(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板と、前記基板の上面側から順にn型不純物を含むn側窒化物半導体層とp型不純物を含むp側窒化物半導体層とを有する半導体部とを備えた半導体ウエハを準備する工程と、
前記基板にレーザ光を照射することにより、前記基板に加工変質部を形成する工程と、
前記基板に加工変質部が形成された前記半導体ウエハを分割することにより、複数の発光素子を得る工程とを有する発光素子の製造方法において、
前記半導体ウエハを準備する工程と前記基板に加工変質部を形成する工程との間に、
上方から見て前記半導体部における前記複数の発光素子となる領域の境界を含む領域を上方から除去することにより、前記n側窒化物半導体層を前記p側窒化物半導体から露出させ、前記半導体ウエハにおいて前記p側窒化物半導体層を複数の素子領域に分離する工程と、
前記素子領域における前記p側窒化物半導体層の上面の外周部分と、前記半導体部を除去することで形成される前記半導体部の側面とを含む領域に保護層を形成する工程と、
前記半導体ウエハをアニールすることにより、上面視で前記保護層が形成されていない領域において前記p側窒化物半導体層を低抵抗化する工程と、を順に有することを特徴とする発光素子の製造方法。
基板と、前記基板の上面側から順にn型不純物を含むn側窒化物半導体層とp型不純物を含むp側窒化物半導体層とを有する半導体部とを備えた半導体ウエハを準備する工程と、
前記基板にレーザ光を照射することにより、前記基板に加工変質部を形成する工程と、
前記基板に加工変質部が形成された半導体ウエハを分割することにより、複数の発光素子を得る工程とを有する発光素子の製造方法において、
前記半導体ウエハを準備する工程と前記基板に加工変質部を形成する工程との間に、
前記p側窒化物半導体層の上面における前記複数の発光素子となる領域の境界を含む領域に第1保護層を形成する工程と、
前記半導体ウエハをアニールすることにより、前記第1保護層が形成されていない領域において前記p側窒化物半導体層を低抵抗化する工程と、
前記第1保護層を除去する工程と、
上方から見て前記半導体部における前記複数の発光素子となる領域の境界を含み且つ前記第1保護層が形成されていた領域の内側に位置する領域を除去することにより、前記n側窒化物半導体層を前記p側窒化物半導体から露出させ、前記半導体ウエハにおいて前記p側窒化物半導体層を複数の素子領域に分離する工程と、
前記素子領域における前記p側窒化物半導体層の上面の外周部分と、前記半導体部を除去することで形成される前記半導体部の側面とを含む領域に、第2保護層を形成する工程と、を順に有することを特徴とする発光素子の製造方法。
前記保護層を形成する工程の後に、前記p側窒化物半導体層の上面であって、前記保護層が形成されていない領域の略全面に、電流拡散層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の発光素子の製造方法。
前記半導体ウエハをアニールする工程の後に、前記p側窒化物半導体層の上面であって、前記第1保護層が形成されていない領域の略全面に、電流拡散層を形成する工程を有することを特徴とする請求項2に記載の発光素子の製造方法。
前記第1保護層を形成する工程において、前記p側窒化物半導体層の上面に格子状に前記第1保護層を形成することを特徴とする請求項2又は4に記載の発光素子の製造方法。
前記加工変質部を形成する工程において、前記基板の厚みの半分よりも上の領域に前記加工変質部を形成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
前記加工変質部を形成する工程において、前記基板に、第1パルスエネルギー及び第1ピッチでレーザ光を照射することにより第1加工変質部を形成する一方、第1パルスエネルギーよりも小さい第2パルスエネルギー及び前記第1ピッチよりも広い第2ピッチでレーザ光を照射することにより、前記第1加工変質部よりも上方に第2加工変質部を形成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
前記加工変質部を形成する工程において、前記第1加工変質部を前記基板の厚みの半分より下の領域に形成し、前記第2加工変質部を前記基板の厚みの半分より上の領域に形成されることを特徴とする請求項7に記載の発光素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態及び実施例について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明を特定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0009】
[実施形態1]
本実施形態に係る発光素子100の製造方法において、まず、
図1A及び
図1Bに示すように、基板11と、基板11の上面側から順にn型不純物を含むn側窒化物半導体層12nとp型不純物を含むp側窒化物半導体層12pとを有する半導体部12とを備えた半導体ウエハ1を準備する。次に、
図2A及び
図2Bに示すように、上方から見て半導体部12における複数の発光素子100となる領域の境界を含む領域を上方から除去することにより、n側窒化物半導体層12nをp側窒化物半導体層12pから露出させ、半導体ウエハ1においてp側窒化物半導体層12pを複数の素子領域に分離する(以下、複数の発光素子100となる領域の境界を「分割予定線13」ともいう。)。なお、
図2Aでは、図面での説明を簡便にするために、半導体ウエハ1のうち、後に4つの発光素子100となる領域について説明している。この点については、
図3A〜
図5A、
図7A〜
図11A、
図13Aにおける模式平面図でも同様である。次に、
図3A及び
図3Bに示すように、素子領域におけるp側窒化物半導体層12pの上面の外周部分と、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面とを含む領域に保護層14を形成する。なお、保護層14のうち、p側窒化物半導体層12pの上面に形成される部分を「第1保護層14a」といい、半導体部12の側面に形成される部分を「第2保護層14b」ということがある。
【0010】
次に、
図4A及び
図4Bに示すように、半導体ウエハ1をアニール(熱処理)することにより、主として上面視で第1保護層14aが形成されていない領域においてp側窒化物半導体層12pを低抵抗化する。p側窒化物半導体層12pのうち第1保護層14aが設けられていない領域ではアニールによりp型不純物を不活性化している水素がp型不純物から離脱するのに対して、p側窒化物半導体層12pのうち第1保護層14aが設けられている領域ではp型不純物を不活性化している水素がp型不純物から離脱しにくいため、第1保護層14aが形成されていない領域においてp側窒化物半導体層12pを低抵抗化することができる一方、第1保護層14aが形成されている領域ではp側窒化物半導体層12pが高抵抗のまま保持されるものと推測される。その後、
図5A及び
図5Bに示すように、基板11にレーザ光Lを照射することにより、基板11に加工変質部を形成する。そして、基板11に加工変質部が形成された半導体ウエハ1を分割することにより、
図6A及び
図6Bに示すような発光素子100を複数得る。
【0011】
ここで、従来技術のように半導体部12に凹部20を形成するためにp側窒化物半導体層12p等の一部を除去した後で基板11にレーザ光Lを照射する場合、半導体部12を除去する領域を十分大きくしなければ、一定の広がりを持ったレーザ光Lに起因してp側窒化物半導体層12pにダメージが生じ、電流がリークすることがある。鋭意検討の結果、発明者らは、p側窒化物半導体層12p等を除去することにより形成された半導体部12の凹部20における側面と半導体部12の上面で規定される角部及びその近傍(以下「角部等21」という。)にレーザ光Lが集中しダメージが生じやすいという知見を得た。角部等21にレーザ光Lのエネルギーが集中する詳細な理由は不明だが、半導体部12に凹部20を形成するとレーザ光Lが反射や屈折することによりレーザ光Lが角部等21に集まりやすいこと、n側窒化物半導体層12nよりもp側窒化物半導体層12pの方がレーザ光Lによるダメージを受けやすいことが主な原因であると考えられる。なお、以下では、半導体部12のうちある領域においてある程度均等に流れるべき電流が、ダメージを受けた領域など特定の領域に偏って流れることを「リーク電流が生じる」、「電流がリークする」などという。
【0012】
一方、本実施形態では、レーザ光Lが集中しダメージが生じやすい角部等21に、p側窒化物半導体層12pの一部として高抵抗部12xが配置されている。このため、仮に角部等21を含む領域にダメージが生じたとしても、その部分はもともと高抵抗であるので、そのダメージに起因してリーク電流は生じにくい。また、p側窒化物半導体層12pのうち低抵抗となる領域には角部等21が存在しないため、これら領域にレーザ光Lは集中しづらくダメージも生じにくい。したがって、本実施形態では、従来技術に比べてリーク電流が低減して発光に寄与する電流を増やすことができるため、同じ大きさの発光素子100を得る場合には、発光領域が小さくなるにも関わらず、発光出力の向上が期待できる。
【0014】
(半導体ウエハの準備工程)
まず、
図1A及び
図1Bに示すように、基板11と、n型不純物を含むn側窒化物半導体層12nと、p型不純物を含むp側窒化物半導体層12pとを、下方から上方に向かって順に有する半導体ウエハ1を準備する。ここでは、n側窒化物半導体層12nとp側窒化物半導体層12pとの間に、活性層12aを有する場合について説明する。以下、n側窒化物半導体層12n、活性層12a及びp側窒化物半導体層12pをまとめて、半導体部12ということがある。半導体部12を構成する各層には、例えば、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物半導体を用いることができる。n型不純物としては、例えば、Siを用いることができ、p型不純物としては、例えば、Mgを用いることができる。基板11としては、サファイアなどの絶縁性基板や、GaN、SiC、ZnS、ZnO、GaAs、Siなどの導電性基板を用いることができる。基板11の上面には、低温成長バッファ層などが下地層として形成されていてもよい。
【0015】
本明細書において、p側窒化物半導体層12pとn側窒化物半導体層12nとの界面又は活性層12aを基準として、半導体部12のうちp電極が設けられる側をp側窒化物半導体層12pといい、半導体部12のうちn電極が設けられる側をn側窒化物半導体層12nという。
【0016】
(半導体部の除去工程)
次に、
図2A及び
図2Bに示すように、上方から見て半導体部12における複数の発光素子100となる領域の境界(分割予定線13)を含む領域を上方から除去することにより、n側窒化物半導体層12nをp側窒化物半導体層12pから露出させ、半導体ウエハ1においてp側窒化物半導体層12pを複数の素子領域に分離する。半導体ウエハ1の分割予定線13は、後の工程において半導体ウエハ1を分割したときに、発光素子100が任意の形状となるように延伸させていればよく、典型的には、
図1Aなどに示すように、上面視において格子状に設けることができる。半導体ウエハ1の分割予定線13を格子状とすることで、上面視形状が矩形の発光素子100を得ることができる。発光素子100の他の形状としては、上面視において六角形等とすることもできる。半導体部12を除去する領域の幅(典型的には分割予定線13と垂直をなす方向における幅)は、5μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。これにより、半導体部12の側面に第2保護層14bを形成しやすくすることができる。半導体部12を除去する領域の幅は、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。これにより、発光素子100における発光領域をより大きくとることができる。
【0017】
本実施形態では、
図2A及び
図2Bに示すように、上記除去領域に加えてさらに、p側窒化物半導体層12pの側から半導体部12の一部をエッチングしてn側窒化物半導体層12nを露出させることにより、後の工程においてnパッド電極16を形成するための領域を設けている。
【0018】
(保護層の形成工程)
次に、
図3A及び
図3Bに示すように、素子領域におけるp側窒化物半導体層12pの上面の外周部分と、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面とを含む領域に、第1保護層14a及び第2保護層14bを形成する。具体的には、所望の領域をマスクで覆い、素子領域におけるp側窒化物半導体層12pの上面の外周部分に第1保護層14aを形成すると同時に、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面においても第2保護層14bを形成する。第1保護層14aと第2保護層14bとを別の工程で形成することもできるが、本実施形態のように、第1保護層14aと第2保護層14bを同じ工程で形成することが好ましい。これにより、発光素子100を得るための工程数を減らすことができる。なお、本実施形態では素子領域の全周において保護層14を形成している。しかし、
図3Aに示すように、nパッド電極16を形成するための領域が素子領域の外側にある場合、素子領域の外周のうちnパッド電極16と対向する部分については分割予定線13から離れているため、保護層14を形成しなくてもよい。
【0019】
保護層14としては、SiO
2、SiN、SiON、Al
2O
3、ZnO、ZrO
2、TiO
2、Nb
2O
5、Ta
2O
5等を用いることができ、典型的にはSiO
2を用いることができる。保護層14は、CVDやスパッタ装置等で保護層14となる材料を半導体ウエハ1上に成膜することにより形成することができる。
【0020】
第1保護層14aの厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。これにより、第1保護層14aが形成された領域においてp側窒化物半導体層12pが低抵抗になるのをより確実に抑制することができる。第1保護層14aの厚みは、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。これにより、第1保護層14aにクラックが生じるのを抑制することができる。
【0021】
上面視において、第1保護層14aの幅(典型的には分割予定線13と垂直をなす方向における幅)は、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。これにより、第1保護層14aが形成された領域においてp側窒化物半導体層12pが低抵抗になるのをより確実に抑制することができる。上面視において、第1保護層14aの幅は、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。これにより、p側窒化物半導体層12pのうち、低抵抗となる領域を大きく取ることができる。
【0022】
第2保護層14bの厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。これにより、第2保護層14bが形成された領域に屑が付着したとしても、その影響をより確実に抑制することができる。第2保護層14bの厚みは、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。これにより、第2保護層14bにクラックが生じるのを抑制することができる。
【0023】
ここでは、保護層14を形成した後、p側窒化物半導体層12pの上面であって、保護層14が形成されていない領域の略全面に、電流拡散層15を形成している。これにより、発光素子100の面内における電流密度分布をより均一にすることができるため、発光素子100の発光効率を向上させることができる。なお、電流拡散層15を形成するタイミングは、例えば、保護層14を形成する前でもよいし、後述するp側窒化物半導体層12pの低抵抗化工程の後でもよい。
【0024】
電流拡散層15をp側窒化物半導体層12pの低抵抗化工程の後に形成することで、特定の材料がp側窒化物半導体層12pの低抵抗化を抑制するものであるとしても、それを電流拡散層15として用いることができる。
【0025】
電極拡散層として、ITO、ZnO、In
2O
3等の導電性金属酸化物等を用いることができる。電流拡散層15を反射層としても用いる場合には、Ag等を用いることができる。電流拡散層15は、例えばスパッタ装置等で電流拡散層15となる材料をp側窒化物半導体層12pの上面に成膜することにより形成することができる。
【0026】
上面視において、電流拡散層15と第1保護層14aとの間の距離は、0μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。両者の間に一定以上の距離をあけることにより、発光の弱い発光素子100の外周部において電流拡散層15による光の吸収を低減できるので、光取出し効率を向上させることができる。上面視において、電流拡散層15と第1保護層14aとの間の距離は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。これにより、発光素子100における電流拡散層15の面積を大きくすることができるので、順方向電圧(Vf)を低減させることができる。
【0027】
(p側窒化物半導体層の低抵抗化工程)
次に、半導体ウエハ1をアニールすることで、第1保護層14aが形成されていない領域において、p側窒化物半導体層12pを低抵抗化する。これにより、保護層14が形成されている領域におけるp側窒化物半導体層12pは高抵抗のまま維持され、高抵抗部12xを構成することとなる。これにより、後述する工程において半導体ウエハ1にレーザ光Lを照射した場合に、半導体部12にダメージが生じたとしても、ダメージを受けた領域を介して電流がリークするのを抑制することができる。
図4A及び
図4Bでは、理解を容易にするためにp側窒化物半導体層12pのうち、高抵抗のまま維持されている高抵抗部12xに対応する領域を斜線で示しており、
図5A〜
図6B、
図8A〜
図12Bでも同様である。
【0028】
アニールは、実質的に水素を含まない雰囲気で行うことが好ましい。典型的には、窒素雰囲気中でアニールすることが好ましい。半導体ウエハ1をアニールする温度としては、350℃〜600℃が好ましい。半導体ウエハ1をアニールする時間としては、10分〜60分が好ましい。これにより、p側窒化物半導体層12pを効率よく低抵抗化することができる。
【0029】
次に、
図5A及び
図5Bに示すように、半導体部12にnパッド電極16及びpパッド電極17を形成する。ここでは、nパッド電極16及びpパッド電極17の上面の一部を除き、半導体ウエハ1の上面の略全面を保護層19で覆っている。本実施形態のように、保護層14を覆うように保護層19形成することもできるし、保護層14を除去してから形成することもできる。保護層19は、保護層14を形成するときと同様の材料及び方法で形成することができる。
【0030】
(レーザ光の照射工程)
次に、
図5A及び
図5Bに示すように、基板11のうち分割予定線13に対応する領域に、レーザ光Lを照射する。このとき、基板11の内側に焦点が合うように、レーザ光Lを集光して照射する。これにより、半導体ウエハ1を分割する際の起点となる加工変質部を基板11内に生じさせることができるため、後の工程において、半導体ウエハ1を分割しやすくすることができる。半導体部12に生じるダメージを可能な限り少なくするために、半導体ウエハ1の基板11側、すなわち半導体ウエハ1の下面側からレーザ光Lを照射することが好ましい。
【0031】
レーザ光Lを発するレーザ加工機としては、加工変質部が形成可能なものであればよい。具体的には、ファイバーレーザ、CO
2レーザ、YAGレーザ等を用いることができる。レーザ光Lは、波長を200nm〜5000nmとすることができ、360nm〜2000nmとすることが好ましい。レーザ光Lのパルス幅は、10fsec〜10μsecとすることができ、100fsec〜1nsecとすることが好ましい。レーザ光Lの出力は、0.01W〜10Wとすることが好ましい。
【0032】
本実施形態では、角部等21を含む領域を高抵抗としており、低抵抗化されている領域に角部等21は存在しない。このため、従来技術と本実施形態において、分割予定線13に垂直をなす方向における凹部20の幅が同じ場合に、前者(従来技術)及び後者(本実施形態)においてレーザ光Lを照射する領域を半導体部12に同じように近づけると、後者(本実施形態)の方が前者(従来技術)よりもダメージを受けにくい。したがって、後者(本実施形態)の場合はレーザ光Lの照射位置を半導体部12により近づけることができる。
【0033】
一方、半導体ウエハ1を分割する際、基板11の結晶方位等によっては、半導体ウエハ1は、半導体ウエハ1の互いに平行な上面及び下面に垂直をなさずに、レーザ光Lにより形成される加工変質部から一定の角度をもって斜めに分割されることがある。この場合、分割予定線13からのずれの程度によっては、得られる発光素子100が不良品となってしまう。
【0034】
しかし、前述のように、本実施形態であれは従来技術に比較して、基板11におけるレーザ光Lを照射する領域、すなわち加工変質部を形成する領域を半導体部12に近づけることができる。加工変質部を形成する領域は、例えば基板11の厚みの半分よりも上の領域とすることができる。これにより、分割予定線13からのずれを小さくすることができるので歩留まりの向上が期待できる。
【0035】
基板11に加工変質部を形成する位置(基板11の厚み方向における位置)は1つである必要はなく、複数の位置に加工変質部を形成することもできる。このようにすれば、基板11が厚くても比較的容易に半導体ウエハ1を分割することができる。基板11に加工変質部を複数の位置に形成する場合は、例えば半導体部12に最も近い位置にある加工変質部が基板11の厚みの半分よりも上の領域にあれば、分割予定線13からのずれを小さくすることができる。
【0036】
さらに、加工変質部を形成する領域を半導体部12に近づけることにより、発光素子100を発光させたときに、半導体部12から基板11側に向けて出射される光が加工変質部に比較的早く達するようにすることができる。これにより、より多くの光を、レーザ光Lにより表面が粗面となっている加工変質部で反射させることができるため、発光素子100の光取出し量を向上させることができる。
【0037】
このとき、深さ方向において加工変質部を基板11の複数の位置に形成する場合は、第1加工変質部を形成するとともに、第1加工変質部よりも上方に、第2加工変質部を形成することができる。基板11に、第1パルスエネルギー及び第1ピッチでレーザ光Lを照射することで第1加工変質部が形成され、基板11に、第1パルスエネルギーよりも小さい第2パルスエネルギー及び第1ピッチよりも広い第2ピッチでレーザ光Lを照射することで第2加工変質部が形成される。これにより、加工変質部を半導体部12に近づけて形成することで光取出し量を向上しつつ、レーザ光Lによる半導体部12に対するダメージを抑制することができる。つまり、半導体ウエハ1を割断するために十分な大きさの加工変質部を形成するためには、比較的大きいパルスエネルギーと比較的小さいピッチでレーザ光Lを基板11に照射する必要があるが、半導体部12に比較的近い位置にこのような加工変質部を形成すると、半導体部12にダメージが生じてしまう虞がある。そこで、基板11に、第1パルスエネルギーよりも小さい第2パルスエネルギー及び第1ピッチよりも広い第2ピッチでレーザ光Lを照射することで、第2加工変質部を、第1加工変質部を形成する際の第1パルスエネルギーと第1ピッチと同じパルスエネルギーとピッチで形成した場合と比較して、レーザ光Lによる半導体部12に対するダメージを抑制することができる。
【0038】
第1加工変質部及び第2加工変質部を形成する場合、第1加工変質部を基板11の厚みの半分より下の領域に形成し、第2加工変質部を基板11の厚みの半分より上の領域に形成することができる。これにより、加工変質部を半導体部12に近づけて形成することで光取り出し量を向上しつつ、レーザ光Lによる半導体部12に対するダメージをさらに抑制することができる。
【0039】
さらに、本実施形態であれば半導体部12の側面に高抵抗部12xが配置されているので従来に比較して、大きいパルスエネルギーのレーザ光Lを照射することができる。これにより、比較的厚い基板11を用いても半導体ウエハ1を分割しやすくすることができる。
【0040】
具体的には、基板11を分割する際において、基板11の厚みを50μm〜500μmとすることができる。レーザ光Lは、基板11の上面から10μm〜150μmの位置に照射することが好ましく、20μm〜100μmの位置に照射することがより好ましい。換言すると、加工変質部を基板11の上面から10μm〜150μmの位置に形成することが好ましく、20μm〜100μmの位置に形成することがより好ましい。これにより半導体部12のダメージを抑制しつつ、半導体ウエハ1を精度良く分割することができる。
【0041】
(半導体ウエハの分割工程)
その後、半導体ウエハ1を分割予定線13に沿って分割することにより、
図6A及び
図6Bに示すような発光素子100を複数得ることができる。半導体ウエハ1を分割する方法としては、例えば、基板11の下面にローラーやブレード等を押し当てて力を加えることで分割することができる。
【0042】
[実施形態2]
実施形態2に係る発光素子200の製造方法は、実施形態1とは、実施形態1における半導体ウエハ1を準備する工程と基板11に加工変質部を形成する工程との間の工程が、第1保護層14aを形成する工程と、p側窒化物半導体層12pを低抵抗化する工程と、半導体部12を除去する工程と、第2保護層14bを形成する工程に替わっている点が異なる。それ以外の点については、実施形態1と同様であるのでここでは繰り返さない。
【0043】
本実施形態では、実施形態1で説明したように半導体ウエハ1を準備した後、
図7A及び
図7Bに示すように、p側窒化物半導体層12pの上面における複数の発光素子200となる領域の境界を含む領域に第1保護層14aを形成する。次に、
図8A及び
図8Bに示すように、半導体ウエハ1をアニールすることにより、第1保護層14aが形成されていない領域においてp側窒化物半導体層12pを低抵抗化する。
【0044】
次に、
図10A及び
図10Bに示すように、上方から見て半導体部12における複数の発光素子200となる領域の境界を含み且つ第1保護層14aが形成された領域の内側に位置する領域を除去することにより、n側窒化物半導体層12nをp側窒化物半導体12pから露出させる。
【0045】
その後、
図11A及び
図11Bに示すように、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面を含む領域に、第2保護層14bを形成する。
【0046】
半導体部12を除去することによりn側窒化物半導体層12nをp側窒化物半導体層12pから露出させた場合、発光素子200の上面において電位差が発生する。このため、半導体部12を除去してから電流拡散層15を形成した場合、電流拡散層15の材料によっては電位差によりマイグレーションを起こす可能性がある。しかし、本実施形態では、半導体部12を除去する前に、p側窒化物半導体層12pの上面に電流拡散層15を形成することができるため、例えば電流拡散層15をカバー層18で覆うことで、電位差による電流拡散層15のマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0047】
以下、各工程において実施形態1と異なる点について順に説明する。
【0048】
半導体ウエハ1を準備した後、まず、
図7A及び
図7Bに示すように、p側窒化物半導体層12pの上面における複数の発光素子200となる領域の境界を含む領域に第1保護層14aを形成する。第1保護層14aは、半導体ウエハ1の分割予定線13と重なる領域に形成されていればどのような形状でもよいが、半導体ウエハ1の分割予定線13が格子状である場合、第1保護層14aも、これら格子状の分割予定線13と重なるようにして形成することができる。これにより、発光素子200の、すべての側面において、リーク電流が流れるのを抑制することができる。なお、本実施形態では、後の工程において半導体部12を除去したときに素子領域の全周において保護層14が形成されるように、第1保護層14aを形成している。しかし、
図10Aに示すように、nパッド電極16を形成するための領域が素子領域の外側にある場合、素子領域の外周のうちnパッド電極16と対向する部分については分割予定線13から離れているため、保護層14を形成しなくてもよい。したがって、これら領域にも保護層14が形成されるように、第1保護層14aを形成することはしなくてもよい。
【0049】
上面視において、第1保護層14aの幅(典型的には分割予定線13と垂直をなす方向における幅)は、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。これにより、第1保護層14aが形成された領域の内側に位置する領域を除去しやすくなる。上面視において、第1保護層14aの幅は、60μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。これにより、p側窒化物半導体層12pのうち、低抵抗となる領域を大きく取ることができる。
【0050】
次に、
図8A及び
図8Bに示すように、半導体ウエハ1をアニールすることにより、第1保護層14aが形成されていない領域においてp側窒化物半導体層12pを低抵抗化する。本実施形態では、
図9に示すように、半導体ウエハ1をアニールした後であって、半導体部12を除去する前に、p側窒化物半導体層12pの上面であって、第1保護層14aが形成されていない領域の略全面に、電流拡散層15を設けている。また、
図9に示すように、半導体部12を除去する前に、半導体ウエハ1の上面の略全域にカバー層18を設けている。カバー層18は、例えばスパッタ装置等でSiN、SiO
2等を半導体ウエハ1の上面の略全域に成膜することにより設けることができる。これにより、半導体部12を除去する前に、電流拡散層15の上面及び側面をカバー層18で覆うことができるため、電位差による電流拡散層15のマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0051】
次に、
図10A及び
図10Bに示すように、上方から見て半導体部12における複数の発光素子200となる領域の境界を含み且つ第1保護層14aが形成された領域の内側に位置する領域を除去することにより、n側窒化物半導体層12nをp側窒化物半導体層12pから露出させる。半導体部12を除去する領域の幅(典型的には分割予定線13と垂直をなす方向における幅)は、5μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。これにより、半導体部12の側面に第2保護層14bを形成しやすくすることができる。半導体部12を除去する領域の幅は、50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。これにより、発光素子200における発光領域をより大きくとることができる。
【0052】
本実施形態では、
図10A及び
図10Bに示すように、上記除去領域に加えてさらに、p側窒化物半導体層12pの側から半導体部12の一部をエッチングしてn側窒化物半導体層12nを露出させることにより、後の工程においてnパッド電極16を形成するための領域を設けている。
【0053】
次に、
図11A及び
図11Bに示すように、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面を含む領域に、第2保護層14bを形成する。ここではさらに、後の工程においてnパッド電極16及びpパッド電極17を形成する領域を除き、半導体ウエハ1の上面の略全面に保護層19を形成している。なお、第2保護層14bと保護層19を別の工程で形成することもできるが、第2保護層14bと保護層19を同じ工程で形成することが好ましい。これにより、発光素子200を得るための工程数を減らすことができる。その後、半導体部12にnパッド電極16を形成し、カバー層18を一部除去した後、除去した領域にpパッド電極17を形成する。
【0054】
その後、
図11A及び
図11Bに示すように、基板11にレーザ光Lを照射することにより、基板11に加工変質部を形成する。そして、基板11に加工変質部が形成された半導体ウエハ1を分割することにより、
図12A及び
図12Bに示す発光素子200を複数得る。
【0055】
[実施例1]
図1A〜
図6Bに基づいて、本実施例について説明する。
【0056】
まず、
図1A及び
図1Bに示すように、基板11上に、n型不純物としてSiを含むn側窒化物半導体層12nと、活性層12aと、p型不純物としてMgを含むp側窒化物半導体層12pとを積層して、半導体ウエハ1を得た。基板11として厚み800μmのサファイア基板を使用し、n側窒化物半導体層12n、活性層12a、p側窒化物半導体層12pとしてGaN、AlGaN、InGaN等からなる窒化物半導体をそれぞれ形成した。その後、
図2A及び
図2Bに示すように、上方から見て半導体部12における複数の発光素子100となる領域の境界を含む領域を上方から除去することにより、n側窒化物半導体層12nをp側窒化物半導体層12pから露出させ、半導体ウエハ1においてp側窒化物半導体層12pを複数の素子領域に分離した。半導体ウエハ1の分割予定線13は、上面視において、格子状とした。このとき、
図2A及び
図2Bに示すように、上記除去領域に加えて、p側窒化物半導体層12pの側から半導体部の一部をエッチングしてn側窒化物半導体層12nを露出させることにより、後の工程においてnパッド電極16を形成するための領域を設けた。
【0057】
次に、
図3A及び
図3Bに示すように、素子領域におけるp側窒化物半導体層12pの上面の外周部分と、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面とを含む領域に、SiO
2からなる第1保護層14a及び第2保護層14bを膜厚約3μmで一度に形成した。つまり、素子領域におけるp側窒化物半導体層12pの上面において、その外周部分に第1保護層14aを形成すると同時に、半導体部12を除去することで形成される半導体部12の側面において第2保護層14bを形成した。p側窒化物半導体層12pの上面における第1保護層14aの幅は、6μmとした。その後、p側窒化物半導体層12pの上面であって、第1保護層14aが形成されていない領域の略全面に、電流拡散層15としてITOを膜厚約0.1μmで形成した。電流拡散層15と第1保護層14aとの間の距離は、0μmとした。
【0058】
次に、
図4A及び
図4Bに示すように、半導体ウエハ1を窒素雰囲気において約500度で40分アニールすることにより、第1保護層14a及び第2保護層14bが形成されていない領域においてp側窒化物半導体層12pを低抵抗化した。
【0059】
次に、
図5A及び
図5Bに示すように、p側窒化物半導体層12pの上面に形成された電流拡散層15上に、pパッド電極17を形成し、露出されたn側窒化物半導体層12n上に、nパッド電極16を形成した。pパッド電極として、Cr、Rh、Pt、Auを順に積層した。nパッド電極として、Ti、Al、Ti、Ru、Ti、Cr、Rh、Pt、Auを順に積層した。pパッド電極17及びnパッド電極16を除く半導体ウエハ1の上面の略全面に、SiO
2からなる保護層19を膜厚約0.2μmで形成した。その後、基板11を下面側から削って、厚み150μmにした。
【0060】
次に、
図5A及び
図5Bに示すように、基板11の下面側から、基板11の分割予定線13に対応する領域に、レーザ光Lを照射した。レーザ光Lは、基板11の上面から100μmの位置に照射した。レーザ光Lとして、波長が1064nmであり、パルス幅が約1psec、出力が約0.3Wであるファイバーレーザを使用した。
【0061】
その後、半導体ウエハ1を分割予定線13に沿って分割することにより、複数の発光素子100を得た。半導体ウエハ1は、半導体ウエハ1の分割予定線13に沿って、基板11の下面側にローラーを押し当てて力を加えることで、分割した。この結果、
図6A及び
図6Bに示すような、外縁が矩形であり、長辺の長さが755μm、短辺の長さが205μmの発光素子100を複数得ることができた。
【0062】
これらの発光素子100に対して、逆方向に5Vの電圧をかけたときに流れる電流(以下、「Ir」ともいう。)を測定した。この結果、
図14Aに示すように、実施例1で得られた発光素子100ではIrがNG判定(0.3mA以上)されたものが0.93%となり、後述する比較例に比べて、リーク電流が十分に抑制できていることがわかった。さらに、これらの発光素子100に対して、20mAの電流を流したときの発光出力を測定した。この結果、
図14Bに示すように、後述する比較例に係る発光素子300の発光出力を100とした場合に、実施例1で得られた発光素子100の発光出力は100.7となり、後述する比較例に比べて発光出力が向上していることを確認した。
【0063】
[実施例2]
第1保護層14aの幅を4μmに設定した以外、実施例1と同様にして発光素子を作製した。実施例2で得られた発光素子は、
図14Aに示すように、IrがNG判定されたものが1.85%となり、後述する比較例で得られた発光素子に比べてリーク電流が十分に抑制できていることがわかった。さらに、実施例2で得られた発光素子に20mAの電流を流した時の発光出力を測定した。この結果、
図14Bに示すように、実施例2で得られた発光素子の発光出力は100.2となり、後述する比較例と比較して発光出力が向上した。
【0064】
[実施例3]
第1保護層14aの幅を8μmに設定した以外、実施例1と同様にして発光素子を作製した。実施例3で得られた発光素子は、
図14Aに示すように、IrがNG判定されたものが0.13%となり、後述する比較例で得られた発光素子に比べてリーク電流が十分に抑制できていることがわかった。さらに、実施例3で得られた発光素子に20mAの電流を流した時の発光出力を測定した。この結果、
図14Bに示すように、実施例3で得られた発光素子の発光出力は100.5となり、後述する比較例と比較して発光出力が向上した。
【0065】
[実施例4]
第1保護層14aの幅を10μmに設定した以外、実施例1と同様にして発光素子を作製した。実施例4で得られた発光素子は、
図14Aに示すように、IrがNG判定されたものが0.33%となり、後述する比較例で得られた発光素子に比べてリーク電流が十分に抑制できていることがわかった。さらに、実施例4で得られた発光素子に20mAの電流を流した時の発光出力を測定した。この結果、
図14Bに示すように、実施例4で得られた発光素子の発光出力は100.3となり、後述する比較例と比較して発光出力が向上した。
【0066】
[実施例5]
第1保護層14aの幅を12μmに設定した以外、実施例1と同様にして発光素子を作製した。実施例5で得られた発光素子は、
図14Aに示すように、IrがNG判定されたものが0.13%となり、後述する比較例で得られた発光素子に比べてリーク電流が十分に抑制できていることがわかった。さらに、実施例5で得られた発光素子に20mAの電流を流した時の発光出力を測定した。この結果、
図14Bに示すように、実施例5で得られた発光素子の発光出力は100.0となり、後述する比較例と比較して発光出力が同等となった。これは、第1保護層14aの幅を大きく設定しすぎたためであると考えられる。
【0067】
[実施例6]
第1保護層14aの幅を14μmに設定した以外、実施例1と同様にして発光素子を作製した。実施例6で得られた発光素子は、
図14Aに示すように、IrがNG判定されたものが0.13%となり、後述する比較例で得られた発光素子に比べてリーク電流が十分に抑制できていることがわかった。さらに、実施例6で得られた発光素子に20mAの電流を流した時の発光出力を測定した。この結果、
図14Bに示すように、実施例6で得られた発光素子の発光出力は99.9となり、後述する比較例と比較して発光出力が低下した。これは、第1保護層14aの幅を大きく設定しすぎたためであると考えられる。
【0068】
[比較例]
比較例として、
図13A及び
図13Bに示すように、実施例1とは、半導体部12に、第1保護層14a及び第2保護層14b形成していない点が異なる発光素子300を準備した。つまり、半導体ウエハ2ではアニールによりp側窒化物半導体層12pの全面が低抵抗化されているため、角部等21に高抵抗部12xが存在しない。それ以外については、実施例1と同様である。
【0069】
比較例では、矩形であり、長辺の長さが755μm、短辺の長さが205μmの発光素子300を複数作製した。これらの発光素子300に対して、逆方向に5Vの電圧をかけたときに流れるIrを測定した。この結果、
図14Aに示すように、比較例で得られた発光素子300はIrがNG判定されたものが4.64%となり、リーク電流が十分に抑制できていないことがわかった。
【0070】
比較例に係る発光素子300では、実施例1〜6と比較して、p側窒化物半導体層12pの上面に、第1保護層14aが形成されていないため、発光領域が大きい。しかし、その反面、発光素子300の角部等21に高抵抗部12xが配置されないため、角部等21がレーザ光Lによりダメージを受けてしまい、リーク電流が生じたものと考えられる。さらに、リーク電流が生じたことにより、発光素子300の発光に寄与する電流が減ったため、発光出力も実施例1〜4と比較して低くなったものと考えられる。一方で、実施例1〜6における発光素子100では、発光素子100の角部等21に高抵抗部12xが配置されているため、比較例に係る発光素子300と比較して、リーク電流が十分に抑制できていた。また、その結果、実施例1〜4における発光素子100では、発光素子100の発光に寄与する電流を増やすことができたため、比較例と比較して発光領域が小さいにも関わらず、発光出力が向上した。