【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 平成26年度、独立行政法人通信研究機構「高度通信・放送研究委託開発/低消費電力高速光スイッチング技術の研究開発」
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、
図1〜
図6を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る光デバイスについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0021】
図1は、本実施形態に係る光デバイス21Aを示す概略斜視図である。
図2は、光デバイス21Aのフィードスルー部の積層構造を示す説明図であり、
図1の線分II−IIにおける矢視断面図である。
図3は、フィードスルー部の電極構成を示す平面図である。本実施形態の光デバイス21Aは、CPW−MSL変換構造を導入した光変調器であり、装置長手方向に沿って形成された光導波路3を有している。
【0022】
図1,2に示すように、本実施形態の光デバイス21Aは、基体100と、コア層2と、下部接地電極36と、下部クラッド層(クラッド層)35と、上部クラッド層4と、信号電極5と、上部接地電極6,7,8と、遮蔽層40と、を備えている。信号電極5の端部5aは、フィードスルー部22の一部を構成し、信号電極5の端部5bは、フィードスルー部23の一部を構成している。
【0023】
コア層2は、電気光学効果を有する材料(電気光学材料)を形成材料としている。コア層2には、光導波路3が形成されている。
【0024】
コア層2としては、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3:LN)、タンタル酸リチウム(LiTaO
3)、ジルコン酸チタン酸ランタン(PLZT)、石英(SiO
2)等の薄厚の誘電体基板、あるいは樹脂(ポリマー材料)を用いた薄厚の電気光学基板が好適に用いられる。
【0025】
コア層2の形成材料として用いられるポリマー材料としては、非線形光学有機化合物を含有し、光導波路3(コア層)を伝搬する光に対して高い透過率を有するものであればよい。「非線形光学有機化合物」とは、非線形光学効果を示す有機化合物のことである。
【0026】
このようなポリマー材料のベース(マトリクス樹脂)としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂等を用いることができる。これらのマトリクス樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、このようなポリマー材料に用いられる非線形光学有機化合物は、上記のマトリクス樹脂に単に添加してマトリクス樹脂中に分散させるか、もしくは、上記のマトリクス樹脂の側鎖または主鎖に化学結合によって導入することで、添加することが可能である。
【0028】
非線形光学有機化合物としては、公知のものであればよく、特に限定されないが、1分子中に、電子供与性を有する原子団(以下、ドナーと称する)、及び電子吸引性を有する原子団(以下、アクセプターと称する)の双方を有し、かつ、ドナーとアクセプターとの間にπ電子共役系の原子団を配置している構造を有する有機EO分子が好ましい。
【0029】
非線形光学有機化合物の具体例としては、Disperse Red類、Disperse Orenge類、スチルベン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
また、非線形光学有機化合物としては、下記式(1)で表されるフラン環基を含有する有機化合物が好ましい。
【0031】
【化1】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立した基であり、かつそれぞれの基が水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のハロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基のいずれかであり、Xは他の有機化合物との結合手である。)
【0032】
上記式(1)で表される有機化合物としては、下記式(2)で表される有機化合物が挙げられる。
【0033】
【化2】
(式中、R
3及びR
4は互いに独立しており、かつ水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基のいずれかであり、R
5〜R
8は互いに独立しており、かつ水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはヒドロキシ基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数4〜10のアリールオキシ基、炭素原子数5〜11のアリールカルボニルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基及びフェニル基を有するシリルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基を有するシリルオキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、Ar
1は二価の芳香族基である。)
【0034】
これらのポリマー材料には、必要に応じて、無機微粒子や、他の成分等を添加してポリマーの屈折率や機械的特性等を調整することが可能である。
【0035】
光導波路3は、コア層2の構成に応じて、種々の形状・構造を有する。コア層2の形成材料がニオブ酸リチウム(LiNbO
3:LN)等の10μm以下の薄厚の誘電体基板の場合、光導波路3は、誘電体基体の表面にチタン(Ti)等を熱拡散法やプロトン交換法等により拡散させることにより形成される。本実施形態のコア層2は、SiO
2などで形成した上部クラッド層4、下部クラッド層35により上下方向から挟まれている。
【0036】
また、上述のような熱拡散やプロトン交換により光導波路3を形成する方法に替えて、誘電体基体であるコア層2の一部を凸状に成形して光導波路を形成してもよい。このような光導波路を有するコア層2は、上述のような熱拡散やプロトン交換により光導波路3が形成されたコア層2と同様に、誘電体基体をSiO
2などで形成した上部クラッド層4、下部クラッド層35により上下方向から挟まれる構造としてもよい。
【0037】
一方、ポリマー材料を用いた薄厚の電気光学基板においては、電気光学基板の上部の一部を凸状にして光導波路3(コア層)を形成し、光導波路3(コア層)が上部クラッド層4及び下部クラッド層35により上下方向から挟まれた3層構造となっている。
【0038】
この光導波路3においては、下部クラッド層および上部クラッド層4の厚みは、光導波路3の光導波領域の厚みより厚くなっている。例えば、光導波路3の光導波領域の厚みが0.1μm〜10μmの範囲の場合、上部クラッド層4及び下部クラッド層の厚みは、0.5μm〜20μmの範囲である。
【0039】
このポリマー材料を用いた電気光学基板では、光導波路3に電気光学効果を付与するために、光導波路3、上部クラッド層4及び下部クラッド層35のうち少なくとも1つ以上の層に、非線形光学有機化合物を添加することが必要である。
【0040】
基体100は、半導体材料を形成材料としている。中でも、基体100の形成材料としてはシリコンが好ましい。シリコンは劈開性を有しているため、シリコンウエハ上に複数の光デバイス21Aを形成した後に個別に切り分ける、いわゆる多面取りで光デバイス21Aを製造した場合、容易に切り分ける(分割する)ことができ、製造が容易となる。また、シリコン製の基体100を劈開させ、平坦な端面が露出すると、光デバイス21の光学端面である光導波路3の端面を精度よく平坦なものとしやすいため、光デバイス21の性能を向上させやすい。
【0041】
また、光デバイス21Aのバイアス調整を、熱的な制御(ヒータバイアス)で行う場合、基体100の形成材料として熱伝導率が低い材料を用いると、ヒータバイアス制御時に応答が悪く調整しにくい。そのため、基体100の形成材料として、熱伝導率が高い半導体材料であるシリコンを用いると、バイアス調整が容易となるため好ましい。
【0042】
上部クラッド層4は、コア層2に対し基体100とは反対側に設けられている。上部クラッド層4の形成材料としては、コア層2の形成材料よりは屈折率が高いものが用いられる。コア層2の形成材料としては、硬化性樹脂が好ましく用いられ、ポリイミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
【0043】
信号電極5は、コア層2に対し基体100とは反対側であって、上部クラッド層4の表面に引き回されている。信号電極5は、帯状またはストリップ状(短冊状)を呈している。信号電極5は、金、銀、銅、アルミニウム等の金属材料を形成材料とすることができる。また、インジウムスズ酸化物(ITO)のような導電性を有する金属酸化物を用いることもできる。
【0044】
上部接地電極6〜8は、上部クラッド層4の表面に形成されており、後述の下部接地電極36と電気的に接続している。上部接地電極6,7は、信号電極5の端部5aを挟持するように配置されている。また、上部接地電極7,8は、信号電極5の端部5bを挟持するように配置されている。上部接地電極6〜8の形成材料としては、信号電極5と同様のものを用いることができる。
【0045】
下部接地電極36は、基体100とコア層2との間に設けられている。下部接地電極36の形成材料としては、信号電極5と同様のものを用いることができる。
【0046】
下部接地電極36は、端部5a,5bと平面的に重なる位置に多角形状の切欠き37が形成されている。図では、切欠き37の形状は五角形であることとして示している。
【0047】
なお、本明細書において、「平面的に重なる」とは、基体100の法線方向から見た視野において互いに重なる部分を有する位置関係のことを指す。例えば切欠き37は、平面視において、図に示すように下部接地電極36の端部5a,5bと完全に重なる位置に形成されていてもよく、少なくとも一部が重なる位置に形成されていてもよい。
【0048】
フィードスルー部22は、信号電極5の端部5aの位置に形成されている。また、フィードスルー部23は、信号電極5の端部5bの位置に形成されている。本実施形態の光デバイス21Aにおいて、フィードスルー部22とフィードスルー部23とは同じ形状を有している。また、フィードスルー部22とフィードスルー部23とは同様の構成を有している。そのため、フィードスルー部の説明については、フィードスルー部22の説明のみ行い、フィードスルー部23の説明は省略する。
【0049】
フィードスルー部22は、信号電極5と、上部接地電極6,7と、下部接地電極36と、を含んでいる。
【0050】
フィードスルー部22は、電気信号が伝搬する方向、すなわち光導波路3を伝搬する光波に電界を付与し変調するための変調信号が伝搬する方向(
図3中、白抜き矢印方向)に、コプレーナ(CPW)型電極部31と、電極変換部32と、マイクロストリップ(MSL)型電極部33が、順に形成されている。
【0051】
コプレーナ型電極部31は、信号電極5の端部5aと、信号電極5を挟持する一対の上部接地電極6,7とを有している。また、コプレーナ型電極部31の下方には、不図示の下部クラッド層を介して下部接地電極36が形成されている。
【0052】
下部接地電極36は、信号電極5の端部5aに重なる位置に平面視五角形の切欠き37が形成されている。詳しくは、コプレーナ型電極部31には、切欠き37のうち、一定幅の第1部分37aが含まれている。
【0053】
電極変換部32は、信号電極5と、不図示の下部クラッド層を介して形成された下部接地電極36とにより構成されている。電極変換部32には、切欠き37のうち、信号電極5の延在方向に向けて幅が漸減する第2部分37bが含まれている。すなわち、電極変換部32においては、下部接地電極36と信号電極5とが重なっている平面視面積が、信号電極5の延在方向に向けて漸増している。
【0054】
マイクロストリップ型電極部33は、帯状の信号電極5及び下部接地電極36により構成されている。
【0055】
遮蔽層40は、下部クラッド層35と基体100との間であって、切欠き37と平面的に重なる位置に設けられている。遮蔽層40は、下部クラッド層35の形成材料よりも比誘電率が低い材料を用いて形成されている。また、遮蔽層40の形成材料は、下部クラッド層35の形成材料よりも誘電正接が低い材料であると好ましい。
【0056】
遮蔽層40の形成材料としては、SiO
2のような無機材料や、コア層2の形成材料として用いられるマトリクス樹脂と同じ材料を用いることができる。また、これらの無機材料とマトリクス樹脂との複合材料であってよい。また、遮蔽層40の形成材料は、一部細孔を含む多孔質材料であってもよい。さらに、遮蔽層40自体が細孔や貫通孔を有する構成であってもよく、固体が充填されない空洞状態(真空状態、気体が満たされている状態、液体が満たされている状態)であってもよい。
【0057】
図2に示す断面において、遮蔽層40の幅W1は、信号電極5の幅W2よりも広いことが好ましい。また、信号電極5と遮蔽層40とは、基体100の上面の法線と同方向の中心軸に対して対称となるように配置されているとよい。
【0058】
信号電極5と、上部接地電極6,7との間の幅W3は、入力する信号の電圧に応じ、信号電極5と上部接地電極6,7との間で放電しない程度に離間させておくとよい。また、遮蔽層40は、切欠き37において幅方向の中央に位置するように、すなわち遮蔽層40の両端部から下部接地電極36までの距離W4が等しくなるような位置に、下部接地電極36と離間させて設けるとよい。
【0059】
図4、5は、本実施形態の光デバイス21Aの効果を示す説明図であり、
図2に対応する図である。
図4(a)は、上述した遮蔽層40を有していないことのみが異なる光デバイス28についての説明図である。
図4(b)は、下部クラッド層35の形成材料および基体100の形成材料よりも比誘電率が高い材料を用いて遮蔽層を形成している光デバイス29についての説明図である。
図5は、上述した本実施形態の光デバイス21Aについての説明図である。
【0060】
まず、
図4(a)に示すように、遮蔽層40が無い光デバイス28の場合、信号電極5に信号を入力すると、信号電極5と下部接地電極36との間に電界が形成される。その際、下部接地電極36の一部には切欠き37が形成され、下部クラッド層35の下には半導体材料からなる基体100が露出している。そのため、信号電極5と下部接地電極36との間の電界を電気力線EFで示すと、電気力線EFは、図中符号αで示すように、基体100の内部を通過することになる。
【0061】
その際、基体100の内部においては、基体100の形成材料である半導体材料の比誘電率、誘電正接に応じた誘電損失が生じる。そのため、光デバイス28においては、信号入力時に信号強度が低減し、入力信号の質が低下するおそれがある。
【0062】
また、
図4(b)に示す光デバイス29のように、下部クラッド層35の形成材料および基体100の形成材料よりも比誘電率が高い材料を用いて適切な厚さ、幅の遮蔽層49を形成している場合、電界が基体100に向けて広がるのを防ぐことができる。すなわち、光デバイス29の信号電極5に信号を入力すると、信号電極5と下部接地電極36との間に形成される電界のうち、基体100に向けて広がる電界は、遮蔽層49に集中するように分布し、基体100にまで達しにくい。例えば、基体100の形成材料がシリコン(比誘電率:11)である場合、比誘電率が30以上の材料であるTa
2O
5やTiO
2などの高誘電率材料や強誘電体材料を遮蔽層49として用いれば、光デバイス29を製造することはできる。しかし、光デバイス29においては、特性インピーダンスが大きく低下するという不具合を有することが考えられる。
【0063】
これらに対し、
図5に示す本実施形態の光デバイス21Aにおいては、下部クラッド層35と基体100との間であって、切欠き37と平面的に重なる位置に遮蔽層40が設けられている。さらに、遮蔽層40は、下部クラッド層35の形成材料よりも比誘電率、誘電正接が低い材料を用いて形成されている。そのため、光デバイス21Aの信号電極5に信号を入力したとしても、信号電極5と下部接地電極36との間に形成される電界のうち、基体100に向けて広がる電界は、光デバイス28と比べ遮蔽層40を避けるように分布し、基体100にまで達しにくい。
【0064】
その結果、光デバイス21Aにおいては、半導体材料からなる基体100における誘電損失が光デバイス28よりも低減され、入力信号の質(高周波特性)の低下が抑制される。
【0065】
上述のような効果を想定すると、
図2に示す断面において、遮蔽層40の幅W1は、信号電極5の幅W2よりも広いことが好ましいことが分かる。信号電極5と下部接地電極36との間の電界は、電気力線で表すと信号電極5から下部接地電極36に向けて湾曲しながら広がっている。そのため、光デバイス21Aにおいては、電界の広がりに応じ信号電極5の幅W2よりも遮蔽層40の幅W1を広くすることで、基体100に達する電界を効果的に低減させることが可能となる。
【0066】
以上のような構成の光デバイス21Aによれば、入力する信号の高周波特性の劣化を抑制したフィードスルー部を有する光デバイスとなる。
【0067】
なお、本実施形態においては、遮蔽層40は、
図2で示す断面において切欠き37の中央に位置するように設けることとしたが、これに限らず、遮蔽層40の一方の端部から下部接地電極36までの距離と、遮蔽層40の他方の端部から下部接地電極36までの距離と、が異なっていてもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、遮蔽層40は、
図2で示す断面において切欠きの中央に1カ所設けることとして示しているが、これに限らない。
【0069】
図6は、本実施形態の変形例の光デバイス21Bを示す断面図であり、
図2に対応する図である。本実施形態においては、光デバイス21Bのように、遮蔽層を信号電極5の真下には設けず、信号電極5の真下から下部接地電極36の側に寄せた位置に2つの遮蔽層41,42を設ける構成としてもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、遮蔽層40は、下部接地電極36と離間させて設けることとしたが、これに限らない。
【0071】
図7は、本実施形態の変形例の光デバイス21Cを示す断面図であり、
図2に対応する図である。本実施形態においては、光デバイス21Cのように、下部接地電極36の切欠き37を充填し下部接地電極36に接する遮蔽層43を設ける構成としてもよい。
【0072】
このような構成の光デバイス21B、21Cであっても、それぞれ有する遮蔽層は、信号電極5と下部接地電極36との間に形成される電界のうち、基体100に向けて広がる電界を弱める。そのため、光デバイス21B,21Cにおいては、半導体材料からなる基体100における誘電損失が低減され、入力信号の高周波特性の低下が抑制される。
【0073】
したがって、以上のような構成の光デバイス21B,21Cによれば、入力する信号の高周波特性の劣化を抑制したフィードスルー部を有する光デバイスとなる。
【0074】
[第2実施形態]
図8〜10は、本発明の第2実施形態に係る光デバイスの説明図であり、
図2に対応する図である。本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0075】
図8に示す光デバイス21Dは、基体100に断面視矩形の凹部101が設けられている。凹部101は、下部接地電極36に設けられた切欠き37と平面的に重なる位置に位置している。凹部101の内部には、遮蔽層44が設けられている。
【0076】
遮蔽層44は、基体100の形成材料よりも比誘電率が低い材料を用いて形成されている。また、遮蔽層44の形成材料は、基体100の形成材料よりも誘電正接が低い材料であると好ましい。また、遮蔽層44の形成材料は、下部クラッド層35の形成材料よりも比誘電率が低いことがより好ましく、下部クラッド層35の形成材料よりも誘電正接が低い材料であるとさらに好ましい。遮蔽層44の形成材料としては、上述した第1実施形態の遮蔽層40の形成材料と同様のものを用いることができる。
【0077】
このような構成の光デバイス21Dであっても、遮蔽層44は、信号電極5と下部接地電極36との間に形成される電界のうち、基体100に向けて広がる電界を弱める。そのため、光デバイス21Dにおいては、半導体材料からなる基体100における誘電損失が低減され、入力信号の高周波特性の低下が抑制される。
【0078】
したがって、以上のような構成の光デバイス21Dによれば、入力する信号の高周波特性の劣化を抑制したフィードスルー部を有する光デバイスとなる。
【0079】
なお、本実施形態においては、次のような構成の変形例を採用することもできる。
【0080】
図9に示す変形例の光デバイス21Eは、基体100に断面視三角形の凹部102が設けられている。凹部102は、下部接地電極36に設けられた切欠き37と平面的に重なる位置に位置している。凹部102の内部には、遮蔽層45が設けられている。
【0081】
図10に示す変形例の光デバイス21Fは、基体100に貫通孔103が設けられている。貫通孔103は、下部接地電極36に設けられた切欠き37と平面的に重なる位置に位置している。貫通孔103の内部には、貫通孔103の内壁に沿って下部接地電極36が引き回されている。さらに、貫通孔103の内部には、遮蔽層46が設けられている。
【0082】
このような構成の光デバイス21E、21Fであっても、それぞれ有する遮蔽層は、信号電極5と下部接地電極36との間に形成される電界のうち、基体100に向けて広がる電界を弱める。そのため、光デバイス21B,21Cにおいては、半導体材料からなる基体100における誘電損失が低減され、入力信号の高周波特性の低下が抑制される。
【0083】
したがって、以上のような構成の光デバイス21B,21Cによれば、入力する信号の高周波特性の劣化を抑制したフィードスルー部を有する光デバイスとなる。
【0084】
図11は、本実施形態の光デバイスの類似構造を有する光デバイス21Gを示す説明図である。図に示す光デバイス21Gは、貫通孔103の内部、または貫通孔103の側面に金属材料の部材を配し、この部材が下部接地電極36と電気的に接続されている構成を有している。図では、光デバイス21Gは、貫通孔103の側面にまで下部接地電極36が延在して設けられていることとして示している。
【0085】
このような光デバイス21Gにおいては、貫通孔103がどのような材料で満たされていても、電界が基体100に進入することがない。よって、基体100における誘電損失が抑制される。ただし、信号電極5と下部接地電極36の対向面積の増大に起因するインピーダンスの低下を留意して、貫通孔103の形状や大きさを設計する必要がある。また、製作工数と費用の点で光デバイス21D、21E,21Fより不利である。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0087】
更に、フィードスルー部22や切り欠き37の配置位置や形状は係る例に限定されない。たとえは、フリップチップ実装やビルドアップ配線を行う場合には、フィードスルー部22や切り欠き37は、基体の縁部に配置する必要は無い。又、フィードスルー部22形状は、フリップチップ実装やビルドアップ配線に適した形状、サイズに変更可能である。