブロック層は、パルス状のレーザービームを透過しない。
【0075】
第1表面上にそのようなビームブロック層を設けることによって、パルス状のレーザービームによってデバイス領域内に形成されたデバイスに対するあらゆる損傷が信頼性をもって回避される、ということが信頼性をもって保証され得る。
【0076】
少なくとも1層のビームブロック層は、例えばパルス状のレーザービームを吸収または反射することによって、パルス状のレーザービームをブロックするように構成されている。
【0077】
少なくとも1層のビームブロック層は、例えば、金属層または金属高反射コーティングまたは誘電多層高反射コーティングなどの高反射コーティングであって良い。
【0078】
少なくとも1層のビームブロック層は、少なくともデバイス領域の全体に亘って延在していて良い。この場合、パルス状のレーザービームによる、デバイス領域内に形成されたデバイスに対するあらゆる損傷が、とりわけ単純で信頼性のある態様で回避され得る。
【0079】
複数の個別のビームブロック層が第1表面に存在していても良い。各ビームブロック層は、第1表面から第2方面に向かう方向において、それぞれのデバイスの下方に配置されている。この場合、ビームブロック層を形成するために必要とされる材料の量が著しく減少され得る。
【0080】
本発明による方法は、第2表面を研磨した後で第2表面を磨き上げる工程を更に備えていて良い。研磨工程の後で第2表面を磨き上げることによって、研磨時に基板内に生じたあらゆる応力が解放され得る。磨き上げる工程は、例えば、ドライ研磨工程、ウェット研磨工程、化学的機械的研磨(CMP)工程またはラッピング工程、であって良い。
【0081】
本発明による方法は、第2表面の研磨後に、第2表面をエッチングする工程を更に備えていて良い。研磨工程の後で第2表面をエッチングすることによって、研磨時に基板内に生じたあらゆる応力が解放され得る。エッチング工程は、プラズマエッチング工程などのドライエッチング工程、または、ウェットエッチング工程であって良い。
【0082】
更には、磨き上げる工程とエッチング工程との組み合わせが、研磨工程の後で基板の第2表面に適用されて良い。
【0083】
基板は、パルス状のレーザービームを透過する材料で作られていて良い。この場合、レーザービームが基板を透過することを許容する波長を有する、当該パルス状のレーザービームの適用によって、基板内に複数の穴領域が形成される。
【0084】
あるいは、複数の穴領域は、基板材料に吸収されるような波長を有するパルス状のレーザービームを適用することによって、基板内に形成されても良い。この場合、穴領域は、レーザーアブレーションによって形成される。
【0085】
例えば、基板がシリコン(Si)基板である場合、パルス状のレーザービームは、1.5μm以上の波長を有していて良い。
【0086】
パルス状のレーザービームは、例えば、0.5psから20psの範囲内のパルス幅を有していて良い。
【0087】
基板は、例えば、半導体基板、サファイア(Al
2O
3)基板、アルミナセラミック基板のようなセラミック基板、水晶基板、ジルコニア基板、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)基板、ポリカーボネート基板、光学結晶材料基板等であって良い。基板は、ここで挙げられた材料の1以上によって作られていても良い。
【0088】
とりわけ、基板は、例えば、シリコン(Si)基板、ガリウム砒素(GaAs)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、リン化ガリウム(GaP)基板、ヒ化インジウム(InAs)基板、リン化インジウム(InP)基板、炭化シリコン(SiC)基板、窒化ケイ素(SiN)基板、タンタル酸リチウム(LT)基板、ニオブ酸リチウム(LN)基板、サファイア(Al
2O
3)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板、酸化ケイ素(SiO
2)基板等であって良い。基板は、ここで挙げられた材料の1以上によって作られていても良い。
【0089】
基板は、例えばガラスウェハのようなガラス基板であっても良い。
【0090】
基板は、単一の材料で作られていても良く、または、異なる材料、例えば2以上の上述された材料、の組み合わせで作られていても良い。
【0091】
本発明による方法を用いて処理され得る基板の形状及び寸法については、何の制限もない。
【0092】
例えば、基板は、その上方から見て、円形または環状、楕円、矩形、正方形、半円または四分円のような円の一部、の形状を有していて良い。
【0093】
円形または環状の基板の場合には、基板は、例えば、約5.1cmから約30.5cm(2インチから12インチ)の範囲の直径を有していてい良い。正方形の基板の場合には、基板は、例えば、50×50mm
2から300×300mm
2の範囲の寸法を有していてい良い。
【0094】
研磨前の基板の厚みは、例えば、200μmから1500μmの範囲、好ましくは700μmから1000μmの範囲、であって良い。研磨後の基板の厚みは、例えば、30μmから200μmの範囲であってよい。
【0095】
基板の第1表面上のデバイス領域内に形成されるデバイスは、例えば、光学デバイス、半導体デバイス、電力デバイス、医療デバイス、電子部品、MEMSデバイスまたはこれらの組み合わせ、であって良い。
【0096】
パルス状のレーザービームは、フォーカシングレンズを用いて合焦させられ得る。フォーカシングレンズの開口数(NA)は、基板の屈折率(n)でフォーカシングレンズの開口数を割ることによって得られる値が0.05から0.2の範囲内であるように、設定され得る。これにより、穴領域がとりわけ信頼性をもって且つ効率的な態様で、形成され得る。