(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6502258
(24)【登録日】2019年3月29日
(45)【発行日】2019年4月17日
(54)【発明の名称】圧力変動の影響を減少させる手段を備える投影露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20190408BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-540078(P2015-540078)
(86)(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公表番号】特表2015-535096(P2015-535096A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2013069575
(87)【国際公開番号】WO2014067707
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年8月29日
(31)【優先権主張番号】102012219806.7
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/720,079
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】グルナー トラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ブライディステル サシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハルトイェス ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュワブ マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハウフ マルクス
【審査官】
新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−082625(JP,A)
【文献】
特開平09−106944(JP,A)
【文献】
特開平06−275494(JP,A)
【文献】
特開2009−152597(JP,A)
【文献】
特開2009−182326(JP,A)
【文献】
特開2003−347194(JP,A)
【文献】
特開2009−141349(JP,A)
【文献】
特表2010−517310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体リソグラフィのための投影露光装置(10)であって、
可動マスクステージ(2)上に配置されるマスク(3)を照明するための照明システム(1)を備え、
前記マスク(3)を半導体基板(9)上に結像させるための投影レンズ(4)を備える投影露光装置(10)において、
前記投影レンズ(4)または前記照明システム(1)を囲む媒体中の圧力変動の影響から、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)の少なくとも部分を少なくとも部分的に分離するために、少なくとも1つの手段(11、14、44、20、17、42、15、19)が存在し、前記圧力変動が前記装置(10)の動作期間の前記マスクステージ(2)の移動に起因し、
前記マスクステージ(2)に最も近い、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)の光学要素(13、41)が、機械的な分離および/またはアクチュエータを用いた動作により、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)に対して移動し得るものであり、
前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)の光学要素が、操作可能なやり方で、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)に接続され、
前記マスクステージ(2)の移動に起因する音波を考慮して、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)の前記光学要素(13’、41’)を移動させるために少なくとも1つの手段(17、42)が存在する
ことを特徴とする、投影露光装置(10)。
【請求項2】
少なくとも1つの手段が、前記マスクステージを囲む閉鎖空間(11)であることを特徴とする、請求項1に記載の投影露光装置(10)。
【請求項3】
前記マスクステージを囲む前記閉鎖空間(11)が、吸音が空気の吸音よりも大きいガスで充填されることを特徴とする、請求項2に記載の投影露光装置(10)。
【請求項4】
周囲と比較して減少した圧力が前記閉鎖空間(11)内で行き渡ることを特徴とする、請求項2または3に記載の投影露光装置(10)。
【請求項5】
前記マスクステージ(2)に最も近い、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)の光学要素(13、41)が、前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)に対して少なくとも部分的に機械的に分離されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の投影露光装置(10)。
【請求項6】
前記光学要素(13、41)が平行なばね構成(20)によって、少なくとも部分的に機械的に分離されることを特徴とする、請求項5に記載の投影露光装置(10)。
【請求項7】
前記光学要素が、各々の場合に、前記マスクステージ(2)に最も近い光学要素(13、13’、41、41’)であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の投影露光装置(10)。
【請求項8】
少なくとも部分的に、前記投影レンズ(4)の空間領域について、前記マスクステージの移動に起因する音波を中和するのに好適な、少なくとも1つの音発生ユニット(19)が存在することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の投影露光装置(10)。
【請求項9】
ペリクル(15)が、前記マスクステージ(2)と前記照明システム(1)および/または前記投影レンズ(4)との間に配置されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の投影露光装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システム、マスクステージ、投影レンズ、およびウェハステージを備える、半導体基板上に構造をリソグラフィで生成するための、投影露光装置内の圧力変動の影響を減少させる手段に関する。
【背景技術】
【0002】
投影露光装置は、一般的に半導体材料からなるウェハタイプの基板上にマイクロ構造およびナノ構造を生成するために使用され、用語「ウェハ」は、ここで、同義語として使用される。この目的で、ウェハは、典型的には感光層がもうけられており、光ビームの経路中に導入されるマスクによって光学的に変調される電磁放射でターゲットにされるやり方で照射される。露光プロセス期間に、マスクはマスクステージにより保持され、ウェハは、典型的にはウェハステージにより保持されてよい。
投影露光装置は、放射源からの電磁放射を調整するための照明システム、および半導体基板上にマスク平面の電磁場を光学的に結像させるために使用される投影レンズを備える。
リソグラフィプロセス中の重要なパラメータは、投影露光装置の光学的結像品質である。というのは、ウェハ中に生成されるマイクロ構造およびナノ構造の品質は、生じる光学的結像によって、大きく影響されるからである。しかし、高品質な光学的結像を得るためには、特に、狭い許容範囲に適合することも必要である。許容範囲は、一般的に、個々の光学構成要素の材料特性および幾何学的特性、ならびに個々の光学構成要素の互いに対する位置の両方に関係する。個々の光学構成要素としては、具体的には、光学レンズ要素、鏡、およびフィルタが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
投影露光装置の使用期間に、機械的な振動がシステムに関与する可能性があり、そこで、光学的結像は、悪影響を受ける可能性がある。特に、個々の光学構成要素および上位の組立体は、機械的な振動により動かされ、それらの理想的な位置に対してずらされる可能性がある。個々の光学構成要素が機械的な振動のために変形され、その結果、光学構成要素の光学特性が望ましくないやり方で変調される状況も発生しうる。前記個々の構成要素およびその上位の組立体の光学特性は、特に、投影露光装置を通過する電磁放射の偏光の影響も含みうる。
【0004】
現在の投影露光装置は、いわゆるスキャンモードで動作し、スキャンモードでは、投影レンズの光学的結像スケールにしたがって、マスクおよび半導体基板が同期して移動される。ここで、移動に必要な時間を節約するために、マスクおよびウェハは、場合によっては、大きく加速もされる。マスクおよび/またはウェハを囲む媒体中で、そのような移動は、その後投影露光装置に伝達されうる、圧力変動を引き起こす場合がある。したがって、圧力変動の影響の現れは、スキャンモードで動作する投影露光装置でやはり強められる可能性がある。
一般的に、光学的結像品質への圧力変動の影響は、いくつかのパラメータに依存し、とりわけ、投影露光装置の設計がやはり重要な部分を務める場合がある。投影露光装置への圧力変動の直接の影響は、例えば、機械的な振動モードにより記載されうる。
同様に、圧力変動の大きさは、やはり多数のパラメータに依存する場合がある。特に、ウェハの直径が、やはり比較的大きな影響を有する場合がある。というのは、スキャンプロセス期間に、比較的大きな加速が生じる場合があるからである。例として、およそ450nmの直径を有するウェハでさえ、高い光学的結像品質と関連付けて使用されることが可能であることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、投影露光装置上の圧力変動の影響を減少させるための、回避する手段または減少する手段の目的に基づく。それによって、意図されるのは、リソグラフィの露光期間の、光学的結像品質の最適化を得ることである。
この目的は、請求項1の特徴を備える装置によって、本発明にしたがい達成される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態および変形形態に関する。
本出願は、独国特許出願第102012219806.7号および米国特許出願第61/720,079号の優先権を主張し、その両方の内容は、本出願の全範囲に対し、本明細書で参照により組み込まれる。
本発明の趣旨の範囲内で、半導体リソグラフィ用の投影露光装置は、可動マスクステージ上に配置されたマスクを照明するための照明システムと、マスクをウェハ上に結像させるための投影レンズとを備えることができる。圧力変動の影響を減少させるために、投影レンズまたは照明システムを囲む媒体中の圧力変動の影響から、照明システムおよび/または投影レンズの少なくとも部分を少なくとも部分的に分離する手段を使用することが、有利なことに可能であって、前記圧力変動は、装置の動作期間のマスクステージの移動に起因する。
投影露光装置は、例えば、マスクステージを囲む閉鎖空間を形成する手段を備えることができる。
【0006】
さらに、投影露光装置内で、マスクステージを囲む空間、特に、上に議論された閉鎖空間は、空気の吸音よりも吸音が大きいガスで充填されてよい。吸音が減少した結果として、意図することは、圧力変動が低減された強さで伝播し、投影露光装置への影響が小さく保たれることである。
本発明にしたがう投影露光装置の場合、周囲と比較して減少した圧力が閉鎖空間内で行き渡ることができ、そのため、圧力変動の伝播は、この手段で減少されることになる。
本発明による投影露光装置の場合、特に、マスクステージに最も近い、照明システムおよび/または投影レンズの光学要素は、照明システムおよび/または投影レンズに対して少なくとも部分的に機械的に分離されてもよい。
圧力変動の影響を最小化するために、投影露光装置の場合、例えば、マスクステージに最も近い、照明システムおよび/または投影レンズの光学要素は、操作可能なやり方で、照明システムおよび/または投影レンズに接続されてもよい。
特に、マスクステージの移動に起因する音波を考慮して、マスクステージに最も近い光学要素、さもなければ照明システムおよび/もしくは投影レンズのなんらかの他の光学要素を移動させるために手段が存在してもよい。
1つの有利な投影露光装置では、投影レンズの空間領域について、少なくとも部分的に、マスクステージの移動に起因する音波を中和するのに好適な、音発生手段が存在してもよい。
さらに、ペリクル、すなわち薄く光学的にほとんど中性の膜が、マスクステージと照明システムおよび/または投影レンズとの間に配置されることによって、遮蔽が達成されてもよい。そのようなペリクルは、通常は、半導体リソグラフィ装置内の汚染に対する遮蔽として使用される。有利な二重の効果、すなわち、汚染に対する遮蔽および機械的な分離がこうして達成されうる。
本発明にしたがう投影露光装置の場合、圧力変動の影響を減少させる手段は、特に、組み合わせて使用されることが可能でもあるように意図される。
本発明の1つの例示的な実施形態が、図面を参照して、下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】振動が励振される場合の、投影レンズを備える投影露光装置を示す図である。
【
図2】マスク封止部を有する投影露光装置を示す図である。
【
図3】可撓性の取り付け部を有する投影露光装置を示す図である。
【
図3a】可撓性の取り付け部の1つの可能な実施形態を示す図である。
【
図4】能動的な操作部を有する投影露光装置を示す図である。
【
図5】ペリクルを有する投影露光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、照明システム1、マスク3を備えるマスクステージ2、3つの光学ユニットグループ5、6、7を備える投影レンズ4、および半導体基板9を備えるウェハステージ8を備える、従来技術にしたがう投影露光装置10を概略的に示す。この場合、いわゆるスキャン動作では、マスク3および半導体基板9は、光学的結像スケールにしたがって同期して動かされる。ここで図示される投影レンズ4は、
図1に示されるように、投影ビームの折り曲げが光学ユニットグループ6により実施される、反射屈折システムとして具現化される。この場合、もちろん本発明は、反射屈折システムに制限されない。
投影レンズ4の振動モードは、特にスキャンプロセス期間に、マスクステージ2の加速の際に、励振されうる。
図1では、投影レンズ4は、ここで、大げさに誇張されたやり方で、概略的に描かれる、撓んだ位置に破線で図示される。この振動の励振は、個別の光学ユニットグループ5、6、および7が、同様に撓まされる効果を有し、光学ユニットグループ5、6、および7の撓みは、ここで、図面では示されない。
【0009】
図2は、本発明の第1の実施形態を示しており、マスクステージ2は、閉鎖空間11内に配置される。閉鎖空間11は、マスク封止部とも呼ばれ、例えば、ガスで充填されるか、さもなければ部分的もしくは完全に排気されてよい。封止部は、特に、アルミニウム、例えばインバールなどの高品位鋼および/またはセラミックを含むことができる。
この場合、マスク封止部11は、マスク3の照明またはマスク3の結像に必要な電磁放射の通過を可能にする、透明領域112を呈する。透明領域112の材料は、特に、石英またはフッ化カルシウムであってよい。この場合、既に言及したように、マスク封止部11の内部は、ガス接続部113を介して排気され、さもなければ、空気と比較して減少した音響伝送を呈するガスで充填されてよい。使用されるガスは、大気圧下で、さもなければ、特定の減少した圧力で、マスク封止部11に充填されてよい。マスク封止部11内の典型的な圧力は、通常の大気圧のおよそ半分であってよいが、通常の大気圧の1/10の圧力またはそれ以下も目的にかなう場合がある。
【0010】
特に、前記ガスはヘリウムであってよい。スキャンプロセス期間のマスクステージ2の移動は、囲んでいる媒体中へ、圧力波または圧力の急増の形で、低減された程度だけ伝送されるという効果を、マスクステージ2の封止部およびマスク封止部11内への前記ガスの排気または充填が有し、その結果、投影露光装置10、すなわち、特にやはり投影レンズ4の周囲の、または下流の構成要素上のマスクステージ2の移動の影響が、効果的に減少される。このようにして、より大きい寸法を有する半導体基板でさえ、妥当なスループットで露光することが可能になる。というのは、本発明にしたがう処置の結果、マスクステージ2は、もはや許容をもたらすことができない、投影レンズ4への機械的な擾乱の影響が発生することなく、スキャン期間に、より高速で移動することが可能だからである。
【0011】
図3は、マスクステージ2の封止部が省かれうる、本発明の変形形態を示す。今回の例では、照明システム1は、照明側でマスクステージ2に最も近い光学要素を構成する、平面に平行なプレート13を呈する。この場合、平面に平行なプレート13は、可撓性の取り付け部を介して照明システム2に接続される。可撓性の取り付け部14は、照明システム1の残りからの、平面に平行なプレート13の確実な機械的分離を確かにするようなやり方で、構成される。特に、可撓性の取り付け部14は、
図3内の矢印を基準として図示されるように、x、y、およびz方向に平面に平行なプレート13の移動を可能にし、光学的結像に影響をおよぼさないような、図示される自由度の並進の方向に平面に平行なプレート13の組み合わせた移動さえ、全体的に意図される。動かされるマスクステージ2から生じる囲んでいる媒体中の、可能性のある圧力の急増または圧力波は、したがって、システムの結像品質になんら影響をおよぼすことなく、平面に平行なプレート13により吸収されうる。同様のやり方で、マスクステージ2に最も近い投影レンズ4の第1の光学要素41は、可撓性の取り付け部44を介して投影レンズ4に接続される。光学要素13と同じ様態で、光学要素41は、平面に平行なプレートであってよい。ここでも、示される処置は、マスクステージ2の移動、または投影レンズ4上の移動により引き起こされる圧力の急増の影響の低減をもたらす。それぞれ、光学素子13と照明システム1の間に生じる空間15、および光学素子41と投影レンズ4の間に生じる空間45は、適切な場合は、特定の減少した圧力であってよく、または、空気と比較してより大きい吸音を有するガスで充填されてよい。
【0012】
図3aは、可撓性の取り付け部14および44の1つの可能な実施形態を示し、
図3a内の取り付け部は、参照符号20を担持する。この実施形態では、好ましい移動の方向Aがあり、そのため、この方向での可能な直線的な移動は、弾性的に補償されうる。このタイプの取り付け部で、特に、ここでそれぞれBおよびCにより識別される2つの直線成分の方向への移動は、ほとんど防止されることが意図される。一般的に、そのような可撓性の取り付け部20は、傾きの自由度、すなわち、それぞれ回転軸D、E、およびFにしたがう移動の場合に、比較的大きい剛性を有さなければならない。
【0013】
図3aに示される可撓性の取り付け部20は、この例では、3つのばねのゾーン25を有する、実質的に平行なばね構成である。ここで図示される可撓性の取り付け部20は、3つの柱22を有する第1のリング21、およびさらなる3つの柱24を有する第2のリング23を呈する。これらの柱22と24は、各々の場合に、多数の別個のばね要素26を介して1つの側で接続され、前記別個のばね要素26は、ここで、板ばねとして具現化される。この平行なばね構成が、特に、光学構成要素13および44の自由度の制限を有する可撓性の取り付け部を確実にする。
【0014】
光学要素13および41は、必ずしも平面に平行なプレートである必要はない。原理的に、多種多様な可能な光学要素が考えられる。マスクステージ2に対する光学素子13および41の相対的な移動、ならびに照明システム1に対する光学素子13または投影レンズ4に対する光学素子41のそれぞれの相対的な移動が全体的なシステムの結像の品質に影響をおよぼさない場合、有利である。この場合、記載される平面に平行なプレートは、単に1つの、おそらく最も単純なものであるが、可能性を構成する。
【0015】
図4は、本発明のさらなる実施形態を示しており、光学要素13’は照明システム1にアクチュエータ17によって、光学要素41’は投影レンズ4にアクチュエータ42によってそれぞれ接続される。この場合、アクチュエータ17は、制御線171および172を介して、アクチュエータ42は、制御線421および422を介して、それぞれ制御ユニット16に接続される。この変形形態は、動かされるマスクステージ2によりシステムに導入される擾乱から生じる、光学的結像の収差の能動的な補正を可能にする。この場合、マスクステージ2の移動の結果として、補正されない状態で全体システムに導入されうる機械的な振動または光学的結像の収差は、例えば、最初に計量的に検出される。その後、補正シナリオが検出されたデータに基づいて作成され、制御ユニット16の中に、投影露光装置10のそれぞれの動作モード用に記憶される。さらに、特に数値シミュレーションのデータまたは結果が、補正シナリオの設計のための基礎として使用されることも可能であることが意図される。換言すれば、マスクステージ2またはその移動から生じる擾乱は、例えば、最初に容認され、ただし次いで能動的処置、すなわち、それぞれアクチュエータ17および42の駆動により補正されうる。この場合、言及された移動が誘起した収差を補正する機能をする光学要素13’および41’は、必ずしもマスクステージ2に最も近い光学要素として具現化される必要はなく、関連するシステム1、2、および4内の他の場所での構成も考えられる。しかし、示される光学要素13’および41’の構成は、
図4に示される解決策が、動作中のシステムに比較的簡単に組み込まれうるという利点をもたらす。加えて、
図3および
図4の両方に関して、両方のシステム、すなわち、照明システム1および投影レンズ4は、上に記載された光学要素がもうけられる必要があるとは限らないことに留意されたい。照明システム1のみ、さもなければ投影レンズ4のみが、対応して装備されることが、同様に考えられる。アクチュエータ17および/または42は、特に、ピエゾアクチュエータであってよい。
【0016】
図5は、ペリクル15が使用される、本発明の変形形態を示す。
図5に示される変形形態では、ペリクル15は、マスクステージ2の上および下の両方に配置される。ペリクルは、0.1mm近辺の厚さを有し、したがって、使用される電磁放射に対するペリクルの高い透過率のため、光学的に事実上中性であるが、擾乱する圧力の急増に対して効果的に遮蔽する。硝酸セルロースは、ペリクル用の材料として有利に使用されうる。
【0017】
図6は、その設計では、サブシステム、すなわち、照明システム1、マスクステージ2、または投影レンズ4の処置が省かれうる、本発明の実施形態を示す。今回の例では、マスクステージ2の移動の結果として放出される圧力の急増または圧力波は、マスクステージ2の近傍にある音発生ユニット19により中和されてよい。この場合、
音源191は、制御線192を介して制御ユニット193に接続されて、投影露光装置10のそれぞれの動作モードおよび関連するマスクステージ2の移動に適合されたやり方で、少なくとも比較的近傍で、マスクステージ2から発する擾乱を中和する、圧力の急増または圧力波を発生する。この目的で、制御ユニット193の中に、それぞれの使用シナリオ用の対応する音パターンがデータベースの形で事前に記憶されてよく、代替としてまたは追加で、投影露光装置の領域内の最大の音抑制に関して、システムの最初の校正が、マスクステージ2の領域内の1つまたは複数の音圧センサ(図示せず)によって、実施されてもよい。同時にまたは追加で、マスクステージ2の移動から生じる結像の収差が可能な限り減少されるようなやり方で、新しい動作モードで開始するとき、基板平面内の結像の収差測定によって(例えば、波面センサによって)、音発生ユニット19を調整することも考えられる。