(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本願発明の原理)
本願発明の各実施形態を説明する前に、
図1〜
図3を参照し、本願発明の原理を説明する。
ここで、フレーム周波数をf(Hz)、照明の点滅周波数をk(Hz)とする。また、照明は、周波数k(Hz)とその奇数倍の周波数との正弦波を重ねあわせた波形に従って点滅することとする。
【0012】
図1の信号読み出し周期とは、1フレーム画像を生成するために、撮像素子から電気信号を読み出す期間のことである。この信号読み出し周期は、フレーム周期1/f(秒)と同じ長さになる。
光検出休止期間とは、信号読み出し周期のうち、光検出による電気信号が生成されない期間である。なお、
図1では、信号読み出し周期のうち、光検出休止期間をドットで図示した。
光検出期間とは、信号読み出し周期のうち、光検出により電気信号が生成される期間である。
光検出とは、受光した光を撮像素子が光電変換し、電気信号を生成することである。
【0013】
図1のように、信号読み出し周期の中心時刻を中心として、下記式(1)で表される長さL(秒)の光検出休止期間が設けられる。つまり、フレーム画像n,n+1,…は、信号読み出し周期のうち、光検出休止期間を除いた光検出期間の電気信号により生成される(nは、2以上の自然数)。
L=1/k−1/f …式(1)
【0014】
図2の例では、フレーム周期1/120(秒)、照明の点滅周期1/100(秒)とする。従って、光検出休止期間は、1/600(秒)となる。ここで、f/2<k<fを満たすので、1フレーム周期(信号読み出し周期)に含まれる照明の点滅波形のうち、光検出期間に含まれる点滅波形が、平均値を中心として上下対称に繰り返される。言い換えるなら、各フレーム周期では、点滅波形と平均値とに囲われる領域面積α1,α2が、平均値の上下で等しくなる。このため、照明の点滅による悪影響が無くなり、フリッカが発生しなくなる。
なお、
図2では、領域面積α1,α2をハッチングで図示した。
【0015】
ここで、
図3のように、フレーム周期は、照明の点滅周期に対し、円の右下部分で不足することになる。フレーム周期の不足期間がフリッカの原因となるので、円の中心Cの反対側に、この不足期間に釣り合った光検出休止期間を設ける。
【0016】
この不足期間は、照明の点滅周波数kだけでなく、その偶数倍の周波数2k,4k,…や奇数倍の周波数3k,5k,…にも表れるが、本願発明の原理によれば、奇数倍の周波数成分のみで除去できる。そして、照明の点滅周波数k,3k,5k,…を重ね合わせた波形は、正弦波以外の矩形波又は三角波でも表現できる。従って、本願発明の原理によれば、照明の点滅波形が正弦波以外であっても、フリッカが発生しなくなる。
【0017】
以下、本願発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
【0018】
(第1実施形態)
[撮像装置の構成]
図4を参照し、本願発明の第1実施形態に係る撮像装置1の構成について説明する。
図4のように、撮像装置1は、被写体の動画を撮像する撮像カメラ(例えば、放送用カメラ)であって、撮像光学系10と、メカニカルシャッター12と、撮像素子(撮像手段)14と、シャッター駆動回路16と、撮像素子駆動回路18とを備える。
【0019】
撮像光学系10は、対物レンズを含む複数枚のレンズからなるレンズ群であり、被写体からの光をメカニカルシャッター12に向けて出射する。この撮像光学系10は、本願発明に直接関係しない一般的な構成のため、これ以上の説明を省略する。また、
図4では、図面を見易くするため、撮像光学系10を1枚のレンズとして図示した。
【0020】
メカニカルシャッター12は、撮像光学系10の光軸上に配置された機械式のシャッターである。このメカニカルシャッター12は、シャッター駆動回路16から入力されたシャッター駆動信号に従って開閉する。ここで、メカニカルシャッター12が開いている場合、撮像光学系10からの光は、撮像素子14に入射する。一方、メカニカルシャッター12が閉じている場合、撮像光学系10からの光は、メカニカルシャッター12に遮蔽されて撮像素子14に入射しない。
【0021】
撮像素子14は、メカニカルシャッター12を通過した入射光を受光し、受光した入射光から映像信号を生成するものである。例えば、撮像素子14としては、グローバルシャッターを備えるCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサをあげることができる。
ここで、グローバルシャッターとは、全画素が同時に光検出を開始及び終了するものである。
【0022】
シャッター駆動回路16は、光検出休止期間に光を遮蔽し、光検出期間に光を通過させるようにメカニカルシャッター12を駆動するものである。このシャッター駆動回路16は、撮像素子駆動回路18から入力された撮像素子駆動信号に同期して、メカニカルシャッター12を開閉させるシャッター駆動信号を、メカニカルシャッター12に出力する。
【0023】
撮像素子駆動回路18は、撮像素子14を駆動するものである。この撮像素子駆動回路18は、撮像素子14の駆動タイミングを表す撮像素子駆動信号(タイミングパルス)を、撮像素子14及びシャッター駆動回路16に出力する。
【0024】
[メカニカルシャッターの開閉と光検出休止期間との関係]
図5を参照し、メカニカルシャッター12の開閉と光検出休止期間との関係について、説明する(適宜
図4参照)。
【0025】
図5のように、シャッター駆動回路16は、撮像素子駆動信号に同期して、光検出期間でメカニカルシャッター12を開くように駆動して、撮像光学系10からの光を撮像素子14まで通過させる。また、シャッター駆動回路16は、撮像素子駆動信号に同期して、光検出休止期間でメカニカルシャッター12を閉じるように駆動して、撮像光学系10からの光を遮断する。
【0026】
このように、撮像装置1は、シャッター駆動回路16によって、光検出期間及び光検出休止期間に合わせてメカニカルシャッター12を駆動することで、
図2の光検出のパターンを実現することができる。従って、撮像装置1は、フリッカが発生することなく、見やすい映像を撮像することができる。
【0027】
(第2実施形態)
図6を参照し、本願発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bの構成について説明する。
図6のように、撮像装置1Bは、被写体の動画を撮像する撮像カメラであって、撮像光学系10と、メカニカルシャッター22と、撮像素子(撮像手段)24と、シャッター駆動回路26と、撮像素子駆動回路28とを備える。
【0028】
メカニカルシャッター22は、撮像光学系10の光軸上に配置され、撮像素子24のライン(走査線)毎に光を遮蔽することが可能な機械式のシャッターである。このメカニカルシャッター22は、シャッター駆動回路26からのシャッター駆動信号に従って、撮像素子24のライン単位で開閉する。
【0029】
撮像素子24は、メカニカルシャッター22を通過した入射光を受光し、受光した入射光から映像信号を生成するものである。例えば、撮像素子24としては、ローリングシャッター(ライン露光順次読み出し)を備えるCMOSセンサをあげることができる。
【0030】
ここで、ローリングシャッターとは、撮像素子24のライン毎に順次、光検出を開始及び終了するものである。つまり、撮像素子24は、各ラインで信号読み出し周期(垂直スキャン)のタイミングが異なる。
【0031】
シャッター駆動回路26は、光検出休止期間に光を遮蔽し、光検出期間に光を通過させるように、メカニカルシャッター22を駆動するものである。このシャッター駆動回路26は、撮像素子駆動回路28から入力された撮像素子駆動信号に同期して、メカニカルシャッター22を開閉させるシャッター駆動信号をメカニカルシャッター22に出力する。
【0032】
撮像素子駆動回路28は、撮像素子24をライン毎に駆動するものである。この撮像素子駆動回路28は、撮像素子24のライン毎に駆動タイミングを表す撮像素子駆動信号(タイミングパルス)を、撮像素子24及びシャッター駆動回路26に出力する。
【0033】
[メカニカルシャッターの開閉と光検出休止期間との関係]
図7を参照し、メカニカルシャッター22の開閉と光検出休止期間との関係について、説明する(適宜
図6参照)。
【0034】
図7のように、撮像素子24は、ライン1,2,…,m−1,mの順番で信号読み出しが行われる(mは、2以上の自然数)。つまり、撮像素子24は、ライン1,2,…,m−1,mの信号読み出し周期がずれている。そこで、シャッター駆動回路26は、ライン1,2,…,m−1,mの光検出期間に、メカニカルシャッター12を開くように駆動する。従って、撮像光学系10からの光は、撮像素子14のライン1,2,…,m−1,mに入射する。
【0035】
また、シャッター駆動回路26は、ライン1,2,…,m−1,mの光検出休止期間に、メカニカルシャッター22を閉じるように駆動する。従って、撮像光学系10からの光は、メカニカルシャッター22に遮蔽される。
【0036】
このように、撮像装置1Bは、シャッター駆動回路26によって、ライン1,2,…,m−1,mの光検出期間及び光検出休止期間に合わせて、撮像素子駆動信号に同期してメカニカルシャッター22を駆動することで、
図2の光検出のパターンを実現することができる。従って、撮像装置1Bは、フリッカが発生することなく、見やすい映像を撮像することができる。
【0037】
(第3実施形態)
[撮像素子の構成]
図8,
図9を参照し、本願発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cが備える撮像素子(撮像手段)30の構成について説明する。
なお、例えば、垂直走査回路、水平走査回路、CDS(Correlated Double. Sampling)回路など、本願発明に直接関係しない一般的構成を省略した。
【0038】
撮像素子30は、撮像装置1Cの撮像光学系(不図示)を介して入射光を受光し、受光した入射光から映像信号を生成するものである。例えば、撮像素子30は、ローリングシャッターを備えるCMOSセンサである。また、
図8,
図9のように、撮像素子30は、画素32と、垂直信号線34と、ADC(Analog to Digital Converter:AD変換手段)36と、加算器(加算手段)38とを備える。
【0039】
画素32は、4トランジスタ画素であり、受光した入射光の強度に応じた電圧の電気信号を生成するものである。また、画素32は、行列方向(水平方向及び垂直方向)に配列され、それぞれが垂直信号線34に接続される。そして、画素32は、生成した電気信号を垂直信号線34に出力する。
なお、画素32の具体的構造は、後記する。
【0040】
垂直信号線34は、画素32から入力された電気信号を、図示を省略した水平信号線を介して、ADC36に出力するものである。
ADC36は、画素32から入力された電気信号をAD変換し、加算器38に出力するものである。
加算器38は、ADC36でAD変換された電気信号を加算し、映像信号を生成するものである。
【0041】
[画素の具体的構造]
図8を参照し、画素32の具体的構造について、説明する。
図8のように、画素32は、フォトダイオードPDと、読み出しトランジスタTXと、浮遊拡散領域FDと、リセットトランジスタRTと、増幅トランジスタAPと、選択トランジスタSLとを備える。
【0042】
フォトダイオードPDは、光電変換機能及び電荷蓄積機能を有するダイオードである。このフォトダイオードPDは、入射光の強度に応じた量の信号電荷に光電変換し、その信号電荷を蓄積する。また、フォトダイオードPDは、カソードが読み出しトランジスタTXのソースに接続される。
【0043】
読み出しトランジスタTXは、ゲートに信号が入力されてON状態になると、フォトダイオードPDの信号電荷を読み出して、浮遊拡散領域FDに転送するものである。この読み出しトランジスタTXは、ゲートが水平選択線(不図示)に接続され、ドレインが浮遊拡散領域FDに接続される。
【0044】
浮遊拡散領域FDは、読み出しトランジスタTXからの信号電荷を一時的に蓄積するものである。この浮遊拡散領域FDは、一時蓄積した信号電荷の量に応じた電圧の電気信号を生成する。また、浮遊拡散領域FDは、リセットトランジスタRTのソースと、増幅トランジスタAPのゲートとにそれぞれ接続される。
【0045】
リセットトランジスタRTは、ON状態になると、浮遊拡散領域FDの電位をリセットするものである。このリセットトランジスタRTは、ON状態とOFF状態を切り替える制御信号がゲートに入力され、ドレインがリセット電源VRTに接続される。
【0046】
増幅トランジスタAPは、浮遊拡散領域FDで生成された電気信号を増幅するものである。この増幅トランジスタAPは、ソースが選択トランジスタSLのドレインに接続され、ドレインがドレイン電源VDDに接続される。
【0047】
選択トランジスタSLは、ON状態になると、増幅トランジスタAPで増幅された電気信号を垂直信号線34に出力するものである。この選択トランジスタSLは、ON状態とOFF状態を切り替える制御信号がゲートに入力され、ドレインが垂直信号線34に接続される。
【0048】
[トランジスタの駆動と光検出休止期間との関係]
図9を参照し、トランジスタの駆動と光検出休止期間との関係について、説明する。
図9は、縦方向にm個配列された画素32のうち、ある1個の画素32のタイミングチャートである。
図9では、時間軸上に時刻t0〜t4を図示した。また、
図9中段では、各トランジスタのON状態をドットの矩形で図示した。
【0049】
図9のように、フォトダイオードPDは、時刻t0〜t1の光検出期間に信号電荷を蓄積する。時刻t1において、読み出しトランジスタTX及び選択トランジスタSLは、ON状態となる。すると、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、浮遊拡散領域FDに転送された後、垂直信号線34を介して、電気信号としてADC36に出力される。
【0050】
浮遊拡散領域FDの飽和を確実に防止するため、リセットトランジスタRTは、時刻t1〜t2の中間において、ON状態となる。すると、浮遊拡散領域FDの信号電荷は、リセットされる。
【0051】
時刻t1〜t2の光検出休止期間でも、フォトダイオードPDが信号電荷を蓄積する。そこで、時刻t2において、読み出しトランジスタTXがON状態となり、その直後、リセットトランジスタRTがON状態となる。すると、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、浮遊拡散領域FDに転送された後、リセットされる。
【0052】
なお、時刻t2において、読み出しトランジスタTX及びリセットトランジスタRTが同時にON状態なると、リセット電源VRTの電位がフォトダイオードPDに印加され、ノイズ等の悪影響が発生することがある。このため、リセットトランジスタRTがON状態になるタイミングを、読み出しトランジスタTXより少し遅らせている。
【0053】
時刻t2〜t3の光検出期間、フォトダイオードPDは、信号電荷を蓄積する。時刻t3において、読み出しトランジスタTX及び選択トランジスタSLがON状態となり、その直後、リセットトランジスタRTもON状態となる。すると、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、浮遊拡散領域FDに転送された後、垂直信号線34に出力される。垂直信号線34を介して、電気信号としてADC36に出力される。
【0054】
時刻t0〜t1及び時刻t2〜t3の電気信号が、ADC36でAD変換され、加算器38に出力される。そして、時刻t0〜t1及び時刻t2〜t3の電気信号が加算器38で加算され、映像信号として生成される。
【0055】
実際には、撮像装置1Cは、縦方向に配列されたm個の画素32
1〜32
mを備える。画素32
1〜32
mは、垂直信号線34を介して同一のADC36に接続され、
図10のように読み出しタイミングが異なっている。従って、ADC36は、同一フレームの映像信号を生成するため、タイミングをずらしながら、AD変換をm回行うことになる。このとき、ADC36は、画素32
1の時刻t1から画素32
mの時刻t1までの間で、画素32
1〜32
mから出力された電気信号をAD変換する必要がある。
【0056】
なお、ADC36は、時刻t0〜t1及び時刻t2〜t3の電気信号を連続してAD変換できない。このため、時刻t0〜t1と時刻t2〜t3との電気信号をAD変換する間隔が開いてしまう(空白期間)。
【0057】
このように、撮像装置1Cは、光検出休止期間を境として電気信号を2回の光検出期間に分けて読み出し、各光検出期間の電気信号を加算することで、
図2の光検出のパターンを実現することができる。従って、撮像装置1Cは、フリッカが発生することなく、見やすい映像を撮像することができる。
さらに、撮像装置1Cは、撮像素子30が4トランジスタ画素で構成されるので、
図11の5トランジスタ画素に比べ、撮像素子30を簡略化することができる。
【0058】
(第4実施形態)
[撮像素子の構成]
図11,
図12を参照し、本願発明の第4実施形態に係る撮像装置1Dが備える撮像素子(撮像手段)40の構成について説明する。
なお、
図8と同様、本願発明に直接関係しない一般的構成を省略した。
【0059】
撮像素子40は、撮像装置1Dの撮像光学系(不図示)を介して入射光を受光し、受光した入射光から映像信号を生成するものである。例えば、撮像素子40は、ローリングシャッターを備えるCMOSセンサである。また、
図11,
図12のように、撮像素子40は、画素42と、垂直信号線34と、ADC36と、加算器38とを備える。
【0060】
画素42は、5トランジスタ画素であり、受光した入射光の強度に応じた電圧の電気信号を生成するものである。また、画素42は、行列方向に配列され、それぞれが垂直信号線34に接続される。そして、画素42は、生成した電気信号を垂直信号線34に出力する。
なお、画素42以外は、第3実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0061】
[画素単位の具体的構造]
図11を参照し、画素42の具体的構造について、説明する。
図11のように、画素42は、フォトダイオードPDと、第1読み出しトランジスタTX1と、第2読み出しトランジスタTX2と、浮遊拡散領域FDと、リセットトランジスタRTと、増幅トランジスタAPと、選択トランジスタSLとを備える。
なお、第1読み出しトランジスタTX1及び第2読み出しトランジスタTX2以外は、第3実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0062】
第1読み出しトランジスタTX1は、ゲートに信号が入力されてON状態になると、フォトダイオードPDの信号電荷を読み出して、第2読み出しトランジスタTX2に転送するものである。この第1読み出しトランジスタTX1は、ゲートが水平選択線(不図示)に接続され、ソースがフォトダイオードPDに接続され、ドレインが第2読み出しトランジスタTX2のソースに接続される。
【0063】
第2読み出しトランジスタTX2は、ON状態になると、第2読み出しトランジスタTX2の信号電荷を浮遊拡散領域FDに転送するものである。この第2読み出しトランジスタTX2は、ゲートが水平選択線(不図示)に接続され、ドレインが浮遊拡散領域FDに接続される。
【0064】
[トランジスタの駆動と光検出休止期間との関係]
図12を参照し、トランジスタの駆動と光検出休止期間との関係について、説明する。
図12は、縦方向にm個配列された画素42のうち、ある1個の画素42のタイミングチャートである。
図12では、時間軸上に時刻t0〜t5を図示した。また、
図12中段では、各トランジスタのON状態をドットの矩形で図示した。
【0065】
図12のように、フォトダイオードPDは、時刻t0〜t1の光検出期間に信号電荷を蓄積する。時刻t1において、第1読み出しトランジスタTX1は、ON状態となる。すると、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、第2読み出しトランジスタTX2に転送される。
【0066】
続いて、時刻t2において、第2読み出しトランジスタTX2及び選択トランジスタSLは、ON状態となる。すると、第2読み出しトランジスタTX2の信号電荷は、浮遊拡散領域FDに転送された後、垂直信号線34を介して、電気信号としてADC36に出力される。
【0067】
時刻t1〜t3の光検出休止期間でも、フォトダイオードPDが信号電荷を蓄積する。そこで、時刻t3において、第1読み出しトランジスタTX1がON状態となり、その直後、第2読み出しトランジスタTX2がON状態となる。さらに、第2読み出しトランジスタTX2がON状態となった直後、リセットトランジスタRTもON状態となる。つまり、第1読み出しトランジスタTX1、第2読み出しトランジスタTX2及びリセットトランジスタRTは、順番にON状態となる。すると、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、浮遊拡散領域FDに転送された後、リセットされる。
【0068】
なお、時刻t3において、第1読み出しトランジスタTX1及び第2読み出しトランジスタTX2が同時にON状態なると、電荷転送に悪影響が発生することがある。このため、第2読み出しトランジスタTX2がON状態になるタイミングを、第1読み出しトランジスタTX1より少し遅らせている。また、第1実施形態と同様の理由により、リセットトランジスタRTがON状態になるタイミングを、第2読み出しトランジスタTX2より少し遅らせている。
【0069】
時刻t3〜t4の光検出期間、フォトダイオードPDは、信号電荷を蓄積する。時刻t4において、第1読み出しトランジスタTX1及び選択トランジスタSLがON状態となり、その直後、第2読み出しトランジスタTX2がON状態となる。さらに、第2読み出しトランジスタTX2がON状態となった直後、リセットトランジスタRTもON状態となる。すると、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、浮遊拡散領域FDに転送された後、垂直信号線34を介して、電気信号としてADC36に出力される。
【0070】
ここで、時刻t0〜t1及び時刻t3〜t4の電気信号が、ADC36でAD変換され、加算器38に出力される。そして、時刻t0〜t1及び時刻t3〜t4の電気信号が加算器38で加算され、映像信号として生成される。
なお、ADC36がm回のAD変換を行う点、第3実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0071】
このように、撮像装置1Dは、光検出休止期間を境として電気信号を2回の光検出期間に分けて読み出し、各光検出期間の電気信号を加算することで、
図2の光検出のパターンを実現することができる。従って、撮像装置1Dは、フリッカが発生することなく、見やすい映像を撮像することができる。
【0072】
さらに、撮像装置1Dは、第2読み出しトランジスタTX2を、フォトダイオードPDの信号電荷を一時蓄積するバッファとして利用できる。このため、撮像装置1Dは、
図10のような空白期間が生じないため、時刻t0〜t1及び時刻t3〜t4の電気信号を長い間隔でAD変換できるので、加算器38の処理能力に余裕を持たせることができる。
【0073】
本願発明は前記した各実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で変形を加えることができる。
前記した各実施形態では、撮像素子を例にあげて説明したが、本願発明に係る撮像装置は、撮像手段として撮像管を利用することもできる。