(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の概要
試料の改善された3D高さマップを作成する方法及び装置を提供することが望ましい。良好なZ解像度を有する、試料の3D高さマップを作成する方法及び装置を提供することも望ましい。表面構造から大方独立して、試料の3D高さマップを作成する方法及び装置を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの懸案事項のうちの1つ又は複数によりよく対処するために、本発明の第1の態様では、試料の表面上での複数の空間位置の高さを特定する方法が提供される。この方法は、
試料の表面上での複数の空間位置の高さを特定する方法であって、
光軸に直交する少なくとも2つの方向において周期性を有する空間パターンを有した光ビームを表面に投射するステップと、
空間パターンを異なる空間パターン位置に移動させるステップと、
異なる走査位置において光軸に沿って表面を走査するステップと、
走査位置において表面によって反射された光を検出するステップと、
表面の空間位置毎に検出される光から、走査位置に対応する強度値の包絡曲線を特定するステップと、
表面の空間位置の高さを表す包絡曲線の最大値及びそれに対応する走査位置を選択するステップと
を含み、
走査するステップは、空間パターン位置間の移動距離と、走査位置間の走査距離との間に一定の関係を有するように表面を走査し、
検出するステップは、走査位置に対応した空間パターン位置に応じた空間パターンを有する光を検出し、
空間パターンは、少なくとも2つの方向においてパターン波長を有する正弦波パターンであり、
移動させるステップは、開始空間パターン位置及び次の空間パターン位置に関して、
(a)1/4パターン波長という第1の移動距離だけ、空間パターンを開始空間パターン位置に対して第1の空間方向に相対的に移動させ、
(b)1/nパターン波長という第2の移動距離だけ、空間パターンを開始空間パターン位置に対して第2の空間方向に相対的に移動させて、次の空間パターン位置に移動させ、
(c)この次の空間パターン位置を開始空間パターン位置とすること
をn回繰り返すことによって、空間パターンを一連の2nステップ(n>2)で移動させる。
【0008】
正弦波空間パターンでは、光強度は、少なくとも2つのレベルで丸められ、デジタル化され得る。パターンはデジタル化ピクセルを含み得、各パターンには、少なくとも2つのピクセルでの波長が含まれる。
【0009】
この方法により、良好なZ解像度を有するとともに、表面構造から独立した試料の3D高さマップの作成が可能である。コントラスト包絡曲線は、異なる高さ及び反射率を有する近傍点や局所傾斜の影響を受けにくく、試料へのパターン化光ビームの投射及び/又は試料によって反射される光の検出において、使用される顕微鏡対物レンズの収差の影響も受けにくいように見える。
【0010】
ステップ(a)及び(b)の順序を逆にし得ることに留意する。第1の空間方向が第2の空間方向と異なることに更に留意する。特に、第1の空間方向は、第2の空間方向に対して傾斜する(ゼロ度とは異なる)。
【0011】
方法の一実施形態では、上記少なくとも2つの方向のそれぞれにおけるパターン波長は等しい。そのような等しいパターン波長を用いることで、試料の方向性構造からの影響が制限される。
【0012】
方法の一実施形態では、空間パターンは2つの直交する正弦波パターンを含み、k個の走査位置の場合、空間パターンの点(x,y)の強度I(x,y)は、
【数1】
として定義され、式中、
i=1,1,2,2,...,n,n
j=0,1,0,1,...
k=2i+j−1
である。
【0013】
方法の別の実施形態では、空間パターンは、互いに120°に向けられた3つの正弦波パターンを含み、k個の走査位置の場合、空間パターンの点(x,y)の強度I(x,y)は、
【数2】
として定義され、式中、
i=1,1,2,2,...,n,n
j=0,1,0,1,...
k=2i+j−1
である。
【0014】
方法の一実施形態では、連続する2つの空間パターン位置間を移動する時間期間及び連続する2つの走査位置間を移動する時間期間は等しい。したがって、空間パターン位置に達するときは常に、同時に走査位置に達することができ、それにより、表面の各空間位置で光検出器によって検出される光の強度値は、対応する走査位置でも取得されることになり、それにより、取得時間が最小化される。
【0015】
方法の一実施形態では、走査移動は連続移動、特に均等な移動(例えば、等速移動、等間隔移動等)である。ある走査位置から更なる走査位置に移動する、連続した、好ましくは均等な走査移動中、空間パターンの位相は、第1の空間方向と第2の空間方向において交互に変わり、それにより、あらゆる走査位置において、所定位相の空間パターンが設定され、試料の表面によって反射される光が検出される。連続し、好ましくは均等な走査移動は、短いデータ取得時間を提供する。
【0016】
方法の一実施形態では、包絡曲線の最大値を選択するステップは、包絡線の重心を計算することを含む。
【0017】
方法の一実施形態では、光ビームは、光パルスが移動する空間パターンの位相と同期されるストローブ光ビームである。
【0018】
感度の増大を提供する方法の一実施形態では、表面の各空間位置で検出される光から特定される各強度値は、光強度が検出されたときに発せられた、空間パターン上の対応する空間位置の光強度に基づいて、加重係数で乗算される。
【0019】
方法の一実施形態では、局所コントラストが、波長の半分だけ、又は波長の半分に波長の倍数を足したものだけ隔てられた空間位置での強度値の差に基づいて計算される。各空間位置及び走査位置のこれらの局所コントラスト値から、強度値から包絡曲線を特定する方法と同一の方法を用いて、包絡曲線が特定される。
【0020】
本発明の第2の態様では、特に本発明による方法を実行するための、試料の表面上での複数の空間位置の高さを特定する装置が提供される。この装置は、
光軸に直交する少なくとも2つの方向において周期性を有する空間パターンを有した光ビームを表面に投射するように構成される光ビームプロジェクタと、
異なる走査位置において光軸に沿って表面を走査するように構成されるスキャナと、
走査位置において表面によって反射された光を検出するように構成される光検出器と、
表面の空間位置毎に光検出器によって検出される光から、走査位置に対応する強度値の包絡曲線を特定し、包絡曲線の最大値及びそれに対応する走査位置を選択し、表面の空間位置の高さを計算するように構成される処理ユニットと
を含み、
光ビームプロジェクタは、表面に投射する光ビームの空間パターンを異なる空間パターン位置に移動させ、
スキャナは、空間パターン位置間の移動距離と、走査位置間の走査距離との間に一定の関係を有するように表面を走査し、
光検出器は、走査位置に対応した空間パターン位置に応じた空間パターンを有する光を検出し、
空間パターンは、少なくとも2つの方向においてパターン波長を有する正弦波パターンであり、
光ビームプロジェクタは、開始空間パターン位置及び次の空間パターン位置に関して、
(a)1/4パターン波長という第1の移動距離だけ、空間パターンを開始空間パターン位置に対して第1の空間方向に相対的に移動させ、
(b)1/nパターン波長という第2の移動距離だけ、空間パターンを開始空間パターン位置に対して第2の空間方向に相対的に移動させて、次の空間パターン位置に移動させ、
(c)この次の空間パターン位置を開始空間パターン位置とすること
をn回繰り返すことによって、空間パターンを一連の2nステップ(n>2)で移動させる。
【0021】
本発明のこれら及び他の態様が、以下の詳細な説明を参照し、同様の参照符号が同様の部分を示す添付図面と併せて考慮されることにより、よりよく理解されるため、より容易に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
【
図1】本発明による装置の一実施形態を概略的に示す。
【
図3】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一実施形態を示す。
【
図4a】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4b】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4c】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4d】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4e】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4f】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4g】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図4h】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの一連の強度分布である。
【
図5a】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5b】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5c】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5d】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5e】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5f】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5g】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図5h】本発明による方法及び装置の一実施形態で使用される二次元照明パターンの別の強度分布シーケンスである。
【
図6a】単一のピクセルの光検出器によって生成される測定強度信号を示す。
【
図6b】
図6aによる測定強度信号からそれぞれ計算される包絡関数/包絡曲線を示す。
【
図6c】単一のピクセルの光検出器によって生成される測定強度信号を示す。
【
図6d】
図6bによる測定強度信号からそれぞれ計算される包絡関数/包絡曲線を示す。
【
図7】本発明による装置の更なる実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態の詳細な説明
図1は、試料8の三次元3D高さマップを形成する装置1を示す。装置1は、光ビーム3を生成するように構築され構成される光源2を含む。光ビーム3の経路に、空間光変調器4、レンズ5、及びビームスプリッタ6が配置される。装置1は、光ビーム3を受け取り、伝導するように構成される対物レンズ7と、上面9の高さマップを特定すべき試料8を担持する支持体20とを更に含む。装置1には、第2のレンズ10と、受光した光ビーム3の入射光の強度を信号に変換するようにそれぞれ構成される光検出素子のアレイを含む二次元光検出器11(カメラ等)とが更に設けられる。信号は処理ユニット12に送信され、処理ユニット12は、好ましくは、装置1を制御するとともに、信号データを処理して、上記高さマップを提供するようにプログラムされるコンピュータ又はコンピュータシステムによって形成される。対物レンズ7は、
図1に示されるように、+又は−Z方向に試料8を走査するように構成し得る。これに追加又は代替として、試料8は、+又は−Z方向に試料8を移動させることによっても走査し得る。後者の移動は、支持体20を移動させることによって実行し得る。また、これに追加又は代替として、光源2、空間変調器4、レンズ5、ビームスプリッタ6、対物レンズ7、第2のレンズ10、及び光検出器11を含む顕微鏡組立体をまとめて、試料8及びその支持体20に対して相対的に移動させることで、異なる走査位置を含む走査機能を得ることができる。
【0024】
空間光変調器4は、光ビーム3の光軸に直交する相互に異なる単一の方向に移動可能な、パターンが変化しないグレーティングを含み、移動空間パターンを有する光ビーム3を生成することができる。空間光変調器4の代わりに、ストリップアレイ、走査ミラー装置、レーザ走査プロジェクタ等を有するデジタルマイクロミラー装置、DMD、反射型又は透過型液晶装置、LCD、液晶オンシリコン、LCoS、デバイス、発光デバイス、LEDにおいて実施されるような、利用可能なマイクロディスクプレイ技術を使用し得る。
【0025】
所望の周期性空間パターンを得るために、幾つかの実施形態では、異なる一次元正弦パターンが連続して投射され、ハードウェア又はソフトウェアによって結合され、本明細書において評価が特定される同じ多次元パターンを効率的に与える。
【0026】
光源2によって生成される光ビーム3は、空間光変調器4を経て、レンズ5を通って進行してビームスプリッタ6に達し、ビームスプリッタ6は光ビーム3を対物レンズ7に向け、次に、対物レンズ7は光ビーム3を試料8の表面9に向ける。試料8によって反射される光ビーム3は、対物レンズ7、ビームスプリッタ6、及び第2のレンズ10を通って移動し、光検出器11に入射する。
【0027】
図2は、試料の3D高さマップを特定する方法を示す流れ図を示す。
【0028】
ステップ200において、光ビームは試料の表面に投射される。光ビーム3は、光ビーム3の光軸に直交する少なくとも2つの方向において周期性を有する空間パターンを有する。
【0029】
ステップ210において、空間パターンは、後述するように、ある空間パターン位置から異なる空間パターン位置に移動する。
【0030】
ステップ220において、試料8の表面は、ある走査位置から次の走査位置に光軸に沿って走査される。ステップ220は、ステップ210と略連続して、重複して、又は同時に実行し得る。以降の空間パターン位置間の移動距離と、以降の走査位置間の走査距離との間には、一定の関係がある。
【0031】
ステップ230において、対応する空間パターン位置を有する走査位置において、試料の表面によって反射された光が検出される。この検出により、光ビーム3の空間パターンによって変調される、試料8の表面9上の位置での光強度データが生成される。強度データは、評価のために記憶される。
【0032】
ステップ240において、異なる空間パターン位置及び対応する走査位置に対して、ステップ200〜230を繰り返すべきか否かが判断される。「はい」で示されるように、繰り返すべき場合、フローはステップ200に続く。「いいえ」で示されるように、繰り返すべきではない場合、フローはステップ250に続く。繰り返しの判断は、以降の走査位置間の走査距離を考慮に入れて、試料8の合計(予期)高さ範囲に基づいて行われる。
【0033】
ステップ250において、全ての走査位置での強度データを収集すると、走査位置に対応する強度値の包絡曲線が、表面9の各空間位置で検出された光から求められる。
【0034】
ステップ260において、表面9の空間位置の高さを表す包絡曲線の最大値及びそれに対応する走査位置が、特定される。
【0035】
空間光変調器4は、複数の方向において周期性を有する空間パターンを生成するか、又は幾つかの単方向パターンからそのようなパターンを構成するように構成される。空間パターンは、上記少なくとも2つの方向においてパターン波長を有する正弦波パターンである(ステップ200参照)。
【0036】
ステップ210に付け加えて、空間パターンは2nステップ(n>2)のシーケンスで移動する。空間パターンは、開始空間パターン位置及び次の空間パターン位置に関わる以下のステップ(a)〜(c)、すなわち、
(a)1/4パターン波長という第1の移動距離だけ、第1の空間方向に空間パターンを開始空間パターン位置に対して相対的に移動させるステップと、
(b)1/nパターン波長という第2の移動距離だけ、第2の空間方向に空間パターンを開始空間パターン位置に対して相対的に移動させて、次の空間パターン位置に移動させるステップと、
(c)この次の空間パターン位置を開始空間パターン位置とするステップと、
をn回繰り返すことによって移動する。
【0037】
そのような空間パターンを単一方向にだけ移動させる場合、空間パターンを第1の空間方向に移動させると、空間パターンの一定位相に起因する、最小コントラスト線が出現する。この欠点に対処するために、空間パターンは、上記単一方向(第2の空間方向)での各ステップ後に、第1の空間方向においてその波長の1/4(λ/4)だけ移動する。あるいは、空間パターンは、上記単一方向での各ステップ前に、第1の空間方向においてその波長の1/4だけ移動することができる。これにより、合計で2nステップ後に空間パターンが繰り返されることになる。空間パターンのこの移動中、空間パターンが投射される試料8は、Z方向において、好ましくは単調に移動する。画像が、空間パターンの各ステップにおいて画像検出器11によって撮影され、それと併せて、試料8の対応するZ位置が記録される。
【0038】
以下において、空間光変調器4でのX、Y位置は(x,y)で示され、試料8での対応する投射位置は(x’,y’)で示され、画像検出器での対応する投射画像の座標は(x’’,y’’)で示される。
【0039】
第1の例として、空間パターンは、正弦波の市松模様として説明することができる2つの直交する正弦波パターンを含み得る。第2の例として、空間パターンは、互いに120°で投射される3つの正弦パターンを含み得る。
【0040】
そのような正弦パターンでは、光強度は、少なくとも2つのレベルで丸められ、デジタル化することができる。
【0041】
空間パターンを正弦波の市松模様として説明することができる2つの直交する正弦波パターンを含む第1の例によれば、例えば、光源2と空間光変調器4との組み合わせ等のデジタル照明装置のピクセルの位置を表す、X、Y直交座標系での周期パターンの強度I(x,y)は、以下の式(1)で表現されるように書くことができる。
【数3】
式中、λは、x方向及びy方向で同じものとして測定される波長である。すなわち、λは、x及びyの単位でパターンが繰り返される周期である。強度I(x,y)は0〜1でスケーリングし得るが、任意の係数で乗算することができる。一例として、I(x,y)は255で乗算することができ、そしてあらゆる値を最近傍の整数値に丸めて、8ビット2進数で強度を表すことができる。
【0042】
式(1)によるパターンは、市松模様のパターンの正弦波版としてみなすことができる。一例として、1〜360の範囲のx、yを有するとともに、72x、y単位の波長λを有するパターンを
図3に与える。
【0043】
2nステップ(n>2)の周期シーケンスは、式(2)に従って定義することができる。
【数4】
式中、
i=1,1,2,2,...,n,n
j=0,1,0,1,0,...
である。
【0044】
n=4及び投射数k=2i+j−1の場合、画像検出器11に投射されるk個の画像のシーケンスでは、表1に示されるように、以下の値のi及びjが上記に従ってとられる。
【0046】
一例として、
図4a〜
図4hは、8ステップシーケンス(n=4)及び16×16グリッド上のピクセル8個の波長λの場合の強度分布を示す。
図4a〜
図4hの場合、それぞれk=1〜8であり、8個の異なる走査位置がある。
図4a〜
図4hに示されるk=1〜8の空間パターンのシーケンスを繰り返すことで、更なる走査位置をとり得る。
【0047】
この例では、シーケンスk=1−3−5−7(
図4a、
図4c、
図4e、
図4gのそれぞれ)は、ステップπ/2でのX方向での位相シフトを表す。シーケンスk=2−4−6−8(
図4b、
図4d、
図4f、
図4hのそれぞれ)も、ステップπ/2でのX方向での位相シフトを表す。シーケンスk=1−3−5−7が最小コントラストを提供するY位置(y=2、6、10、14)では、シーケンスk=2−4−6−8はコントラストが最大になり、一方、シーケンスk=1−3−5−7が最大コントラストを提供するY位置(y=4、8、12、16)では、シーケンスk=2−4−6−8はコントラストが最小になる。
【0048】
さらに、シーケンスk=1−2−5−6は、ステップπ/2でのY方向での位相シフトを表す。シーケンスk=3−4−7−8は、シーケンスk=1−2−5−6が最小コントラストを提供するX位置(x=4、8、12、16)で最大コントラストを提供し、一方、シーケンスk=3−4−7−8は、シーケンスk=1−2−5−6のコントラストが最大コントラストを提供するX位置(x=2、6、10、14)で最小コントラストを提供する。
【0049】
対称軸の数を更に増大することが有利であり得る。これは、120°以下に向けられた3つの正弦パターンを追加することによって行うことができる。第2の例によれば、空間パターンは、互いに対して120°に投射される3つの正弦パターンを含む。
【0050】
次に、2nステップ(n>2)の周期シーケンスは、式(2a)に従って定義することができる。
【数5】
式中、
i=1,1,2,2,...,n,n
j=0,1,0,1,0,...
である。
【0051】
パターンは投射されるため、式(2a)によって与えられる強度値は、例えば0〜1の間で、又は8ビット尺度で0〜255の間で正規化することができる。
【0052】
n=4及び投射数k=2i+j−1の場合、画像検出器11に投射されるk個の画像のシーケンスでは、表2に示されるように、以下の値のi及びjが上記に従ってとられる。
【0054】
一例として、
図5a〜
図5hは、8ステップシーケンス(n=4)及びピクセル8個の波長λの場合の強度分布を示す。
図5a〜
図5hの場合、それぞれk=1〜8であり、8個の異なる走査位置がある。
図5a〜
図5hに示されるk=1〜8の空間パターンのシーケンスを繰り返すことで、更なる走査位置をとり得る。
【0055】
画像の記録された強度の評価において、その他の空間方向に直交する同じシフトを有する強度への関係が考慮される。これは、偶数のk番号を有する画像の場合はすべて、偶数のk番号を有する画像のみに関連することを意味する。同じことが奇数のk番号を有する画像に対しても当てはまる。
【0056】
信号のこれらのサブセットでは、欧州特許出願公開第2327956 A1号に記載される任意の方法を使用することができる。
【0057】
これらの2つのサブセットは、画像番号kの関数として、画像平面でのあらゆる(x’’,y’’)座標の包絡曲線関数値が得られるように結合される。
【0058】
一例として、包絡関数E
cは、式(3)に従って引用文献[1]と同様に定義することができる。
【数6】
別の例は、式(4)に従って引用文献[2]に記載される7ステップインターフェログラムアルゴリズムを使用する。
【数7】
【0059】
ここで、kは投射数であり、z
kは試料8の対応するZ座標である。
【0060】
図6aでは、kが奇数の投射の場合には測定のコントラストが最大となり、kが偶数の投射の場合には測定のコントラストが最小となるような、ある単一ピクセルの「信号」(強度データ)を示す。
図6cは、kが偶数及び奇数の何れの投射でも、測定のコントラストが中間である場合の信号強度データを提供する。
図6b、
図6dは、式(3)によって計算される各包絡関数を提供する。
【0061】
最後に、包絡関数の最大値に関連する走査位置が特定される。この位置は表面9の高さを表す。
【0062】
最大値を特定する一可能性は、重心を計算することによるものである。これは、kが奇数及び偶数の両方の投射での測定結果の加重平均を考慮に入れる。重心z(x,y)は式(5)によって与えられる。
【数8】
【0063】
式中、k
mは、E
cの最大値に対応する位置指標であり、rは、包絡関数が背景雑音よりもはるかに大きい範囲である。
【0064】
ピークフィッティング関数がz(x,y)の特定に使用される場合、まず、式(6)に従って偶数及び奇数のk投射の測定値を結合することにより、E
cの値を平滑化することができる。
【数9】
【0065】
これは式(7)に従って近似することができる。
【数10】
各空間位置で結果として得られるZの数値を結合して、表面9の高さマップを形成する。
【0066】
位相高感度変更では、捕捉された強度を、あらゆるZステップ(走査ステップ)で式(8)によって与えられる加重係数W(x’’,y’’)で乗算することにより、方法の感度を増大させることができ、X及びY座標並びに波長は画像平面を指し、投射強度のX、Y座標に対応する。画像平面での加重係数は、式(8)に従って定義される。
【数11】
式中、λ’’は、画像検出器11での空間パターンの有効波長である。
【0067】
ここで、位相高感度振幅関数A
psを式(9)に従って定義することができる。
【数12】
式中、
i=1,1,2,2,...,n,n
j=0,1,0,1,...
k=2i+j−1
である。
【0068】
この関数A
psから、最大値をZ座標の近似としてとることができるか、又は一次近似としてとることができ、その後、関数E
PS=(A
ps)
2が計算され、これは、例えば、式(5)を適用することによって包絡関数として扱われる。
【0069】
この方法は、異なる反射率を有し、試料8の表面9上の焦点からずれている(x’,y’)点の測定値に影響するような、測定すべき試料8上の近傍点の影響を低減する。この方法は、異なる位相を有する近傍点の影響を低減する。
【0070】
位相高感度方法の別の言い回しは、任意の強度差(I(x’’,y’’,z
k)−I(x’’,y’’,z
k+4))を、試料8に合焦されているときに有することができる最大の変調で重み付けすべきであるということである。これは、I(x’’,y’’,z
k)−I(x’’,y’’,z
k+4)を含む任意の項を加重することに等しい。
【0071】
グリッド上の(x,y,k)と検出器での(x’’,y’’,z
k)との対応は、別個の較正により、例えば、光学平面を測定し、最大変調深度近傍の位相を測定することにより、確立することができる。n=4の場合、位相は式(10)でのように定義することができる。
【数13】
これから、k=0及びk=1での位相を、偶数及び奇数の測定値のそれぞれから特定することができる。試料の高さの関数としての位相では、式(11)
【数14】
が、kが偶数及び奇数のそれぞれで当てはまる。
【0072】
φ
0(x’’,y’’)が、偶数及び奇数の測定値に特定されると、cos(φ(x’’,y’’,z
k))を、他の表面の以降の測定値での加重関数W(x’’,y’’,z)として使用することができる。この加重関数は、フーリエ領域での2Dフィルタリングによって平滑化することができる。
【0073】
この方法は、レンズ焦点法(SFF:Shape-From-Focus)として知られている、引用文献[3]に記載されているようなコントラスト検出方法と組み合わせることもできる。一例として、強度I(x’’,y’’,z
k)の代わりに、式(12)に従ってコントラスト振幅A
sffを定義することができる。
【数15】
【0074】
これは、引用文献[3]において式(16)として定義されるラプラス演算子に類似する。引用文献[4]での式(3)では、絶対値がとられ、本開示によれば、絶対値をとることは、A
SFF(x’’,y’’,Z
k)=−A
SFF(x’’,y’’,z
k+4)であるため、位相シフト及びコントラスト法の利点を損ない、これは、式(3)及び(5)を適用する場合に使用される。
【0075】
式(3)において強度I(x’’,y’’,z
k)をとることとの違いは、ここでは、パターンで照明されるX−Y平面での画像自体での変調が、Zの関数としてみなされることである。これは、式(3)での強度I(x’’,y’’,z
k)の適用により、小さく雑音の多い信号が与えられるおそれがある明るい環境での小さな暗いスポットに、よりよい信号を与えることができる。
【0076】
式(12)によるコントラスト関数は、式(2)でのようにシフトされ、包絡線検出方法である式(3)〜(6)を用いて評価される式(1)で定義されるようなパターンと共に使用し得る。
【0077】
周囲と同じくらい明るい点の場合、式(3)を強度に適用すると、その最大値での信号が近傍点の強度及び高さに依存しないため、より高いZ精度及びより高い(x,y)解像度が与えられ得る。また、局所ピーク又は高傾斜エリアでは、式(10)の適用は、式(3)において強度を直接とるよりも悪い信号が与えられ得る。
【0078】
点がλ/2だけ隔てられた状態でのコントラストをとる代わりに、点がλ/2+n・λだけ離れた状態でのコントラストも同様にとることができる。E
c及びA
SFFの相対信号強度に基づいて、いずれかから導出されるZ値又は加重結合を最終値としてとることができる。
【0079】
このコントラスト計算ではまた、強度変調を加重することもでき、したがって、強度変調が発生し得ない場所では変調を測定しなくてもよい。
【0080】
画像検出器11の一露出時間内で一次元正弦パターンを連続して投射することにより、
図4a〜
図4h及び
図5a〜
図5hにあるようなパターンを得ることができることに留意する。例えば、式(2)は式(13)に従って書き換えることができる。
【数16】
【0081】
ここで、式(13)では、A及びBは一次元正弦パターンを表している。試料8がZ方向に移動している間、これらが画像検出器11の一露出時間内で連続して投射される場合、効率的に同じパターンが画像検出器11によって捕捉される。有効なZ座標として、2つの捕捉画像の平均Z位置を、有効多次元正弦パターンに寄与する値としてとらなければならない。
図7に示されるように、異なる向き方向を有する2つの正弦空間パターン4、14を結合することによっても、同じ効果を達成することができる。この場合、空間パターンは、LCDディスプレイ又は同様の2D投射装置と比較して、単一方向でより容易に生成し移動させることができる、光源2、13によってそれぞれ照明されるハードウェアグレーティングからなることができる。
【0082】
上述したように、試料の表面上の複数の空間位置の高さを特定する方法及び装置では、光ビームが表面に投射される。光ビームは、光ビームの光軸に直交する少なくとも2つの方向において正弦空間パターンを有し、空間パターンは異なる空間パターン位置に移動する。表面は、異なる走査位置において上記光軸に沿って走査される。これら空間パターン位置の移動及び走査位置の走査において、以降の空間パターン位置間の移動距離と、以降の走査位置間の走査距離との間に一定の関係が存在する。表面によって反射される光は、走査位置において検出され、空間パターンは対応する空間パターン位置を有する。表面の空間位置毎に検出される光から、走査位置に対応する強度値の包絡曲線が特定される。表面の空間位置の高さを表す、包絡曲線の最大値及びそれに対応する走査位置が選択される。空間パターンは、1/4パターン波長距離及び1/nパターン波長距離のそれぞれにわたり、第1の空間方向及び第2の空間方向において一連の2nステップ(n>2)で移動する。
【0083】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、開示される実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明を様々な形態で実施可能なことを理解されたい。したがって、本明細書に開示される特定の構造的詳細及び機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲のベースとして、且つ略あらゆる適切な詳細の構造で本発明を様々に利用することを当業者に教示するための代表的なベースとして解釈されるべきである。さらに、本明細書において使用される用語及び語句は、限定を意図せず、むしろ、本発明の理解可能な説明を提供することを意図する。
【0084】
本明細書において使用される場合、「a」/「an」という用語は、1つ又は2つ以上として定義される。本明細書において使用される場合、複数という用語は、2つ又は3つ以上として定義される。本明細書において使用される場合、別という用語は、少なくとも第2又は第3以上として定義される。本明細書において使用される場合、含む及び/又は有するという用語は、包含する(すなわち、他の要素又はステップを除外しないオープンランゲージ)として定義される。特許請求の範囲での任意の参照符号は、本発明の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0085】
特定の手段が、相互に異なる独立クレームで列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0086】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において列挙される幾つかのアイテムの機能を満たし得る。
【0087】
コンピュータプログラムという用語は、1つ又は複数のコンピュータシステムで1つ又は複数のプロセッサによって実行されるように設計される命令シーケンスとして定義される。プログラム、コンピュータプログラム、又はソフトウェアアプリケーションは、サブルーチン、関数、プロシージャ、オブジェクトメソッド、オブジェクトインプリメンテーション、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/動的ロードライブラリ、及び/又はコンピュータシステムで実行されるように設計される他の命令シーケンスを含み得る。
【0088】
コンピュータプログラムは、光学記憶媒体又は他のハードウェアと共に、若しくはその一部として供給される個体状態媒体等の適する媒体に記憶し、且つ/又は分配することができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するなど、他の形態で分配し、且つ/又は実行することもできる。