特許第6504385号(P6504385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504385
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20190415BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190415BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20190415BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20190415BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20190415BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20190415BHJP
【FI】
   B24B37/24 C
   H01L21/304 622F
   C08G18/00 F
   C08G18/10
   C08G18/42 069
   C08G101:00
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-252898(P2014-252898)
(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-112640(P2016-112640A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】小田 善之
(72)【発明者】
【氏名】竹中 雅美
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−052492(JP,A)
【文献】 特開2013−052491(JP,A)
【文献】 特開2013−086217(JP,A)
【文献】 特開2006−175571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00−3/60,21/00−39/06,
C08G 18/00−18/87,71/00−71/04,
H01L 21/304,21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を発泡、硬化させて得られ
前記ポリオール(a1)中における前記ポリオール(a1−1)の含有量が、0.01〜10質量%の範囲であることを特徴とする研磨パッド。
【化1】
(式(1)中、R1及びR3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、R2は炭素原子数1〜5のアルキレン基を示し、nは1〜200の繰り返し単位の平均値を示す。)
【請求項2】
前記ポリオール(a1)が、更にポリエーテルポリオールを含むものである請求項1記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記硬化剤(ii)が、[NH]基を有する化合物である請求項1又は2記載の研磨パッド。
【請求項4】
下記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)、硬化剤(ii)、及び、水(B)を含有する発泡剤(iii)を含有するウレタン組成物を混合する工程、型内に注入し、発泡、硬化させて発泡成形物を得る工程、次いで、該発泡成形物を型から取り出し、シート状にスライスする工程を含み、
前記ポリオール(a1)中における前記ポリオール(a1−1)の含有量が、0.01〜10質量%の範囲であることを特徴とする研磨パッドの製造方法。
【化2】
(式(1)中、R1及びR3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、R2は炭素原子数1〜5のアルキレン基を示し、nは1〜200の繰り返し単位の平均値を示す。)
【請求項5】
下記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)を機械発泡させて発泡主剤(i’)を得、該発泡主剤(i’)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を混合する工程、型内に注入し、硬化させて発泡成形物を得る工程、次いで、該発泡成形物を型から取り出し、シート状にスライスする工程を含み、
前記ポリオール(a1)中における前記ポリオール(a1−1)の含有量が、0.01〜10質量%の範囲であることを特徴とする研磨パッドの製造方法。
【化3】
(式(1)中、R1及びR3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、R2は炭素原子数1〜5のアルキレン基を示し、nは1〜200の繰り返し単位の平均値を示す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にサファイア、SiC(炭化ケイ素)等の超硬質基板の研磨に好適に使用することができる研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、ハードディスク、記録装置、光学用レンズ、シリコンウェハ、半導体デバイス、LED等の高度な表面平坦性を有する基板が使用される分野では、研磨パッドを使用した基板の研磨が行われている。これらの中でも、近年のLEDの需要の増加に伴い、その基板に使用されているサファイア基板に対する研磨技術について様々な研究が行われている。
【0003】
前記サファイア基板を研磨する方法としては、例えば、不織布系の研磨パッド、及び、特定の研磨液を使用してサファイア基板を研磨する方法が開示されている(例えば、特許文献1の実施例を参照。)。
【0004】
しかしながら、前記不織布系の研磨パッドは研磨レートが低く、また、研磨パッドの寿命(ライフ)が短い問題があった。更に、サファイア等の基板を研磨した後には摩擦熱により研磨パッドが発熱しやすい場合があり、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−204063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、研磨レート、及び、研磨パッドのライフに優れ、かつ、基板を研磨した後に摩擦熱による温度上昇の少ない研磨パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を発泡、硬化させて得られることを特徴とする研磨パッドを提供するものである。
【0008】
【化1】

(式(1)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、Rは炭素原子数1〜5のアルキレン基を示し、nは1〜200の繰り返し単位の平均値を示す。)
【0009】
また、本発明は、前記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)、硬化剤(ii)、及び、水(B)を含有する発泡剤(iii)を含有するウレタン組成物を混合し、型内に注入し、発泡、硬化させて発泡成形物を得、次いで、該発泡成形物を型から取り出し、シート状にスライスすることを特徴とする研磨パッドの製造方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)を機械発泡させて発泡主剤(i’)を得、該発泡主剤(i’)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を混合し、型内に注入し、硬化させて発泡成形物を得、次いで、該発泡成形物を型から取り出し、シート状にスライスすることを特徴とする研磨パッドの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の研磨パッドは、研磨レート、及び、研磨ライフに優れ、かつ、基板を研磨した後に摩擦熱による温度上昇が少ないものである。また、本発明の研磨パッドは、経時による研磨レートの低下が起こりにくく、研磨レートの安定性にも優れるものである。
【0012】
従って、本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を用いて得られる研磨パッドは、液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板、ハードディスク(HDD)用ガラス基板、記録装置用ガラスディスク、光学用レンズ、シリコンウェハ、半導体デバイス、LED用サファイア基板、スマートホンのカバー用サファイヤガラス、炭化珪素基板、ヒ化ガリウム基板等の半導体基板;光学基板;磁性基板など、高度な表面平坦性と面内均一性が要求されるような高い精度の研磨加工に有用であり、特にサファイア、SiC(炭化ケイ素)等の超硬質サファイア基板の研磨に特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の研磨パッドは、前記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物とラクトン化合物とを反応させて得られるポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)及びポリイソシアネート(a2)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を発泡、硬化させて得られるものである。
【0014】
前記ポリシロキサン化合物は、下記一般式(1)で示されるものである。
【0015】
【化2】
(式(1)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、Rは炭素原子数1〜5のアルキレン基を示し、nは1〜200の繰り返し単位の平均値を示す。)
【0016】
前記ポリシロキサン化合物としては、得られる研磨パッドのライフ、摩擦熱による温度上昇抑制効果、及び、研磨レートの安定性をより一層向上できる点から、R及びRが、それぞれメチル基又はエチル基であることが好ましく、Rがプロピレン基又はテトラメチレン基であることが好ましく、nが10〜100の範囲であることが好ましく、15〜50の範囲がより好ましい。
【0017】
前記ポリシロキサン化合物としては、例えば、信越化学工業株式会社製「X−22−176B」、「X−22−176DX」、「サイラプレーンFMDA11」等を市販品として入手することができる。
【0018】
前記ラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−クロトノラクトン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、得られる研磨パッドの研磨ライフ、摩擦熱による温度上昇抑制効果、及び、研磨レートの耐久性をより一層向上できる点から、ε−カプロラクトンを用いることが好ましい。
【0019】
前記ポリオール(a1−1)は、前記一般式(1)で示されるポリシロキサン化合物が有する水酸基に対し、前記ラクトン化合物が付加することにより得られるものである。前記シロキサン化合物と前記ラクトンとの反応としては、得られる研磨パッドの研磨ライフ、摩擦熱による温度上昇抑制効果、及び、研磨レートの耐久性をより一層向上できる点から、前記シロキサン化合物が有する2個の水酸基に対して、それぞれ5〜10モルの範囲のラクトン化合物を付加させることが好ましく、7〜9モルの範囲のラクトン化合物を付加させることがより好ましい。
【0020】
前記ポリオール(a1−1)の酸価としては、得られる研磨パッドの研磨ライフ、摩擦熱による温度上昇抑制効果、及び、研磨レートの耐久性をより一層向上できる点から、0.7mgKOH/g以下であることが好ましく、0.01〜0.6mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。なお、前記ポリオール(a1−1)の酸価の測定方法は実施例にて記載する。
【0021】
前記ポリオール(a1−1)の水酸基価としては、得られる研磨パッドの研磨ライフ、摩擦熱による温度上昇抑制効果、及び、研磨レートの耐久性をより一層向上できる点から、15〜60mgKOH/gの範囲であることが好ましく、20〜40mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。なお、前記ポリオール(a1−1)の水酸基価の測定方法は実施例にて記載する。
【0022】
前記ポリオール(a1)は、前記ポリオール(a1−1)を必須成分として含有するものである。前記ポリオール(a1−1)の含有量としては、前記ポリシロキサンが有する水酸基との反応性、得られる研磨パッドの研磨ライフ、摩擦熱による温度上昇抑制効果、及び、研磨レートの耐久性をより一層向上できる点から、0.01〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲がより好ましく、0.3〜3質量%の範囲が更に好ましい。
【0023】
前記ポリオール(a1)は、前記ポリオール(a1−1)以外に、必要に応じてその他のポリオールを含有してもよい。
【0024】
前記その他のポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、ダイマージオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水酸基を有する鎖伸長剤等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、研磨レートがより一層向上する点から、ポリエーテルポリオールを含有することが好ましい。
【0025】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレンポリオール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、研磨レートがより一層向上する点から、ポリプロピレンポリオール及び/又はポリテトラメチレンポリオールを用いることが好ましい。
【0026】
前記ポリエーテルポリオールを用いる場合の使用量としては、研磨レートの点から、前記ポリオール(a1)中50〜99.9質量%の範囲であることが好ましく、70〜95質量%の範囲がより好ましい。
【0027】
前記その他のポリオールの数平均分子量としては、研磨レートの点から、700〜5,000の範囲であることが好ましく、800〜3,000の範囲であることがより好ましい。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件で測定した値を示す。
【0028】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0029】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0030】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、トルエンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネ−ト;イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、等の脂肪族ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、研磨パッドの高硬度性、及び、研磨レートをより一層向上できる点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好まし、トルエンジイソシアネート及び/又はジフェニルメタンジイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0031】
前記ウレタンプレポリマー(A)は、前記ポリオール(a1)及び前記ポリイソシアネート(a2)を公知の方法によりウレタン化反応させて得られるものであり、イソシアネート基を有するものである。
【0032】
前記ウレタンプレポリマー(A)を得る際の、前記ポリオール(a1)が有する水酸基と前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基とのモル比(NCO/OH)としては、高硬度性、機械的強度、研磨レート及び安定性、研磨パッドのライフの点から、1.3〜6.5の範囲であることが好ましく、1.5〜5の範囲が好ましい。
【0033】
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量としては、高硬度性、機械的強度、研磨レート及び研磨ライフの点から、200〜800g/eq.の範囲であることが好ましく、250〜500g/eq.の範囲であることがより好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量は、JISK7301:2003に準拠して、試料を乾燥トルエンに溶解し、過剰のジ−n−ブチルアミン溶液を加えて反応させ、残存するジ-n-ブチルアミンを塩酸標準溶液で逆滴定して求めた値を示す。
【0034】
前記硬化剤(ii)としては、前記ウレタンプレポリマー(A)が有するイソシアネート基と反応する活性水素原子([NH]基及び/又は[OH]基)を含有する基を有する化合物を含有することが好ましく、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族又は脂環式アミン化合物;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ポリアミノクロロフェニルメタン化合物等の芳香族アミン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等の2個以上の水酸基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独又は2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記硬化剤(ii)が有する活性水素原子を含有する基と、前記ウレタンプレポリマー(A)が有するイソシアネート基とのモル比(活性水素原子を含有する基/NCO)としては、高硬度性、機械的強度、研磨レート及び安定性、研磨パッドのライフをより一層向上できる点から、0.6〜1の範囲であることが好ましく、0.7〜0.98の範囲であることがより好ましい。
【0036】
また、前記硬化剤(i)の使用量としては、高硬度性、機械的強度、研磨レート及び研磨ライフをより一層向上できる点から、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して10〜50質量部の範囲であることが好ましい。
【0037】
本発明で使用するウレタン組成物は、前記ウレタンプレポリマー(A)を含む主剤(i)、及び、硬化剤(ii)を必須成分として含有するものであるが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0038】
前記その他の添加剤としては、例えば、水(B)を含有する発泡剤(iii)、触媒(C)、整泡剤(D)、砥粒、充填剤、顔料、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタン組成物を使用して水発砲法により研磨パッドを得る場合には、前記水(B)を含有する発泡剤(iii)を用いることが好ましい。
【0039】
前記水(B)は、水発泡法における発泡剤の役割を果たすものであり、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。前記水(B)を用いる場合の使用量としては、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲であることが好ましい。
【0040】
また、前記その他の添加剤としては、安定した発泡を形成できる点から、触媒(C)を含有することが好ましい。
【0041】
前記触媒(C)としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルエーテル、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチルイミダゾール等の三級アミン触媒;ジオクチルチンジラウレート等の金属触媒などを用いることができる。これらの触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中では、安定した発泡を成形できる点から、N,N−ジメチルアミノエチルエーテルを用いることが好ましい。なお、前記触媒(C)は、前記主剤(i)、硬化剤(ii)及び発泡剤(iii)のいずれに含有されてもよい。
【0042】
前記触媒(C)を用いる場合の使用量としては、安定した発泡を形成できる点から、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲であることが好ましい。
【0043】
前記整泡剤(D)としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製「東レシリコーン SH−193」、「東レシリコーン SH−192」、「東レシリコーン SH−190」等を用いることができる。これらの整泡剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記整泡剤(D)は、前記主剤(i)、硬化剤(ii)及び発泡剤(iii)のいずれに含有されてもよい。
【0044】
前記整泡剤(D)を用いる場合の使用量としては、微細な気泡を安定的に形成できる点から、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲であることが好ましい。
【0045】
なお、前記発泡剤(iii)には、水発泡性をより一層向上する目的で、前記硬化剤(ii)として用いる前記活性水素原子を含有する基を有する化合物を単独又は2種以上を併用して含有してもよい。前記活性水素原子を含有する基を有する化合物を用いる場合の使用量としては、水発泡性をより一層向上できる点から、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0046】
前記ウレタン組成物の配合比([R値]=[前記硬化剤(ii)及び前記発泡剤(iii)中のイソシアネート基と反応する基の合計モル数]/[ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基のモル数])としては、0.7〜1.1の範囲であることが好ましく、0.8〜1の範囲であることがより好ましい。
【0047】
前記ウレタン組成物を使用して研磨パッドを製造する方法としては、例えば、前記主剤(i)、前記硬化剤(ii)、及び、前記発泡剤(iii)を含有するウレタン組成物を混合し、金型に注入し、発泡、硬化させて発泡成形物を得、次いで、該発泡成形物を型から取り出し、シート状にスライスして製造する方法が挙げられる。
【0048】
前記ウレタン組成物を混合する方法としては、例えば、前記主剤(i)、前記硬化剤(ii)、及び、前記発泡剤(iii)を混合注型機のそれぞれ別々のタンクへ入れて、前記主剤(i)を好ましくは40〜80℃に加温し、前記硬化剤(ii)は好ましくは40〜120℃に加温し、場合によっては前記発泡剤(iii)を30〜70℃に加温し、それぞれを混合注型機で混合する。
【0049】
次いで、混合注型機からそれぞれの成分を吐出し、得られた混合物を40〜120℃に予め加温した金型に注入し、前記金型の蓋を閉め、例えば50〜130℃の温度で10分〜10時間、発泡、硬化させて発泡成形物を得る。その後、得られた発泡成形物を取出し、好ましくは100〜120℃で8〜20時間の条件にてアフタキュアを行う。
【0050】
次に、前記発泡成形物を適切な厚さでシート状にスライスすることにより研磨パッドが得られる。スライス後の研磨パッドの厚さは、用途に応じて適宜決定されるが、例えば0.6〜3mmの範囲である。
【0051】
また、前記ウレタン組成物を使用して研磨パッドを製造する他の方法としては、例えば、前記主剤(i)をガスローディング法により微細気泡を含有させた主剤(i’)を得、該微細気泡含有主剤(i’)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を混合し、型内に注入し、硬化させて微細気泡含有成形物を得、次いで、該成形物を型から取り出し、シート状にスライスするする方法が挙げられる。
【0052】
前記主剤(i)を微細気泡含有主剤(i’)を得る方法としては、例えば、前記主剤(i)に対して、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等の非反応性気体を導入し、機械的に気泡を導入する方法が挙げられる。
【0053】
前記ウレタン組成物を混合する方法としては、例えば、前記発泡主剤(i’)、及び、前記硬化剤(ii)を混合注型機のそれぞれ別々のタンクへ入れて、前記発泡主剤(i’)を好ましくは40〜80℃に加温し、前記硬化剤(ii)は好ましくは40〜120℃に加温し、それぞれを混合注型機で混合する。
【0054】
次いで、混合注型機からそれぞれの成分を吐出し、得られた混合物を40〜120℃に予め加温した金型に注入し、前記金型の蓋を閉め、例えば50〜130℃の温度で10分〜10時間、発泡、硬化させて発泡成形物を得る。その後、得られた発泡成形物を取出し、好ましくは100〜120℃で8〜20時間の条件にてアフタキュアを行う。
【0055】
次に、前記発泡成形物を適切な厚さでシート状にスライスすることにより研磨パッドが得られる。スライス後の研磨パッドの厚さは、用途に応じて適宜決定されるが、例えば0.6〜3mmの範囲である。
【0056】
また、前記ウレタン組成物を使用して研磨パッドを製造する他の方法としては、例えば、前記主剤(i)をメカニカルフロス法により発泡させて発泡主剤(i’)を得、該発泡主剤(i’)、及び、硬化剤(ii)を含有するウレタン組成物を混合し、型内に注入し、硬化させて発泡成形物を得、次いで、該発泡成形物を型から取り出し、シート状にスライスするする方法が挙げられる。
【0057】
以上の方法により得られる本発明の研磨パッドは、研磨レート、及び、研磨ライフに優れ、かつ、基板を研磨した後に摩擦熱による温度上昇の少ないものである。また、本発明の研磨パッドは、継時による研磨レートの低下が起こりにくく、研磨レートの耐久性にも優れるものである。
【0058】
従って、本発明の研磨パッド用ウレタン樹脂組成物を用いて得られる研磨パッドは、液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板、ハードディスク(HDD)用ガラス基板、記録装置用ガラスディスク、光学用レンズ、シリコンウェハ、半導体デバイス、LED用サファイア基板、炭化珪素基板、ヒ化ガリウム基板等の半導体基板;光学基板;磁性基板など、高度な表面平坦性と面内均一性が要求されるような高い精度の研磨加工に有用であり、特にサファイア基板の研磨に特に有用である。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。
【0060】
[合成例1]ポリオール(a1−1−1)の合成
窒素導入管、温度計、冷却管及び攪拌装置を備えた4ツ口フラスコに、信越化学工業株式会社製「X−22−176B」を500質量部、ε−カプロラクトンを335質量部、トリス−2−エチルヘキサン酸ブチル錫を0.25質量部仕込み、窒素を通じながら100℃で13時間反応させ、前記「X−22−176B」の2つの水酸基にそれぞれ前記ε−カプロラクトンが8モル付加したポリオール(a1−1−1)を得た。得られたポリオール(a1−1−1)は、酸価:0.55mgKOH/g、水酸基価:24.4mgKOH/gであった。なお、前記ポリオール(a1−1−1)の酸価及び水酸基価は下記条件にて測定した。
【0061】
[酸価の測定方法]
前記ポリオール(a1−1−1)に、トルエン/メタノール等分溶液を加え溶解した後、0.1N水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和滴定した。
酸価(mgKOH/g)=V×F×5.611/S
V:0.1N水酸化カリウムエチルアルコール溶液の滴下量(ml)
F:0.1N水酸化カリウムエチルアルコール溶液の力価
S:ポリオール(a1−1−1)の採取料
N:モル/リットル
【0062】
[水酸基価の測定方法]
前記ポリオール(a1−1−1)に、無水酢酸及びピリジンからなるアセチル化剤を加えた後、115℃で1時間アセチル化した。次いで、水を加え、過剰の無水酢酸を酢酸に分解し、アセトン、トルエンを加えた後、1/2N水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて酢酸を中和滴定した。
水酸基価(mgKOH/g)=[(B−T)×F×28.05/S]+AN (2)
B:空試験における1/2N水酸化カリウムエチルアルコール溶液の滴下量(ml)
T:本試験における1/2N水酸化カリウムエチルアルコール溶液の滴下量(ml)
F:1/2N水酸化カリウムエチルアルコール溶液の力価
N:モル/リットル
AN:ポリオール(a1−1−1)の酸価
【0063】
[実施例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた4ツ口フラスコに、トルエンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業株式会社製「TDI−100」、以下「TDI−100」と略記する。)370.1質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;1000、以下「PTMG1000」と略記する。)623.6質量部、前記ポリオール(a1−1−1)6.3質量部を仕込み混合し、窒素気流下60℃で8時間反応を行い、イソシアネート基当量;335のウレタンプレポリマー(A−1)を得、主剤(i−1)とした。
次いで、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタン(以下「MBOCA」と略記する。)を120℃で溶融し、硬化剤(ii−1)とした。
次に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;3000、官能基数;3、以下「PPG3000」と略記する。)100質量部と、イオン交換水を7質量部、N,N−ジメチルアミノエチルエーテル(以下「C−1」と略記する。)0.6質量部を十分に攪拌混合して、発泡剤(iii−1)とした。
次に、ミキシング型エラストマー注型機(東邦機械工業株式会社製「EA−408型」)の3つのタンクに前記主剤(i−1)、前記硬化剤(ii−1)、及び、前記発泡剤(iii−1)をそれぞれ仕込み、減圧脱泡した。次いで、60℃に温調した金型(内寸250×250×50mm)に、R値=0.9になる様、主剤(i−1)/硬化剤(ii−1)/発泡剤(iii−1)=73.8/22.2/3.9(質量比)の配合比で、1,844gを注入した。
・吐出量;7000g/min
・ミキサー回転数;5,000rpm(ミキサー;ギヤタイプ)
その後、直ちに、金型の蓋を閉め、60℃で30分保持した後、発泡成形品を取り出した。更に得られた成形品を110℃で16時間のアフターキュアを行った。
得られた成形品をスライサーで厚さ1.5mmに切り出し、シート状の研磨パッドを得た。
【0064】
[実施例2]
実施例1にて得られたウレタンプレポリマー(A−1)1200gをミキシング型エラストマー注型機(東邦機械工業株式会社製「EA−408型」)に接続したプレミキシングタンク(密閉式気液混合装置:ピアッジタイプ)に0,2MPaの炭酸ガスを供給し、気液混合が飽和になるまで混合して微細気泡含有主剤(i’−1)を得た。次に、ミキシング型エラストマー注型機(東邦機械工業株式会社製「EA−408型」)の2つのタンクに前記主剤(i’−1)、前記硬化剤(ii−1)をそれぞれ仕込み、硬化剤(ii−1)のみ減圧脱泡した。あとは、実施例1と同様にして、シート状の研磨パッドを得た。
【0065】
[比較例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた4ツ口フラスコに、TDI−100を370.5質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、PTMG1000を625.8質量部、信越化学工業株式会社製「X−22−176B」を3.8質量部を仕込み混合し、窒素気流下60℃で8時間反応を行い、イソシアネート基当量;335のウレタンプレポリマー(A’−1)を得、主剤(x−1)とした。
あとは、実施例1において主剤(i−1)を前記主剤(x−1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、シート状の研磨パッドを得た。
【0066】
[比較例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた4ツ口フラスコに、TDI−100を370.8質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、PTMG1000を629.2質量部を仕込み混合し、窒素気流下60℃で8時間反応を行い、イソシアネート基当量;335のウレタンプレポリマー(A’−2)を得、主剤(x−2)とした。
次に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量;3000、官能基数;3、以下「PPG3000」と略記する。)100質量部と、イオン交換水を7質量部、N,N−ジメチルアミノエチルエーテル(以下「C−1」と略記する。)0.6質量部と東レ・ダウコーニング株式会社製シリコン整泡剤SH−193(以下「D−1」と略する。)4質量部を十分に攪拌混合して、発泡剤(iii−2)とした。
あとは、実施例1において主剤(i−1)を前記主剤(x−2)に、発泡剤(iii−1)を前記(iii−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、シート状の研磨パッドを得た。
【0067】
[研磨レートの評価方法]
両面テープの片面に実施例及び比較例で得られた研磨パッドを貼付け、両面テープの他方片面に研磨機の定盤を貼付け、以下の装置、条件、計算式で研磨レートを測定した。なお、研磨レートは、研磨後2時間経過後及び4時間経過後にそれぞれ測定した。
研磨機:FAM 18 GPAW(Speed Fam社製 定盤直径=457.2m 水冷式)
研磨条件:
(パッド前処理) パッド表面に赤色鉛筆で2cm間隔で縦横に描いた線が消えるまで、ダイヤモンドドレッサーにてドレス処理(パッドの平坦化)を行った。給水量200ml/分
(研磨対象)サファイア 4インチ C面 (セラミックブロックにwax貼り)
(研磨機冷却水) 20℃
(スラリー)コロイダルシリカ溶液 フジミ製 COMPOL505 2倍希釈
(スラリー流量)400ml/分 (循環式)
(定盤回転数)60rpm (連れ回り式)
(研磨圧力)30kPa
(研磨時間)0〜2時間、2〜4時間
(ドレス) 2時間(中間点)でドレス処理実施
(研磨レート)キーエンス製 分光干渉レーザ変位計(SI−F10/KS−1100)を用い、研磨前後のサファイヤ基板高さから算出した。
【0068】
[摩擦熱による温度上昇の評価方法]
研磨レート評価後ドレス処理を行い、前記[研磨レートの評価方法]からスラリー流量を100ml/分とした以外、同様の条件にて、更に研磨を3時間行い、その直後に研磨パッド表面の温度を株式会社チノー製放射温度計「IR−CAB」により測定した。
【0069】
[研磨ライフの評価方法]
前記[摩擦熱による温度上昇の評価方法]を行った後の研磨パッドを目視確認し、以下のように評価した。
「T」;研磨パッドの減りが目視で確認できない。
「F」;研磨パッドの減りが目視で確認できる。
【0070】
【表1】
【0071】
本発明の研磨パッドは、研磨レート及び研磨レート安定性、研磨パッドのライフに優れ、かつ、基板を研磨した後に摩擦熱による温度上昇の少ないものであることが分かった。
【0072】
一方、比較例1は、ポリオール(a1−1)の代わりに、ラクトン変性していないポリシロキサン化合物をウレタンプレポリマーの原料に用いた態様であるが、4時間研磨後に研磨レートの低下が見られ、その後3時間研磨後にはその表面温度が36度となっており、摩擦による温度上昇が見られた。また、研磨パッド表面に明らかな減りが確認できた。
【0073】
比較例2は、ポリオール(a1−1)を全く用いない態様であるが、研磨レートが著しく不良であり、3時間研磨後にはその表面温度が56度となっており、摩擦による著しい温度上昇が見られた。また、研磨パッド表面に明らかな減りが確認できた。