特許第6504705号(P6504705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504705
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】温度調節機能付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20190415BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20190415BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   B65D81/18 Z
   B65D77/04 D
   B65D25/20 L
   B65D25/20 M
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-147398(P2015-147398)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-24777(P2017-24777A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信吾
(72)【発明者】
【氏名】松田 博行
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−512833(JP,A)
【文献】 特許第2676029(JP,B2)
【文献】 特開平08−282734(JP,A)
【文献】 特開2007−010277(JP,A)
【文献】 米国特許第5634269(US,A)
【文献】 国際公開第2013/121259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/18
B65D 25/20
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の内装容器と、前記内装容器を囲むパネルを有する外装容器と、前記パネルの少なくとも1つに設けられた熱交換ユニットと、前記内装容器の外部において前記内装容器の内容物が流通可能な可撓性流路とを備え、
前記可撓性流路は、前記内容物が前記内装容器を出て前記可撓性流路を経て前記内装容器に戻る循環流路を構成し、
前記熱交換ユニットが設けられたパネルは二重に配置され、その内側のパネルと外側のパネルとの間に前記可撓性流路が配置され、
前記可撓性流路内に流通する前記内容物の温度が、前記熱交換ユニットにより調節可能であることを特徴とする温度調節機能付き容器。
【請求項2】
前記内装容器は、使い捨て可能なフィルム容器からなることを特徴とする請求項1に記載の温度調節機能付き容器。
【請求項3】
前記可撓性流路は、使い捨て可能なフィルム及び管からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の温度調節機能付き容器。
【請求項4】
前記可撓性流路は、前記内側のパネルと前記外側のパネルとの間に配置された平袋を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の温度調節機能付き容器。
【請求項5】
前記平袋は、前記内容物の流路が蛇行するようにシールによる仕切りを備えることを特徴とする請求項4に記載の温度調節機能付き容器。
【請求項6】
前記内側のパネルと外側のパネルとの間に前記平袋が挟み込まれ、前記内側のパネルと外側のパネルとの一方又は両方は、前記平袋の内部を仕切って前記内容物の流路が蛇行するように前記平袋を変形させる凹凸を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の温度調節機能付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節機能付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体などの流動物の輸送や保管のため、内容物を可撓性の内装容器に収容し、さらに内装容器を外装容器に収容する二重容器として、バッグインコンテナ、バッグインカートン、バッグインボックス等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、可撓性のバッグ内に収容された物質の供給部に連結された分岐部と、供給部に収容された物質をバッグの外側に位置する閉ループ回路内を循環させるポンプとを具備し、循環ループを構成している可撓性チューブには、物質の温度を調整するための加熱又は冷却手段を備えた保存分配装置が記載されている。この保存分配装置では、ヨーグルト等の製品が貯蔵中に均一性を維持することが意図されている。
【0004】
特許文献3には、包囲体を形成する壁を具える食物輸送容器において、2個の金属箔層の間に電気加熱素子を設け、金属箔層の1個に接して繊維絶縁層を設け、この繊維絶縁層に接して第3金属箔層を設けた食物輸送容器が記載されている。この食物輸送容器では、加熱素子からの熱を金属箔層及び繊維絶縁層によって、壁面に均一に分散させることが意図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5707118号公報
【特許文献2】特許第2676029号公報
【特許文献3】特表2002−537194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の保存分配装置の場合、バッグをボックス内に入れたまま、ダクトからバッグ内の内容物が取り出される。しかし、同様の構造を保管輸送容器に用いる場合、循環ループを構成する可撓性チューブがバッグの周囲に配置されるため、内容物を収容したバッグをボックスから取り出すことは困難である。特許文献3の食物輸送容器の場合、壁から食物を加熱した場合に、壁面に近い部分が熱くなり、壁面から遠い内部が冷めやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保存中の内容物の変質を抑制でき、さらに、内容物を収容したまま内装容器を外装容器から容易に取り出すことが可能な温度調節機能付き容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、可撓性の内装容器と、前記内装容器を囲むパネルを有する外装容器と、前記パネルの少なくとも1つに設けられた熱交換ユニットと、前記内装容器の外部において前記内装容器の内容物が流通可能な可撓性流路とを備え、前記可撓性流路は、前記内容物が前記内装容器を出て前記可撓性流路を経て前記内装容器に戻る循環流路を構成し、前記熱交換ユニットが設けられたパネルは二重に配置され、その内側のパネルと外側のパネルとの間に前記可撓性流路が配置され、前記可撓性流路内に流通する前記内容物の温度が、前記熱交換ユニットにより調節可能であることを特徴とする温度調節機能付き容器を提供する。
【0009】
前記内装容器は、使い捨て可能なフィルム容器からなることが好ましい。
前記可撓性流路は、使い捨て可能なフィルム及び管からなることが好ましい。
前記可撓性流路は、前記内側のパネルと前記外側のパネルとの間に配置された平袋を含むことが好ましい。
【0010】
前記平袋は、前記内容物の流路が蛇行するようにシールによる仕切りを備えてもよい。
前記内側のパネルと外側のパネルとの間に前記平袋が挟み込まれてもよい。
前記内側のパネルと外側のパネルとの一方又は両方は、前記平袋の内部を仕切って前記内容物の流路が蛇行するように前記平袋を変形させる凹凸を有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内容物を密閉した流路内で循環させて温度を調整することができるので、内容物の変質を抑制することができる。熱交換ユニットがパネルの間に保持されるため、内装容器との位置関係が一定になり、外装容器に対する内装容器の収容及び取り出しの作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の温度調節機能付き容器の一例を示す斜視図である。
図2】内装容器に対する熱交換ユニット及びパネルの配置の一例を示す斜視図である。
図3】パネル及び可撓性流路の一例を示す斜視図である。
図4】パネル及び可撓性流路の別の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。図面は模式図であり、各部の形状や寸法比等は、実際の構造と異なる場合がある。
【0014】
図1は、本発明の温度調節機能付き容器の一例を示す斜視図である。図2は、内装容器に対する熱交換ユニット及びパネルの配置の一例を示す斜視図である。本実施形態の温度調節機能付き容器100は、可撓性の内装容器20と、内装容器20を囲む外装容器10と、内装容器20の外部において内装容器20の内容物が流通可能な可撓性流路37とを備える。
【0015】
外装容器10は、内装容器20を囲むパネルとして、内装容器20の側面に接する側面パネル11と、内装容器20の底面に接する底パネル12を有する。側面パネル11は、底パネル12の上面に設置された支柱13により支持されている。内装容器20の形状は、図1及び図2に示すように、内容物を収容して膨らんだ状態で略直方体状である。直方体状の内装容器20の4つの側面に対応して、外装容器10の四面に側面パネル11が設けられている。側面パネル11は各面に1枚の板を配置することもでき、各面に対し2〜3枚の板を上下に2〜3枚もしくは左右に2〜3枚並べて配置することもできる。これら側面パネルは、運搬時に取り外すことができる。
【0016】
本実施形態の温度調節機能付き容器100は、各部をそれぞれ分離して運搬をすることができる。底パネル12の片面の側部には複数の車輪15が設けられており、車輪15のある反対側の側部にはハンドル14が設けられている。比較的重量のある底パネル12の運搬時には、内装容器20、側面パネル11、支柱13を取り外した状態で、底パネル12の車輪15を下にして、ハンドル14を持ち、底パネル12を運搬することが可能である。
【0017】
金属製などの重量がある底パネル12の運搬を容易にするためには、底パネル12のうちハンドル14側の部分の厚さを薄く(あるいは面積当たりの重量を小さく)することが好ましい。これにより、車輪15を支点としてハンドル14にかかる底パネル12の重量の負担が減り、車輪15を使った運搬をさらに容易にすることができる。車輪15は、温度調節機能付き容器100を水平面上に設置したとき底パネル12の下方に出っ張らないように、横向きに設けられることが好ましい。底パネル12のうち、車輪15に近い辺の下部には、底パネル12を傾斜させたときに下方への突出量を低減するため、面取りや丸みを設けてもよい。
【0018】
内装容器20は、内容物が充填される容器本体21と、容器本体21に取り付けられた注入口22及び排出口23を有する。内容物を充填するために内装容器20の内部を滅菌処理することができる。空の内装容器20を滅菌処理した後、衛生的に包装することにより、内容物を充填するまでの間、未使用の内装容器20のまま保管及び輸送をすることができる。
【0019】
内装容器20は、使い捨て可能(シングルユース)なフィルム容器からなることが好ましい。注入口22、排出口23、あるいはその他の付属品は可撓性を有しなくてもよく、例えば樹脂等の成形品が使用可能である。容器本体21は、ガゼット袋等の可撓性容器から構成されることが好ましい。これにより、未使用又は使用後で空の内装容器20を小さく折り畳むことができるので、未使用の内装容器20を衛生的に包装し、あるいは使用後の内装容器20を使い捨てにする際、減容が容易である。内容物の漏れをより厳重に防ぐため、容器本体21を2重袋や3重袋などの多重構成とすることもできる。
【0020】
図2では、容器本体21の上部に注入口22が設けられ、容器本体21の下部に排出口23が設けられている。注入口22を容器本体21の下部に設けてもよいが、後述する循環流路を形成したときに、容器本体21内で内容物が流通する領域を広く確保するため、注入口22が排出口23から離れていることが好ましい。また、注入口は容器本体21の側部に設けることもできる。内容物が沈降しやすい固形物を含む場合、注入口22及び排出口23を容器本体21の高さ方向で中央より下側に設けることが好ましい。
【0021】
循環流路において内容物を循環させるため、ポンプが設けられる。管等の流路の外側から機械的に動力を加えて、流路内の内容物を送液する場合は、ポンプ構造による汚染を防止できるので、好ましい。このようなポンプとしては、チューブポンプ、ホースポンプ、ペリスタルティックポンプ、ペリスタ・ポンプ(登録商標)等が挙げられる。
【0022】
図2の排出口23は、内装容器20を可撓性流路37に接続しやすくするため、内装容器20の側面に設けられている。内容物を内装容器20に充填するために用いる注入口は、循環流路の注入口22とは別に設けてもよい。また、内容物を内装容器20から取り出すために用いる排出口は、循環流路の排出口23とは別に設けることができ、底面にあることが好ましい。外装容器10の例えば底パネル12や側面パネル11等には、内装容器20の排出口を通す開口部(穴)を有してもよい。
【0023】
底パネル12の上面は、内装容器20の排出口の位置が最も低くなるように傾斜を有してもよい。排出口が底パネル12の片側(例えばハンドル14側)にある場合は、反対側から徐々に低くなる片流れ状にしてもよい。また、排出口が底パネル12の中央部にある場合は、底パネル12の上面を、排出口を中心とした漏斗状にしてもよい。底パネル12の上面に傾斜を設ける場合、側面パネル11や支柱13の設置箇所にも同様の傾斜を設けてもよく、あるいは側面パネル11で囲まれた内側(内装容器20の設置面)のみ傾斜を設けてもよい。排出口の設置個所の一例として、底パネル12のハンドル14側における幅方向の中央部が挙げられる。
【0024】
注入口22は、容器本体21に内容物を注入する際に用いられ、排出口23は、容器本体21から内容物を排出する際に用いられる。注入口22及び排出口23のそれぞれが、機能に適した異なる構造を有してもよい。注入口22から内容物を排出可能にし、あるいは排出口23から内容物を注入可能にしてもよい。内装容器20が2つ以上の注入口22を有してもよい。内装容器20が2つ以上の排出口23を有してもよい。
【0025】
側面パネル11の少なくとも1つには、加熱または冷却により内容物の温度を調整するための熱交換ユニットが設けられている。この熱交換ユニットが設けられたパネルは、内装容器20に接する内側パネル31と、内装容器20から離れた外側パネル32とを含んで、二重に配置されている。熱交換ユニットは、例えば、熱媒、冷媒等を用いた熱交換器が挙げられる。加熱の場合は、電熱ヒータ等の熱発生器を用いることもできる。熱交換部30は、熱交換ユニットを備える内側パネル31又は外側パネル32と、熱交換容器33とから構成される。内側パネル31及び外側パネル32は、ステンレス、アルミニウムなどの耐久性と熱伝導性を兼ね備える金属から構成することが好ましい。外側パネル32には、保温性を向上するため、繊維断熱材や真空断熱層などの断熱構造を設けることもできる。
【0026】
熱交換容器33は、内側パネル31と外側パネル32との間に配置されている。熱交換容器33を平袋等の可撓性容器から構成することにより、未使用又は使用後で空の熱交換容器33を小さく折り畳むことができる。未使用の熱交換容器33を衛生的に包装し、あるいは熱交換容器33を使い捨てにする際、減容が容易である。チューブやホースのみを用いるのと比較すれば、平袋のように面積が広い袋状の熱交換容器33を用いることにより、熱交換部30に流路を容易に設置できる上、熱交換効率を向上することができる。
【0027】
上述したように内装容器20の外部に設けられる可撓性流路37は、内容物が内装容器20を出て熱交換容器33を経て内装容器20に戻る循環流路を構成する。熱交換容器33に入る内容物は、注入口34を通り、熱交換容器33から出る内容物は、排出口35を通る。内装容器20の排出口23と熱交換容器33の注入口34との間、及び熱交換容器33の排出口35と内装容器20の注入口22との間は、それぞれチューブ、ホース、ゴム管、樹脂管等の接続流路36により接続されている。可撓性流路37は、フィルム及びチューブ等の使い捨て可能な材料から構成することが好ましい。
【0028】
接続流路36は、熱交換容器33に対して、熱融着や接着などにより一体的に構成されてもよい。コネクタや継手等の部品を介して、接続流路36と熱交換容器33との連結及び分離が可能でもよい。可撓性流路37を滅菌処理した後、衛生的に包装することにより、内容物を流通させるまでの間、未使用の可撓性流路37を保管及び輸送をすることができる。
【0029】
内装容器20の内容物を可撓性流路37内に流通させることにより、熱交換容器33内で内容物の温度を、熱交換ユニットにより調節することができる。また、内容物が内装容器20と可撓性流路37との間を循環することにより、保管や輸送の間に内容物の相分離を抑制することができる。
【0030】
内装容器20が熱交換部30に接することにより、熱交換部30を流通する内容物だけでなく、内装容器20内の内容物も同時に温度調節(加熱又は冷却)して、効率を向上することができる。温度調節中の内容物が流路を流通することにより、温度のムラが低減され、過度な加熱又は冷却による不都合を抑制することができる。熱交換ユニットと内容物の間で単位時間当たりに移動する熱量をより大きくすることができるので、内容物の温度を迅速に設定値まで調節することができる。また、熱交換部30を通り内装容器20の中に戻ってきた液体が系内で対流を起こすことにより、系内がムラなく均一に加熱される。
【0031】
熱交換容器33の内部は、内容物が流通する経路を長くするため、流路が蛇行するように構成することが好ましい。長い管状部材(チューブやホース)を設けることも可能であるが、蛇行した流路を袋の内部に一体的に形成することが、設置の作業性のため好ましい。図3に示す構成では、熱交換容器33を構成する平袋の内部が、流路42を仕切る区画シール部43を有する。図4に示す構成では、内側パネル31と外側パネル32との一方又は両方が、平袋の内部が仕切られるように平袋を変形させる凹凸53を有する。
【0032】
図3及び図4は、内側パネル31及び外側パネル32の間に熱交換容器33を挟み込む構造(図2参照)において、内側パネル31及び外側パネル32の一方のみを図示している。図示しないパネルは、図示されたパネルと同様な構造とすることができる。なお、これらの図において、パネル上の二点鎖線は熱交換容器33の概略の重なり位置を示し、熱交換容器33上の二点鎖線は凹凸53の概略の重なり位置を示す。
【0033】
パネルの凹凸53は、例えば凸部同士の間、凸部と平坦部又は凹部との間に熱交換容器33を挟み込んだ箇所が仕切りとなるパターン構造を有する。内側パネル31及び外側パネル32の両方又は一方に凸部を設けてもよい。一方のパネルに溝状の凹部を設け、他方のパネルに、凹部の深さより高さが大きい凸部を設けてもよい。図3のような区画シール部43と、図4のような凹凸53とを併用する場合は、これらを同一の仕切りに重ねて設けることもでき、位置が異なる仕切りにそれぞれ利用することもできる。凹凸53により熱交換容器33を挟み込む場合は、熱交換容器33のずれ落ちを抑制できるので好ましい。
【0034】
熱交換容器33を構成する平袋は、厚さ方向で流路42,52の両側に設けられるフィルム等の包装材料をシールするため、周囲の全部又は一部にシール部41,51を有する。平袋の表と裏を同一の包装材料から構成する場合は、一辺又は対向する二辺を包装材料の折り返し部として、シール部を省略することができる。
【0035】
本実施形態の温度調節機能付き容器100を組み立てる方法は、特に限定されないが、例えば、次の工程を有する方法が挙げられる。各工程の順序や内容等は、適宜変更可能である。
【0036】
(1)内装容器20と熱交換容器33とが接続流路36により連結された可撓性容器を製造し、内部の滅菌処理を行う。
(2)底パネル12に支柱13を設置する。
(3)底パネル12の上に、空の内装容器20を載せる。
(4)底パネル12及び支柱13に側面パネル11を取り付ける。
(5)内側パネル31と外側パネル32の間に熱交換容器33を挟み込む。
(6)内装容器20に内容物を充填する。
【0037】
本実施形態の温度調節機能付き容器100から内容物を取り出す方法は、特に限定されないが、内装容器20を外装容器10内に収容したまま、内装容器20の排出口から内容物を取り出すことも可能である。内容物の性状等によって適宜選択可能であるが、内容物の自重に従って流し出してもよく、押し出しや絞り出し等の外力を用いてもよく、ポンプ吸引等の機械力を用いてもよい。可撓性流路37内に残留する内容物の排出を促進するため、内側パネル31と外側パネル32の間から熱交換容器33を取り外してもよい。内容物を排出した後に、使用済みの内装容器20及び可撓性流路37を取り出し、廃棄することができる。内装容器20及び可撓性流路37が使い捨ての可撓性容器であるため、小さく折り畳むことにより、処理が容易になる。
【0038】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0039】
図1に示す外装容器10は、四面の側面パネル11のうち一面に熱交換部30を備えている。熱交換部30を2以上の側面パネル11に、例えば4面すべてに設けることも可能である。外装容器10が、熱交換部30を有しない側面パネル11を備えてもよい。底パネル12に熱交換部30を設けることもできる。
【0040】
内装容器20及び可撓性流路37の各部を構成する材料は、特に限定されないが、単層の樹脂フィルム、樹脂層を有する積層フィルム、不織布、織布、ゴムシート等が挙げられる。熱融着(シール)で袋を形成するためには、包装材料がシール可能な材質を少なくとも内面に有することが好ましい。多重袋の場合、最外層の袋は内面のみシール可能でもよいが、内側の袋は、外側の袋ともシールするため、両面でシール可能な包装材料から構成されることが好ましい。
【0041】
単層フィルムとしては、ポリエチレン(PE)や無延伸ポリプロピレン(CPP)などの熱可塑性樹脂からなるフィルムが用いられる。積層フィルムとしては、ポリエチレン(PE)や無延伸ポリプロピレン(CPP)などの熱可塑性樹脂を熱融着用のシーラント層とし、これにポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂、ポリプロピレン(PP)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂層を積層したもの等が用いられる。
【0042】
基材フィルムには、酸素や水蒸気等のガスを遮断するためのガスバリア層として、例えばアルミニウムなどの金属蒸着層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機化合物蒸着層、EVOHや塩化ビニリデン(PVDC)等のガスバリア性樹脂層、アルミニウム箔等の金属箔やクラフト紙等の1種または2種以上を組み合わせて積層することもできる。シーラント層と樹脂層とを積層する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法等が挙げられる。シーラント層と樹脂層の間には、両者を接着するため接着剤や接着性樹脂からなる接着層やアンカー剤層等を設けてもよい。
【0043】
容器の容量は、数リットル程度の小型のものでもよいが、容量50〜3000リットル程度の大型ないし超大型の容器に適用することができる。内容物としては、特に限定されず、飲料、調味料、原料、工業製品、化学材料、生物材料等が挙げられる。また、流動性があれば、粉体や粒体(粉粒体)など、あるいは液体に粉粒体等の固形物を混合した内容物も適用可能である。より厳密な温度管理が可能であるため、細胞培養液、液体培地、酵素等のタンパク質を含む組成物など、バイオ技術材料に好適である。
【0044】
流路には、温度計、流量計、圧力計等の計測機器を設けてもよい。また、これらの計測機器から得られたデータに基づいて動作する、制御機器、表示機器等を設けてもよい。
外装容器10に収容された内装容器20の下部から外部に内容物を排出する場合に、車輪15を地面に接したままハンドル14を手動や機械等により持ち上げて、内装容器20を載せたまま底パネル12を傾斜させることもできる。この場合、底面のうち傾斜により低くなる、車輪15に近い部分に排出口を設けることにより、内装容器20の下部において内容物が排出口から排出しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0045】
10…外装容器、11…側面パネル、12…底パネル、13…支柱、14…ハンドル、15…車輪、20…内装容器、21…容器本体、22…内装容器の注入口、23…内装容器の排出口、30…熱交換部、31…内側パネル、32…外側パネル、33…熱交換容器、34…熱交換容器の注入口、35…熱交換容器の排出口、36…接続流路、37…可撓性流路、41,51…シール部、42,52…流路、43…区画シール部、53…凹凸、100…温度調節機能付き容器。
図1
図2
図3
図4