特許第6507622号(P6507622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6507622スチレン系発泡シート及びこれを用いた成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6507622
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】スチレン系発泡シート及びこれを用いた成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/14 20060101AFI20190422BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20190422BHJP
   C08L 25/08 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   C08J9/14CET
   C08F212/08
   C08L25/08
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-256150(P2014-256150)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-113598(P2016-113598A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】藤平 衛
(72)【発明者】
【氏名】大坪 崇徳
【審査官】 弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−208773(JP,A)
【文献】 特開2013−100433(JP,A)
【文献】 特開2014−201708(JP,A)
【文献】 特開2006−124498(JP,A)
【文献】 特開平02−058548(JP,A)
【文献】 特開2009−263512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
C08F 212/08
C08L 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(a1)と、スチレン系モノマー(a2)と、メタクリル酸(a3)とを必須成分とする単量体混合物(a)を共重合して得られるスチレン系樹脂であって、前記メタクリル酸(a3)の使用割合が、前記単量体混合物(a)中0.2〜3質量%の範囲であるスチレン系樹脂(A)を発泡してなることを特徴とするスチレン系発泡シート。
【請求項2】
前記スチレン系樹脂(A)のGPC−MALLSで求められる重量平均分子量が15万〜70万の範囲である請求項1記載のスチレン系発泡シート。
【請求項3】
前記多分岐状マクロモノマー(a1)における分岐構造が、電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している4級炭素原子によって枝分かれしているもの、または、エーテル結合、エステル結合若しくはアミド結合を有する構造単位の繰り返しによって分岐構造を形成するものである請求項1又は2記載のスチレン系発泡シート。
【請求項4】
前記単量体混合物(a)中に、更に(メタ)アクリル酸エステルを含有するものである請求項1〜3の何れか1項記載のスチレン系発泡シート。
【請求項5】
前記スチレン系樹脂(A)にゴム変性スチレン系樹脂(B−1)を混合しスチレン系樹脂組成物にした後、これを発泡してなるものであり、
前記ゴム変性スチレン系樹脂(B−1)の使用割合が、前記スチレン系樹脂(A)と前記ゴム変性スチレン系樹脂(B−1)の合計量に対して、前記ゴム変性スチレン系樹脂(B−1)が0.1〜20質量%の範囲である、請求項1〜の何れか1項記載のスチレン系発泡シート。
【請求項6】
前記スチレン系樹脂(A)に、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(B−2)を混合しスチレン系樹脂組成物にした後、これを発泡してなるものであり、
前記スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(B−2)の使用割合が、前記スチレン系樹脂(A)と前記共重合体(B−2)の合計量に対して、前記共重合体(B−2)が0.1〜10質量%の範囲である、請求項1〜の何れか1項記載のスチレン系発泡シート。
【請求項7】
前記スチレン系樹脂(A)にスチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)を混合しスチレン系樹脂組成物にした後、これを発泡してなるものであり、
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)の使用割合が、前記スチレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)の合計量に対して、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)が0.1〜5質量%の範囲である、請求項1〜の何れか1項記載のスチレン系発泡シート。
【請求項8】
厚さが0.5〜6.0mmであり、かさ密度が0.02〜0.25g/cmである請求項1〜の何れか1項記載のスチレン系発泡シート。
【請求項9】
請求項1〜の何れか1項記載のスチレン系発泡シートを熱成形法によって成形してなるものであることを特徴とする成形体。
【請求項10】
食品包装用途である請求項記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐末端に二重結合を有する特定の多分岐マクロモノマーとスチレン系モノマー及びメタクリル酸との共重合体を含有する樹脂組成物を発泡してなる発泡シートに関し、詳しくは、従来のスチレン系発泡シートよりも成形性、耐熱性、強度のバランスに優れた発泡シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂シートは、透明性や剛性が優れているため、主に食品包装用容器として使用されている。また、一般にスチレン系樹脂は、発泡が容易であり、成形体の軽量化が可能で省資源化に大きく貢献することが可能な樹脂である。さらに、リサイクルシステムも確立されており、リサイクル率も他素材と比較して高くなっている。
【0003】
しかし、近年、コンビニエンスストアでのレンジアップ時間の短縮化により、高出力(高ワット数)の電子レンジが使用されること、また、液状の成分を多く含む弁当をレンジアップさせるような用途も増加しているため、食品容器の蓋材及び発泡シートを用いた底材には、より高い耐熱性が求められるようになってきた。また、食品包装用途だけでなく、ディスプレイ材や断熱材等に用いられる発泡ボード(PSB)においても耐熱性の要求は高く、コストパフォーマンスに優れた耐熱材料が望まれている。
【0004】
スチレン系樹脂シートの耐熱性を向上させる手法としては、例えば、スチレンモノマー94〜96質量%とメタクリル酸4〜6質量%とを共重合させて得られるスチレン−メタクリル酸系共重合体を用いて発泡シートとする手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、耐熱性については一定の効果を発現するものの、発泡シートの二次成形性や、成形体の強度が不足することがあり、耐熱性、成形性、強度のバランスにかけるモノであった。また、ポリスチレンとの相溶性が低いために、ポリスチレンを主成分とする発泡シートを回収すると物性低下が生じるという問題が生じる。
【0005】
また、メタクリル酸含有量を0.2〜4.0質量%とするスチレン−メタクリル酸共重合体を含有する樹脂組成物に対して、0.005〜0.8質量%のエポキシ化大豆油又はエポキシ化アマニ油と、0〜0.5質量%の高級脂肪酸金属塩を添加し、これを押出発泡してなる発泡シートも提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
前記特許文献2では、押出発泡する際に、添加剤によって樹脂の分子量の増大を起こさせ、これによって、発泡倍率を挙げても、成形体の強度が保たれるようにしたものであるが、押出発泡工程で反応が進むことにより、ゲル物の発生や、添加剤(エポキシ化大豆油又はエポキシ化アマニ油、高級脂肪酸金属塩)の表面へのブリードアウトによる押出発泡装置内面の汚れ等の問題が生じやすく、生産性に劣るものであり、さらなる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−221128号公報
【特許文献2】特開2008−144025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、成形性、強度をバランスよく兼ね備え、生産性も良好なスチレン系発泡シート及びこれを用いてなる成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多分岐状マクロモノマーとスチレン系モノマーとメタクリル酸とを共重合させることにより得られる多分岐状スチレン−メタクリル酸樹脂を必須成分として含むスチレン系樹脂を発泡してなる発泡シートが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(a1)と、スチレン系モノマー(a2)と、メタクリル酸(a3)とを必須成分とする単量体混合物(a)を共重合して得られるスチレン系樹脂であって、前記メタクリル酸(a3)との使用割合が、前記単量体混合物(a)中0.2〜3質量%の範囲であるスチレン系樹脂(A)を発泡してなることを特徴とするスチレン系発泡シート、及びこれを成形してなる成形体を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスチレン系発泡シートはスチレン−メタクリル酸共重合体に多分岐構造を導入したことで、スチレン−メタクリル酸共重合体の溶融粘度を維持しつつ高分子量化することが可能となり、発泡シートの弱点である脆性を改善でき、耐熱性を保持しながら、成形性及び物性強度が向上し、電子レンジ等での加熱を行う食品用途等にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】GPC−MALLSにより分子量を測定したクロマトグラフである。
図2】GPC−MALLSから求められる樹脂組成物の分子量を横軸、慣性半径を縦軸とした両対数グラフである。
図3】スチレン系樹脂組成物を連続塊状重合するための簡略装置図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の発泡シートに用いる組成物について詳細に説明する。
〔スチレン系樹脂〕
本発明で用いるスチレン系樹脂は、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(a1)と、スチレン系モノマー(a2)と、メタクリル酸(a3)とを必須成分とする単量体混合物(a)を共重合して得られるスチレン系樹脂であって、前記メタクリル酸(a3)との使用割合が、前記単量体混合物(a)中0.2〜3質量%の範囲で用いてなり、前記多分岐状マクロモノマー(a1)とスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)とを共重合させることにより得られる多分岐状共重合体(A1)を必須とし、共重合時に同時に生成するスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)とを共重合してなる線状樹脂である共重合体(A2)、更に、スチレン系モノマー(a2)の単独重合体や、メタクリル酸(a3)の単独重合体を含有していても良い。
【0014】
また、予め製造したスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)とを共重合してなる線状樹脂である共重合体(A2)、スチレン系モノマー(a2)の単独重合体、メタクリル酸(a3)の単独重合体を、多分岐状マクロモノマー(a1)とスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)を共重合させた樹脂に混合してもよく、この時、混合物中の全ての樹脂の原料単量体換算を行い、その単量体混合物中に、メタクリル酸(a3)が0.2〜3質量%で使用されたことになることを必須とする。
【0015】
本発明に使用するスチレン系樹脂(A)の原料である単量体混合物(a)中、メタクリル酸(a3)との使用割合が、0.2〜3質量%の範囲である。このような樹脂を用いて得られる発泡シートは、耐熱性と成形性とのバランスに優れる。
【0016】
本発明に使用される前記スチレン系樹脂(A)のGPC−MALLSで求められる重量平均分子量は15万〜70万の範囲であることが好ましい。
【0017】
〔GPC−MALLS〕
本発明に使用される前記スチレン系樹脂(A)をGPC−MALLSにより分子量を測定すると、例えば、図1に示すクロマトグラフが得られる。図1中、低分子量側のピークがP1であり、高分子量側のピークがP2である。ピークP1には、線状の樹脂と、低分岐度の樹脂が含まれていると推測される。そして、ピークP2には主として多分岐状の高分岐度の樹脂が含まれていると推測される。なお、ピークP2の領域は、ピークP2の最高点からベースライン(図1中、volume軸にほぼ平行に引かれた点線)に降ろした垂線と、ベースラインと、該最高点から左側の分子量カーブとで囲まれた領域(1)と、該領域(1)を、前記垂線を対称軸として右側に折り返したときに形成される分子量カーブ(図1中、垂線の右側に点線で示した仮想の分子量カーブ)と、垂線と、ベースラインとで囲まれた領域(2)とにより形成される領域である。そして、ピークP1の領域は、分子量カーブと、ベースラインとで囲まれた領域から前記領域(1)と領域(2)からなるピークP1の領域を差し引いた部分である。
【0018】
〔ピークP1の領域中の樹脂とピークP2の領域中の樹脂の配合比〕
本発明に使用される前記スチレン系樹脂(A)のピークP1の領域中の樹脂とピークP2の領域中の樹脂の質量比は、得られるシートの強度と加工性とのバランスに優れる点で(ピークP2の領域中の樹脂)/(ピークP1の領域中の樹脂)=30/70〜70/30が好ましく、より好ましくは、40/60〜60/40である。この比率は、多分岐状マクロモノマー(a1)とスチレン系モノマー(a2)、メタクリル酸(a3)との使用割合の調整や、連鎖移動剤の種類及びその使用量によって、容易に制御可能である。
【0019】
〔両対数グラフの傾き〕
また、本発明に使用される前記スチレン系樹脂(A)のGPC−MALLSから求められる分子量を横軸、慣性半径を縦軸とした両対数グラフにおける分子量25万〜1000万の領域での傾きは、強度と成形加工性とを優れたバランスで発現させる点で、0.25〜0.55であることが最も好ましい。傾きが0.55よりも大きくなると、線状樹脂により近い物性となり、逆に0.25よりも小さくなると、分岐度増加に伴う分子量増大により流動性が低下することがある。
【0020】
〔多分岐状マクロモノマー(a1)〕
本発明で使用する複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(a1)としては、上記諸特性に優れたスチレン系樹脂を容易に得られる点、特にピークP2に含まれる多分岐状の樹脂の重量平均分子量を1000万以下に制御してゲル物発生を抑制し、流動性を確保する観点から、多分岐状マクロモノマー(a1)の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは3,000〜8,000の範囲のものを用いる。
【0021】
多分岐状マクロモノマー(a1)における分岐構造としては、特に制限はないが、電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している4級炭素原子によって枝分かれしているもの、及びエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有する構造単位の繰り返しによって分岐構造を形成するものが好ましい。
【0022】
前記多分岐状マクロモノマー(a1)が前述の4級炭素によって分岐構造を形成するものである場合、前記電子吸引基含有量としては、多分岐状マクロモノマー(a1)1g当たり2.5×10−4mmol〜5.0×10−1mmolの範囲であることが好ましく、更に好ましくは5.0×10−4mmol〜5.0×10−2mmolの範囲である。
【0023】
前記多分岐状マクロモノマー(a1)には1分子あたり2個以上の重合性二重結合を有していることを必須とする。前記重合性二重結合の含有量としては、該マクロモノマー(a1)1g当たり0.1〜5.5mmolの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5mmolの範囲である。0.1mmolより少ない場合は、高分子量の多分岐状共重合体(A1)が得られにくくなり、5.5mmolを超える場合は、多分岐状の共重合体の分子量が過度に増大する傾向がある。また、前記重合性二重結合は多分岐状マクロモノマー(a1)の先端部に存在することが好ましい。
【0024】
本発明において使用できる多分岐状マクロモノマー(a1)としては、エステル結合、エーテル結合又はアミド結合を有する構造単位を繰り返すことによって形成する分岐構造と、分岐末端に1分子中2個以上の重合性二重結合とを有する多分岐状マクロモノマー(a1−i)を挙げることができる。
【0025】
エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマー(a1−i−1)は、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子である多分岐状ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などの重合性二重結合を導入したものを好ましい態様として挙げることができる。多分岐状ポリエステルポリオールに重合性二重結合を導入するには、エステル化反応や付加反応によって行なうことができる。
【0026】
前記多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシ基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。また、多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
【0027】
前記多分岐状マクロモノマー(a1−i−1)としては、例えばヒドロキシ基を1個以上有する化合物に、カルボキシ基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸を反応させて多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)に記載されている。
【0028】
前記ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)重量平均分子量が多くとも8,000であるアルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択された1種以上の化合物中のヒドロキシ基とを反応させることにより生成されたヒドロキシ基含有ポリマーなどを挙げることができる。
【0029】
前記a)肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。前記b)トリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。前記c)テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
【0030】
前記カルボキシル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがあげられる。前記モノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐状ポリエステルポリオールを形成することができる。
【0031】
また、前記多分岐状ポリエステルポリオールを製造する際に、触媒を使用するのが好ましく、前記触媒としては、例えば、ジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
【0032】
エーテル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマー(a1−i−2)としては、例えば、ヒドロキシ基や環状エーテル化合物が1個以上有する化合物に、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応させることにより多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、該多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、ヒドロキシ基を1個以上有する化合物と、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSO2OCH3又は−OSO2CH3を含有する化合物とを反応する方法も有用である。
【0033】
ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、前記で挙げたものを何れも使用することができ、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。Williamsonのエーテル合成法に於いて使用されるヒドロキシ基を1個以上有する化合物としても、前記したものでよいが、芳香環に結合したヒドロキシ基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。前記化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。また、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSO2OCH3又は−OSO2CH3を含有する化合物としては、例えば、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なお、上記多分岐状のポリマーを製造する際には、通常触媒を使用することが好ましく、前記触媒としては、例えば、BF3ジエチルエーテル、FSO3H、ClSO3H、HClO4などを挙げることができる。
【0034】
また、アミド結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマー(a1−i−3)としては、例えば、分子中に窒素原子を介してアミド結合を繰り返し構造に有するものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なものである。
【0035】
本発明で用いることのできるスチレン系モノマー(a2)としては、例えば以下の物が挙げられる。スチレン及びその誘導体;例えばスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン、更にニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等がある。
【0036】
また、本発明では、多分岐状マクロモノマー(a1)とスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)の他に、樹脂組成物の耐熱性や加工性を阻害しない範囲で共重合可能なモノマーを用いても良い。本発明で用いることのできる共重合可能なモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0037】
〔多分岐状マクロモノマー(a1)とスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)の重合方法〕
前記多分岐状マクロモノマー(a1)とスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)を、必要に応じて併用されるその他のモノマーとを共重合させることにより、多分岐状の樹脂と、重合条件により同時に生成する線状の樹脂及び低分岐樹脂との混合物であるスチレン系樹脂(A)が得られる。この時、前述の多分岐状マクロモノマー(a1)をスチレン系モノマー(a2)とメタクリル酸(a3)との総量に対して好ましくは50ppm〜1%、より好ましくは100ppm〜3000ppm(質量基準)の比率で用いることにより、多分岐状の樹脂の生成が容易であり、本発明に使用されるスチレン系発泡シート用の樹脂の作製を容易にする。
【0038】
また、メタクリル酸(a3)との使用割合は、単量体混合物(a)中、0.2〜3質量%の範囲である。
【0039】
重合反応には種々の汎用されているスチレン系モノマーの重合方法を応用することができる。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。中でも生産効率の点で特に連続塊状重合が好ましく、例えば一個以上の攪拌式反応器と可動部分の無い複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合を行うことにより、優れた樹脂を得ることができる。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、種々のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、通常のポリスチレンの製造に使用されるものを使用できる。
【0040】
重合反応での反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した多分岐状マクロモノマー(a1)の添加量を飛躍的に増量させ分岐構造を多く導入することができ、且つ、ゲル化が生じにくくなる。
【0041】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
更に、得られる樹脂の分子量が過度に大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動基を複数有する多官能連鎖移動剤でも使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール中のヒドロキシ基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの等が挙げられる。
【0043】
また、得られる樹脂のゲル発生抑制のために、長鎖アルコールやポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル等も使用することが可能である。
【0044】
<重合工程>
重合工程では、多分岐状マクロモノマー(a1)、スチレン系モノマー(a2)、メタクリル酸をモノマー成分として用い、これらを共重合させることによって、これら3成分の共重合体である多分岐状の共重合体を含むスチレン系樹脂(A)を得ることができる。本発明における当該樹脂(A)を得るための重合装置の反応容器についての一例を図3に示す。すなわち、反応液はポンプ(1)によって攪拌式反応器(I)に送られ、次いでポンプ(2)によって循環重合ライン(II)に送られ、循環重合ライン(II)内をポンプ(3)によって循環し、循環後は非循環重合ライン(III)に送られる。ここで、循環重合ライン(II)は(4)〜(6)から成る3つの反応器から構成され、非循環重合ライン(III)は(7)〜(9)から成る3つの反応器から構成される。
【0045】
また、必要に応じて、攪拌式反応器(I)と循環重合ライン(II)の間や、循環式重合ライン(II)と非循環式重合ライン(III)との間からモノマーや溶剤を追加添加することも可能である。
【0046】
<脱揮工程>
重合工程の後に、未反応モノマーや溶剤分を揮発するための脱揮槽1及び脱揮槽2が連結される。脱揮槽1、脱揮槽2はそれぞれ4.0kPa、1.3kPaの減圧下状態に調整しておくことが好ましく、脱揮槽1、脱揮槽2を通過後ペレット化され、本発明に使用されるスチレン系樹脂(A)を得ることができる。
【0047】
また、本発明では、上記で得られたスチレン系樹脂(A)を用いるものであるが、必要に応じてその他のスチレン系樹脂(B)や各種添加剤を併用してスチレン系樹脂組成物としてもよい。
【0048】
前記その他のスチレン系樹脂(B)としては、スチレンの単独重合体が挙げられる。スチレンの単独重合体は直鎖状、多分岐状のいずれでもよく、形状については、特に限定されるものではなく、樹脂ペレットや発泡シートの粉砕品などが好適に用いられる。
【0049】
また、その他のスチレン系樹脂(B)としては、強度を補強する目的でゴム変性スチレン系樹脂(B−1)を用いることができる。ゴム変性スチレン系樹脂(B−1)としては、耐衝撃性ポリスチレンが挙げられ、ゴム状重合体の存在下でスチレン系単量体を重合させることにより製造することができる。これらの使用割合としては、発泡シートの目的とする耐熱性と強度とのバランスの観点より、前記スチレン系樹脂(A)とゴム変性スチレン系樹脂(B−1)の合計量に対して、0.1〜20質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0050】
また、強度を補強する目的で、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(B−2)を併用してもよい。(メタ)アクリル酸エステルの含有量については特に限定されないが、発泡シートの目的とする耐熱性と強度とのバランスの観点より、前記スチレン系樹脂(A)と共重合体(B−2)の合計量に対して、0.1〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0051】
さらに、スチレン系樹脂(B)としては、強度を補強する目的でスチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)を用いることもできる。具体的なスチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)としては、スチレン−ブタジエン共重合体やその水素添加物、スチレン−イソプレン共重合体やその水素添加物、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。これらのエラストマーのジエン系成分含有量は特に限定されないが、強度改良効果の点から、エラストマーを構成する全単量体成分に対してジエン系成分含有量30質量%以上が好ましい。これらの使用割合としては、発泡シートの目的とする耐熱性と強度とのバランスの観点より、前記スチレン系樹脂(A)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)の合計量に対して、0.1〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0052】
各種添加剤としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤、熱安定化剤などが挙げられる。
【0053】
本発明のスチレン系発泡シートの厚みについては、特に限定されるものではないが、二次加工によって成形体を得る際の取扱い容易性と、成形体としての強度の観点から、0.5〜6.0mmの範囲になるようにすることが好ましく、0.7〜4.0mmの範囲であることがより好ましい。また、かさ密度としては、強度の観点より、0.02〜0.25g/cmの範囲であることが好ましい。
【0054】
発泡シートを成形をする場合には、この樹脂に発泡剤を含浸させて押出機に供給し、加熱溶融させて混練した後、サーキュラーダイ、Tダイなどから押し出すとともに発泡させることによる通常の発泡成形法により、押出発泡シートを製造することが可能である。
【0055】
発泡剤としては、一般的な汎用発泡材料を使用することができる。例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、へキサンなどの低級炭化水素や塩化メチル、ジクロロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンなどのハロゲン炭化水素、二酸化炭素などが挙げられる。通常の押出機でのハンドリング操作や低発泡倍率の場合は、加熱で二酸化炭素を発生させる重曹系発泡剤を使用する化学発泡であることが好ましい。
【0056】
さらに、発泡セル量や大きさをコントロールするために、造核剤として無機化合物を使用することができる。好ましい無機化合物としては、タルクが挙げられる。
【0057】
また、樹脂の混合順序についても特に制限はなく、例えば、スチレン系樹脂に発泡剤を加えて溶融混練機に供する方法や、予めスチレン系樹脂の一部に高濃度で発泡剤を混練したマスターバッチを作製した後、このマスターバッチと残りのスチレン系樹脂を混練した後、発泡成形する方法等が挙げられる。
【0058】
また、必要に応じて、その他の添加剤を同時に溶融混練する方法や、予めスチレン系樹脂とその他の樹脂や添加剤を溶融混練したマスターバッチを作製した後、このマスターバッチとスチレン系樹脂と発泡剤を溶融混練し発泡成形する方法を用いても良い。
【0059】
また、溶融混練する時の温度は180〜260℃の範囲であることが好ましく、スチレン系樹脂の熱劣化を防ぎ、また重曹系発泡剤を使用する場合の二酸化炭素発生効率の観点から180〜230℃であることが好ましい。
【0060】
サーキュラーダイ、Tダイなどのダイ温度は安定な発泡成形を行う上で120〜150℃の範囲であることが好ましい。
【0061】
発泡シートを製造する際の倍率は、特に限定されないが、機械的強度の維持と、発泡による軽量化、成形性のバランスの観点より、4〜50倍であることが好ましい。
【0062】
上記で得られたスチレン系発泡シートは、熱成形により二次加工して成形体とすることができる。熱成形方法としては、熱板接触加熱成形法、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法等が好ましく用いられる。
【0063】
成形体の形状は、各種パック、ケース等、特に制限されないが、本発明のスチレン系発泡シート及びその成形体の特徴である成形性、耐熱性の観点から、食品包装用であることが好ましく、特に容器トレーや容器としての使用が好ましい。
【0064】
得られた発泡シートあるいはこれを二次成形した成形体の表裏に、機械強度や耐薬性の向上付与などのためにフィルムを張り合わせることも可能である。具体的は、ポリスチレン系インフレーションフィルムを熱ラミネーションしたり、オレフィン系フィルム(CPP)を、接着剤を用いて張り合わせたりすることも可能である。
【実施例】
【0065】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。以下、「部」「%」は特に断りのない限り、質量基準である。
【0066】
〔GPC−MALLS測定〕
スチレン系樹脂組成物のGPC−MALS測定を、Shodex HPLC、検出器Wyatt Technology DAWN EOS、Shodex RI−101、カラムShodex KF−806L×2、溶媒THF、流量1.0ml/minの条件にて行った。また、GPC−MALLSの測定の解析は、Wyatt社の解析ソフトASTRAにより行い、スチレン系樹脂組成物について重量平均分子量を求めた他、GPC−MALLSから求められる該樹脂組成物の分子量を横軸、慣性半径を縦軸とした両対数グラフにおける分子量25万〜1000万の領域での傾き(当該分子量範囲で得られた直線状の部分のみの測定値を元に、前記ソフトにて自動計算される近似直線の傾き)を求めた。
【0067】
〔メルトマスフローレイト測定法〕
JIS K7210に準拠して測定した。測定条件は、230℃、37Nである。
【0068】
〔ビカット軟化温度の測定法〕
JIS K7206に準拠して測定した。
【0069】
〔発泡シートの成形性評価〕
発泡シートを作製後、容器形状へと二次成形を行った。成形では深さ(H)と開口部(W)との比(H/W)が0.75となるような金型を用いた。成形条件は、発泡シートの予備加熱時間を13秒、加熱ヒーター温度を280〜300℃とした。
◎:容器の形が完全に再現している、
○:一部型が不再現、
△:容器底面の縁に小さな穴が発生、
×:容器底部に大きな穴が発生
【0070】
〔発泡シートの耐熱性評価〕
発泡シートの二次成形品を、110℃に保ったオーブン内に10分間入れた後、容器外観を目視により下記4段階にて評価した。
◎:変化なし、
○:一部表面ヤケが見られるものの実用上問題なし、
△:容器がわずかに変形、
×:容器が大きく変形
【0071】
〔強度評価〕
発泡シートの二次成形品の天地圧縮テストを行った。
◎:問題なし、
○:実用上問題のないレベル、
△:難あり、
×:容易に破断する
【0072】
(参考例1)多分岐状マクロモノマー(Mm−1)の合成
<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>
攪拌機、温度計、滴下ロート及びコンデンサーを備えた2リットルフラスコに、室温下、エトキシ化ペンタエリスリトール(5モル−エチレンオキシド付加ペンタエリスリトール)50.5g、BF3ジエチルエーテル溶液(50%)1gを加え、110℃に加熱した。これに3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン450gを、反応による発熱を制御しつつ、25分間でゆっくり加えた。発熱が収まったところで、反応混合物をさらに120℃で3時間撹拌し、その後、室温に冷却した。得られた多分岐ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は3,000、水酸基価は530であった。
【0073】
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター及び気体導入管を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、メタアクリル酸13.8g、トルエン150g、ヒドロキノン0.06g、パラトルエンスルホン酸1gを加え、混合溶液中に3ミリリットル/分の速度で7%酸素含有窒素(v/v)を吹き込みながら、常圧下で撹拌し、加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり30gになるように加熱量を調節し、脱水量が2.9gに到達するまで加熱を続けた。反応終了後、一度冷却し、無水酢酸36g、スルファミン酸5.7gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、残っている酢酸及びヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.02gを加え、減圧下、7%酸素含有窒素(v/v)を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル60gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの重量平均分子量は3,900であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ30モル%および62モル%であった。
【0074】
(参考例2)多分岐状マクロモノマー(Mm−2)の合成
<多分岐ポリエーテルポリオール2の合成>
窒素、空気リフラックスコンデンサー、マグネット式撹拌棒、温度計を接続した1000mLの3つ口フラスコ中で、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体1.24g(8.7mmol)を、乾燥かつ過酸化物を除去したメチル−t−ブチルエーテル273gで希釈した。別途容器にて、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン140g(1.21mol)とプロピレンオキサイド70.0g(1.21mol)を混合し、上記3つ口フラスコへ、定量ポンプで5.5時間かけて滴下した。このとき、系内の温度を20℃に保つよう、随時アイスバスで冷却を行った。滴下終了後、さらにプロピレンオキサイド63.0g(1.08mol)を、同様に系内の温度を20℃に保ちつつ、3時間かけて滴下し、さらに4時間攪拌した。ここで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.620g(4.4mmol)を添加し、さらに20℃で6時間攪拌した。反応混合物は、反応に使用した三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体の10倍重量のハイドロタルサイトを加え、1時間還流させることにより吸着除去した。ハイドロタルサイトを濾別したのち、メチル−t−ブチルエーテルを除去し、透明で高粘性の多分岐ポリエーテルポリオール267gを得た。この多分岐ポリエーテルポリオールは、Mn=2,876g/mol、Mw=7,171g/mol、水酸基価=253mg・KOH/gであり、プロトンNMRから、モル基準で3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン:プロピレンオキサイド=1:1.9であった。
【0075】
<アクリロイル基を有する多分岐ポリエーテル2の合成>
ディーン・スターク管、窒素及び空気導入管、撹拌装置、温度計を具備した500mLの4つ口フラスコ中に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール2の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオールを155g、アクリル酸51g、シクロヘキサン200g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.21g、触媒としてドデシルベンゼンスルホン酸4g(12.3mmol)を仕込み、窒素と空気2対1の混合ガス流通下で、82℃まで昇温した。シクロヘキサンの還流が始まり、水の流出が徐々に始まった。その後、85℃まで昇温して18時間反応させると、理論脱水量の60%に達したので冷却を開始した。30℃付近まで冷却した後、5%水酸化ナトリウム水溶液及び15%NaCl水溶液を加えて洗浄を行った。得られた重合性不飽和基含有多分岐ポリエーテルの水酸基価は、70mg・KOH/gで、全水酸基のアクリル基導入率は、60%であった。
【0076】
(参考例3)多分岐状マクロモノマー(Mm−3)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテル1の合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器に、上述の<多分岐ポリエーテルポリオール1の合成>で得られた多分岐ポリエーテルポリオール50g、テトラヒドロフラン100g及び水素化ナトリウム4.3gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン26.7gを1時間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに4時間撹拌した。反応終了後、一度冷却し、無水酢酸34g、スルファミン酸5.4gを加え、60℃で10時間撹拌した。その後、減圧下でテトラヒドロフランを留去し、得られた混合物をトルエン150gで溶解させ、残っている酢酸を除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液50gで4回洗浄し、さらに1%硫酸水溶液50gで1回、水50gで2回洗浄した。得られた有機層から減圧下で溶媒を留去し、スチリル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエーテル70gを得た。得られた多分岐ポリエーテルの質量平均分子量は4,800であり、多分岐ポリエーテルポリオールへのスチリル基およびアセチル基導入率は、それぞれ38モル%および57モル%であった。
【0077】
(参考例4)多分岐状マクロモノマー(Mm−4)の合成
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐状マクロモノマーの合成>
4口フラスコにスターラー、圧力計、冷却器及び受け皿を取り付け、これに308.9gのエトキシル化ペンタエリスリトールと0.46gの硫酸を加えた。その後、140℃まで加温し、460.5gの2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を10分間で加えた。2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸が完全に溶解して、透明溶液になってから、30〜40mmHgに減圧し、攪拌しながら、酸価が7.0mgKOH/gになるまで4時間反応させた。その後、この反応液に921gの2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピオン酸と0.92gの硫酸を15分かけて加え、透明溶液になってから、30〜40mmHgに減圧し、攪拌しながら3時間反応させて、ポリエステルポリオールを得た。7%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、および攪拌機を備えた反応容器に、上記で生成したポリエステルポリオールを10g、ジブチル錫オキシド1.25g、イソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100g、およびヒドロキノン0.05gを加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら4時間反応させた。反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシ基をキャッピングするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20gで4回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20gで2回、水20gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐状マクロモノマー(Mm−3)11gを得た。得られた多分岐状マクロモノマー(Mm−3)の重量平均分子量は3,000、数平均分子量は2,100、二重結合導入量は2.00mmol/gであり、イソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ55モル%および36モル%であった。
【0078】
(参考例5)多分岐状マクロモノマー(Mm−5)の合成
<スチリル基を有するPAMAMデンドリマーの合成>
攪拌機、乾燥管を備えたコンデンサー、滴下ロート及び温度計を備えた反応器にPAMAMデンドリマー(ゼネレーション2.0:Dentritech社製)のメタノール溶液(20%)50gを加え、減圧下、撹拌しながらメタノールを留去した。続いて、テトラヒドロフラン50g及び微粉化した水酸化カリウム3.0gを加え、室温下、撹拌した。これに4−クロロメチルスチレン7.0gを10分間かけて滴下し、得られた反応混合物を50℃でさらに3時間撹拌した。反応終了後、冷却し、固体を濾過した後に、テトラヒドロフランを減圧下、留去し、スチリル基を有するPAMAMデンドリマー13gを得た。得られたデンドリマーのスチリル基含有率は2.7ミリモル/グラムであった。
【0079】
(参考例6)多分岐状マクロモノマー(Mm−6)の合成
<スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール2>
攪拌機、コンデンサー、遮光性滴下ロート及び温度計を備え、窒素シールが可能な遮光性反応容器に、窒素気流下、無水1,3,5−トリヒドロキシベンゼン0.5g、炭酸カリウム29g、18−クラウン−6 2.7g及びアセトン180gを加え、撹拌しながら、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン21.7gとアセトン180gからなる溶液を2時間かけて滴下、加えた。その後、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンが消失するまで、撹拌下、加熱、還流させた。その後、4−クロロメチルスチレン9.0gを加え、これが消失するまで、さらに撹拌下、加熱、還流させた。その後、反応混合物に無水酢酸4g、スルファミン酸0.6gを加え、室温下、一晩撹拌した。冷却後、反応混合物中の固体を濾過で除き、溶媒を減圧下で留去した。得られた混合物をジクロロメタンに溶解し、水で3回洗浄した後、ジクロロメタン溶液をヘキサンに滴下し、多分岐ポリエーテルを沈殿させた。これを濾過し、乾燥させて、スチリル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエーテルポリオール12gを得た。質量平均分子量は3,200で、スチリル基の含有率は3.5ミリモル/グラムであった。
【0080】
(参考例7)多分岐状マクロモノマー(M−m7)の合成
<メタクリロイル基及びアセチル基を有する多分岐ポリエステルポリオールの合成>
7%酸素導入管、温度計、コンデンサーを備えたディーンスタークデカンター、および攪拌機を備えた反応容器に、「Boltorn H20」10g、ジブチル錫オキシド1.25g、官能基としてイソプロペニル基を有するメチルメタクリレート100g、およびヒドロキノン0.05gを加え、混合溶液中に3ml/分の速度で7%酸素を吹き込みながら、撹拌下に加熱した。デカンターへの留出液量が1時間あたり15〜20gになるように加熱量を調節し、1時間ごとにデカンター内の留出液を取り出し、これに相当する量のメチルメタクリレートを加えながら6時間反応させた。
【0081】
反応終了後、メチルメタクリレートを減圧下で留去し、残っているヒドロキシ基をキャッピングするために無水酢酸10g、スルファミン酸2gを加えて室温下、10時間撹拌した。濾過でスルファミン酸を除去し、減圧下で無水酢酸および酢酸を留去した後に、残留物を酢酸エチル70gに溶解し、ヒドロキノンを除去する為に5%水酸化ナトリウム水溶液20gで4回洗浄した。さらに7%硫酸水溶液20gで2回、水20gで2回洗浄した。得られた有機層にメトキノン0.0045gを加え、減圧下、7%酸素を導入しながら溶媒を留去し、イソプロペニル基およびアセチル基を有する多分岐ポリエステル12gを得た。得られた多分岐ポリエステルの質量平均分子量は2860、数平均分子量は3770であり、多分岐ポリエステルポリオールへのイソプロペニル基およびアセチル基導入率は、それぞれ55%および40%であった。
【0082】
実施例1
スチレンモノマー98部、メタクリル酸モノマーを2部、参考例1で得られた多分岐状マクロモノマー(Mm−1)をスチレンモノマーとメタクリル酸モノマーの合計量に対し1000ppm、トルエン8部からなる混合溶液を調製し、更に、有機過酸化物としてt−ブチルパーオキシベンゾエートをスチレンモノマーとメタクリル酸モノマーの合計量に対し150ppm加え、図3に示す装置を用いて下記条件で連続的に塊状重合させた。攪拌式反応器(I)は110〜130℃、循環重合ライン(II)、非循環重合ライン(III)は、それぞれ115〜170℃とした。反応液からは、最終反応器である非循環重合ライン(III)後に設置され脱揮槽1及び脱揮槽2において、未反応モノマー及び溶剤分が回収される。脱揮槽1及び脱揮槽2は、240〜280℃とした。その後単管を通過しストランド化及びペレタイザーにてペレット化を行い、スチレン系樹脂(A−1)を得た。
【0083】
得られたスチレン系樹脂(A−1)をタンデム型発泡押出装置に供給し、ブタンガスを圧入後ダイ温度を135℃として厚さ2.0mmの発泡シートを作製した。得られた発泡シートを真空成形し、二次成形性と耐熱性と強度の評価を行った。
【0084】
実施例2
マクロモノマーを参考例2で得られたMm−2に変更しスチレン系樹脂(A−2)を得た以外は、実施例1と全て同一とした。
【0085】
実施例3
マクロモノマーを参考例3で得られたMm−3に変更しスチレン系樹脂(A−3)を得た以外は、実施例1と全て同一とした。
【0086】
実施例4
マクロモノマーを参考例4で得られたMm−4に変更しスチレン系樹脂(A−4)を得た以外は、実施例1と全て同一とした。
【0087】
実施例5
マクロモノマーを参考例5で得られたMm−5に変更しスチレン系樹脂(A−5)を得た以外は、実施例1と全て同一とした。
【0088】
実施例6
マクロモノマーを参考例6で得られたMm−6に変更しスチレン系樹脂(A−6)を得た以外は、実施例1と全て同一とした。
【0089】
実施例7
マクロモノマーを参考例7で得られたMm−7に変更しスチレン系樹脂(A−7)を得た以外は、実施例1と全て同一とした。
【0090】
実施例8
単量体としてスチレンモノマー97部、メタクリル酸モノマーを3部用いてスチレン系樹脂(A−8)を得たこと以外は、実施例1と全て同一とした。
【0091】
実施例9
マクロモノマーを2000ppmとしスチレン系樹脂(A−9)を得たこと以外は、実施例1と全て同一とした。
【0092】
実施例10
マクロモノマーを200ppmとしスチレン系樹脂(A−10)を得たこと以外は、実施例1と全て同一とした。
【0093】
実施例11
スチレンモノマー96部、メタクリル酸モノマーを3部、共重合可能なモノマーとしてアクリル酸ブチルを1部用いてスチレン系樹脂(A−11)を得たこと以外は、実施例1と全て同一とした。
【0094】
実施例12
実施例8と同様にして得たスチレン系樹脂(A−8)を90部、その他のスチレン系樹脂としてゴム変性スチレン系樹脂(B−1、DIC株式会社製ディックスチレンGH−8300−5)を10部用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0095】
実施例13
スチレンモノマー98部、アクリル酸ブチルを2部、マクロモノマーを0ppmとした以外は実施例1と同様にしてスチレン系共重合体(B−2)を得た。実施例8と同様にして得たスチレン系樹脂(A−8)を95部、その他のスチレン系樹脂としてスチレン系共重合体(B−2)を5部用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0096】
実施例14
実施例8と同様にして得たスチレン系樹脂(A−8)を97部、その他のスチレン系樹脂としてスチレン−ブタジエン共重合樹脂(B−3−1、旭化成ケミカルズ株式会社製タフプレン125)を3部用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0097】
実施例15
実施例8と同様にして得たスチレン系樹脂(A−8)を97部、その他のスチレン系樹脂としてスチレン−ブタジエン共重合樹脂(B−3−2、旭化成ケミカルズ株式会社製タフテックH1041)を3部用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0098】
実施例16
実施例8と同様にして得たスチレン系樹脂(A−8)を97部、その他のスチレン系樹脂としてメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(B−3−3、ブタジエン80質量%)を3部用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0099】
比較例1
スチレンモノマーを100部、メタクリル酸モノマーを0部としたこと、マクロモノマーを0ppmとした以外は、実施例1と全て同一とした。
【0100】
比較例2
マクロモノマーを0ppmとした以外は、実施例1と全て同一とした。
【0101】
比較例3
スチレンモノマーを94部、メタクリル酸モノマーを6部としたこと、マクロモノマーを0ppmとした以外は、実施例1と全て同一とした。
【0102】
比較例4
スチレンモノマーを97部、メタクリル酸モノマーを3部、マクロモノマーを0ppmとした以外は、実施例1と同様にスチレン系樹脂を得た。このスチレン系樹脂70質量部とゴム変性スチレン系樹脂(B−1)30質量部を用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0103】
比較例5
比較例4と同様にして得たスチレン系樹脂80質量部とスチレン系共重合体(B−2)20質量部を用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0104】
比較例6
比較例4と同様にして得たスチレン系樹脂90質量部とスチレン−ブタジエン共重合樹脂(B−3−1)10質量部を用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0105】
比較例7
比較例4と同様にして得たスチレン系樹脂90質量部とスチレン−ブタジエン共重合樹脂(B−3−2)10質量部を用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0106】
比較例8
比較例4と同様にして得たスチレン系樹脂90質量部とメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(B−3−3)10質量部を用いて発泡シートを作製した以外は、実施例1と全て同一とした。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
図1
図2
図3