【実施例】
【0080】
エッチ速度を室温から55℃で測定し、PVD TiN、CVD TiN及びCoのエッチング時間は、それぞれ0〜2分間、0〜0.5分間、及び0〜10分間であった。エッチ速度を、ResMap4探針抵抗率計を用いて測定した。エッチ速度を、処理前後の厚みの差を浸漬時間で割ることで算出した。
【0081】
PVD TiN及びCVD TiNは、Silicon Valley Microelectronics(Santa Clara,CA)を含む多くの販売先から入手することができる。
【0082】
[例1:組成物の調製]
特定量のクエン酸及びクエン酸三アンモニウムを秤量し、ビーカー中のDI水に溶解してクエン酸緩衝溶液を得た。TEAH(35%)をそのクエン酸緩衝溶液中にゆっくり加えた。次いで、メチル−1H−ベンゾトリアゾールを、EDTA及びPEI溶液と一緒にその溶液中に加えた。もしスルホランを加える場合は、この時点で加えることができた。その溶液を撹拌して、メチル−1H−ベンゾトリアゾール及びEDTAを溶解した。オクチルアミンをこの時点で原液のまま加えることができ、又は水に溶解したクエン酸オクチルアンモニウム塩として加えることができた。H
2O
2をその溶液に加えた。その溶液を均一に混合した。全ての工程は室温で実施した。
【0083】
[例2:CVD TiNに対するPVD TiNのエッチ選択性を改善する添加剤]
組成物E21334−136I、E61412−106Q、E61412−106R、E61412−107C、及びE61412−107Kを調製して、それらを表1に示した。
【0084】
表1は、添加剤を含有する組成物及び含有しない組成物を示している。全ての組成物は、クエン酸、クエン酸三アンモニウム、TTL、H
2O
2、EDTA、TEAH、及びDI水を含有していた。
【0085】
添加剤を含まない組成物E21334−136Iを比較の組成物として使用した。その組成物により得られたCVD TiNに対するPVD TiNのエッチ選択性は、その組成物については1未満であった。表1によると、過酸化物は30%の過酸化物溶液であった。
【0086】
【表1】
【0087】
ポリエチレンイミン(PEI)及び/又はオクチルアミンのような添加剤を組成物に加えると、両TiN材料に対するエッチ速度が減少した。しかしながら、CVD TiNに対するエッチ速度は、PVD TiNに対するエッチ速度よりも極めて早く減少し、PVD TiN/CVD TiNエッチ選択性が2より大きい及び3より大きいという大きな増加をもたらした一方で、ハードマスク除去に対する高いPVD TiNエッチ速度をなおも維持した。
【0088】
[例3:Co適合性]
組成物E61412−106U、及びE61412−106U2を調製して、それらを表2に示した。両組成物は、同量の水酸化アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、TTL、H
2O
2、EDTA、TEAH、分子量10000を持つPEI、及びDI水を含有していた。2つの組成物の唯一の相違点は、E61412−106U2に0.1wt%のデカン酸を使用したことであった。表2のデータは、必要なグラム数で示した。
【0089】
表2のデータは、組成物E61412−106Uが高いPVD TiNエッチ速度及び2より大きいPVD TiN/CVD TiNエッチ選択性をもたらし、その組成物はまた、Coに対しても高いエッチ速度をもたらしたことを示した。0.1wt%のデカン酸を含有するE61412−106U2は、Coエッチ速度を169Å/分から3Å/分にと、大きく減少させることに成功した。低濃度のデカン酸、すなわち長鎖有機酸の追加により、組成物のCo適合性が回復した。表2によると、過酸化物は30%の過酸化物溶液であった。
【0090】
【表2】
【0091】
表2のデータは、幾つかの条件下、例えば、高いアンモニウムイオン濃度の条件下では、本発明の組成物のCo適合性が大きく悪化する場合があることを示した。したがって、低濃度の長鎖有機酸、例えば、デカン酸の追加は組成物のCo適合性を回復することができる。
【0092】
[例4:Co適合性を持つ調整可能なTiNエッチ速度]
組成物E21334−193I、E21334−193K、E21334−193L、E21334−193M、E21334−193Nを調製して、それらを表3に示した。表3のデータを必要なグラム数で示した。
【0093】
全ての組成物は、同量のクエン酸、クエン酸三アンモニウム(TAC)、TTL、H
2O
2、EDTA、TEAH、及びDMSOを含有していた。しかしながら、配合193I中の0.2グラムのDIWを、193K、193L、193M、及び193Nにおいて、同量の異なる長鎖有機アミンの、1−ヘキシルアミン、1−オクチルアミン、n−デシルアミン又は1−ドデシルアミンのアルキルアミンにそれぞれ置き換えた。
【0094】
表3のデータは、組成物E21334−193I、E21334−193K、及びE21334−193Lは高いPVD TiNエッチ速度をもたらし、E21334−193M及びE21334−193Nは比較的低いPVD TiNエッチ速度をもたらしたことを示した。すなわち、異なる長鎖有機アミンを使用することで、調整可能なTiNエッチ速度を達成した。
【0095】
【表3】
【0096】
TiNハードマスクを完全に除去することが望ましくない幾つかの用途では、過酸化物化学成分を使用してTiNハードマスクを部分的にのみ除去するか又は「引き戻す」。これらの状況では、低いTiNエッチ速度を持つ過酸化物化学成分が必要とされる。
【0097】
エッチ速度の結果は、E21334−193M及びE21334−193NがTiNハードマスクを「引き戻す」用途に適していたことを示した。193M及び193Nについての結果は、幾つかの長鎖アルキルアミン界面活性剤は、TiNを不動態化するために使用されることができ、かつ、PVD TiNに対する腐食防止剤であることを示した。
【0098】
本結果は、本発明の組成物に使用される長鎖有機アミンが、TiNハードマスク除去用途又は引き戻し用途のいずれかに対し調整可能なエッチ速度を提供することを示した。
【0099】
[例5:組成物の調製]
表5に示される組成物e21334−111及びe21334−111Sを、以下の工程にしたがって調製した。
【0100】
【表4】
【0101】
特定量のクエン酸及びクエン酸三アンモニウムを秤量し、ビーカー中のDI水に溶解して、クエン酸緩衝溶液を得た。TEAH(35%)をそのクエン酸緩衝溶液にゆっくり加えた。次いで、メチル−1−ベンゾトリアゾールをその溶液に加え、その溶液を撹拌してメチル−1−ベンゾトリアゾールを溶解した。H
2O
2をその溶液に加えた。その溶液を均一に混合した。全ての工程は室温で実施した。
【0102】
エッチ速度(Å/分)を室温から55℃で測定し、TiNエッチ速度に対する時間はCuに対して5分間及び30分間であった。Cu、TiN、Co及びWのエッチ速度を、ResMap4探針抵抗率計を用いて測定した。TEOS、SiN、低K膜を偏光解析法によって測定した。エッチ速度を、処理前後の厚みの差を浸漬時間で割ることで算出した。
【0103】
[例6:例5の組成物の性能(エッチ速度測定)]
組成物e21334−111SのTiN除去能力及び洗浄性能を表6に示した。
【0104】
【表5】
【0105】
パターン低k材料との化学的適合性を
図1に示した。そのデータは、本発明の組成物がCuに対するTiN選択性(エッチ速度比、TiNのエッチ速度:Cuのエッチ速度)を30:1より大きく増加させたことを示した。組成物はまた、パターン低k材料と適合性があった。
【0106】
[例7:60℃での組成物安定性]
図2は、60℃での時間に対する過酸化水素濃度及びpHのプロットを示している。そのプロットは、e21334−111S組成物の安定性を示した。
【0107】
そのデータは、調製された組成物が過酸化物及び構成成分の分解に対して安定であったことを示している。
【0108】
[例8:銅腐食防止剤の使用]
Cu腐食防止剤を使用した組成物及び使用しない組成物を、表7に示した。組成物e21334−106Rとe21334−106Sの間の相違点は、e21334−106Sがチオグリセロールを有することであった。組成物e21334−107Aとe21334−107Xの間の相違点は、e21334−107Xがメチル−1H−ベンゾトリアゾール(TTL)を有することであった。
【0109】
表7のデータは、本発明の組成物にCu腐食防止剤を追加することで、銅のエッチングを抑制することができたことを示している。防止剤がない場合では、組成物の酸化性の影響により銅エッチ速度が極めて高くなった。組成物にチオグリセロール及び/又はメチル−1H−ベンゾトリアゾール(TTL)を加えることで、60℃でのCuエッチ速度が大きく減少した。
【0110】
【表6】
【0111】
70mLのこれらの各配合を30mLの30%のH
2O
2と混ぜて、腐食防止剤実験用の最終配合物を作成した。
【0112】
[例9:TiN及びCuエッチ速度へのpHの影響]
表8(a−c)のデータは、TiN及びCuエッチ速度に対しての、組成物のpHを7〜10.4に変更したことによる影響を示している。表8(a−c)の組成物はまた、異なる濃度のH
2O
2を有していた。
【0113】
【表7】
【0114】
【表8】
【0115】
【表9】
【0116】
データは、pH及びH
2O
2濃度が増加したことに伴い、TiN及びCuの両エッチ速度が増加したことを示している。腐食防止剤の存在下でさえ、60℃で1Å/分未満の銅エッチ速度を達成するために9.0未満のpHを要した。
【0117】
残留物除去能力はまた、pH8未満かつより低いH
2O
2濃度で大きく影響を受けた。
【0118】
[例10:緩衝剤としてのクエン酸三アンモニウムの使用]
緩衝剤としてクエン酸三アンモニウムを含有する組成物及び含有しない組成物の両方を表9に示した。
【0119】
図3は、塩基濃度が変化したときでさえ、クエン酸三アンモニウムを含有する組成物を狙いのpH範囲近傍で容易に維持したことを図示している。
【0120】
【表10】
【0121】
[例11:改善した浴寿命]
e21334−111S組成物が、これらの組成物による遅い(<1Å/分)銅のエッチングからでさえ生じた金属不純物、例えば、微量濃度の銅イオンに曝露すると、組成物中の過酸化水素はすぐに酸素ガスと水に分解した。過酸化物の分解により、洗浄性能及びTiNエッチ速度が害される。
【0122】
図4のデータは、キレート剤としてのe21334−111S中のグリシンを含有させることで過酸化物を効果的に安定化させ、(45℃での)e21334−111Sの浴寿命を延ばしたことを示している。
【0123】
得られた過酸化物の組成物の高い安定性のため、その場で混合する方法よりも追加の過酸化物を事前に混合する方法が、組成物の資本コストをしたがって減らすことを実現することができる。
【0124】
[例12:ベンゾトリアゾールを含有しない組成物]
ベンゾトリアゾール(BAT)及びその誘導体は、Cu腐食防止剤として使用することができる。それらの腐食防止剤は、更なる腐食から金属を保護するCu−BATの靱性被膜を形成することができる。しかしながら、そのCu−BATの靱性被膜は、電気試験測定中に高い抵抗を生み出す可能性が高い。
【0125】
ベンゾトリアゾールを含有しない組成物、e21334−135Sを開発して、表10に記載した。
【0126】
【表11】
【0127】
e21334−135S組成物の安定性を
図5に示している。
【0128】
Cu及びTiNに対してe21334−135S組成物を使用したときの、時間(日)の関数としたエッチングデータを
図6に示している。
【0129】
e21334−135S組成物を使用したときのTiNエッチ速度は、ベンゾトリアゾール(BAT)及びその誘導体の使用をせずとも、同等のエッチ速度及び残留物除去能力を提供した。
【0130】
このデータはまた、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム(TMPAH)が、組成物の銅エッチ速度を最小化するのに効果的であったことを示した。
【0131】
[例13:排水モード運転のための組成物]
本発明の1つの実施形態では、組成物を排水モードで使用する場合があり、すなわち、化学成分をシングルウエハツールのウエハ上に分配し、次いで処分する。この運転モードでは、再利用モード運転よりも極めて希薄な濃度のキレート剤の使用が可能となる。
【0132】
排水モードのための組成物を開発し、それらを表11に示した。
【0133】
【表12】
【0134】
[例14:再利用モード運転のための組成物]
本発明の別の実施形態では、組成物を再利用モードで使用する場合があり、その場合、化学成分をウエハ上に供給し、次いで、再循環下で貯蔵タンクに戻す。このモードにおいては、化学成分を多くのウエハを洗浄するために効果的に再利用することができる。
【0135】
再利用モード用組成物を開発し、それらを表12に示した。
【0136】
【表13】
【0137】
[例15:異なるアンモニウムカチオンによるTiNエッチ速度の向上]
様々なアンモニウム緩衝塩を含有する組成物を開発して、それらを表13に示した。組成物のエッチ速度(Å/分)性能をまた、表13に示した。このデータは、組成物中にアンモニウムのカチオンが存在することが、高いTiNエッチ速度及び良好なTiNハードマスク除去を達成するために重要であることを示した。表13によると、過酸化物は水に30%で溶解している。
【0138】
【表14】
【0139】
[例16:クエン酸三アンモニウムをECP Cleanと置き換え]
クエン酸三アンモニウム(TAC)以外に、ECP Cleanを含有する組成物を調製して、それらを表14及び表15に示した。
【0140】
ECP Cleanは、Air Products(登録商標)製の水、クエン酸及び水酸化アンモニウム水溶液の商用混合物である。
【0141】
【表15】
【0142】
表14及び表15のデータは、ECP Cleanを含有する組成物は、排水モード運転及び再利用モード運転の両方で同等の性能を提供したことを示している。
【0143】
【表16】
【0144】
[例17:(有機溶媒を含有する)半水性の組成物]
有機溶媒のスルホラン及びジプロピレングリコールメチルエーテルを含有する組成物を調製して、それらを表16に示した。
【0145】
表16のデータからの組成物のエッチ性能は、有機溶媒を含有する組成物はTiNエッチ速度が改善したことを示している。
【0146】
【表17】
【0147】
前述した実施例及び好ましい実施形態の説明は、特許請求の範囲の記載によって規定される本発明を限定するものではなく、例示するものとみなすべきである。すぐに理解できるように、前述した特徴の多くの変形態様及び組み合わせを、後述の特許請求の範囲に記載される本発明から逸脱することなく利用することができる。そのような変形態様は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しているものとしてみなさず、全てのそのような変形態様は、以下の特許請求の範囲の記載の範囲内に含まれることを意図するものである。