特許第6504806号(P6504806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504806
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】食品用顆粒とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20190415BHJP
【FI】
   A23L35/00
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-256841(P2014-256841)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-116455(P2016-116455A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】514057743
【氏名又は名称】株式会社Mizkan Holdings
(73)【特許権者】
【識別番号】317006214
【氏名又は名称】株式会社Mizkan
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100086221
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 裕也
(72)【発明者】
【氏名】水野 祐彦
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−068628(JP,A)
【文献】 特開2003−104811(JP,A)
【文献】 特開2002−191400(JP,A)
【文献】 特開平07−031383(JP,A)
【文献】 特開平09−154546(JP,A)
【文献】 特開昭54−089065(JP,A)
【文献】 特開2011−036172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
AGRICOLA/BIOSIS/BIOTECHNO/CABA/CAplus/SCISEARCH/TOXCENTER/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類由来の食品素材を含む原料と、粉末セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥して得られ、水分含量が7質量%以下であり、かつ、粉末セルロースを固形分換算で質量%以上、20質量%以下含有する食品用顆粒であって、
前記魚介類由来の食品素材が、鮭又は鰹又はたらこ由来のものであり、かつ、
前記配合物が、固形分100質量部に対する食用油脂含量が10質量部未満のものである食品用顆粒
【請求項2】
食品用顆粒を製造するにあたり、魚介類由来の食品素材を含む原料と、粉末セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥することを特徴とする、水分含量が7質量%以下であり、かつ、粉末セルロースを固形分換算で質量%以上、20質量%以下含有する食品用顆粒を製造する方法であって、
前記魚介類由来の食品素材が、鮭又は鰹又はたらこ由来のものであり、かつ、
前記配合物が、固形分100質量部に対する食用油脂含量が10質量部未満のものである方法
【請求項3】
請求項に記載の方法により得られた食品用顆粒を含有するふりかけ。
【請求項4】
ふりかけを製造するにあたり、請求項に記載の製造方法により食品用顆粒を製造し、得られた食品用顆粒を調味顆粒及び/又は乾燥具材と配合することを特徴とする、ふりかけの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用顆粒とその製造方法、並びに、前記方法により得られた食品用顆粒を含有するふりかけとその製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ふりかけは、主にご飯にふりかけて使われ、弁当のご飯にふりかけたりして使われるほか、炊いたご飯に混ぜておむすびを作ったりする際に使われている。
ふりかけの主たる食品素材の加工形態としては、粉末状、顆粒状、燐片状などの形態のものが提案されている(例えば、特許文献1の背景技術欄参照)。
【0003】
この場合、その加工形態が粉末状のものであると、細か過ぎて、具材感に劣り、風味が薄く感じられてしまうという問題がある。
また、燐片状のものも、厚さが薄く、塊状にならないことから具材感に欠けるばかりか、ドラム乾燥などの方法により燐片状としていることから、乾燥温度が高くて、風味の劣化度合いが高くなってしまうというおそれがあった。
【0004】
一方、顆粒状のものは、塊状となり、具材感を有していることから、ふりかけとするには好適である。
ところが、顆粒状のものは、一般にある程度、具材感を感じさせる程度の大きさになると食感が硬くなってしまうというきらいがある。そこで、通常、そのような大きさの造粒物は凍結乾燥することにより、食感を柔らかくしている。
これは、凍結乾燥によれば、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかいものが得られるからである。しかしながら、凍結乾燥は、一般に製造時間が長く、製造コストがかかるという問題があった。
一方、熱風乾燥は、凍結乾燥に比べて、製造時間が短く、製造コストが低い点で優れるものの、ポーラスで(多孔質で)、柔らかい顆粒は得られず、食感が硬いものとなることから、その解決が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-36172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解消すべく鋭意検討を重ねた。その結果、魚介類由来の食品素材を含む原料に、セルロースを配合して得られる配合物を造粒した後、特定温度にて熱風乾燥することにより、魚介類由来の食品素材を含む原料を凍結乾燥した場合などに比べて、製造時間が長くなく、製造コストも高くないばかりか、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、凍結乾燥などの製造時間が長くて製造コストのかかる方法によることなく(凍結乾燥しないにもかかわらず)、ポーラスで、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、凍結乾燥などに比べて、製造時間が長くなく、製造コストも高くないばかりか、ポーラスで、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒を製造する方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、製造コストが高くなく、しかもポーラスで、食感が柔らかいふりかけと、これを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)から()に関する。
(1);魚介類由来の食品素材を含む原料と、粉末セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥して得られ、水分含量が7質量%以下であり、かつ、粉末セルロースを固形分換算で質量%以上、20質量%以下含有する食品用顆粒であって、
前記魚介類由来の食品素材が、鮭又は鰹又はたらこ由来のものであり、かつ、
前記配合物が、固形分100質量部に対する食用油脂含量が10質量部未満のものである食品用顆粒
(2);食品用顆粒を製造するにあたり、魚介類由来の食品素材を含む原料と、粉末セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥することを特徴とする、水分含量が7質量%以下であり、かつ、粉末セルロースを固形分換算で質量%以上、20質量%以下含有する食品用顆粒を製造する方法であって、
前記魚介類由来の食品素材が、鮭又は鰹又はたらこ由来のものであり、かつ、
前記配合物が、固形分100質量部に対する食用油脂含量が10質量部未満のものである方法
(3);前記(2)に記載の方法により得られた食品用顆粒を含有するふりかけ。
(4);ふりかけを製造するにあたり、前記(2)に記載の製造方法により食品用顆粒を製造し、得られた食品用顆粒を調味顆粒及び/又は乾燥具材と配合することを特徴とする、ふりかけの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、凍結乾燥などの、製造時間が長くて、製造コストのかかる方法によることなく、ポーラスで、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒が提供され、また、凍結乾燥などに比べて、製造時間が長くなく、製造コストも高くないばかりか、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒を製造する方法が提供される。
さらに、本発明によれば、製造コストが高くなく、しかもポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかいふりかけと、これを製造する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は第1に、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥して得られ、水分含量が7質量%以下であり、かつ、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下含有する食品用顆粒に関する。
【0010】
本発明の第1の食品用顆粒は、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥して得られるものである。
【0011】
ここで魚介類由来の食品素材とは、魚介類そのものか、或いは、魚介類の加工品を含む概念であって、具体的には例えば、鮭、鰹などの魚類乃至その加工品をはじめ;しらす(じゃこ)などの稚魚乃至その加工品;たらこ、明太子などの魚卵乃至その加工品;海老、いかなどの甲殻類乃至その加工品;等を挙げることができ、これらの一種を単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いたものであってもよい。
魚介類由来の食品素材としては、これらの中でも特に鮭又は鰹又はたらこ由来のもの(即ち、鮭由来のもの、又は鰹由来のもの、又はたらこ由来のもの)が、ふりかけ具材としてご飯との相性から好ましいが、これらを主とし、他のもの(例えば、海老など)と組み合わせて用いたものであってもよい。
【0012】
原料としては、上記した如き魚介類由来の食品素材を含むものであればよく、本発明の目的を損なわない限り、上記した如き魚介類由来の食品素材の他に、通常の食品用顆粒に用いられる材料を用いて、顆粒中に含有させることができる。
そのような材料として具体的には例えば、食塩、でん粉、加工でん粉、糖類(砂糖、乳糖、ぶどう糖、還元水飴など)、デキストリン、小麦粉、植物性蛋白、醤油、みりん、発酵調味料、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、食用油脂、色素、香料、酸化防止剤等を挙げることができる。
【0013】
次に、セルロースとしては、食品に用いられるものであればよく、特に制限されないが、実際には食品用の添加物として認められているものやそれらに類するものが用いられる。そのようなものとしては、現時点では、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、粉末セルロースが挙げられる。厚生労働省の既存添加物名簿収載品目リスト(平成26年2月4日更新)では、微結晶セルロースは、『パルプから得られた、結晶セルロースを主成分とするものをいう。』と規定されている。次に、微小繊維状セルロースは、『パルプ又は綿を微小繊維状にして得られた、セルロースを主成分とするものをいう。』と規定されている。また、粉末セルロースは、『パルプを分解して得られた、セルロースを主成分とするものをいう。ただし、「微結晶セルロース」を除く。』と規定されている。
本発明に用いられるセルロースとして、より具体的には、例えば、日本製紙社製の粉末セルロース「KCフロック」(登録商標)や「NPファイバー」が挙げられる。
【0014】
本発明の第1の食品用顆粒は、上記した如き魚介類由来の食品素材を含む原料と、上記した如きセルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を、特定の温度にて、熱風乾燥して得られるものである。
本発明の第1において、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかい顆粒が得られる理由は必ずしも定かではないが、魚介類由来の食品素材を含む原料に、「セルロース」を含む配合物を造粒し、次に得られた造粒物を「熱風乾燥」していることから、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかいものが得られているものと考えられる。
ここで配合の方法や造粒の方法などについては、後記の本発明の第2による食品用顆粒の製造方法についての記載箇所で述べることとする。
【0015】
本発明の第1の食品用顆粒は、上記した如き魚介類由来の食品素材を含む原料と、上記した如きセルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を、55℃以上、95℃以下の温度にて、好ましくは60℃以上、90℃以下の温度にて、より好ましくは65℃以上、85℃以下の温度にて、熱風乾燥して得られるものである。
ここで熱風乾燥の温度が55℃未満であると、乾燥に時間がかかり過ぎてしまい、乾燥効率、製造効率が悪くなってしまうため好ましくない。一方、熱風乾燥の温度が95℃を超えると、乾燥効率、製造効率は優れるものの、風味劣化を生じてしまうため、好ましくない。
【0016】
また、熱風乾燥する時間については、所定の水分含量以下になるまで乾燥させれば良く、特に限定されないが、通常、30分〜3時間であり、好ましくは1〜2時間である。
【0017】
また、本発明においては、セルロースを配合して得られる配合物を造粒した後に、熱風乾燥された顆粒であることが必要であって、他の乾燥方法で乾燥されものである場合には、本発明の目的を達成することはできない。
即ち、例えば、凍結乾燥法により乾燥されたものである場合には、ある程度ポーラスで、食感が柔らかい顆粒となるものの、製造時間が長くかかるばかりか、製造コストが高くなってしまい、好ましくない。
また、常圧ドラム乾燥や真空ドラム乾燥などのドラム乾燥法により乾燥されたものである場合には、得られる乾燥物は、燐片状乃至薄いフィルム状となって、厚さが薄く、塊状にならないことから、具材感に欠け、好ましくない。
【0018】
本発明の第1の食品用顆粒は、上記のようにして得られ、水分含量が7質量%以下であり、かつ、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下の割合で含有するものである。
【0019】
即ち、本発明の第1の食品用顆粒は、水分含量が7質量%以下、好ましくは5質量%以下のものである。
【0020】
また、本発明の第1の食品用顆粒は、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下、好ましくは4質量%以上、20質量%以下、より好ましくは5質量%以上、15質量%以下の割合で含有するものである。
ここでセルロースの含有割合が固形分換算で3質量%未満であると、ポーラスで、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒とならないため、好ましくない。
一方、セルロースの含有割合が固形分換算で25質量%を超えると、乾燥前の造粒物の保形性が不十分となり、更に、乾燥後の食感がパサパサしたものとなるため、好ましくない。
【0021】
なお、本発明の第1の食品用顆粒の大きさについては、通常、平均粒子径が、3〜7mmのものであるが、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明の第1の食品用顆粒は、上記した如きものであるが、そのような食品用顆粒は、以下に述べる本発明の第2により製造することができる。
即ち、本発明の第2は、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を造粒し、次に得られた造粒物を、55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥することを特徴とする方法であって、この方法により、水分含量が7質量%以下であり、かつ、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下含有する食品用顆粒を製造することができる。
【0023】
本発明の第2は、具体的には、次の工程(1)と工程(2)と工程(3)とを有する食品用顆粒の製造方法である。
・工程(1):魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとを、熱風乾燥後における顆粒中の水分含量が7質量%以下となったときにおけるセルロースの固形分換算含有量が3質量%以上、25質量%以下となるような割合で配合する工程。
・工程(2):工程(1)で得られた配合物を造粒する工程。
・工程(3):工程(2)で得られた造粒物を、55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥し、水分含量が7質量%以下であり、かつ、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下含有する食品用顆粒を得る工程。
【0024】
工程(1)では、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとを、熱風乾燥後における顆粒中の水分含量が7質量%以下となったときにおけるセルロースの固形分換算含有量が3質量%以上、25質量%以下となるような割合で配合する。
【0025】
ここで魚介類由来の食品素材を含む原料や、セルロースとしては、前記本発明の第1において述べたとおりのものが用いられる。
また、魚介類由来の食品素材としては、これらの中でも特に「鮭又は鰹又はたらこ由来のもの」が、ふりかけ具材としてご飯との相性から好ましいことも前記したとおりである。
【0026】
また、前記したように、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとの配合割合については、熱風乾燥後の顆粒中の水分含量が7質量%以下となったときにおけるセルロースの固形分換算含有量が3質量%以上、25質量%以下、好ましくは4質量%以上、20質量%以下、より好ましくは5質量%以上、15質量%以下の割合となるように配合する。
【0027】
次に、工程(2)では、前記工程(1)で得られた配合物を造粒する。
ここで造粒方法については、特に限定されないが、食品用顆粒とするために、通常、造粒機もしくはミンチ機が用いられる。
【0028】
さらに、工程(3)では、前記工程(2)で得られた造粒物を、55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥し、水分含量が7質量%以下であり、かつ、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下含有する食品用顆粒を得る。
【0029】
ここで熱風乾燥の温度や、得られる顆粒中の水分含量、セルロースの含有割合、食品用顆粒の大きさについては、好適範囲を含めて前記したとおりである。
【0030】
このようにして顆粒を得ることができるが、そのままでは、食品用、特にふりかけ用とするには、粒径が大き過ぎたり、大き過ぎるものが混ざっていたりする場合がある。
従って、常法に従い、通常は、これをパワーミルなどを用いて解砕し、次いで篩を用いて整粒し、適宜大きさの顆粒とする。例えば、100%4メッシュ(目開き:4.75mm)パス、100%18メッシュ(目開き:0.85mm)オンさせて、ふりかけ用として好ましい大きさの顆粒を得ることができる。
【0031】
このようにして、本発明の第2の方法により、本発明の第1の食品用顆粒を得ることができ、得られる本発明の第1の食品用顆粒は、これを含有させたふりかけとすることができる。
即ち、本発明の第3は、上記した本発明の第2(方法)により得られた、本発明の第1の食品用顆粒を含有するふりかけに関するものである。
【0032】
本発明の第3のふりかけは、上記した本発明の第2(方法)により得られた食品用顆粒を含有したものであればよく、本発明の目的を損なわない限り、この他に、通常、ふりかけに用いられている材料を用いて、常法によりふりかけ中に含有させることができる。
そのような材料としては、調味顆粒や乾燥具材が挙げられ、これらのいずれかを、或いはこれらを組み合わせてふりかけ中に含有させることができる。
【0033】
ここで調味顆粒として具体的には例えば、食塩、糖類(砂糖、乳糖、ぶどう糖など)、デキストリン、旨味調味料(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムなど)、アミノ酸類、加工でん粉、香料、色素(紅麹色素、パプリカ色素など)、酸化防止剤(ビタミンEなど)等を混合して造粒して乾燥させた顆粒等を挙げることができる。
【0034】
また、乾燥具材としては、上記した魚介類由来の食品素材と同様のものであってもよいし、或いは、これとは異なるものであってもよい。
例えば、鮭やたらこを魚介類由来の食品素材として用いる場合に、わかめや味付わかめを用いることができる。
また、上記した魚介類由来の食品素材と異なる具材としては、例えば、ごまやいりごま、大根葉、梅、紫蘇などの植物類、等を挙げることができる。
【0035】
なお、本発明の第3のふりかけについて、その水分含量は特に限定されないが、通常のふりかけと同様に、7質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下のものである。
【0036】
本発明の第3のふりかけは、上記した本発明の第2(方法)により食品用顆粒を製造し、得られた食品用顆粒を調味顆粒及び/又は乾燥具材と配合することにより、製造することができる。
そのようなふりかけの製造方法を提供するのが、本発明の第4である。
即ち、本発明の第4では、基本的には、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとを配合し、次いで、得られた配合物を55℃以上、95℃以下の温度にて熱風乾燥することにより、水分含量が7質量%以下であり、かつ、セルロースを固形分換算で3質量%以上、25質量%以下含有する食品用顆粒を製造し、得られた食品用顆粒を調味顆粒及び/又は乾燥具材と配合する。
【0037】
ここで魚介類由来の食品素材を含む原料や、セルロースとしては、前記したとおりのものが用いられ、また、魚介類由来の食品素材としては、これらの中でも特に「鮭又は鰹又はたらこ由来のもの」が、ふりかけ具材としてご飯との相性から好ましいことも前記したとおりである。
次に、熱風乾燥の温度や、得られる顆粒中の水分含量、セルロースの含有割合、食品用顆粒の大きさについても、好適範囲を含めて前記したとおりである。
また、前記したように、魚介類由来の食品素材を含む原料と、セルロースとの配合割合については、熱風乾燥後の顆粒中の水分含量が7質量%以下となったときにおけるセルロースの固形分換算含有量が3質量%以上、25質量%以下、好ましくは4質量%以上、20質量%以下、より好ましくは5質量%以上、15質量%以下の割合で配合する。
調味顆粒や乾燥具材についても、前記したとおりのものが用いられる。
【0038】
このようにして製造されたふりかけは、製造コストが高くない上に、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかく、ふりかけとして優れたものである。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明を実施例等により説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、以下において、単に「%」とあるのは、「質量%」を示している。
【0040】
製造例1〜6(鮭顆粒の製造と評価)
表1、表2に示す原料を、表1、表2に示す配合にて配合し、次いで、得られた配合物を、ミンチ機((株)なんつね製;ミートチョッパーMS-12B)を用いて造粒し、得られた造粒物を、熱風乾燥機(東京理化機械(株)製、送風定温乾燥機 WFO-601SD)を用いて、85℃の温度にて熱風乾燥し、得られた顆粒をパワーミル(スクリーンサイズ:直径5mm;)を用いて解砕し、さらに振動篩を用いて、4メッシュ(目開き:4.75mmの篩)パス、18メッシュ(目開き:0.85mmの篩)オンさせて、平均粒子径4mmの鮭顆粒を製造した。
なお、表1、2中、「固形分換算(%)」とあるのは、鮭顆粒中における「固形分換算含有量(%)」を示している。
【0041】
得られた鮭顆粒について、10名のパネラーにより、下記の評価基準にて、食感(柔らかさ)、乾燥前保形性、鮭風味、をそれぞれ評価すると共に、総合評価を行った。結果を表1、表2に示す。
なお、粉末セルロースとしては、日本製紙社製の「KCフロックW−100」(登録商標)を用いた。
【0042】
<食感(柔らかさ)>
◎:大変好ましい
○:かなり好ましい
△:やや好ましい
×:好ましくない
【0043】
<乾燥前保形性>
◎:大変好ましい
○:かなり好ましい
△:やや好ましい
×:好ましくない
【0044】
<鮭風味>
◎:鮭風味が極めて良く感じられる
○:鮭風味がかなり感じられる
△:鮭風味が少し感じられる
×:鮭風味が感じられない
【0045】
<総合評価>
◎:大変好ましい
○:かなり好ましい
△:やや好ましい
×:好ましくない
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表1、2の結果によれば、鮭顆粒において、粉末セルロースの含有量が、固形分換算で1.6質量%と少な過ぎると、食感が固く、しかも鮭風味も不充分なものとなることが分かる(製造例1参照)。
また、粉末セルロースの含有量が、固形分換算で32.5質量%と多過ぎると、パサついて食感が悪く、乾燥前保形性にも劣るものとなることが分かる(製造例6参照)。
これに対して、粉末セルロースの含有量が、固形分換算で6.5質量%、11.4質量%、16.3質量、21.1質量%である場合には、食感(柔らかさ)も保形性も十分であることが分かる(製造例2、3、4、5参照)。
【0049】
製造例7〜12(たらこ顆粒の製造と評価)
表3、表4に示す原料を、表3、表4に示す配合にて配合し、次いで、得られた配合物を、ミンチ機((株)なんつね製;ミートチョッパーMS-12B)を用いて造粒し、得られた造粒物を、熱風乾燥機(東京理化機械(株)製、送風定温乾燥機 WFO-601SD)を用いて、85℃の温度にて熱風乾燥し、得られた顆粒をパワーミル(スクリーンサイズ:直径5mm;)を用いて解砕し、さらに振動篩を用いて、4メッシュ(目開き:4.75mmの篩)パス、18メッシュ(目開き:0.85mmの篩)オンさせて、平均粒子径4mmのたらこ顆粒を製造した。
なお、表3、4中、「固形分換算(%)」とあるのは、たらこ顆粒中における「固形分換算含有量(%)」を示している。
【0050】
得られた、たらこ顆粒について、10名のパネラーにより、製造例1〜6と同様の評価基準にて、食感(柔らかさ)、乾燥前保形性をそれぞれ評価すると共に、総合評価を行った。結果を表3、表4に示す。なお、本製造例7〜12においては、鮭風味の代わりに、たらこ風味を下記基準にて評価した。
【0051】
<たらこ風味>
◎:たらこ風味が極めて良く感じられる
○:たらこ風味がかなり感じられる
△:たらこ風味が少し感じられる
×:たらこ風味が感じられない
【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
表3、4の結果によれば、たらこ顆粒において、粉末セルロースの含有量が、固形分換算で1.4質量%と少な過ぎると、食感が固く、しかもたらこ風味も不充分なものとなることが分かる(製造例7参照)。
また、粉末セルロースの含有量が、固形分換算で28.6質量%と多過ぎると、パサついて食感が悪く、乾燥前保形性にも劣るものとなることが分かる(製造例12参照)。
これに対して、粉末セルロースの含有量が、固形分換算で5.7質量%、10.0質量%、14.3質量%、18.6質量%である場合には、食感(柔らかさ)も保形性も十分であることが分かる(製造例8、9、10、11参照)。
【0055】
以上の表1、2、3、4の結果からは、顆粒中における粉末セルロースの含有量は、固形分換算で「3質量%以上、25質量%以下」が好ましいことが理解される。
【0056】
製造例13〜16(乾燥温度による効果の違いの確認試験)
熱風乾燥時の乾燥温度を種々変えたこと以外は、製造例2と同様にして、鮭顆粒を製造し、下記の評価基準にて、乾燥効率、鮭風味をそれぞれ評価すると共に、総合評価を行った。結果を表5に示す。
【0057】
<乾燥効率>
◎:大変好ましい
○:かなり好ましい
△:やや好ましい
×:好ましくない
【0058】
<鮭風味>
◎:鮭風味が極めて良く感じられる
○:鮭風味がかなり感じられる
△:鮭風味が少し感じられる
×:鮭風味が感じられない
【0059】
<総合評価>
◎:大変好ましい
○:かなり好ましい
△:やや好ましい
×:好ましくない
【0060】
【表5】
【0061】
表5の結果によれば、乾燥温度が50℃であると、乾燥に時間がかかり過ぎてしまい、乾燥効率に劣ることが分かる(製造例13参照)。
また、乾燥温度が100℃であると、鮭風味が感じられなくなるため、好ましくないことが分かる(製造例16参照)。
一方、乾燥温度が70℃、90℃であると、乾燥効率と鮭風味のいずれにも優れた鮭顆粒が得られることが分かる(製造例14、15参照)。
これらの結果からは、熱風乾燥時の乾燥温度は、55℃〜95℃程度の範囲が好ましいことが理解される。
【0062】
実施例1(鮭わかめふりかけの製造)
製造例3で得られた鮭顆粒に、「味付わかめ(わかめ、食塩、還元水飴)と、ごま」からなる乾燥具材を、鮭顆粒50%、味付わかめ20%、ごま30%の割合となるように配合して、鮭わかめふりかけを製造した。この鮭わかめふりかけは、食感が柔らかい鮭顆粒を主体としたのであって、ふりかけとしてもおむすび具材としても良好な鮭風味と良好な食感を有するものであった。
【0063】
実施例2(焼きたらこふりかけの製造)
製造例9で得られた、たらこ顆粒に、調味顆粒(食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム)と、乾燥具材〔味付わかめ(わかめ、食塩、みりん)、ごま〕と、を、たらこ顆粒45%、調味顆粒5%、味付わかめ20%、ごま30%の割合となるように配合して、焼きたらこふりかけを製造した。このたらこふりかけは、食感が柔らかい、たらこ顆粒を主体としたのであって、ふりかけとしてもおむすび具材としても良好なたらこ風味と食感を有するものであった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、凍結乾燥などの、製造時間が長くて、製造コストのかかる方法によることなく、ポーラスで(多孔質で)、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒が提供され、また、凍結乾燥などに比べて、製造時間が長くなく、製造コストも高くないばかりか、ポーラスで、食感が柔らかく、ふりかけなどの食品用に適した顆粒を製造する方法が提供され、さらに、本発明によれば、製造コストが高くなく、しかもポーラスで、食感が柔らかいふりかけと、これを製造する方法が提供される。
従って、本発明は、食品産業において、有効に貢献することができる。