(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アタッチメント部材は断面L字状に構成され、前記太陽電池の小口に前記接着部材を介して接着される第1の面と、前記太陽電池の面に前記接着部材を介して接着される第2の面とが備えられる請求項3又は4に記載の太陽電池モジュール。
前記太陽電池は、2枚のガラス板が熱硬化性樹脂製又は熱可塑性樹脂製の膜体を介して接合されてなる合わせガラスであり、前記接着部材は熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である請求項3、4又は5に記載の太陽電池モジュール。
前記アタッチメント部材には、前記太陽電池から延出された導線が挿通される開口部が備えられ、前記導線の端部が前記本体に内在された端子板に接続される請求項3から6のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、太陽電池セルの出力端子と端子箱の端子板との間を1本の導線を用いて接続する形態では、出力端子又は端子板との導線の接点に不具合が発生した場合には、太陽電池モジュールとしての機能を持続させることができない、という問題があった。
【0007】
つまり、特許文献1の太陽電池モジュールでは、長期間の使用寿命を保証することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、長期間の使用寿命を保証できる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、太陽電池の出力端子が導線を介して、太陽電池モジュールの端子箱に内在された端子板に接続される太陽電池モジュールの端子箱において、前記導線は、複数の導線を備えることにより、複数の接点を介して前記端子板に接続されることを特徴とする太陽電池モジュールを提供する。
【0010】
本発明の一態様によれば、太陽電池の負極端子が第1の導線を介して、端子箱に内在された第1の端子板に接続され、太陽電池の正極端子が第2の導線を介して、太陽電池モジュールの端子箱に内在された第2の端子板に接続される。その際に、第1の導線及び第2の導線は、複数の導線を備えることにより、複数の接点を介して第1の端子板及び第2の端子板に接続される。
【0011】
本発明の一態様によれば、端子板に対して複数の接点を備えることで、一方の接点に不具合が発生しても、他方の正常な接点に電流が流れることで問題なく太陽電池モジュールの機能を持続することができる。よって、長期間の使用寿命を保証することができる。
【0012】
本発明の一態様は、前記複数の導線の抵抗値を異ならせ、通常使用導線と予備使用導線と用途を分ける方法であってもよい。
【0013】
本発明の一態様によれば、複数の導線は、一つで全体の電流に耐えうるものを使用する。また、抵抗値を意図的に変えることで、通常状態では、抵抗値の低い導線に電流が主に流れるようにする。抵抗値の低い導線の接点が熱負荷などを繰り返し受けて不具合を起こした場合、その時点で抵抗値の低い導線は機能しなくなるが、それ以降は、抵抗値の高い導線に電流が流れることにより、端子箱は問題なく機能を持続できる。これにより、端子箱全体、太陽電池全体の寿命が延びるので、長期間の使用寿命を保証できる太陽電池モジュールを提供できる。導線の材料(銅、真鍮など)を変えることで、複数の導線の抵抗値を変えることができ、同一材料の場合には、導線の断面積を変えれば抵抗値を変えることができる。
【0014】
本発明の一態様は、パネル状の太陽電池の小口に接着部材を介して接着されるアタッチメント部材と、前記アタッチメント部材に取り付けられる前記端子箱の本体と、を備え、前記アタッチメント部材に対する前記本体の取り付け位置を選択可能とする取付手段が前記アタッチメント部材又は前記本体に備えられていることが好ましい。
【0015】
本発明の一態様によれば、太陽電池の小口に接着される端子箱を、小口に接着されるアタッチメント部材と端子箱の本体との二部材に分割し、厚さの異なる太陽電池であっても同一のアタッチメント部材を小口に接着し、このアタッチメント部材に対する本体の取り付け位置を、取付手段によって選択可能とした。これにより、太陽電池の厚さのバリエーションに対応できる太陽電池モジュールの端子箱を提供できる。
【0016】
本発明の一態様は、前記取付手段は、前記アタッチメント部材又は前記本体に備えられた複数の被係合部と、前記アタッチメント部材又は前記本体に備えられ、前記複数の被係合部のうち選択された被係合部に係合される係合部と、からなることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様によれば、複数の被係合部のうち選択した被係合部に係合部を係合させて、アタッチメント部材に本体を取り付ける。被係合部及び係合部からなる機械的係止部材を介してアタッチメント部材に本体を取り付ければ、アタッチメント部材から本体を取り外すことができるので、本体のメンテナンス作業及び交換作業が容易になる。また、アタッチメント部材と本体との水密性を高めるために、被係合部と係合部との係合面には水密パッキンを備えることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様は、前記アタッチメント部材は断面L字状に構成され、前記太陽電池の小口に前記接着部材を介して接着される第1の面と、前記太陽電池の面に前記接着部材を介して接着される第2の面とが備えられることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様によれば、アタッチメント部材を断面L字状に構成し、第1の面を接着部材によって太陽電池の小口に接着し、第2の面を太陽電池の面に接着部材によって接着する。これにより、太陽電池に対するアタッチメント部材の接着面積を、小口にのみに接着面(第1の面に相当)を備えた平板状のアタッチメント部材と比較して大きくできるので、太陽電池に対するアタッチメント部材の接着安定性が高まる。
【0020】
本発明の一態様は、前記太陽電池は、2枚のガラス板が熱硬化性樹脂製又は熱可塑性樹脂製の膜体を介して接合されてなる合わせガラスであり、前記接着部材は熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、前記太陽電池は主受光面側の1枚のガラス板と非受光面側のバックシートを熱硬化性樹脂製又は熱可塑性樹脂製の膜体を介して接着したパネルでもよい。
【0021】
本発明の一態様によれば、オートクレーブによる合わせガラスの製造と同時にアタッチメント部材を太陽電池に接着できる。
【0022】
太陽電池の小口に対するアタッチメント部材の取り付け方法は、接着剤によるものでも構わないが、より強固、かつ耐久性を高めるためには、合わせガラスの2枚のガラス板を接合(封着)するために用いられる膜体又は封止材等と同様、熱硬化性若しくは熱可塑性の接着部材を使用して接着することが好ましい。
【0023】
その接着部材として熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用すれば、シリコーンシーラント系の常温硬化性接着材と比較して、接着力、剛性、耐久性ともに優れ、かつ、2枚のガラス板の接合工程(ラミネーション工程)において同時にアタッチメント部材を接着できるので、施工性も向上する。
【0024】
本発明の一態様は、前記アタッチメント部材には、前記太陽電池から延出された導線が挿通される開口部が備えられ、前記導線の端部が前記本体に内在された端子板に接続されることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様によれば、太陽電池から延出された導線は、アタッチメント部材の開口部に挿通されて、本体に内在された端子板に接続される。この際に、取付手段を利用して、導線が折れ曲がらない好適な位置に、本体をアタッチメント部材に取り付ける。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、長期間の使用寿命を保証することができる太陽電池モジュールを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に従って本発明に係る太陽電池モジュールの好ましい実施形態について説明する。
【0029】
図1は、実施形態の太陽電池モジュールを備えた太陽光発電システム10の外観を示す斜視図、
図2は
図1に示した太陽光発電システム10の回路図である。
【0030】
〔太陽光発電システム10の構成〕
図1、
図2に示すように、太陽光発電システム10は、電気的に直列に接続された3台の太陽電池モジュール12、14、16を有している。なお、実施形態では3台の太陽電池モジュール12、14、16を例示するが、太陽電池モジュールの台数は3台に限定されるものではなく、2台又は4台以上であってもよい。また、太陽電池モジュール12、14、16は、同一の発電特性を有しているため、太陽電池モジュール12、14、16の構成を説明する際には、太陽電池モジュール12の構成を説明し、他の太陽電池モジュール14、16については同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0031】
太陽電池モジュール12は、複数の太陽電池セル18を有する太陽電池パネル(パネル状の太陽電池)20と、バイパス素子22及びバイパス素子24が内在された端子箱26とを備える。端子箱26は、
図1の如く太陽電池パネル20の小口に取り付けられる。
【0032】
太陽電池セル18は、インターコネクタ28を介して電気的に直列に接続されている。なお、
図1、
図2に示した太陽電池モジュール12は、複数の太陽電池セル18を直列に接続した1つのストリングスのみ示しているが、実際では複数のストリングスが直列に接続された太陽電池モジュールでもよい。
【0033】
太陽電池セル18としては、例えばPN接合を有するシリコーン系の太陽電池が適用され、1枚の太陽電池パネル20に対して20〜24枚(なお、
図1、
図2では12枚)の太陽電池セル18が備えられている。太陽電池パネル20の出力電圧は、例えば最大で24×0.5V=12Vである。なお、太陽電池セル18は、シリコーン系の太陽電池に限定されるものではなく、化合物系、有機系などの他の太陽電池セルであってもよい。また、太陽電池セル18の枚数も上記枚数に限定されるものではない。更に、太陽電池セル18は、両面受光発電型のものであってもよい。
【0034】
図3は、太陽電池パネル20の縦断面図であり、太陽電池パネル20は、2枚の中間膜30、32を介して太陽電池セル18を、2枚のガラス板34、36によって挟持した合わせガラス構造のものである。中間膜30、32としてはPVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチレンビニルアセテート)等を例示できる。前記合わせガラスは、2枚の中間膜30、32を介して太陽電池セル18を、2枚のガラス板34、36によって挟み込み、これをオートクレーブ等によって加熱、加圧することにより製造される。
【0035】
なお、太陽電池パネル20は、合わせガラス構造のものに限定されるものではなく、ガラス板とバックシートとによって太陽電池セル18を挟持した構造のものでもよい。
【0036】
図4は、端子箱26に内装された各部品の配置位置を示した部品図である。バイパス素子22、24は、端子箱26に内装された端子板38と端子板40との間に直列接続され、かつバイパス素子22とバイパス素子24とは並列で接続される。具体的には、バイパス素子22であるバイパスダイオード42のアノード端子が端子板38に接続され、カソード端子が端子板40に接続される。同様にバイパス素子24であるバイパスダイオード44のアノード端子が端子板38に接続され、カソード端子が端子板40に接続される。
【0037】
これにより、端子板38、40に対してバイパスダイオード42、44は直列接続され、かつバイパス素子22とバイパス素子24とが並列で接続される。また、バイパスダイオード42としては、順方向降下電圧(Vf)が0.55V(第1の電圧)のショットキーバリアダイオードが適用され、バイパスダイオード44としては、順方向降下電圧(Vf)が1.1V(第2の電圧)の一般整流用ダイオード(例えば、シリコンダイオード)が適用されている。なお、バイパスダイオード42、44として、順方向降下電圧(Vf)が異なるショットキーバリアダイオードを使用してもよく、同様に、順方向降下電圧(Vf)が異なる一般整流用ダイオードを使用してもよい。また、バイパス素子の個数は2個に限定されるものではなく、3個以上のバイパス素子を並列に接続してもよい。
【0038】
端子板38には、1本のバスバー(導線)46から分岐された2本の分岐バスバー(複数の導線)46A、46Bが溶接又は半田などによって接続され、バスバー46の他端は、
図2の如く太陽電池パネル20の負極側の太陽電池セル18に接続される。
【0039】
図4に戻り、端子板40には、1本のバスバー(導線)50から分岐された2本の分岐バスバー(複数の導線)50A、50Bが溶接又は半田などによって接続され、バスバー50の他端は、
図2の如く太陽電池パネル20の正極側の太陽電池セル18に接続される。なお、負極側の太陽電池セル18及び正極側の太陽電池セル18が、太陽電池パネル20の出力端子である。また、分岐バスバーの本数も2本に限定されるものではなく、3本以上であってもよい。
【0040】
太陽電池モジュール12の端子板38には、
図2の如く、負荷装置54に一端が接続された外部接続ケーブル56の他端が直結又はコネクタを介して着脱自在に接続される。また、太陽電池モジュール12の端子板40には、外部接続ケーブル58の一端が直結又はコネクタを介して着脱自在に接続され、外部接続ケーブル58の他端が、太陽電池モジュール14の端子箱26の端子板38に直結又はコネクタを介して着脱自在に接続される。更に、太陽電池モジュール14の端子板40には、外部接続ケーブル60の一端が直結又はコネクタを介して着脱自在に接続され、外部接続ケーブル60の他端が、太陽電池モジュール16の端子箱26の端子板38に直結又はコネクタを介して着脱自在に接続される。そして、太陽電池モジュール16の端子板40には、外部接続ケーブル62の一端が直結又はコネクタを介して着脱自在に接続され、外部接続ケーブル62の他端が負荷装置54に接続される。これにより、太陽光発電システム10によって発電された電気が負荷装置54に供給される。
【0041】
〔太陽光発電システム10の作用〕
太陽電池モジュール12、14、16のうち、例えば、太陽電池モジュール14が未発電状態になると、発電状態の太陽電池モジュール12からの電流は、太陽電池モジュール14の太陽電池パネル20をバイパスし、太陽電池モジュール14の第1のバイパス素子22及び/又は第2のバイパス素子24を介して太陽電池モジュール16に流れる。これにより、未発電状態の太陽電池モジュール14の太陽電池パネル20に逆電流が流れるのを防止でき、太陽電池モジュール14の破損を防止できると同時に、未発電状態の太陽電池モジュール14が抵抗体となることで、太陽光発電システム10全体の電流の低下が生じるのを防止できる。
【0042】
太陽電池モジュール12に備えられるバイパス素子として、実施形態では、太陽電池パネル20に並列に接続された2個のバイパス素子22、24を備えている。そして、バイパス素子22であるバイパスダイオード42として、順方向降下電圧(Vf)が0.55Vのショットキーバリアダイオードを適用し、バイパス素子24であるバイパスダイオード44として、順方向降下電圧(Vf)が1.1Vの一般整流用ダイオードを適用している。
【0043】
すなわち、バイパスダイオード42には、0.55V以上の電圧が印加された際に順方向電流が流れ、バイパスダイオード44には、1.1V以上の電圧が印加された際に順方向電流が流れる。
【0044】
したがって、実施形態の太陽電池モジュール12によれば、
図5(A)において大小の大きさで示した矢印A、Bの如く、通常状態では主にバイパスダイオード42に電流が流れる。そして、バイパスダイオード42が熱負荷などを繰り返し受けて破損した場合、その時点でバイパスダイオード42は機能しなくなるが、それ以降は
図5(B)矢印Cの如く、バイパスダイオード44に電流が流れる。これにより、端子箱26は問題なく機能を持続できる。
【0045】
つまり、実施形態の太陽電池モジュール12は、正常時においては、2個あるバイパスダイオード42、44のうち、積極的にバイパスダイオード42のみを使用することで、予備のバイパスダイオード44が受けるストレスが抑制されるので、バイパスダイオード44の使用寿命が延びる。これにより、端子箱26、太陽電池パネル20の使用寿命が結果として延びるので、長期間の使用寿命を保証できる太陽電池モジュール12を提供できる。
【0046】
なお、バイパスダイオード44の代わりにパワーMOSFETとオペアンプとを組み合わせたバイパス素子を使用してもよい。
【0047】
〔太陽電池モジュール12の特徴〕
図4の如く、バスバー46、50を各々2本の分岐バスバー46A、46B、50A、50Bに分岐して端子板38、40に接続している。
【0048】
従来では、太陽電池モジュールの負極端子及び正極端子からのバスバーは各々1本のみであった。よって、バスバーと端子板との1箇所の接点(半田部、溶接部であり、総称して接続部ともいう)が分断などの不具合を起こすと、その時点で太陽電池モジュールの機能が喪失する。
【0049】
これに対して、実施形態の太陽電池モジュール12では、太陽電池モジュール12からのバスバー46、50を2本の分岐バスバー46A、46B、50A、50Bに分岐し、端子板38、40に対して2個の接点を備えることで、一方の接点に不具合が発生しても、他方の正常な接点に電流が流れることで問題なく太陽電池モジュール12の機能を持続することができる。
【0050】
この場合、分岐バスバー46Aと分岐バスバー46Bの抵抗値を意図的に変更し、分岐バスバー50Aと分岐バスバー50Bの抵抗値を意図的に変更し、通常使用導線、予備使用導線と用途を分ける方法もある。
【0051】
これにより、端子箱26、太陽電池パネル20の使用寿命が延びるので、長期間の使用寿命を保証できる太陽電池モジュール12を提供できる。
【0052】
なお、バスバーを分岐することなく、
図6の他の形態の如く、太陽電池パネル20の負極側の太陽電池セル18及び正極側の太陽電池セル18と端子板38、40とを2本以上(
図6では2本)のバスバー47A、47B、51A、51Bで接続してもよい。この形態においても、バスバー47Aとバスバー47Bの抵抗値を意図的に変更し、バスバー51Aとバスバー51Bの抵抗値を意図的に変更してもよい。
【0053】
抵抗値は、分岐バスバー46A、46B、50A、50B、及びバスバー47A、47B、51A、51Bの材料(銅、真鍮など)を変えることで変更ができ、同一材料の場合には、分岐バスバー46A、46B、50A、50B、及びバスバー47A、47B、51A、51Bの断面積(S)を変えることで抵抗値(R=ρ・L/S)を変更できる。
【0054】
〔他の実施形態の端子箱100の構成〕
図7は、他の実施形態の端子箱100の構成を示した組立斜視図である。
図8は、厚さの厚い太陽電池パネル20に端子箱100を取り付けた要部断面図であり、
図9は、厚さの薄い太陽電池パネル20に端子箱100を取り付けた要部断面図である。
【0055】
端子箱100は、太陽電池パネル20の小口20Aに接着部材102を介して接着されるアタッチメント部材104と、アタッチメント部材104に取り付けられる端子箱100の本体106と、を備えている。
【0056】
また、端子箱100には、アタッチメント部材104に対する本体106の取り付け位置を選択可能とする、複数の溝(被係合部)108と、その複数の溝108のうち選択した溝108に係合される複数の突起(係合部)110とからなる取付手段112が備えられている。なお、
図7〜
図9では、溝108をアタッチメント部材104に設け、突起110を本体106に設けているが、溝108を本体106に設け、突起110をアタッチメント部材104に設けてもよい。
【0057】
溝108は、アタッチメント部材104の長手方向の両端部において、太陽電池パネル20の厚さ方向に所定の間隔をもって複数形成されている。一方、突起110は、アタッチメント部材104に対する本体106の枠状の当接面114に突出して形成され、突起110の先端部には、止水パッキン116が取り付けられる。これによって、突起110は止水パッキン116を介して溝108に係合される。また、本体106の当接面114の全面にも止水パッキン118が備えられ、これによって、本体106がアタッチメント部材104に対して水密状態で取り付けられる。
【0058】
〔端子箱100の特徴〕
太陽電池パネル20の小口20Aに接着される端子箱100を、小口20Aに接着されるアタッチメント部材104と本体106との二部材に分割し、厚さの異なる太陽電池パネル20であっても同一のアタッチメント部材104を小口20Aに接着し、アタッチメント部材104に対する本体106の取り付け位置を、取付手段112によって選択可能としている。
【0059】
具体的には、複数の溝108のうち選択した溝108に突起110を係合させて、アタッチメント部材104に本体106を取り付ける。つまり、
図8に示す厚さの厚い太陽電池パネル20、及び
図9に示す厚さの薄い太陽電池パネル20の如く、太陽電池パネル20の厚さに応じて、太陽電池パネル20の厚さ方向における最適な位置に本体106を取り付ける。これにより、太陽電池パネル20の厚さのバリエーションに対応できる端子箱100を提供できる。
【0060】
また、溝108及び突起110からなる機械的な係止部材を介してアタッチメント部材104に本体106を取り付ければ、アタッチメント部材104から本体106を取り外すことができるので、本体106のメンテナンス作業及び交換作業が容易になる。
【0061】
アタッチメント部材104に対する本体106の取り付け位置を選択する理由は、太陽電池パネル20の小口20Aから外部に延設されたバスバー46、50を極力折り曲げることなく、本体106に設けられた端子板(不図示)に接続させるためである。つまり、太陽電池パネル20の厚さに応じて小口20Aに対するバスバー46、50の延設位置が異なるので、その延設位置に応じて本体106の取り付け位置を選択する必要があるからである。
【0062】
なお、実施形態では、取付手段112として、溝108と突起110を例示したが、これに限定されるものではない。すなわち、アタッチメント部材104に対する本体106の取り付け位置を選択可能とする取付手段であれば、例えば磁石でも、接着剤でも適用できる。
【0063】
一方、アタッチメント部材104は断面L字状に構成され、太陽電池パネル20の小口20Aに接着部材102を介して接着される第1の接着面(第1の面)104Aと、太陽電池パネル20の面20Bに接着部材102を介して接着される第2の接着面(第2の面)104Bとが備えられている。
【0064】
これにより、太陽電池パネル20に対するアタッチメント部材104の接着面積を、小口20Aにのみに接着面(第1の接着面104Aに相当)を備えた平板状のアタッチメント部材と比較して大きくできるので、太陽電池パネル20に対するアタッチメント部材104の接着安定性が高まる。なお、アタッチメント部材104の断面形状はL字状なので、太陽電池パネル20の厚さのバリエーションに対応できることは当然である。
【0065】
また、太陽電池パネル20は、
図3に示したように、2枚のガラス板34、36が熱硬化性樹脂製又は熱可塑性樹脂製の中間膜(膜体)30、32を介して接合されてなる合わせガラスである。そして、
図7〜
図9に示した接着部材102は中間膜30、32と同様に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である。
【0066】
これにより、オートクレーブによる合わせガラス(太陽電池パネル20)の製造と同時にアタッチメント部材104を太陽電池パネル20に接着できる。
【0067】
太陽電池パネル20の小口20Aに対するアタッチメント部材104の取り付け方法は、一般的なシリコーンシーラント系の常温硬化性接着剤によるものでも適用できる。しかしながら、より強固、かつ耐久性を高めるための接着は、合わせガラスの2枚のガラス板34、36を接合(封着)するために用いられる中間膜30、32又は封止材等と同様、熱硬化性若しくは熱可塑性の接着部材102を使用して接着することが好ましい。
【0068】
接着部材102として熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用すれば、シリコーン系の接着材と比較して、接着力、剛性、耐久性ともに優れ、かつ、2枚のガラス板34、36の接合工程(ラミネーション工程)において同時にアタッチメント部材104を小口20Aに接着できるので、施工性も向上する。なお、接着部材102は、順構造用のレベルの接着力を備えたシート状のテープでもよい。
【0069】
また、アタッチメント部材104には、
図7の如く、太陽電池パネル20から延出されたバスバー46、50が挿通される開口部120が備えられ、バスバー46、50の端部が本体106に内在された端子板(不図示)に接続される。
【0070】
すなわち、太陽電池パネル20から延出されたバスバー46、50は、アタッチメント部材104の開口部120に挿通されて、本体106に内在された端子板に接続される。この際に、取付手段112を利用して、バスバー46、50が折れ曲がらない好適な位置に、本体106をアタッチメント部材104に取り付ける(
図8、
図9参照)。